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March 16, 2006

客数アップ戦略が破綻したマクドナルドの決算!!

  週間ダイアモンド3/18号の企業レポートで日本マクドナルドホールディングスが取り上げられている。見出しは「公表資料、内部資料で露呈した売上高至上主義経営の限界」という刺激的なものである。内容は、前年対比106%増の3257億円の売上を達成したにもかかわらず、営業利益は56%減の32億円、最終利益は98%減の6000万円という赤字すれすれになった原因の検証記事である。

  特にこの記事の圧巻は内部資料の客単価と客数の1月から12月までのデータとボトムラインという内部損益を表したデータを詳細に分析し、いわゆるマクドナルドが起死回生の挽回策でうった「バリュー戦略」=客数アップ戦略が破綻したことを検証していることである。バリュー戦略のポイントは、「100円メニューの導入」、「クーポン券(割引券)の乱発」、「営業時間の延長」の3点である。

  まず、バリュー戦略が発動される前の1月は年間最高の客単価であり、客数は月間6000万人には届いていなかったが、ボトムラインは黒字であった。ところが、4月からのバリュー戦略が発動され、その影響が最も現れた6月は客単価が年間最低の400円台となり、ボトムラインが年間最悪の赤字に転落する。その後、バリュー戦略が発動されている11月まで客単価は500円強の低目で推移し、逆に客数は6000万人台を割ることがなかったが、ボトムラインは赤字で推移した。そして、12月、「海老フィレオ(セットは最高価格の580円)がヒットし、客単価が600円弱まで跳ね上がり、ボトムラインが黒字転換したというのだ。確かに、この流れは、日本マクドナルドの公開資料でも、1月の客数は昨対108.5%、客単価は103.3%と特に客単価は年間唯一100%越えた月であった。また、6月は客数120.2%、客単価-82.8%と客数は年間最高の昨対伸び率、客単価は昨対最低の下げ率であった。ただ、12月は客数114.1%、客単価94.2%で客単価が回復するところまではいっていないが、それまでの90%前後と比べると回復基調であるとはいえる。

  このように、ダイヤモンド社の内部資料とマクドナルドの公表資料とを見比べてみると、バリュー戦略にもとづく、客数アップ戦略は、客数大幅アップによる売上アップには成功したが、利益の確保には失敗したといわざるをえない検証結果といえよう。皮肉なことに、日本マクドナルドは全世界119ケ国の中で客数伸び率は世界No.1であったという。

  売上は客数×客単価で決まるが、客単価を大きく落とした客数アップ戦略にもとづく売上げアップは経営戦略としては破綻する可能性が高いことが実証された典型的な事例であるといえよう。

  ひるがえって、食品スーパーマーケット業界でも同様な戦略で現在走っている企業が3社ある。PLANT、99プラス、大黒天物産である。いずれも客数が120%以上の伸びであり、客単価が100%そこそこ、ないしは100%を下回っている。昨年までの決算数字を見る限りでは、大黒天物産、99プラスは利益を出しているが、PLANTはかなり厳しい利益水準となっている。ただし、マクドナルドと違い、新店による客数増であり、客数戦略にもとづく既存店も含めた客数アップ戦略はとっていないという違いがあるので、利益に直接響いてはいないといえる。今後、この3社の新店開発が一段落したあとに、既存店を含めた客数アップ戦略に走るか、客単価アップ戦略に入るかが大きな課題とえいよう。

  経営の基本は客単価をないがしろにした客数アップ戦略はなりたたず、客数の大小にかかわらず、客単価は落とさない、できればアップさせる客単価アップ戦略が大原則である。今回のマクドナルドの事例は再度、客単価の重要性を商品1品1品にまでさかもどり、見直すことが急務であることを示しているといえよう。

March 16, 2006 in PI値 |

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