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November 30, 2009

売上速報、食品スーパーマーケット、2009年10月度!

   食品スーパーマーケット月次売上公開企業24社の2009年10月度の売上速報を独自に集計した。結果は、全体が102.0%、既存店は96.4%となった。この1年間の推移を見ると、9月度102.2%(既存店97.1%)、8月度101.2%(96.1%)、7月度100.4%(96.0%)、6月度101.3%(96.5%)、5月度104.9%(99.0%)、4月度102.2%(96.9%)、3月度101.5%(96.4%)、2月度102.3%(96.9%)、1月度104.7%(99.7%)、2008年12月度104.0%(99.2%)、11月度106.2%(101.5%)、10月度103.9%(99.5%)という状況である。こう見ると、2月以降、売上げが明らかに下がっており、しかも、既存店の落ち込みが大きく、この10月度も、同様に売上げが伸び悩んでいる状況である。

   この売上速報を公開している食品スーパーマーケットの内、約半分が客数、客単価まで公開しており、さらに、その約半分がPI値、平均単価まで公開しているが、その状況を見ると、既存店は客数、客単価ともに落ち込んでおり、しかも、PI値は昨対を超えているが、平均単価の落ち込みが大きい状況である。やはり、ここへ来て、価格競争が激化し、価格を下げざるをえない状況が、この結果に反映されたものといえよう。

   このような状況の中で、売上げを大きく伸ばしている食品スーパーマーケットが2社ある。スーパーバリュー124.2%(既存店100.4%)、マックスバリュ東海121.9%(92.9%)である。どちらも、店舗数が大きく増加しているのが特徴である。スーパーバリューは、ここへ来て、積極的に新規出店を行っており、最近では居抜き物件での新規出店をはじめ店舗数が現在14店舗となった。ここ最近の新規出店の状況を見ると、2008年11月川口前川店、12月入間春日町店、2009年7月東所沢店、10月荒川一丁目店と4店舗増加している。さらに、10月度の売上げには入っていないが、11月に大宮天沼店、見沼南中野店と同時に2店舗新規オープンしている。まだ、店舗数が14店舗であるので、1店舗の新規オープンの全体へ与える影響も大きく、率では124.2%と高い伸び率となった。今後、1年間はほぼ、このペース以上の伸び率となるものと予想され、食品スーパーマーケット業界では当面、No.1の伸び率を維持するものと思われる。

   一方、マックスバリュ東海であるが、121.9%とスーパーバリュー同様、好調な売上げである。これは、新規出店よりも、M&A効果によるところが大きく、昨年8月のM&Aにより、シーズンセレクト11店舗を譲り受け、昨年11月度から売上げ計上されており、さらに、今年に入り、この9月にはイオンリテールから6店舗を譲り受け、これに、独自の新店も加わり、大きく売上げをのばしている状況である。ただ、既存店が92.9%と厳しい状況であり、今後、既存店の活性化が急務といえよう。

   この2社以外にも、昨対を超え、堅調な売上げを維持している食品スーパーマーケットであるが、103.0%以上の食品スーパーマーケットを見てみると、ハローズ109.0%(既存店95.9%)、バロー106.9%(100.0%)、オオゼキ105.0%(101.4%)、カスミ104.9%、ダイイチ104.5%(96.9%)、マックスバリュ中部103.0%(99.2%)である。いずれの食品スーパーマーケットも既存店は伸び悩んでいるが、新店により、堅調な売上げを維持している。特に、大黒天物産、バローはエリアを超えての新規出店に積極的であるのが特徴である。

   ハローズは、地元は広島県であるが、早くから瀬戸内海全体を意識したエリア拡大の構想を示しており、来年11月には、この構想を実現するための早島物流センターが稼働する予定である。すでに、四国エリアに4店舗オープンしており、四国エリアが第2ドミナントとなりつつある。また、バローは地元中部エリアに加え、東海エリア、北陸エリア、そして、関西エリアへの参入もはじまり、4エリア目のエリア拡大となった。今後、それぞれのエリアにおいて、さらに、M&A、新規出店がなされてゆくものといえ、売上げの拡大が続くものといえよう。

   また、オオゼキは3年ぶりに、新エリア千葉県への新規出店を果たし、カスミはディスカウントストア、フードoffストッカーの既存店の改装を加速しており、現在22店舗にまでになった。そろそろ、新店の開発もはじまるものといえ、他の業態とともに、新店の増化が増えるものといえよう。ダイイチ、マックスバリュ中部も新店の効果が大きく、既存店が伸び悩む中、堅調な売上げを維持しているといえる。このように、新店を出店できる食品スーパーマーケットは、この10月度も売上げは好調に推移しているといえる。

   一方、全体の売上げが厳しい食品スーパーマーケットであるが、マックスバリュ東北97.9%(既存店97.6%)、Olympic 97.7%( 95.5%)、トーホー97.7%(98.1%)、マックスバリュ北海道97.0%(94.8%)、PLANT97.0%、いなげや95.2%(92.1%)、エコス94.0%(95.0%)、アークランドサカモト 92.4%(93.9%)という状況である。いずれも、新店が十分に出店できない状況であるといえ、新店の有無での差が大きいといえよう。

   このように、2009年10月度の食品スーパーマーケットの売上速報は明暗が分かれ、新店、M&Aに積極的に取り組めた食品スーパーマーケットは売上げが好調であり、新店が十分に出店できなかった食品スーパーマーケ
ットは売上げが厳しい状況となった。また、全体的には平均単価の下落傾向が鮮明であり、既存店の数字が伸び悩んでおり、当面、食品スーパーマーケット業界はデフレへの対応が最優先課題となろう。来月以降、明暗がさらに広がることが予想され、食品スーパーマーケット業界では、今後、2極化が拡大してゆくのではないかと懸念される。

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November 30, 2009 in 経済・政治・国際, 食品スーパーマーケット売上速報 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 29, 2009

消費者物価指数(CPI)、デフレ、ピークへ!

   消費者物価指数(CPI)、2009年10月度が、11/27、総務省統計局から公表された。政府がデフレ宣言をしたが、まさに、それを裏付ける結果となった。消費者物価指数には総合指数が3つあり、文字通り総合指数と国内相場、国際相場を除いた、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数がある。その結果であるが、総合指数は平成17年度を100として、100.0%、生鮮食品を除く総合指数は100.1%、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.6%となり、一見、さほど落ちていないように見えるが、これを前年比でみると、それぞれ、-2.5%、-2.2%、-1.1%と、すべての指数がマイナスとなった。

   さらに、この前年対比を時系列のグラフで見ると、総合指数は過去4年間で最低の数字となり、この10ケ月の傾向は、明らかに右下がりとなっており、しかも、年初来最も低い数字となっている。同様に、生鮮食品を除く総合指数も過去4年間で最低の数字であり、過去10ケ月で最も低い数字である。さらに、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数については、過去4年間のなかでは、大きく数字が下回り、その差の拡大傾向が鮮明である。過去10ケ月で見ても、最も低い数字ではないが、底を這うような動きである。こう見ると、明らかに、消費者物価指数はデフレ傾向が鮮明であり、今後、さらに、状況が悪化する兆候が表れているといえよう。

   消費者物価指数(CPI)の過去4年間の月別時系列グラフを見ると、3つの指標がきれいなサイン(sin)カーブとなっており、現在、2009年10月の位置は、マイナスの頂点を目指しつつあるように見える。したがって、まだ、頂点には届いていない可能性が高い。消費者物価指数が、このサインカーブでマイナスに転じたのは、まさに、今年の1月、2009年1月であるので、10月が仮に頂点だとすると、少なくとも、今後10ケ月はマイナスが続くことになる。2009年1月前はプラスの山が2007年10月から始まっており、2009年12月までの15ケ月間の山であった。全く同じ期間の谷を考えても5ケ月は続くことになるが、まだ頂点にはいってないように見えるので、やはり、それ以上のマイナスが継続する可能性が高いといえよう。少なくとも、当面はデフレが深刻化する兆候が、このグラフでも明らかに表れているといえる。

   では、何が特にデフレ傾向を示しているかを、10大費目、特に、寄与度で見てみたい。全体が前年同月比-2.5%であるので、寄与度をすべて足すと、-2.5%となるので、寄与度の高い順に見ると、最も大きくデフレ寄与度の高い項目は、光熱・水道の-0.67%であり、ついで、交通・通信の-0.64%、食料の-0.53%である。この3つで合計-1.84%となり、-2.5%の75%弱となり、大半を占め、現在のデフレはこの3つが大きな項目であるといえる。これ以外では、教養・娯楽の-0.36%、家具・家事用品の-0.12%であり、その他はほぼプラスマイナス0に近い数字である。

   そこで、最も、デフレ寄与度の高い項目、光熱・水道、交通・通信、食料について、さらに、細目で見てみたい。まず、光熱・水道であるが、灯油の-37.1%が最も大きく、これだけで、寄与度-0.34%である。ついで、ガソリン-19.4%、都市ガス代-10.6%、電気代-6.7%と、すべてのエネルギー項目がマイナスとなっている。ついで、交通・通信であるが、何といっても外国パック旅行が-22.8%と大きく落ち込んでおり、寄与度も-0.15%である。この数字を見ると、これが、JALのここへ来ての急激な経営悪化の一因であるこことがわかる。これについで、高速自動車国道料金が-6.6%、航空運賃-2.5%となる。

   そして、食料であるが、食料は大きく生鮮食品と生鮮を除く食料とに分かれるが、この10月度はそれぞれ、寄与度が-0.29%、-0.25%と、どちらも同じくらい、物価が下がっており、ほぼ全面安の傾向が強いといえる。特に、下がっている項目であるが、前年同月比で見ると、食用油-18.8%、チーズ-11.8%、マヨネーズ-10.9%、牛肉B(輸入等)-9.6%、ミネラルウォーター-9.4%であり、円高の影響もあると思われる。また、これ以外でも野菜・海藻-6.5%、果物-5.9%、飲料-3.4%という状況である。

   また、消費者物価指数を財、サービスという観点で見た場合、全体の寄与度-2.5%の内、財が-2.21%、サービスが-0.25%であり、圧倒的に財がデフレ傾向を鮮明に示している。その中でも工業製品が-1.56%と大きく、ついで、農水畜産物-0.37%、電気・都市ガス・水道が-0.31%となる。

   このように、2009年10月度の消費者物価指数(CPI)は明らかにデフレ傾向が鮮明に表れており、しかも、今年に入ってその深刻さを増しており、まだ、ピークが見えない状況である。過去4年間の流れを見ても、今年に入っての流れを見ても、デフレがすぐに収束しそうな兆候はなく、短期はもちろん、中、長期的にデフレが続く可能性が高まったといえよう。食品スーパーマーケット業界にとっては、中、長期のデフレを前提とした経営戦略を再構築する必要があるといえ、来期へ向けて、政策転換をする決断がまさに迫られる段階に入ったといえよう。

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November 29, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 28, 2009

mixi、TI(Time Index)、日本最高!

   サンシャイン牧場(3,207,473人)、マイミク通信簿(2,972,192人)、脳力大学-漢字テスト(2,268,951人)、血液型自分の説明書診断(1,761,513人)、みんなの農園(1,398,848人)、記憶スケッチ(1,091,020人)、みんなの動物広場(1,034,748人)、・・以上が11/27現在、100万人を超えるmixiアプリである。すでに、100タイトル以上あり、日々、新アプリが登場している。このmixiアプリが、mixi上に登場したのが8/24であるが、その後、mixiに異変が起こった。ネットレイティング社が11/26、公表した調査結果によると、mixiの総利用時間が急拡大、それまで、月間約13億分であったものが、9月には17.0億分、10月には26.8億分へと急角度で上昇、とうとうyoutubeを抜き去り、No.1のyahoo!についで、2位へと躍進した。

   No.1のyahoo!の総利用時間は144.8億分と、断トツのNo.1であるが、これを利用者1人当たりの利用時間(Time Index)に換算すると、逆転する。10月度のyahoo!は、総利用時間144.8億分であり、利用者が5,204.8万人であるので、TIは278.3分(約4時間38分)であるが、mixiは総利用時間が26.8億分、利用者が888.6万人であるのでTIは302.1分(約5時間2分)であるので、TIでは、Yahoo!を圧倒し、No.1となる。ちなみに、総利用時間3位のyoutubeはTIが97.3分(約1時間37分)であるので、さらに差が開くことになる。こと、TIで見ると、日本人は検索(情報)よりも、動画よりも、ゲーム(アプリ)に軍配を上げたということであり、しかも、わずか、2ケ月での急激な変化であり、びっくりである。

   それにしても、この異常な時間をどう考えたらよいのだろうか?総利用時間でみた場合、No.1のyahoo!は144.8億分、No.2のmxiは26.8億分、No.3のYoutubeは22.9億分と途方もない時間である。単純計算でyahoo!は2.75万年、mixiは0.50万年、youtubeは0.43万年となり、日本人は月間千年単位でインターネットにおいて時間を過ごしていることになる。途方もない時間である。さらに、これを1人当たりに直したものが、先に計算したmixi 302.1分、Yohoo! 278.3分、youtube 97.3分となる。ちなみに、1日当たりに換算すると、mixi 9.7分、yahoo! 8.9分、Youtube 3.1分ということになり、これが、総利用時間ベスト3の日本人の平均的な1日当たりのTI、すなわち、利用時間となる。

   これまでマーケティングは時間という概念を指標として、組み入れ、検証することがなかなか容易ではなかったが、このように、精度の高い時間が算出でき、しかも、その時間をもとにマーケティングの仮説検証ができることが、インターネットの最大のマーケティング的な成果といえよう。リアルの小売業では、ここ最近デジタルサイネージが普及しはじめ、時間が徐々にマーケティング、マーチャンダイジングへ活用されはじめつつあるが、恐らく、今後の最大のマーケティングのテーマは、この時間を活用した仮説検証にあり、その結果、いかに、コンバージョン、すなわち、売上、利益等の金額に結びつけるかが課題となろう。

   ここで、もう少し、ネットレイティング社のデータをもとに、TI (Time Index)について解析してみたい。ここで公開されているデータは、3つである。総利用時間、利用者数、1人当たりの訪問回数である。インターネットでは一般的なベージビューは、ここにはないので、その面からの分析はできないが、この3つでもかなり、深くTI分析が可能である。TIは最終的には総利用時間を引き上げることが目的であり、この3つの指標を活用したTI分析は、総利用時間=利用者×1人当たりの訪問時間(TI)となる。ここでは、TIが算出されていないので、TIを逆算すると、先に計算した数字となり、総利用時間ベスト3で示せば、Yahoo!は、144.8億分=278.3分(TI)×5,204.8万人となり、mixiは、26.8億分=302.1分(TI)×888.6万人となり、Youtubeは22.9億分=97.3分(TI)×2,361.4万人となる。

   こう見ると、mixiの強さはTIにあるといえ、このTIが8/24以降急激に上昇したため、総利用時間でYoutubeを抜き去ったことになるが、ことTIではYoutubeは劣性にあり、mixiが極端に顧客を減らさない限り、今後、逆転することはないといえよう。さらに、もう一歩TI分析をすすめ、ここに訪問回数を加えると、月間の総訪問回数が算出できる。Yohoo!は、5,204.8万人×28.1回=14.6億回、mixiは、888.6万人×19.8回=1.7億回、Youtubeは、2,361.4万人×6.5回=1.5億回となる。したがって、先のTI分析は、TIが1人当たりの利用時間であるので、1回当たりのTIを算出することができ、それぞれ計算すると、yahoo! 9.9分、mixi1 15.7分、Youtube 15.2分となる。これを先の計算式に代入すると、Yahoo!は、144.8億分=(9.9分×28.1回=278.3分(TI))×5,204.8万人、mixiは、26.8億分=(15.7分×19.8回=302.1分(TI))×888.6万人、Youtubeは22.9億分=(15.2分×6.5回=97.3分(TI))×2,361.4万人となる。

   このように、yohoo!の強みは訪問頻度の高いコンテンツを集め、圧倒的な集客をはかって総利用時間を増やしていることであることがわかる。mixiは集客力は弱いが、滞在時間、訪問頻度の双方を高め、結果TIを高め、総利用時間を増やしており、Youtubeは集客は多く、滞在時間も長いが訪問頻度が低く、総利用時間が伸び悩んでいることがわかる。さらに、これをページビューに落とし、各コンテンツ、そのカテゴリーごとに分析し、時間軸で見てゆくとTIがどのような要因で変化しているか、結果、総利用時間にどう変化を与えているかが解析できる。今後は、このように、時間が確実にマーケティングのキー概念になってゆくものといえ、インターネットにおいては、このTIに着目したサイトが時代、まさに時間を制するのではないかと思う。

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November 28, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 27, 2009

マルキョウ、2009年9月本決算、減収減益、財務安定!

   マルキョウが11/13、2009年9月期の本決算を公表した。結果は、売上高926.57億円(97.8%)、営業利益18.14 億円(68.8%:売上対比1.95%)、経常利益19.03億円(68.9%:売上対比2.05%)、当期純利益8.12億円(59.9%:売上対比0.87%)と、減収減益の厳しい決算となった。マルキョウ自身も、「客単価の落ち込みにより売上総利益率が下落し、また、価格競争に対応するためのコスト削減も進まず厳しい結果となりました。・・」とコメントしているように、ディスカウント戦略を全面に出しているマルキョウであるが、価格競争に対応せざるをえないほど、消費環境は厳しさを増しているといえよう。ただ、自己資本比率はこの厳しい決算にもかかわらず、70.2%(昨年67.3%)と上昇しており、財務面は安定した決算結果となった。

   そこで、まず、マルキョウの今期決算の財務面を見てみたい。自己資本比率が70%を超えた要因であるが、純資産が394.64億円(昨年387.15億円)と、7.49億円上昇したことに加え、負債が167.75億円(昨年188.52億円)と20.77億円減少し、ダブルで自己資本比率を高めたことが大きく、理想的な財務構造である。純資産が上昇した要因であるが、当期純利益が減少したにもかかわらず、利益剰余金がその分昨年よりも上乗せとなったためである。一方、負債が削減された要因であるが、固定負債はほとんど変化がなかったが、流動負債、特に、短期借入金が削減されたためである。結果、有利負債は78.46億円(昨年91.35億円)と、10億円強減少し、総資産562.40億円の13.95%となった。

   マルキョウは営業状況の不振とは反対に財務状況が堅固になっており、自己資本比率70.2%は決算公開企業約50社の中でも、おそらくベスト3に入るランクであるといえよう。この有利子負債を全額返済すれば、自己資本比率は80%を超え、No.1となることも視野に入ったといえ、今後、厳しい営業状況をいかに安定させられるかが、最大の経営課題になったといえる。

   そこで、その営業状況、特に、今期、減収減益となった要因を、原価、経費面から見てみたい。まず原価であるが、79.68%(昨年79.40%)と、若干上昇しており、原価の上昇が見られる。結果、売上総利益は20.32%(昨年20.60%)となった。この売上総利益20.32%は、食品スーパーマーケット業界ではかなり低い数字であり、まさに、ディスカウント業態の数字といえる。2009年度決算のベスト5は、トライアルカンパニー15.6%、アオキスーパー16.6%、PLANT19.3%、マルミヤストア19.9%、オーケー19.9%という状況であり、20.32%がいかに低い数字であるかがわかる。

   一方、経費の方であるが、18.84%(昨年18.30%)と、0.54ポイント上昇しており、この上昇分が、今期の減収の大きな要因であったといえよう。ちなみに、経費比率18.84%も食品スーパーマーケット業界では低い数字であり、ベスト10に入る数字である。決算公開企業約50社の中のベスト5を上げれば、オーケー14.9%、トライアルカンパニー16.3%、アオキスーパー16.8%、大黒天物産18.0%、PLANT18.1%であり、18.84%がいかに低い数字であるかがわかる。こう見ると、ディスカウント=ローコストといってもよく、日本の食品スーパーマーケットのディスカウント業態の経費比率は18.0%以下にいかにおさえられるマネジメントシステムをつくれるかにあるといえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力は1.48%(昨年2.30%)となり、大きく減少することになった。原価、経費、双方がダウンするというダブルでの利益の圧迫となったことが大きかったといえよう。これに、不動産収入等のその他営業収入が0.48%(昨年0.49%)のり、営業利益は1.96%(昨年2.79%)となり、大きく減益となった。こう見ると、ダブルではなく、その他営業収益も減少しており、トリプルでの利益の減少となっており、今期、マルキョウはいかに利益を確保するのが難しかったかがわかる。

   これを受けて、来期予想であるが、売上高930.00億円(100.4%)、営業利益19.50億円(107.5%:売上対比2.09%)、経常利益20.40億円(107.2%:売上対比2.19%)、当期純利益9.00億円(110.8%:売上対比0.96%)と、一転、増収増益予想であり、好調な決算が予想される。これは、すでに、ニュースリリースされているが、来年1月にマルキョウのフランチャイジーとして9ケ店の店舗を有する有限会社ポテトの小売部門の営業を譲り受ける予定があることが大きく、これが売上げ、利益を押し上げることが大きいという。また、今期の課題である経費削減にも一層取り組むとのことである。

   このように、マルキョウの2009年9月期の本決算は消費環境の激変により、競合状況が一層厳しくなったこともあり、減収減益という厳しい結果となった。このような厳しい経営環境の中では一見、ディスカウント業態が有利になると思われるが、この決算結果を見る限り、ディスカウント業態でも、さらに原価を下げ、経費を下げないと利益がでない構造となっており、いかに、今回のデフレが厳しい状況にあるかがわかる。マルキョウはこの苦境を乗り越えるひとつの解決策として、子会社の連結をはかる予定であるが、今後、同様に、各社が連結を強め、場合によってはM&Aも辞さず営業強化をはからざるをえない状況に入ったといえよう。このような厳しい状況を踏まえ、来期、マルキョウがさらに踏み込んだ経営戦略を打ち出すか、注目である。

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November 27, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 26, 2009

ダイイチ、2009年9月期、本決算、増収増益!

   ダイイチが11/10、2009年9月期の本決算を公表した。結果は、連結決算では売上高280.66億円、営業利益5.21億円(売上対比1.85%)、経常利益4.75億円(売上対比1.69%)、当期純利益2.80億円(売上対比0.99%)となった。連結決算は第3四半期からの公表であるので、昨対が算出されていない。そこで、昨対については、個別で見てみたい。結果は、売上高271.35億円(104.2%)、営業利益4.79億円(101.7%:売上対比1.76%)、経常利益4.46億円(100.6%:売上対比1.64%)、当期純利益2.49億円(114.5%:売上対比0.91%)と、増収増益の好決算となった。

   ダイイチは北海道を3つのブロックに分けて管理しており、現在、帯広ブロック11店舗、旭川ブロック9店舗、札幌ブロック2店舗、合計22店舗である。したがって、1店舗当たり12.75億円となる。今期は2009年5月から連結子会社となった北海道河東郡音更町においてショッピングセンターの核店舗として、スーパーマーケットを運営しているオーケーを子会社化し、5月に新たに改装オープンしたので、この売上げが連結に加わっており、その分、個別よりも売上増となっている。

   北海道市場はアークス、カウボーイが激しいディスカウント競争を繰り広げており、さらに、コープさっぽろ、イオングループを含め、厳しい競争の中にある。その中で、ダイイチは、「競合他社のディスカウント戦略やポイントサービス戦略などに対し、情報の収集と分析による的確な対応を心がけ、・・」と、ディカウント路線にはのらず、「基本方針を確認・徹底することにより、お客様の満足度の向上と信頼の強化・拡大に努め、・・」との営業方針で臨んでいる。特に重視している課題は、「これまで以上に普段の食生活を重視した商品作り、品揃えを徹底することや、より買い易い価格、量目に重点を置いた商品作りを徹底すること、・・」などであるという。

   では、これらの基本方針とマーチャンダイジング政策により、原価、経費が営業利益にどう反映したかを個別決算から見てみたい。まず、原価であるが、76.75%(昨年76.19%)と、0.56ポイント上昇している。競合対策として、売価を下げざるをえず、その影響が原価上昇に表れているといえよう。結果、売上総利益は23.25%(昨年23.81%)となった。一方、経費の方であるが、22.45%(昨年23.00%)と0.55ポイントと、経費削減がほぼ原価の上昇分下がっており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は0.80%(昨年0.81%)と、ほぼ昨年並みの数字を確保した。これに、その他営業収入が0.97%(昨年1.01%)のり、結果、営業利益は1.77%(1.82%)と、率ではわずかに下がったが、額では、売上分の上昇があり、増益となった。

   こう見ると、やはり、北海道の価格競争は厳しい状況にあるといえ、経費削減が原価の上昇に相殺され、率では営業利益をカバーできず、売上高のアップ、額でカバーした状況である。したがって、このような状況で利益を生みすには、原価の上昇は避けられず、経費削減と売上高のアップがポイントといえる。ダイイチにかかわらず、食品スーパーマーケット業界は現在、同様な経営環境にあるといえ、極めて難しい経営を余儀なくされているといえよう。

   これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは、4.67億円(昨年3.93億円)と、大きく増加した。その中身は、増益となり、当期純利益が4.74億円(昨年3.95億円)と、増益による増加が大きいといえる。減価償却費は2.94億円(昨年2.36億円)であるので、わずかな増加であり、営業キャッシュフローの差は、当期純利益が大きな鍵を握っているといえる。そして、ここから投資キャッシュフローであるが、-4.61億円(昨年-6.08億円)と、今期は、圧縮しており、結果、フリーキャッシュフローは0.13億円(昨年-2.15億円)と、わずかではあるが、プラスの順流となった。その要因であるが、食品スーパーマーケット最大の投資である新規出店関連への投資が、-4.96億円(-7.87億円)と抑制していることが大きいといえる。

   そして、財務キャッシュフローであるが、1.10億円(昨年0.70億円)となり、トータルは1.16億円(昨年-1.44億円)となった。その中身であるが、配当は-0.67億円(昨年-0.59億円)と若干上昇し、配当を昨年よりもやや厚くしている。ただ、気になるのが有利子負債であり、1.87億円(昨年1.30億円)と、昨年同様、増加していることである。結果、有利子負債は49.30億円(昨年29.65億円)と大きく増加しているが、これは、オーケーを完全子会社化したことにより、その負債がさらに加算されたためといえよう。結果、自己資本比率は下がるかと思われたが、それを相殺する形で、増益分が純資産にのり、41.5%(昨年41.4%)と、ほぼ同水準を維持した。ただ、ダイイチとしては、この好決算を生かし、もう一段、財務の安定をはかりたかったところであろう。

   このようにダイイチの2009年9月期の決算は増収増益の好決算となり、この好決算により、子会社化したオーケーの負債分をも相殺し、財務のバランスを崩すことなく、財務の安定も図れた。ただ、原価は下がっており、今後とも、北海道市場はより、消費環境、競合状況が厳しくなることが予想される。来期、ダイイチがどのように収益を維持してゆくか、その動向に注目である。

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November 26, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 25, 2009

マミーマート、2009年9月期決算、増収増益!

   マミーマートが2009年9月期の本決算を11/13、公表した。9月期決算の食品スーパーマーケットはめずらしく、上場企業では、マミーマートを入れて、ダイイチ、PLANT、マルキョウの4社である。その結果であるが、売上高832.30億円(102.4%)、営業利益14.97億円(123.8%:売上対比1.80%)、経常利益18.44億円(105.2%:売上対比2.21%)、当期純利益8.24億円(104.1:売上対比0.99%)となり、増収増益の好決算であった。マミーマートは本社は埼玉県さいたま市にあり、現在、埼玉県41店舗、千葉県10店舗、東京都2店舗、栃木県1店舗の計54店舗を展開している食品スーパーマーケットである。また、傘下には、ディスカウントストアのギガマートもあり、現在10店舗を展開している。

   今期決算が好調であった要因であるが、売上高に関しては、今期、マミーマート沢口町店(埼玉県東松山市)、ギガマート北越谷店(埼玉県越谷市)の2店舗をオープンしており、この2店舗が売上げを押し上げたといえよう。一方、利益の方であるが、原価、経を見てみると、原価は75.99%(昨年75.35%)と、やや上昇している。マミーマート自身も、「各社は、集客対策として価格訴求を一層熾烈化しており、少子・高齢化に伴う世帯人数の減少で販売数量の減少、販売単価の低廉化など厳しい経営環境が続いております。・・」とコメントしているように、価格競争が原価を押し上げた要因といえよう。結果、売上総利益は24.01%(昨年24.65%)となった。

   一方、経費の方であるが、23.68%(昨年24.76%)と、大きく下がっており、今期の増益の要因はこの経費の削減に負うところが大きかったといえる。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、0.33%(昨年-0.11%)と、昨年のマイナスからプラスへと反転しており、マーチャンダイジング力が強化されたといえよう。一般に、マーチャンダイジング力がプラスになるには、粗利を引き上げるか、経費を引き下げるかにあるが、今期のマミーマートは、経費を引き下げて、マーチャンダイジング力をプラスにもっていっており、経費削減効果が大きかったといえる。ここへ来て、食品スーパーマーケットを取り巻く消費環境が一層厳しさを増しており、原価の削減が売価のダウンに追いつかない状況であり、食品スーパーマーケットが利益を算出するには、経費を削減するしか打つ手がなくなりつつあり、まさに、デフレスパイアラルに陥りつつあるといえる。

   そして、営業利益であるが、このマーチャンダイジング力にその他営業収入が1.47%(昨年1.61%)のり、1.80%(昨年1.50%)と、プラスになり、これに、売上増102.4%があいまって、昨年対比では大幅な増益となった。このように、マミーマートの増収増益要因は原価の減少を経費削減でまかった結果といえ、この時期、いかに経費の削減が経営を安定させる上に重要であるかがわかる。

   これを受けて、マミーマートのキャッシュフローの状況を見てみたい。今期の営業キャッシュフローは当期純利益が増収となり、21.13億円と堅調な数字となった。ここから投資キャッシュフロー25.74億円を配分し、フリーキャッシュフローは-4.61億円のマイナスとなった。営業キャッシュフロー以上のキャッシュを投資キャッシュフローで配分しており、強気の投資である。結果、キャッシュフローは逆流となり、キャッシュの調達が必要となる。その投資キャッシュフローの中身であるが、出店関連の資産への投資が32.96億円と、ほぼすべてといえ、今期は積極的な攻めの経営であるといえよう。

   マミーマートの出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計は199.92億円であり、これは総資産317.45億円の62.97%にあたる。現在、マミーマートは54店舗であるので、1店舗当たり3.70億円であり、通常の食品スーパーマーケットと比べ、かなり低い数字である。したがって、出店にかかわる投資キャッシュフロー32.96億円を3.70億円で割ると8.90店舗であり、54店舗の16.49%にあたり、積極的な新規出店への投資である。そして、財務キャッシュフローであるが、0.97億円のプラスであり、その中身は短期借入金10.60億円を調達し、返済7.78億円と配当1.83億円にあてており、トータル-3.63億円のマイナスとなり、内部留保を取り崩す結果となった。結果、現預金が減っており、財務的にはやや気になるキャッシュフローの流れである。ちなみに、有利子負債であるが、36.53億円(昨年33.71億円)と、若干増加し、総資産の11.5%である。今期、マミーマートの自己資本比率は52.7%(昨年52.4%)と、若干増加しているが、その伸びはわずかであり、もう一段、改善したいところであろう。

   このように、2009年9月期のマミーマートの決算は増収増益となり、各社が減益となる中間決算を余儀なくされる厳しい経営環境の中、経費を大きく削減し、好決算となった。しかも、この好決算を背景に、積極的な新店へ向けての投資を行っており、ここへ来て、マミーマートが守るのではなく、逆に敢えて攻めに転じる積極策を打ち出している。来期、マミーマートがどのような新店を展開してゆくかに注目したい。

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November 25, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (1)

November 24, 2009

瀬戸内海商圏一段と進む、大黒天物産九州へ!

   食品スーパーマーケットの商圏がエリアからエリアへと拡大しつつある。11/20、大黒天物産が「新規エリア出店に関するお知らせ」を公表した。それによれば、来年の3月下旬に大黒天物産の九州エリア、第1号店、ラ・ムー水巻店(仮称)がオープンするという。場所は福岡県であり、総売場面積が29,800平米(約9,000坪)、敷地面積69,600平米(約2万坪強)という、大規模な売場、敷地面積での出店である。

   一般に食品スーパーマーケットがエリアから他のエリアへ商圏を拡大するのは簡単ではない。その理由は物流の問題と人材の問題があり、特に、物流は24時間365日の商品供給体制を整える必要があり、新エリアのための専門のセンターが必要となるからである。しかも、センターをつくれば数店舗では採算にあわず、センターの規模にもよるが、30店舗から50店舗、大規模な場合は100店舗は必要となり、可能な限り、そのエリアにおいて新規出店ないしはM&Aを通じて、速く店舗数を増やす必要がある。また、それにともなって、人材の育成も必要となる。したがって、食品スーパーマーケットのエリア拡大は、1チェーンを0から作り上げるに等しく、事前の準備と将来への見通しをしっかり計画してスタートする必要がある。

   今回、大黒天物産が九州エリアに新たに参入を表明したが、大黒天物産は、これまでもエリア拡大を積極的にはかってきており、これで、3エリア目となる。本社は岡山県であり、中国エリアとなるが、その後、東へ拡大をはかり、兵庫、大阪、京都へとエリア拡大をはかった。さらに、2005年には四国へとエリア拡大をはかり、今回が九州となり、3エリア目となる。大黒天物産に限らず、中国エリアの食品スーパーマーケットは早くからエリア拡大をはかる食品スーパーマーケットが多く、積極的な食品スーパーマーケットが多い。この地区は、もともと瀬戸内海全体を大商圏ととらえ、中国エリアだけでなく、関西エリア、四国エリア、そして、九州エリアが瀬戸内海を介して、ひとつの大エリアととらえており、エリア拡大がしやすい環境にあるといえる。

   そこで、この中国エリアの食品スーパーマーケットを中心に、現在、どのようなエリアを超えた拡大が図られているかを見てみたい。まず、この中国エリアで最も積極的なエリア拡大を行っているのは、広島のイズミであろう。イズミは、2009年2月現在、80店舗であるが、地元広島県には31店舗であり、約40%である。したがって、残り60%は広島県以外への出店である。その内、中国エリアには全部で56店舗である。残り24店舗が中国以外のエリアとなり、九州エリアが20店舗、四国エリアが3店舗、そして、関西エリアが1店舗となり、4エリアでの展開である。

   同じく広島県に本社を置くハローズ41店舗であるが、広島県には19店舗、隣の岡山県には20店舗と、中国エリアには39店舗である。これ以外では四国エリアに2店舗であり、今後、四国エリアでの展開が本格化する方向である。次に、岡山県に本社を置く大黒天物産であるが、53店舗であり、地元、岡山県には19店舗と、約35%であり、残り、約65%が地元以外への展開である。中国エリアには、地元岡山県を入れて29店舗であり、約50%強であるので、エリア拡大に積極的であることがわかる。その拡大エリアであるが、四国エリアへはすでに、10店舗を出店しており、そのペースも速く、重点エリアとなりつつある。また、関西エリアへは14店舗であり、大阪府5店舗、兵庫県8店舗、京都府1店舗と、関西エリアへも店舗数が増え続けている。そして、今回、九州エリアへの参入が決まり、まさに、瀬戸内海全体への出店が本格化する体制が整ったといえよう。

   これ以外の中国エリアの食品スーパーマーケットであるが、岡山県が地元の天満屋ストアは26店舗であるが、中国エリアに24店舗、四国エリアに2店舗展開している。また山口県が地元の丸久は81店舗であるが、中国エリアに80店舗、九州エリアに1店舗を展開している。

   一方、逆に中国エリアへ参入している食品スーパーマーケットもあり、兵庫県が地元のマックスバリュ西日本であるが、147店舗の内、関西エリアは79店舗であり、中国エリアに64店舗を出店しており、さらに、四国エリアにも4店舗と3エリアでの展開をはかっている。また、四国、愛媛県を地元とするフジであるが、93店舗の内、65店舗が四国エリアであり、中国エリアに28店舗を展開しており、中国エリアは第2のドミナントエリアとなっている。

   このように、大黒物産が地元中国エリア、そして、関西エリア、四国エリアについで、4エリア目となる九州エリアへの新規参入が来年春に決まり、いよいよ、瀬戸内海全域での食品スーパーマーケットのチェンーン展開が本格化したといえよう。また、大黒天物産以外の食品スーパーマーケットも、先に見たように、瀬戸内海全体を商圏にしつつあり、いよいよ、このエリアは1エリア、2エリアでの展開だけでなく、瀬戸内海商圏という、中国、関西、四国、そして、九州をまたがる大商圏ができつつあるといえよう。今後、このエリアの各食品スーパーマーケットがどのような出店戦略を打ち出すか注目である。

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November 24, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 23, 2009

コンビニ売上速報、2009年10月度、既存店-5.5%!

   11/20、日本フランチャイズチェーン協会から、コンビニの2009年10月度の売上速報が公開された。この売上速報は、全国の主要コンビニがすべて含まれており、全42,553店舗の集計である。対象コンビニは、エーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの全11社である。その結果であるが、全体の売上げは6,675.82億円(-2.8%)と、7月以降4ケ月連続のダウンであり、厳しい結果である。また、既存店も-5.5%と大きくダウンしており、5ケ月連続の売上げダウンである。

   まさにタスポ効果が切れたことが大きく、今後約1年間は昨対で見ると、マイナスが続くものと予想される。そこで、一昨年との比較をしてみると、2009年10月度107.4%(対2007年10月度)、2009年9月度105.7%(対2007年9月度)、2009年8月度104.3%(対2007年8月度)、2009年7月度108.3%(対2007年7月度)という状況であり、一昨年と比べると売上げは上昇しており、ちょうど、taspo効果の上昇分までは下がっていないようであるが、上昇分を維持できず、じわじわ落ちている状況といえよう。

   では、売上げダウンの中身、客数と客単価の状況であるが、客数は-0.4%(既存店-2.8%)に対し、客単価は-2.4%(既存店-2.8%)であり、どちらも落ちており、特に、既存店は客数、客単価とにも落ち込みが少し大きいといえよう。しかも、全体、既存店ともに、客単価は11ケ月連続でのダウンであり、客数よりも深刻である。ちなみに、客数と客単価の実際の数字であるが、客数は895人、客単価は565円であり、売上げは掛けて50.5万円/日となる。

   さらに、商品別に見るとどういう状況であるかであるが、ファストフードを含む日配は-3.5%(構成比34.1%)、加工食品が-4.6%(構成比29.1%)、taspoが含まれる非食品が-1.3%(構成比32.7%)、そして、構成比はわずか4.1%であるが、サービスが3.4%と唯一プラスとなった部門である。こう見ると、taspo効果の大きい非食品の落ち込みは比較的影響が弱いといえ、この10月度は加工食品、そして、日配の落ち込みが大きかったといえよう。

   そこで、この加工食品、日配の状況のこの数ケ月の推移を見てみると、日配は10月-3.5%、9月-4.3%、8月-4.6%、7月-5.4%という状況である。一方、加工食品は10月-4.6%、9月-3.5%、8月-3.4%、7月-11.8%という状況である。特に、加工食品の7月度は昨年が猛暑にtaspo効果が加わり、飲料、アイスクリーム等が大きく売上げを伸ばしたことによる反動によるところが大きいといえよう。こう見ると、この7月度を除けば、加工食品よりも、日配食品の方が落ち込みが大きいといえ、ここへ来て、コンビニの中核商品、ファストフード、惣菜等が厳しい状況にあるといえる。

   では、ここのコンビニのこの10月度の状況はどうであったかを、月次売上を公表している企業で見てみたい。セブンイレブンはホームページ上には月次の売上速報を公開していないが、11/21の日経新聞によれば、-4.5%と、コンビニ全体よりも、落ち込み幅が大きかったという。ローソンは-2.8%(既存店-5.5%)と、全体の数字と全く同じ数字である。ちなみに、ローソンの客数は911人、客単価は542円、売上げは50.3万円であるので、客数は若干高いが、客単価は逆に若干低く、売上げはほぼ同じ数字である。こう見ると、ローソンの数字はほぼ全体のコンビニに近いといえる。

   ファミリーマートであるが、全体は0.2%とわずかに上昇しているが、既存店は-4.4%と下がっている。客数が-3.3%、客単価が-1.1%という状況であり、客単価よりも、客数の落ち込みが大きいといえよう。サークルKサンクスであるが、全体-3.3%(既存店-4.4%)であり、その中身は、客数が-2.2%、客単価が-2.2%と、どちらもダウンしている。ちなみに、その数字であるが、売上げは48.4万円、客数は853人、客単価571円であるので、全体と比べ、客数は若干低いが、客単価は若干高い数字である。

   そして、ミニストップであるが、売上げは-2.8%(既存店-6.4%)であり、全体と比べても、また、主要コンビニの中では既存店の落ち込みが大きかったといえよう。その中身であるが、既存店の客数が-3.3%、客単価が-3.2%であり、どちらも、同じくらい落ち込み幅が大きかった。また、実際の数字は客数が882人、客単価が520円、売上げが45.8万円であるので、客数、客単価ともに全体より低く、やや厳しい状況である。

   このように、2009年10月度のコンビニの売上を見ると、4ケ月連続下がっており、特に、既存店は5ケ月連続下がっている状況であり、明らかに、売上げダウンの局面に入ったといえよう。特に、客数もさることながら、客単価のダウンが厳しいものがあり、その中でもコンビニの中核商品、ファストフード、惣菜を含む日配の落ち込みが大きいといえる。これはtaspo効果が切れただけでなく、消費の減退が起こりはじめているといえ、デフレ傾向が鮮明な中、今後、当面、厳しい経営環境がコンビニでは続くものといえよう。

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November 23, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 22, 2009

カスミ、フードoffストッカー、22店舗(16.2%)へ

   カスミがフードoffストッカーの出店を加速している。フードoffストッカーはカスミのDS(ディスカウント)業態であり、生鮮を圧縮し、グロサリーを絞り込み、価格訴求を強く打ち出しているのが特徴である。カスミがこの新業態に取り組んだのは、ちょうど5年前の2004年であり、神立西店をフードoffストッカーに業態転換したところからスタートした。この年、同様に佐貫店、竜ヶ崎寺後店をフードoffストッカーに業態転換し、3店舗でスタートするが、翌年、竜ヶ崎寺後店は閉店し、その後も、2005年真壁店、下館店をフードoffストッカーに業態転換、さらに、2006年、下妻東店、牛久ししこ店をフードoffストッカーに業態転換し、2年間で6店舗の既存店を業態転換した。

   フードoffストッカーはカスミにとっては、新業態ではあるが、あくまで既存店の不振店の活性化策の一環で取り組んでいるのが実態である。2009年11月現在、フードoffストッカーは22店舗となっているが、フードoffストッカーとしての、新店はまだない。ただ、この22店舗は、全135店舗の16.2%となり、そろそろ、カスミとしても、専門の商品部を設立する段階に入ってきたといえよう。場合によっては、別会社として、新規出店を含め、新事業としての確立も必要といえよう。これについて、カスミの小浜社長は、茨城新聞の取材の中で、「25店舗になれば商品部を独立させなければ、・・」と、コメントしており、早ければ、今決算期にはフードoffストッカー専門の商品部が設立される可能も高まったといえる。

   そこで、さらにフードoffストッカーについて、2007年度以降についても詳しく追ってみたい。まず、2007年度であるが、フードoffストッカー7店舗目となる牛久柏田店(2007年1月)がオープンする。約300坪強、年商8.6億円が目標である。ついで、渡里店(2007年5月、386坪、10億円)、那珂店(2007年6月、387坪、15億円)、守谷店(2007年6月、262坪、8億円)がオープンし、ちょうど、守谷店で10店舗目となる。さらに、この年、11店舗の三郷店(2007年11月、298坪、10億円)がオープンし、2007年度は5店舗のオープンである。こう見ると、既存店の業態転換ということで、売場面積も、年商もまちまちであり、基本コンセプトは確立されつつあるが、店舗フォーマットが、この時点では、中々、固まりきれていない状況といえよう。また、坪売上げも、逆算すると300万から400万円であり、ディカウント業態としては、かなり、低い数字といえる。売上げを引き上げて利益を出すというよりも、経費を下げて利益を出すディスカウンターといえよう。

   そして、2008年度に入ると、常澄店(2008年2月、464坪、9億円)、北本店(2008年3月、424坪、12億円)、鴻巣店(2008年5月、337坪、10.5億円)、吹上店(2008年7月、370坪、10.5億円)、芳賀店(2008年10月303坪、7.5億円)、東海店(2008年11月、419坪、9.5億円)と6店舗オープンし、17店舗となった。2008年度は400坪前後とこれまでの店舗面積と比べ、比較的大きな店舗が多いのが特徴である。ただ、ほぼ、売上げ目標は年商10億円前後であるので、坪売上げにすると250万円ぐらいとなり、かなり低い数字であるといえよう。ここまでの17店舗を見る限り、フードoffストッカーは、売場面積にかかわらず、ほぼ10億円ぐらいの年商であり、その意味では、ハード面は別として、売上規模はほぼ固まってきたといえよう。仮に年商10億円から逆算すると、坪売上げ1,000万円で100坪、500万円で200坪であるので、フードoffストッカーのベスト売場面積は、200坪以下が力を発揮できるのではないかと思われる。

   さて、今年、2009年度であるが、石岡東店(2009年2月、348坪、9.5億円)、白岡原ケ井戸店(2009年5月、298坪、11億円)、柏布施店(2009年8月、415坪、12億円)、柏中央店(2009年9月、355坪、12.5億円)と4店舗をオープンした。

   これで、2004年3店舗(内翌年1店舗閉鎖)、2005年2店舗、2006年2店舗、2007年5店舗、2008年6店舗、2009年4店舗と、合計22店舗となり、現在、カスミストアの全店舗が135店舗であるので16.2%の割合となり、優に10%を超え、20%に迫る勢いであり、フードoffストッカーはカスミにとって、事業の大きな柱に育ちつつあるといえよう。また、ここ3年間は5から6店舗と安定してフードoffストッカーへの業態転換が進んでおり、当初、スタート時点の2004年度からの数年間と比べても転換ペースが増加しており、フードoffストッカーとしてのノウハウも十分に確立されたと思われる。

   このようにカスミがここへ来て、フードoffストッカーへの既存店からの業態転換が完全に軌道にのったといえ、新たなビジネスモデルがほぼ完成したといえよう。また、昨今のデフレの消費環境の中では、このようなディスカウント指向の食品スーパーマーケットは消費者のニーズとも合致しており、支持が高い業態といえる。恐らく、近々にフードoffストッカーの商品部も創設され、事業部としても独立する可能性が高く、新設店もいつオープンしても良い状況といえよう。フードoffストッカーが今後、どのように展開されてゆくのか注目である。

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November 22, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 21, 2009

デジタルサイネージ、本命か、ミルとくチャネル?

   最近、デジタルサイネージの動きが加速しており、あちこちで見かけるようになった。本ブログでもセブンイレブンのデジタルサイネージの実証実験について取り上げたが、食品スーパーマーケット業界でも、デジタルサイネージが、すでに実用化していることがわかった。以前から、サミット、カスミ、イオン等で様々な実証実験が行われていたり、ドールがバナナ売場でデジタルサイネージを活用していたりということは知っていたが、いずれも食品スーパーマーケットの売場全体を使ってのデジタルサイネージではなく、部分的な対応であった。ところが、意外なことに、ソニーがいなげやの店舗全体をつかって、30店舗でデジタルサイネージを展開しており、実証実験ではなく、本格稼働であり、広告効果もすでに実証されているという。

   その名も、「ミルとくチャネル」であり、現在、小売業界ではオリンピックの22店舗を含め、55店舗で稼働中であるという。オリンピックでは合計151台、いなげやでは254台、デジタルサイネージが設置されており、合計405台が稼働しているという。それぞれ店舗数で割ると、オリンピックは7台弱であり、いなげやは8台強であるので、かなりの数である。ソニーのホームページでは、売場写真も動画も公開されているが、それを見ると、主動線上に沿うように大型ディスプレイが配置され、特に、店頭青果売場では、平台ごとに大型ディスプレイが掲示されている。さらに、レジ前にもやや小型のディスプレイが掲げられており、顧客の動線をしっかり押さえた配置となっている。

   食品スーパーマーケットでデジタルサイネージを効果的に活用するには客数PI値がポイントであるといえ、入店顧客の何%が通る動線であるかが効果を決定づける。客数PI値はPI値にほぼ相関する傾向があるので、原則、PI値の高い場所、青果、日配等か、物理上、顧客が通らざるをえない場所、出入り口、すなわち、店頭、レジ前が客数PI値の高い場所となる。ここに効果的にデジタルサイネージを置くことにより、入店顧客へ対しての効果は最大となる。今回のいなげやの設置場所を見ても、主通路とレジの2チャンネルに絞っており、食品スーパーマーケットでデジタルサイネージを展開するのであれば、極めて理にかなったチャネル設定といえよう。

   もうひとつ、食品スーパーマーケットでデジタルサイネージを展開する上で、重要なポイントは時間である。食品スーパーマーケットの購買層の大半は食事の材料、素材、加工食品、調味料、惣菜を購入する主婦であり、少しでも早く買い物を済ませ、自宅に帰り、夕食、昼食を作りたいという思いが強い。したがって、平均的な買い物時間は5分から10分であるといえ、このわずかな時間の中で、デジタルサイネージで商品を訴求しなければならない。通常のテレビであれば、30分もの、60分もの、120分もの、長いものでは180分ものの番組があり、その中でCMを流せば良い分けであるが、食品スーパーマーケットの店内の場合は、5分、10分が最大であり、この中に効果的なCMを流すことがポイントとなるので、時間が極めて重要となる。

   今回の仕組みでも、その返は十分に考慮されているようで、5分に1回配信するようにし、可能な限り、1人2回はCMを見るように工夫しているようである。チャネルも大きく2つに分かれており、レジチャネルと主通路チャネルであり、CMをどちらに載せるかを選ぶことができ、料金もそれぞれ違うようである。いま、なぜか、いなげやのレジチャネルが特別割引になっているようで、価格設定もバラエティがあるようである。広告対象人数であるが、いなげやの場合が30店舗13.1万人、オリンピックが22店舗で13.3万人であるので、1店舗当たり、いなげやは4,366人、オリンピックは6,045人となる。食品スーパーマーケットで4,000人を超える人数はかなりの客数であり、広告効果から見ると、当然、客数が多ければ多い方が良いので、いなげやでも客数の多い店がピックアップされたといえよう。

   そこで、広告効果であるが、デジタルサイネージに流したCMの商品は平均約180%にPI値が跳ね上がるという結果であったという。最も反応が良いのが菓子であり200%を超え、ついで生鮮、加工食品、穀物加工品が平均近い数値であり、調味料、日用品は150%ぐらいであったという。また、視認率は週1回以上来店している顧客は約80%であるというので、かなり高い数字であるといえよう。こう見ると、デジタルサイネージの食品スーパーマーケットでの効果は十分といえ、今後、さらに工夫を重ね、進化し、定着してゆくのではないかと思う。

   ただ、ひとつ気になるのは、デジタルサイネージに入った商品は効果が極めて高いということはわかるが、店舗全体の売上げにはどのような影響があるかである。当然、そのためには、デジタルサイネージと店舗全体に影響を与える商品とマッチングさせる必要があり、自然、それは、POSデータとの融合となろう。また、デジタルサイネージは顧客に直接訴えることができるので、いずれ、IDとのマッチングも課題となろう。さらに、これが、顧客の動線検証に活用できれば、レイアウトの改善につながり、店舗の改装に活かすこともできよう。その意味で、食品スーパーマーケットで実用化がはじまったばかりのデジタルサイネージであるが、今後、店舗全体の活性化にもつながってゆき、ひいては来店顧客にとってより買い物しやすくなるような方向に発展していって欲しいと思う。

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November 21, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 20, 2009

ザ・プライス、初の新設店をNSCでオープン!

   セブン&アイHのディスカウント業態、ザ・プライスが初の新設店を11/20、埼玉県越谷市にオープンした。店名は「ザ・プライスせんげん台店」であり、2層建ての、NSC(ネバーフッドショッピングセンター:近隣型SC)の核店舗での新設出店である。デベロッパーはセブン&アイH傘下のモール・エスシー開発であり、自社物件でのオープンとなる。ザ・プライス以外にもサンドラック、ダイソ-、アカチャンホンポなど、約15店舗が入り、ザ・プライスとしては、これまでのイトーヨーカ堂からの業態転換から初の新設店でのオープンとなり、いよいよ第2ステージへ移ったといえよう。

   これまでザ・プライスは、約1年前の2008年、8/29に1号店、西新井店を東京都足立区にオープンし、その後、11/14、埼玉県川口市に川口店をオープンした。特に、川口店はオーケー、西友との直競合ともなり、ディスカウント業態の真価が問われる激しい価格競争を繰り広げ、現在でも川口商圏のプライスリーダーの一角を占めている。そして、2009年に入り、3/20、千葉県鎌ケ谷市に鎌ヶ谷店、3/26、埼玉県川口市に川口市2店舗目の西川口店、3/28、千葉松戸市に五香店を立て続けにオープンした。その後も4/17、埼玉県蕨市に蕨店、4/24、埼玉県東松山市に東松山店、6/19に神奈川県横浜市に鶴ケ峰店、7/17に東京都東久留米市に滝山店をオープンした。

   また、7/25には、イトーヨーカ堂の発祥の地、東京都足立区に、イトーヨーカ堂が1958年に開業した1号店、千住店をザ・プライスに業態転換した。ちょうど、ザ・プライス10店舗となるメモリアル店舗であり、創業の原点を引き継ぐ新たな業態として、ザ・プライスを不退転の決意で展開していくことを内外に宣言したともいえよう。

   そして、この11店舗目が、今回の初の新設店、しかも、食品スーパーマーケット最新の業態NSCでの核店舗での出店であり、イトーヨーカ堂としては、ザ・プライスに運命を託す、象徴となる11店舗目のオープンといえよう。この11店舗目が、10店舗目の創業店の業態転換を経て、新設店として新規オープンしたことは、ザ・プライスのビジネスモデルがほぼ完成したことを意味しているといえ、ザ・プライスがこれまでの実証実験段階から、本格展開へ向けての新たなスタートが切られたといえよう。イトーヨーカ堂は現在176店舗であるので、11店舗は6.25%に当たり、存在感を増しつつあるといえる。今後、17店を超え、10%を超えると、イトーヨーカ堂の柱へと成長する可能性もあり、ザ・プライスはここへ来て、まさに、第2ステージに入ったといえる。

   では、この11店舗目のザ・プライス、せんげん台店ではどのような進化がはかられたかであるが、その一端を見てみたい。ちなみに、11/19のプレオープンの目玉商品であるが、フィリピン産バナナ1カット50円(限定100個)、岩手県産活ホタテ1枚47円(限定100枚)、国産若鶏(解凍)手羽先5本入1パック75円(限定50パック)、ヤマザキシュガーロール(6個入)1袋 135円(限定50袋)、フラワー粉1kg1袋128円(限定50袋)である。

   さて、このザ・プライスの11号店の注目点であるが、まず上げるべきは、グロサリーと日配の部門管理を統合したことであろう。従来この2部門は対極にあり、商品回転率は日配が速く、グロサリーは遅く、管理温度帯も日配は冷蔵什器(低く)、グロサリーは非冷什器(温かい)という状況であった。したがって、発注、商品補充はもちろん、マーチャンダイジングも対極にあるといえ、部門を分けて管理する必要があったといえる。売上げもどちらも、全体の20%前後となり、食品スーパーマーケットでは生鮮食品と並ぶ中核部門といえる。

   ただ、食品スーパーマーケットの商品を概観すると、大きく2つに分かれ、店内加工商品(生鮮3品、惣菜)と発注補充商品(日配、グロサリー)になり、その意味で、発注補充がひとつのチームで可能であれば、全体の効率は間違いなくあがるはずであり、その面での改革は本来食品スーパーマーケットが取り組むべき課題であったといえる。しかも、今回はこの部門の商品を通常の6割に絞り込み、さらに、改善を加えているのが特徴である。今回、ザ・プライスがこの改革に成功したことで、今後、食品スーパーマーケット業界全体の改革にもつながるのではないかと思う。

   これ以外でも、バークヤードの設備と仕様を見直し、標準化を行い、大幅な設備投資の削減を実現したり、セルフレジを6台導入する予定であるという。これらの改革はいずれもディスカウント業態を成立させるための経費削減策であり、食品スーパーマーケットの最大の経費、人件費と設備投資の双方の削減につながる。

   このように、ザ・プライスが11店舗を新設店、しかもNSCで出店したことは、ザ・プライスのビジネスモデルが完成したということを意味しているといえる。今後、176店舗のイトーヨーカ堂の不振店を業態転換するだけでなく、新規出店にも踏み切ることが可能となったことで、ザ・プライスが不振のイトーヨカ堂を牽引してゆく道筋がついたといえ、今後のザ・プライスの動向に注目である。

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November 20, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 19, 2009

セブンイレブン、デジタルサイネージを導入!

   セブンイレブンのデジタルサイネージを見た。11/17から、都内の直営店10店舗で実証実験がはじまったが、その内の1店舗である。レジカウンターの後ろ、上の方に42型の液晶テレビのようなディスプレイを掲げ、その向かって右横に小さなカメラがついていた。すでに、CMも流れており、今後、3ケ月間、2月中旬頃まで検証を行うという。入ってすぐ、デジタルサイネージに気づいたが、見た感じは小さいという印象だった。42型なので、通常、部屋で見るには大型タイプであるが、セブンイレブンのレジカウンターの後ろ、上に掲げられると、それほど大きくは見えず、意外に小さいように思えた。ただ、その割には向かって右横のカメラがそれなりに目立つので、商品をレジで買う時、睨まれているようで、ちょっと不気味な感じを受けた。

   ちょうど、日経新聞11/17付けに、この記事が掲載されており、「セブン&アイが電子看板」、「セール・新商品情報発信、まず、ヨーカ堂など12店」という見出しの記事である。内容を見ると、11/17から、都内のセブインイレブン10店舗、イトーヨーカ堂2店舗に電子看板を設置するという。そして、その電子看板にセール情報、新商品情報、天気予報、ニュースなどを1回3~6分で放送するという。この放送内容は2週間単位で見なおすという。さらに、ディスプレイの横にカメラを取り付け、約3ケ月にわたり来店客の購買行動を分析し、放送内容の販促効果の測定も行うという。

   いわば、セブンイレブンが独自放送局をもつことになる。今後、全約13,000店舗のセブンイレブンにこのデジタルサイネージが設置されると、まさに、セブンチャネルをもつことになり、一大ネットワークができあがることになる。このようなネットワークは日本ではすでに、JRがトレインチャネルを電車の出入り口の上や駅構内に設置しており、この分野では先行している。また、海外では、ウォルマートがすでに、本格的に取り組みはじめ、全2,700店舗に27,000台のデジタルサイネージを入れ、ウォルマートチャネルが完成しつつあり、すでに、このチャネルは10秒間の広告を2週間、2,500店舗に流した場合、料金が10万ドル(約900万円)の値がついているという。セブンイレブンもこれに匹敵する一大ネットワークに育つ可能性が高く、今後、ヨーカ堂、西武百貨店、そごう、ヨークベニマル、ヨークマート、デニーズ等、グループの総力を挙げて、日本最大のデジタルサイネージ網がつくられる可能性が高まったといえよう。

   たまたま、この動きを確認するため、インターネットを見ていたら、アメリカのMediaDailyNewsに行き着いた。それによると、11/3の記事であるが、セブンイレブンジャパンの子会社、アメリカのセブンイレブンが全米とカナダのセブンイレブンの全6,200店舗にデジタルサイネージを入れることが決まったという。視聴者は推計月間で1億9,000万人にも及び、これは、全米最大のベースボール(野球)のテレビ中継が月間1億5,500万人から3億人であるので、これに匹敵する一大ネットワークが出現することになるという。また、今回、Digital Display Networks社と組み、番組を制作し、全米各地のニュースや天気予報や独自に製作したコンテンツも流す予定であるという。

   これを見ると、今回の日本のセブンイレブンのデジタルサイネージへの取り組みは、すでに、子会社のアメリカのセブンイレブンが先行しており、ほぼ、この動きと歩調を合わせるように動いており、恐らく、全世界のセブンイレブンが近いうち、デジタルサイネージを全店に導入し、一大ネットワークで結ばれるのではないかと思われる。各地で製作された番組そのものの共有は難しいと思われるが、そこで生み出されたノウハウの共有は可能といえ、さらに、今回、日本のセブンイレブンが取り組む、カメラを活用した消費者行動の分析や、広告効果の測定は各国のセブンイレブンでも活用されてゆくのではないかと思われる。

   これで、デジタルサイネージの小売業界への普及する環境が整いつつあるといえ、今後、デジタルサイネージが小売業界へ急速に浸透するのではないかと思われる。今後、すでに取り組んでいるローソンをはじめ、他のコンビニ、食品スーパーマーケット、GMS、ホームセンター、家電量販店など、様々な業種で一斉にデジタルサイネージの導入が始まる可能性が見えてきたといえよう。セブンイレブンの全店への導入は恐らく来期であると思われるので、来期、2011年度は、小売業界にとって、デジタルサイネージが本格的に導入される元年となろう。

   これによって、CMは大きく変わり、今後はテレビ、雑誌に加え、小売業の店頭CM、すなわち、デジタルサイネージが重要な役割を果たすのではないかと思われる。特に、小売業のPOS、IDカード、デジタルカメラによる動画が融合した新たなCM効果測定の指標も早い段階で開発されると思われ、より効果の高いCMが生まれるものと思われる。また、小売業においては、マーチャンダイジングに動画が組み込まれ、恐らく、時間が売上、利益同様に重要なMDのキー概念になるのではないかと思われる。その意味でデジタルサイネージはメーカー、小売業双方にとって、重要なマーケティング、マーチャンダイジングの支援ツールになるのではないかと思う。今後の各社の動向に注目である。

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November 19, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 18, 2009

バロー、2010年3月期、中間決算、増収減益!

   バローが、11/6、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,713.96億円(101.7%)、営業利益43.28億円(96.1%)、経常利益45.41億円(96.6%)、当期純利益17.94億円(97.9%)となり、増収減益となる厳しい結果となった。バローは、本体のバロー以外にも、食品スーパーマーケット数社、ホームセンター、ドラックストア、スポーツクラブなどをグループで運営しており、食品スーパーマーケットとしては多岐にわたる意欲的なビジネスを展開している。そこで、個別、食品スーパーマーケットのバロー124店舗、ホームセンター36店舗、ペットショップ18店舗の合計178店舗の数字を見ると、営業収益1,124.71億円(101.1%)、営業利益21.22億円(71.9%)、経常利益27.82億円(75.3%)、当期純利益14.65億円(74.8%)と、同様に、増収減益となり、減益幅がさらに広がる厳しい決算結果となった。

   この個別決算において、バローが減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、76.14%(昨年75.22%)と、0.92ポイント上昇しており、結果、売上総利益は、23.86%(昨年24.78%)と下がった。バローも、「・・、消費者の生活防衛意識が日々の消費行動を鈍化させ、低価格志向を加速させるという非常に厳しい環境にあり、・・」とコメントしているように、価格ダウンがそのまま原価ダウンにつながらず、原価の上昇をまねいたものといえよう。それだけ、価格競争は厳しい状況にあるといえ、食品スーパーマーケットは体力勝負の激しい消耗戦に入ったといえよう。一方、経費の方であるが、27.66%(昨年27.56%)と、若干の上昇が見られる。したがって、原価、経費、双方が上昇し、ダブルで利益を圧迫しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力が-3.80%(昨年-2.78%)と、マイナス幅がさらに広がり、厳しい結果となった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が5.80%(昨年5.58%)のり、結果、営業利益は2.00%(2.80%)となり、減益となった。

   それにしても、バローの収益構造はその他営業収入が大きな鍵を握っており、マーチャンダイジング力が原価大(粗利小)、経費大という構図となっているため、今期のように原価上昇圧力が強い経営環境では、売上げが伸び悩み、固定費が重くのしかかり、その幅が拡大する圧力が加わり、利益がとりにくい状況にあるといえよう。今後、利益を生み出す上においては、原価の改善も重要であるが、経費を如何に下げるビジネスモデルをつくるかが経営課題といえよう。バロー自身も今期、「チラシ配布による販促を行わないEDLP(エブリデー・ロープライス=毎日低価格販売)型スーパーの実験店である「バロー師勝店」」をオープンさせており、これらの動向が注目されるところである。

   一方、財務の方であるが、この中間期の連結の自己資本比率は32.3%(昨年32.0%)と若干改善しているが、負債に約70%を負う財務構造であり、厳しい状況である。これは、負債の主要項目である有利子負債が657.08億円(前期決算時684.49億円)と、返済が進んではいるが、総資産1,736.05億円の37.84%と重くのしかかっているためである。決算公開企業約50社の前期決算時の有利子負債の平均は27.7%であり、平均よりも約10ポイント高く、引き続き、有利子負債の削減が財務の安定化にとっては重要な経営課題といえよう。

   食品スーパーマーケットの財務、特に、資産はその大半が出店にかかわる資産であり、これも決算公開企業約50社の前期決算時の平均を見ると63.5%となり、在庫まで入れると約70%と、大半を占める。したがって、自己資本比率が上昇し、財務が安定しないと、負債、特に有利子負債に頼る新規出店構造となり、資金調達が可能な間は出店ができるが、

   いずれ、限界となり、出店が厳しくなり、成長が鈍化しかねない状況となる。バローの出店にかかわる資産、土地、建物、差入れ保証金の合計は1,117.36億円であり、総資産の64.36%となる。また、在庫は187.63億円と、総資産の10.80%と、通常の食品スーパーマーケットよりも、ホームセンター等の在庫の多い業種が連結決算では加わるため、重くなり、在庫まで入れると、出店にかかわる資産は75.16%と巨額な数字となり、これを自己資本比率から差し引いた出店余力は-42.86%と、負債、特に有利子負債に大きく負う出店構造となる。今後、中長期的に継続的安定的な出店をはかってゆくためにも、有利子負債の削減を一層すすめ、自己資本比率を改善してゆくことが、優先的な経営課題といえよう。

   これを受けて、通期予想であるが、営業収益3,590.00億円(106.7%)、営業利益107.00億円(109.2%)、経常利益108.00億円(106.0%)、当期純利益38.00億円(112.2%)と、この中間決算とはうってかわり、増収増益の好決算予想である。ただ、経営環境はより厳しさを増し、原価、経費双方への圧力がより強まることが予想されるので、この数字を達成するには、今後、後半で思い切った経営改善が必要といえよう。その意味でバローが、この後半に向けて、特に、年間最大の売上、利益を確保できるクリスマス、年末商戦においてどのような思い切ったマーチャンダイジング政策を打ち出すかかに注目である。
 
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November 18, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 17, 2009

ウォルマート、2010年、第3四半期決算、EPS増益!

   ウォルマートが11/12、2010年、第3四半期の決算を公表した。日本の決算では、まず、増収増益が最初に問われるが、ウォルマートは、EPS(1株当たりの利益)を見出しにも、決算発表の冒頭の文書にももって来ており、株主に対しての経営責任を明確にしているのが特徴である。この第3四半期のEPS(1株当たりの利益)は0.84ドルであり、これは、期初に株主に約束した0.78ドルから0.82ドルを上回り、さらに、昨年の0.77ドルを上回る結果であり、率にして昨対109.0%であり、増益となった。日本の上場食品スーパーマーケットでEPSを冒頭に示し、株主にアピールする企業はまずないといえ、いかに、アメリカ、特に、ウォルマートが株主へ対しての責任を強く意識しているかがわかる。

   これひとつをとっても、日本の西友を完全子会社化し、ウォルマート自ら改革に邁進し、復活しつつある西友がいかに本気であるかがうかがわれる。仮に西友から利益が上がらず、EPSに影響があるようであれば、株主から圧力がかかり、日本市場からの撤退もありうる話であり、ウォルマート経営陣は不退転の決意で、西友の改革に取り組んでいるのではないかと思う。

   さて、ウォルマートの売上げであるが、この第3四半期の累計は2,922.20億ドル(約26.2兆円)となり、昨対では-0.3%と若干のマイナスとなった。ただ、第3四半期のみでは1.1%の上昇であり、第3四半期に入って売上げの回復が見られる。特に、海外部門の回復が目覚ましく、累計では-4.8%と厳しい状況であるが、第3四半期のみでは1.6%と、プラスに転じており、懸案の為替レートも落ち着きつつあり、今後はウォルマート全体の売り上げに貢献してくるものと思われる。ただ、サムズクラブ部門は累計-1.8%、第3四半期のみでも-0.7%と厳しい状況にあり、若干回復が遅れつつあるといえよう。また、既存店についてであるが、ウォルマート部門は0.5%、サムズクラブ部門は-2.3%となり、合計0.0%という状況であり、堅調な売上げとなった。

   では、この第3四半期のウォルマートのP/Lを見てみたい。売上げは先にみたとおりであるが、累計の原価は75.06%(昨年75.75%)と下がっており、結果、売上総利益、粗利は24.94%(昨年24.25%)と、0.69ポイント上昇した。日本の食品スーパーマーケット、決算公開企業約50社の平均が25.2%であるので、ほぼ近い数字といえよう。これに対し、経費は20.02%(昨年19.47%)と、0.55ポイント上昇しており、20%を超えた。本来、ウォルマートはEDLPに加え、EDLC(EveryDay Low Cost)を徹底し、それが最大の武器となっていたが、ここへ来て、コスト上昇が見られるのが、やや気になるところである。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は4.92%(昨年4.78%)と、プラスになり、これに、その他営業利益が0.80%(昨年0.82%)のり、営業利益は5.72%(昨年5.60%)と、プラスになった。結果、売上げの若干のマイナスをカバーし、増益となっており、減収増益という決算結果となった。

   これを受けて、キャッシュフローであるが、営業キャッシュフローは124.40億ドル(約1兆1,196億円、昨対119.3%)と、大きく増加した。それにしても、営業キャッシュフローが第3四半期累計で1兆円を超えており、すごい金額である。この内、当期純利益が100.63億ドル(80.8%)、減価償却費が52.55億ドル(42.24%)を占めている。日本の決算公開企業約50社の平均が51.7%対42.7%であるので、減価償却費はほぼ同じであるが、当期純利益が極端に高いのが特徴といえよう。

   これに対して、投資キャッシュフローであるが、-86.61億ドル(約-7,800億円、127.4%)であり、今期は積極的な投資がなされている。その中身は、出店関連の投資が-88.85億ドル(昨年-81.74億ドル)と、ほぼすべてであり、今後とも、積極的に新規出店を図ってゆくものと思われる。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは37.79億ドル(約3,500億円、昨年36.29億ドル)となり、営業キャッシュフローの約30%となる。したがって、営業キャッシュフローの約70%を新店開発に振り向け、約30%を財務キャッシュフローに振り向けたことになる。

   その財務キャッシュフローであるが、-49.26億ドル(約-4,400億円、161.6%)となり、トータルでは-12.72億ドル(昨年3.51億ドル)と内部留保を取り崩している。中身であるが、配当が31.79億ドル(昨年28.14億ドル)と、配当を増加させている。売上対比では1.08%であり、日本の決算公開企業約50社の平均が0.28%であるので、約5倍、No.1のオオゼキが0.73%であるので、いかに、ウォルマートが株主に厚く配当をしているかがわかる。また、自社株買いが51.05億ドル(昨年35.21億ドル)であり、これも株主還元といえ、増益による利益を株主に厚く還元しているといえよう。これに対して、有利負債は差し引き、若干プラスとなっており、返済が進んでおらず、気になるところである。ウォルマートの今期の純資産比率は40.27%であり、昨年が40.25%であるので、ほぼ同じで数字であり、今期の増益が財務の改善にはつながっておらず、今後の課題といえよう。

   このように、ウォルマートの第3四半期決算は若干減収とはなったが、増益となり、EPS(1株当たりの利益)が上昇し、利益は回復基調といえよう。特に、これまで、為替の影響で海外部門が厳しい状況であったが、ここへ来て回復基調となっており、これも大きいといえよう。残すところ、あと四半期であるが、減収幅はわずかであり、年間最大の売上となるクリスマス、年末セール次第で、今期決算が決まるといえ、次の第4四半期のウォルマートのマーチャンダイジング戦略に注目である。

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November 17, 2009 in ウォルマート、海外情報, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 16, 2009

ファミリーマート、11/13、am/pmを子会社化!

   11/13、ファミリーマートが正式に、am/pm(株式会社エーエム・ピーエム・ジャパン)の子会社化を公表した。この日、ファミリーマートの取締役会で決議され、記者会見も開き、その中で12/24日付けで全株式を実質120億円で買い取り、来春に合併するということを明らかにした。その理由について、ファミリーマートは、「・・、厳しい経営環境の中、さらに当社の競争力を高め、本部、加盟店共に中長期的な成長を確実なものとするためには、国内におけるファミリーマートブランドのマーケットシェアを効率的に獲得することが最善であると考え、このたびam/pmを子会社化することを決定いたしました。・・」とコメントしており、「市場シェアを効率的に獲得する」ことが狙いであるとしている。

   これを受けて、11/14の日経新聞は、「ファミマ、am/pm買収発表、12月までに店名統一」、「セブン追撃へ再編口火」、「市場は低迷、成長に危機感、首都圏一気に強化」との見出しの記事を掲載した。その記事を読むと、ファミリーマートの筆頭株主、30.65%を所有する伊藤忠商事は当初はこのM&Aに消極的であったという。伊藤忠商事は、国内よりも、海外市場を優先すべきという考えが強かったというが、伊藤忠商事、食料部門出身のファミリーマートの上田社長がここは勝負時と見て、リスク覚悟の主戦論を展開し、自ら、am/pmの親会社、レックスホールディングスと交渉を開始したという。

   実際、今回の買収金額は120億円であるが、11/15の日経ヴェリタスによれば、これ以外に、買収後のam/pmの店舗改装に80億円、250店舗の不採算店の閉鎖に90億円、ここから節税効果110億円を引くと、合計実質180億円の投資になるという。これは、すでに、この5月に白紙にもどったローソンとam/pmの直接の買収金額145億円、これに店舗改装150億円、節税効果150億円、さらに保証金のもどしなどで50億円、計95億円と比べると、かなり割高であるという。それでも、そのリスクを負ってでも、今回、上田社長がam/pmの買収を決断した理由は、首都圏という、最も重要な市場で劣勢にたっていたファミリーマートを一気に、この市場でNo.1にするには、このM&Aが「市場シェアを効率的に獲得する」最良の選択肢と判断したためであるという。

   実際、日経新聞によれば、現在、都内の主要コンビニの店舗数は、No.1がセブンイレブンジャパン1,650店舗、No.2がローソン1,250店舗、No.3がファミリーマートの1,150店舗である。これにam/pmの550店舗が加わると、ファミリーマートは1,800店舗となり、一気にトップシェアとなり、首都圏でのまさに、「市場シェア」を獲得することになる。そのためには、買収金額が高くついても、市場シェアを優先した方が、経営戦略上は重要であるとの判断が働いたものといえよう。

   ちなみに、am/pmの経営状況であるが、ここ3年間の純資産は、2006年12月期26.20億円、2007年12月期-122.62億円、2008年12月期-139.22億円と、2007年度から債務超過に陥っている。今回のファミリーマートの交渉に当たっても、日経新聞によれば、am/pmの本多社長は、「当社の経営資源では加盟店を守りきれない」と語ったということで、この100億円以上の債務超過は、経営の限界を超える、ギリギリの状況であったことがわかる。また、チェーン店全体の売上高も、2006年12月期1,733.12億円、2007年12月期1,625.36億円、2008年12月期1,515.06億円と、厳しい状況にあり、店舗の活性化が急務であった状況であり、債務超過を相殺するだけでなく、既存店の活性化の資金も必要な状況であり、am/pmの親会社、レックスホールディングスでは、支えきれない状況にあったといえよう。さらに、営業利益は2006年12月期-11.43億円、2007年12月期-34.90億円、2008年12月期6.10億円と、厳しい状況であり、収益の改善もまったなしの状況であったといえる。

   さて、今後であるが、11/15の日経に、「そこが知りたい」というコーナーで、伊藤忠商事の小林社長のインタビュー記事が掲載された。これを読むと、すでに、伊藤忠商事は次の一手に目が向いており、ひとつは、海外、特に中国市場の開拓であり、もうひとつは、国内でのバリューチェーンの構築である。特に、伊藤忠商事がすでに出資を決めたユニーを中心に、グループのファミリーマート、そして、今回のam/pm等のコンビニ、またユニーと業務提携先のイズミヤ、フジ等の食品スーパーマーケットとの連携、さらに、これらを起点に国内の有力コンビニ、食品スーパーマーケットとの連携である。

   その意味で、今回のファミリーマートのam/pm買収は、伊藤忠商事がキーカンパニーとなった小売業の第3極、セブン&アイH、イオンにつぐ一大小売りグループづくりへの大きな一歩ともいえよう。ファミリーマートがいつ、ユニー傘下のサークルKサンクスと資本・業務提携に踏み切ってもおかしくない状況であり、ユニーがいつイズミヤ、フジともう一歩踏み込んだ連携をはかっても不思議ではなく、さらに、全国の有力食品スーパーマーケットが、この連合にいつ加わっても違和感がない状況であるといえよう。今回のファミリーマートのam/pmへのM&Aが、食品スーパーマーケット業界を含め、流通業界再編の口火を切るきっかけとなった可能性が高く、今後、各社の動向に注目である。

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November 16, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 15, 2009

在庫と食品スーパーマーケットの関係

  小売業は在庫との戦いであるといわれる。食品スーパーマーケットも同様であり、在庫問題はマーチャンダイジングの大きな課題である。確かに、売場は商品であふれており、通常の食品スーパーマーケットでは約1万品はあり、このそれぞれが、金額面で見ると平均10日分ぐらいの在庫をもっている。また、これを数量で見ると、1日1個であれば、10万品、2日に1個であれば5万品、10日に1個であれば、1万品の在庫となる。ちなみに、ごく一般的な食品スーパーマーケットの部門別在庫日数であるが、金額面で見ると、生鮮は数日、日配は5日ぐらい、グロサリーは3週間ぐらい、合計10日前後となる。

   では、この在庫がどのような経営へのインパクトとなるかを考えてみたい。まず、在庫と経営との関係であるが、大きく2つあるといえよう。ひとつは過少在庫であり、もうひとつは過剰在庫である。過少在庫の場合は、売上げが下がり、結果、利益が下がることが経営へ与えるインパクトであるといえよう。これは結果的に、キャッシュフロー、特に、当期純利益を減らし、投資や返済への原資が少なくなり、結果、純資産が増加せず、財務への圧迫が起こることになろう。

   一方、過剰在庫は、売上げは過少在庫と比べ上昇し、キャッシュフローも増加し、投資や返済への原資が増え、純資産も増加し、財務改善へつながるように見える。ただ、売上げが上がらなければ、在庫が増えることになり、原価が上昇し、粗利が減り、結果、キャッシュフローが減ることになる。要は、過剰在庫が売上げに結びつくかどうかがポイントとなる。また、過剰在庫は、一方で、B/Sの資産の増加につながり、結果、負債が増加することになりかねず、財務を圧迫することになる。したがって、過剰在庫は、売上げに結びつたとしても、資産、負債の増加につながる恐れが高く、この面から見ると、望ましいとはいえない。

   では、実際、食品スーパーマーケットでどのくらい在庫資産があるかであるが、決算公開企業約50社の前期本決算をみると、単純平均では総資産対比8.5%である。ただ、この中には、ホームセンター主体の食品スーパーマーケット、GMS、SC主体の食品スーパーマーケットも入っており、純粋な生鮮主体の食品スーパーマーケットで見ると数%である。実際の数字を見ると、たとえば、ホームセンター主体のトライアルカンパニー26.2%、PLANT20.0%、アークランドサカモト17.0%という状況であり、GMS主体のイオン九州23.5%、Olympic15.0%とい状況である。一方、生鮮主体の食品スーパーマーケットはオオゼキ2.5%、マックスバリュ東海4.0%、丸和4.1%、関西スーパーマーケット4.2%、原信ナルスH4.2%、アオキスーパー4.6%、ハローズ4.9%、ヨークベニマル4.9%、オーケー4.9%という状況である。したがって、食品スーパーマーケットの在庫はおよそ5%前後といえよう。
 
   では、この約5%が経営へのインパクトがあるかどうかであるが、微妙な数字であるといえよう。先に見たトライアルカンパニー、PLANT、アークランドサカモトのように20%前後となると在庫インパクトは大きく、この削減がそのまま負債の削減につながり、純資産比率の引き上げにつながったり、たな卸資産の減少として、キャッシュフローの増加に大きくつながることになる。経営の改善に大きく寄与するといえよう。

   したがって、食品スーパーマーケットにとって、在庫問題は確かに総資産の5%前後であるので、それなりの存在感はあるが、経営にインパクトを与えるまでにはなっておらず、微妙な数字といえよう。通常、何でもそうだが、ものごとにインパクトを与えるには、7%から10%の数字が必要といえ、これが10%を超えれば、大きなインパクトとなり、無視できない数字となる。食品スーパーマーケットで10%以上の影響のある項目は、資産面では、土地、建物、敷金・保証金等であり、負債面では買掛金、有利子負債等である。これらは確かに、10%以上の総資産対比の項目であり、どれも経営へのインパクトは大きい。

   こう見ると、食品スーパーマーケットにとって、最大のインパクトはこの中の、土地、建物、敷金・保証金、すなわち、出店関連であり、しかも、その資金調達が有利子負債であることが大半であり、この2点が最も経営にインパクトがある項目といえよう。在庫問題はこと食品スーパーマーケットにとっては、最大のインパクトである出店関連の次のテーマであるといえ、無視はできないが、横目でしっかりにらみながら見てゆく項目といえよう。

   このように食品スーパーマーケットにおける在庫問題は、こと、生鮮主体の食品スーパーマーケットでは総資産の約5%であり、経営へのインパクトが微妙な数字であるといえる。小売業業界全体では在庫問題は、先に見たホームセンター主体の食品スーパーマーケットのように大きなインパクトがあるが、食品スーパーマーケットはそれ以上に出店関連の問題があまりにもインパクトが大きいといえ、気にしなければならない課題ではあるが、経営改善の優先度は若干低い課題であるといえよう。

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November 15, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 14, 2009

ヤマザワ、2010年3月期中間、減収増益!

   ヤマザワが10/30、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、売上高458.15億円(99.3%)、営業利益12.07億円(102.0%:売上対比2.63%)、経常利益12.18億円(101.9%:売上対比2.65%)、当期純利益5.99億円(145.5%:売上対比1.30%)と、売上高は減少したものの、利益は増益、特に当期純利益は大幅な増益となった。売上高が減少した要因は新店が1店舗に留まり、既存店の客数が96.1%、客単価が98.8%となり、売上高が94.9%となったことが大きかった。また、客単価の中身であるが、買上点数は101.0%とやや上昇したが、平均単価が97.8%と下落したことが大きい。平均単価97.8%は昨年が101.4%、一昨年が101.2%であるので、この3年間では最も大きな落ち込みであり、消費環境の悪化による価格競争の結果を反映しているといえよう。

   ただ、このような既存店の厳しい売上の結果を受けても、利益は増益となり、その要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、71.94%(昨年72.15%)と、0.21ポイント減少した。今期は各食品スーパーマーケットが激しい価格競争の中、原価が上昇する食品スーパーマーケットが多いにもかかわらず、ヤマザワは、原価の改善をはかっており、これが利益に貢献したといえよう。しかも、先に見たように、平均単価は下がっており、それ以上に原価を改善したといえ、この面での改善効果は大きかったといえる。結果、売上総利益は28.06%(昨年27.85%)と、粗利が改善した。

   一方、経費の方であるが、25.42%(昨年25.27%)と0.15ポイント上昇しており、経費面では若干の増加が見られた。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は2.64%(昨年2.58%)と、上昇した。ヤマザワはその他営業収入が0であるため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、今期、売上げが伸び悩む中、利益は原価を抑えたことにより、増益となり、堅調な決算となった。

   これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは14.55億円(昨年6.59億円)となり、約8億円と、大きく増加しているが、これは、当期純利益が大きく増加したことではなく、減価償却費が増加したことに加え、法人税等の支出面が減少したことが大きい。結果、投資キャッシュフロー、財務キャッシュフローへの配分が大きく増加した。その投資キャッシュフローであるが、-14.22億円(昨年-12.04億円)と、営業キャッシュフローの大半を当てており、これを見る限り、積極的な投資にキャッシュを配分していることがわかる。その中身であるが、新規出店関連への投資が-13.91億円(昨年-11.81億円)と、昨年よりも増加しており、新店への積極的な投資がなされている。ヤマザワの1店舗当たりの出店に関する資産は4.49億円であるので、逆算すると、3.1店舗となる。

   ヤマザワは、この中間期では7月に神町店(山形県)の1店舗のみの新規出店であり、後半の予定が富の中店(山形県)、中の島店(宮城県)の2店舗、計3店舗の予定である。このキャッシュフローの配分を見ると、今後とも堅調な店舗増を目指しているといえよう。結果、現在、山形県44店舗、宮城県17店舗、合計61店舗となった。年3店舗はちょうど5%の店舗数に当たり、105%の堅実な成長を目指した投資への配分といえよう。

   結果、フリーキャッシュフローは0.33億円(昨年-5.45億円)と、昨年の大幅なマイナスと比べ、プラスの順流となったが、その金額はわずかであり、投資キャッシュフローへの厚い配分がなされ、財務キャッシュフローへの配分が厳しい状況である。その財務キャッシュフローであるが、-1.00億円(昨年-6.17億円)と、さらにマイナスとなり、内部留保を取り崩す結果となり、トータルのキャッシュフローは-0.67億円(昨年-11.62億円)となった。ただ、昨年よりは、減少している。その中身であるが、配当は-1.46億円と変わらなかったが、有利子負債の返済が1.20億円(昨年-4.66億円)と、昨年と比べ、増加しており、気になるところである。

   結果、ヤマザワの有利子負債は21.70億円(前期本決算時20.50億円)と若干増加したが、総資産401.03億円の5.41%であるので、財務的にはほとんど問題のない数字である。また、現金及び預金は40.83億円であるので、実質、無借金経営であるといえ、安定した財務状況である。したがって、自己資本比率も63.4%(昨年62.7%)と、健全であり、負債に大きく頼ることなく、経営が可能な財務状況といえる。この自己資本63.4%は食品スーパーマーケット決算公開企業約50社の前決算時の平均が40.7%であるので、トップクラスであり、ベスト10に入る高い数字である。この安定した財務状況があって、今回のキャッシュフローのように、思い切って投資へキャッシュを振りむけることが可能となったといえよう。

   このように、ヤマザワの2010年3月期の中間決算は、わずかな減収とはなったが、利益はしっかり確保しており、財務状況も安定している。後半は新規に2店舗の出店が予定されており、通期予想を見ても、100.4%の増収を見込んでいる。今期は、この中間の堅調な増益を背景に増収増益となるものといえよう。課題は、既存店の活性化に絞られたといえ、平均単価の落ち込みによる客単価ダウンをどうカバーしてゆくか、今後、ヤマザワのマーチャンダイジング戦略に注目したい。

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November 14, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 13, 2009

POS分析、レシートとID分析の違いは?

   ここ最近POS分析が急速に食品スーパーマーケット業界、およびメーカー、卸で注目されつつある。その背景にあるのは、消費環境の厳しさが増す中、小売業側の収益が落ち、その対策のひとつとして、食品スーパーマーケットとメーカー、卸と一体となった取り組みが求められ始めたことがあるといえよう。特に、ここ最近、食品スーパーマーケット側のIT化が進み、webを通じて、POSデータを公開する仕組みがあいついで開発されたことも、この状況に拍車をかけているといえよう。そこで、ここでは、この注目されつつあるPOS分析において、2大潮流となりつつある分析手法、レシート分析とID分析の違いについて考えてみたい。

   POS分析には、大きく分けて2つの分析手法が存在する。ひとつはレシート分析であり、もうひとつはID分析である。では、この2つの分析手法の決定的な違いは何かを考えてみたい。まず、共通点であるが、どちらも、売上げと連動しており、売上げを起点に捉えることができる。レシートの場合は、売上=レシート枚数×レシート1枚当たりの売上げであり、IDの場合は、売上=ID数×1ID当たりの売上げとなる。したがって、ここから売上を起点に両者を関係づけることが可能となる。売上=レシート枚数×レシート1枚当たりの売上げ=ID数×1ID当たりの売上げとなる。そして、これを変形すると、レシートとIDの関係が明らかになる。すなわち、レシート枚数×レシート1枚当たりの売上げ=ID数×1ID当たりの売上げとなり、これをレシートから見ると、レシート1枚当たりの売上げ=1ID当たりの売上げ×(ID数÷レシート枚数)であり、IDから見ると、1ID当たりの売上げ=レシート1枚当たりの売上げ×(レシート枚数÷ID数)である。

   すなわち、レシートとIDの関係は、この数式によって関係づけられ、どちらを起点にしても、売上げを説明でき、売上げを媒介にして、この両者を関係づけることが可能となる。通常は、この2つの数式の内、後者、すなわち、1ID当たりの売上げ=レシート1枚当たりの売上げ×(レシート枚数÷ID数)を活用し、これをさらに整理し、ID金額PI値(1ID当たりの売上げ)=ID客数PI値(レシート枚数÷ID数)×金額PI値(レシート1枚当たりの売上げ)として、活用している。

   したがって、レシートとIDの関係は、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値で関係づけられ、この両者は無関係ではなく、この数式により、売上げを媒介にして、密接な関係にあるといえる。そこで、この数式をもとに、レシートとIDの違いを改めて考えてみたい。

   まず、レシートであるが、決定的な違いは、レシートにはIDがないため、ID客数PI値が存在しないことである。数式の右半分の金額PI値だけの世界での分析となる。したがって、売上げをあげるには、レシート枚数を増やすか、金額PI値(レシート1枚当たりの売上げ)を増やすかということになる。特に、金額PI値の高い商品が重視され、この商品のレシート枚数をいかに増やすかが最重点課題となる。

   これに対して、IDは、数式が示すように、金額PI値にID客数PI値がかかっているため、ID客数PI値、すなわち、頻度が重要なキーワードとなる。したがって、この頻度次第で、金額PI値が高いものでも、ID金額PI値は低くなることもあり、逆に、金額PI値が低いものでも、ID金額PI値は高くなることもある。これは、レシートの世界では想像もつかなかった事実であり、IDを見ることによってはじめて明らかになった事実である。したがって、ID客数PI値、すなわち、頻度分析が可能なことが、決定的な違いのひとつである。

   次に、その延長となるが、頻度分析、すなわち、リピート分析が可能となることである。単純なID客数PI値の頻度だけでなく、売上げの中身が、トライアルIDが多いのか、リピートIDが多いのか、さらには、ヘビーリピートか、ライトリピートかなど、様々な頻度分析が可能となる。また、IDの属性と絡めれば、属性ごとの頻度分析も可能となり、売上げの中身がより深く分析できることがポイントである。

   そして、もう1点、IDで売上げが見えるので、対象商品だけでなく、そのIDが購入している全商品を見ることもできることである。これもレシート分析では逆立ちしても把握できない実態である。これによって、併売分析も可能となり、さらには、そのIDがどれだけ、店舗に貢献しているか、いわゆるロイヤルカスタマー度の判別も可能となる。これは、財務との連動も視野に入る課題であり、特に、キャッシュフローと密接に絡むテーマでもある。

   このように、レシートとIDは密接に関係しており、しかも、その本質は、決定的な違いがあるといえる。さらに、この両者は従属関係にあるともいえ、ID客数PI値を介することによって、金額PI値の世界をID金額PI値の世界に変換することが可能である。金額PI値の世界はすべてID金額PI値で説明することができるが、ID金額PI値の世界は、IDの把握ができない限り、金額PI値では説明できないという関係である。その意味で、POS分析は、その歴史はレシートからIDへという流れであるが、本質を理解するには、IDからレシートへの方が速く、しかも深く理解でき、広がりも大きいといえよう。

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November 13, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 12, 2009

九九プラス、2010年3月期、中間決算、増収増益、好調!

   九九プラスが11/10、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収入760.73億円(112.1%)、営業利益11.78億円(昨年赤字:営業収益比1.54%)、経常利益 12.28億円(昨年赤字:営業収益比1.61%)、当期純利益14.47億円(昨年赤字:営業収益比1.90%)と、昨年の赤字からV字回復を果たし、一転、増収増益の好決算となった。今期はローソンとの資本・業務提携の成果が問われる決算であるが、早くも、その効果が鮮明に表れたといえよう。特に、今年5/1にローソンの子会社バリューローソンの吸収合併を機に、大半の店舗をローソンストア100へとリニューアルしたことが大きいといえよう。現在、九九プラスは937店舗であるが、内、ローソンストア100は744店となり、約80%が新店を含め、リニューアルしたことになる。さらに、FC化もこの7月から本格化しており、これが軌道に乗れば、これまで抑制されていた新規出店ペースを速めることも可能となろう。

   では、今期、昨年の赤字から一転、黒字に転換した要因を原価、経費面から検証してみたい。まず、原価であるが、75.66%(昨年76.24%)と、0.58ポイント下がっており、原価の改善が着実に進んでいる。結果、売上総利益は24.34%(昨年23.76%)となり、粗利の改善が進んだ。九九プラスは、商品売価が原則100円であるので、1品につき、24.34円が平均粗利であり、75.66円が平均原価となる。一方、経費の方であるが、24.65%(昨年26.36%)となり、1.71ポイントと大幅に改善した。今期の高収益をもたらした要因は、原価よりも、経費の方が大きいといえよう。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、-0.31%(昨年-2.60%)と、マイナス幅が大きく改善した。ただ、まだ、若干のマイナスであり、今後、さらに、マーチャンダイジング力を引き上げ、プラスにもってゆけるかが課題といえよう。

   そして、これに、FCビジネス特有の加盟店からの収入とその他営業収入が加わるが、その数字は1.84%(昨年2.06%)と、昨年よりも下がっているが、マーチャンダイジング力の改善効果が大きく、営業利益は1.53%(昨年-0.54%)と、赤字から黒字へと転換し、V字回復となった。こう見ると、まだ、マーチャンダイジング力がマイナスという課題は残るが、原価よりも経費が大きく改善されたことが、大きいといえよう。また、今後はFC化がさらに加速され、FCからの加盟店収入が増加するものと予想され、その他営業収入が、改善され、営業利益を一層押し上げることが期待されよう。さらに、課題の原価についても、ローソンとの商品の共同開発、PB化も進むと予想され、この面での改善も期待できる。したがって、今後、九九プラスの業績は、さらに、改善されるのではないかと思われる。

   これを受けて、九九プラスの通期予想であるが、営業収益1,379.00億円、営業利益 17.70億円(営業収益比1.28%)、経常利益18.20億円(営業収益比1.31%)、当期純利益16.50億円(営業収益比1.19%)と、やや、中間決算と比べ、営業収益比が下がった予想であることが気になるが、黒字基調は変わらず、好決算が予想される。

   さて、一方、財務面であるが、自己資本比率は43.8%(昨年41.6%)と、改善しており、財務の強化も進んでいるといえよう。ただ、まだ、60%弱が負債に負う経営構造であり、今後、さらに、財務基盤の強化も課題といえよう。そこで、今期の好調な決算をもとにキャッシュフローの流れを見てみたい。そして、ここから、今後の九九プラスの経営戦略をうらなってみたい。

   まず、営業キャッシュフローであるが、25.61億円(昨年13.24億円)と、当期純利益がプラスになった分、大きく増加している。そして、投資キャッシュフローであるが、-8.28億円(昨年-7.69億円)と、ほぼ昨年と同様の投資である。その中身であるが、新規出店関連への投資が-9.27億円(昨年-6.30億円)と、昨年よりも、増加しており、今期は新店に対しても昨年以上に配分を割いている。結果、フリーキャッシュフローは17.33億円(昨年5.55億円)となり、3倍強に増加した。ここから財務キャッシュフローへの配分となるが、-19.69億円(昨年-9.50億円)と、大きく配分が増えており、その中身は、有利子負債の返済のみであり、金額は-19.68億円(昨年-9.17億円)となる。したがって、今期は、好調な決算結果を受け、増加したキャッシュの大半を有利子負債の返済に充て、財務基盤の強化をはかったといえる。その結果、今期の有利子負債であるが、この支払いで、0となり、無借金経営となった。そして、トータルキャッシュフローであるが、-2.35億円(昨年-3.95億円)となり、若干、内部留保を取り崩す結果となった。

   このように、今期の九九プラスの中間決算は、経費削減が大きく進み、増収増益と、昨年の赤字決算に対し、一転、好調な黒字決算となり、キャッシュフローが大きく増加した。そして、その増加したキャッシュフローの大半を有利子負債の返済に充て、結果、有利子負債は0となり、無借金経営となり、財務基盤が強化された。ローソンと業務・資本提携をした効果が早くも表れたといえ、今後、この改善された財務を背景に、攻めに転じることが可能となり、後半、そして、来期へ向けて、九九プラスがどのような積極策を打ち出すか注目である。

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November 12, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 11, 2009

スーパーバリュー、2010年2月期中間、増収増益!

   スーパーバリューの業績が消費環境の厳しい中、好調に推移している。10/13に公表した2010年2月期の売上高は211.89億円(115.8%)、営業利益は5.97億円(112.1%)、経常利益5.20億円(113.0%)、当期純利益2.90億円(105.4%)となり、増収増益、特に、売上げが大きく増加し、好調な決算となった。

   スーパーバリューは、食品スーパーマーケットとホームセンターの購買頻度の高い商品を主体としたスーパーセンターに近い新業態であり、その売上構成比は食品約70%、HC約30%となり、食品に強いHCというビジネスモデルである。この中間決算時の客単価が2,452円と、通常の食品スーパーマーケット、HCよりも高く、まさに、ハイブリットの相乗効果の強みを発揮している。その原動力が、経費17%台の強みを生かした、強力な価格訴求による競争力にあり、粗利も20%強と、通常の食品スーパーマーケットと比べても約5%程度低い数字である。

   この中間期、特に売上高が好調に推移した要因であるが、既存店の売上高が101.2%と堅調に推移したことに加え、昨年から今年にかけて、あいついで新規出店を果たしたことにある。2008年11月(SuperValue 川口前川店)、12月(SuperValue 入間春日町店)、2009年7月(SuperValue 東所沢店)、2009年10月(SuperValue 荒川一丁目店)と、立て続けに4店舗を出店しており、特に、はじめの3店舗の売上高が中間決算に計上されたために、数字が大きく上昇した結果となった。スーパーバリューは現在12店舗であるので、3店舗の新店は重みがあり、新店による売上増への貢献度が高いといえよう。また、この11月にも2店舗が同時オープン予定であり、さらに、売上高は大きく伸びることが予想される。

   スーパーバリューはこの好調な売上高に加え、利益も好調であり、今期、営業利益は2桁の増益となった。その要因を原価と経費面から見てみると、原価は80.08%(昨年79.44%)と、若干であるが、上昇しており、結果、粗利、売上総利益は19.92%(昨年20.56%)と下がった。ただ、これは、結果、原価が上がり、売価が下がったということでもあり、昨年よりも一段と価格が下がり、価格訴求が増したともいえよう。一方、経費の方であるが、17.80%(昨年18.56%)と、大きく削減しており、経費の削減が一層進み、17%台となり、これが原価の上昇を充分にカバーし、強力な価格訴求の原動力となったといえよう。結果、差し引き、営業利益は2.12%(2.00%)と、上昇しており、率にして106%の上昇である。これに好調な売上高があいまって、営業利益率2桁の増益をもたらしたといえる。

   では、この好調さを生かして、今後のスーパーバリューの経営戦略をキャッシュフローの流れから占ってみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、-7.64億円(22.77億円)となり、昨年と一転、マイナスのキャッシュフローである。これは決算日と金融機関の休日との関係で、昨年は仕入れ債務が17.80億円増加したが、今期は-12.33億円減少したためである。結果、営業キャッシュフローは厳しい状況である。そして、投資キャッシュフローであるが、-3.87億円(昨年-3.81億円)と、ほぼ、同額である。その内訳であるが、新規出店関連が-3.25億円(昨年-3.35億円)であり、昨年同様の新規出店への投資が大半である。したがって、営業キャッシュフローが厳しい中でも、今期も昨年同様の新規出店による成長戦略が引き続き堅持されるものといえよう。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは-11.51億円(昨年18.96億円)と、マイナスとった。

   したがって、キャッシュフローは逆流となり、財務キャッシュフローか、内部留保を取り崩すことになるが、その財務キャッシュフローを見ると、-0.78億円(昨年-7.27億円)であり、さらに、マイナスとなり、結果、内部留保を-12.29億円(昨年11.69億円)取り崩すこととなった。その内訳であるが、配当は-0.41億円(昨年-0.31億円)と、若干、昨年よりも増加したが、有利子負債が-0.36億円(昨年-6.95億円)と、若干の削減にとどまっており、財務状況は、この好決算を生かしての改善にはいたらなかったといえよう。

   実際、スーパーバリューの自己資本比率は15.8%(昨年13.7%)と、若干改善しているが、まだまだ、経営がその約85%を負債に大きく依存している状況であり、特に、有利子負債は111.45億円と、総資産190.91億円の58.37%という状況であり、厳しい財務状況である。本来であれば、この好調な決算結果を、有利子負債の削減等に向け、財務状況の改善を図りたいところかと思うが、スーパーバリューは敢えて、新規出店にキャッシュフローを配分し、強気の攻めの経営戦略を選択したといえよう。

   このように、スーパーバリューの2010年2月期の中間決算は、増収増益の好決算となった。そして、この好決算をいかし、経営課題の財務改善に踏み込むのではなく、敢えて、内部留保を崩してでも新規出店への投資へキャッシュを配分し、積極的な成長戦略を選択している。それだけ、厳しい消費環境を反映した現在の異常な価格競争による経営環境の悪化は、スーパーバリューにとっては、ビジネスチャンスとの判断が働いたものといえよう。この経営決断が、今後のスーパーバリューのさらなる好調さにつながってゆくか、その動向に注目である。

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November 11, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 10, 2009

原信ナルスH、2010年3月期中間決算、増収増益!

   原信ナルスHが11/2、2010年3月期、中間決算を公表した。結果は、売上高が593.30億円(101.9%)、営業利益16.19億円(113.1%:売上対比2.72)、経常利益15.38億円(112.0%:売上対比2.59%)、当期純利益7.72億円(133.4%:売上対比1.30%)と、増収増益、特に利益は2桁増となる好調な決算となった。また、通期予想も、売上高1,190.00億円(102.4%)、営業利益36.00億円(111.8%:売上対比3.02%)、経常利益35.00億円(114.6%:売上対比2.94%)、当期純利益18.00億円(169.0%:売上対比1.51%)と、同様に増収増益であり、今期、原信ナルスHの決算は好調な決算が予想されよう。

   そこで、今期、特に利益が増収になった要因を原価、経費面から見てみたい。まず原価であるが、73.64%(昨年73.22%)となり、0.42ポイント上昇した。やはり、ここへ来ての価格競争の激化により、売価が下がり、原価の上昇を招いたものと思われる。実際、今期の平均単価は168.0円(昨対98.5%)と下がっている。PI値は逆に1,048%(昨対101.4%)と上昇しているが、結果、金額PI値(客単価)は1,758円(99.7%)と下がっており、平均単価のダウンが原価を引き下げた要因と思われる。結果、売上総利益、いわゆる粗利は26.36%(昨年26.78%)とダウンした。

   一方、経費の方であるが、23.62%(24.30%)と、0.68ポイント下がっており、今期は経費の改善が進み、これが、利益を押し上げた要因である。結果、原価の上昇を経費の削減で抑え、差し引き、マーチャンダイジング力は、2.74%(昨年2.48%)と、0.26ポイント、率にして110.48%の改善となった。原信ナルスHはその他営業収入が0であるので、マーチャンダイジング力=営業利益であるので、これがそのまま営業利益となり、売上増とあいまって、営業利益が2桁の大幅な伸び率となった。

   これを受けて、原信ナルスHがどのようにキャッシュフロー戦略をとったかであるが、まず、営業キャッシュフローは29.75億円(昨年24.94億円)と、当期純利益が増益になった分、営業キャッシュフローも増加した。この増加したキャッッシュをどのように投資に回したかであるが、その投資キャッシュフローを見ると、-6.74億円(昨年-18.32億円)と大幅に削減している。その中身を見ると、新規出店にかかわる投資が-6.91億円(-17.09億円)と大幅に削減されている。原信ナルスHの1店舗当たりの出店にかかわる資産は4.31億円であるので、店舗数に直すと1.6店舗(昨年4.0店舗)であるので、新規出店への投資を大きく削減していることがわかる。結果、フリーキャッシュフローは差し引き、23.01億円(昨年6.62億円)と、昨年と比べ潤沢なキャッシュを確保した。

   これを投資、有利子負債の返済等へ配分することになるが、財務キャッシュフローを見ると、-21.56億円(昨年5.93億円)と、昨年と対照的なプラスからマイナスへの財務キャッシュフローとなり、キャッシュフロー戦略の転換がはかられている。その中身であるが、まず、配当は-2.16億円(昨年-2.87億円)と若干配分が減っており、投資家への配分を厚くしているわけではないことがわかる。次に、有利子負債であるが、短期、長期の借入と返済を相殺すると、-19.40億円(昨年8.81億円)と、ここでも、プラスからマイナスへと逆転が起こり、昨年と比べ一転、大きく有利子負債を返済している。結果、トータルのキャッシュフローは1.44億円(昨年12.54億円)となった。

   こう見ると、今期のキャッシュフロー戦略は、大幅な増益となったキャッシュを昨年は新規出店への投資に大きく振り向けたが、今期は、新規出店への投資を大幅に削減し、その余力のほとんどを有利子負債の削減に当てており、財務基盤の確立にキャッシュを厚く配分したといえよう。実際、有利子負債の状況を見ると、146.79億円(前期決算時158.84億円)と削減されており、負債が削減されている。結果、利益の増加もあり、純資産の改善もはかれたために、自己資本比率は43.5%(昨年41.8%)と若干改善した。ただ、この自己資本比率は決算公開企業約50社の平均に近い数字であり、原信ナルスHとしては、一層、改善したいところであろう。

   結果、原信ナルスHの出店余力であるが、出店関連の資産である、土地、建物、敷金及び保証金の合計は276.65億円であり、これは総資産515.48億円の53.66%となり、自己資本比率43.5%から引くと-10.16%と、約10%強を負債に依存する構造であり、トップクラスの食品スーパーマーケットと比べるとやや重い出店に関しては財務構造といえよう。

   ちなみに、決算公開企業約50社の前期決算で、出店余力がプラスとなった食品スーパーマーケットはヨークベニマル29.4%、オオゼキ28.7%、マックスバリュ東海16.6%、東武ストア11.2%、大黒天物産9.8%、サンエー7.9%、アオキスーパー7.8%、いなげや6.8%、九九プラス5.4%である。

   このように、原信ナルスHの今期中間決算は、増収こそわずかな伸びであったが、大幅な増益となり、特に、経費改善の効果が大きかったといえよう。その結果、今期は増大したキャッシュを新規出店への投資を抑制し、そのほとんどを財務基盤の確立に当て、財務の安定化をはかっており、攻めよりも、守りを重視した経営戦略の転換を図ったといえよう。今後、消費環境はますます混迷を深め、経営環境は悪化するものと予想される中、業績好調な原信ナルスHが今後とも守りの経営戦略に徹してゆくのか注目である。

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November 10, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 09, 2009

調味料、焼き肉のたれ、ドレッシング好調、内食需要?

   ここへ来て、食品スーパーマーケット業界の業績が厳しい状況になってきた。現在、2010年2月期、3月期の中間決算があいついで公表れているが、その結果を見ると、増収増益の好決算の食品スーパーマーケットは稀であり、大半が増収減益か、減収減益の決算となっており、利益の確保が特に厳しい状況となっている。これは、消費者物価指数(CPI)が明らかなデフレ傾向を示すように、食品スーパーマーケット各社が激しい価格競争を繰り広げ、結果、価格が下がり、原価の下落をもたらし、利益への影響が大きいためであると思われる。

   ただ、このような厳しい状況の中でも、数字を伸ばしている商品群がある。先に総務省統計局が公表した直近の家計調査データを見ると、食品全体が99.9%となり、伸び悩む中、油脂・調味料は101.8%、その中でも調味料は102.0%と堅調な伸びを示している。特に、つゆ・たれ10.07円(111.9%)、マヨネーズ・ドレッシング8.40円(110.0%)と、調味料の主力部門が好調であり、ケチャップも1.63円(102.1%)と、堅調な伸びである。ただ、基礎調味料の食塩1.43円(93.5%)、しょう油5.17円(97.5%)、砂糖3.53円(99.1%)、酢3.53円(93.8%)、ソース2.00円(96.8%)、みそ6.87円(100.5%)は、伸び悩んでおり、明暗がわかれている。ここからも、調味料全体を牽引しているのは、マヨネーズ、ドレッシング、つゆ、たれ、ケチャップ等の加工調味料であるといえ、これらがこの消費環境の厳しい中においても、家庭からの熱い支持を受けており、恐らく、内食需要の追い風に乗っているのではないかと思われる。

   そこで、さらに、これらの項目を実際の食品スーパーマーケットで販売されている単品レベルにまで落として、その動向を検証してみたい。いま手元に、独自に入手した全国の食品スーパーマーケット約300社強の調味料1,000SKUのPOSデータがある。2009年9月度と昨年2008年9月度のデータである。このPOSデータを独自に加工し、実際に調味料がどのような動向を示しているかを検証してみる。

   まず、調味料1,000SKU全体の結果であるが、1店舗当たりに換算した売上金額は2,636,158.44円(昨対98.9%)と、若干下がっている状況である。この中で、家計調査データで堅調であった項目を同様に比べてみると、好調な商品群は焼き肉のたれ110.1%、ドレッシング106.9%が好調である。これに対して、マヨネーズ98.6%、ケチャップ98.9%、つゆ96.3%、その他たれ93.5%という状況である。家計調査データの数字とは若干違いがあるが、焼き肉のたれ、ドレッシングは見事に一致している。特に、家計調査データでは、たれはつゆが含まれ、たれも焼き肉とその他のたれが入っての合計数字であり、このPOSデータで見たように、この中で、数字を牽引しているのは、焼き肉のたれであるといえよう。同様に、家計調査データでは、マヨネーズとドレッシングが一緒になっており、これもPOSデータでみたとおり、ドレッシングが伸びているといえよう。

   では、焼き肉のたれとドレッシングを牽引している重点商品をいくつか見てみたい。まず、焼き肉のたれであるが、ここからは、導入店の金額PI値のみで見てみるが、No.1はエバラ黄金の味中辛400g(116.5%)、No.2はエバラ黄金の味甘口400g(109.4%)、No.3はエバラ黄金の味中辛210g(135.4%)、No.4は上北 スタミナ源たれ瓶410g(126.3%)、そして、No.5がエバラ生姜焼のたれ230g(81.3%)という結果である。No.5は伸び悩んだが、ベスト4はすべて大きく伸びており、明らかに、焼き肉のたれが好調であることがわかる。ちなみに、No.4の上北スタミナ源は東北限定の商品であるが、金額PI値は1,394円とNo.1のエバラ黄金の味中辛400g の331円と比べても極めて高く、東北では圧倒的な支持の高い商品である。

   一方、ドレッシングであるが、No.1はQP深煎りごまドレッシング170ml(122.0%)、No.2は理研スーパードレノンオイル青じそ190ml(91.0%)、No.3はQP深煎りごまドレッシング380ml(118.2%)、No.4はピエトロ ドレッシング 和風280ml(89.8%)、そして、No.5はQPシーザーサラダドレッシング170ml(130.8%)であり、特にQP関連の伸びが著しいのが特徴である。これは、特に、QPの商品がNo.1の170mlは昨年200ml、No.5も同様に昨年200mlを170mlに容量を減らし、平均単価が200円を切るように値ごろ調整をしたことも大きいといえよう。

   ちなみに、調味料ベスト1,000SKUの中のベスト5であるが、No.1はキユーピーマヨネーズ500g(92.5%)、No.2ミツカン味ぽん360ml(94.0%)、No.3味の素ピュアセレクトマヨネーズ400g(117.3%)、No.4日新製糖 白砂糖1kg(148.2%)、そして、No.5は味の素ほんだし120g(94.6%)である。また、特徴として、これらすべての平均単価が昨年と比べ5%から10%近く下がっており、これはベスト10で見ても同様な傾向であり、価格訴求がこと調味料には大きな影響を与えていることがわかる。

   このように、この9月度の調味料について家計調査データという家計側からの消費実態と全国約300社強の食品スーパーマーケットのPOSデータという販売側からの実態を見てみたが、傾向はほぼ一致しており、特に、調味料を牽引している商品群が焼き肉のたれとドレッシングであることが見事に一致した。消費全体はますます厳しさを増しつつある中、家計は節約志向を高め、商品を厳選して購入しているといえ、今後、ますますこのような傾向が強まってゆくのではないかと思われる。 

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November 9, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 08, 2009

いなげや、2010年3月期中間決算、増収減益!

   いなげやが、10/27、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,144.83億円(100.8%)、営業利益8.63億円(71.4%:営業収益比0.75%)、経常利益10.06億円(74.9%:営業収益比0.87%)、当期純利益2.73億円(96.0%:営業収益比0.23%)となり、増収減益となる厳しい決算となった。また、増収に関しても、100.8%とわずかな伸び率にとどまり、売上げも厳しい状況である。いなげや自身も、「価格引き下げなどにより客数確保には一定の効果がありましたものの一点当たりの買上単価が下げ止まらず、既存店売上高は、前年同四半期比4.4%減と厳しい状況で推移、・・」と、コメントしているように、予想以上の価格競争が経営に大きな影響を与えているといえよう。

   いなげやは、食品スーパーマーケットが126店舗、ドラックストアが90店舗あり、その売上構成比は、合計の売上高が1,093.66億円であり、食品スーパーマーケットが927.31億円、ドラックストアが166.35億円であり、84.7%対15.3%である。また、それぞれの伸び率は、食品スーパーマーケットの売上高98.9%、営業利益46.8%(営業利益率0.45%)に対し、ドラックストアは売上高109.2%、営業利益179.5%(営業利益率1.28%)と、ドラックストアは、売上構成比は低いが、好調であり、食品スーパーマーケットが苦戦したことが、この中間期では厳しい結果となった要因である。

   また、食品スーパーマーケットの既存店の内訳は、SSM(大型店39店舗、96.5%)、SM(中型店39店舗、95.8%)、CSM(小型店42店舗、94.5%)という状況であり、やや小型店が厳しい状況であったといえる。同様にドラックストアの既存店84店舗であるが、104.4%であり、食品スーパーマーケットとは対照的に、既存店の売上高も堅調であり、既存店においても、食品スーパーマーケットの不振が鮮明である。さらに、食品スーパーマーケットにおいて、事業別にみると、生鮮97.9%、日配・惣菜99.5%、加工食品100.5%、ノンフード94.2%となり、生鮮とノンフードが厳しい結果であったといえる。

   さらに、売上高を分解し、客数、客単価、そして、PI値、平均単価で見てみると、食品スーパーマーケットの客数は横ばい、客単価は下落、PI値は横ばい、平均単価は大きく下落という状況である。これに対してドラックストアは客数上昇、客単価上昇、PI値上昇、平均単価下落という状況である。どちらも、平均単価の下落、特に、食品スーパーマーケットでは鮮明であり、この中間期は激しい競合企業との価格競争に伴い、平均単価が下落し、それが客単価、利益にまで影響を与えたものといえよう。ちなみに、売上高は、売上高=客数×客単価(金額PI値)、客単価(金額PI値)=PI値(1人当たり買上点数)×平均単価と分解でき、売上高に変化があった場合には、必ず、これらの指標が変化するので、その要因を全店全商品の単品レベルにまでさかもどって特定することができる。

   一方、利益の方であるが、原価、経費の状況を見ると、ここからは、食品スーパーマーケット、ドラックストア全体の数字で見てみるが、まず、原価は73.40%(昨年73.00%)と、0.40ポイント上昇しており、先に見たように、平均単価の上昇が原価を圧迫したといえ、結果、売上総利益(粗利)は26.6%(昨年27.00%)と下がった。一方、経費の方であるが、29.55%(昨年29.15%)と、経費も0.40ポイント上昇しており、原価、経費双方がダブルで上昇し、利益を大きく圧迫したといえる。それにしても、経費比率29.55%は、前期決算期の決算公開企業約50社の平均が25.6%であるので、食品スーパーマーケットとしては、かなり高い数字である。ちょうど、10番目前後となる高さであり、今後、この経費比率をいかに引き下げられるかが、利益を確保するためにも、最重要課題といえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.95%(昨年-2.15%)と、大きくマイナスとなった。これに、不動産収入、物流収入等が3.73%(昨年3.25%)のり、営業利益は0.78%(昨年1.10%)となり、減益となった。その他営業収入は増加したが、原価、経費の上昇が重く経営にのしかかったといえ、既存店の平均単価ダウンが原価だけでなく、既存店の売上ダウンを招き、結果、固定費を上昇させ、経費にまで影響が及んだものと思われる。

   これを受けて、通期予想であるが、営業収益2,328.00億円(102.0%)、営業利益38.20億円(96.5%:営業収益比1.64%)、経常利益41.00億円(97.1%:営業収益比1.76%)、当期純利益18.00億円(107.1%:営業収益比0.77%)と、当期純利益は増益予想ではあるが、営業、経常段階では、増収減益予想であり、依然として厳しい状況が予想される。

   このように、この中間期のいなげやは、ドラックストアは好調に推移したが、売上構成比約85%を占める食品スーパーマーケットが不振であり、特に、平均単価のダウンが大きく、既存店が厳しい状況である。今後とも消費環境の回復は厳しいものがあるといえ、経営環境は悪化することが予想される。いなげやとしても、まずは、平均単価の改善が急務といえ、特に、粗利率でも貢献度の高い生鮮、惣菜、日配等の活性化がポイントといえよう。今後、後半に向けて、これらの部門がどのように強化され、収益の改善がはかられてゆくのか、その動向に注目したい。

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November 8, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 07, 2009

関西スーパーマーケット、2010年3月期決算、増収減益!

   関西スーパーマーケットが11/5、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益554.07億円(102.6%)、営業利益3.68億円(44.0%:営業収益比0.66%)、経常利益4.95億円(49.6%:営業収益比0.89%)、当期純利益-0.20億円と、増収減益、特に当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。当期純利益が赤字となったのは、店舗閉鎖損失引当金繰入額を4.27億円計上したためである。ただ、この特別損失を除いても、すべての段階で利益は大幅減となり、関西スーパーマーケット自身も、「消費者の節約志向や生活防衛意識の高まりに加え、今夏の天候不順も重なり非常に厳しい経営環境となり、・・」とコメントしているように、経営環境がここへ来て、急激に悪化していることがうかがわれる。

   そこで、関西スーパーマーケットの利益が大幅な減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが76.51%(昨年76.20%)と、0.31ポイント上昇している。これは、消費環境が厳しい中、価格競争が激化していることに加え、今期は、関西スーパーマーケットが創業50周年に当たるため、「感謝の気持ちをこめて当期1年間をとおして、「めちゃ安特価」「50%引きセール」「たすかる値」「記念ロゴマーク入り商品」の記念セールを実施して、・・」等の強力な価格訴求を実施しているためのであると思われる。

   実際、既存店の客数、客単価、PI値、平均単価を見ると、客数3,247人(99.9%)、客単価1,626円(98.1%)と、客数、客単価双方下がっており、既存店の売上は97.5%と、昨対を割っている。また、客単価の中身であるが、PI値99.2%(100.7%)と、PI値は上昇したが、平均単価は162.24円(97.0%)と、下がっており、PI値、すなわち、顧客1人当たりの買上点数は伸びているが、価格が下がっており、結果、客単価を下げるという状況であり、これが原価の上昇につながったものと思われる。

   結果、売上総利益は23.49%(昨年23.80%)と、粗利が下がった。一方、経費の方であるが、24.85%(昨年24.08%)と、0.77ポイント上昇しており、既存店の売上げが下がったことにより、相対的に固定費が上昇したものといえよう。結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、-1.35%(昨年-0.28%)と、昨年もマイナスであったが、マイナス幅が大きく開き、利益の確保が厳しい状況であった。原価、経費双方、ダブルで利益圧迫が見られ、厳しい収益構造である。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収益が2.04%(昨年1.86%)加わり、結果、営業利益は0.69%(昨年1.58%)と、減益となった。この営業利益0.69%は、前期決算時の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が2.57%であるので、かなり、厳しい数字である。

   一方、財務面であるが、自己資本比率は48.1%(昨年49.0%)と若干下がっているが、決算公開企業約50社の前期本決算の平均は40.7%であるので、ちょうど20番目前後となり、上位の数字である。結果、負債が50%を超えるが、その要因は有利子負債が94.00億円(前期決算時98.50億円)と、総資産514.82億円の18.25%が大きいが、これも決算公開企業約50社の前期決算の平均が27.7%であるので、ほぼ20番目ぐらいとなり、上位の数字である。したがって、負債が財務を圧迫している状況ではないが、もう一段と財務の強化をはかりたいところかと思う。

   ここから、出店余力を算出してみると、関西スーパーマーケットの出店に関する資産である土地、建物、敷金保証金は309.46億円となり、総資産の60.1%であるので、自己資本比率から差し引いた出店余力は-12.0%であり、やや、負債に負う出店構造である。これは、決算公開企業約50社の前期本決算の平均が-22.78%であるので、これも、ほぼ20番前後となる。こう見ると、関西スーパーマーケットの出店余力はやや負債への依存が重いといえ、今後、安定的に新規出店を果たしてゆくには、もう一段の財務の強化が必要といえよう。

   これを受けて、今後の出店戦略であるが、営業キャッシュフローは当期純利益が赤字になったが、これは引当金による結果であるので、キャッシュフロー上は当期純利益も昨年同様の数字が確保され、さらに、昨年は厚生年金基金脱退損失引当金が-11.91億円発生したので、今期は16.73億円(昨年3.65億円)と大幅に改善した。結果、投資キャッシュフローは-4.25億円(昨年16.30億円)と、昨年のように有価証券を売却してプラスにすることなく、営業キャッシュフローの範囲内で投資を行うことができた。ただ、出店関連は-8.82億円(昨年-18.65億円)と半減しており、これは、店舗数に直すと2店舗弱となる。したがって、今後は出店を抑制し、赤字店舗を整理、既存店の活性化に経営戦略をシフトする方向といえよう。そして、財務キャッシュフローは-7.68億円(昨年-7.88億円)となり、結果、トータルは4.79億円(昨年12.07億円)と、ほぼ店舗損失の引き当て金額分を内部留保したことになる。

   このように、関西スーパーマーケットの中間決算は、利益面が厳しい状況となり、当期純利益が赤字となった。ただ、財務面は比較的安定しているので、今後、どう経営戦略を立て直すか、重要な段階にあるといえよう。関西スーパーマーケットも赤字店舗を閉鎖し、出店を抑制し、既存店の活性化に経営の重点を移す方向であり、今後、既存店がどこまで活性化し、収益が回復できるか、その動向に注目である。

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November 7, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 06, 2009

時間を科学する、5秒がポイント!

   現在、PI値の研究では、3つの研究が同時並行で進んでいる。ひとつめは、最新のID-POSの研究、これは、これまでのレシートを活用したPI値から、IDを活用したPI値にもとづきマーチャンダイジングの改善につなげる研究である。いわゆる、CRMが研究テーマとなる。最近では、このCRMに財務、キャッシュフローとの連動も視野に入ってきており、まさに、マーチャンダイジング分野では、最先端の研究といえる。2つめは通常のPOS分析、いわゆるレシートを活用したマーチャンダイジングの改善につなげる研究であり、これは、原則、レジ通過総客数を分母にした通常のPI値の研究である。これは約20年間研究しており、定番中の定番であり、ひとつめのCRMの基礎となっている歴史と伝統があり、重みのある研究である。そして、3つ目が、Web上のPI値の研究である。これは、2年ぐらい前から本格的に取り組みはじめた研究であり、ひとつめ、2つめの研究成果をいかした応用発展系の研究である。

   ひとつめ、2つ目がどちらも売上げを科学するというテーマで取り組んでいるが、この3つめも当初は売上げを科学するというテーマで取り組んでいたが、Webを研究するようになってから、Webは売上げではなかなか解けないことがわかり、中断した。変わって、新たに取り組んだのが、時間である。Webにおいて、最大のテーマは時間であるといえ、快適な時間を過ごせるWebほど良いホームページであり、この時間の問題を解くことが、まず、先決であろうと考え、時間をテーマに、時間を科学してみようと思った。当初は各コンテツの時間を把握できるWeb解析の仕組みがなかなか見つからなかったが、Google Analyticsを知ってからは、全コンテツの各コンテンツごとの正確な時間が把握できるようになり、研究が飛躍的に進んだ。

   また、これまでのひとつめ、2つめの研究成果がほぼそのまま応用できることがわかり、これも、研究を発展させることになった。ちょうど、売上げを時間に置き換え、販売点数をベージビューに置き換えると、売上金額と数量の関係を時間と数量の関係に置き換えることができる。さらに、セッションをレシートと置き換えると客数がセッションに変換され、2つ目の研究成果のPI値分析がそのまま活用できる。ただ、残念なことに、Google Analyticsでは、セッション止まりであり、IDに当たるデータが容易に取得できない状況である。したがって、ひとつめの研究成果が生かせないのが残念であるが、いずれ、IDの把握も可能となると思うので、それまでは、理論的な研究にとどめておくしかないが、理論段階でもかなりおもしろい思考実験ができる。

   たとえば、リピートとトライアルを分けて考えたり、あるコンテンツを見たIDが当然他のコンテンツも見るが、その履歴だけではなく、それらを合計した総時間はどのくらいかを分析し、どのコンテンツがベージビュー、セッションだけではなく、総時間を獲得しているか、さらには、CRM特有のコンテンツの相関時間の研究など、様々な取り組みができる。これらの分析を加えることで、より、まさに時間の科学につながってゆくことになろう。

   現在は、これらは思考実験止まりであるが、2つめのPI値の研究成果はほぼ完ぺきに近い形で、応用ができた。時間を科学するための基本方程式が完成し、いわゆる、時間の3D分析がいつでもできるようになった。また、そのためのMD評価表にあたる、TMD(Timeマーチャンダイジング)評価表も完成し、実践に投入しはじめた。ここ最近検証結果があがってきているが、なかなか興味深い結果がでている。

   PI値をはじめて取り組んだ時、1%という基準をつくり、重点商品をPI値1%以上と定義し、マーチャンダイジングの改善が飛躍的に進んだことがあった。今回も、まず、このPI値1%に匹敵する基準をつくろうと思い、勝手に定義したのが、TI値5秒である。PI値に対応して、Time Indexと命名したが、これまでの実証結果からは、TI値5秒が重点コンテンツの基準と考えてよさそうである。TI値5秒とは、ホームページを訪れる顧客の総時間の内、5秒の時間を費やしてくれるコンテンツのことである。いま実証実験につかっているホームページは150から200ぐらいのコンテツがあるが、この内、5秒以上のTI値が15コンテツあり、その中に、10秒以上が8コンテツ、20秒以上が4コンテンツ、1分以上の超重点コンテンツが1コンテツであり、残りはすべて5秒以下、1秒以上でも約50コンテツであり、あとはすべて0秒台である。

   しかも、この5秒を獲得している要因を解析すると閲覧注目度(客数PI値に相当)が高く、閲覧頻度(PPIに相当)が高く、閲覧時間(平均単価に相当)が長いか、この内、2拍子か3拍子はトップクラスにないと5秒以上を獲得することは難しいといえる。逆にいうと、時間を獲得するには、閲覧時間をただ増やすだけでなく、閲覧頻度、閲覧注目度をいかにあげるか、そのバランスが極めて重要である。また、何がその改善に効果があるか、実証研究を積み重ねないと、答えがでないといえ、今後、実証研究の積み重ねがより重要な課題といえよう。

   PI値のひとつめ、2つめは約20年かかったが、TI値に取り組んで約2年であるので、あと3年、何とか5年以内には目途をつけられればと思う。まだ、研究ははじまったばかりであり、IDは未開拓であるが、IDが組み込まれると、おそらく、CRMと融合するのではないかと直感的には思える。その意味で、いずれ、時間と売上は融合することは必至といえ、ごく近い将来、売上げと時間を科学するというテーマ、まさに、時は金なりを科学してみたいと思う。

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November 6, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 05, 2009

家計調査データ、2009年9月度、食品99.9%、堅調!

   総務省統計局から、10/30、2009年9月度の家計調査データが公表された。家計調査データは毎月月末に前月のデータが公表されるため、現在は11月に入っているが、最新のデータは9月度である。その結果であるが、全体が98.5%とやや消費の落ち込みが見られるが、食品(外食を除く)は、99.9%と堅調な結果となった。家計調査データでは、食品関係は外食も含め、食料と一括されているが、本ブログでは独自に集計し、食品として、外食を除く数値を算出している。

   消費全体が98.5%になった要因であるが、最も落ち込みが大きかったのは、90.3%となった光熱・水道である。灯油が60.0%、電気代が88.3%となったことが大きく、昨年の異常なエネルギー価格の高騰に反し、今期は落ち着いた価格になったことが大きい。これは、消費者物価指数(CPI)でも明らかであり、いかに、エネルギー関係が消費に影響を与えているかがわかる。ついで、家具・家事用品の94.0%であり、冷暖房用器具73.0%、室内装備・装飾品72.0%となったことが大きい。これは9月度のデータであるので、天候による冷房設備の消費不振といえよう。そして、もうひとつ、住居が93.0%となったことである。これは、設備材料が62.7%、工事その他のサービスが81.9%と、リフォーム関係の落ち込みが大きい。これら、3つの部門が10%近い、消費の落ち込みとなったことが、この9月度は大きく、消費支出全体に影響を与えたといえる。

   一方、伸びた部門であるが、保健医療の111.3%と外食の101.0%のみである。医療費は、6月の薬事法改正に影響もあると思われるが、新型インフルエンザの影響も大きいといえ、特に、この9月は伸びが著しい状況である。ちなみに、ここ数ケ月の数字を見ると、8月度102.8%、7月度97.5%、6月度112.4%、5月度101.6%、4月度93.1%、3月度104.1%、2月度93.9%、1月度98.9%という状況であり、6月、9月が突出した伸びとなっている。

   そこで、食品であるが、全体は99.9%と、ほぼ昨年並みの数字を達成したが、中身を見ると、伸びている部門と伸び悩んでいる部門がある。まず、伸びている部門であるが、乳卵類111.50円(101.4%)、菓子類204.47円(104.1%)、調理食品264.30円(102.1%)、油脂・調味料105.47円(101.8%)、野菜・海藻284.07円(101.4%)、飲料128.93円(100.5%)の5部門である。その要因であるが、特に、伸び率の大きい菓子類と、調理食品を見てみると、菓子類では、カステラ2.83円(128.8%)、他の洋生菓子16.37円(114.5%)、キャンデー6.20円(112.0%)が、110%以上の伸びであり、菓子類を牽引している。また、調理食品については、うなぎのかば焼き6.07円(121.3%)、そうざい材料セット10.60円(112.4%)、しゅうまい3.03円(112.3%)、やきとり5.10円(110.1%)が110%以上の伸びである。

   一方、数字が伸び悩んだ部門であるが、酒類103.93円(93.0%)、魚介類213.63円(97.7%)、肉類202.03円(95.4%)、果物115.97円(98.6%)と、この4部門の落ち込みが大きい。その要因であるが、酒類では、発泡酒17.13円(87.7%)、ビール34.90円(88.7%)と、この2項目が特に10%以上消費が下がっており、酒全体の消費を押し下げた要因である。酒はかなり、この9月度は消費が厳しく、伸びた項目はウイスキーの3.17円(101.1%)のみであり、その他はすべて昨対を割るという厳しい状況である。また、ビールについては、さらに、その要因を消費世帯の消費額か、消費世帯の割合かで分解してみると、ビール34.90円(88.7%)は、消費世帯のみの消費額107.15円(89.5%)、消費世帯の割合32.6%(99.2%)という状況であり、顧客数はあまり変化がないが、客単価が下がったといえ、価格の下落か、消費料が減っている状況といえ、厳しい状況である。

   酒類以外では、生鮮関連の落ち込みが大きく、その要因を見ると、魚介類では、ぶり6.60円(85.3%)、あじ3.77円(86.3%)、たらこ 6.57円(86.4%)の落ち込みが特に大きい。肉類では、他の生鮮肉5.47円(84.5%)が大きいが、その他も牛肉50.43円(97.5%)、豚肉65.23円(94.3%)、鶏肉32.07円(92.9%)と、軒並み95%前後で伸び悩んでいる状況である。そして、果物であるが、バナナ13.23円(85.0%)、メロン1.70円(81.0%)の落ち込みが大きい。特に、バナナはその要因を見ると、バナナ13.23円(85.0%)、消費世帯のみの消費額18.86円(86.1%)、消費世帯の割合70.2%(98.7%)と、ビールと同じ状況であり、消費世帯のみの消費額が大きく落ち込んでいる。

   そこで、バナナのここ数ケ月の動きを見ると、8月度バナナ13.29円(107.0%)、7月度バナナ15.48円(114.3%)、6月度バナナ18.23円(118.4%)、5月度バナナ18.48円(131.1%)、4月度バナナ18.07円(136.5%)、3月度バナナ16.13円(140.8%)、2月度バナナ15.57円(156.8%)、1月度バナナ13.68円(163.1%)、昨年12月度バナナ14.00円(166.9%)、11月度バナナ15.67円(164.9%)、10月度バナナ18.23円(170.7%)、バナナ15.06円(151.1%)、・・と、2008年3月以来、何と約18ケ月連続で伸び続けたバナナも、とうとう、息切れとなったようである。

   このように、消費全体はやや減少傾向が見られるが、食品は意外に堅調であり、消費者物価指数(CPI)が明らかにデフレ傾向を示す中、価格面では厳しいものがあると思われるが、数量面で検討している結果といえよう。ただ、デフレはより厳しさを増すと思われ、消費環境は今後さらに厳しくなるものと予想される中、来月以降、どのような数字で落ち着くか、注意深く消費動向を見守る必要があろう。
  
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November 5, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 04, 2009

ヤオコー、2010年3月中間、減収増益、実質増収増益!

   ヤオコーが、10/29、2010年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益1,024.11億円(97.2%)、営業利益45.41億円(111.1%:営業収益比4.43%)、経常利益44.79億円(108.8%:営業収益比4.37%)、当期純利益25.91億円(100.8%:営業収益比2.53%)となり、減収増益となる決算となった。これまで公表された食品スーパーマーケット関係の決算としては、減収増益は珍しいケースであるが、これは、今期からヤオコーの事業構造が大きく変わったためである。

   これまで、ヤオコーは、食品スーパーマーケット、調剤薬局に加え、カルチャー、会員制宅配と4つの事業を経営していたが、この内、カルチャー事業を譲渡、会員制宅配を解散し、今期は2つの事業での経営となった。そのため、その分の売上、利益が差し引かれ、今期は減収増益という結果になった。ちなみに、スーパーマーケット事業の営業収益は101.4%、調剤薬局も107.1%と堅調な数字であり、実質、今期は増収増益の決算といえよう。

   そこで、ヤオコーが増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、71.38%(昨年71.42%)と、わずかであるが、原価が下がっており、結果、粗利、売上総利益は28.62%(昨年28.58%)と、上昇した。多くの食品スーパーマーケットが激しい価格競争の中、原価の上昇が見られるが、ヤオコーは、逆に原価を引き上げており、価格訴求からは一線を画したマーチャンダイジングを実践したといえよう。ヤオコー自身も、「デリカ部門につきましては、競合が低価格帯商品にシフトしていくなか、基本戦略であります出来たて作りたての美味しい商品、価値ある商品の製造小売りに徹するとともに、新しいMDの開発、商品のグレードアップに取り組んでまいりました。・・」と、コメントしているように、ヤオコーの利益の源泉であるデリカを中心に付加価値の高いマーチャンダイジング戦略を徹底した結果といえよう。

   一方、経費面であるが、28.46%(昨年28.68%)と、経費面においても、削減が進んでおり、原価、経費双方で改善が進んだことが、増益の要因といえよう。結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、0.16%(昨年-0.10%)と、マイナスからプラスに転じており、マーチャンダイジング力が改善した。

   ヤオコーのマーチャンダイジング構造は、通常の食品スーパーマーケットが経費小、原価大(粗利小)という戦略をとるのに対し、原価小(粗利大)、経費大と、経費よりも、原価に重点を置くマーチャンダイジング戦略をとっているのが特徴である。したがって、経費が少しでも削減されると、利益は大きく改善するマーチャンダイジング構造であり、今期は、その効果が大きかったといえよう。ただ、今後は、ヤオコーも、「お客様の価格意識の強まりおよび競合の低価格政策に対応し、売上高2,000億円達成キャンペーンなど販促を強化し、購買頻度の高い商品を中心に価格対策を実施、・・」とコメントしているように、価格対策もとらざるをえない状況となり、今期以上に経費面の改善が課題となろう。

   そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入4.48%(昨年4.15%)がのり、結果、営業利益は4.64%(昨年4.05%)となり、増益となった。こう見ると、今期ヤオコーは、原価、経費の改善に加え、その他営業収入も改善され、トリプルでの利益の改善がはかれ、結果、増益となっており、この厳しい経営環境の中、理想的な増益の確保といえよう。

   さて、一方、財務、特に、今後の新規出店余力であるが、ヤオコーの自己資本比率は44.8%(昨年43.5%)と、今期の好調な増益を背景に若干改善されている。ただ、出店にかかわる資産である土地、建物、差入れ保証金等の合計は467.89億円と総資産738.00億円の63.39%であり、自己資本比率を大きく超え、差し引き、出店余力は-18.59%と、負債に大きく依存する出店構造となっている。

   また、有利子負債も109.87億円と総資産の14.88%を占めており、この中間でも、財務キャッシュフローを見ると、6.51億円、有利子負債が増加している状況である。しかも、フリーキャッシュフローは-13.97億円のマイナスであり、その要因は有形固定資産の増加、すなわち、新店関連へ58.42億円投資したことによる。結果、トータルのキャッシュフローは-13.83億円となり、内部留保を取り崩している。これは、新規出店関連にキャッシュを厚く配分した結果であり、全体としては、やや厳しいキャッシュフローの流れといえよう。本来であれば、好調な決算をもとに、財務キャッシュフローの改善にまで踏み込み、有利子負債を削減したいところであったと思われるが、投資、特に、出店関連へ配分を重点的に割り当てたため、この中間決算では財務改善にまでは踏み込みこめなかったためと思われる。

   今後、安定的に新規出店を行い、成長路線を進めてゆくには、もう一段、出店余力を高める必要があるといえ、今後、後半に向けて、この好調な決算を受けて、ヤオコーがどのように財務改善に踏み込むかが注目である。

   これを受けて、通期予想であるが、営業収益2,093.00億円(100.5%)、営業利益86.80億円(106.3%:営業収益比4.14%)、経常利益84.80 億円(104.1%:営業収益比4.05%)、当期純利益47.80億円(101.6%:営業収益比2.28%)と、増収増益予想であり、後半は、より厳しい経営環境が予想されるが、この中間決算の好調な収益力をもとに、堅調な決算が期待できそうである。

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November 03, 2009

PLANT、2009年9月期本決算、増収増益、株価急騰!

   PLANTが2009年9月期の本決算を、10/30、公表した。結果は、売上高869.21億円(104.6%)、営業利益14.40億円(249.0%:売上対比1.65%)、経常利益11.23億円(238.6%:売上対比1.29%)、 当期純利益6.19億円(231.7%:売上対比0.71%)と、増収増益となる好決算となった。特に、利益が大きく回復し、伸び率は昨年が厳しい数字であっただけに、すべての段階で昨対250%近い異常値となった。また、経常利益率1.29%は、過去5年間でも、最高の数字であり、PLNATの経営状況がこの1年で改善しつつあることが鮮明である。これを受けて、通期予想であるが、売上高870.00億円(100.1%)、営業利益22.00億円(152.7%:売上対比2.52%)、経常利益20.00億円(178.0%:売上対比2.29%)、当期純利益10.00億円(161.4%:売上対比1.14%)と、売上高は伸び悩むものの、利益はさらに、大幅に改善する見込みであり、増収増益の好決算予想である。

   この好決算に投資家もすばやく反応しており、決算公表前にも関わらず、ここ数日のPLANTの株価は、通常の20倍ぐらいの大商いが連日続き、株価が急騰している。10/26(399円、13,000株)、10/27(425円、70,500株)、10/28(470円、61,400株)、10/29(469円、41,100株)、10/30(486円、57,800株)という推移であり、そして、本決算公表後、週明けのはじめての商い、11/2は566円(80円高)と、ストップ高の状況である。明らかに、PLANTの株は加熱しているといえ、今後、どこで落ち着くか、しばらく、読めない状況である。

   では、PLNATの利益が急激に改善している状況を原価、経費の面から見てみたい。まず、原価であるが、80.70%(昨年81.28%)となり、原価が0.58ポイント下がっている。今期は競合各社が値下げ競争により厳しい経営環境にあったと思われるが、原価改善が進んだことが、利益を押し上げた大きな要因であるといえよう。ここで原価計算について補足だが、PLANTは不動産関連の収入、原価をそれぞれ、売上高、原価に計上しているが、ここでは、不動産関連の数字はすべて分けて計算し、純粋に商品売買から得られる数字をもとに算出した。したがって、決算短信の数字とは若干ズレが生じるが、マーチャンダイジングの実態を把握するには、こちらの方が、より精度が高い。結果、売上総利益(粗利)は、19.30%(昨年18.72%)となった。

   一方、経費であるが、17.85%(昨年18.20%)と、0.35ポイント、経費の削減も進んだ。これは、昨年の経費が150.94億円、今期が154.77億円と102.5%の上昇に抑えたことが大きく、売上高の104.6%とあいまって、経費比率が下がったといえよう。こう見ると、今期のPLANTは、原価、経費双方を引き下げ、利益を確保しており、理想的に収益改善が進んだ結果、大幅な利益改善につながったといえよう。

   これについて、PLANT自身は、「一昨年より当社が全力を挙げて実施してきました業務改革におきまして、『在庫管理』『値入向上とロスの削減』『人時生産性を意識した作業効率の向上』を一層強固にすすめるべく、管理職以上の従業員に、目標と実績を数値で進捗管理するよう実践し、・・」と、コメントしており、これらの施策が、数字に反映されてきたものと思われる。

   結果、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は、差し引き、1.45%(昨年0.52%)と、大幅にマーチャンダイジング力が向上しており、利益の改善が鮮明である。そして、さらに、これに、不動産収入が0.28%(昨年0.24%)、不動産原価が0.06%(昨年0.05%)加わり、結果、営業利益は1.66%(昨年0.69%)となった。

   さて、PLNATの今後の経営課題であるが、P/Lに関しては、収益の改善が進み、目途がつきはじめたといえるが、自己資本比率17.4%(昨年16.4%)のB/Sの問題にどう取り組むかである。そこで、今期の好決算を受け、増大したキャッシュをどのように配分したかを見てみたい。まず、獲得キャッシュ、営業キャッシュフローであるが、32.57億円(昨年24.66億円)と約10億円増加している。これは、当期純利益が4.19億円増加したことに加え、実はそれ以上に棚卸資産が20.37億円減少したことが最大の要因といえる。PLANTのコメントにあるように、この1年で在庫の削減が急激に進んだといえよう。

   そして、ここからが、このキャッシュの配分であるが、まず、投資キャッシュフローに-10.79億円(昨年-44.21億円)と、大幅に削減した。これは、今期は出店に関する資産の取得を大きくひかえたことが大きい。したがって、フリーキャッシュフローは21.78億円(昨年-19.55億円)と逆流から、順流となった。そして、財務キャッシュフローであるが、配当は-0.67億円と昨年と同じであるが、有利子負債は2.10億円(昨年33.88億円)と、若干の増加に抑えた。結果、財務キャッシュフローは1.41億円(昨年33.20億円)となり、トータル、今期は有利子負債をほとんど増やすことなく、23.19億円(昨年13.66億円)と、内部留保を厚くした配分である。本来であれば、増加したキャッシュで、有利子負債190.95億円(総資産の50.4%)を削減し、財務の安定をはかりたかったところであろうが、今回は、内部留保へキャッシュの配分を優先し、手持ち現金を増やしたといえよう。

   このように、PLANTの業績が上向きはじめ、特に、利益の改善が顕著である。その要因は原価、経費双方が改善され、理想的な利益の確保ができており、この1年間の業務改革の成果が表れ始めた結果であるといえよう。また、この業務改革は、特に財務面では在庫が大きく削減され、キャッシュフローで約20億円の効果を生み出しており、営業キャッシュフローが大きく改善されている。したがって、自己資本比率が17.4%という、負債に80%以上を依存する厳しい財務状況の改善に今後、確実に繋がってゆくものといえよう。PLANTも今後、5年、10年単位での中長期的な財務改善のまずは目途がたったといえ、今後、計画どおりの収益が次の第1四半期、そして、中間決算で確保できるかが注目である。

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November 3, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 02, 2009

消費者物価指数(CPI)、デフレ基調続く、2009年9月度!

    総務省統計局から、2009年9月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数は、平成17年度を100とした場合の指数を示し、同時に、昨年対比も示しているが、結果は、総合指数で100.4、昨年対比では2.2%の下落となった。また、生鮮品を除く総合指数は100.2、昨年対比は2.3%の下落、さらに、食料(酒類)及びエネルギーを除く総合指数は98.6、昨年対比は1.0%の下落となった。グラフを見ると、昨年の10月以降、ほぼ、右下がりの傾向が鮮明であり、消費環境はデフレ傾向が鮮明になりつつあるといえよう。

   ちょうど、10/31の日経新聞、1面のトップに、「デフレ色長引く恐れ。日銀予想「物価3年連続マイナス」」、「消費・企業の収益に影響、景気の足かせに」という見出しの記事が掲載されたが、総務省から公表された消費者物価指数は、これを裏付けているともいえよう。記事の内容は、日銀がまとめた「経済・物価情勢の展望」というレポートの中で、2011年度まで3年連続で生鮮食品を除く消費者物価の上昇率がマイナスになる見通しであるということであり、デフレ傾向が当面続くとのことである。

   では、この9月度、昨年と比べ何が最も物価を押し下げたかであるが、10大費目で見ると、総合指数が昨対-2.2%となったのは、下落率の大きい順に、光熱・水道-9.1%(寄与度-0.68ポイント)、交通通信-6.1%(寄与度-0.87ポイント)、家具・家事用品-3.5%(-0.11ポイント)等が大きく落ち込んだ項目である。ちなみに、食料は-0.5%(寄与度-0.13ポイント)であり、やや下がっているが、それほど、大きな下落とはなっていない。ただ、下落基調といえ、今後、節約志向が強まり、小売業どうしの価格競争が激しくなれば、食料もさらに下がる可能性が高く、当面、厳しい数字が続くものと思われる。

   さらに、これを中分類で見ると、下落率の寄与度の高かったものは、自動車等関係費-0.80ポイント、他の光熱-0.41ポイント、電気代-0.18ポイント、教養娯楽サービス-0.17ポイント、教養娯楽用耐久財-0.14ポイントである。また、寄与度はさほど大きくはないが、昨年と比べ下落率が大きかったものは、パソコン(ノート型)-54.2%、パソコン(デスクトップ)-41.2%、テレビ(薄型)-33.6%、外国パック旅行-19.4%等である。ヤマダ電機、ビックカメラなどの家電量販店が、激しい価格競争を繰り広げているひとつの要因がここにあるともいえよう。

   さて、そこで、食料について、さらに詳細な消費者物価指数(CPI)を見てみたい。まず、大分類の状況であるが、前年同月比で、消費者物価指数が下がった部門を見ると、飲料-3.1%、魚介類-2.4%、肉類-2.3%、果物-2.2%、酒類-1.5%、油脂・調味料-1.3%、穀類-1.3%、乳卵類-0.8%という状況である。飲料の落ち込みが最も大きく、ついで、生鮮関連が高いのが特徴である。また、逆に、消費者物価指数が上昇した部門であるが、野菜・海藻2.3%、菓子類1.8%、調理食品0.0%という状況である。野菜は相場の影響があると思われるが、食料の中では、菓子が依然として上昇しているのが特徴である。

   次に、その中身であるが、最も消費者物価が下がった部門である飲料の-3.1%を見てみると、ミネラルウォーター-9.0%、コーヒー豆-8.7%、果実ジュース-6.2%、茶飲料-3.4%、果汁入り飲料-3.2%、炭酸飲料-2.8%、乳酸菌飲料A-2.6%という状況であり、ほとんどの飲料が軒並み下落しており、食料の中では最大のデフレ部門といえよう。上昇しているのは、紅茶0.9%、乳酸菌飲料B0.0%のみであり、まさに、飲料全体が厳しい状況にあるといえよう。また、部門はまたがるが、小麦粉関連の項目も大きく消費者物価が下落しており、スパゲッティ-7.8%、食パン-7.0%、即席めん-1.3%、ビスケット-3.4%、調理パスタ-6.6%などの落ち込みが大きい。

   これに対して、消費者物価が上昇した菓子類であるが、キャンデー23.0%、ポテトチップス10.4%、プリン6.1%、カステラ3.5%、まんじゅう2.0%などであり、これらが、菓子の物価を押し上げている項目である。また、菓子類以外では、マーガリン19.4%、冷凍調理コロッケ5.4%、もち米5.3%、ぎょうざ4.4%などが上昇している項目である。こう見ても上昇した項目よりも、下落した項目の方が圧倒的に多く、この9月度の食料の消費者物価も全体的に下がっていることが鮮明である。

   このように2009年9月度の消費者物価指数(CPI)が明らかになったが、デフレ傾向が鮮明であり、ここへ来て、食料についても、デフレ傾向が強く表れているといえよう。明らかに上昇気味の部門は菓子類のみであり、その他の部門は相場の影響の大きい野菜・海草を除き、0.0%以下の消費者物価指数であり、しかも、その中身は10%近い下落の商品も数多く見られる。ここ最近、公表された食品スーパーマーケット業界の中間決算の状況を見ても、減益の企業が多く、その中身は原価の上昇がみられるケースが多い。これは、売価が、仕入れ原価以上に下がっていると思われ、予想以上に早いペースで価格が下がっている状況を反映しているといえよう。今後、さらに、厳しい局面が予想され、このデフレ基調は当面続くのではないかと思われる。

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November 2, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 01, 2009

ヤマダ電機、池袋、日本総本店オープン!

   10/30、ヤマダ電機の日本総本店が池袋三越跡地にオープンした。当日、午後、店舗に入ってみたが、ものすごい人の波で、店内は満杯状態であり、身動きがとれない状況であった。新聞報道では、オープン前には1万5千人が行列をつくったといい、びっくりである。この立地は池袋の中でも絶好の場所であり、東口の西武百貨店池袋本店の道路を挟んで斜め向かい、ビックカメラ池袋本店とも道路を挟んで斜め向かいと、百貨店と家電本店と向かい合う好立地である。しかも、地上7階、地下2階、地下は池袋北口の駅地下とも連動し、地上はバスターミナルの終点、池袋東口駅のバス停留所のまん前であり、絶好のロケーションである。また、池袋駅は、新聞報道によれば、乗降客が1日270万人と、日本で2番目に多い駅であり、集客力も抜群の立地である。

   その絶好のロケーションの1階に何が来るか興味があったが、入ってびっくり、テレビが300台、どこまで行ってもテレビという感じで、しかも、日本初という103インチ、Panasonic、VIERA、560万円のテレビから、ワンセグまであり、豊富な品揃えである。ちなみに、ヤマダ電機のテレビ関連の売上構成比であるが、直近の数字では、18.4%であり、ビックカメラの10.2%と比べても、圧倒的に高く、しかも、113.7%と全体が101.4%と比べ、エコポイントの影響もあり、大幅に伸びている。ビックカメラも117.4%とヤマダ電機を上回る伸びであるので、いま家電業界の売上の源泉はこのテレビにあるといってもよく、金額面でも、成長率でも重要な戦略商品である。ヤマダ電機が、この池袋店の1階に圧倒的な品揃えと強力な価格訴求でテレビをもってきたのは、まさに理にかなっており、池袋において、一気に家電の主導権をにぎろうという戦略であろう。

   ヤマダ電機が、現在、経営指標として最も力を入れているのが、ROA(総資本当期純利益率)と在庫回転率である。その目標数値をROA10%、在庫回転率12回転/年、以上としており、特に、在庫回転率を引き上げるには、PI値の高い商品、伸びている商品を強化することが基本である。テレビを強化したのも、この在庫回転率を高めるためでもあり、また、ここ最近、家電以外の食品、ドラック等を強化しているのも、在庫回転率を引き上げるひとつの方法といえよう。ちなみに、地下2階の食品売り場であるが、生鮮食品はなく、日配もごくわずかであり、基本、酒とグロサリーの価格訴求商品のみの構成であり、食品で売上げを上げるというよりも、ポイントの利便性を広げるという目的が強いように思えた。ただ、食品と同じフロアで展開されているドラック売り場は、調剤(近日オープン予定)も取り入れており、これに連動させ、日用雑貨も価格訴求がかかっており、食品よりも充実感がある売り場であった。

   在庫回転率目標12回転であるが、今回の池袋日本総本店は約150万点の品揃えであるので、単純に計算すると、この約150万点が月間販売点数となる。したがって、この約150万点の10/30時点の在庫が計算上は、たった1ケ月でなくなるということであり、1ケ月後にはさらに、150万点の仕入れが発生するということになる。また、年商目標が800億円であるので、単純計算で、月商66.6億円であり、1日、約2億円強となる。さらに、戦略商品のテレビの売上構成比は18.4%であるので、1日約4,000万円の売上となり、年間では150億円近い売上げとなる。全館地下2階、地上7階、計9回であるので、1階のテレビだけでも、単純フロア平均の構成比11.1%を大きく上回り、単純計算で165%となり、ヤマダ電機の戦略商品であるテレビを1階で展開することは全館の集客効果の面でも効果が期待できるといえよう。

    また、ヤマダ電機のテレビに次ぐ売上げ構成比の高いパソコンであるが、11.6%と高い数字であるが、伸び率が101.4%と伸び悩んでいる。直近の数字を見ると99.7%と、さらに下がっている。これはビックカメラの数字を見ても、売上構成比は9.4%であり、伸び率は厳しく78.0%と下がっている状況である。したがって、パソコンは売上面では重要な商品であるが、ここへ来て伸び悩んでおり、今回4階での販売となったものと思われる。これ以外の主な商品群では、5階にヤマダ電機の直近の数字で見ると伸び率の高い冷蔵庫(売上構成比6.1%、伸び率113.6%)が品揃えされ、さらに、洗濯機(3.9%、101.6%)、 調理家電(3.5%、3.9%)、エアコン(6.7%、7.6%)の家電がこのフロアを固めている。さらに、2階では携帯電話(4.7%、93.1%)と、伸び率が厳しい状況であるが、アイフォンが異常に元気な売り込みをしていたのが印象的であった。

    このようにヤマダ電機が満を持して、池袋の三越跡地に日本総本店をこの10/30にオープンさせたが、初日は大盛況となり、好調であったのではないかと想定される。また、多層階での店舗では、最も重要な1階をヤマダ電機得意のテレビで圧倒的な品揃えと価格訴求で展開したことは、今後の集客を図るうえにおいても、全館の活性化をはかる上においても貢献度が極めて高いレイアウトといえよう。今後、最大の競合家電、ビックカメラ、さくらや、そして、西武百貨店、東武百貨店とどのような家電のシェア争いとなるか、クリスマス、年末商戦と続く、冬の池袋が日本でも最も熱い地区となろう。

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November 1, 2009 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)