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December 06, 2007

テスコ、Fresh&Easyを考えてみる!

   テスコが満を持して、アメリカに食品スーパーマーケットをオープンした。ちょうど、チェーンストアエイジの最新号、12/1号で特集を組んでいるが、非常に興味深い店舗である。店舗名はFresh&Easyであり、テスコの現地法人、Fresh & Easy Neighborhood Marketが公表しているニュースリリースを見ると、11/8に1号店と同時に6店舗をカルフォルニアに同時オープンし、その後、ネバダ、アリゾナに1店舗づつ、現在、計8店舗を新規オープンしている。日本では考えられないスピードである。しかも、当面の計画は50店舗を来年の2月までにオープンさせることであるといい、さらに、翌年、2009年度末までには200店舗オープンさせる計画であるという。そのための投資も5年で20億ドル(約2,200億円)を計画しているという。

   テスコ経営陣は、このFresh&Easyという食品スーパーマーケットがアメリカでは成長性の高いビジネスになるとの経営判断を下したといえる。順調に出店が進めば、2年で200店舗、1店舗10億円で見積もっても年商2,000億円、15億円で年商3,000億円のビジネスボリュームとなる。テスコ本体のニュースリリースを見ると、このFresh&Easyの1号店をオープンさせるために、約2年間、アメリカでの現地調査と経営計画づくりをじっくり行ったという。すでに、現時点で122店舗の出店候補地も決まっているといい、まさに一気呵成にカリフォルニアを中心に食品スーパーマーケットのドミナント展開が進んでゆくことになる。特に、今回の店舗は、チェーンストアエイジによれば、はじめから約3,500品目に絞りこまれた商品の内、約半分がPBのFresh&Easyであるといい、テスコのPBではなく、独自のPBで展開しており、年商100億円、200億円のビジネスではなく、ごく短期間に1,000億円、2,000億円のビジネスボリュームであることがここからもわかる。

   また、イギリスでは大成功したクラブカードも導入しておらず、逆に、ウォールマートの得意とし、イギリスでも最競合となっているウォールマート傘下のアズダの採用するEveryday Low Priceを全面的に採用している。Fresh&Easy Neighborhood Marketのティム マーソンCEOが「徹底的にシンプルにすることで、すべての商品のEveryday Low Priceが可能となる」といっているように、イギリスのテスコとは全く違うコンセプト、アメリカの食品スーパーマーケット、そして、消費者を徹底的に研究した結果の現時点での結論といえよう。そして、これらを実現するための工夫としてあげられているポイントが4点ある。ひとつは、先にもあげたがPBであるFresh&EasyとNBをうまく使い分けていること、ふたつめは、棚の工夫をし、在庫管理をしやすくしたこと、3つめは商品化した生鮮食品を毎日配送、店内加工を極力減らしたこと、そして、4つめは環境にも配慮し、LED(発光ダイオード)を多用し、約30%のエネルギーを節約できたことなどである。

   さらに、Fresh&Easyのもうひとつのアメリカの食品スーパーマーケットと消費者の研究成果として最も如実に表れているのが、レイアウトといえよう。非常にユニークな約300坪のレイアウトであり、シンプルな中にも明確なコンセプトがいくつか感じられる。そのひとつは、店舗のネーミング、Fresh&Easyを表したゾーンとして、入口近辺のゾーニングである。店頭に入ると、正面に平台なしの青果が左右に配置され、右側エンドにはサラダコーナー、裏側には精肉、そのエンドはサンドイッチ、そして、ゴンドラはデイリー、飲料ゾーンが配置され、さらに店頭右がレジとなっている。すなわち、この入口近辺ですぐに食べたい商品がコンパクトに配置され、レジでの精算もすぐにできるように工夫されており、コンビニのようなゾーンといえよう。

   青果を抜けると正面に惣菜、プリペアードフードとなり、そこから壁面に牛乳、飲料、そして、パンが壁面展開となる。店頭から斜めに切って、左下半分がすべて即食ゾーンとなっているソーニングである。日本では、むしろ生鮮食品を重視するので、この斜めに切った左下は生鮮、グロサリーゾーンとなり、逆に右上が即食ゾーンとなるが、全く逆のレイアウトである。恐らく、アメリカでPI値分析をしてみると、この方が理にかなっているのかもしれないが、日本でも、今後、研究の余地が特に小型店ではあるといえよう。そして、青果と反対側の壁面は冷凍食品とアイスクリームとなっており、レジ側壁面は日用雑貨と薬、HBCとなっている。内側のグロサリーゾーンもこれらと連動する形で、青果側から、菓子、日用雑貨、グロサリーとなっており、エンドも主通路沿いにしっかりとったオーソドックスなレイアウトである。

   このようにテスコがアメリカで本格展開に入る食品スーパーマーケットの全貌が明らかになりつつあるが、きわめてユニークな約300坪タイプの即食、生鮮、惣菜、日配重視の商品構成であり、Everyday Low Priceを全面的に打ち出した食品スーパーマーケットであるといえる。これを数百店舗、わずか数年という短期間で全米に展開してゆく方針であり、スピード重視の経営戦略である。イギリスのテスコの最大の強みであるクラブカードの採用も当面はないといい、ここまで、過去の成功体験をスパッと切り捨て、アメリカというはじめての立地で、一から食品スーパーマーケットビジネスを組み上げた形であり、テスコの経営陣は実に懐が深いと思う。

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December 6, 2007 in 経済・政治・国際海外情報 |

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