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September 18, 2008

勝間本、決算書の暗号を解け、おもしろい!

   勝間和代さんの「決算書の暗号を解け!」(ランダムハウス講談社)を読んだ。222ページの本であるが、1日で読み終えた。会計の実務書としては実に分かりやすく、これを手引きに、実際の決算書を電卓を使いながら見てゆけば、まさに決算書の暗号を読み解けるのではないかと感じた。特に、第4章以下では実際の決算短信をもとに、アナリストの目線、会計士の目線、投資家の目線の3つの角度から、わかりやすく解説しており、しかも、事例に使われた決算短信が日本全国にSC、GMS、スーパーセンター、食品スーパーマーケット、コンビニ、専門店を展開する大手流通業のものだけに、改めて再認識するところが多々あった。勝間さんが公認会計士であり、アナリストであり、経営者でもあることから、決算書の解説本としては、この3つの視点がバランスよくブレンドされ、ほどよい味わいになったのが、わかりやすさ、読みやすさを引き立てたのではないかと思う。

   この本の目次だが、第1章、会計利益を信じてはいけない!、第2章、財務諸表はこう読み解く、第3章、インチキ利益を見抜くための下準備、第4章、アナリストの目線で全体のイメージをつかむ、第5章、会計士目線で財務諸表を読みこなす、第6章、投資家目線で判断する、という6章立ての内容である。はじめの3章が基本であり、後半3章が応用となっており、流通業界の方で、会計の基礎知識がある方であれば、いきなり、第4章の102ぺージから読み、そのあとで、前半3章を確認しても良いと思う。ちなみに、この流通業大手の決算短信事例は良い例として取り上げられているのではなく、どうも無理に利益をひねり出しているではないかという怪しい事例として取り上げられており、流通業、特に小売業の決算書を見る上において、注意すべき点をB/S、P/L、キャッシュフロー計算書からあぶりだしており、参考になる。また、取り上げたのは2007年2月期のものだが、その検証事例として、2008年2月期の決算短信を掲げているが、見事?に減益決算となり、株価は大きく下落したが、これについて、予想できたことであり、驚くことはないと、市場の方が前年の決算分析ができてなかったのではないかと解説している。

   この本で前半部分で特に参考になったのは、会計発生高 (Accounting accruals:アクルーアルズ)についての解説である。私も勉強不足ではじめて見る指標であり、数式は会計発生高=(当期純利益+特別損失-特別利益)-営業キャッシュフローであり、会計の利益と現金(キャッシュ)の利益との比較をし、利益の質を現金(キャッシュ)との比較で判断するというのがポイントである。会計発生高が大きい場合は現金(キャッシュ)よりも、会計の利益が大きくなるので、現金化されていない会計上の利益があると判断し、怪しいとみる。逆に、マイナスになれば、会計上の利益計上は現金化がしっかりなされていると判断し、利益の質は良いと見るという見方である。ちなみに、この本の中で、同じ利益の質を見抜く、指標として取り上げられていたのはROAである。ROAは経常利益÷総資産であり、このROAが、経常利益が上がっているのに、下がっていたら怪しいとみた方が良いという。都合の悪いものを資産に入れ、資産を無理にふくらませている可能性があるということで、ROAも利益の質を見る上において重要な指標であると解説している。

   さて、この本の流通業関係の方にとっての醍醐味ともいうべき、後半の実際の大手流通業の決算短信を使っての解説だが、まさに本の題名通り、この決算書の暗号を次々と解読してゆく。一番初めに目がいった箇所はキャッシュフロー計算書である。営業キャッシュフローが1,416.44億円であるのに対し、投資活動キャッシュフローが3,642.48億円とバランスを欠いている点だ。ここからQ1:どんな投資をしたか?という疑問になり、これが最終的に正しかったか否かという問題に発展し、結論としては、高い買い物をしたほどには買収の効果は出ていない。今後の展開を見守る必要あり!となってゆく。このQ1以外にも、Q2:ROAはなぜ下がったか?、Q3:売上高か営業利益のどちらかに無理があるのでは?、Q4:営業キャッシュフローはなぜ営業利益ほど伸びていないのか?、Q5:成長性の低い業界でどうやって8.8%もの売上増を達成するのか?、Q6:特別損失を出すようなことをする(している)のではないか?、Q7:買収が増収増益の主な要因なのか?、Q8:買収は正しい判断だったのか?という8つの疑問が提示され、これが推理小説を読むように解明されてゆくという内容になっている。

   このように、この本は読み始めた当初は、さらさらと読んでいたのだが、会計発生高のところにきて、立ち止まってじっくり考え、なるほどと思い、前半を読み終えた。後半は事例解説であるので、後日にしようかとパラパラめくっていたら、大手流通業の事例であることがわかり、しかも、この決算書の暗号解読が始まったので一気に読んでしまった。なかなか練られたストーリーになっており、決算書の本としては異色の本といえよう。久しぶりにおもしろい決算書の本に出会えた。

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September 18, 2008 in 経済・政治・国際 |

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