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November 26, 2007

テスコの競合店価格調査データを見る!

   食品スーパーマーケットにとって競合店調査は日常的に行われているといえるが、テスコほど徹底的に価格調査を毎週実施している企業は珍しいといえる。私も約20年前に船井総研に入社した当時は、ほぼ毎日依頼された食品スーパーマーケットの競合店の価格調査を行い、膨大なレポートを作成していたが、テスコの調査内容を見ると、さすがに圧倒される。しかも、テスコはその調査データをすべて、検索できる形でホームページ上に毎週公表しているのである。従来、競合店の価格調査データは原則、内部で活用され、密かに自店の価格を調整したり、商品力グラフをつくり、競合店の強み、弱みを分析し、自店の商品の価格はもちろん、品揃え、棚割、レイアウトの改善、販促の見直しに活用するのが主な目的である。ところがテスコは、このデータを消費者に競合店よりも価格の高い商品もふくめ、すべてつつみかくさず公開している点が通常の競合店調査との大きな違いである。

   目的が従来の自社の戦略の見直しにとどまらず、調査データをあえてすべて公開することで、消費者からの信頼を勝ち得ようとしているといえよう。その最大の理由は、ウォールマートの傘下に入ったテスコの最大の競合店アズダのEDLP(Every Day Low Price)への対抗、というよりも、EDLPを打ち消すことであろう。ウォールマートをはじめEDLPを自社の戦略とする企業はその地域で一番安い価格で商品を販売していることを標榜し、消費者に様々なメディアを活用してアピールする。したがって、その競合店はあたかも、EDLP戦略を採用した企業に対して、イメージとして高いのではという疑問を消費者に与えてしまい、価格政策では不利な状況に陥りがちとなる。

   テスコはこれに対抗し、そのイメージを打消すことが大きな目的で、毎週この徹底した価格調査をホームページを通じて消費者に公開していると思われる。もちろん、テスコはその背後に、クラブカードにもとづくID-POSデータの分析結果があるので、テスコの自社の顧客の最もリピートの激しい商品はあらかじめおさえていると思うので、その商品は優先的に価格対抗策を打ち、自社の顧客の固定客化をはかっていると思われる。

   では、そのテスコが毎週どのような価格調査を実施しているかであるが、テスコの競合店として、3社を毎週チェックしている。アズダ(340店舗)、セインズベリー(788店舗)、モリソンズ(368店舗)である。この直近の調査は11//19から11/21の間での調査データであり、約10,000品を調査している。正確にはアズダの7,047品、セインズベリーの8,423品、モリソンズの6,125品であり、この商品1品1品とテスコの商品を比較し、その結果を公表している。その総数を見ると、テスコがアズダに対し、安かった商品数は1,801品(26%)、高かった商品は1,268品(18%)、同じだった商品は3,978品(56%)である。同様にセインズベリーに対しては、3,474品(41%)、752品(9%)、4,197品(50%)、モリソンズに対しては、1,997品(32%)、1,264品(21%)、2,864品(47%)となる。したがって、対アズダで見ると、安い商品の数の方が、高い商品よりも多く、全体としてみれば、アズダのEDLPはことテスコに対しては機能していないといえ、見事にEDLPを打ち消しているといえよう。

   そこで、ここでは、さらに代表的な単品に絞って実際の価格調査の結果を見てみたい。ちなみに、テスコは13分類で商品を管理している。ベイカリー、青果、精肉と魚、グロサリー、冷凍食品、花、日雑、デリとデイリー、美容、酒、ペットフード、飲料、その他である。その中で、日本では青果のPI値最高のバナナを見てみると、テスコがkg0.68ポンドに対し、アズダを含め、すべて同じ価格である。イギリス産リンゴ9個パックは1.49ポンドで最安値である。精肉のフィレステーキがkg18.97ポンドで、すべて同じ価格である。アラスカのサケがkg11.95ポンドでアズダの11.98ポンドよりも安く、モリソンズは同じであり、セインズベリーは商品がなかったという。

   デリとデイリーを見てみると、卵6Pが1.84ポンドですべて同じ価格である。牛乳も0.40ポンドですべて同じ価格である。デリとデイリーは生活必需品が多く、主要品目については価格がお互い調査しあい、同じ価格に収斂されていくようである。

   グロサリーについて見てみると、ハインズのスパイダーマンパスタが0.32ポンドでアズダの0.35ポンド、セインズベリーの0.44ポンドよりも安いが、モリソンズは0.32ポンドと同じ価格である。ネスレのキットカット5パック225gは1.00ポンドで他の競合店はすべて1.28ポンドとテスコが最安値である。飲料ではエイビアンの水500mlが0.42ポンドで他の競合店も同一価格である。750mlは0.75ポンドでモリソンズのみ0.72ポンドであるが、他は同じ価格である。

   という具合に、13の大分類でそれぞれが数十の中分類、さらに数10の小分類に分かれ、そのもとで各単品がテスコと他の3店舗との価格比較表ができあがっており、その数がざっと10,000品の価格比較となり、これが毎週調査され、更新されていく。日本でも軌道に乗り始めたテスコエクスプレスが当初から主要品目の競合店調査にもとづく価格対策を打ち出していたが、その原型はここにあったといえよう。価格は顧客にとってもっとも重要な購買動機となる指標のひとつであるが、テスコがここまで価格にこだわった経営を徹底して実践しているとは驚きである。テスコのカード戦略はもちろん、価格政策を主体にしたマーチャンダイジング政策にも注目といえよう。

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November 26, 2007 in 経済・政治・国際海外情報 |

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