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August 31, 2009

メーカー向けのセミナー開催、久しぶり!

   「スーパーマーケット、商談前の決算チェック、ここが提案ポイント」、というテーマでメーカー向けのセミナーの開催が決まりました。(株)日本マーケティング研究協会主催ですが、10/12、私が講師として、講演します。財務3表連環表を駆使し、メーカーの方が商談前にチェックすべき、決算内容をまとめ、具体的な提案に向けてのポイントを解説する予定です。今回のセミナーは、メーカー向けの内容ですが、小売業にとっても十分に参考になると思いますので、本ブログの左上、「セミナー開催」から、申し込みが可能ですので、是非、ご検討ください。

   さて、食品スーパーマーケットのための財務3表連環分析もVol.1が完成し、すでに本ブログを通じて、販売を開始し、無料解説版、「MD力って何だ!」もリリースしました。今後、より完成度を高め、内容の充実に努めたいと思いますが、今回のノウハウ開発を通じて、改めて、食品スーパーマーケットには食品スーパーマーケット特有の財務分析が必要であると実感しました。

   そもそも財務3表は何のためにあるのか、ということを突き詰めてゆくと、当たり前のことですが、その内容のひとつひとつの項目を見れば見るほど、投資家のためにあるということが明確になります。では、投資家は何のために財務3表を見ているのでしょうか。これも財務3表をみてゆくと、ただ一点、配当ということにつきあたります。財務3表は極めて大胆にその目的を断ずれば、投資家の配当を目的として作成されたものであるといえるかと思います。

   したがって、財務3表は投資家にとって、配当が可能かどうか、どのくらい可能か、しかも、長期に渡って可能かどうかを判断するためのものといえます。P/LもB/Sも、そして、CFもすべて、配当につながっているわけです。配当という観点から、財務3表を見ると、P/Lは今期の配当を、B/Sは長期に渡っての配当を、CFは、今期の配当の配分を示すものといえ、こういう観点で財務3表を見ると、財務3表は極めて合理的であり、無駄がなく、すっきりしているといえます。もちろん、まだまだ、今後、改善、工夫の余地はあると思いますが、財務3表は完成度の高い投資家のための配当を判断するためのもの、最良の判断材料といえるかと思います。

   では、この財務3表を食品スーパーマーケットの経営のために活用するにはどうしたら良いでしょうか。当然、このままでは、投資家の配当を判断するためのものとなり、食品スーパーマーケットの経営実態を把握し、経営改革につなげてゆくことにはならないわけです。では、どうすればよいか、そのひとつの答えが、今回、財務3表連環分析で示したように、食品スーパーマーケットのための財務3表を目指して、その視点を明確にして、財務3表を再構築することにあると思います。

  では、その視点は何か、当然、配当ではありません。配当は、投資家にとっては、最大の目的ですが、食品スーパーマーケットの経営にとっては、最大の目的にはならないからです。食品スーパーマーケットの経営の最大の目的は、何か、それは、商品と顧客の関係を最良に保ち、顧客を増やすこと、これ以外にありません。そして、これを食品スーパーマーケットの経営という視点で見ると、前者がマーチャンダイジング、後者が出店といいかえることができると思います。この観点から財務3表を見ると、財務3表が食品スーパーマーケットにとってのものとなり、はじめて、食品スーパーマーケットの経営にとって意味を成してくるといえます。

   たとえば、P/Lはマーチャンダイジング力を判断するためのもの、B/Sは出店余力を判断するためのもの、そして、CFは経営判断の成否を読み解くためのものというように再解釈するのです。財務3表は現状は投資家の配当の判断のためのものですが、ここに食品スーパーマーケットの経営の視点を入れ、財務3表を組み換え、連環させることによって、食品スーパーマーケットのための財務3表、まさに、財務3表連環表ができあがるのではないかと思います。

   ここで、財務3表の組み換えについて、ひとつ例を示すと、現状のP/L上では、マーチャンダイジングの実態を読み取ることはできません。マーチャンダイジングは経費と原価の関係を示す指標といえ、P/Lの売上高、原価、売上総利益、その他営業収入、経費、営業利益の項目を組み換えて原価と経費を直接つなげる必要があるからです。投資家の配当という目的では、このような組み換えはかえって無駄となりますが、食品スーパーマーケットの経営、マーチャンダイジングの実態を見るには必須となるわけです。

   このような組み換え、視点の転換はB/S、CFにもあり、その意味で、財務3表は、食品スーパーマーケットの経営実態を把握し、改革につなげてゆくには、食品スーパーマーケットの経営の視点を導入し、新たに項目を組み換えたり、場合によっては、新たな分析指標を作ることなどが必要となります。そして、さらに、この財務3表を一体としてとらえ、しかも連環させる原動力がCFにあるといえ、このCFに経営哲学、経営者心理が反映されているといえ、この視点からも財務3表は見直す必要があるといえます。

   今回のセミナーはメーカー向けのものですが、財務3表連環分析のVol.1が完成してはじめてのセミナーでもあり、ここで、財務3表連環分析の最新のノウハウをもとにメーカーのための商談への活用方法を提示したいと思います。また、今後、本ブログでも、この分析手法を駆使し、今後の中間決算、来期決算、そして、過去の決算についても取り上げてゆきたいと思います。

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August 31, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 30, 2009

ワインのPOPを考えてみる!

   日経MJ、8/28の記事に、「ワイン売り場の情報提供」という投稿記事が掲載された。シニアソムリエ、米野真理子氏の記事である。サブタイトルは、「難解な説明コメントは使わない」、「顧客の声を紹介し、親しみやすさを」、「ランキング手法を使うのも手」というものであり、ワインをいかに販売してゆくかのポイントが様々な手法を駆使して取り上げられていた。

   ワインについては、以前、チェーンストアエイジで、POSデータの詳細な分析にもとづくマーチャンダイジング政策を取り上げたことがあるが、今回の日経MJの記事にあるように、ワインはマーチャンダイジングだけでは解けない問題がある。マーチャンダイジングは一般に商品分析にもとづく、商品の売上げを上げるためのあらゆる政策のことであるが、ワインは、これに、顧客分析にもとづく、顧客からの売上げを上げる政策を強く打ち出す必要があるからである。これは、通常のPOS分析ではなく、ID-POS分析、すなわち、CRMの分野であり、この角度からワインはマーチャンダイジング政策を再構築する必要があり、マーチャンダイジングというよりも、マーケティングに近い政策が決め手となる独特な商品であるといえる。

   ワインは現状のPOS分析、家計調査データ等からも、独特な商品である事実がいくつも存在する。たとえば、先のチェーンストアエイジの記事の中で取り上げたPOS分析の時も、全国の食品スーパーマーケット約400店舗のワインの種類は4,000種類(SKU)を優に超え、しかも、客数PI値、すなわち、導入対象店舗の客数の割合が10%を超える商品はほとんどなく、最大でも30%を超えるかどうかである。ほとんどが、数%の世界であり、これは、各食品スーパーマーケットのワインの品揃えがいかにばらついているかを表しているといえる。このような食品スーパーマーケットのカテゴリーは、稀であるといえ、似たカテゴリーを探すと、焼酎、乙類が良く似ているといえよう。そう考えると、ワインと焼酎はマーチャンダイジング政策が良く似ており、単純なマーチャンダイジングでは解けない、マーケティング戦略が必要な独特な商品といえよう。

   また、家計調査データを見ると、ワインは客数PI値が10%を切り、このような客数PI値の低い商品はウィスキーぐらいであり、ワインはごく限られた顧客が嗜む商品であるといえる。ちなみに、この6月度の家計調査データの数字を見ると、8.1%であり、ウィスキーが3.3%であるので、ウィスキーよりは高いが、8.1%は90%以上、月に1回もワインを購入しない家計があるという数字であり、食品スーパーマーケットの取り扱い商品の中では極めて特異な商品であるといえよう。

   したがって、ワインは2つの角度からのマーケティング、マーチャンダイジング政策が必要といえる。ひとつは、食品スーパーマーケットに来店しても、購入しない90%以上の顧客に購入を促す、まさに、マーケティング政策である。そして、もうひとつは、一旦、ワインを購入した顧客に再度、リピート購入を促すマーチャンダイジング政策である。この2つの角度からのマーケティング、マーチャンダイジング政策がバランスよく展開されることが、ワインの売上を押し上げてゆくポイントであるといえよう。

   このような観点から、改めて、日経MJのワインの記事を読んでみると、はじめの方で、「今までワインに興味を持っていなかった方を取り込む仕掛けをつくる方が早道である」ということであり、これはまさにワインのマーケティング政策といえよう。具体的には、手書きPOP、顧客の感想POP、ワインランキングなどであるという。特に、このワインランキングは、まさにCRMの手法であり、通常のPOS分析が全体客数を分母にしたランキングしか示せないが、CRM、ID-POS分析では、様々な顧客を分母にし、ランキングを、それこそ無限に作れるといえ、このノウハウをいかに応用するかがポイントであるといえよう。

   また、記事の後半では、「購買履歴をデータベース化し、ポイントを絞ったDMで4割近いレスポンスを上げた」という内容が紹介されているが、これはまさに、CRMの独壇場ともいえ、これ以外にも、逆に、このデータをマーチャンダイジングに活かし、品揃えの活性化にいかにつなげるかもポイントであろう。ワインは重点商品に絞った途端に売上げが落ち、品揃えの売上げ構成比が50%を超える典型的なカテゴリーであり、いかに、4,000種類を超える品揃えの中から選び抜き、絶えず、品揃えを変化させるかもマーチャンダイジング上の重要な政策であるといえる。

   今回の日経MJの記事は、まさに、この独特なワインの売上げをいかに上げるかについての実践での貴重な事例が紹介されており、これに、CRM分析が加わると、さらに強力なワインのマーケティング、マーチャンダイジング政策ができあがるといえ、今後、ワインは、POS分析の進化とともに、新たなマーケティング、マーチャンダイジング政策が作られ、検証され、市場を拡大してゆくのではないかと思う。いずれ、機会があれば、ワインの詳細なCRM分析を試みたいと思う。

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August 30, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 29, 2009

現金と有利子負債のバランスを考えてみる!

   前回のブログで、ユニバースの2010年4月度の第1四半期決算を取りあげた。残念ながら、増収減益という厳しい結果であったが、この減益は前倒しでの積極投資を行った上での攻めの減益といえる。通常、食品スーパーマーケットで投資、ほとんどの場合が新規出店に向けての投資であるが、これが行われると、過度の場合は財務バランスを崩し、経営が悪化する場合があり、投資の際には慎重な経営判断が必要といえる。ユニバースの場合は、この点、慎重な経営判断がなされており、営業キャッシュフローを超える投資に対して、新たな借り入れを増やすことなく、自社の現金を取り崩して行っており、しかも、財務バランスを崩すことなく、自己資本比率もわずかであるが、上昇させている。このようなケースは稀であるといえ、強固な財務体質を持つ食品スーパーマーケットでなければできない経営判断であるといえよう。

   今期は、消費環境が急激に悪化し、食品スーパーマーケットを含め、業態間競争も激しさを増すことが予想される中、投資余力が改めて問われることになろう。投資余力がある企業は借入に頼らず、営業キャッシュフローで足りない分の投資資金を自社の現金を取り崩すことで、しかも、財務バランスを悪化させずに、可能となる。そこで、2009年度の本決算から、投資余力、すなわち、現金と有利子負債の差が大きい食品スーパーマーケット、逆に、厳しい食品スーパーマーケットを見てみたい。

   まず、現金であるが、財務諸表の中では、B/Sの資産の流動資産のトップにあり、現金及び預金がそれにあたる。食品スーパーマーケット上場企業および決算を公開している全54社の平均は総資産対比で7.7%である。したがって、7.7%以上の食品スーパーマーケットが平均以上ということになり、その食品スーパーマーケットを見てみると、アオキスーパー34.4%、大黒天物産32.0%、オーケー29.6%、オオゼキ25.9%、マックスバリュ東海24.7%、九九プラス24.1%、マルミヤストア21.6%が20%以上である。ついで、サンエー19.7%、ジョイス18.9%、ユニバース16.1%、ハローズ14.6%、マルキョウ13.9%、PLANT13.8%、カスミ12.2%、トライアルカンパニー11.9%、タイヨー11.6%、ヤマナカ11.6%、スーパーバリュー11.3%、ドミー11.1%、関西スーパーマーケット11.0%、原信ナルスH10.6%、ヤマザワ10.2%、マルヤ9.7%、北雄ラッキー9.5%、スーパー大栄7.9%となる。逆に、現金比率が低い食品スーパーマーケット、5.0%以下を見てみると、マックスバリュ北海道4.2%、エコス4.1%、Olympic3.8%、平和堂3.6%、マックスバリュ中部3.4%、イズミヤ3.3%、マックスバリュ東北2.9%、イオン九州2.8%、アークランドサカモト2.7%、マックスバリュ西日本2.6%、イズミ2.5%、天満屋ストア1.8%である。

   次に有利子負債の対総資産比率であるが、平均は27.9%であり、20.0%を下回る食品スーパーマーケットを見てみると、オオゼキ0.0%、マックスバリュ東海0.0%、ヨークベニマル0.0%、マックスバリュ西日本0.3%、アオキスーパー0.8%、東武ストア3.7%、サンエー4.4%、ヤマザワ5.2%、九九プラス7.0%、ユニバース8.9%、いなげや9.7%、アークス11.3%、大黒天物産11.9%、カスミ12.3%、ヤオコー14.9%、マルキョウ15.1%、マックスバリュ中部15.8%、マルミヤストア18.1%、オークワ19.0%、関西スーパーマーケット19.3%となる。逆に、50.0%を超える食品スーパーマーケットを見てみると、ドミー50.5%、マツヤ52.4%、スーパーバリュー55.2%、PLANT55.6%、天満屋ストア56.3%、マルヨシセンター62.8%となる。

   ここから、現金-有利子負債を求めてみると、プラスになる食品スーパーマーケットはわずか13社であり、しかも、平均は-20.2%であるので、食品スーパーマーケットの財務状況は全体としては、有利子負債に依存する財務構造であることがわかる。その中でも、負債依存度の少ない13社の食品スーパーマーケットは、アオキスーパー33.6%、オオゼキ25.9%、マックスバリュ東海24.7%、大黒天物産20.1%、九九プラス17.1%、サンエー15.2%、オーケー8.1%、ユニバース7.1%、ヨークベニマル 6.0%、ヤマザワ5.0%、マルミヤストア3.5%、マックスバリュ西日本2.3%、東武ストア1.8%である。ちなみに、イオンは-25.5%、セブン&アイHは-3.8%である。

   このような実態を見ると、今回、ユニバースが積極投資により、一時的な減益となり、キャッシュフローが逆流となり、財務キャッシュフローに頼らず、現金を取り崩して、投資を行い、さらに、有利子負債まで返済し、配当も出すということが可能であった背景には、この現金-有利子負債がプラスであり、しかも、10.0%近い余力があったからであるといえよう。この財務余力、現金余力とでもいう力がないと、このような逆流のキャッシュフローを財務バランスを崩さずに補うことは不可能である。

   今期、食品スーパーマーケット業界は後半以降、消費環境の改善は望みにくく、業態を超えた空前の価格競争が予想される。このような厳しい環境では逆流のキャッシュフローとなる食品スーパーマーケットが続出するものと予想されるが、そのような状況の中でも投資が可能な食品スーパーマーケットがまさに、現金余力であるといえよう。今期は、食品スーパーマーケットの現金、キャッシュの力が経営の盛衰を握るのではないかと思う。 

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August 29, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 28, 2009

ユニバース、2010年度、第1四半期決算、増収減益!

   ユニバースが8/21、2010年4月度、第1四半期決算を公表した。結果は、売上高242.35億円(104.5%)、営業利益6.65億円(-14.6%:売上対比2.74%)、経常利益7.02億円(-14.8%:売上対比2.89%)、当期純利益4.16億円(-14.5%:売上対比1.71%)となり、増収減益、しかも、利益はいずれの段階でも2桁減となる厳しい結果となった。ただ、この減益は、急激な消費環境の悪化を受け、前倒しでの新規出店等の積極的な投資を行ったためであり、攻めの減益といえよう。

   実際、ユニバースの通期予想を見ると、売上高1,026.53億円(107.4%)、営業利益35.06億円(103.5%:売上対比3.41%)、経常利益35.80億円(102.9%:売上対比3.48%)、当期純利益19.44億円(103.6%:売上対比1.89%)と増収増益予想であり、しかも、売上げも第1四半期の104.5%を超え、107.4%と増加予想、後半ドライブ型であり、前半は我慢の経営であるといえよう。ただ、消費環境はより厳しさを増しており、予想通り、増収増益を確保できるかどうか、今後の動向を見守る必要があろう。

   そこで、ユニバースのキャッシュフローを見ると、まず、投資キャッシュフローであるが、-8.5億円であり、昨年も-8.5億円であるので、投資キャッシュフローの総額は同じである。ただ、その中身は、出店にかかわる資産への投資、有形固定資産の取得による投資が7.3億円と昨年の3.2億円の2倍以上に増加しており、前倒しでの新規出店への投資がなされていることがわかる。一方、営業キャッシュフローは、当期純利益が減益となったため減少しているが、法人税等の支払額が昨年より減少したため、トータルでは5.3億円と、昨年の2.1億円よりも、増加している。ただ、投資キャッシュフローをカバーできてはおらず、結果、合計のフリーキャッシュフローは-3.1億円のマイナスとなり、逆流のキャッシュフローとなった。
   
   したがって、財務キャッシュフローでカバーするか、現金を取り崩すしかないが、財務キャッシュフローも-4.4億円のマイナスであり、トータル-7.5億円のマイナスと、現金を取り崩すこととなった。特に、財務キャッシュフローの中身を見ると、長期借入金の返済と配当を行っており、借入を増やしての投資という選択をとらず、現金を-7.5億円取り崩す選択を敢えてしているといえよう。

   このキャッシュフローの遣り繰りを見ると、この第1四半期は、いくつもの厳しい経営決断に迫られたことがわかる。投資キャッシュフローが営業キャッシュフローの範囲内で抑えられれば、フリーキャッシュフローがプラスとなり、その余力で財務キャッシュフローを補うこともできたと思われる。ただ、この第1四半期は予想以上に消費環境が悪化しており、前倒しでの新規出店への投資をせざるをえず、投資キャッシュフローが膨らんでしまい、結果、営業キャッシュフローでカバーできなくなってしまったといえよう。その営業キャッシュフローも、減益となったことにより、昨年よりも減少したことも、大きかったといえよう。

   そこで、そのマイナスをカバーするために、借り入れを起こすか、現金を取り崩すか、これも厳しい経営決断であったと思われる。実際は、現金を取り崩したわけであるが、その背景には、負債の有利子負債と資産の現金のバランスを見比べ、さらに、金融情勢、自己資本比率の改善による経営の安定度合いなど、様々な要素を勘案しながらの経営判断がなされたものと思われる。

   実際、ユニバースの現金を見てみると、この第1四半期決算直前、本決算時では58.76億円と総資産の16.1%である。この数字は食品スーパーマーケット上場企業の中では、その平均が7.7%であるので、トップクラスである。ちなみに、No.1は34.4%のアオキスーパー、No.2は32.0%の大黒天物産であり、No.3は、29.6%のオーケーである。ユニバースはちょうど10番目であり、現金はトップクラスである。一方、有利子負債であるが、ユニバースは、32.71億円で総資産の8.9%である。8.9%は食品スーパーマーケット上場企業の平均が27.9%であり、これもトップクラスである。ちなみに、オオゼキ、マックスバリュ東海、ヨークベニマルが0.0%である。結果、ユニバースは有利子負債の2倍の現金を保有しており、実質、無借金と同じといえ、しかも、食品スーパーマーケット上場企業の中ではトップクラスである。

   したがって、営業キャッシュフローで投資キャッシュフローを賄うことができなかったが、その分を借り入れで賄うことは必要ない財務状況といえ、現金を取り崩すという経営決断を行ったものと思われる。結果、自己資本比率は昨年の60.6%から61.5%へとわずかであるが改善しており、厳しい消費環境に対応すべく、前倒しで投資を行い、減益という厳しい決算結果となったにもかかわらず、財務バランスを崩すことなく、キャッシュをうまく循環させ、経営の安定をはかったといえよう。

   仮に、財務状況が脆弱であれば、このような前倒しの投資はできず、敢えて投資を強行すれば、財務バランスを崩し、経営が悪化することになる。その意味で、ユニバースのこの第1四半期は自社の強固な財務体質を前提とした積極的な経営決断であったといえ、財務バランスを崩すことなく、攻めの経営に打ってでたといえよう。今後、ユニバースが後半に向けて、さらにどのような経営決断を行うか、注目である。

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August 28, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 27, 2009

もうひとつのデシル分析?

   CRMの典型的な分析手法のひとつにデシル分析がある。デシルとは、容量の単位のデシリットルのデシと語源が同じであり、1Lを1/10に分けた単位から来ているように、デシル分析も顧客の購入金額を1/10に分けて、顧客のランクづけを行う分析手法である。何のためにデシル分析を行うかであるが、食品スーパーマーケットにおいて、デシル分析を行い、デシルごとに売上を見てみると、デシルの上位の顧客が大半を占めており、デシル下位の顧客の貢献度は圧倒的に低いことがわかり、顧客の重点管理が売上げアップに有効ではとないかと思われるからである。

   いわば、デシル分析は商品のABC分析に対する顧客のABC分析ともいえ、その応用が商品の単品管理であったように、個別管理、個人管理ともいえる手法である。当然、単品管理で培ってきたノウハウがすべて応用されることになり、A商品を重点管理し、C商品をカット、新商品を導入というように、この単品管理のサイクルを繰り替えし、商品の売上げを上げてゆくように、顧客も同様な手法で顧客の売上げをあげてゆくことになる。

   その具体的な手法のひとつが、デシル1の顧客のみに、何らかの特典をつけ、優遇することである。たとえば、ポイント還元率を、デシル1の顧客のみ高くし、デシル1の顧客を優遇し、他の顧客と決定的な差をつけたり、デシル1の顧客のみにDMを送り、何らかの特典を提供するなどである。こうすることによって、デシル1の顧客がより、固定客化され、さらに、デシル1の売上げが上がり、結果、店舗全体の売上げが上がるはずだという予想であり、信念である。

   ただ、この手法はCRMの分析システムを導入した企業は比較的簡単にできるため、実際に取り組んでいる食品スーパーマーケットも多いが、これまでのところ、芳しい結果が出ていないのが実態といえよう。また、食品スーパーマーケット側も、顧客側も何となく違和感があり、気が進まないという状況もあるようである。特に、日本の小売業は、「店は客のためにある」、「顧客は神様、平等である」という思想が強く、これが心にひっかかるということも大きいように思う。

   また、単品管理で取り組んだ、C商品カット、A商品の強化が行き過ぎ、商品の品揃えがA商品過多となり、縮小均衡に陥り、思ったほど、単品管理の効果が得られなかったという苦い経験もあるといえよう。その応用が、デシル分析であり、デシル分析の結果自体は事実であるので認めるが、デシル1を特別に優遇することに思い切って踏み込めないというのが実情のように思える。

   さらに、もうひとついえば、デシル分析は顧客へ直接アプローチする、典型的なCRMの手法であるが、食品スーパーマーケットの場合は、マーチャンダイジングという言葉が定着しているように、商品へのアプローチが見えないということもあり、顧客へのアプローチで商品の売上げが上がるのかという単純な疑問もあるようである。これまで、食品スーパーマーケットは創業以来、商品部を経営の中核組織に据え、商品戦略を中心に経営してきた歴史でもあり、CRMと商品政策とが一致せず、もっと、商品への踏み込みが欲しいというのがCRMへの大きな要望、裏返せば、不信感ともいうものがあるように思える。

   そこで、デシル分析を応用して、商品政策と一致させる方法はないのかということになるが、そのひとつの試みが、デシル1の顧客のみが購入する商品を抽出し、その商品をデシル1の顧客の重点商品とし、売場を通じて密かに訴求することである。これは、従来の商品部が選定する特売商品とは一線を画した商品であり、思いもつかないような商品が次々にピックされることになる。従来のPOS分析に基づく商品の販売データをいくら駆使しても抽出することは不可能な商品であり、CRM、すなわち、ID-POSデータからのみ抽出される商品であるので、次元の違う、異次元の商品がピックアップされることになる。

   ちょっと考えると、デシル1の売れ筋をピックアップすれば良いように思えるが、そこからピックアップされるのは、従来のPOS分析のA商品であることが多く、デシル1だけの購入商品はそう単純にピックアップできるわけではない。理論的には、ID金額PI値の高い商品ということになるので、全単品のID分析を行い、そこから、ID金額PI値の高い商品を抽出するか、デシル1の顧客の購入商品から、デシル2以下の購入商品を外してゆくということになり、ことはそう単純ではなく、また、簡単ではないといえる。

   ただ、このような商品がピックアップされた場合は、その商品にポイントをつけるなり、定期的に購入を促すために価格訴求をおこなったり、POPを付けてアピールするなり、様々な訴求をすることによって、商品を通じて、密かにデシル1の顧客にメッセージを送ることができ、ごく自然に、デシル1の方にとって、店舗が快適な買い物空間となってゆくことになる。これは、従来とは全く次元の違う商品分類を行うことでもあり、CRMデータにもとづく、商品分類の試みのひとつともいえよう。CRMはまだはじまったばかりといえ、食品スーパーマーケットでは、これから、様々なノウハウが開発されてくるものといえるが、顧客へ直接働きかけるだけではなく、商品、マーチャンダイジングにどこまで踏み込めるかが、今後の大きな課題といえよう。

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August 27, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 26, 2009

日経新聞、8/21、8/22、会社研究でイオン特集!

   日経新聞8/21、8/22の会社研究コーナーでイオンが取り上げられた。2回に渡って取り上げられた記事であるが、(上)の見出しは、「業績低迷、我慢の投資抑制」、「現金流出、5年で4,900億円」であり、(下)の見出しは、「低価格PBでテコ入れ」、「グループ戦略見直しも」である。また、記事の小見出しは、(上)が、「中国事業拡大見直し」、「銀行の黒字化遅れる」であり、(下)が「値下げ品目を拡大」、「PB比率15%目指す」、「国内最多の17上場子会社」である。

   そもそも、この特集が組まれた背景には、7/7に公表されたイオンの2010年2月期決算の第1四半期が、前期の本決算に続き最終赤字となったことにより、イオンの経営改革の方向性が拡大路線から既存店のテコ入れにカジを切りなおしたことへの検証があるという。実際、(上)では、見出し、小見出しのように、拡大路線の見直し、投資の抑制が取り上げられ、(下)では既存店活性化として、PB戦略が取り上げられており、最終的には、この秋に公表されるイオンの中期経営計画で、どれだけ、抜本的な経営改革に踏み込めるかが課題であるとまとめられている。

   記事の中では有利子負債の過去10年間の推移と、同様にフリーキャッシュフローの過去10年間の推移が連動して示されている。このグラフを見ると、2005年がイオンの転機となっており、ここを境に、フリーキャッシュフローはマイナスに転じ、これと軌を一にするように、負債が急激に増加し、一気に1兆円を突破しているのがわかる。しかも、記事では、2006年以降の大型投資案件が掲載されており、ダルボット600億円、オリジン東秀525億円、ダイヤモンドシティ688億円、マルエツ257億円、ダイエー514億円、CFC22億円と、これだけでも2,500億円を超えており、記事では、この5年間に4,900億円のキャッシュの流出があったという。

   企業経営において投資は将来を見据えた重要な経営戦略であるが、それがキャッシュフローの範囲内で行われていれば問題がないが、イオンの場合は主に有利子負債で賄ってきたことに問題があるといえる。しかも、これらの投資案件からの投資回収が遅れており、タルボットに関しては、債務超過となり、さらに500億円の貸し付けが生じているという。実際、2009年2月期の財務キャッシュフローを見ると、有利子負債の返済が-2,005.15億円、借り入れが3,954.46億円であり、差し引き、1,949.31億円の増加となっており、さらに有利子負債が増加しており、フリーキャッシュフローのマイナスを有利子負債で補っている状況である。

   財務的にはかなり厳しい状況になりつつあり、この苦境から脱却するには、営業キャッシュフローを確保し、投資キャッシュフローを抑制し、フリーキャッシュフローをプラスにもってゆくしかないといえ、まさに、この日経の記事が言及している通りであるといえる。ただ、小売業においては、投資=出店ともいえるくらい、新規出店が大きなウェートを占めており、イオンの2009年2月期の投資キャッシュフローを見ても出店関連が-3,671.44億円と、投資キャッシュフローの大半を占めており、ここを抑制することは、将来の成長が確保できないことを意味し、小売業にとっては致命的な問題をかかえることになる。

   一方、営業キャッシュフローを増やすには、当期純利益を増やすこことであり、そのためには、マーチャンダイジング力をいかに強化するかが課題となる。マーチャンダイジング力は売上高-原価-経費であり、イオンはこれに対し、日経の記事の(下)では、低価格PBでテコ入れすることを最優先課題としているという解説である。PBとは、マーチャンダイジング力の原価に当たるところであり、いわゆる粗利を見直す最大のマーチャンダイジング戦略ともいえる。

   ただ、イオンのマーチャンダイジング力の問題は、この2009年2月度のP/Lを見ると、マーチャンダイジング力は-8.5%であり、原価は71.7%、結果、売上総利益、粗利は28.3%である。一方、経費は36.8%であり、粗利よりも経費に構造的な問題があるといえ、これは、セブン&アイHの経費比率が31.0%であることを見ても明らかである。この経費構造をいかに見なすかが、マーチャンダイジング力を改善する最優先課題であるといえよう。もちろん、PB強化により、粗利を改善することもマーチャンダイジング力を高め、結果、営業キャッシュフローを増加させることにもなるが、同時に、経費構造の改善も避けて通れない課題といえよう。

   残念ながら、今回の日経の記事の中では、営業キャッシュフローの改善に関してはPBのみしか、言及されていなかったように思うが、イオンが根本的に解決しなければならない優先課題は、投資キャッシュフローを抑制し、営業キャッシュフローを増加し、フリーキャッシュフローをプラスにもってゆき、財務キャッシュフロー、特に、有利子負債の削減にあり、そのためにも、大本のマーチャンダイジング力の改善、特に、経費構造の抜本的な改革が最優先課題ではないかと思う。この秋に公表されるというイオンの中期経営計画に、経費構造の改革がどのように組み込まれるか、注目したい。

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August 26, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 25, 2009

コンビニ売上速報、2009年7月度、-5.0%!

   コンビニの売上げが予定(予想)通り?、大きく下がった。この7月度は、-5.0%(95.0%)となった。既存店はさらに、落ち込みが大きく、-7.5%であり、日経新聞8/21付けでも報じられているように、この数字を公表している(社)日本フライチャイズチェーン協会が統計を取り始めた平成10年(1998年)12月以来、最大の落ち込であるという。実際、平成10年(1998年)12月以降の公表データを見てみると、この7月まで139ケ月間あるが、マイナスになったのは、わずか10回(月)であり、この7月度が11回目のマイナスの月であり、コンビニがこの10年間、右肩当たりのトレンドであったことがわかる。

   この7月、売上が大きく落ち込んだ要因は大きく2つある。ひとつは昨年7月度が猛暑であり、過去139ケ月で最高の伸び率14.0%(既存店11.7%:過去最高)であったことに対し、今年が、曇りや雨の日が多く、日照時間が少なかったことである。そのため、コンビニの主力商品であるアイスクリーム、ソフトドリンク、冷やし麺などの夏物商材が不調になったことが大きく売上げに響いたという。そして、もう一つは、taspo効果が一巡し、taspoによる客数増が望めなくなったことである。

   そこで、その数字的な裏付けを探ってみると、客数が-2.3%(既存店-4.5%)、客単価が-2.8%(既存店-3.1%)となっており、客数、客単価ともにダウンしており、ダブルでの数字ダウンが売上げを押し下げていることがわかる。さらに、商品別に売上げの状況を見てみると、加工食品が-11.8%、日配食品が-5.4%と、この2部門の落ち込みが大きく、taspoと関係するたばこの入った非食品は+1.8%と、依然としてプラスとなっており、商品で見た場合は、先の夏物商材の影響が大きかったといえよう。日経新聞では個々のコンビニの数字も掲載されており、セブンイレブン・ジャパンが-5.5%と1年4ケ月ぶりに前年割れ、ローソンが-8.7%、ファミリーマートが-7.3%と、いずれもコンビニの平均以上に落ち込みが大きく、大手ほど、この7月は苦戦したことがわかる。

   問題は、この傾向が来月以降も続くのかどうかであるが、昨年の7月がtaspoと猛暑というダブルでの売上増となり、異常値であったといえ、8月度も同様な数字となるかは微妙な状況といえよう。単純に計算してみると、昨年7月度は14.0%の伸びで、今年は、-5.0%であるので、差し引き、今年は、一昨年と比べると9.0%伸びている状況である。そして、昨年の8月が7.5%であるので、仮に、来月8月度がこの7月同様、一昨年の9.0%で落ち着けば、差し引き1.5%のプラスとなることが予想される。もちろん、天候等の不確定要因があるので、単純には予想できないが、この厳しかった7月度の状況から見ると、8月度は横ばいかプラスになる可能性もあるといえ、ここまで落ち込むことはないといえよう。したがって、来月以降は微増か微減となる可能性が高いといえ、この7月度が特に異常値と見た方がよさそうである。ただ、いずれにせよ、taspo効果は一巡したのは確かといえ、今後、コンビニは、taspoに変わる新たなマーケティング政策が必要といえよう。

   ところで、taspo効果とは客数か客単価、どちらに効果があったかといえば、明らかに、客数である。この1年間の客数の伸び率と客単価の伸び率を月別に見てみると、まず、客数は7月13.9%、8月5.6%、9月8.1%、10月9.5%、11月8.6%、12月9.5%、1月10.0%、2月6.0%、3月7.2%、4月8.7%、5月4.6%、6月 4.9%、7月-2.3%という状況である。これに対して、客単価は、7月0.1%、8月1.8%、9月0.7%、10月0.9%、11月1.2%、12月-0.9%、1月-0.4%、2月-1.2%、3月-0.7%、4月-2.0%、5月-1.4%、6月-3.8%、7月-2.8%という状況である。これを見比べる限り、明らかに、taspo効果は客数に表れており、客単価への押し上げは、一部商品では効果があったが、全体へのインパクトはなかったと判断せざるをえない結果である。

   したがって、taspo効果による次のマーケティング政策は、大きく2つにわかれてくることになろう。ひとつは、taspoにより、伸び悩んだ客単価の見直しをはかることであり、もうひとつは、taspo効果が見込めなくなった客数をどう増やすということであろう。

   ただ、客単価はコンビニの現状の商品構成では中々上げるのは難しい段階にあるといえる。平成11年度(1999年)からの、年間の客単価の推移を見てみると、平成11年(1999年)-0.8%、平成12年(2000年)-2.2%、平成13年(2001年)-1.6%、平成14年(2002年)-1.8%、平成15年(2003年)-1.5%、平成16年(2004年)-1.2%、平成17年(2005年)-1.1%、平成18年(2006年)-0.5%、平成19年(2007年)-0.8%、平成20年(2008年)0.5%、という状況である。

   この数字を見る限り、今後、客単価を上げるのは至難の業であり、逆に、客数を上げる方が、対taspo対策としては、現実的であるように思える。ただ、既存店の客数を上げるのは、客単価同様に難しいことが予想されるので、恐らく、今後は新規出店、M&Aにより新たに店舗数を増やす方向に各社は動かざるをえないのではないかと予想される。したがって、競争激化はさらに激しさを増し、結果、業界再編へとつながるのではないかと思われる。結果、taspoにより一時、休戦状況であったコンビニ競争が今後ますます深刻になるのではと懸念される。まずは、来月、8月がどのような数字となるか、注目である。

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August 25, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 24, 2009

食品スーパーマーケット売上速報、2009年7月、100.4%!

   食品スーパーマーケット上場企業、24社の2009年7月度の売上速報を集計した。コンビニほどではないが、単純平均で100.4%と、厳しい結果となった。ここ最近の数字は6月度101.3%、5月度104.9%、4月度102.2%、3月度101.5%、2月度102.3%、1月度104.7%という状況であり、昨年の7月度が106.7%であるので、昨年がやや高かったこともあるが、今年に入り、最低の伸び率、しかも、昨対ぎりぎりと厳しい数字となった。客数、客単価まで公表している食品スーパーマーケットは、この内、10社あるが、客数は103.1%、客単価が98.1%であるので、客単価の落ち込みが大きいといえ、消費環境が一層厳しくなっているといえよう。

   特に、既存店の数字が厳しく、96.0%であり、既存店を公表している食品スーパーマーケットは23社あるが、昨対を超えたのはスーパーバリュー101.4%と、オオゼキ102.2%のみの2社であり、残り、21社は既存店が昨対を切るという厳しい結果である。食品スーパーマーケット業界も、ここへきてこれまで堅調であった売上げに陰りが見え始めたといえ、今後、後半戦に向け、マーチャンダイジング戦略を再検討する必要があろう。折しも、大手GMS、西友、イオン、セブン&アイH等があいついで、ディスカウント路線を鮮明にしており、食品スーパーマーケット業界としても、ますます価格競争が進むものといえ、客数はともかく、客単価の確保が厳しくなり、当面、厳しい経営が続くものといえよう。

   このような厳しい状況の中で、110%以上の売上を達成した食品スーパーマーケットが2社ある。スーパーバリューと、マックスバリュ東海である。スーパーバリューは、ここへ来て、順調に新店をオープンしており、この7/1にも東所沢店をオープンさせ、結果、7月度は119.9%と断トツのトップの伸び率となった。既存店も先に見たように、101.4%と堅調な数字となっており、食品スーパーマーケット+HCのコンビネーションが好調な要因のひとつといえよう。また、マックスバリュ東海も112.1%と好調であり、昨年8/1にシーズンセレクトを吸収合併した効果が継続しているのが、その要因である。ただ、既存店は93.2%と伸び悩んでおり、来月度は合併効果が一巡するので、112.1%の伸び率は期待できず、来月以降、どのように売上げを確保するか課題となろう。

   この好調な2社についで、105%以上、売上げを伸ばした食品スーパーマーケットが2社ある。ハローズとオオゼキである。ハローズは107.0%と、ここへ来て、4月にハローズ岡南店、6月にハローズ花尻店とあいついで新店を出店しており、これが寄与し、好調な数字である。ただ、既存店は94.2%と厳しい数字となっており、既存店の客数が95.0%となり、既存店の動向が気になるところである。一方、オオゼキであるが、105.3%と好調な売上げであり、4月に久しぶりに新規オープンした市川店の貢献が大きいといえよう。ただ、既存店も102.2%と堅調な売上げを維持しており、今回の集計24社の中では最も安定した結果であるといえる。

   以下、この7月、100%以上の食品スーパーマーケットを見てみると、ユニバース104.3%(既存店99.5%)、ダイイチ103.7%(既存店95.7%)、カスミ102.4%、ヤオコー101.4%(既存店99.8%)、マックスバリュ西日本101.4%(94.7%)、CFSコーポレーションSM部門101.0%(既存店96.1%)という状況であり、いずれも、新店効果による売上増であり、既存店はすべて、昨対を割っている状況である。

   これに対して、売上が大きく伸び悩んだ食品スーパーマーケットは、奇しくも、アークランドサカモトとPLANTがワースト1、2となり、ホームセンター、スーパセンター関連の業態が厳しい状況となった。アークランドサカモトは90.1%と大きく売上が落ち込み、既存店も94.3%となった。PLANTも94.4%、既存店も95.0%と厳しい結果であり、食品よりも住関連商品の落ち込みが、特に、この7月度は大きかったようである。

   これ以外ではエコス94.8%(既存店97.3%)、トーホー95.2%(既存店95.5%)、Olympic95.5%(既存店94.7%)、マックスバリュ北海道96.2%(既存店91.7%)、イズミ96.8%(既存店94.3%:推定)、マルエツ97.4%(既存店95.8%)、九九プラス98.1%(既存店97.3%)、マックスバリュ東北98.2%(既存店96.9%)、いなげや98.4%(既存店94.6%)、ヤマザワ98.8%(既存店95.9%)、バロー99.1%(既存店93.6%)、そして、マックスバリュ中部99.3%(既存店93.8%)という結果であった。これらの食品スーパーマーケットは、いずれも既存店が95%前後と厳しい状況であり、この7月度は全体はともかく、既存店が特に大きくダウンしたことが売上げダウンの大きな要因といえよう。

   このように、この7月度の食品スーパーマーケット業界の数字は、これまでになく、厳しい数字となり、ここ最近では見られない、昨対ぎりぎりの数字となった。ただ、この中でも、順調に新店を出店するか、M&Aにより、店舗数を増加させた食品スーパーマーケットの数字は好調であり、新店を出店できる出店余力が成長の明暗を分けたといえよう。当面、食品スーパーマーケット業界は厳しい消費環境が続くと思われ、来月以降も予断を許さない厳しい経営環境が予想される。今後、このような厳しい経営環境の中で、各食品スーパーマーケットがどのような経営戦略を打ち出すかに注目である。

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August 24, 2009 in 経済・政治・国際, 食品スーパーマーケット売上速報 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 23, 2009

下位ランクから見る日経MJ新製品週間ランキング!

   日経MJ新製品週間ランキングが8/21公表された。これまで、本ブログでは、ランキングの上位をAランク金額PI値500円、Bランク金額PI値300円、Cランク金額PI値200円と分け、特に、金額PI値500円以上は無条件で定番化しても問題はない顧客からの高い支持があり、通常の定番でも十分に重点商品として、強化すべき商品であると推奨してきた。逆に、Cランク以下は、厳しい数字であり、今後、定番化するのはかなり、難しいのではないかと、あまり、取り上げることはなかった。そこで、今回は、逆に、Cランク以下、すなわち、下位の新製品を中心にランキングを見てみたい。

   下位の商品といっても、日経MJで取り上げる新製品は飲料がベスト20、菓子がベスト20、冷凍食品がベスト20、その他食品がベスト20、そして、家庭用品がベスト10のみを公表している。当然、新製品の数は、これですべてではなく、これはほんの一部でしかない。逆にいえば、新製品の中のベストランキングでもあり、ここに掲載されている新製品は、新製品の中でも極めて高い金額PI値であといえる。そこで、その水準がどのくらいの数値であるかを今回は確認してみたい。

   まず、飲料であるが、20位がアサヒ飲料、十六茶とうもろこしブレンド490mlであり、金額PI値は78円である。カバー率も26.4%と、対象49チェーン250店舗の1/4ほどであり、8/8、初登場でもあり、まだまだ、導入が始まったばかりである。平均単価は93円であるので、PI値を逆算すると、金額PI値78円÷平均単価93円=0.083%であり、平均的な食品スーパーマーケットの1日の客数2,000人をかけると1.66個となる。この数字が高いか低いかであるが、一般的にグロサリーのカット基準を考えた場合、PI値0.05%、すなわち、1日2,000人の客数で1個ぐらいが目安といえるので、PI値0.083%は十分、品揃えに加えて良い水準ではあるが、カバー率が26.4%であり、もう少し、多くの導入店舗での検証結果が欲しいところである。

   次に、菓子であるが、20位がバンダイ、極めろシンケンジャーラムネ菓子1個付であり、玩具菓子である。金額PI値56円、カバー率は39.6%、平均単価は288円と、やや高めである。バンダイはここへ来て、新製品をあいついで投入しており、19位に、ポケモンキッズDPぜんこく図鑑版4ラムネ菓子1個付き、金額PI値56円、18位に、なりきりプリキュアフレッシュアイテムラムネ菓子1個付、金額PI値57円、そして、10位、ベスト10にミニプラ侍合体イカダイカイオーラムネ菓子1個付、金額PI値80円であり、この4つが、菓子ベスト20に入り、すべて、ラムネ菓子付である。しかも、10位は金額PI値がやや高いが、その他3品は金額PI値がほぼ同じであり、50円強である。

   金額PI値が50円まで下がると、やや、金額PI値の水準が低くなり、定番化が厳しくなるが、この新製品は1品1品で見るよりもまとめて品揃えの幅を増やすことがポイントといえ、金額PI値50円が安定的な数字であれば、セットで考えてみた方が良いといえよう。4つ合わせたセットの金額PI値は249円となり、Cランクをクリアーするので、1品1品の安定度を見てセットで導入を検討することがポイントである。

   ついで、冷凍食品であるが、20位は森永乳業、エスキモー「Fami(ファミ)バニラ&苺」50ml×10本、金額PI値33円である。カバー率も21.6%と低く、この数字はかなり厳しい数字といえよう。19位も金額PI値40円、加ト吉、和風ふっくらオムレツ128gであり、厳しい数字である。やはり、先にも見たように、できれば、金額PI値50円以上は欲しいところである。また、その他食品であるが、20位は敷島パン、十勝バターキャラメルスティック6本入り、金額PI値81円であり、その他食品は日配、グロサリー混在しているが、ベスト20でも金額PI値50円を超え、全体として、飲料同様、新製品の水準が高いといえよう。カバー率も43.6%とまずまずの数字であり、定番化しても安定した数字が確保できそうである。

   そして、最後が家庭用品であるが、ベスト10までであるが、10位がユニリーバ・ジャパン、ラックススーパーリッチシャインコンディショナーつめかえ10%増量品420ml、金額PI値81円である。家庭用品としては、まずまずの数字といえ、カバー率も42.0%とベスト10の中で2番目に高く、カバー率は家庭用品としては高い数値といえよう。

   以上が、全部門の下位ランクの新製品週間ランキングの実態であるが、下位ランクといっても、現状の新製品の中ではベスト10、ベスト20の新製品であり、いかに、金額PI値を一定水準に持って行くか、しかも、ある程度のカバー率を達しての安定した数値を維持するのが難しいかがわかる。おしなべて、この数字をみると、金額PI値50円が定番化されるかどうかの、ぎりぎりの水準といえるのではないかと思う。しかも、その数字が不安定な数字ではなく、ある程度、カバー率が高い水準での数値が望ましいといえよう。金額PI値は低くとも、カバー率が高ければ、一定の顧客層からの支持を獲得したと推測でき、新製品がある一定の顧客層に受け入れられたと判断できるからである。今後は、金額PI値が高い新製品だけでなく、今回のように、金額PI値は低いが安定した数字を獲得した新製品にも注目して、ランキングを見てゆきたい。

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August 23, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 22, 2009

オオゼキにつぐ、食品スーパーマーケット業界のMBOは?

   オオゼキのMBOが動き出した。MBOとはマネジメントバイアウトのことであり、経営者自らが自社の株を買い取り、資本と経営を一体化させることである。一般に、MBOが行われる要因としては、敵対的な買収に対しての対抗策とか、思い切ったリストラが必要となり、株主に長期に渡り配当が出せなくなる場合などのケースが多いといえるが、オオゼキの場合はどちらにもあたらず、上場食品スーパーマーケットNo.1の経営指標を誇り、最高の業績ともいえる状況でのMBOといえ、異質なケースといえよう。

   ただ、やや見方を変えれば、敵対的な買収に対しての対抗策ととれないこともない。オオゼキの創業者であった佐藤達雄氏が亡くなって以来、その持ち株が相続により、分散したため、何か、不測の事態が発生した場合は、オオゼキの経営権が一部移動し、さらに、そこからTOBがかかった場合は、オオゼキの買収が可能となってしまうからである。したがって、この不測の事態を避けるためには、TOB対策をはかることも重要ではあるが、根本的にこの問題を解決するには、再度、分散した株式をまとめ、さらに、一般株式まで買い取ってしまえば、TOBの可能性は極めて低くなるからである。

   オオゼキの今回のMBOはこのようなことも考えられるが、実際には、オオゼキがMBOのお知らせで説明しているように、「上場デメリットがメリットを上回った」、特に、株式市場からの資金調達の意義ながなくなったということが大きいように思う。そこで、改めて、現在上場している食品スーパーマーケットで「上場デメリットがメリットを上回った」企業がどのくらいあるのかを見てみたい。場合によっては、その中から、今回のオオゼキに続く、MBOを実施する食品スーパーマーケットがあらわれるかもしれないからである。

   まず、資本市場から資金調達が必要な状況に経営があるとはどういうことであろうか。それは、純資産の範囲内で出店が賄われてないケースをまずあげることができる。なぜなら、食品スーパーマーケットにおいて最重要な経営戦略は出店といってもよく、新規出店が、経営の規模を拡大し、株主の配当を増やす最大の手法だからである。したがって、その出店戦略が純資産の範囲内で賄われていない経営状況の場合は、成長戦略を維持するためには、負債を増加させるか、純資産を増加させるか、どちらかしかなく、できれば、負債に頼ることなく、純資産の範囲内で出店を行いたいところである。そして、そのためには、マーチャンダイジング力を強化し、純利益を増やすか、資本の増強を行い、資本金を増やすことになり、この資本金を増やすことが、まさに、上場メリットといえ、株式の増資による資金調達といえる。

   したがって、MBOの起こる可能性の高い食品スーパーマーケットは資金調達が資本市場から必要のない、純資産の範囲内、さらに、純利益、すなわち、キャッシュフローの範囲内で安定的に新規出店が可能な食品スーパーマーケットであるといえる。このような条件を見たしている食品スーパーマーケットは、出店余力が高く、営業キャッシュフローが高く、さらに、マーチャンダイジング力の強い食品スーパーマーケットであるといえる。そこで、まず、出店余力0%以上の食品スーパーマーケットを見てみてみると、ヨークベニマル29.4%、オオゼキ28.7%、マックスバリュ東海16.6%、東武ストア11.2%、大黒天物産9.8%、サンエー7.9%、アオキスーパー7.8%、いなげや6.8%、九九プラス5.4%となる。

   次に、この中で、上位2社のヨークベニマルとオオゼキを除き、営業キャッシュフローが高い順に見ると、サンエー119.44億円、マックスバリュ東海61.50億円、いなげや47.91億円、大黒天物産40.97億円、東武ストア32.98億円、アオキスーパー28.91億円、九九プラス22.65億円となる。さらに、マーチャンダイジング力を見てみると、大黒天物産4.9%、サンエー3.4%、東武ストア2.6%、マックスバリュ東海1.7%、アオキスーパー-0.2%、いなげや-1.6%、九九プラス-1.8%となる。また、これらの食品スーパーマーケットの有利子負債の比率を見てみると、マックスバリュ東海0.0%、アオキスーパー0.8%、東武ストア3.7%、サンエー4.4%、九九プラス7.0%、いなげや9.7%、大黒天物産11.9%となる。

   こう見ると、アオキスーパー、いなげや、九九プラスは、マーチャンダイジング力がマイナスであり、さらに、九九プラス、いなげやは有利子負債が多く、上場メリットをいかし資本市場から資金調達を行い、経営基盤を強化した方が良いように思える。また、大黒天物産の有利子負債がやや多いのが気になるが、出店余力は高く、マーチャンダイジング力も高く、本来、借り入れに頼ることなく、かなりの新規出店はできる財務余力があるといえる。したがって、マックスバリュ東海、東武ストア、大黒天物産、サンエーは資金調達という観点から見ると上場メリットはオオゼキ同様かなり弱いといえよう。

   今回のオオゼキのMBOは企業経営と資本調達という株式会社の根本を問うている問題といえ、株式市場としては優良な企業の上場を促したいところであるが、逆に優良企業にとっては資金調達を目的とした株式上場はメリットは薄いといえる。そう考えると、今後は優良な企業から株式市場を去ってゆくことも考えられ、まさに、今回のオオゼキはMBOにより、株式市場を卒業したといってもよいといえよう。今後、優良食品スーパーマーケットが株式市場をどう評価するか、まずは、先に上げた資金調達というメリットが弱くなった企業の今後の動向に注目である。

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August 22, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 21, 2009

オオゼキ、MBOはじまる、卒業!

   オオゼキが、8/14、「MBO の実施及び応募の推奨に関するお知らせ」を公開した。公開買い付け価格は3,750円であるが、8/14からの株価の推移は、8/14(3,010円)、8/18(3,710円)、8/19(3,710円)と、翌日には、買い付け価格3,750円の手前まで跳ね上がっており、売買高も、8/14(5,000株)、8/18(166,700株)、8/19(347,800株)と、急激に増加している状況である。公開買い付け期間は、平成21年8月18日(火曜日)から平成21年10月1日(木曜日)まで(30営業日)であり、このまま、順調に買い付けが進めば、オオゼキは上場廃止となる。

   今回のMBOはオオゼキの全株式を対象としており、11,704,080株であり、上限は設けておらず、下限が8,332,190株(71.1%)である。仮に、全株取得となると、その金額は438.903億円となる。オオゼキはこのMBOにあたって、代表取締役会長兼社長の石原坂寿美江氏が7/17付けで、ひまわり株式会社を設立しており、ここがMBOの受け皿になるという。金融機関からも、最大450億円の融資を受けることが決まっており、オオゼキが連帯保証人となり、さらに、オオゼキの一定の資産等を担保に供することもあるという。まさに、オオゼキと一体となったMBOのための会社である。

   ちなみに、MBOの下限となった8,332,190株の根拠であるが、まず、自己株式(946,920 株)、次に大株主の石原坂寿美江氏が保有する株式(3,000,000 株)、石原坂多聞氏が保有する株式(155,500株)、佐藤由美氏が保有する株式(1,804,800 株)を控除した株式数(6,743,780 株)の2分の1に相当する株式数(3,371,890 株)に、石原坂寿美江氏が保有する株式(3,000,000株)、石原坂多聞氏が保有する株式(155,500 株)、佐藤由美氏が保有する株式(1,804,800 株)を加えた株式数が8,332,190 株となるとのことで、これを下限としたという。結果、71.1%となり、2/3を超える株式数となる。また、MBO後には、上記、大株主は、合計、約163 億円を公開買付者に出資する予定であるという。

   以上が、オオゼキのMBOの概要であるが、では、オオゼキがなぜこの時期にMBOに踏みきったのかであるが、最大の理由は、「今後も継続して株式を上場することにより得られるデメリットがメリットを上回るものと考え、この点からも、マネジメント・バイアウトの手法が当社の中長期的な企業価値の向上にとって最善の手段であると考えるに至りました。・・」とのことであり、上場デメリットがメリットを上回ると判断したことにあるという。

   では、そのデメリットは何かであるが、「企業の内部統制(J-SOX)や四半期決算への対応など、近年の度重なる法制度の改正等により、資本市場に対する規制も強化されており、株式の上場を維持するために必要なコスト(株主総会の運営や株主名簿管理人への事務委託に要する費用、金融商品取引法上の有価証券報告書等の継続的な情報開示に要する費用等)は、今後、益々増大することが見込まれる」とのことである。

   これに対して、メリットであるが、「エクイティ・ファイナンスによる資本市場からの資金調達、知名度の向上による優れた人材の確保、取引先に対する社会的な信用力の向上等、上場企業として様々なメリットを享受してまいりました。・・」とのことであり、その最大のメリットが資金調達にあったといえよう。ところが、オオゼキも、「現在の当社の財務状況等からは、当面はエクイティ・ファイナンスによる資金調達は見込まれず、・・」と説明しているように、上場の最大のメリットの資金調達が必要なくなったことが大きかったようである。

   したがって、MBOによって、「公開買付者が全ての当社普通株式を取得し、実質的に資本と経営を一体とする、・・」ことができれば、上場メリットよりも、デメリットが大きく上回り、上場している意義がないと判断したものといえよう。

   実際、オオゼキの現在の純資産比率は77.3%であり、有利子負債は0円、無借金経営であり、しかも、以前、ブログでも解説したが、出店余力は28.7%、上場食品スーパーマーケットNo.1である。さらに、営業キャッシュフローの範囲内で最大7店舗は新規出店が可能な財務状況であり、エクィティファイナスによる資金調達は全く必要なく、むしろ、逆に、資金を融通できる状況でもあるといえる。であれば、MBOにより、資本と経営を一体化させたいという強いニーズが発生してもおかしくないし、事実上、資本の意義が薄れていた状況といえよう。また、営業キャッシュフローの大本となる、マーチャンダイジング力もオオゼキは上場食品スーパーマーケットNo.1の6.7%であり、当期純利益は売上対比4.7%で、これも上場食品スーパーマーケットNo.1である。要は、キャッシュを生み出す力が上場食品スーパーマーケットNo.1であり、まさに、財務の連環が最高の早さで、最大の効率で回っているということであり、そこに、外部からの資金の入る余地、スキがない状況にあったといえる。

   その意味で、今回のオオゼキのMBOは極めて前向きのMBOといえ、資本主義制度の最大のメリット、株式を発行し、広く投資家から資金を集め、会社を設立し、事業を行い、株主にその利益を還元するという株式会社の仕組み、そのものからの卒業ともいえよう。今後、オオゼキの経営が非公開となるので、その実態がベールに包まれることになるが、オオゼキが株式公開後残した経営データは、あらゆる数値が上場食品スーパーマーケットNo.1を示しており、食品スーパーマーケット業界としては、最良の企業として、学ぶべき貴重な経営の成果を残してくれたといえよう。オオゼキが非上場になっても、この貴重な成果は生きており、今後、このオオゼキの数値を上回る食品スーパーマーケットの出現を期待したいところである。

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August 21, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 20, 2009

オリンピック出店再開と出店余力の現状!

   8/19の日経MJで、オリンピックの出店再開の記事が掲載された。「オリンピック、出店再開、2年半ぶり、東京・港にDS」、「財務体質の改善一段落」という見出しの記事である。オリンピックはハイパーマーケットを主力業態とし、首都圏に46店舗の食品スーパーマーケットを展開するディスカウントストアであり、他にホームセンターも20店舗近く展開しているが、2年半ぶりの新規出店をこの9月、10月とあいついで、実施するという。一般に食品スーパーマーケットが新規出店を果たすには、財務的な裏付けが必要であるが、記事によれば、財務体質がここ数年のリストラで改善したとのことで、再び、新規出店により、成長軌道に乗せるとのことである。

   そこで、オリンピックの2009年度2月期決算をもとに現状の出店余力から改めて、特に、新規出店という観点からオリンピックの現状を見てみたい。オリンピックの出店余力、すなわち、純資産-土地、建物、敷金・保証金等の合計は-26.2%である。この数字が高いか低いかであるが、上場食品スーパーマーケット約50社の平均が-22.9%であるので、平均よりもやや低い数字であり、ちょうど30番目となる。本ブログでも何回か取り上げているが、トップはヨークベニマルの29.4%、No.2がオオゼキの28.7%であり、この2社は食品スーパーマーケットの限界に近い数値であるが、平均が-22.9%であるので、オリンピックはほぼ平均に近い数字といえよう。

   ただ、オリンピックはハイパーマーケットが主力業態であり、全体としてもディスカウント業態といえる。そのため、通常の食品スーパーマーケットと比べ、在庫が極端に多く、総資産比率を計算すると、15.0%と極端に高い数字となる。食品スーパーマーケットの平均が5%前後であるので、約3倍の数字である。ちなみに、アークランドサカモトが17.0%、PLANTが20.0%であるので、まさに、ホームセンターに近い数値であり、オリンピックの出店余力を見るには、この在庫も加えた方が良いといえよう。

   そこで、在庫を加えた出店余力を改めて計算してみると、オリンピックの純資産比率が41.6%、出店にかかわる資産が67.8%であるので、これに在庫15.0%を加えると、差し引き-41.2%となる。この数字で改めて、出店余力のランキングを見ると、40番前後となる。したがって、現状ではかなり、出店余力が厳しい状況であり、これまで、リストラを再優先し、新規出店に踏み切れなかった要因が、この出店余力の厳しさにあったといえよう。

   また、出店余力のもう一方の純資産比率であるが、41.6%と約60%が負債に依存する財務構造であり、有利子負債は総資産対比で34.5%と、上場食品スーパーマーケットの平均が27.9%であるので、依然として高い水準である。ただ、純資産比率41.6%は上場食品スーパーマーケット平均が40.6%であるので、ほぼ平均である。日経MJの記事では売上高対比で有利子負債の比率を示していたが、実際計算してみると、21.4%であり、記事の内容にあるように、以前の33%と比べると大きく改善して来ている状況である。こう見ると、もう一歩、純資産比率を引き上げたいところではあるが、上場食品スーパーマーケットのほぼ平均まで改善してきているといえ、以前よりも、出店余力が高まってきているといえよう。

   そこで、まさに、今後の新規出店を占うキャッシュフローを見てみたい。新規出店関連は投資キャッシュフローがまさに、その状況を示すが、オリンピックの投資キャッシュフローは7.09億円のプラスであり、これは極めて珍しい数字である。通常は、新規出店関連の投資がなされ、マイナスのキャッシュフローとなるが、プラスになる場合は、資産等を売却しており、財務キャッシュフローの原資を生み出している場合が多い。実際、オリンピックの投資キャッシュフローの中身は、新規出店関連が-10.10億円と投資がなされているが、有形固定資産の売却、差し入れ保証金の回収等があり、プラスとなっている。したがって、営業キャッシュフローの44.84億円を加え、フリーキャッシュフローは51.93億円となり、これが、財務キャッシュフローで有利子負債の返済に大半が充てられている。昨年度は今期以上に有利子負債の削減がなされており、まさに、日経MJの記事で言及されていたようにリストラを最優先に取り組んできたといえよう。

   こう見ると、今後はさらに有利子負債の削減を目指すか、日経MJの記事にあるように、出店再開を目指すか、この数字を見る限り、難しい経営判断であるとえよう。今回、記事を読む限りでは、今後の新店2店舗はいずれも、小型の食品スーパーマーケットであり、出店にかかわる資産が比較的低く、しかも、1店舗は居抜き出店であり、出店にかかわる資産はほとんどかからない状況である。本格的な新規出店、特に、主力業態のハイパーマーケットの新規出店にはもう少し、財務体質の改善が必要と思われるが、今回のような小型食品スーパーマーケットに関しては、十分に可能であり、当面、このタイプの出店が中心となってゆくのではないかと思われる。オリンピックが本格的な新規出店を安定的に実施するにはもうしばらくかかると思われるが、出店余力が着実に改善されつつあり、今後の成長が期待できそうである。

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August 20, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 19, 2009

ウォルマートCEO、マイクデゥーク氏の経営者心理を探る!

   前回のブログで、ウォルマートの第2四半期決算について取り上げた。特に、P/L面からの分析を主に解説した。そこで、今回は、CF、キャッシュフローに焦点を当て、ウォルマートのCEO、マイクデゥーク氏の経営者心理を探ってみたい。どこまで真相に迫れるかわからないが、無味乾燥な数字の羅列のような決算書から、可能な限り、実際の数字にもとづいて、経営者心理に迫ってみたい。

   まず、経営者が気になるキャッシュフローの最初は、営業キャッシュフローである。この数字が経営のすべてを決めるといえ、ここから、投資、財務キャッシュフローがどのくらい可能かの大枠が決まるので、大事な数字である。今期、第2四半期累計のキャッシュフローは、98.95億ドル(約9,400億円)である。日本円にして、約1兆円であり、すごい金額である。売上げではなく、営業キャッシュフローであるので、この約1兆円をどう投資に振り向け、配当に回すかなど、想像もつかない世界である。ただ、デゥーク氏は恐らく、この金額に満足していないと思われる。昨年が101.64億ドルと100億ドルを上回っていたので、若干であるが、減少しているからだ。

   特に、営業キャッシュフローの70%近くを占める当期純利益が昨年の67.23億ドルから66.88億ドルと減少しており、これは、まさに、マーチャンダイジング力にかかわる数字であり、四半期では、微増であったが、四半期累計は微減となっている。しかも、コスト増が鮮明であり、これが営業キャッシュフローの減少の大きな要因となっているからである。特に、経費比率は長年ウォルマートがこだわってきたマネジメント指標であり、デゥーク氏としては、ここだけは死守したかったのではないかと思う。営業キャッシュフローが増加していれば、まだしも、減少しているので、かなり心理的なインパクトがあるのではと想像される。ついで、減価償却費であるが、34.57億ドル(約3,200億円)であり、これは昨年の3,366億円よりも増加しており、ひと安心というところであろう。この減価償却費を含めると、営業キャッシュフローの大半を占め、あとはここから、その他のマイナスを引けば、結果、98.95億円の営業キャッシュフローとなる。

   次に、投資キャッシュフローであるが、今期は57.48億ドルを投資しており、この金額は昨年の45.27億ドルよりもかなり多く、積極的な投資である。その中身を見ると、出店にかかわる資産への投資が57.44億ドルと、ほぼすべてといえ、昨年が50.74億ドルであるので、113.2%と積極的な投資を行っている。これは営業キャッシュフローの58.0%であり、昨年の49.9%と比べてもかなり多めであり、デゥーク氏が積極策に打って出たといえよう。

   昨年は結果論かも知れないが、出店関連への投資は営業キャッシュフローの50%以内と決めていたのではないかと思われる49.9%という数字であり、絶妙な配分金額である。一般に、営業キャッシュフローの50%を超えた場合はかなり、積極的な投資を行っているといえ、デゥーク氏はここで、積極策に打って出、減収を増収に変えようという心理が強く働いたのではないかと思われる。

   結果、財務キャッシュフローへ回せるフリーキャッシュフローは41.9%となり、昨年の55.4%と比べ、かなりの配分の違いである。金額でも41.47億ドルと56.37億ドルの違いがあり、約15億ドル、1,500億円弱の金額の差となる。当然、財務キャッシュフロー上で何かを圧縮せざるをえなくなり、ここは、悩むところであろう。

   そこで、キャッシュフローの核心ともいうべき、財務キャッシュフローを見てみると、最も重要な配当は21.29億ドル(約2,000億円)と昨年の18.78億ドルと増やしており、しかも、自社株買いも27.92億ドル、昨年の21.84億ドルと増やしている。フリーキャッシュフローが減少したにも関わらず、増やしており、びっくりである。配分を見ると、営業キャッシュフロ-の21.5%であり、自社株買いも入れると、株主へは49.7%と約半分である。ちなみに昨年は39.9%であるので、積極的な株主への配分である。

   何でこんなことが可能となったかであるが、答えは、長期借入を29.56億ドル(約2,800億円)行い、返済をほとんどしなかったためである。昨年は46.48億ドルの長期借入を行い、40.61億ドルの返済をし、差し引き、若干の借入だったが、今期は大きく借入を増加し、結果、配当などの株主対策に充てることができたことになる。デゥーク氏の苦渋の決断といえよう。ウォルマートは現在416.60億ドルと約4兆円近い有利子負債があり、総資産の24.6%にも及ぶ。できれば、負債を削減したいところであろうが、逆に増やしている。そうまでしても、投資家への配分を優先したといえるデゥーク氏の経営決断といえ、改めて、株主重視が最優先となった今期のキャッシュフローであるといえよう。

   今回のウォルマートの第2四半期決算の冒頭が0.88ドルとEPS(一株当たりの利益)からはじまり、昨年の0.86ドルを上回ったことを強調しているのは、このキャッシュフローを見ると、デゥーク氏のまさに、叫びともいえ、経営者の心理が強く表れた結果といえよう。ただ、これほどまでに、株主を重視せざるをえないのかと、あらためて、経営者の心理、デゥーク氏の心痛が偲ばれる。

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August 19, 2009 in ウォルマート、海外情報, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 18, 2009

ウォルマート、第2四半期決算を公表、減収微増益!

   ウォルマートが8/13、2010年度の中間決算を公表した。アメリカの決算は日本の決算とはいくつか違う点があるが、そのひとつが四半期の結果重視であり、中間決算の公表の場合もまず四半期の結果を示し、その後、累計を示すという特徴がある。日本の場合は累計を重視し、四半期を最優先で報じる決算書は少なく、いかに、スピード、いまの経営状況を重視しているかがわかる。

   また、それ以上に大きく違うのが、結果の評価である。日本では、増収増益、すなわち、P/Lが重視されるが、ウォルマートの今回の中間、すなわち、第2四半期決算で示される冒頭、はじめの数字は0.88ドルという数字である。これは何かというと、1株当たりの利益、すなわち、EPS(earnings per share)である。昨年が0.86ドルだったので、今年は頑張ったと、株主に主張しており、これがトップメッセージであり、びっくりである。日本の食品スーパーマーケットでEPS(1株当たりの利益)をはじめに示す決算書の説明書は皆無といえ、いかに、ウォルマート(アメリカ?)が株主を重視しているかがわかる。そして、その後に、P/Lの結果が示される。

   さて、その結果であるが、売上高は1,008.2億ドル(約9兆5,700億円)となり、-1.4%の減益となった。6ケ月間の累計も-1.0%となり、この第2四半期はやや厳しい売上高の伸び率であたった。その要因であるが、国内のウォルマート部門は0.3%(累計2.0%)と、ぎりぎり昨対を超えたが、海外部門が-5.1%(累計-8.0%)と、やや改善傾向は見えるものの、依然として、ドル高による為替の影響が大きく、売上高が伸び悩んでいるためである。

   この第2四半期の海外の売上高は2,396.5億ドル(約2兆2,700億円)と、全体の23.9%と約1/4の売上構成比であるため、全体への影響が大きかったといえよう。ウォルマートは、もし、為替の影響がなければ、海外部門は11.5%の成長であったと試算しており、いかに、海外の為替の影響が大きかったかがわかる。また、サムズクラブ部門も-3.2%(累計-2.4%)と、全体の売上構成比は11.9%とそれほど大きくはないが、不振であり、結果、売上高が伸び悩んだ結果となった。ちなみに、アメリカ国内の既存店であるが4.9%(累計3.7%)と堅調な数字となっており、これを見ても、海外部門の為替の影響がいかに大きかったかがわかる。

   これに対して、利益の方であるが、営業利益は58.82億ドル(約5,500億円)であり、昨年対比101.2%とわずかではあるが、増益となった。ただ、26週累計では99.7%の減益となり、依然として、厳しい状況であるといえよう。ちなみに、売上げ対比では5.8%と、高い数字を示しており、当期純利益も3.4%(累計3.3%)と堅調な数字である。

   ここで、ウォルマートの原価、経費、そして、マーチャンダイジング力を見てみたい。まず、原価であるが、75.09%(昨年75.94%)であるので、原価が下がっており、結果、売上総利益は24.91%(昨年24.06%)と、0.85ポイント改善している。ここへきて、原価の改善に力を入れ、粗利の改善を図っているといえよう。一方、経費、すなわち、販売費及び一般管理費であるが、19.85%(昨年19.11%)と0.74ポイント上昇しており、やや気になる兆候である。

   本来、ウォルマートのビジネスモデルは経費比率を極限まで下げ、そのマネジメント力を武器に、粗利を下げ、結果、売価を下げ、地域一番のEDLP戦略で競争に打ち勝ってゆくというものである。ところが、その原点の経費比率が20%弱まで上昇しつつあり、このままでは売価が上昇する可能性が高く、結果、競争力を落としかねない。経費比率19.85%は日本の食品スーパーマーケットでもオーケーの14.9%を見るまでもなく、もはや低いとはいえず、日本の主要食品スーパーマーケットでもウォルマート以下の経費比率は11社ある。今後、ウォルマートとしては、再度、この経費比率の見直しは、重要な経営課題といえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力は5.06%(昨年4.95%)と昨年を上回ったが、経費比率の上昇はやはり気になるところである。ちなみに、マーチャンダイジング力5.06%は日本の食品スーパーマーケットでは3番目に入り、オオゼキ6.7%、アークランドサカモト5.3%の次となり、オーケーの5.0%の上となる位置である。そして、これに、その他営業収入が0.82%(昨年0.78%)のり、営業利益は5.8%となり、この第2四半期は微増であるが、増益となった。ただ、いま見たように、その要因は原価とその他営業収入の伸びで、経費比率の上昇をカバーしている構図であり、経営内容としては、また、本来のウォルマートのビジネスモデルからしても、やや気になる状況である。

   このように、2010年度、第2四半期のウォルマートの決算状況は、海外部門が経営の撹乱要因となり、ドル高による為替の影響が大きく、減収となる厳しい数字となった。また、利益は増益とはなったが、その幅はわずかであり、しかも、経費増を原価とその他営業収入の改善でカバーしての増益であり、厳しい経営状況である。今後もドル高基調は続くと思われ、当面、ウォルマートにとっては、海外部門の影響による厳しい経営状況が続くと思われ、いかに、国内部門でカバーするかが課題といえよう。次の第3四半期、ウォルマートがどこまで、売上を改善できるか、その動向に注目である。

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August 18, 2009 in ウォルマート、海外情報, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 17, 2009

続続、出店余力って何だ、食品スーパマーケットの現状!

   2回で完結するはずであった出店余力の話が、3回目となってしまった。予想外の食品スーパーマーケットの大事件、オオゼキのMBOの新聞報道がなされたため、その背景を探ってゆくうちに、出店余力との関係が極めて大きな要因であるという結論になったためである。出店余力は単に長期安定的な出店が可能かどうかを判断するだけの指標ではなく、今回のオオゼキのMBOが示すように、食品スーパーマーケットの極値ともいえる30%近くになると、資本主義の根幹、株式制度そのものをも変革してしまう力があるといえる。出店余力はその意味で、食品スーパーマーケットにとっては、経営戦略そのものと直結している根幹指標のひとつであると、今回のオオゼキのMBOを見て、改めて認識した。

   さて、ここでは、上場食品スーパーマーケット約50社の出店余力について見てみたい。現在、No.1はオオゼキの28.7%である。非上場ではあるが、もう1社極めて高い出店余力の食品スーパーマーケットがあり、それがヨークベニマルの29.4%であることは前回のブログで解説した。この2社が現在、食品スーパーマーケット業界トップ2であり、次がマックスバリュ東海の16.6%であるので、いかに、オオゼキ、ヨークベニマルの出店余力が高いかがわかる。では、それ以外の食品スーパーマーケットの状況はどうかを見てみたい。

   まず、出店余力がプラスの食品スーパーマーケットであるが、東武ストア11.2%、大黒天物産9.8%、サンエー7.9%、アオキスーパー7.8%、いなげや6.8%、九九プラス5.4%のわずか、6社である。したがって、ヨークベニマルを含め、上場食品スーパーマーケット約50社で出店余力がプラスとなったのは、8社にすぎず、いかに、出店余力が重い数字かがわかる。上場食品スーパーマーケット約50社の平均が-22.9%であるので、この数字から見ても、食品スーパーマーケットが出店を自己資本だけで賄うことは至難の業であり、22.9%(負債分)÷63.5%(出店にかかわる資産)=36.06%と、約40%弱を負債に負っている出店構造であるといえ、出店がいかに食品スーパーマーケットの経営にとって重要であり、また、財務に重くのしかかっているかがわかる。

   ちなみに、食品スーパーマーケット上場企業約50社の中で、出店余力が-50%以下の企業は、北雄ラッキー-50.3%、天満屋ストア-53.1%、マルヨシセンター-58.6%、マックスバリュ東北-59.7%、丸和-67.9%の5社である。この数字を見る限り、今後、安定的な新規出店を果たしてゆくのはかなり難しい数字であるといえ、出店よりも、負債の削減が優先度の高い経営戦略となるといえよう。

   では、出店余力が先のプラスの食品スーパーマーケットを除き、上場食品スーパーマーケット約50社の平均-22.9%以上の企業を見てみたい。マルヤ-1.5%、マルキョウ-1.7%、マルミヤストア-3.0%、ヤマザワ-4.9%、ユニバース-5.1%、カスミ-8.7%、原信ナルスH-10.4%、マックスバリュ西日本-11.3%、関西スーパーマーケット-12.4%、アークス-14.5%、オークワ-14.9%、アークランドサカモト-16.4%、タイヨー-17.2%、オーケー-19.6%、ヤオコー-19.6%、ジョイス-21.6%、ベルク-21.8%、-マックスバリュ北海道-22.8%である。以上が、平均-22.9%以上の食品スーパーマーケットであり、業界平均以上の出店余力である。

   出店余力とは、純資産-出店にかかわる資産のことであるので、一見すると、純資産比率が高い方が高いように思えるが、数式からもわかるように、双方の差であるので、純資産比率が低くとも、それ以上に出店にかかわる資産が低ければ、出店余力は高まるといえる。実際、先の出店余力が上位の企業でも、出店余力ベスト20の純資産比率を数字だけで見ると、79.0%、77.3%、69.4%、68.2%、49.7%、64.8%、59.6%、56.1%、41.6%、57.3%、68.4%、49.2%、62.7%、60.6%、47.3%、41.8%、45.0%、49.0%、59.8%、55.9%という状況であり、確かに、ベスト4は高い数値であるが、それ以下は、40%台の食品スーパーマーケットもちらほらあり、逆に、下位にも60%前後の食品スーパーマーケットもあり、必ずしも、出店余力と純資産比率が連動している訳けではないことがわかる。

   同様に、出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等の総資産比率を出店余力ベスト20で見てみると、49.5%、48.6%、52.8%、57.0%、40.0%、56.9%、51.8%、49.3%、36.2%、58.8%、70.1%、52.3%、67.7%、65.7%、56.0%、52.2%、56.4%、61.4%、74.4%、70.7%という状況であり、ベスト4は50%前後と低いが、それ以下はかなり、ばらつきが大きく、70%前後の企業もあれば、50%前後の企業もあり、かなり、バラつくことがわかる。出店余力はあくまでも、純資産と出店にかかわる資産、双方のバランスで決まる数字であり、これも企業の経営戦略の大きな課題であるといえよう。

   このように、出店余力の話が、上場食品スーパーマーケット約50社のNo.1の出店余力となったオオゼキのMBOの新聞報道がなされ、今回の出店余力をテーマとしたブログが2回で完結を目指し取り組んでいたところが、思いがけず、3回となってしまった。

   ただ、逆に、出店余力が企業の経営の根幹にかかわる重要な経営戦略のひとつであることが明確になり、むしろ、出店余力の重要性が浮かびあがったといえよう。食品スーパーマーケットとしては、安定した出店戦略を実施してゆくためのも、出店余力をプラス、できれば10%以上のプラスにもってゆき、余裕をもって、成長を目指したいところである。

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August 17, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 16, 2009

続、出店余力って何だ、なぜ、オオゼキがMBO?

   前回は食品スーパーマーケットにとっての最も重要な経営戦略がマーチャンダイジング戦略と並び、出店戦略であることを述べた。そこで、今回は、実際の出店戦略を支える出店余力の実態はどのような数字であるかを、2009年度版、食品スーパーマーケット業界上場約50社の決算の結果を独自にまとめた財務3表連環表をもとに見てみたい。

   まず、結論からいうと、上場食品スーパーマーケットNo.1はオオゼキである。28.7%という数字であり、No.2のマックスバリュ東海が16.6%、また、出店余力がプラスになる食品スーパーマーケットが約50社中8社しかなく、さらに、全体平均が-22.9%であるので、オオゼキの28.9%が断トツであることがわかる。ちなみに、非上場であるが、もう1社、オオゼキを超える食品スーパーマーケットが1社ある。ヨークベニマルである。ヨーベニマルの出店余力は29.4%であり、オオゼキをわずかに上回り、食品スーパーマーケット業界トップである。おそらく、この数字、約30%が食品スーパーマーケット業界の出店余力の極値、最高到達点ではないかと思う。

   皮肉なことに、食品スーパーマーケット業界で恐らく、出店余力、No.1、No.2のヨークベニマル、そして、オオゼキが、ヨークベニマルはすでに、オオゼキは来期からはMBOにより、非上場になるという。これは一体何を意味しているのだろか。偶然ではないように思える。

   出店余力が増すとは、その数式からもわかるように、出店余力=純資産-出店にかかわる資産であるので、どこまで、純資産の範囲内で出店が可能かどうかを表していることになる。出店余力がプラスになると、純資産が出店にかかわる資産を上回り、自己資本の範囲内で新規出店が可能な状況を意味している。逆に、出店余力がマイナスになると、自己資本の範囲内では新規出店ができず、負債に依存する出店を余儀なくされている財務構造であるといえる。当然、このマイナスが大きくなればなるほど、財務状況が悪化し、やがては、出店が止まり、負債の削減のための経営再建の立案を余儀なくされ、経営が逆回転をはじめることになる。

   一方、出店余力が増せば増すほど、負債に頼らずに、自己資本の範囲内で新規出店が可能となり、中長期に渡って、安定的に新規出店を果たすことができるようになる。出店余力、食品スーパーマーケット業界No.1、No.2のヨークベニマル、オオゼキはまさにこの境地に至った食品スーパーマーケットであり、しかも、約30%のプラスと、ずば抜けた数字を達成した。

   したがって、過大な出店をしない限り、今後の安定成長が財務的には保証された環境にあるといえ、負債に一切頼ることなく、自己資本で十分に新規出店が可能となった。しかも、過大出店をせず、純資産の中でも、当期純利益、さらには、CFの営業キャッシュフローの範囲内での出店が可能になれば、そもそも、事業のスタートにあたって調達した資本金、その後、上場等によって、得た追加の資本金に頼ることなく、事業を継続することが可能となる。そうなると、資金を経営活動以外の外部から調達する意義がうすれ、自らのマーチャンダイジング力により生み出される、最終的には当期純利益につながるキャッシュや、減価償却費等を加えた営業キャッシュフローで出店が十分に可能となる。これは株式会社の根本、資本の存在意義そのものを問うような話であり、資本家の出資による事業の継続は必要なく、経営陣自らの経営力によって、事業の継続ができるということであり、まさに、今回のオオゼキのMOBは出店余力が極値に至ったゆえに、必然的に起こった経営陣の経営判断といえよう。
  
   では、実際、オオゼキの財務状況をP/L、B/S、CFのまさに財務3表連環表をもとに見てみたい。オオゼキの出店にかかわる資産は158.94億円(総資産の48.6%)であり、これはオオゼキの店舗数が29店舗であるので、1店舗当たり5.48憶円となる。一方、純資産は252.85億円(総資産の77.3%)であり、ここから出店余力は28.7%となるが、問題は、この中の当期純利益であるが、ここから目をCFに転じて、営業キャッシュフローを見ると、今期は39.27億円である。ちなみに、当期純利益は52.82億円、減価償却費は4.41憶円である。したがって、単純に営業キャッシュフロー39.27億円を全部出店に充てた場合、39.27億円÷5.48億円となり、7.16となり、7店舗の新規出店が通常の営業活動の中で毎年可能ということになり、外部から一切資金調達なしに、通常の経営活動を通じて、安定的な新規出店が可能となる。このような食品スーパーマーケットは日本には、先にあげた出店余力No.1のヨークベニマルぐらいであり、これが今回、オオゼキがMBOに踏み切った財務的な根拠のように思う。
   
   このように、出店余力は高ければ高いほど、負債に頼らず、自己資本の範囲内で出店が可能となるが、今回のように、この数値が30%という極値となると、企業経営の根幹ともいえる資本主義の制度、そのものの存在意義が問われることとなり、あえて、資本家から資金調達を行い事業を継続しなくとも、経営陣のマネジメント力で生み出すマーチャンダイジング力で事業の継続、特に、食品スーパーマーケットでは最も重要な出店戦略が可能となり、MBOが必然的に起こるのではないかと思う。その意味で、今回のオオゼキのMBOは出店余力からから見ると、必然必要な経営決断ともいえよう。

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August 16, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 15, 2009

出店余力って何だ、食品スーパーマーケットの現状!

   食品スーパーマーケットにとって最も重要な経営戦略は何かと問われた場合、意見がわかれるところであろうが、即座に出てくる答えは、マーチャンダイジング戦略であろう。ただ、マーチャンダイジングは経営の重要な戦略のひとつではあるが、経営という観点から考えた場合は、片手落ちである。経営とは入りと出のバランスをどう維持するかであるといえ、入りの重要な経営戦略がマーチャンダイジング戦略といえるが、出についても重要な経営戦略が当然ある。それが出店戦略である。

   食品スーパーマーケットはその両輪の戦略が相まって成長発展してゆくものであり、このバランスがとれていない食品スーパーマーケットはやがて、経営が行き詰まり、衰退してゆく。したがって、はじめの問い、食品スーパーマーケットにとって最も重要な経営戦略は、入りではマーチャンダイジング戦略であり、出では出店戦略といえ、この2つが最も重要な食品スーパーマーケットの経営戦略であり、そのバランスを維持することが、食品スーパーマーケットの経営そのものであるといえよう。

   では、食品スーパーマーケットにおける出店戦略とは何かであるが、その答えは、出店にかかわる資産に見合った資金を確保することであり、このバランスを常に保ちながら、5年、10年先まで安定した成長ができる強固な経営体制を築くことであるといえる。

   食品スーパーマーケットが出店をしてゆくためには何が必要か。P/L面を除き、B/S面でみると、答えは、4つに限定できる。土地、建物、保証金、そして、在庫である。この4つが食品スーパーマーケットの出店には必須のものであり、しかも、この4つを合計すると総資産の70%を超える。今期決算の上場食品スーパーマーケット約50社で見た場合、土地24.4%、建物27.3%、保証金11.8%、在庫8.6%となり、合計72.1%となる。ただし、この中には、一部GMS、ホームセンターに近い食品スーパーマーケットも入っている。食品スーパーマーケットとこられ小売業との最大の違いは在庫であり、食品スーパーマーケットの在庫を見ると、5%前後であり、これを出店にかかわる資産に入れるかどうかは微妙な数字である。そこで、ここでは、この在庫を抜いて考えてみると、3つの資産、土地、建物、敷金の合計は63.5%となる。

   すなわち、食品スーパーマーケットは総資産の60%以上が出店にかかわる資産で占められているといえ、まさに、この資産の確保、そして、それに見合った資金の調達が成長にとっては絶対条件といえ、このバランスが崩れた時、成長が止まり、衰退するといえる。逆に、このバランスを維持し、5年、10年先まで可能な財務余力を持った時、食品スーパーマーケットは力強い成長軌道にのり、将来の成長が約束されるといえよう。

   そして、このバランスがまさに食品スーパーマーケットの出店余力といえ、この出店余力を食品スーパーマーケットのB/Sからどう読み取るかが、食品スーパーマーケットの出店戦略を読み解くカギといえる。残念ながら、B/Sでは、この出店余力は指標化されておらず、B/Sから出店関連の資産をピックアップし、合計し、その資金をどのように賄っているかを独自にチェックする必要がある。

   ところで、出店にかかわる資産は土地、建物、保証金を合わせて、上場食品スーパーマーケットは63.5%であることはわかったが、では、その資金調達はどうなっているだろうか。それを見るためには、資産から負債+純資産に目を転じることが必要となる。特に、5年、10年先までの安定した出店をはかってゆくためには、可能な限り、負債に依存せず、純資産の範囲内で出店が可能な財務構造が望ましいといえる。そこで、純資産比率(自己資本比率)を見てみると、今期決算の上場食品スーパーマーケットの平均値は、40.6%である。したがって、この瞬間に、出店にかかわる資産を約20%、正確には22.9%のマイナス分を負債に依存している財務構造となっていることがわかる。

   その意味で、上場食品スーパーマーケット約50社全体としては、出店余力はやや負債に依存した財務構造といえ、今後、5年、10年先の安定成長を目指す上には、一層の負債からの脱却、可能な限り、純資産の範囲内での出店ができる強固な財務構造をつくる必要があろう。出店戦略はまさに、このバランスをどうとるかにあるといえ、出店にかかわる資産、土地、建物、保証金の合計と純資産とのバランスであるといえよう。

   このように、食品スーパーマーケットの最も重要な経営戦略は入りは、マーチャンダイジング戦略であるが、出は、出店戦略にあるといえる。そして、この出店戦略を構築するためには、出店にかかわる資産である、土地、建物、保証金の合計の資産を純資産でどこまで賄えるかのバランス、すなわち、出店余力をどこまで高められるかにあるといえ、できれば、上場食品スーパーマーケットの平均-22.9%は上回りたいところである。目標としては、プラスマイナス0%、超安定を狙うのであれば、10%以上は欲しいところであろう。

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August 15, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 14, 2009

食品スーパーマーケット業界、最大の業界団体誕生!

   8/3、食品スーパーマーケットの業界団体、(社)日本セルフサービス協会と(社)全国スーパーマーケット協会が合併登記を行い、正式に、統合した。存続団体は、(社)日本セルフサービス協会となり、8/27の臨時総会で新体制が発足し、2010年度から、統合後の本格的な活動がスタートするという。特に、2010年度からは、統合後の会員481社、約8,000店舗の食品スーパーマーケットの売上高の速報が毎月公表されるとのことで、食品スーパーマーケット業界全体の精度の高い売上高の速報がはじめて公開されることになる。

   これまで、食品スーパーマーケットの売上高は日本チェーンストア協会、日本スーパーマーケット協会等が公表しているが、特に日本チェーンストア協会は全体が70社の数字であり、さらに、その中には、イトーヨーカ堂、ジャスコ、西友等の大手GMSも含まれているため、食品スーパーマーケット業界全体としての精度の高い売上高を把握することは、中々難しいものがあった。また、日本スーパーマーケット協会も全体が107社であり、食品スーパーマーケット業界全体を網羅しているとはいえなかった。

   本ブログでも毎月、上場食品スーパーマーケット約20社強の売上げ速報を独自に集計し、公表しているが、この結果と、特に日本チェーンストア協会が公表する売上高とを比較してみると、食品に関しては大分ズレがあった。恐らく、大手GMSと食品スーパーマーケットを一緒にして集計し、しかも、全体の企業数が70社と少ないために、GMSの売上高が1社でかなりの売上構成比を占める傾向があるため、GMSのトレンドに左右されやすい数字となったものと思われる。したがって、食品スーパーマーケットのトレンドがつかみにくい結果となり、食品スーパーマーケットの現状とズレが生じていたと思われる。特に、ここ数年、食品スーパーマーケットは堅調な売上推移であったが、GMSはダウントレンドであったこともあり、食品スーパーマーケットの正確な現状をつかみにくかったといえよう。

   この状況が、2010年度からは、(社)日本セルフサービス協会が会員481社と、大半の企業が食品スーパーマーケットとなるため、食品スーパーマーケット業界全体の傾向が反映された精度の高い売上速報となることが予想され、これひとつをとっても、今回の統合は食品スーパーマーケット業界にとって、重要な意義があるといえよう。8/27の臨時総会の日は、衆議員選挙の直前でもあり、まさに、政治、経済の転換点とも重なり、食品スーパーマーケット業界にとっても大きな転換点となろう。

   ただ、残念なことに、食品スーパーマーケット業界には、もうひとつ、日本スーパーマーケット協会という107社の加盟する業界団体があり、2つの団体が併存することになることである。その背景には、主管官庁の違いがあり、(社)日本セルフサービス協会が経済産業省、日本スーパーマーケット協会が農林水産省である。今回統合した、(社)全国スーパーマーケット協会は経済産業省の主管であったため、比較的スムーズに統合が成立したが、日本スーパーマーケット協会は主管官庁が違うため、官庁同士の合意が必要であり、統合には中々難しい問題があるといえよう。食品スーパーマーケット業界としては、かなりの会員が重なることもあり、できれば、一本化し、業界の発展に尽くして欲しいところである。

   さて、新生、(社)日本セルフサービス協会の今後の活動であるが、8/27の新役員決定後に方針が決まるものと思われるが、合併を決めた時の発表資料を見ると、「協会活動の本旨である会員要望事項の立法への組み入れや、官庁・メディア、消費者への情報発信が単独では実現されにくいこと、・・」とある。今回、ほぼ、日本の食品スーパーマーケット業界を網羅する企業が集結することで、立法への働きかけ、情報発信面が一層強化されることになると思われ、食品スーパーマーケット業界としての地位が格段と向上し、同時に、責任も重くなるといえよう。少し、視野を広げてみれば、小売業界の中に、はじめて、食品スーパーマーケットという業界が確立され、独自の活動が始まるということであり、食品スーパーマーケット業界としては、まさに、新時代の到来といえよう。

   ちなみに、現在の(社)日本セルフサービス協会の主な活動であるが、展示会、セミナー・検定、ビジネスマッチング、出版、機関誌が主な活動である。特に、メインの展示会では、毎年春に、スーパーマーケットトレードショーを開催しており、昨年は1,000社を超える業者の出店があり、関係者78,000名が来店し、来年、2010年度も2/8から2/10に開催予定である。

   このように、8/3に正式に合併登記がなされたことにより、ほぼ日本の食品スーパーマーケットを網羅する、食品スーパーマーケットの業界団体、(社)日本セルフサービス協会がリニューアルスタートとなった。ついに、といって良いと思うが、日本にも食品スーパーマーケットという業界が小売業界の中に確立されることになり、今後、独自の本格的な食品スーパーマーケットに特化した活動がはじまるといえよう。来年、2010年がまさに、食品スーパーマーケットにとっては歴史的な転換点となる年となろう。新生、(社)日本セルフサービス協会の今後の活動に大いに期待したいところである。

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August 14, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 13, 2009

数字とイメージ、仮説について

   最近、ID-POS分析に携わるようになって、数字とイメージについて考えるようになった。数字は、本来、イメージ(現実)の世界を数値化し、その数値の差異をもとに、仮説をつくり、その仮説に基づいて現実を変革してゆくためのものであるといえよう。実際、ID-POS分析に取り組む前は、そのように、仮説をつくってきた。ところが、ここ最近、ID-POSに取り組むようになってからは、逆に、数字の世界をイメージ化し、そのイメージをもとに仮説をつくり、現実を変革していった方が、実績が出やすいのではないかと思うようになった。

   もう少しわかりやすく、具体例を交えて説明すると、従来、バナナのマーチャンダイジングの改善仮説をつくるには、バナナの販売データを数値化し、その数値をもとに、いかにその数値を引き上げるかの仮説をつくってきたといえる。

   実際の数値をもとに見ると、たとえば、バナナの売上金額が1ケ月間で10,000円、販売数量が100個、客数(総レシート枚数)が1,000人であった場合を考えてみる。ここで総レシート枚数とは、バナナの購入レシートだけではなく、未購入レシートも含めた総レジ通過レシート枚数(来店購入回数)のことである。通常のPOSデータは原則、この3つの数値が算出され、この3つの数値をもとに、マーチャンダイジングの分析を行う。具体的には、金額PI値(10円:10,000円÷1,000人)=PI値(10%:100個÷1,000人)×平均単価(100円:10,000円÷100個)となり、まとめると、金額PI値(10円)=PI値(10%)×平均単価(100円)となる。

   ここから、マーチャンダイジングの改善の仮説をつくるには、金額PI値10円を11円、12円にすることであり、そのためには、PI値を11%、12%にするか、平均単価を110円、120円にするか、あるいは、PI値、平均単価、双方をバランスよく引き上げ、金額PI値を改善してゆくことになる。すなわち、これは数字のシミュレーションであり、そこには、この時点では現実は考慮されず、純粋に抽象的な数字の計算となる。そして、その計算結果に現実性があるかどうかを、過去のデータ(時間)や他の店舗のデータ(空間)と比較し、妥当性があれば、はじめて、その数値を確定し、そこから、具体的な仮説づくりに入ることになる。そして、そのためには、PI値を引き上げた成功事例、平均単価を引き上げた成功事例等を収集し、そこから仮説を構築することになる。

   この成功事例、場合によっては、失敗事例をたくさんもつ(経験)することにより、より精度の高い仮説が即座にできるようになる。これが通常のPOS分析における仮説づくりといえよう。すなわち、数値計画を立て、そこから、その数値目標を達成するための仮説をイメージ化するという流れである。

   これに対して、ID-POS分析は何が違うかであるが、現実を数値化するところまでは同じであるが、そこから仮説を立てる上において、現実から数値化された数値をもとに、再度、現実をイメージ化し、そのイメージをもとに仮説をつくり、その仮説を実現するために、数値をどのように変えるかをシミュレーションすることになる。すなわち、数値をもとに数値計画を立てるのではなく、まず、数値からイメージを再構築することが先決となる。

   これも先のバナナの事例で考えてみたい。従来のPOS分析では、バナナの1ケ月間の売上金額10,000円、販売点数100個、客数(総レシート枚数)1,000人が限界であった。では、ID-POSでは、これに何が加わるかであるが、まずは、IDが加わる、すなわち、バナナの購入顧客数である。ここでは、10人(ID)とする。また、この時、バナナの購入レシート枚数を20枚とする。したがって、この瞬間に980枚がバナナの未購入レシートとなる。ここから、バナナの購入実態を数値化すると、ID金額PI値(1,000円:10,000円÷10人(ID))=ID客数PI値(2.0枚/ID:20枚÷10ID)×金額PI値(500円:10,000円÷20枚)となり、さらに、金額PI値500円=PI値(5.0個/枚:100個÷20枚)×平均単価(100円:10,000円÷100個)となる。

   これは何を意味しているか、すなわち、どうイメージ化するかであるが、バナナの1ケ月間の顧客の購入イメージは、1個100円(平均単価)のバナナを1回につき、5個購入し(PI値)、結果、バナナを500円(金額PI値)購入し、さらに、月に2回(ID客数PI値)来店し、結果、1ケ月に1,000円(ID金額PI値)バナナを購入する顧客が10人(ID)いるということになる。従来の金額PI値=PI値×平均単価だけでは、顧客の購入状況をイメージ化することは不可能であったといえるが、ID-POS分析を行うと、ここまでイメージ化ができる。さらに、その10人の明細までイメージ化することも可能である。また、ここでは、踏み込まなかったが、その10人の顧客がバナナ以外、何をどのように購買しているかまで、購入イメージを具体的に把握することも可能である。

   したがって、マーチャンダイジングの仮説の立て方が根本的に変わり、従来の抽象的な数字の改善にもとづく仮説の立案ではなく、具体的な顧客の購入イメージを把握し、その行動パターンのどこをどう改善すれば、マーチャンダイジングの改善につながるかをイメージで再構築し、さらに、その数値化も可能となり、仮説そのものがより、現実に近づくことができるようになる。

   まだまだ、始まったばかりであるが、ID-POSはこのように活用するのが、どうも本筋のように思え、ここを今後、さらに、深く掘り下げ、イメージで仮説づくりができるような仕組みにまで高めたいと思う。

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August 13, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 12, 2009

日本の上場食品スーパーマーケットを概観してみる!

   日本の上場食品スーパーマーケットは現在52社であるが、これに、決算を公開している非上場のオーケーとトライアルカンパニーを入れると、経営内容が把握できる食品スーパーマーケットは54社といえる。この54社の2009年度の決算について、9月度決算企業3社、ダイイチ、マルキョウ、PLANTについては中間決算として、すべて集計してみた。集計の仕方は、8/10のブログ、「食品スーパーマーケットのための財務3表連環表、完成!」で取り上げたように、全54社を財務3表連環分析をもとに集計した。そこで、今後は、この集計表をもとに、様々な角度から、日本の食品スーパーマーケットの概観を順次取り上げてみたい。今回は、各社の出店戦略について、その概観を見てみたい。

   まず、食品スーパーマーケットの54社の総店舗数であるが、4,863店舗である。この中には、99プラスの747店舗も含まれるので、これを差し引いて、平均店舗数を出してみると、4,116店舗÷53社となり、78店舗となる。上場食品スーパーマーケットは平均78店舗と70店舗を超えており、100店舗も視野に入ってきたといえよう。ひところ前までは、20店舗から30店舗ぐらいが食品スーパーマーケットのイメージであったように思うが、50店舗を超えると、ビックな食品スーパーマーケットのように思えていた。いまや、50店舗は上場企業では平均以下となり、食品スーパーマーケット業界もビジネスモデルがひとまわり大きくなったといえよう。

    ちなみに、54社中、九九プラスを除き、100店舗以上の食品スーパーマーケットは、マルエツ245 店舗、ライフコーポレーション203店舗、アークス172店舗、バロー167店舗、ヨークベニマル157店舗、マックスバリュ西日本147店舗、オークワ143店舗、カスミ135店舗、いなげや128店舗、平和堂127店舗、エコス103店舗、ヤオコー100店舗 の12社のみである。これについで、イオン九州99店舗、トライアルカンパニー97店舗、フジ93店舗、マルキョウ93店舗、マックスバリュ東北90店舗と、90店舗以上の食品スーパーマーケットが5社あり、100店舗まじかである。

   逆に、上場食品スーパーマーケットの中で、店舗数が少ないのは、マツヤ29店舗、オオゼキ29店舗、天満屋ストア26店舗、アークランドサカモト23店舗、ダイイチ22店舗、PLANT20店舗、スーパーバリュー11店舗であり、以上、7社が30店舗未満の食品スーパーマーケットである。残り、27社が30店舗以上、90店舗未満の食品スーパーマーケットであり、こう見ても、食品スーパーマーケットの規模が、上場食品スーパーマーケットでみる限り、大きくなったといえよう。

   参考に、九九プラスを除く53社の食品スーパーマーケットの平均値と標準偏差をとってみると、平均値が先にも算出したように78店舗、標準偏差が50店舗であるので、これをイメージとして表すと、78店舗を頂点とする山のふもとが+50店舗、128店舗から、-50店舗、28店舗までにほぼ70%、40店舗弱が入っているということになる。先に、100店舗以上と、30店舗以下の食品スーパーマーケットについてみたが、100店舗は少し基準が低いが、ほぼ、標準偏差プラス、マイナス50店舗からはみ出る食品スーパーマーケットであり、まさに、両極端を見たことになる。

   では、この総店舗、今度は、九九プラスの747店舗を含め、全4,863店舗が、日本各地にどのように出店しているかを、大きなエリアごとにざっと見てみると、北海道308店舗、東北394店舗、関東1,660店舗、中部・東海・北陸751店舗、近畿746店舗、中国・四国482店舗、九州・沖縄518店舗である。関東地区が最も多く、ついで、近畿、中部・東海・北陸と続く。関東の比率であるが、34.1%、約1/3であるので、いかに、関東に上場食品スーパーマーケットが集結しているかがわかる。

   また、広域にまたがって出店している食品スーパーマーケットを都道府県単位で見てみると、トライアルカンパニー22、九九プラス13、イズミヤ12、イズミ11、大黒天物産10が10都道府県以上の広域に出店している食品スーパーマーケットである。九九プラスが店舗数747店舗と多い割には、意外に出店地区が絞られているといえる。また、大黒天物産が総店舗数が50店舗であるが、10の都道府県に出店しており、地元岡山から、周辺の都道府県へ積極的に出店していることが意外である。全54社の平均値を算出すると、5都道府県であり、店舗数の数もさることながら、出店地区も5都道府県と広域になりつつあるといえよう。

   このように、2009年度の食品スーパーマーケットの決算時点での全54社の出店戦略の概観を見てみたが、すでに、上場食品スーパーマーケットの平均店舗数は80店弱となり、出店地域も、平均5都道府県へと広域になりつつあり、10都道府県を超えるまさに広域へと展開している食品スーパーマーケットも5社となった。今後、食品スーパーマーケットも、店舗数100店舗は視野に入ってきたといえ、出店地区も、10都道府県への拡大も時間の問題となってきたといえよう。ここまで来ると、いつ、どのようなM&Aが起こっても不思議ではなく、食品スーパーマーケット業界も新たなステージに入り始めたといえよう。

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August 12, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 11, 2009

ヤオコー、2010年3月期、第1四半期決算、減収増益!

   食品スーパーマーケットの2010年3月期、第1四半期の決算の発表がほぼ終了した。食品スーパーマーケットの上場企業約50社の内、3月期決算は9社であり、2月期の33社と比べると圧倒的に少ないが、これで、1月期3社を含め、合計45社と約90%強となり、ほぼ食品スーパーマーケット全体の第1四半期決算の数字が判明したことになる。そこで、ここでは、この7/30に2010年3月期の第1四半期の決算を公表したヤオコーについて取り上げてみたい。

   まず、概要であるが、営業収益508.48億円(-2.4%)、営業利益22.91億円(7.8%)、経常利益22.52億円(5.1%)、当期純利益13.27億円(14.8%)と減収増益となるやや厳しい決算となった。この四半期は新店がなかったために、既存店のみの数字であり、既存店が伸び悩んだことが原因といえる。一方、利益の方は、すべての段階で大きく増加しており、増益となった。そこで、増益となった要因を原価、経費面からみてみたい。

   ヤオコーのこの第1四半期の原価であるが、347.72億円となり、売上対比71.5%である。昨年が71.4%であるので、0.1ポイント上昇がみられる。結果、売上総利益、いわゆる粗利は28.5%となり、昨年が28.6%であるので、0.1ポイント下がった。すなわち、原価が若干上昇し、粗利は下がっており、これが増益をもたらした要因ではないといえる。

   そこで、経費面を見てみると、今期は137.84億円となり、売上対比では28.3%である。昨年が28.4%であるので、0.1ポイント減少している。原価とは対照的な動きであり、経費がやや減少したことがわかる。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は0.2%となり、昨年も差し引き0.2%であるので、この時点では、差がないといえよう。したがって、原価、経費面から見る限り、結果の差はなく、マーチャンダイジング力は昨年同様の数字となった。

   では、増益の要因はどこにあるかであるが、当然、原価、経費外、すなわち、マーチャンダイジング力以外のところにあり、それが、不動産収入、物流収入等のその他営業収益であるといえる。そこで、その他営業収益を見ると、21.99億円となり、売上対比で何と4.5%にもなる。昨年が4.1%であるので、0.4ポイント、率にして109.7%伸びており、これが、この第1四半期、ヤオコーが増益となった最大の要因である。

   この結果を見る限り、恐らく、ヤオコーの経営幹部は納得していないのではないかと思う。本来、食品スーパーマーケットの経営としては、マーチャンダイジング力で勝負したいところであり、原価、経費の改善、すなわち、原価と経費を同時に引き下げ、マーチャンダイジング力を強めたいところであろう。そして、さらに、物流収入、不動産収入等を上乗せし、高い営業利益を勝ち取りたいところであろう。ところが、今期、第1四半期のヤオコーの結果は、経費は若干下げたが、原価が上昇し、差し引き、マーチャンダイジング力は改善せず、その他営業収入のプラスで増益を確保しており、恐らく本意ではないと思われる。次の中間決算までに、どれだけ、マーチャンダイジング力を改善できるか、その中間決算に期待したいところである。

   ただ、結果、営業利益は増益となったので、営業キャッシュフローは昨年よりは改善し、昨年が-2.71億円とマイナスであった数字が、5.69億円とプラスに転じた。とはいっても、その金額はわずかであり、特に、この第1四半期は法人税の支払いも重くのしかかり、営業キャッシュフローは可能な限り、増強しておきたいところであろう。しかも、ヤオコーは出店意欲が高く、今期も、投資キャッシュフローで出店関連の投資を22.33億円行っており、この営業キャッシュフローでは全く足りない金額となる。すなわち、キャッシュフローが逆流となり、結果、財務キャッシュフローで補わざるをえなくなり、借入金が増加し、さらに、足りない分を資産の現金を取り崩すことになる。

   実際、財務キャッシュフローでは借り入れが若干増加し、トータルキャッシュフローはマイナス、現金を取り崩す結果となった。第1四半期特有の結果ともいえるが、前期の本決算もヤオコーのフリーキャッシュフローはマイナスであり、そのマイナス分を財務キャッシュフローと、現金で補っており、順流のキャッシュフローに変えたいところであろう。そして、そのためにも、キャッシュの大本、マーチャンダイジング力をいかにプラスにするかが問われるところである。

   ただ、純資産比率は45.8%と上場食品スーパーマーケット平均の40.6%を超えており、有利子負債も金額では111.67億円と100億円を超えてはいるが、総資本比率では15.4%と平均の27.9%よりは低く、財務的には比較的安定しており、健全な財務状況といえよう。したがって、ストックよりも、フローの問題といえ、ここが、今後、ヤオコーの経営改善の当面の課題といえよう。

   このように、この2010年3月期の第1四半期のヤオコーの決算は減収増益となり、やや厳しい結果となった。また、増益となった利益もその要因を見ると、原価、経費が改善し、マーチャンダイジング力が上昇したのではなく、その他営業収入によるところが大きく、気になる結果である。また、増益となったにも関わらず、キャッシュフローが依然として逆流しており、財務、資産の現金に頼らざるをえない投資キャッシュフローとなっていることも気になるところである。ヤオコーが、次の中間、第3四半期、そして、本決算に向けて、どのように経営改善をはかってゆくかに注目したい。

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August 11, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (1)

August 10, 2009

食品スーパーマーケットのための財務3表連環表、完成!

    食品スーパーマーケット最新情報では、様々な食品スーパーマーケットの最新情報を発信しているが、その中でもここ数年、力を入れているテーマが上場食品スーパーマーケットの決算情報である。決算情報は日経新聞、業界専門誌等がこの時期になると特集を組み、また、速報でも報じる。これを見て、以前からしっくりこなかったのが、食品スーパーマーケットの決算速報、決算特集がどこか他人ごとのような分析となっており、食品スーパーマーケットの本質に迫っていないように感じていたことである。

   そこで、ここ数年、様々な独自の工夫を試み、本ブログでもその工夫の成果を踏まえて、食品スーパーマーケットの決算結果をいち早く分析し、発信してきた。昨年は、たまたま、業界誌から決算分析の依頼を受けたり、また、投資家の方から食品スーパーマーケットの経営内容についての見解を聞かれるなどがあり、食品スーパーマーケット上場企業の決算内容をまとめる機会があった。そして、今年も、今期決算の結果を踏まえたセミナーの依頼を受けるなど、少しづつであるが、工夫の成果がではじめている。

   昨年は食品スーパーマーケットの決算分析として、P/LとB/Sを連環させ、マーケティング力と出店余力、そして、借入依存度を分析し、食品スーパーマーケットの独自格付けを試みた。ただ、この時点では、CF(キャッシュフロー)の役割がはっきりしていなかった。そこで、今期は、昨年のP/LとB/Sの連環に加え、CFも連環させてみようと試み、ほぼ、その連環が完成し、3つの財務諸表、P/L、B/S、そして、CFが見事に連環する図表ができあがった。すでに、ブログの裏画面でその図表を公表しているが、かなり完成度の高い財務3表連環図ができあがったと思う。

   この財務3表連環表ができあがったことにより、食品スーパーマーケットの財務3表、P/L、B/S、CFの分析がスムーズにできるようになった。しかも、かなり時間をかけて、今回、思いきって、上場食品スーパーマーケット全52社の財務3表を連環させる一覧表をも作った。もっと早く完成させる予定であったのだが、思いの他、時間がかかってしまったが、現時点では、ほぼ納得のゆく一覧表ができあがったと思う。

   特に今回、力を入れたのは、P/L、B/S、CFを別々の表にして分析するのではなく、すべての指標を横一線に並べ、その連環を可能な限り、わかりやすくしたことである。しかも、食品スーパーマーケット全52社が一目で把握できるようにすることも重要であり、結果、巨大な1枚のExcelでのシートとなった。さらに、欲張って、出店戦略も同時に分析したかったので、各食品スーパーマーケットの都道府県別の出店状況もこの表の中に入れてしまった。
   
   その結果、食品スーパーマーケットの上場企業数は52社であるが、個別、連結があるので、縦100行、横100列を超え、データ入力数は10,000件ぐらいになったのではないかと思う。要するに、結果、約10,000件の巨大なExcelシートでの決算分析表ができあがったことになる。今後、この巨大な財務3表連環表をもとに、本ブログで、様々な分析結果を独自の視点で発信してゆきたいと思う。

   ところで、この財務3表連環表は、食品スーパーマーケット最新情報のブログに活用するだけではなく、恐らく、食品スーパーマーケットの経営者の方、従業員の方、メーカー、卸などの取引業者の方、そして、投資家、一般の方にも役に立つのではないかと思うので、今回、特別に有料とはなるが、広く提供してゆきたいと思う。本ブログから、申込みできるので、是非、アクセスください。
   
   さて、今回は、この財務3表連環表に、もうひとつ工夫を加えてみた。現在、日本の食品スーパーマーケットはナショナルチェーンは1社もなく、少なくとも、上場52社はすべて、戦略ドミナントを明確にした経営戦略をとっているのが実態である。実際に今回、全52社をつぶさに調べてみたが、各都道府県ごとにNo.1の食品スーパーマーケットが明確であり、2つ、3つの都道府県で同時にNo.1となっている食品スーパーマーケットはごくわずかである。それだけ、食品スーパーマーケットは戦略ドメインが明確であり、地域密着な業態であるといえる。したがって、分析にも、工夫を凝らし、52社一覧表と全国を7つのエリアに分けて、分析したものと2つのパターンを作ってみた。

   実際、7つのエリアごとに、立地戦略、マーチャンダイジング戦略、出店戦略、そして経営者の経営方針、心理などを分析してみると、その違いが明確であり、食品スーパーマーケットも様々な経営戦略があることがわかる。今回はここまでの分析でとどめているが、今後、これをもとに、さらに知恵を絞り、工夫すれば、新たな視点、分析も可能なように思える。

   本ブログでは、今回の財務3表連環表の完成を機に、今期の第1四半期、中間、そして、第3四半期決算の分析も試み、来期、2010年度版はさらに完成度の高い、より食品スーパーマーケットのための独自の分析に挑戦してみたいと思う。  
   
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August 10, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 09, 2009

日経MJ新製品週間ランキング8/7、カバー率から見る!

   日経MJ新製品週間ランキングが8/7公表された。この日経MJのランキングは金額PI値でのランキングであり、名称は来店客千人当たり金額(円)である。POSデータを集計する場合、通常金額PI値には2つの種類があり、ひとつは、集計全店舗の売上金額を集計全店舗の客数で割って算出する金額PI値であり、いわゆる金額PI総店である。そして、もうひとつは、その商品が販売されている店舗のみの客数で割って算出する金額PI値であり、これが金額PI扱店である。そして、この2つは、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店で関係づけられ、客数PI値が扱い店舗の客数÷全店舗の客数である。

   では、日経MJはどちらの金額PI値を使っているだろうか。名称は来店客千人当たり金額(円)であるので、判別がつかず、解説でもこのことについては触れていないので、わかりにくい。ただ、ヒントが集計データに隠されており、それが、カバー率である。日経MJでは、この金額PI値に加え、平均単価、カバー率を同時に公表しているので、ここから推測すると、この金額PI値はカバー率でカバーされた店舗での金額PI値、すなわち、金額PI扱店であると推測される。また、実際のデータをみると、カバー率が低い新製品でも金額PI値が高い数字のものが数多くあるので、金額PI総店では、カバー率が低い場合は金額PI総店は分母の客数が極めて大きくなり、数字は小さくなりがちであるので、ここからも、金額PI扱店であると推測される。 

   ここで、カバー率とは何かであるが、これは、扱い店舗数を集計店舗で割ったものであり、客数PI値に近い指標である。ただ、客数PI値と違うのは各店舗の客数がほぼ同じであれば、客数PI値もカバー率もほぼ同じ数字となるが、客数が大きく違う場合は、客数の多い店舗が客数PI値を引き上げてしまったり、逆に、カバー率は高いが客数の少ない店舗ばかりの場合は客数PI値が低くなったりし、双方の差が大きくなる傾向がある。また、理論的には、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店となるが、カバー率で金額PI総店と金額PI扱店をつなぐことはできず、カバー率は客数PI値に近い参考指標ということになろう。

   そこで、ここでは、カバー率を客数PI値に近い参考指標として、特に、今回はカバー率に重点をおいて、各新製品を見てみたい。また、すでに、本ブログでも3回に渡って取り上げてきた「PI値を商談に活用するには、その1、その2、その3!」も参考にしていただければと思う。

   まずは飲料であるが、今週、カバー率1位は花王、ヘルシアスパークリング500mlペットボトルであり、92.4%である。しかも、金額PI値も491円と飲料1位であり、安定度抜群である。これだけのカバー率で、金額PI値がAクラス500円に近い商品はめったになく、しかも、登場日が5/17ということでもあり、約3ケ月目ということで、十分、定番の重点商品として導入しても問題がない信頼度の高い数値といえよう。2位のアサヒ飲料、三ツ矢サイダーオールゼロ500mlペットボトルもカバー率87.2%と高い数値であり、しかも、金額PI値も407円と高く、登場日も5/14であるので、これも信頼度の高い新製品といえよう。一方、3位の森永乳業、MORINAGAミルク1000mlはカバー率が27.6%と低く、金額PI値は362円と高いが、カバー率からみると不安定な金額PI値といえよう。今後、カバー率が50%以上になっても、この数字が確保できるかはここからは判断できず、金額PI値は飲料3位の362円であるが、もう少し、カバー率が高い段階での数字をみたいところである。

   次に菓子であるが、1位はカルビー、じゃがりこツナマヨ58gであり、カバー率79.2%と高い数字であり、金額PI値169円である。2位もカルビー、かっぱえびせんフレンチサラダ味75g、カバー率は81.2%、金額PI値164円、そして、3位はロッテ商事、コアラのマーチ<チョコ>50g、カバー率は何と98.4%と極限に近く、今週の全新製品の中でNo.1である。金額PI値は132円であり、この3品が信頼度抜群といえよう。

   その他食品でも、菓子と同様、トップ3は森永乳業、ビヒダスプレーンヨーグルトBB536 450g、日清食品、カップヌードルシーフードヌードル75g、明治乳業、ブルガリアヨーグルトLB81脂肪0 450gであるが、カバー率は90.0%、90.8%、86.8%と極めて高く、金額PI値も655円、487円、425円とAクラス、Aクラスに近い数値であり、信頼度が高いといえよう。冷凍食品でも、1位のロッテアイス、爽ソーダフロート味190ml、2位のハーゲンダッツジャパン、クリスピーサンドクッキー&クリームホワイトチョコレート66mlのカバー率は92.8%、61.6%、金額PI値246円、174円であり、61.6%はやや気になるがいずれも信頼度が高い数値といえよう。

   そして、家庭用品であるが、残念ながら、カバー率の高い新製品はなく、1位のマックスファクター、SK-Ⅱフェイシャルトリートメントエッセンス215mlがカバー率わずか17.6%である。ただ、金額PI値は745円と今週の全新製品の中でNo.1であり、この信頼度をどう判断するかが難しいところであろう。平均単価も13,870円であるので、需要の見込める店舗をしっかり選定することが必須といえよう。

   このように、金額PI値の信頼性を判断するにはカバー率、可能であれば客数PI値が最適な指標であるといえ、高い金額PI値の新製品は、必ず、カバー率を確認し、新規導入を検討することが望ましい。カバー率が低い場合は、新製品の開発メーカーに開発の意図、導入成功事例等を確認し、さらに、今後のカバー率アップのための宣伝活動などを見て、品揃えに加えるかどうかを検討したいところである。

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August 9, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 08, 2009

キャッシュフローから経営者心理を読み解く、その2!

   前回は、CF(キャッシュフロー)における3つの分類、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、そして、財務キャッシュフローの実態を理解するのが意外に難しいことを解説した。その理由は、この3つが必ずしも順番に繋がっているわけではなく、時として、逆流が起き、キャッシュの流れが読みにくくなり、CFの判断が簡単にできない場合があるからである。特に、投資キャッシュフローが営業キャッシュフローを超えた場合が、まさにこれに当たり、営業キャッシュフローの不足分を財務キャッシュフローで補い、しかも、その原資が借入に頼った場合が要注意となることを解説した。

   そこで、今回は、いよいよ、本題に入り、このキャッシュフローの流れから経営者心理を読み解いてみたい。経営とはつきつめれば、入ったお金をどう配分するかにあるといえ、入りも大事な経営の要素であるが、それ以上に、配分はさらに重要な経営の要素といえる。なぜなら、お金の配分ひとつで、企業の将来が決まるし、それ以上に資本主義の根幹をなしている資本家、すなわち、株主の満足度が決まるからである。資本主義の最大の特徴は、企業経営が株主からの出資でスタートすることであり、株式会社である限り、株主からの資本は永遠に残り、株主に対しては最大限の利益還元が必要といえる。株主への利益還元ができないのであれば、それは企業経営の根幹にかかわることでもあり、株主から委託された経営陣がその責任を問われても仕方ないといえよう。

   したがって、株式会社である以上、株主への配当は経営の最優先課題といえ、この配当がどのくらい配分できるかが、事業の専門家である経営者の株主から委託された最大の使命ともいえよう。そして、配当を含め、詳細なキャッシュの配分を表したものが、キャッシュフローといえ、この配分をみることによって、株主から経営を委託された経営者の経営哲学、さらには、現状、何を優先して経営に取り組んでいるか、株主のことをどうのように配慮しているかなど、経営者の心理の機微までが推測できるといえる。

   では、どのように、CF(キャッシュフロー)から、経営者心理を読み解けば良いかを掘り下げてみたい。まず、キャッシュフローの出発点は営業キャッシュフローである。この営業キャッシュフローの最大の項目が純利益である。これ以外にも減価償却費など、様々な項目があるが、最重要な営業キャッシュフローの項目は純利益といえよう。したがって、この純利益が順調にP/Lから上がってくるかが、まず、経営者のはじめの心理に重要な影響を与える。

   純利益が十分にP/Lから上がってこないと、その時点で、次の投資キャッシュフローへの不安が生じることになる。投資は企業経営にとって最重点課題といえ、特に、食品スーパーマーケットでは投資=新規出店といってもよく、新規出店が止まれば、成長がとまり、この状況が長く続くと、やがて、企業経営に支障をきたすからである。そこで、このような場合、経営者心理としては、何としても成長を優先させたいという動機が強く働き、営業キャッシュフローで足りない分を財務キャッシュフローで補おうとしたくなる。これが逆流のキャッシュフローを生むことになる。特に財務キャッシュフローの中でも、借入に頼ることとなり、この借入を加え、投資を完結させようという心理が働くことになるが、この時、横目でみるのが、B/Sの負債の状況である。これをにらみながらの借入となり、このバランスをどのようにとっているかが経営者の心理そのものを表しているといえよう。

   そして、何とか投資ができた場合、最終的に配当をどのくらい財務キャッシュフローから行うか、その配分にまさに、経営者の心理が凝縮されるといっても過言ではない。できれば高い配当を出したいところだが、財務キャッシュフローの中では、借入の返済も必要である。また、将来の不確定要素、あるいは、今後の着実な投資のためにも現金の蓄積も必要である。これらを考慮すると、いったい配当はどのくらい可能なのか、ここが実に難しい経営判断となる。

   この配当に関しては、営業キャッシュフローが順調な場合も、同様に困ることになる。キャッシュフローは順流となり、投資も順調に配分でき、財務キャッシュフローが、借り入れなしで潤沢になった場合である。いったい、配当をどのくらいにすべきか、経営者心理としては、悩むに悩むところであろう。

    このように、CF(キャッシュフロー)には、まさに経営者の悩みに悩んだ経営心理が凝縮されているといえ、特に、各項目の配分をみることによって、経営者が投資をどのように考えているか、負債をどうらえているか、そして、何よりも重要な株式会社の原点ともいえる投資家、株主への配慮がわかるといえる。まさに、CFは経営者の揺れ動く心理を表しているといえ、ここに、経営のすべての結晶があるともいえよう。今後、決算書、特に、CFを見たら、ぜひ、そこから、経営者の経営哲学、その心理状態にまで踏み込んで欲しいと思う。そうすることによって、P/L、B/Sもさらに理解が進むことになると思う。

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August 8, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 07, 2009

キャッシュフローから経営者心理を読み解く、その1!

   一般に財務諸表はP/L(損益計算書)、B/S(貸借対照表)、そして、CF(キャッシュフロー)の3表から成り立ているが、この中で、最も新しい財務諸表がCFである。CFは現金の流れを素直に表にしたものであるが、その実態をつかむことは意外に難しい。ただ、その流れがつかめると、このCFから経営者の微妙な揺れ動く経営心理をつかむことができる。その意味で、CFは財務3表の中では最も、企業の経営方針、経営者の決断、その経営決断にいたった経営者の心理状況が垣間見えて、興味深いものである。

   CF(キャッシュフロー)がなぜ、わかりにくいかというと、キャッシュ(お金)の流れが直線ではなく、逆流する場合もあり、そこを読み解くのが意外に難しいからである。CFの分類は大きく、3つに分かれ、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローとなるが、この3つが順番に直線でつながらないところに理解しづらい原因があるといえよう。

   通常、CFを分析する時には、この3つがプラス、マイナスの場合があるので、2の3乗の8パターンで分析することが多い。8パターンとは、営業キャッシュフローがプラスの場合、マイナスの場合、投資キャッシュフローがプラスの場合、マイナスの場合、そして、財務キャッシュフローがプラスの場合、マイナスの場合であり、プラス、プラス、プラスからマイナス、マイナス、マイナスまでの8パターンが存在する。ただ、この8パターンに序列、すなわち、良い、悪いをつけることはあまり意味がなく、その中身を精査しないと問題がつかめないのが実態である。

   なぜか、それは、お金が直線的に流れない場合があり、逆流する場合があるからである。逆にいえば、この3つの分類はそれぞれが、順番に直線でつながっているのではなく、逆流する場合もあり、それが、順番に直線的に表現されているところにわかりにくさがあるといえる。

   CFの中で、企業の最も重要な判断は投資キャッシュフローであるといえよう。なぜなら、投資が企業の成長を決定づけるからである。特に、食品スーパーマーケットの場合は新規出店が投資にあたり、新規出店ができなくなった食品スーパーマーケットは成長がとまり、やがては、衰退してしまうからである。

   この投資キャッシュフローはCFの中では、営業キャッシュフローの次にあり、その次が財務キャッシュフローである。したがって、このCFの表を見る限り、キャッシュの流れは営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローへと直線的に流れているように思える。事実、フリーキャッシュフローを計算する時には、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローを足し、その合計をフリーキャッシュフローとし、財務キャッシュフローへとつなげるのが一般的であり、これを見る限り、キャッシュは直線で流れているように思える。

   ところが、実際のCFを分析すると、投資キャッシュフローを営業キャッシュフローで賄えない場合が多々存在する。この場合、投資キャッシュフローのマイナス分を営業キャッシュフローで賄えないので、足りない分を財務キャッシュフローで賄うこととなる。すると、キャッシュの流れに逆流が加わり、財務キャッシュフローから投資キャッシュフローへというキャッシュの流れが生じる。これが逆流のキャッシュフローである。主な財源は、金融機関から借り入れを起こす場合が多いが、そのキャッシュを投資キャッシュフローの不足分に充てることになる。したがって、投資キャッシュフローへのキャッシュの流れが、営業キャッシュフローからの流れと、財務キャッシュフローからの流れとの2重の流れが生じることになる。

   さらに、このような逆流のキャッシュフローが起こった場合、財務キャッシュフローの中身も、本来であれば、株主への配当、資産への現金の計上を、順流の流れであれば、営業キャッシュフローの範囲内で賄えるのであるが、逆流となると、借入金で配当を行い、借入金から投資を引いた残りを資産へ現金計上する場合もある。一見すると、配当を出し、現金も増加し、健全な経営のように見えるが、CFの中身は、借入に依存した財務構造となり、結果、純資産の減少、負債に大きく依存した経営を余儀なくされ、経営の選択肢が狭まることになり、窮屈な経営となる。

   このように、CF(キャッシュフロー)は、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフロー、そして、財務キャッシュフローと直線的にキャッシュの流れが順流で説明できる場合は、極めてわかりやすい財務諸表のひとつであるが、逆流が生じた場合は、一転、理解が難しくなる。特に、投資が多額に及び、営業キャッシュフローで賄えない場合や、営業キャッシュフローが減益決算となり、厳しい場合には、金融機関から借入を起こし、財務キャッシュフローで投資キャッシュフローを賄う、逆流のキャッシュの流れが生じる。しかも、その余力で配当、現金の計上が行われると、CFからだけでは、経営判断が難しくなり、負債、純資産の結果も合わせてみないと実態がつかめないことになる。したがって、この辺の微妙な判断が極めて重要な経営判断でもあり、ここに、経営者の経営心理が強く表れるといえよう。次回、この点をさらに、掘り下げてみたい。

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August 7, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 06, 2009

Chain Store Age、8/15号、ガムの市場動向を投稿!

   チェーンストアエイジ、最新号、8/15号でガムの市場動向について投稿した。このガムの投稿はMD特別リポートの第3弾となるもので、前回のガムのPI値分析についで3回目の投稿となる。今回は、「2009年上半期、ガム市場のトレンドを振り返る」と題し、小売業の視点からヤオコー、メーカーの視点からロッテ、そして、専門家の視点からということでの投稿となった。内容は、「データで検証する上期のトレンド」、「バランスの重要性」という大きく2つのテーマの記事となった。参考に直近の最新データ5月度のベスト10にもとづき、過去5ケ月間の金額PI総店の順位を示したPOS分析の一覧も加えた。

   この記事を作成する上において、TOP-NAVI-NETの過去5ケ月の全国約400店舗のガム売場のPOSデータの詳細な分析を行ったが、大きく3点が浮かびあがった。1つ目は、不動の重点商品が厳然として存在すること、2つ目は新商品が激しく動いていること、そして、3つ目は、品揃えが極めて重要であることである。POS分析から得られるガムのマーチャンダイジングは、この3つにつきるともいえ、この3つのバランスをいかに売場で表現し、顧客にアピールするかが決め手といえよう。

   1つ目の不動の重点商品であるが、8/15号に掲載されているベスト10を見ても明解であるが、記事でも指摘したが、ベスト5は不動といってもよく、この5ケ月間ほとんど順位の変動がなく、極めて安定した売上を確保しているのが実態である。特に、ベスト4は金額PI扱店が5月度の直近の数字で200円を超える極めて高い数字であり、しかも、客数PI値30%を優に超えての数字であるので、信頼度も極めて高い数字といえる。

   ガムの客数PI値30%は、前回のこのシリーズの第2弾で取り上げたように、ガム約500品の内、35品しか存在せず、全体の10%以下の限られた商品といえる。したがって、30%以上の客数PI値はガムの中では極めてメジャーな商品であるといえ、その中でも金額PI扱店が200円を超えるということは幅広い顧客から、深く支持されているということであり、まさに、定番中の定番といえよう。

   しかも、この定番中の定番はガム全体の売上を大きく左右する影響力があり、食品スーパーマーケットでガムの診断を実施すると、ガムの売上が伸び悩む最大の要因が、この定番中の定番が不安定であることが多いのが実態である。逆に、この定番中の定番をしっかりフェイスを取り(在庫を確保)、24時間、365日欠品のないオペレーションを組むことが確立できれば、ガムの売上を大きく落とすことなく、安定した売上を確保することができるともいえる。その意味で、ガムの最優先課題は、この定番中の定番の重点商品をしっかり売り込むことが何をおいても先決であるといえる。

   2つ目が新商品であるが、これは、ベスト10の表を見れば一目瞭然であるが、10品の内、2品がここ数ケ月以内に発売された新商品であり、いずれも、発売後、ベスト10に上がってきており、しかも、その後もベスト10を下回ることなく、安定した売上を確保していることである。ガムは、このベスト10の内、2品、すなわち2割ぐらい新商品が占めているのが実態であり、記事の中でも触れたが、この時は約700品の販売実績のあるガムの内、200品が過去1年以内に登場した新商品であり、比率にして30%弱となる。したがって、上位に上がってくる新商品は約20%強と見て良いといえ、その中でも、ベスト10に入り、安定した商品があれば、これは、重点商品と同等にしっかりと売り込む必要があるといえる。

   たまたま、8/3の日経MJでロッテの「フィッツ」のID-POS分析の記事、「レシートデータ、ヒット分析」が掲載されていたが、まさに、今回の投稿記事の中でも5月度は6位にランクインしており、客数PI値56.40%、金額PI扱店125.50円、掛けた金額PI総店70.76円と堂々たる数字を確保している。ここ最近では稀に見る大ヒットの予感漂う雰囲気を醸し出している数字結果である。日経MJの分析結果でも、15-29歳の購入比率が高く、しかも通常のガムよりも女性比率も高い傾向がでており、CMの独特な踊りとも相まって、今期は期待が持てる新商品といえよう。

   そして、3つ目が品揃え商品であるが、これも、POS分析をすると明解であり、重点商品は1品1品は確かに高い数字を示すが、ベスト20品でも売上全体の約40%ぐらいであり、ガムの売上の残り約60%は品揃えが鍵を握っている。この5ケ月間の数字を見ても、これは全く同じ傾向を示している。したがって、いかに、品揃えを機能、食感、プライスラインなど、様々な角度から重複することなく、幅広く品揃えすることがポイントであり、できば、70から80SKUぐらいは欲しいところである。

   このように、今回は、この5月度までの5ケ月間のガムのPOS分析をもとに、上期のガム市場のトレンドを振り返ってみたが、前回、過去1年間の年間データで分析した結果と、大きな流れは一致しており、重点商品、新商品、そして、品揃えの3つのバランスをどうとるかが、ガムは極めて重要であることが改めて確認できた結果となった。下期はこの結果を踏まえ、さらに、ベストバランスを追求し、ガムの安定した売上を確保して欲しい。

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August 6, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 05, 2009

コンビニ、組合結成、日経ビジネスオンライン特集記事!

   8/4の日経ビジネスオンラインでコンビニの記事が掲載された。日経ビジネスオンラインは、時々、流通関連の記事が特集されるが、取材がしっかりなされ、内容の深いものが多く、参考になる。今回のテーマも、「セブン-イレブン本部との戦いに民主党・小沢氏も参戦、フランチャイズ法制定目指し、コンビニオーナー支援」というものである。段落ごとの小見出しを見ると、「当たり前の自由な選択を我々にください」、「8月4日は岡山に行く。必ず空けておいてくれ」、「姫井さんから、政党支援を頼まれたことは1度もない」、「コンビニはますます地域密着型になる。そこが、狙いでは」という、4段構成であり、全3ページにわたる内容である。

   コンビニ問題は民主党の姫井議員が取り組んでいたことはホームページ等で知っていたが、その経緯と目的がよくわからなかった。今回、この記事を読んで、姫井議員がコンビニ問題に取り組んだ経緯も示され、なぜ、岡山県で決起大会が開かれるのかなどの理由もわかり、さらに、小沢氏が、なぜ、この決起大会に来賓としてあいさつするのかも推測でき、非常に興味深い内容であった。

   今回のコンビニ問題は、早くから問題になっていたことであるが、注目を浴びたのは、本ブログでも何回か取り上げているが、6/22の公正取引委員会が出したセブンイレブン・ジャパンへの排除措置命令が発端といえる。その後、すぐに、セブンイレブン・ジャパンは廃棄の15%分を本部が負担することを決め、その後の対応を検討していたが、ここへ来て、公正取引委員会の排除措置命令を受け入れることを決断したようである。ただ、この記事にもあるように、セブンイレブン・ジャパンのこれまでの廃棄、値引きの条件には、組合を結成しようとしているオーナー側は納得していないようで、組合結成後は、本部との本格的な交渉がはじまる見通しである。

   それにしても、本来、コンビニ問題は、今回、注目されている廃棄、値引きの問題だけでなく、もとをたどれば、セブンイレブン・ジャパンの1号店が酒屋からの転身であったように、実は、日本の商業問題そのものが原点であったように思う。小沢氏が今回コンビニ問題に注目しているのも、記事にもあるように、最終的には、コンビニの約4万店のフランチャイズチェーン店のオーナーに加え、他のフランチャイズチェーン20数万店のオーナーを含め、そのオーナーを保護するための法律案を視野に入れていることにあるようである。見方を変えれば、これは、商業問題への政治的な対策のひとつともいえ、従来、行われてきた商店街などへの補助金等とは一線を画す、新たな商業問題への対応ともいえよう。

   コンビニが日本で完全に定着し、いまや商業の最先端ビジネスのひとつとなったが、もとは、商店街の酒屋、お菓子屋、雑貨屋、八百屋、果物屋、たばこ屋、そして、よろづやなどのお店が、清水の舞台から飛び降りる覚悟でセブンイレブンなどのフランチャイズチェーンに参加したのが始まりといえる。したがって、コンビニは商業がかかえる様々な経営困難な問題を最先端のビジネスモデルを通じて解決していった歴史ともいえ、本来、もっと商業者のためを思い、商業者にやさしい仕組みをつくるべきだったのかもしれない。今回、ここまで、問題がこじれ、公正取引委員会まで介入し、さらに、政治が介入せざるをえなくなったのも商人の本来もっていた商売の原点ともいえる価格決定権をオーナーから実質奪う仕組になってしまったことに問題の本質があるように思える。

   商売とは突き詰めれば、仕入と販売、そして、その差額で儲けるビジネスであるといえる。コンビニの仕組みはある意味、仕入価格、販売価格、どちらも、商人から価格の決定権を代行(実質奪い)し、商人としての存在意義、そのものを薄めてしまったことに問題の本質があるように思える。今回のコンビニ問題は、この本来商人がもっていた価格決定権をどこまでオーナー側が実質上もつことができ、しかも、廃棄、値下げによるロス分をどう本部とオーナー側で負担するかの配分比率をどのくらいにするかにあるといえる。ただ、恐らく、これにとどまらず、さらに、商人としての本来の商売の原点に、このコンビニのビジネスモデルをいかに近づけていけるかの議論が本部、組合双方の側でなされていくのではないかと思う。

   通常のビジネスは経営者と従業員で完結するものであるが、フラインチャイズビジネスは本部と加盟店で成立するものであり、しかも、加盟店は独立のオーナー、特に、もと何らかの小売の商売を行っていた商人であることが多く、商人としての原点を強く保ったまま、フランチャイズビジネスに参加している場合が多い。また、フラインチャイズビジネスもそれが基盤であるともいえる。その意味で、今回のコンビニ問題は、改めて、フラインチャイズビジネスそのもののビジネスモデルを、商人というキーワードをもとに、再構築せざるをえない段階に入ったともいえよう。8/4のコンビニ加盟店ユニオンの決起大会が、今後、どのように推移してゆくのか注目である。

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August 5, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 04, 2009

家計調査データ、2009年6月度、99.8%、微減!

   7/31、総務省統計局から2009年6月度の家計調査データが公表された。同時に公開された消費者物価指数(CPI)については、本ブログでも取り上げたが、デフレ傾向が鮮明な結果であった。したがって、このデフレ傾向の消費の中で、家計の実態はどうかが、この数字に反映されているといえ、結果が気になるところである。その結果であるが、全体が1世帯1日当たり9,241.23円(98.3%)、外食を除く食品が1,985.97円(99.8%)となり、昨対をクリアーすることはできなかったが、特に食品は微減にとどまり、デフレ=消費減とはならかったようである。ただ、デフレはこれからが本番といえ、今年の10月までは予断を許さない状況が続くので、注意深く、消費状況を見守る必要があろう。

   この6月度の家計調査データで最も注目すべきは、6/1から施行された改正薬事法の影響であろう。数字を見てみると、この6月度は保健医療450.60円(112.4%)と大きく伸びている。消費額全体が先に見たように98.3%であるので、112.4%は異常値といってよい伸びである。5月度387.35円(101.6%)、4月度388.50円(93.1%)であるので、この6月度は全体が好調である。ただ、この好調さは、改正薬事法の結果が反映されたというようよりも、保健医療関連全般が好調であり、中分類で見ると、医薬品69.23円(124.9%)、保健医療用品・器具74.80円(110.8%)、保健医療サービス269.90円(111.7%)等が伸びていることによる。

   これも、一見すると医薬品の124.9%が改正薬事法の影響のようにも見えるが、その中身を見てみると、この伸びは、ほぼここ1年間続いており、この数ケ月を見ても、6月度はいま見たように69.23円(124.9%)であり、5月度67.74円(128.7%)、4月度68.47円(120.7%)という状況である。そして、その中身であるが、その好調さを支えているのは、他の医薬品であり、これが、6月度34.83円(158.1%)、5月度35.90(166.6%)、4月度39.20円(155.8%)と、異常値であったためである。

   では、改正薬事法に直接かかわる項目はどうかであるが、家計調査データの項目では感冒薬、胃腸薬が別途集計されているので、この2つを見ると、感冒薬は、6月度3.97円(111.2%)、5月度4.77円(102.1%)、4月度4.53円(87.2%)である。また、胃腸薬は、6月度3.33円(114.9%)、5月度3.35円(101.0%)、4月度3.00円(94.7%)という状況である。したがって、明らかに、数字が跳ね上がっており、改正薬事法の施行の影響といえよう。ただ、保健医療、医薬品全体を押し上げるほどのインパクトはなく、あくまで、感冒薬、胃腸薬等の大衆薬に限定された消費の押し上げにとどまったといえよう。

   では、食品はどうであったかを見てみたい。食品の中で、伸び率が高かった大分類を見てみてみると、飲料が最も高く139.90円(106.8%)であり、ついで、果物100.33円(103.9%)、菓子の203.20円(102.9%)である。この3部門が堅調な伸びを示しているのが、この6月度の特徴である。

   では、この3部門の中で、特に、伸びている項目を見てみると、飲料では、紅茶2.67円(135.6%)、炭酸飲料10.50円(119.8%)、コーヒー飲料12.50円(118.3%)、茶飲料18.40円(114.0%)等が良く伸びている。果物は消費者物価指数が食品の中では最も下落率が大きかった部門であるが、もも3.17円(143.9%)、ぶどう4.63円(128.7%)、キウイフルーツ5.67円(122.3%)、バナナ18.23円(118.4%)等が良く伸びている。そして、菓子であるが、菓子は消費者物価指数が果物とは対照的に大きく上昇している部門であるが、カステラ2.33円(122.8%)、ビスケット9.20円(118.5%)、キャンデー6.63円(117.8%)、アイスクリーム・シャーベット27.30円(112.7%)等が良く伸びている。

   また、大分類では消費が伸び悩んだ項目の中で、特に伸びが顕著であったものを見てみると、ぶどう酒7.70円(145.3%)、しじみ1.37円(124.2%)、いわし2.27円(119.3%)、たこ4.30円(117.3%)、こんぶ2.70円(117.4%)、マーガリン2.77円(115.3%)、ぎょうざ5.60円(116.7%)であり、この項目が115%以上、消費が伸びている。これを見ても、115%以上伸びた項目はさほど多くはなく、この6月度は大きく伸びた項目が少なかったといえよう。

   一方、逆に、伸び悩んだものを見てみると、大分類では、酒類125.90円(96.4%)、魚介類218.10円(96.5%)、肉類208.87円(96.7%)、穀類220.67円(98.7%)が伸び悩んだ。また、特に厳しかった項目を見てみると、即席めん3.57円(88.4%)、たい3.50円(86.8%)、かまぼこ7.03円(72.0%)、はくさい1.40円(89.4%)、にんじん6.07円80.2%)、かぼちゃ5.23円(88.7%)、納豆9.60円(89.7%)、りんご6.57円(86.4%)、グレープフルーツ3.33円(88.5%)、食用油10.47円(87.2%)、食塩2.23円(89.3%)、風味調味料4.80円(88.9%)、まんじゅう3.73円(78.9%)、チョコレート7.27円(88.3%)、緑茶12.73円(89.9%)、ビール42.93円(88.6%)、ウイスキー3.27円(89.9%)等が10%以上、消費額が下がった項目である。

   このように、この6月度はデフレ基調のさ中の家計の消費状況であったが、全体としては大きな落ち込みはなく、微減の結果となった。また、改正薬事法の施行による一定の効果は見られたが、医薬品を大きく押し上げるまでにはいっていないといえよう。そして、食品全体に関しては、消費者物価指数が大きく上昇した菓子と逆に下落した果物、双方が好調であり、現段階ではデフレ傾向が家計の消費に大きく影響を与えているといえない状況である。今後、デフレ基調は続き、さらに強まると予想されるので、消費環境がどのいように変化するか、注意深く見守る必要があろう。

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August 4, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 03, 2009

消費者物価指数(CPI)、2009年6月度、デフレ鮮明!

   消費者物価指数(CPI)、2009年6月度の最新速報が7/31、総務省統計局から公表された。消費者物価指数は3つに分けて集計されており、1つ目が総合指数、2つ目が生鮮食品を除く総合指数、そして、3つ目が食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数である。すべて、総合指数であるが、生鮮、エネルギーの物価が不安定なため、より、正確な消費者物価指数を把握するために、不安定要素を取り除いてゆくものと思われる。その結果であるが、1つ目の総合指数は、平成17年度比で100.4%、前年同月比で1.8%の下落となった。また、2つ目の生鮮食品を除く総合指数では平成17年度比で100.3%、前年同月比で1.7%の下落、そして、3つ目の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数では、平成17年度比で98.7%、前年同月比で0.7%の下落となり、いずれの総合指数も前年同月比では下落するというデフレ傾向が鮮明な結果となった。

   なお、この3つの数字はいずれも、過去1年間の月別推移で、過去4年間の折れ線グラフ化も同時に公表されているが、それを見ると、下落傾向はより鮮明である。特に、総合指数は4月度までは昨年と同様な傾向であったが、先月の5月度から下落傾向が鮮明になった。昨年は5月から値上げ問題が本格化し、グラフは右上がりに上昇し始め、9月まで急上昇を続け、その後10月は横ばい、11月からは、逆に、急効果をはじめている。まさに、9.15のリーマンブラザーズショックが転機となったといえ、消費者物価指数が、上昇も下落も金融の投機に翻弄された構図となっている。

   この異常な動きが昨年のグラフに鮮明に表れており、それと比べての今年であるので、まさに、グラフは5月度から対照的な動きとなっており、昨年度のグラフと今年度のグラフがちょうど扇型に拡大しており、昨年度が上昇、今年度が下落となり、その開きが急拡大している状況である。しかも、5月までは、一昨年、その前年よりも消費者物価指数は高い状況であったが、これも、この6月度はほぼ同じ水準まで下がり、このままゆくと、7月度は過去4年間では最低の下落率になる可能性が高まったといえる。グラフから見る限り、この10月まではさらにその差が開くことが想定され、今後4ケ月は極めて厳しいデフレとなるものと予想される。

   ちなみに、総合でみた場合の寄与度、すなわち、前年同月比が1.8%の下落となった最大の要因はガソリン0.90ポイント、灯油0.37ポイントと、この2項目の下落率が極端に大きく、ついで、生鮮食品0.15ポイントとなる。逆に、このデフレ傾向が鮮明な中で、逆行しているのが、生鮮食品を除く食料であり、0.11ポイントの上昇である。食品はその意味で複雑な動きをしており、生鮮食品は下落、非生鮮食品は上昇という、この6月度は結果となった。

   そこで、食品関連に絞って、前年同月比の数字を見てみると、まず、大分類では、穀類-0.3%、魚介類-0.9%、肉類-1.6%、乳卵類0.9%、野菜・海藻-1.3%、果物-4.4%、油脂・調味料-2.0%、菓子類3.0%、調理食品1.2%、飲料-2.5%、酒類-0.7%という結果であった。確かに、生鮮食品は全滅であり、すべて、前年同月比が下がっている。特に、果物は深刻であり、食品の中で最大の下げ幅である。

   これに対し、非食品はバラバラの動きであり、油脂・調味料、飲料は特に厳しい数字であり、酒もマイナスである。一方、菓子、調理食品、乳卵類は物価が上昇しており、この3項目、特に、菓子は果物と対照的に大きく上昇しており、食品の物価全体を押し上げているといえよう。

   そこで、さらに、菓子について消費者物価指数、前年同月比が特に上昇した項目を見てみると、キャンデー23.8%、ポテトチップス11.7%と、この2項目が10%以上の上昇である。ついで、プリン5.0%、せんべい(小麦粉)4.9%、カステラ3.3%、ビスケット3.1%が3.0%以上上昇した項目であり、ほとんどの菓子がプラスであり、マイナスの菓子はゼリーの-1.7%のみであり、全面高といってよい様相を呈している。これは、原料となる小麦粉が依然として、7.1%の上昇と高い水準にあることが原因といえ、これに連動した動きであるといえよう。ただ、小麦粉関連の他の項目を見ると、干しうどんは6.2%と上昇がみられるが、即席めんは-0.3%、食パンは-4.8%と下がっているものも見られ、価格競争が厳しい商品は消費環境に沿った動きがみられるといえよう。

   余談だが、イオンが小麦の原料調達に入り、PB等で、より原価を改善し、価格を引き下げる方針を打ち出したが、この消費者物価指数のこの6月度の結果をみる限り、食品はまさに小麦粉問題が大きいといえ、ここにメスを入れることは正解といえよう。ただ、この状況は11月以降は、先のグラフからもわかるように局面がかわる可能性も高く、小麦粉問題もさらに変わる可能性もあり、今後とも、菓子類の高値安定が続くか予断をゆるさない状況ともいえる。

   このように、消費者物価指数が先月5月から明らかに下落傾向が鮮明になり、この6月度さらにその傾向が強くなったことで、今後10月度までは下落傾向がほぼ確定したといえよう。したがって、当面、食品スーパーマーケットとしては、デフレ環境の中での商売となるといえ、昨年とは全く逆の戦略で臨むことが重要な政策となったといえよう。大手小売業はますます価格競争を強めてくることが予想され、食品スーパーマーケットにとっては、平均単価の下落幅を上回るPI値アップ、そして、客数アップが当面のマーチャンダイジング戦略といえよう。食品スーパーマーケットにとっては、厳しい夏となりそうである。

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August 3, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 02, 2009

PI値を商談に活用するには、その3!

   これまで、2回に渡って、「PI値を商談に活用するには、・・」について解説してきた。特に、新規商品について中心に解説をしてきた。そこで、今回は、もうひとつの、商談のポイント、すでに採用された商品について、どうPI値を商談に活用するかを解説してみたい。商品の新規採用ためのPI値活用に関しては、できるだけ多くの店舗のPOSデータをもとに、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店を算出し、特に、客数PI値をもとに提案を行ってゆくことがポイントであることを示した。では、すでに採用されている商品に関してはどのようにPI値を活用すれば良いだろか。

   結論からいえば、2つの角度からのPI値の活用が望ましい。ひとつは、新規採用にも活用した、できるだけ多くの店舗のデータをPI値分析した、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店の活用である。ただ、これには、多少の工夫が必要である。その工夫とは、前回、商談をし、採用が決まってから、現在までの、推移を示すことである。そして、もうひとつは、その数字を補うことにもなるが、商談した小売業側のPOSデータをもらい、独自に分析し、工夫を凝らした独特の提案を行うことである。特に、ここでは、後者、独自工夫の独特の提案を重視した解説をしてみたい。

   まず、新規採用の際にも活用したPI値分析のデータであるが、これは、原則、時間的推移を入れ、自社のポジションがどのように変化したかを示すことがポイントである。さらに、その数字と、実際の小売業側との数字を見比べ、全体よりも高い数字であれば問題はないといえるが、低い場合は、商品カットされかねず、ひと工夫が必要となる。それが、小売業からもらうPOSデータの独自分析となる。

   ここ数年、小売業はすごい勢いでPOSデータの公開が始まっており、データの公開に関しては、まず、問題がない状況にあるといえ、入手の難しさはないといえよう。そこで、まず、どのようなデータを入手するかであるが、そのためには、PI値をどのように活用するかが先である。

   メーカーにとって活用すべきPI値は新規商談の時にも活用したPI値分析をできればそのまま活用したいところである。すなわち、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店である。ただし、他店を分析したデータの時とは若干違い、金額PI総店は小売業側の全チェーン店全店であり、金額PI扱店は小売業側の商談で導入した商品の扱店舗の金額PI値であり、客数PI値は導入店舗の客数を全チェーン店の総客数で割った数字である。さらに、新規採用の時は、金額PI扱店までで、提案が十分に可能であったが、既存商品の場合は、もう一歩すすめ、金額PI扱店=数量PI扱店×平均単価まで落としたいところである。ここまで、落とし込むことによって、金額PI扱店が高い場合も、低い場合もその原因が数量PI扱店にあるのか、平均単価にあるのかを突き詰めることができるからである。

   数量PI扱店に問題がある場合は、欠品、鮮度劣化、販促、棚割、レイアウト等に原因があると思われ、平均単価に問題がある場合は、プライスライン、他の商品との価格差、あるいは、品揃え等に問題があると思われ、次の、金額PI扱店の改善に踏み込みやすいからである。さらに、もうひとつのポイントは、全店舗のサマリーデータだけでなく、店舗別の個々の店舗のデータも小売業から入手することである。このデータを入手することにより、どの店舗、あるいは、どの店舗グループに問題があるかが一目瞭然となり、店舗グループの作り方を工夫すれば、自社の商品がなぜ、そのチェーンで伸びているのか、あるいは伸び悩んでいるかまでわかるからである。

   一般にバイヤーはその主な役割が商品の仕入れと物流(配荷)にあり、店舗個々の状況まで目が行き届かないのが実情である。まして、個々の単品ごとの問題点については重点商品であればある程度把握しているが、それ以外の商品に関しては店舗ごとの問題点を把握するのは困難といえ、まして、店舗グループを自由に組み替え、問題を発見するところまで、落とし込んでいる余裕はないといえよう。したがって、そこをメーカー側が単品レベルで、バイヤー以上に店舗ごとに把握し、自由に店舗グループを組みかえるなどし、商品が伸びている要因、逆に伸び悩んでいる要因を落とし込んで、レポートしてあげれば、既存商品のさらなる売上アップに結び付くものと思われる。

   特に、金額PI総店と金額PI扱店のギャップが大きいものほど効果が高いといえる。当然のことであるが、客数PI値100%、すなわち、全店にしっかり品揃えされた場合は金額PI総店=金額PI扱店となり、この場合は、金額PI扱店=数量PI扱店×平均単価に落とし込み、これを各店舗ごとに分析し、さらに、自由に店舗グループを作り、課題と今後の対策を明確にすることがポイントである。できれば、売場写真を添えてあげれば、さらに、良い改善提案に結びつくといえよう。

   このように、PI値を商談に活用するには、メーカーとしては、商品の新規採用と既存商品の活性化に分けて考えるのがポイントであるといえよう。そして、どちらも、基本のPI値分析は、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店であり、新規採用の場合は、他社のPOSデータをできるだけ多く集約した分析結果が望ましく、既存商品の場合は、そのチェーンのPOSデータに比重を移し、個店にまで踏み込み、独自の視点を入れて提案することが望ましいといえよう。

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August 2, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

August 01, 2009

PI値を商談に活用するには、その2!

   1回でまとめようと思っていたPI値の商談への活用であるが、2回目となってしまった。こうなったら、じっくりと、この問題に取り組んでみたいと思う。また、時々、この観点から、日経MJ、新製品週間ランキングも取り上げるので、その時は、再度、このブログを参考にしていただければ、より、自社の商品の商談に役立つのではないかと思う。また、過去のブログでチェーンストアエイジ関連のものは、ほとんど、この観点からとらえたものであるので、参考にしていただければと思う。

   さて、2回目、その2であるが、前回の自社の商品の新規採用についての後半の部分をもう少し掘り下げてみたい。POSデータは小売業からしか得られないデータであるため、従来は、小売業が自社のマーチャンダイジングへの活用のために活用していたのが実情である。そして、その時、より、データを客観視するために生まれた指標のひとつがPI値であるといえる。PI値が普及する以前は、売上構成比が主な客観指標であり、私が約20年前にPI値の研究に取り組み始めた時には、コンサルティングも売上構成比が主流であった。特に、売上構成比は、相乗積と相性が良く、様々な商品どうしの粗利を計算するためには必須の指標であったため、粗利との関係をみるには、最適な指標のひとつであったためでもある。

   話をもとにもどし、前回の結論であるが、商談において、自社の商品を新規導入するための、PI値活用の基本は金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店であることを解説した。そこで、その2では、この数式をもう少し掘り下げてみたい。実は、この数式は小売業は自社のデータをどうひっくりかえしても得られない数字であり、メーカーが小売業に唯一対抗できるPI値であるともいえる。

   なぜなら、小売業は同業他社のPOSデータを入手することは通常の営業活動では不可能なことであるからである。ごく稀に、競合のない地域通しの企業がPOSデータを交換し合うことや、CGC、AJSなどのボランタリーチェーンなどが、POSデータを交換することはあるが、全国的な、あるいは、そのエリア内の競合店も含めたPOSデータを小売業がもつことはまずないといえる。もちろん、POSデータ販売会社から購入していれば別であるが、そのお金の余裕があるなら、原価か経費改善に充てた方がよく、通常は、自社のPOSデータのみしか、特に詳細なデータはないのが実情であるといえる。したがって、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店はメーカー特有のPOSデータのPI値分析といえ、これをいかに、小売業と共有し、自社の商談に生かすかは、メーカーにとっては最大の小売業に対する強みといえよう。
  
   一般に、客数PI値はどのくらいが高いといえるかであるが、メーカーが莫大な金額をかけ、商品開発を行い、さらに、広範な宣伝活動を行っても50%を超える商品はまれであり、20%から30%を超えれば、超人気商品、すなわち、世の中に普及したと見て良いといえよう。品揃えが重視される商品になると、客数PI値が5%から10%でも超人気商品であり、かなり、企業努力し、宣伝しても、中々、10%の壁を超えることは難しいのが実情である。逆にいえば、それだけ、新規採用の商談は大事であるといえ、商談次第では、いくらでも、客数PI値をあげることは可能であるともいえよう。
   
   そこで、どのように、この客数PI値をもとに、商品の新規採用の提案をするかであるが、まず、商談では、自社の商品がどの客数PI値の水準にあるかを示すことが最初である。トップクラスの客数PI値にあるのか、中ぐらいの水準にあるのか、あるいは、まだまだ客数PI値が低い状況にあるのかである。

   そして、客数PI値の水準が明確になれば、次は、その客数PI値の中で、どのくらいの金額PI扱店であるかを示すことがポイントである。理想は、客数PI値がトップクラス、金額PI扱店もトップクラスであれば、商談はスムースにゆくと思われるが、客数PI値が高いが、金額PI扱店が低い場合と、逆に、客数PI値が低く、金額PI扱店が高い場合は、なかなか商談をすすめるのが大変である。この場合、後者の客数PI値が低く、金額PI扱店が高い場合は、客観性には欠けるが、将来性を見込んで採用を働きかけることがポイントとなろう。できれば、その限られた成功事例を分析して、さらに、数字を伸ばす可能性のある提案ができればベストである。

   問題は、むしろ、客数PI値が高く、金額PI扱店が低い場合であろう。この場合は一歩間違えると、金額PI扱店が低いゆえに、売上の伸びが期待できず、採用見送りとなる可能性が高いといえる。そこで、ポイントとなるのは、POSデータで得られない、商品の独自性のアピールである。独自性とは、確かに、金額PI扱店は低いが、客数PI値が高いということは、信頼できる一定の顧客から支持がある安定した商品であり、最低、この数字は確保できる可能性が高いということを示している。そして、そこに商品の独自性が加われば、その信頼の高い数字は、幅広く様々な顧客に受け入れられているのか、それとも、ある特定の顧客に深く受け入れられているのかのどちらかであり、特に、後者であることがアピールできれば、品揃えに加えるべき商品であることを強くアピールできるからである。

   より、このことを立証するには、ID-POS分析が必要であるが、商品開発の意図をしっかり説明できれば、商品の独自性を十分にアピールできるのではないかと思う。ここで、商品開発との連携が大きなポイントとなり、その商品が新たな市場を獲得し、他の商品では代替できない独自性があることを示し、それゆえ金額PI値は低いけれども安定した確実な数字が取れることをアピールできるかどうかが、ポイントとなろう。

   今回で、このPI値を商談に活用するシリース2回目となったが、次回は、この2回にわたって解説した商品の新規採用の商談に変わり、すでに導入されている既存商品の売上アップの提案のための商談について、解説したい。
 
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August 1, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)