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December 09, 2008

ID-POS時代のマーチャンダイジングとは?

   いま、POSからID-POSへと急激に変化が生じている。それにともない、マーチャンダイジング手法にも変化が生じ、これまでの手法に新たな手法が開発されつつあり、数年後には、ID-POSのマーチャンダイジングがこれまでのマーチャンダイジングを凌駕し、新時代を築くのではないかと予想される。そこで、今回は現時点で、ID-POSにおける将来の新たなマーチャンダイジング手法を予想し、今後の動向をうらなってみたい。

   まず、最も変化するのはマーチャンダイジングの目的であろう。通常のPOS分析はレシート分析までが限界であり、レシート1枚当たりの売上をいかにあげるかがマーチャンダイジングの目的であった。いわば、微分の世界であり、レシート1枚当たりの瞬間的な数字を引き上げ、将来の数字を変化させることに主眼があったといえる。レシート1枚当りはわずかな変化であるが、そのわずかな変化でも、レシートが1億枚になれば、大きなボリュームとなり、莫大な利益をもたらすことになる。そのため、1円にこだわるマーチャンダイジングが基本となり、レシート1枚当たり1円をいかに上げるかが重要なマーチャンダイジングの目的であったといえる。

   これに対して、ID-POSの目的はレシートにもこだわるが、それ以上にIDにこだわるマーチャンダイジングであり、ID、すなわち、顧客一人当たりの売上をいかにあげるかが、その目的となる。微分に対して、積分の世界であるといえる。なぜなら、IDは時間とともに、レシート枚数が増加し、IDの売上をあげるとは、レシート当りの売上をあげつつ、それ以上にレシート枚数を増やすことにが目的となるからである。しかも、この時間がくせもので、1秒、1分、1時間、1日、1週間、1ケ月、1年、・・100年、・・と無限に続く時間があり、最終目的は、ID、すなわち、その顧客の一生涯となるからである。ID-POSの目的はその意味で、瞬間的なマーチャンダイジングを考えるのではなく、顧客の一生涯のマーチャンダイジングを考え、いかに顧客当りのレシート枚数を増やすかが、その目的であるといえる。これは、逆転の発想でもあり、仮に、レシート当りの売上が落ちたとしても、レシート枚数を増やせばいいではないかという発想も成り立ち、POSの世界の最重要目的であったレシート当りの売上をあげることは主目的ではなくなり、むしろ、レシート枚数を増やすことが重要な目的となる。  

   ここから、小売業の常々提唱してきた顧客志向の理念がマーチャンダイジングの目的と一致することになる。よくいう、FSPではなく、CRMという言葉の方がぴったりくることもわかる。FSPは政策的な要素が強いが、CRMは理念を示しており、いかに顧客との関係を良好に保つかがポイントであり、まさに、ID-POSの一生涯の顧客との関係を考えたマーチャンダイジングを実践するという手法と合致し、CRMの方が、ID-POSのマーチャンダイジングに近い言葉といえよう。

   では、POSとID-POSではその目的の違いが、これまでのマーチャンダイジング政策をどのように変えるかを考えてみたい。最も大きく変化するのが、価格政策であろう。これまでの価格政策はレシートに記載された商品に対する値引きしかできなかったが、ID-POSではIDへの値引き(還元)が可能となり、理論的にはIDごとの値引き(還元)が可能となる。いわゆる、PLU(プライスルックアップ)というPOSレジの基本技術である商品1品ごとの価格設定により、商品のバーコードをスキャンした瞬間に価格がルックアップする仕組みが、ID-POSではIPLU(IDプライスルックアップ)という仕組みが基本となり、IDコードをスキャンした瞬間にその顧客への特別還元の価格がルックアップする仕組みになることである。当然、粗利管理も商品ごとの粗利管理ではなく、顧客ごとの粗利管理となり、しかも、瞬間的な粗利管理ではなく、IDごとの一生涯を想定した粗利管理となり、顧客と商品との関係が深まれば深まるほど(レシートの枚数が増える)その商品の価格はその顧客特有のお得な価格となり、しかも、全体の粗利率は落ちないという結果になる仕組みといえよう。

   これ以外にも通常のマーチャンダイジング政策もこれまではレシート1枚当たりの売上をあげることにが目的であったが、今後はむしろレシートの枚数を増やすことが目的となるため、顧客が再度その商品を購入していただくにはどのようなマーチャンダイジング政策を考案すれば良いかを考えるようになり、プライスライン、品揃え、棚割、レイアウト、商品プレゼンゼンテーション、そして、POP、ちらし等の販促、すべてID-POS分析指標で再検証されることになり、何が最もレシートの枚数を増やすことに効果があったのかを競いあい、顧客との良好な関係を現場がID-POSデータを見ながら取り組んでゆくことになろう。

   このように、ID-POSの時代はまず、マーチャンダイジングの目的が根本的にかわり、レシート管理からID管理へと転換し、価格政策、粗利管理も180度変化し、さらには、これまでのマーチャンダイジング政策が全面的に再検証されることになるといえよう。数年後にはおそらく、現在の情勢を見るとID-POSの時代になると思われ、ID-POSが普及することにより、真の顧客指向を小売業が追い求める時代になるのではないかと思う。

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December 9, 2008 in 経済・政治・国際CRM、FSP |

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