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March 13, 2010

花王、ID-POSに本腰!

   日経新聞、3/12に花王のID-POS分析の記事が掲載された。見出しは、「購買履歴小売りと共有、花王」、「顧客層別に動向を把握、売り場提案に活用」というもので、花王が本格的にID-POS分析をもとにしたリテールサポート、小売業への支援に乗り出すとの記事である。以前から花王は通常のPOS分析については様々な取り組みがなされ、定評のある小売業への支援をしてきていた。今回は、次世代のPOS分析、ID-POS分析へも、本格的に取り組むとのことで、花王はもちろん、小売業界にとっても新たなマーチャンダイジングの時代が到来することになろう。

   記事の内容を見ると、2011年度から、ドラックストア、スーパー、ホームセンターなど小売り大手約30社と組み、ID-POS分析を活用した新たな販促策を構築し、小売業へ提案してゆくという。すでに、実証実験を行っており、売上げが7から8%程度伸びたケースもあったという。2010年度も引き続き、実証実験を行い、ノウハウを蓄積するという。

   ID-POS分析はそのデータ量が通常のPOS分析と比べ膨大な量となり、分析も無限といって良いくらいあり、複雑である。したがって、ハード、ソフト、そして、ノウハウと、3拍子そろわないと、提案書ひとつつくれないのが現状である。花王が2011年度から本格展開、2010年度は実証実験といっているのも、それだけ、時間と労力、ノウハウ、そして、費用もかかるがゆえのスケジュールであるといえよう。

   通常のPOS分析は原則、商品別の売上金額、売上数量を把握し、ここから様々な商品分析を行うことになる。これにPI値を活用する場合は、さらに、レシートの総枚数が加わり、売上金額、売上数量をレシート1枚当たりに直して商品分析することになる。いずれも、総分析量はさほど多くはない。

   ところが、これにIDが加わると、レシート1枚1枚にID番号がふられ、レシートがIDごとに整理され、そのIDをもとに、商品分析が行われることになる。したがって、単純な商品分析から、IDを前提とした商品分析となり、ID×商品の数だけ、売上金額、売上数量、そして、レシート枚数が発生し、それを前提に様々な分析がなされる。分析も1次元から2次元となり、飛躍的に質の上昇、量の増大が起こる。しかも、IDの属性ごとに分析することもできるし、商品の購買状況、たとえば、トライアル購買、リピート購買ごとに分析するなども可能となり、3次元、4次元と次元をいくらでも増やすことも可能である。PI値分析も、様々な指標を作ることができ、少なくとも数10種類は増えることになり、どのPI値をどう実務に活かすかが課題となる。まるで、調味料のさじ加減のように様々なPI値を適宜に活用することになる。

   花王はこれを大手30社に対して、同時並行で取り組むことになると思われるが、その体制づくりに、実証実験を含め、まるまる1年がかかり、結果、2011年度と来春からの本格的なID-POS分析への対応ということになるのではと思われる。ちなみに、記事の中身を見ると、花王が取り組もうとしているのは、売場(マーチャンダイジング)と接客(マーケティング)であり、IDごとの購入履歴を分析し、IDの属性に基づき、プロファイリングを行い、同様の購買傾向を示すIDに直接接客したり、品揃え、棚割を変えたりと売り場変更を行うという。

   記事の中に事例が載っているが、それを見ると、入浴剤の20から30歳代の購入履歴が洗顔料や美容液をよく購入する傾向がある場合、それらの商品を同時購買しやすい棚割をつくったり、店頭で直接すすめるなどするという。同様に40から50歳代には、肩凝りや腰痛を緩和する温熱シートを棚割に組み込んだり、直接すすめたりするという。まさに、ID-POS分析ならではの取り組みといえよう。

   興味深いのは、花王の商品はPI値で見ると限りなく低く、見えないくらいの商品が多いのが特徴であり、PI値を100倍しても、1,000倍しても見えにくい商品が多い。10,000倍ぐらいがぴったりかもしれない。その花王が恐らく、人、物、金を投入し、メーカーでは本格的にID-POS分析に取り組むことになる。ID-POS分析は花王の商品のようにPI値の低い商品ほど効果が出る可能性が高いともいえよう。PI値が高い商品はある意味、黙ってでも売れてゆく商品であり、そこにマーチャンダイジング、マーケティングはあまり必要ではなく、PI値が低く、なかなか売れず、売りにくいがゆえに、マーチャンダイジング、マーケティングの必要性があるともいえる。

   もうはるか昔になるが、慶應義塾大学の村田ゼミでマーケティングの手ほどきを受けた時、マーケティングの発生が1929年のアメリカに端を発した大恐慌と密接な関係があり、そこでの実践事例が学問として成立してゆく契機となったということをふと思い出した。そう考えると、ID-POS分析はPI値の低い、まさに、売りにくい、放っておけば売り場から消えゆく商品をいかに売るかの救世主となる可能性が高いといえ、新たなマーケティング分野を切り開く可能性を秘めた分析手法ともいえよう。花王には、その先陣を切って、日本のマーケティング、そして、マーチャンダイジングをリードしていって欲しいと思う。

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