« April 2010 | Main | June 2010 »

May 31, 2010

食品スーパーマーケット売上速報、4月度、98.7%!

   今月、2010年4月度から、食品スーパーマーケットの売上速報の精度が格段と向上することになった。これまで、食品スーパーマーケットにはいくつかの業界団体があり、それぞれが別々に売上げ速報を公表していた。また、団体によっては、食品スーパーマーケットとGMSが一緒になった売上速報もあり、食品スーパーマーケットの純粋な数字が反映されないものもあった。このような中、今回、食品スーパーマーケットの主要3団体、オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、社団法人日本セルフ・サービス協会が共同で売上速報を集計し、公表することに合意し、この4月度はじめて3団体共同の売上速報が公表されることになった。

   その結果であるが、264社(AJS 58社、JSA 60社、JSSA 162社)の4月度の売上高は7,215億8,844万円(98.7%)という結果であった。これを部門別にみると、生鮮3品は99.8%(構成比32.3%)、その内訳は、青果101.9%(構成比13.1%)、水産98.8%(構成比9.2%)、畜産97.9%(構成比10.0%)であった。これ以外では、惣菜100.2%(構成比8.9%)、一般食品・その他98.7%(構成比44.6%)、非食品95.8%(構成比14.2%)であった。青果と惣菜が100%をわずかに超えたが、その他は厳しい結果であり、全体も98.7%であるので、この4月度、食品スーパーマーケット業界はやや厳しい結果であり、デフレが依然として影響を与えているといえよう。

   また、地域別に見ると、100%を超えたのは北海道・東北エリアの100.4%のみであり、最も厳しかったのは関東エリアの97.8%であった。これ以外のエリアでは九州・沖縄エリア99.6%、東海・北陸エリア99.3%、中国・四国エリア98.7%、関西エリア98.4%という結果であった。北海道・東北エリア、九州・沖縄エリアの両極の地域が比較的堅調であり、関東エリア、関西エリアの都市部は厳しい結果であったといえよう。

   ちなみに、今回の264社の総店舗数は6,704店舗であるので、1社25.39店舗であり、店舗面積が11,342,223平米であるので、1店舗当たり512.68坪である。また、1日当たりの売り上げは358.8万円、1坪当たりの月商は、21.12万円、単純に年間数字を計算すると253.44万円となる。

   以上が今回、食品スーパーマーケットの業界3団体、オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、社団法人日本セルフ・サービス協会に加盟する全食品スーパーマーケットの2010年4月度の売上速報である。この基本数字が今後毎月公表されることになるが、これ以外にも毎月公表されるものとして、「スーパーマーケット景況感調査(5月速報版)」というものがある。

   これは、この3団体の食品スーパーマーケット264社へのアンケート調査の結果を集計したものであり、様々な景況感が公表される。特に、日銀の景気判断を参考にしたと思われるDI(diffusion index)が公表され、1.売上判断DI、2.収益率判断DI、3.客単価DI、4.景気判断DIが地域別に、3ケ月前との比較も含め公開される。しかも、これは次の5月速報版として公表されるので、直近の景況感を掴むには最適な資料であるといえよう。

   では、その中身を見てみると、売上に関しては、「売上現状は「増加」が28.2%、「減少」が35.7%、見通しは「増加」が22.7%、「減少」が32.4%である。現状判断DIは47.5%、見通しDIは47.2で、横ばいを示す50の水準に近づきつつある。」という結果である。もうひとつ、客単価に関しては、「現状は「上昇」が16.7%、「低下」が44.0%、見通しは「上昇」が14.5%、「低下」が36.6%である。現状判断DIは42.5、見通しDIは43.9と、いずれも横ばいを示す50を下回り、客単価の落ち込みが収益を圧迫している様子がうかがえる。」とのことである。残念ながら、この2つのDI以外もすべての項目で50を下回っており、景況感の明るい兆しは、これを見る限りではまだ見えない状況といえよう。

   ちなみに、DIの算出方法であるが、「現状または見通しに対する各回答構成比(%)に、以下の点数を乗じてDIを算出しています。かなり増加(改善、上昇)+1.0 ・やや増加(改善、上昇)+0.75 ・変わらない+0.5やや減少(悪化、低下)+0.25 ・かなり減少(悪化、低下)+0.0」とのことである。

   また、参考に、この3団体の会員数、総店舗数、年間売上高であるが、オール日本スーパーマーケット協会(58社、1,125店舗、年商1兆6,030億円)、日本スーパーマーケット協会(103社、7,604店舗、年商6兆6,808億円)、社団法人日本セルフ・サービス協会(455社、約8,000店舗、年商8兆2,232億円)という状況である。

    このように、この4月度から、食品スーパーマーケットの業界3団体、オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、社団法人日本セルフ・サービス協会が共同で食品スーパーマーケット業界の基本数字を集計し、さらに、アンケートまで実施し、景況感をも公表することになった。これで、やっと、食品スーパーマーケットの純粋な基本数字が明らかになるといえ、本ブログでも今後、しっかりフォローしてゆくつもりである。なお、次回は5/28、帝国ホテルでの発表となり、内容も、「各分類(青果、水産、精肉、惣菜、一般食品など)の消費動向、カレンダーマーケットにおける売れ筋商品の変化、成功や失敗事例の紹介、その他、各企業の現状報告など」あるという。今後のさらなる内容の拡充に大いに期待したいところである。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 31, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 30, 2010

食品スーパーマーケットの借入れの実態!

   食品スーパーマーケットの決算もほぼ終了し、現在、その集計をしており、6月中にはまとめ、昨年同様、財務3表連環分析2010として、公表してゆく予定である。それまでは、全体の動向は2009年度版をもとに、必要に応じて、2010年度の速報値を交え、財務3表に関して解説してゆくつもりである。さて、今回は、食品スーパーマーケットの借り入れについての実態を様々な角度から取り上げてみたい。

   まず、全体像であるが、決算公開企業約50社の総借入金額、短期借入と長期入れの合計は1兆740.58億円であるので、約1兆円である。約50社であるので、単純平均では約200億円となる。ちなみに、純資産は1兆5,767.06億円、約1.5兆円であるので、食品スーパーマーケットのビジネスは金融機関と密接な関係で成り立っていることがわかる。それぞれ総資産との比率を見ると、有利子負債は27.7%、純資産は40.7%であり、その合計、いわゆる投下資本は約2兆5,000億円となる。したがって、決算公開企業約50社の投下資本は約2兆5,000億円であり、この巨大な資本を活用して、ビジネスに取り組んでいるといえる。そして、その結果、得られる営業キャッシュフローは、すなわち、キャッシュは2,944.51億円、約3,000億円であるので、キャッシュ効率を計算すると、12.0%となる。これが財務から見た食品スーパーマーケットの実態といえる。

   これまで本ブログで取り上げた主な食品スーパーマーケットのキャッシュ効率は10%強であり、近い数字であるので、これが食品スーパーマーケットビジネスの財務面から見た現状といえよう。ところで、少し角度を変えて、この有利子負債約1兆円と売上高との関係を見てみると、決算公開企業約50社の売上高が7兆8,244.85億円、約8兆円弱であるので、有利子負債の売上対比は約12.5%となる。総資産は3兆8,724.45億円、約4兆であるので、ちょうど、売上高の約1/2であり、売上対比で見た方が比率は約半分となり、低くなる。

   以上がマクロに食品スーパーマーケット全体を見た場合の有利子負債の位置付けとなる。まとめると、決算公開企業約50社の有利子負債は約1兆円、ちなみに、短期、長期の比率はやや長期が多いが、ほぼ半々である。また、総資産対比では約30%弱、売上高対比では約15%弱であり、したがって、食品スーパーマーケットは総資産の約2倍の売上高となる業態である。また、純資産は約1.5兆であるので、投下資本は合計約2.5兆円、営業キャッシュフローは約3,000億円であるので、キャッシュ効率は12%となる。これが食品スーパーマーケットの現況といえよう。

   では、これを踏まえて、有利子負債を中心に2009年度の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの個々の状況を見てみたい。まず、有利子負債が総資産対比で50%を超える食品スーパーマーケットは、マルヨシセンター62.8%、天満屋ストア56.3%、PLANT55.6%、スーパーバリュー55.2%、マツヤ52.4%、ドミー50.5%である。さらに、40%までを見てみると、丸久46.5%、北雄ラッキー46.3%、イズミ44.8%、丸和44.6%、エコス44.5%、ヤマナカ41.9%、マックスバリュ東北41.0%、バロー40.3%となる。

   同様に売上対比で見るとどうかを見ると、先に見たように、売上高と総資産の比率は約2:1であるので、売上対比20%までの食品スーパーマーケットを見ると、PLANT48.2%、天満屋ストア44.7%、イズミ36.2%、マルヨシセンター30.9%、丸和30.4%、ドミー30.1%スーパーバリュー29.9%、イズミヤ26.9%、ダイイチ 24.8%、マツヤ21.8%、Olympic21.4%、丸久21.4%、バロー21.2%、平和堂20.9%、アークランドサカモト20.2%フジ20.1%となる。

   逆に、総資産対比で10%以下の食品スーパーマーケットは、オオゼキ0.0%、マックスバリュ東海0.0%、ヨークベニマル0.0%、マックスバリュ西日本0.3%、アオキスーパー0.8%、東武ストア3.7%、サンエー4.4%、ヤマザワ5.2%、九九プラス7.0%、ユニバース8.9%、いなげや9.7%となる。同様に、売上対比5%までの食品スーパーマーケットを見ると、オオゼキ0.0%、マックスバリュ東海0.0%、ヨークベニマル0.0%、マックスバリュ西日本0.1%、アオキスーパー0.2%、九九プラス1.4%、東武ストア1.4%、ヤマザワ2.2%、サンエー2.8%、いなげや3.4%、ユニバース3.4%、大黒天物産3.5%、アークス4.4%、カスミ4.8%となる。

   参考に、キャッシュ効率、営業キャッシュフロー/投下資本(有利子負債+純資産)が20%以上の食品スーパーマーケットを見ると、ライフコーポレーション36.4%、ハローズ35.4%、大黒天物産30.4%、オーケー27.7%、マックスバリュ西日本23.9%、ジョイス23.0%、マックスバリュ中部22.6%、サンエー21.4%、アオキスーパー20.3%、スーパーバリュー20.2%となる。ただ、少し、注意が必要なのは金融機関の休日と決算日が重なった2009年2月期決算は営業キャッシュフローが買掛債権の増加により、膨らんでおり、その返を差し引く必要がある。

   このように、決算公開企業約50社を中心に食品スーパーマーケットの借入れの実態を総資産、売上、そして、キャッシュフロー、さらには、参考に純資産も交えて見てみたが、現時点での基準としては、総資産対比で30%、売上対比では15%以下が望ましいといえよう。これを超えてくると有利子負債が経営に重くのしかかりはじめ、財務状況が悪化し、厳しい経営を強いられるといえよう。また、キャッシュ効率は異常値を抜いて、10%以上は目指したいところであるといえる。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 30, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 29, 2010

IDとレシートの併売について

   併売分析には大きく分けて2つある。ひとつはレシート併売であり、もうひとつはID併売である。この2つは、実務ではあまり区別されずに、いずれも併売分析としてとらえられている場合があるが、その中身はかなり違う。またその目的は、いわゆるリフト値を算出し、併売する商品が併売される商品をいかに引きあげるかを見極め、併売するかしないかを決定することになるが、このリフト値も当然、レシートリフト値とIDリフト値がある。そこで、ここでは、レシート併売とID併売の違いを考えてみたい。

   まず、分かりやすくするために、計算しやすい数字の事例で考えて見たい。そこで、ここでは、バナナとりんごの併売分析を考えて見る。バナナが20人のID、りんごが10人のIDの場合を考えて見る。この時、バナナもりんごもともに購入している顧客が5人のIDであったとする。これがまず、基本であるが、さらに、リフト値を算出するために、全購入顧客が100人のIDであったとする。これで、ID併売の基本数字が出揃ったので、まずはID併売を計算してみる。

   まず、ID併売率であるが、バナナから見たリンゴは5/20で25%であり、りんごから見たバナナのID併売率は5/10で50%である。したがって、りんごから、バナナへの顧客の方が強く流れていることがわかる。そこで、全体の顧客から見たバナナとりんごのIDのPI値を見て見ると、バナナは20/100で20%、りんごは10/100で10%である。したがって、リフト値を算出すると、バナナとりんごを併売することによって、バナナのIDでのPI値は20%、併売は25%であるので、バナナは併売した方が25%/20%=125%のリフト値、すなわち、りんごが押し上げることになり、併売が望ましいといえよう。同様に、りんごを見ると、りんごのIDでのPI値は10%であり、併売は25%であるので、この場合もリフト値は25%/10%で250%となり、極めて高い数字となり、併売した方が、併売しないより、はるかに、高い数字になるといえよう。

   したがって、この場合は、バナナとりんごを併売しないで販売した場合と、併売して販売した場合では両方とも併売した方がリフトされることになり、しかも、バナナよりもりんごの方がリフト値が高く、りんごにとっては、バナナとの併売を望みたいところであろう。これがIDにおける併売であり、このように、顧客がどちらをどのくらい押し上げるかのリフト値を算出するところが併売分析のポイントであり、ここから、相性の良い併売商品を見つけだすことが課題となる。

   では、レシート併売はどのような数字になるかを同様に、計算しやすい数字をもとに考えてみたい。まず、バナナのID、20人のレシート枚数であるが、200枚であるとする。同様に、りんごのID10人のレシート枚数であるが、100枚であるとする。また、バナナとりんごの併売のID、5人のレシートを50枚とする。そして、全購入顧客100人のIDのレシート枚数であるが、1,000枚であったとする。これが基本数字であるが、実は、通常のレシート併売は、ここからは計算できない。なぜなら、バナナのレシート200枚、りんごのレシート100枚の中には、それぞれ、バナナ、あるいは、りんごの未購入レシートが含まれているからである。

   したがって、レシート併売を算出するには、この中から純粋に、バナナを購入しているレシートとりんごを購入しているレシートを差し引く必要がある。同様に、バナナとりんごを購入しているレシートからも同時購入をしていないレシートを差し引く必要がある。この時点で、レシート併売は、純粋な顧客IDの併売実態から離れ、レシートのみの数値計算となり、シミュレーションの世界となる。そこには、顧客の購買行動をイメージすることはできず、バナナとりんごのレシートの計算式に基づく、併売分析となる。

   その数字であるが、バナナの200枚のレシートの内、バナナの購入レシートを40枚とし、りんごの購入レシートを10枚であったとし、同時購入をしているレシートが5枚であったとする。この時、先程のID併売同様に併売分析をしてみると、バナナとりんごの併売はバナナが5/40で12.5%、りんごの併売が5/10で50%となる。また、レシートのPI値はバナナが40/1,000で4%、りんごが10/1,000で1%、したがって、リフト値はバナナが12.5%/4%で312.5%、りんごが50%/1%で5,000%となり、異常値となったが、やはり、どちらも併売した方が押し上げられるといえ、特に、リンゴがバナナに強く押し上げられるといえよう。

   このように、併売はIDで見る併売とレシートで見る併売があり、どちらも、併売を計算できるが、IDの方は顧客のまさに購買行動がイメージできるが、レシートの方は、顧客から離れ、購入顧客の未購入レシートは無視され、商品購入時のみのレシートを分析するだけになるので、顧客の併売の購入実態の中の併売状況の一部を切りとったものであるといえる。本来は、IDの購入実態があり、そのIDは併売対象の商品を購入する場合もあれば、購入しない場合もあり、また、どのくらいの割合で購買するかも考慮して見るべきであると思うが、レシートになると、顧客というよりも商品の動きのみの分析となり、顧客の実態とは離れてしまいがちとなる。その意味で併売を分析するのであれば、まずは、顧客IDの併売分析を行い、次に、そのレシートに踏み込む、購入レシートだけでなく、未購入レシートも加味した併売分析を行うべきであろうと思う。併売分析をする際は、このようなIDとレシートをしっかり対応させ、顧客の購買行動をトータルに分析したいところだ。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 29, 2010 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 28, 2010

らでぃっしゅぼーやの2010年2月期決算を見る!

   日経ヴェリタスの「今どきIPO企業家たち」のコーナーで、らでぃっしゅぼーやの緒方大助社長が取り上げられた。テーマは「有機野菜届け農業全体を変えたい」であり、興味深い内容である。記事の前半はらでぃっしゅぼーやのおいたちが緒方社長のインタビューを交えて語られていているが、そもそも発祥がNPOから始まっていたとのことでびっくりである。「日本リサイクル運動市民の会」が母体である。その後、2000年に青汁のキューサイが買収し、この時、らでぃっしゅぼーやの資産査定(デューデリジェンス)にかかわったのが、キューサイに在籍していた現在の緒方社長だという。

   緒方社長は当時、キューサイの社長に直訴し、らでぃっしゅぼーやへの移籍を訴えたという。その結果、社長として移籍することになり、次々と大改革を実施してゆくことなる。まず、はじめに実施したのが、コンピュータシステムの導入であり、物流体制の整備であるという。そして、次が意識改革、特に、利益の追求を社内に強く訴えたという。その一環が株式公開であったとのことである。らでぃっしゅぼーやを上場させ、自らを市場の目にさらすことで規律ある利益追求が可能になると考えたという。

   そして、ここからがすごい、6年後の2006年にMBO(経営陣が参加する買収)に踏み切る。現在は緒方社自らも出資しており、2009年2月時点で、約1億円、約20万株(2.85%)を保有している。この時、MBOの母体となったのが投資ファンド、ジャフコであり、当時株式の約98%を保有していた。その後、日本レストランシステム、上場後は一般株主へと株式を売却してゆき、現在もジャフコは筆頭株主として、約300万株(46.95%、約18億円)を保有している。また、日本レストランシステムは約150万株(21.46%、約8億円)を保有しており、第2位の大株主である。日本レストランシステムは親会社がドトール・日レスホールディングスであるので、ドトール、日本レストランの傘下にあるともとれる。

   結果、らでぃっしゅぼーやは、キューサイからMBOでジャフコに経営権が移り、現在は、ジャフコ、日本レストランシステムが過半数を握る大株主であり、経営権をこの2社が握っているといえよう。ジャフコは投資ファンドであるので、実質、日本レストランの親会社、ドトールが経営を主導しているともいえ、現場は緒方社長がマネジメントしているといえる。

   さて、では、らでぃっしゅぼーやの2010年2月期の決算であるが、売上高223.34億円(-2.3 %)、営業利益5.08億円(-39.0%)、経常利益5.36億円(-31.0%)、当期純利益2.27億円(-36.5%)と減収減益の厳しい決算結果である。利益が厳しい状況であり、特に、1株当たりの純利益は33.04円(昨年64.98円)と、半減しており、株主にとっては、厳しい結果となったといえる。

   さらに気になるにはキャッシュフローであり、営業キャッシュフローが-8.51億円(昨年3.62億円)と、マイナスとなり、キャッシュ不足になったことである。これは減益になったことに加え、今期は、金融機関の休業日と決算日が重なり、売上債権が増加し、キャッシュは-12.72億円と大きくマイナスとなったことである。そして、投資キャッシュフローが-1.95億円(昨年-3.16億円)であったため、フリーキャッシュフローは-10.46億円(昨年1.00億円)と、プラスからマイナスへと、逆流のキャッシュフローとなった。

   結果、短期借入が増加し、財務キャッシュフローは1.14億円(昨年4.01億円)となり、トータルのキャッシュフローは-9.32億円(昨年4.47億円)となった。昨年の株式の発行による収入分8.73億円分がほぼ、マイナスとなる結果となり、現金及び現金同等物が5.77億円(昨年15.09億円)と1/3となった。恐らく、第1四半期決算では、売上債権が回収され、財務状況が大きく、改善しているものと思われるが、それを差し引いても、減収減益と、厳しい決算であり、今後、営業改革が最重要な課題といえよう。

   現在、らでぃっしゅぼーやの企画別の売上げは、「定期品は、7,941百万円(前期比1.5%減)、注文品は、14,113百万円(前期比2.7%減)、・・」とのことであり、定期品が約1/3であることから、この定期品をいかに増加させるかが売上だけでなく、利益を確保する上においても重要であるといえよう。らでぃっしゅぼーやの現在の会員数は10万人を超え、1人平均約20万円の年間ID金額PI値(年間売上金額/ID)であるというので、いかに、定期品に誘導できるかが、活性化の鍵を握っているように思える。

   このように、らでぃっしゅぼーやは実にユニークな企業であり、2000年には青汁のキューサイの傘下に入り、その後、MBOで投資ファンド、ジャフコの傘下に入り、さらに、現在は、実質、ドトールも経営に加わったといえよう。そして、2008年12月には、上場している。そして、その間、一貫して、経営の最前線で指揮をとってきたのが緒方社長であるが、今期はさすがに厳しい結果となり。減収減益となった。まずは、既存顧客、既存商品の見直しが、当面の課題であるといえ、次の第1四半期、らでぃっしゅぼーやの決算の回復を期待したいところである。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 28, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 27, 2010

セブンイレブン、ローソン、ファミリーマートの決算を見る!

   2010年度、コンビニ業界はどのような決算であったのか、ここでは主要3社、セブンイレブンジャパン、ローソン、ファミリーマートの決算を見てみたい。特に、今期のコンビニは、昨年のtaspo効果が切れ、その反動もあり、厳しい決算となったのが特徴である。実際の数字を見ると、セブンイレブンジャパンは営業収入5,350.18億円(98.9%)、営業利益1,562.20億円(87.7%)、経常利益1,644.45億円(87.4%)、当期純利益924.39億円(86.2%)となり、減収減益と厳しい決算であった。

   ローソンは、九九プラスを含めた連結では、営業総収入4,671.92億円(133.7%)、営業利益502.75億円(102.2%)、経常利益494.40億円(101.3%)、 当期純利益125.62億円(52.8%)と営業、経常段階では増収増益となる好決算であったが、当期純利益は特別損失が発生し、減益となった。ただ、九九プラスを除いた個別を見ると、営業総収入2,715.13億円(97.1%)、営業利益449.97億円(95.9%)、経常利益445.77億円(94.2%)、当期純利益206.65億円(93.6%)と、減収減益の厳しい決算となった。そして、ファミリーマートであるが、営業総収入2,781.75億円(96.8%)、営業利益335.30億円(91.8%)、経常利益357.60億円(90.6%)、当期純利益151.02億円(91.8%)と、減収減益であった。

   こう見ると、3社とも厳しい決算であったといえ、コンビニ業界を取り巻く経営環境が急激に悪化したといえよう。当然、先にも言及したように、taspo効果が切れたという反動が大きいのは事実であるが、食品スーパーマーケット同様、デフレの影響も大きかったものと思われる。

   ここで、コンビニの営業総収入を再度確認しておきたい。コンビニは、食品スーパーマーケットの営業収入とは違い、フランチャイズの売上げが主であるため、店舗の売り上げは直営のみ計上され、フランチャイズは加盟店収入のみとなり、いわゆるフランチャイズ収入が計上される。どのような比率になるかであるが、セブンイレブンジャパンの場合は、加盟店からの収入4,021.07億円、その他の営業収入56.87億円、売上高1,272.22億円であり、加盟店収入の割合が76.22%となる。ローソンは加盟店からの収入1,835.66億円、その他の営業収入221.12億円、売上高658.34億円であるので、加盟店からの収入の割合は67.60%となる。そして、ファミリーマートであるが、加盟店からの収入1,611.67億円、その他営業収入229.88億円、売上高940.19億円であるので、加盟店からの収入は57.93%となる。

   したがって、フランチャイズによる営業収入が最も高いのがセブンイレブンであり、75%を超え、ついて、ローソン70%弱であり、ついで、ファミリーマートの60%弱となり、かなり差があるのが実態といえよう。コンビニはまさにフランチャイズビジネスであるといえ、食品スーパーマーケットとは会計の仕組みが大きく違うといえる。

   そこで、この違いを前提にして、原価、経費面の違いを3社で見て見たい。なお、ローソンについては、九九プラスを除いた個別決算で見てみる。特に、今期は3社とも減益になったことから、その要因が原価にあるのか、経費にあるのかを見てみたい。まず、原価であるが、セブンイレブンジャパンは73.05%(昨年73.16%)と原価は下がっている。したがって、売上総利益は26.95%(昨年26.84%)と上昇した。一方、経費の方であるが、224.69%(昨年184.09%)と大きく上昇している。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は、-197.74%(昨年-157.25%)と、マイナス幅が大きく拡大している。これに加盟店収入等の営業収入が320.53%(昨年283.55%)加わり、結果、営業利益は122.79%(昨年126.30%)と減益となった。コンビニのP/Lはこのように加盟店収入と直営の収入とがミックスしており、特に、フランチャイズシステムゆえの加盟店収入が圧倒的に大きいことから、売上対比では異常値となるが、この結果を見る限り、経費の上昇が減益の要因といえよう。

   同様に、ローソンは、原価71.46%(昨年71.74%)と、セブンイレブン同様、原価は下がっており、結果、売上総利益は28.54%(昨年28.26%)と改善した。一方、経費は272.60%(昨年250.97%)と、これもセブンイレブン同様大きく上昇している。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は-244.06%(昨年-222.71%)と、やはりマイナス幅が拡大している。これに加盟店収入等の営業収入が312.41%(昨年287.74%)加わり、営業利益は68.35%(昨年65.03%)となり、売上対比では増益となった。ただ、売上高が91.25%となっており、営業利益高では減益である。

   そして、ファミリーマートであるが、原価69.45%(昨年69.77%)であり、やや原価が下がり、結果、売上総利益は30.55%(昨年30.23%)となった。一方、経費であるが、190.75%(昨年174.96%)と、やはり、経費の上昇がみられる。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-160.02%(昨年-144.73%)と、マイナス幅が広がった。これに、加盟店収入等が195.86%(昨年180.37%)加わり、結果、営業利益は35.84%(昨年35.64%)と、では増益なったが、ローソン同様、売上高が91.74%となったため、営業利益高では減益となった。

   こう見ると、3社とも厳しい利益構造であり、特に、ローソン、ファミリーマートは、売上高がFC化が進んだことも関係していると思うが、減少していることが大きく、率では増益となっても高では減益となる厳しい状況である。今後、コンビニはtaspo効果も切れ、デフレ環境の中での厳しい経営となるが、経費削減と加盟店収入の改善が当面の最優先課題といえ、どのような経営戦略を打ち出すか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 27, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 26, 2010

その2、ウォルマートの2011年度、第1四半期決算!

   前回のブログ、「ウォルマート2011年度、第1四半期決算、増収増益!」に続き、今回もウォルマートの2011年度、第1四半期決算を取り上げて見たい。前回はウォルマートのP/Lについて取り上げたので、今回はCF、キャッシュフローについて取り上げ、必要に応じて、B/Sについても言及したい。前回のブログでも、ウォルマートの決算発表の冒頭が1株当たり利益から入り、日本の決算発表とは違い、資本主義の本場、株主重視を強く感じさせる決算発表であったが、ここで取り上げるCFも日本の企業との違いを特に見てみたい。

   まず、Cash flows from investing activities、営業活動からのキャッシュフローであるが、単位がmillions、100万ドルとなる。結果は973百万ドル(昨年3,571百万ドル)であり、1ドル90円で計算すると、約900億円弱である。気になるのは、昨年と比べ、1/4ぐらいに減少していることである。当期純利益は3,467百万ドル(昨年3,139百万ドル)と増加しており、P/L上の問題ではないといえる。また、Depreciation and amortization 、減価償却費も1,864百万ドル(昨年1,700百万ドル)と、これも増加しており、この問題でもない。ではどこかであるが、昨年との最大の違いは、inventories、すなわち在庫であり、(2,230百万ドル)(昨年153百万ドル)と、在庫が大きく増加している。アメリカの決算では、-という記号はなく、-は( )で表され、在庫は増加がキャッシュのマイナスであり、今期、ウォルマートの在庫は昨年と比べ大きく膨らんでおり、これが営業キャッシュフローを大きく減少させた要因である。

   次に、Cash flows from investing activities、投資活動からのキャッシュフローであるが、(2,236百万ドル) (昨年(2,683百万ドル))であり、やや、投資金額が減少しているが、ほぼ、昨年並みの投資である。そのほとんどは、Payments for property and equipment 、土地、設備投資関連であり、(2,563百万ドル)(昨年(2,607百万ドル)である。今期も、日本円に換算すると約2,300億円の土地、設備投資であり、そのほとんどが新店への投資といえ、すごい金額である。結果、営業活動からのキャッシュフローと投資活動からのキャッシュフローを足したフリーキャッシュフローは、(1,263百万ドル)(昨年888百万ドル)と、一転、今期は昨年のプラスからマイナスへと逆流のフリーキャッシュフローとなった。

   それにしても、在庫の増加が気になるところであり、それが、今期の営業活動からのキャッシュフローを大きく減少させ、結果、フリーキャッシュフローがマイナスに転じているので、経営にも支障をきたしているといえる。次の中間決算でどこまで、在庫調整が進むか注意が必要といえよう。ただ、もしかすると、明らかに異常値であるので、今期特有の何か明確な要因があるかもしれない。

   そして、Cash flows from financing activities、財務活動からのキャッシュフローであるが、1,836 百万ドル(昨年(1,503百万ドル))と、ここでは、大きくプラスに転じた。フリーキャッシュフローがマイナスであり、財務活動からのキャッシュフローが大きくプラスになったということは、当然、何らかのキャッシュの調達をしていることになる。実際、中身を見てみると、short-term borrowings、短期借入金が4,299百万ドル(昨年(266百万ドル))と大きく増加している。さらに、long-term debt 1,971百万ドル(昨年1,453百万ドル)と、長期借入金も昨年以上に増加しており、フリーキャッシュフローのマイナスを長短期借入金で補っている状況である。したがって、B/Sの長短借入金の合計は43,492百万ドル(昨年39,668百万ドル)と増加しており、日本円に換算すると、約4兆円であり、かなり重い負債といえよう。ちなみに、ウォルマートの総資産は100,209百万ドルであるので、有利子負債比率は43.40%とやはり重いといえよう。

   さて、財務活動からのキャッシュフローの中身であるが、Dividends paid、配当に(1,136百万ドル)(昨年 (1,067百万ドル))、Purchase of company stock、自己株式の購入に (2,967百万ドル)(昨年(886百万ドル)と、この2点が大きな中身である。それにしても、自己株式が日本円で2,700億円という巨大な金額であり、それだけ、今期は株式を自らも買い支える必要があったものと思われる。結果、トータルのキャッシュフローは609 百万ドル(昨年(697百万ドル)と、昨年のマイナスからプラスとなった。ただし、これはフリーキャッシュフローのマイナスを借入によって補っており、財務的には昨年より厳しい状況にあるといえよう。その結果、現金は8,516百万ドル(昨年6,578百万ドル)となった。

   このように、ウォルマートの2011年度の財務、特に、今回はキャッシュフローを見てみたが、気になるのはやはり、在庫が急増していることであり、結果、営業活動からのキャッシュフローが大きく減少し、投資活動によるキャッシュフローを賄えず、財務活動からのキャッシュフローで長短借入金を調達し、補わざるをえなかったことである。また、株価も厳しい状況にあったことから、自社株買いを昨年以上に実施せざるをえなくなり、結果、財務キャッシュフローも増加した。ウォルマートにとっては、この第1四半期は厳しいキャッシュフローであったといえ、有利子負債も増加し、財務を圧迫しており、課題が残る決算であったといえよう。次の中間、そして、その後の決算でどこまで財務改善が進むのか、その動向に注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 26, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 25, 2010

ウォルマート2011年度、第1四半期決算、増収増益!

   5/18、ウォルマートが2011年度、第1四半期の決算を公表した。公表の冒頭の数字は0.88ドルという数字である。日本の決算発表では、冒頭ではまず見られない数字である。この0.88ドルは1株当たりの利益であり、しかも、この数字の発表にあたって、直近に予想した数字を上回ったという言葉を付け加えている。それだけ、株主に対しての責任を重視しているといえ、改めて、株式会社は株主に対しての責任が決算では問われ、決算に当たっては最初に報告すべき数字が株主の利益が確保できたかどうかであるということが再認識されるウォルマートの決算報告である。まさに、資本主義のメッカ、アメリカの決算発表である。

   これについで、ウォルマートの決算発表数字は売上高である。「Net sales for the quarter were $99.1 billion, an increase of 6 percent.」とのことで、106%の増収であったという。金額は99.1ビリオンドルであり、ビリオンが10億円であるので、991億ドル、現在、1ドル90円ぐらいであるので、日本円では約8兆9,000億円となる。アメリカでは、桁が3桁づつ繰り上がるので、この10億の下がミリオン、100万となり、その下が千、サウザンドとなる。ここも日本と違うところである。結果、106%の売上であるので、堅調な数字といえる。

   そこで、その中身を見てみると、ウォルマートは売上げを3つに分けて管理している。ひとつは文字通りウォルマート、これは全米のウォルマート、スーパーセンター、ネバーフッドマーケット(食品スーパーマーケット)等の合計である。2つ目は海外部門であり、日本の西友もここに入る。そして、3つ目がアメリカのサムズクラブである。それぞれの売上高と伸び率、そして、全体における構成比であるが、ウォルマート62.324十億ドル(1.1%、売上構成比62.89%)、海外部門25.030十億ドル(21.4%、売上構成比25.25%)、そして、サムズクラブ11.743十億ドル(4.6%、売上構成比11.85%)という結果である。

   こう見ると、売上構成比約60%のウォルマートの伸び率は1.1%であり、プラスになったとはいえ、わずかな数字であり、厳しい結果であるといえよう。全体を押し上げたのは売上構成比25.25%の海外部門であり、何と21.4%の伸びである。昨年が極めて厳しい結果であったので、その反動もあると思われるが、この伸びはウォルマート自身も、「almost 9 percent on a constant currency basis.」といっているように、ドル安の影響が大きいといえよう。ちょうど、日本のセブンイレブンが円高でアメリカのセブンイレブンの数字が下がったのと逆のパターンであり、ドル安はウォルマートの海外の売上げを実態以上に押し上げることになる。ただ、この押し上げ効果を引いても海外の数字は高く、いまや、海外部門はウォルマートの大きな柱となったといえよう。

   もう少し、詳しく、この第1四半期決算のウォルマートの結果を見てみたい。特に、営業利益、原価、経費の状況であるが、営業利益は5.772十億ドル(売上対比5.82%)であり、昨対10.6%と好調であった。その中身であるが、まず、原価は75.38%(昨年75.30%)と、若干であるが、原価の上昇がみられる。したがって、売上総利益、すなわち、粗利は24.62%(昨年24.70%)と下がった。一方、経費比率であるが、19.54%(昨年19.93%)と、約0.4ポイント下がっており、経費の削減が進んでいる。この19.54%は日本の食品スーパーマーケットと比べると低い方であり、これがウォルマートのEDLPを支える原動力といえよう。

   したがって、ここから、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力を計算すると、5.08%(昨年4.77%)と大きく改善している。原価の上昇を経費の削減でカバーした構図であり、今期は、経費の削減が大きく利益に貢献したといえよう。そして、これに、その他営業収入が0.75%(昨年0.82%)のり、結果、営業利益が5.82%(昨年5.58%)と増益となった。

   この営業数字を見る限り、ウォルマートのこの第1四半期の決算結果は海外部門の好調さに支えられ、さらに、経費削減効果が営業利益を押し上げたといえ、ウォルマート本体が好調であった訳ではないといえる。それにしても、海外も含め、ウォルマート全体の経費比率が20%を切り、19.54%である点はすごい数字だと思う。以前の15%前後の数字と比べると、高いように感じるが、日本の食品スーパーマーケットでも経費比率が20%を切るのはわずかであり、年間約40兆円近い規模の数字の小売業としては、すごい数字である。

   このように、ウォルマートの今期、2011年度の第1四半期の決算が公表されたが、増収増益の好調な決算であった。特に、海外部門がドル安等の為替相場による貢献があったことが大きいといえる。すでに、ウォルマートの海外比率は約25%となっていることからも、海外動向はウォルマートに大きく影響するといえる。ただ、ウォルマート本体は伸び悩んでおり、気になるところである。ちなみに、この決算を受けての株価の動向であるが、5/18(53.705ドル)、5/19(53.04ドル)、5/20(51.30ドル)、5/21(51.37ドル)という状況であり、やや下げ気味である。投資家は厳しい目でウォルマートを見ているといえよう。次の第2四半期、中間決算へ向けてウォルマートがどう動くか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 25, 2010 in ウォルマート、海外情報, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 24, 2010

農林水産省から、PI研が調査事業を受諾!

   5/14付けで、農林水産省総合食料局関連事業、「農業者所得向上流通調査事業」の補助金交付候補者にPI研が選定された。PI研にとっては民間の様々な調査はこの10年間でこなしてきたが、官庁からの本格的な調査事業ははじめてであり、今後、来年3月最終報告までの約1年間、全国的な農業者の所得向上に向けた流通調査を実施する予定である。

   この調査事業は、農山魚村6次産業化対策事業の一環であり、大きく6つに分かれる。そして、その1つが2つに分かれ、その1番目がさらに5つに分かれ、その3つ目が3つに分かれ、その3つ目がこの調査事業であり、総事業数では100を超える壮大な事業の一環である。全体像をつかむのが大変であるが、最終的には農山漁村の6次産業化につながる調査事業であり、そのひとつがこの「農業者所得向上流通調査事業」である。

   もう少し詳しく説明すると、全体統括事業は、「農山漁村6次産業化対策事業」である。これがまずは6つに分かれるが、その6つとはⅠ地産地消販路拡大、価値向上、Ⅱ流通の効率化・高度化、Ⅲ国際展開、Ⅳ資源環境対策、Ⅴ品質管理・コンプライアンスの徹底を通じた企業体質の強化、Ⅵ緑と水の環境技術プロジェクトである。そして、この2つ目、Ⅱ流通の効率化・高度化の2つ目が事業番号では5食品流通効率化・高度化事業であり、これが5つに分かれる。その5つとは、(1)一貫したコールドチェーン体制の整備事業、(2)食品流通高度化推進調査事業、(3)食品流通効率化推進調査事業、(4)次世代流通情報インフラ調査事業、(5)食品流通効率化・高度化推進事業となる。そして、この(3)食品流通効率化推進調査事業がさらに3つに分かれる。ア)輸送行程効率化調査事業、イ)包装・荷役作業効率化調査事業、ウ)農業者所得向上流通調査事業である。この「農業者所得向上流通調査事業」が、今回PI研が補助金の交付を受けて実施する事業である。

   この「農業者所得向上流通調査事業」は首都圏、大都市での流通調査事業がメインとなるが、最も重要な調査内容は事業名に明記されているように農業者の所得向上につながることが大前提であり、最終的には農山魚村の6次産業化に貢献する調査結果が求められる。ちなみに、6次産業とは1次産業、2産業、3次産業を足し合わせ6次産業とした造語である。

   したがって、これまでのPI研が蓄積してきたコンサルティング、調査ノウハウと経験だけでは足りず、今回は様々な方との連携をとり、ドリームチームを立ち上げて調査に当たる予定である。実務面からは、すでに、首都圏で都市型直売、ハピ・マルシェを運営している野菜ビジネス、農業関連の調査実績で定評のある三菱UFJリサーチ&コンサルティング、そして、何といっても、農業に造詣の深い、農学博士、千葉大学の斎藤修 教授、直売の専門研究者でもある千葉大学の櫻井精一 准教授の指導のもとに実施してゆくこととなる。さらに、現在、様々な方との連携を検討しており、この調査事業に全力で取り組んでゆくつもりである。

   現時点での今後の調査概要であるが、まずは、文献調査と農業生産者とを結ぶネットワーク、ホームページの立ちあげを最優先で取り組んでいる。調査対象は多岐におよび、メインは農業生産者へのヒアリングが中心になるが、消費者アンケート、北海道から九州までの大都市での直売の実態調査も重要であり、各地の主要直売所はもちろん、食品スーパーマーケット、GMS、インターネット通販等も対象として調査をする予定である。

   特に、現在取り組み始めた文献は膨大なものがあり、直売関連のものでも、確認できたもので数100件は優に超え、論文発表者も農林水産省関連、各自治体、JA関連、各種研究調査機関、千葉大学をはじめ、園芸学部のある大学、経済学部、商学部の研究論文、そして、業界誌関係と多岐に及ぶ。可能な限り、これらの文献を収集整理し、調査に活かすだけでなく、ホームページでも公開する予定である。また、生産者とのネットワークの根幹となるインターネットの立ち上げも急ピッチで進めている。全国の農業生産者のホームページはもちろん、直売、道の駅など、関連ホームページも多数あり、可能な限り、連携をとれればと思う。

   このように、PI研としては、今期、そして、今後の大きな柱となる農林水産省からの調査事業を実施することが正式に決まり、すでに、本格的に動き始めた。来年3月までの約1年間の調査事業であるが、船井総研時代、そして、PI研になってからも培ってきた約20年間に及ぶコンサルティング、そして、調査の経験、ノウハウを生かし、今回の様々な方との連携もしっかりはかりながら、着実に調査を実施してゆきたいと思う。

   調査状況は随時、別途立ち上げるホームページで公開する予定であり、その成果を食品スーパーマーケット関係の方にも活かしていただければと思う。食品スーパーマーケット、そして、流通関係の方にはヒアリング等のお願いをさせていただくこともあるかと思いますので、その節はよろしくお願いします。また、ご意見、関連情報等、ご連絡いだければ幸いです。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 24, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (1)

May 23, 2010

エコス、2010年2月期の決算を見る!

   エコスが4/14、2010年2月期の決算を公表したが、結果は、厳しいものとなった。基本数字であるが、営業収益1,099.71億円(-6.8%)、営業利益4.13億円(-33.5%)、経常利益2.45億円(-55.4%)、当期純利益-0.56億円となり、減収減益、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。また、自己資本比率も15.7%(昨年15.2%)と、わずかに増加したが、依然として、厳しい数字であり、財務的にも、一層の改革が必要といえる。そこで、ここでは、エコスの決算が減収減益、財務的にも厳しい状況となった要因を見てみたい。

   まず、この決算結果について、エコス自身は、「一昨年9月の米国金融危機以降の実体経済の悪化から回復の兆しは認められるものの、引き続き需要不足によるデフレが進み、企業の設備投資の縮小、雇用情勢の減退傾向等によって景気は依然として低迷しております。・・」との厳しい経営環境であったとの基本認識である。そして、その影響が、「近隣競合とのチラシ攻勢による客数の争奪戦や消費者の節約志向による買上点数減少の影響もあり、売上高は前年を下回りました。・・」とのことで、競争激化を生み、特に買上点数が減少したことが売上低迷につがったとのことである。

   実際、既存店の売上高は96.11%と厳しい結果であり、その中身は、客数98.6%、客単価97.5%、さらに、PI値100.1%、平均単価97.3%となっており、買上点数が伸び悩んでいることに加え、それ以上に平均単価のダウンが大きく、競争激化の影響がダイレクトに表れているといえよう。また、店舗数も今期は101店舗と昨年の103店舗、一昨年の116店舗と比べ減少しており、新規出店も厳しい状況である。

   では、営業利益が-33.5%と厳しい結果となった原因、原価、売価の状況はどうであったのかを見てみたい。まずは、原価であるが、74.70%(昨年74.11%)と、0.59ポイント上昇しており、原価の上昇がみられる。競争激化による平均単価の下落が原価を圧迫しているものといえよう。結果、売上総利益は、25.30%(25.89%)となり、粗利が減少した。一方、経費の方であるが、27.04%(昨年27.36%)と、0.32ポイント減少しており、経費の削減は進んでいる。ただ、それ以上に原価の上昇が大きく、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、-1.74%(-1.47%)とマイナスとなった。これにその他営業収益、不動産収入、物流収入等が2.13%(2.01%)のり、結果、営業利益は0.38%(0.54%)と減益となった。経費、その他営業収入は改善したが、原価の上昇が利益を大きく圧迫した形であり、減益の厳しい決算となった。

   ちなみに、次期の予想であるが、「営業収益1,050億円(前期比4.5%減)、営業利益7億50百万円(前期比81.6%増)、経常利益6億円(前期比144.6%増)、当期純利益2億円(前期比2億56百万円増)を見込んでおります。・・」と、減収増益予想とのことであり、売上げよりも利益改善に重点を置いた営業戦略をとるとのことである。

   さて、財務の方であるが、先に見たように、今期の自己資本比率は15.7%(昨年15.2%)という若干の上昇はみられたが、依然として、厳しい数字である。その中身であるが、負債の中でも主要項目である有利子負債が154.15億円(昨年168.22億円)と、約15億円弱削減したが、それでも150億円を超える巨額な数字となっており、総資産352.51億円に占める割合は43.73%(昨年44.50%)と大きな比率となっており、財務を圧迫している。したがって、新規出店が負債に圧迫され、自己資本では厳しい状況であり、負債に大きく依存する出店構造となっている。

   その出店にかかわる資産、土地、建物、敷金及び保証金等の合計であるが、217.83億円(昨年227.55億円)であり、総資産に占める割合は61.80%(昨年60.20%)となる。したがって、自己資本との関係、すなわち、差し引き、出店余力は-45.54%(-44.57%)と、マイナスが大きく、負債、ちょうど、有利子負債分で補っている構造であり、厳しい出店余力であるといえる。こう見ると、経営の最優先課題は成長戦略よりも、財務の安定が最優先課題であるといえ、キャッシュを増やし、いかに、有利子負債を圧縮するかにあるといえよう。

   そこで、今期の営業キャッシュフローであるが、当期純利益が赤字になったが24.62億円(昨年20.88億円)と約4億円弱増加している。これは、当期純利益が赤字と厳しい状況になったにも関わらず、昨年比べ、棚卸資産の減少、関係会社の株式売却益などがなかったためである。したがって、投下資本、すなわち、純資産+有利子負債の合計で割ったキャッシュ効率は11.64%(昨年9.19%)と上昇しており、キャッシュを生み出す総合力は上昇するという結果となった。

   このように2010年2月期のエコスの決算は減収減益となる厳しい決算となり、有利子負債も依然として約150億円、総資産の40%強と、財務を圧迫しており、経営的には厳しい状況にあるといえる。ただ、営業面では経費の削減が進み、財務面では、キャッシュ効率が上昇しており、経営の改善が進みつつあるといえよう。今後、消費環境は依然として厳しい状況が予想される中、エコスがどのような経営改革に踏み切るか、注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 23, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 22, 2010

コンビニ売上速報、2010年4月度、-1.4%!

   コンビニの2010年4月度の売上速報が5/20、(社)日本フランチャイズチェーン協会から公表された。このコンビニの売上速報は主要コンビニ10社、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの売上速報であり、合計店舗数は42,865店舗(昨対1.9%増)の集計数字である。

   その結果であるが、全体の売上高は6,357.91億円となり、昨対-1.4%、既存店は-3.7%となった。全店の数字は10ヶ月連続マイナス、既存店は11ヶ月連続マイナスという厳しい結果である。(社)日本フランチャイズ協会は、この結果を「当月は前線を伴った低気圧が日本付近を頻繁に通過したため、曇りや雨の日が多く全国的に日照時間が少なかった。その影響もあり、・・」と、天候問題が大きかったと分析しており、これが客数に響いたとのことである。そこで、客数の動向を見てみると、11.17億人(-0.5%)、既存店は10.44億人(-1.8%)と、下がっており、特に、既存店の客数減が影響しているといえよう。

   ちなみに、コンビニの平均客数であるが、この4月度の全店の店舗数が42,865店舗、その客数が11.17億人であるので、868.80人/店舗/日となる。食品スーパーマーケットの平均が約2,000人であるので、その半分といえる。また、売上高を同様に計算すると、49.44万円となる。

   一方、客単価であるが、569.1円(-1.0%)、既存店は562.9円(-1.9%)と、客数以上に下がっており、厳しい結果である。したがって、この4月度の売上高のダウンは客数、客単価ともにダウン、しかも、既存店は客数-1.8%、客単価-1.9%と、どちらも、約2%下がっており、既存店の伸び悩みが大きかったといえる。さらに、この既存店の落ち込みは11ケ月連続で下がっており、特に客単価に限っては17ケ月連続でのダウンであり、深刻な状況が続いているといえよう。

   では、商品で見ると、この状況はどうであるかを見てみたい。コンビニの商品群は大きく4つに分かれる。日配食品(米飯類(寿司、弁当、おにぎり等)、パン、 調理パン、惣菜、・・)、売上構成比33.7%、加工食品(菓子類(生菓子を除く)、ソフトドリンク(乳飲料を除く)、アルコール飲料(日本酒、ウイスキー、ワイン等)、・・)、売上構成比29.1%、非食品(雑誌、書籍、新聞、衣料品、袋物類、文房具、ブラシ、玩具、雑貨、たばこ、ペットフード、・・)、売上構成比32.2%、そして、サービス(コピー、ファクシミリ、宅配便、商品券、ギフト券、乗車券、各種チケット、・・)、売上構成比5.0%である。

   それぞれの、この4月度の売上高を昨年と比べてみると、日配食品-2.6%、加工食品-4.5%、非食品0.5%、サービス13.3%であり、コンビニの中核、日配と加工食品の数字が深刻であり、全体の売上げを下げているといえる。本来であれば、taspo効果がなくなり、たばこを扱っている非食品の落ち込みが全体に影響を与えるのではないかと思われるが、事実は逆であり、非食品は微増、日配食品、加工食品の落ち込みが大きい。これは、明らかにデフレの影響が大きいのではないかと思われ、食品全体の価格ダウンが既存店の客単価を下げているものといえよう。

   したがって、当面、コンビニのこの厳しい状況は継続する可能性が高く、コンビニは極めて厳しい経営環境に入ったといえよう。実際、昨年度の商品群別の月別推移を見てみると、コンビニの柱であるファストフードを含む日配食品がtaspo効果が継続していた昨年の2月以降数字の落ち込みが見られる。taspoは昨年の6月頃まで継続しているので、日配食品の2月以降は4ケ月も早い時期であり、taspoの反動ではなく、日配食品自身に問題があるといえよう。

   こう見ると、コンビニの業績を上昇させるためには、日配食品が鍵を握っているといえ、この部門の復活が課題であるといえよう。しかも、全体の動向は客数よりも客単価の落ち込みが大きいことから、日配食品の客単価をいかに引き上げられるかが課題といえよう。一般に客単価はPI値と平均単価の掛け算であり、この統計ではPI値、平均単価は公表されていないが、客単価の落ち込みは、デフレ環境による、平均単価のダウンが大きいのではないかと思われる。したがって、日配食品の活性化は、平均単価のアップをどこまで図れるがポイントであるといえ、ボリューム、付加価値の追求により、平均単価のダウンをどこまでくい止められるかにあるといえよう。

   このように、2010年4月度のコンビニの売上速報が公表されたが、この4月度も依然として厳しい売上であるといえ、客数、客単価双方がダウンし、商品では日配食品、加工食品のダウンが深刻である。特に、日配食品はコンビニの中核商品でもあることから、まずは、この日配食品をどう活性化するかが、最大のポイントであり、この日配食品の復活なしに、コンビニの復活はないといえよう。今後、このような厳しい状況を踏まえ、コンビニ各社がどのような日配食品の新商品を打ち出すか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 22, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 21, 2010

POS関連の日本、米国、欧州の特許を見る!

   特許庁が公表している資料には興味深い内容のものが多い。少し、古いが平成15年度(平成16年3月公表)の公開資料であるが、「特許出願技術動向調査報告書」というレポートがある。特にネットワーク関連のPOSを取り上げたものであり、日本だけでなく、北米、ヨーロッパの動向も網羅しており、POSが何を目指しているか、日本のPOS関連メーカーの世界での位置付けがわかる極めて貴重なレポートである。

   この中で、注目される技術として、特に5つを取り上げている。1.決済関連のICカード、電子マネー携帯電話利用決算、2.販促/顧客関連のCRM、FSP、顧客別サービス、ポイントシステム、3.本体、周辺端末関連の各種省力化端末、無線の利用、4.認識技術関連として、無線タグの利用、そして、5.発注在庫管理関連として、SCM、CPFR、グローバルな情報共有である。これを見る限り、いまでも十分最新のテーマであるといえ、依然として現在のPOSの研究課題であるといえよう。

   では、これら主要なテーマの解決を目指し、世界のPOSメーカーがどのような特許をどのくらい出願しているかを見てみたい。まず、この当時の特許出願件数であるが、日本、アメリカ、ヨーロッパで4,660件の特許の出願があった。この内、日本が3,418件73.34%であり、何と7割が日本での特許出願であり、POSでは日本の技術開発が最先端をいっているといえよう。ついで、アメリカの714件、ヨーロッパの528件である。

   次に、日本での特許出願の主要企業を見ると、東芝テック502件、日立製作所177件、富士通156件、日本電気124件、NECインフロンティア110件、大日本印刷83件、オムロン83件、東芝73件、NCR INTERN INC70件、カシオ57件である。東芝テックが断トツの数字であり、現在、日本のPOS市場の約50%であることからも、それを裏付ける研究開発力であるといえよう。アメリカではどうであるかであるが、FUJITSU LTD61件と何と富士通がトップである。ついで、NCR CORP53件、IBM CORP34件、HITACHI LTD25件、CATALINA MARKETING INT18件、NEC CORP14件、HEWLETT-PACKARD14件、WALKER DIGITAL14件、TOSHIBA TEC KK12件、SONY CORP10件と続く。何と日本の企業が富士通を含め、5社、半分を占めており、アメリカでも日本のPOSメーカーが強いといえよう。

   そして、ヨーロッパであるが、NCR CORP60件、FUJITSU LTD39件と、ここでも富士通が強く、こう見ると、富士通は世界にバランスよく特許を出願しており、世界市場でトップクラスのPOSメーカーであることがわかる。ついで、CATALINA MARKETING INT20件と、カタリナマーケティングがアメリカでもヨーロッパでも上位に食い込んでおり、POSメーカーというよりも、販促であるが、POS関連の特許を数多く出願していることがわかる。そして、HITACHI LTD14件、IBM CORP12件、SIMENS AG10件、HEWLETT-PACKARD9件、WALKER DIGITAL9件、TOSHIBA TEC KK8件と続く。ヨーロッパでも日本のPOSメーカーは強く、4社入っており、しかも富士通はトップクラスの特許出願率である。

   そこで、世界でもトップクラスの日本のPOSメーカーがどのような特許を出願しているかであるが、最も多い分野が店舗内ネットワーク関連であり、608件である。この内、東芝テックが265件の特許を出願しており、ネットワークがらみが熱いといえよう。ついで、店舗センター間関連であり、販促・顧客関連であり、無線通信利用関連となる。いずれも東芝テックがNo.1であり、まんべんなく、東芝テックは様々な分野で特許を出願しているといえる。これ以外では、カード処理、発注在庫管理、企業間ネットワーク、インターネット利用などが多い。

   次にアメリカでの特許出願状況を見てみたい。日本と違うところは、イネターネット関連、カード処理関連、決済、セキュリティ対策関連、販促・顧客管理関連が多いといえる。そして、このいずれの分野でも富士通の強さが光っており、富士通がアメリカのPOSの研究開発をリードしているといえよう。ちなみに、NCR CORPは店舗内ネットワーク、セキュリティ対策関連、無線通信利用関連の特許が多いといえる。そして、ヨーロッパであるが、店舗内ネットワーク関連が大きく、ついで、販促・顧客管理関連、カード処理関連、セキュリティ対策関連、決済関連が多いのが特徴といえる。No.1のNCRが店舗内ネットワークが強く、富士通は日本同様、各種関連分野への特許出願が強いのが特徴である。

   それにしても、日本のPOSメーカーの特許出願の強さが光るといえ、ここまで、日本のPOSメーカーが世界の市場をリードしているとはびっくりである。特に、日本のメーカーは主要テーマのほとんどにおいて、積極的に特許出願をしており、欧米が絞り込んだテーマへの投資である点と際だった違いがあるといえよう。今後、POSはますますネットワーク化され、商品管理だけでなく、顧客管理、物流管理等との融合も大きな課題となろう。

   レポートの最後では日本が取り組むべき研究開発の方向性が示されているが、3つポイントをあげている。日本の強みの技術を生かした応用システムへの注力、特に、携帯電話応用システムの開発、無線タグ応用システムの開発である。2つ目がデータのグローバル標準への取組みであり、そして、3つ目が、現場に密着したきめ細かい応用技術の開発、人材の育成である。すでに、現在、実用化されつつある技術もあるが、今後、日本のPOSメーカーが日本はもちろん、世界を含めたどのようなマーケティング戦略を打ち出すか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 21, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (1)

May 20, 2010

GS1-データバー、新バーコード、食品スーパーマーケットへ

   ここへ来て、バーコードがにわかに注目を集め始めた。2010年1月から、新たに一般消費財、生鮮食品を含む標準バーコードとして、GS1データバーが使用可能になったからである。現在、食品スーパーマーケットでごく普通に活用されているバーコードは、いわゆるJANコードであるが、恐らく、数年で、特に生鮮部門からこのGS1データバーに置き換わってしまうのではないかと思う。また、このGS1データバーはID-POS分析とも連動する可能性が高く、商品管理面だけでなく、顧客への新たな販促手段として活用されるのではないかと思う。ここでは、日本のバーコードの総元締め、財団法人流通システム開発センターが公開している資料をもとに、GS1データバーについて、その現状と可能性について見てみた。

   まず、JANコードとGS1データバーの違いであるが、現在使われているJANコードは日本独特の名称であり、国際標準ではGTIN-13が正式名称である。GTINとはGloval Tarde Item Numberの略であり、GS1(元国際EAN協会)により標準化された国際標準の商品識別コードのことである。GS1は現在ヨーロッパ、ベルギーのブリュッセルにあり、ベルギーの非営利法人として登記されている法人である。現在、100ケ国以上が加盟しており、日本では、財団法人流通システム開発センターが、GS1の前身、国際EAN協会の時、1978年に13番目の国として加盟している。現在はGS1JAPANとして、日本の唯一の流通標準化推進機関である。

   では、GS1データバーはJANコート(GS1-13)とどこが違うかであるが、最大の違いは英数記号を使えることであり、コードもJAN(GS-13)の13桁から数字74桁(英字41桁)まで拡張され、さらに、AI(Application Idendifier)という識別数字で区切り、様々な情報を自由に付加できるのが特徴である。AI(Application Idendifier)の事例としては(01)が商品コード、たとえばJANコード13桁をそのまま使える。(11)が製造年月日、(15)が販売期限日、(17)が有効期限日、(30)が数量、(7003)が有効時刻、特に、これは値引き、見切りなどに活用できる。このように、これまでのJANコードと比べ、格段の情報をバーコードに表示することができるのが特等である。

   すでに、GS1データバーは業界によっては実用化されており、広く普及している。たとえば、青果のバラへのマーキング例などがあり、GS1データバーの標準二層型を使い、丸いオレンジに小さいバーコードが貼られているなどである。また、実証実験段階ではあるが、刺身の日付管理に活用され、その効果が確認されている。

   さて、そもそも、このGS1データバー開発の目的であるが、はじめから電子商取引の時代をにらんでいたのが特徴であり、識別コード、データキャリア(バーコード)、EDI(電子データ交換)の3つの技術を組み合わせ、サプライヤー(原料)、メーカー、 卸売業、小売業の4者間がスムーズに連携でき、情報交換と商品物流をより効率化、適正化するための国際標準コードを目指しているのが最大の特徴である。

   そこで、食品スーパーマーケット業界に関連した最新の動向であるが、昨年、文化堂とベイシアで実証実験が行われている。文化堂では、横浜高島店にて2008年10月21日~11月4日に実証実験が行われた。内容はGS1データバーを用いて、精肉、鮮魚、惣菜、日配品、青果を対象に、販売期限管理、値引き管理を実施した。具体的には、POSレジで、販売期限チェックを行い、販売期限を過ぎたものを、POSレジにて、警告表示を出したという。また、値引き対象商品のバーコードをスキャンニングし、新価格、円引き、%引き表示から、選択入力し、値引きラベラーにより、値引きラベルを必要枚数発行し、対象商品に貼り付けたという。ベイシアでも川島インター店において、2009年1月13日~1月25日から実証実験が行われた。文化堂とほぼ同様の内容であるが、青果・精肉・鮮魚・惣菜などのインストア・マーキング対象生鮮商品の他、ハム・麺類などベンダー・マーキングの一部商品を対象に、消費期限管理、見切り管理で実施したという。

   また、このGS1データバーの動きは海外でも同時に取り組まれており、ウォルマート、テスコ、アホールド、ターゲット、カルフール、アズダ、クローガー等の小売業、メーカーではP&G、ネスレ、クラフト等が支持表明しているという。特に、ウォルマートではドーレ、チキータ、デルモンテ各社がウォルマートのバナナ用にGS1データバーを貼付しており、今後はリンゴ1個1個にもGS1データバーがつき、トマト、ピーマン、パプリカ、メロン、プラム、桃、ネクタリン等にもGS1データバーが貼付されるという。

   このように、GS1データバーは食品スーパーマーケットで本格展開が日本だけでなく、世界的規模で標準化が進みつつあるといえ、特に生鮮食品での動きが顕著である。欧米では、ここ最近、このGS1データバーとクーポンとの連動を模索しているというが、そう考えると日本でも生鮮食品を含め、食品全般のポイントを含めたID-POS分析と連動したマーケティング最策にも応用が可能であるといえよう。今後、安心安全はもちろん、販促、顧客IDを意識した販促への応用も十分に可能となる。GS1データバーの今後に大いに期待したい。

菓子パン無料診断!(POS-RDS菓子パン無料診断受付中!)
New!食品スーパー2010、財務3表連環分析、vol.1、詳細はこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ!プレミアム版! 資料集 

May 20, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 19, 2010

バロー、2010年3月期決算、増収減益!

   バローが5/11、2010年3月期の決算を公表した。結果は営業収益3,449.00億円(2.5%)、営業利益94.52億円(-3.5%)、経常利益99.16億円(-2.6%)、当期純利益39.45億円(16.5%)と、当期純利益は増益となったが、営業、経常段階では増収減益となるやや厳しい決算となった。また、個別についても、営業収益2,277.59 億円(3.0%)、営業利益42.57億円(-19.6%)、経常利益53.05億円(-17.4%)、当期純利益 22.21億円(-11.1%)と増収減益の決算であり、連結同様、厳しい決算となった。

   バロー自身も、今期は、「雇用環境は依然として厳しく、個人消費は低価格志向が強まり低調に推移いたしました。・・」との認識のもとで、価格にこだわった政策を強く打ち出している。特に、スーパーマーケット部門では、「圧倒的な低価格を実現する商品企画を「サプライズ50」と銘打ち、98円均一の焼きたてパンや1個18円のコロッケを皮切りに、お値打ちの商品を続々と発売いたしました。・・」とのことで、強力な価格訴求を実施したという。また、PBにも力を入れ、「子会社の(株)Vソリューションを経由したPB商品の卸売りも本格化し、国内企業に加えて韓国・米国の企業にも供給を始めております。・・」とのことで、外販も積極的に行ったという。

   そこで、これら価格訴求が減益にどのように影響したかを、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.42%(昨年76.22%)と、0.20ポイント上昇しており、PB強化による原価改善が、NBの強力な価格訴求により相殺され、若干原価が上昇したものといえよう。結果、売上総利益は23.58%(昨年23.78%)と下がった。一方、経費の方であるが、こちらも、24.62%(昨年24.60%)と、若干上昇しており、ダブルで、利益を圧迫している。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.04%(昨年-0.82%)と、マイナス幅が拡大した。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.89%(昨年3.85%)のり、営業利益は2.85%(昨年3.02%)となり、減益となった。

   今期はこのように原価、経費の上昇が響き、営業利益が減益となったが、今後、バローとしては中長期に達成すべき経営戦略として、大きく4つを掲げている。①営業基盤の強化を図るため、東海3県・北陸3県・静岡県・滋賀県の店舗網を一層拡充し、同地区でのエリアドミナント化を推し進めること。②競争優位性のある商品を提供できるよう、マーチャンダイジング力の強化に注力していくこと。③収益力の向上を図るため、徹底したローコスト経営を追求していくこと。④グループの連携を強め、相乗効果を発揮していくことである。それぞれ、①が売上高、②が原価、③が経費、そして、④が利益に強く関連する項目であるといえ、増収増益を目指すための経営戦略といえよう。

   一方、財務面の結果であるが、自己資本比率は32.7%(昨年32.0%)と若干改善されているが、依然として、30%強であり、結果、負債に約70%を依存しており、今後、負債の圧縮が重要な経営課題であるといえよう。その負債の中の主要項目、有利子負債であるが、総資産1,764.40億円(昨年1,703.28億円)の39.17%(40.88%)であり、若干比率では減少しているが、金額では約700億円と、自己資本比率を超え、重くのしかかっているといえよう。

   したがって、今後、新規出店を通じて成長してゆくには、負債に大きく依存せざるをえない財務状況にあるといえる。実際、出店関連の資産、土地、建物、差入保証金等の合計は1,119.82億円(昨年1,110.00億円)となり、総資産の63.47%(昨年65.17%)である。結果、自己資本比率から差し引いた出店余力は-30.27%(昨年-32.67%)と、昨年と比べ若干改善しているとはいえ、大きくマイナスであり、負債に大きく依存する出店構造であり、ちょうど、有利子負債で賄っている財務構造といえよう。先に見たように、バローは東海3県・北陸3県・静岡県・滋賀県での店舗網の拡充をはかり、エリアドミナントを推し進めているが、今後、この営業基盤をさらに強化するためにも、出店余力の改善、すなわち、負債の削減は重要な経営改善課題であるといえよう。

   ただ、この有利子負債を含め、純資産を合計した投下資本当たりの営業キャッシュフローの割合、すなわち、現金を生み出す力、キャッシュ効率は12.53%(昨年9.13%)と、増加している。これは、営業利益は減益となったが、当期純利益が増益となったため、今期の営業キャッシュフローが160.04億円(昨年114.08億円)と、大きく増加したためである。

   このように、2010年3月期のバローの決算は営業段階では増収減益となる厳しい決算となった。特に、原価、経費、双方に上昇がみられ、ダブルで利益を圧迫したことが大きいといえ、それだけ、デフレによる価格競争の厳しさが反映されたものといえよう。また、財務面では依然として、自己資本比率が約30%と厳しい状況にあり、負債、特に有利子負債に負う財務構造となっており、結果、出店が負債に大きく依存する状況であり、今後、安定成長を目指す上にも、財務の改善は最重要な経営課題といえよう。このような今期の決算結果を踏まえ、今後、バローがどのように収益改善に加え、財務の改善策を打ち出すか、その経営戦略に注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 19, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 18, 2010

ID-POS分析の目的、その帳票と手段とは?

   ここ最近、にわかにID-POS分析の依頼が増えつつある。食品スーパーマーケットでもID-POS分析に取り組み始めたことに加え、メーカーでもID-POS分析による結果を営業活動に活かしはじめたことが、その背景にあると思われる。そこで、ここでは、ID-POS分析、特に、PI値を活用したID-POS分析について、その目的と手段について解説してみたい。

   まずID-POS分析の目的であるが、従来のPOS分析が金額PI値(客単価)アップであったことに対し、ID-POS分析はID金額PI値(ID単価)を引き上げることである。その手段は無限にあるといえ、どのような手段を使おうが、結果として、ID金額PI値が上がれば成功であり、下がれば失敗である。

   では、ID金額PI値とは何かであるが、ID金額PI値とは、ID当たりの売上金額のことであり、売上金額をIDで割って算出される指標のことである。さらに、この指標は単なる指標に留まらず、必ず、ID明細が同時に付随することになる。したがって、分析帳票としては、単純な2次元分析、縦と横の数表ではなく、奥行きが入り、3次元の立方体となる。本来、このように3次元分析となるが、実際のID-POS分析に当たっては、3次元で表せるソフトの活用が難しく、excelを使わざるをえないので、3次元を2次元の帳票に2つに分けて、分析するのが通常である。

   簡単な帳票イメージを示すと、初めの2次元帳票は縦軸に商品、横軸にID-POS分析の各指標が来る。この指標もIDの取り方、レシートの取り方により、無限につくることができるが、代表的な指標は、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値のみである。当然、金額PI値は従来のPOS分析の金額PI値と同じ概念であるので、金額PI値=PI値×平均単価に分解することができる。また、食品商業の5月号でも解説したが、PI値を客数PI値×購入PI値に分解することもできる。すると、金額PI値=客数PI値×購入PI値×平均単価ともなる。ここでは、最も単純、シンプルな指標として、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値の例で解説する。

   ちなみに、ID金額PI値、ID客数PI値はID-POS分析ならではの指標であり、金額PI値は従来のPOS分析でも算出可能な指標である。したがって、ID-POS分析と従来のPOS分析との違いは、このID客数PI値が加わったことが最大の違いといってもよく、数式では、ID客数PI値=レシート/IDであるので、要は、ID当たりのレシート枚数、すなわち、購入頻度(来店頻度)がわかることがID-POS分析と従来のPOS分析との決定的な違いである。

   そして、もうひとつの2次元の帳票は縦軸に顧客ID、横軸に、ID-POS分析の各指標である。この指標は、先のID-POS分析の各指標と全く同じであり、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となるが、当然、IDが1となるので、ID金額PI値は売上金額/1=売上金額となり、ID客数PI値はレシート/1=レシート枚数となる。そして、このIDが縦に多い場合に数万人の明細表となる。

   さらに、この2次元帳票は応用範囲が広く、はじめの2次元帳票の商品のみで見る場合もあるが、発展帳票としては、IDそのものの消費行動に踏み込む場合もあり、IDを起点にそのIDが購入している全商品を一覧にすることもある。これは、この2次元帳票の発展形ではあるが、これこそ、ID-POS分析の醍醐味といってもよく、まさに商品分析と顧客分析の融合ともいえる。

   したがって、ID-POS分析の基本帳票は、この2次元帳票が2つ重なった帳票、すなわち、3次元帳票が基本分析帳票であり、縦軸に商品、横軸にID-POS分析の各指標、奥行きに、顧客IDということになり、商品が縦に数万、横にID-POS分析各指標が数十、奥行きに顧客が数万という3次元帳票になり、ここから商品をどうグループ化するか、顧客をどうグループ化するかにより、様々な分析をしてゆくことになる。ただ、横軸の指標を1つに絞れれば、3次元は2次元となり、縦軸商品、横軸顧客となり、数万×数万の巨大マトリックスとなる。そして、この巨大マトリックスがID-POS分析の指標分重なっていると見ることもできる。

   これが、ID-POS分析のマクロの帳票イメージであるが、実際の実務では商品カテゴリーのみとなる場合が多く、縦軸の商品は数十から数百行、横軸のID-POS分析の指標は数指標、奥行きの顧客はランクづけし、数百という限定した帳票になることが多く、excelでも十分に分析が可能である。

   そして、この帳票から、様々な仮説をつくってゆくことになるが、その目的は先に上げたようにID金額PI値を引き上げることであり、そのために、ID-POS分析の各指標、ID客数PI値、金額PI値等を引き上げるマーチャンダイジング戦略をつくることと、同時に、顧客IDに踏み込み、顧客IDのID金額PI値(この場合は売上金額)を引きあげるために、顧客をどうグループ化し、顧客IDのID客数PI値(この場合はレシート枚数)、金額PI値を引き上がるかのマーケティング戦略をつくることである。特に、顧客IDについては、既存顧客への働きかけも重要であるが、新規顧客獲得も重要であり、いわゆる、トライアル、リピートID戦略、さらには、リピートのヘビーリピートID戦略など、顧客IDの購入度合いに応じたマーケティング戦略づくりが課題となる。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 18, 2010 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 17, 2010

Chain Store Age、5/15号、ガムの年間PI値分析を投稿!

   Chain Store Age2010年5/15号にガムの年間PI値分析を投稿した。昨年に続き、2年連続での1年間、約400店舗のPOSデータの分析である(TOPNAVI-NET提供)。延べ客数(総レシート枚数)は2億5,751万6,551人と膨大な数であり、これが分母となったPI値の分析であり、ガムの日本におけるほぼ実態、全体像を表しているといえよう。特に、今回は年間サマリーだけではなく、月別にもPI値を落とし込み、月間推移の分析も試みた。

   この膨大なデータを分析し、まず浮かび上がったのは、ベストバランスがほぼ維持されていたことである。ガムのベストバランスは昨年仮説検証して実証済であるが、約40%の重点商品と約60%の品揃え商品で成り立っており、ここに、適度に新商品が配置されることになる。今期のPI値分析結果も重点商品の構成比は40.9%と、ほぼ約40%という結果となり、ベストバランスが維持されていることが検証できた。

   ちなみに重点商品の選定であるが、Chain Store Age2010年5/15号の図1に図表を掲載しているが、大きく2つの指標がポイントとなる。通常、PI値のPOS分析には2つの指標がある。ひとつは金額(数量)PI総店という指標であり、もうひとつは、金額(数量)PI扱店という指標である。その違いは、分母の客数の違いであり、総店が文字通り、全店舗の総客数、今回の場合は、2億5,751万6,551人となる。この客数を分母に分子に売上高を置いた場合が金額PI総店、売上数量を置いた場合が数量PI総店である。そして、扱店も文字通り、その商品を扱っている店舗のみを分母にしたものであり、これは商品ごとに扱店、今回の場合は約400店舗の内、どの店舗でその商品を扱っているのかを特定し、その扱っている店舗の客数を合計して分母にしたものである。

   そして、この店舗の扱い率を客数で表したものが客数PI値であり、数式では扱い店舗の客数/総店舗の客数である。よくPOS分析ではカバー率が活用されることがあるが、これは扱い店舗数/総店舗数であり、似ている指標ではあるが、客数に視点を置いているか、店舗に視点をおいているかの違いがある。店舗の客数が皆同じ数字になれば、双方は一致するが、実際の店舗、今回の場合は約400店舗の客数がバラバラであり、かなり双方では違いが生じる。ただ、問題はむしろ、金額(数量)PI値との関係であり、客数PI値は、総店と扱店を結びつける媒介となることがポイントである。

    数式で表すと、金額(数量)PI総店=客数PI値×金額(数量)PI扱店となり、金額(数量)PI総店は客数PI値と金額(数量)PI扱店の掛け算で表すことができることである。客数PI値=扱い店の客数/総店の客数であるので、右辺は扱い店の客数が約分され、左辺の総店となり、数式が成り立っていることがわかる。この数式が成り立っていることは重要であり、最終的な売上げ、いわゆるシェアに直接結び付く指標、金額(数量)PI総店を引き上げるには客数PI値を引き上げるか、金額(数量)PI扱店を引き上げるかが重要であることを示しており、しかも、これは、2次元のグラフに表すことができるとということである。

   再度、図1を見ると、横軸が客数PI値であり、縦軸が金額PI扱店であり、この2
つを掛け合わせた長方形の面積が金額PI総店になっていることがわかる。したがって、ガムの売上を上げるポイントは、ガム全体を右上にもってゆけば良いことになり、ここから自然、重点商品も決定されることになる。すなわち、客数PI値、金額PI扱店のバランスの最も良い商品がAランクであり、ついで、客数PI値の高い商品、次に金額PI扱店の高い商品と双方を交互にバランスよく商品を選定してゆくと重点商品がピックアップできることになる。今回は便宜上、客数PI値を30%、3%、金額PI扱店を150円、70円で選定し、結果、金額PI総店が45.0円、2.1円となった。

   さて、今回のもうひとつのポイント、年間のガムの推移であるが、図2に掲げたように、非常に興味深い結果となった。全体の数字は3月、4月の新商品ラッシュの時が高くなるが、その後、新商品効果が一巡するとガムが下がりはじめる。そして、2回目のピークが6月でありここが山となることがわかる。これが歯の衛生週間の時期であることから、関連性が極めて高いと数字的にも検証できたことである。そして、さらに、驚くことに、年間を通して、重点商品ABCランクの数字は100%前後で推移しており、年間最大のピーク、3月、4月も、そして6月も重点商品は安定した売上げを確保しており、ガムのベースをしっかり支えていることが検証できたことである。

   このように、今回で2年目となったガム全品の年間のPI値分析であるが、改めて、重点商品の重要性が浮かび上がったといえる。重点商品とは客数PI値、金額PI扱店が高く、結果、金額PI総店を押し上げる商品のことであり、しかも、その重点商品が年間を通じて大量に新商品が投入された時も、歯の衛生週間という一大イベントがあった時も、ガムの売上げをしっかり支えており、ガムのベースをつくっていることである。まずは、重点商品を今回のPI値分析結果からつかみ、再度、自店の売場で再確認することが、年間2番目のピーク、この6月のガムのマーチャンダイジング戦略の第1歩といえよう。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 17, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 16, 2010

バロー、次世代省エネルギー実験店舗、草津にオープン!

   バローが5/13、スーパーマーケットバロー草津店(滋賀県草津市)をオープンした。バロー189店舗目の店舗であるが、注目は、この店舗が次世代の省エネルギーの実験を兼ねた経済産業省所管の独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構(略称NEDO)の公式プロジェクトの一環であるということである。最終的には、ゼロ・エミッション・ビル(二酸化炭素(CO2)の排出量を概ね0とする)を目指しており、そのための食品スーパーマーケット業界では唯一の実験店舗である。ここで確立されたゼロ・エミッション技術が将来の食品スーパーマーケットの新店開発に活用されてゆくことになる可能性が高く、食品スーパーマーケット業界としても環境問題に真正面から取り組む実証実験店舗といえよう。

   今回、NEDOが認定した研究開発項目は、1.中小事務所ビルにおける再生可能エネルギーと次世代技術を組み合わせたZEB化の実証(東京瓦斯株式会社、東京ガス都市開発株式会社)、2.「省エネ進化するビル」モデル実証実験(三菱電機株式会社)、3.ゼロ・エミッション・ビル実現に向けた技術開発(新日鉄エンジニアリング株式会社)、4.オフィスにおけるパーソナル環境の統合制御を行う省エネインターネット(省エねっと)の運用実証事業(株式会社竹中工務店、株式会社TAKイーヴァック)、5.「理想の教育棟」における次世代省エネルギー等建築システム実証事業(国立大学法人東京大学)、6.複数建物連携によるキャンパス内建物群の省エネルギー運用実証事業(国立大学法人東京農工大学)、7.赤穂ロイヤルホテル ゼロエミッションホテルプロジェクト(株式会社オオキコーポレーション)、8.株式会社バロー草津新店におけるゼロ・エミッション店舗開発実証事業(オリックス株式会社、株式会社バロー、鹿島建設株式会社)の8つである。

   まさに、日本の将来のゼロ・エミッションを目指す環境技術の研究開発プロジェクトといってもよいといえる。このプロジェクトは、公募により対象企業が決定され、KEDOから技術開発テーマの助成率の2/3 以内で助成金が助成される内容である。したがって、研究成果は広く公開されることになり、今後の、ゼロ・エミッションを目指し、バローの実証実験結果は、食品スーパーマーケット業界で活用が可能となる。

   そもそもKEDO(独立行政法人、新エネルギー・産業技術総合開発機構)とは、どのような法人であるかであるが、経済産業省所管の独立行政法人であり、事業内容は、(1) 産業技術開発関連業務、(2) 新エネルギー・省エネルギー関連業務が2大柱であり、職員数1,000人、事業規模約2,000億円である。その大半は運営費交付金収益約1,400億円、補助金等収益約500億円であるので、まさに、国を挙げての国家プロジェクトであるといえる。

   そして、今回のバローが選定された研究開発プロジェクトは、「民生部門のエネルギー消費は、最終エネルギー消費量の3割以上を占めており、産業部門、運輸部門に比べて過去からの増加が顕著である。民生部門は業務部門と家庭部門に区分されるが、とりわけ、オフィスビルを中心とする業務部門のエネルギー消費は、民生部門の過半を占める上に家庭部門よりも増加が著しい。・・」との認識から生まれたものである。そして、最終目的を「2030年までにビルにおける年間のCO2排出量を概ねゼロとするゼロ・エミッション・ビル(以下、「ZEB」という。)の実用的概念の確立と普及を図るため、技術実証事業を助成する。」ということがその目的である。

   さて、実際のスーパーマーケットバロー草津店のゼロ・エミッションを目指した省エネの状況であるが、バローの地元紙、岐阜新聞によれば、「既存のスーパーマーケット(SM)と比べて、年間35%の二酸化炭素(CO2)削減を目指す、・・」という。そして、店舗面積は1,700平米(約500坪)、助成金を除いた総事業費は4.7億円であるという。また、「売り場中央の照明に長寿命のLED(発光ダイオード)を採用したほか、通路やレジスペースに自然光を取り入れる天窓を設けた。オール電化や太陽光発電システム、ショーケース用冷凍機の高効率室外機など、消費電力を抑える計15の設備を取り入れた。」とのことであり、「同規模店舗の年間の消費電力量は約100万キロワット時に対し、実験店は37万キロワット時減らせる計画で、年間の電気代も700万円ほど削減できる。・・」という。ちなみに、この実証実験は4年間で、その成果はホームページで公開されるという。

   このように、食品スーパーマーケット業界もゼロ・エミッションを目指す時代になったといえ、今後、安全、安心に加え、環境への配慮がより重要な経営課題になるといえよう。その意味で、バローが今回のプロジェクトに唯一、食品スーパーマーケット業界はもちろん、流通業界で採用された意義は大きいといえ、2030年、これから20年後の食品スーパーマーケットの環境重視の未来型店舗づくりを目指して、しっかり、この研究成果を食品スーパーマーケット業界全体として取り入れてゆきたいところである。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 16, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 15, 2010

原信ナルスH、2010年3月期決算、増収増益!

   原信ナルスHが、5/6、2010年3月期の決算を公表した。結果は、売上高1,180.70億円(1.6%)、営業利益32.95億円(2.3%)、経常利益31.66億円(3.7%)、当期純利益14.25億円(33.9%)と、増収増益の堅調な決算となった。原信ナルスH自身も、「お客さまの購買頻度の低下や商品の販売価格の下落といった状況が続いており、事業環境は全く楽観できる状況にありません。・・」と、厳しい経営環境であったとの認識である。また、「消費の急激な冷え込みが懸念されたため、あらゆる経費の見直し、削減、適正利用により、コストコントロールに努めるとともに、営業活動においては、週間単位での粗利益高管理の徹底を図りました。・・」とのことで、利益を重視した経営にあたったとのことである。

   実際、今期、原信ナルスHは、攻めの経営よりも、守りをしっかり固める経営を重視したといえる。キャッシュフローの投資を見ると、-13.18億円(昨年-26.10億円)と、控えている。これは、昨年は2ケ所目の上越物流センターへの投資を行い、さらに、新規出店関連への投資も実施したが、今期は、新規出店3店舗への投資が主であり、有形固定資産の取得が昨年の27.98億円から9.65億円へと激減したためである。結果、フリーキャッシュフローが32.80億円(昨年20.53億円)と10億円強余裕ができた。そして、そのフリーキャッシュフローを財務キャッシュフローに全額充て、さらに、現金を取り崩して財務改善をはかり、財務キャッシュフローは-41.97億円(昨年-22.82億円)となった。特に財務キャッシュフローでは、有利子負債を-30.73億円(昨年-10.67億円)返済しており、負債が削減された。結果、自己資本比率も44.7%(昨年41.8%)と改善している。

   そこで、営業面はどのような状況であったかを、原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、73.24%(昨年72.88%)と0.36ポイント上昇しており、原信ナルスHのコメントにもあったように厳しい経営環境であったことが伺える。特に、平均単価が169.0円(昨年172.1円)と-1.8%となっており、価格競争の影響といえよう。ただ、PI値は1,065%(昨年1,040%)と1.8%上昇しており、掛けた客単価は1,803円(昨年1,799円)と0.2%と、ほぼ昨年と同じ数字となった。平均単価が下がっている分、原価に影響が出ているといえよう。結果、売上総利益は26.76%(昨年27.12%)となった。

   一方、経費であるが、23.96%(昨年24.35%)と-0.39ポイント削減しており、冒頭のコメントにもあるように、経費の削減が進んでいる。これは既存店の売上高が-0.8%の微減にとどまったことも経費削減に貢献したといえよう。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は2.79%(昨年2.76%)となり、経費削減の効果があり、若干の増益となった。原信ナルスHはその他営業収入が計上されていないので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、結果、営業利益が増益となった。原価は若干上昇したが、経費削減で増益を達成した構図であり、財務面も含め、守りの経営が徹底されたといえる。

   ちなみに、営業キャッシュフローと投下資本の関係、キャッシュを生み出す力、すなわち、キャッシュ効率であるが12.58%(昨年12.17%)と上昇しており、キャッシュ効率は改善している。ただ、営業キャッシュフローは45.98億円(昨年46.63億円)と若干減少しており、キャッシュ効率が上昇したのは有利子負債の削減効果が大きかったといえる。

   では、今期投資を控えた新規出店関連の財務状況であるが、今期の出店関連の資産、土地、建物、敷金及び保証金等の合計は276.34億円(昨年271.51億円)と若干増加しており、総資産511.38億円(昨年520.51億円)に占める割合は54.04%(昨年52.16%)と、1.88ポイント増加している。したがって、純資産比率44.71%(昨年41.77%)から差し引いた出店余力は-9.32%(-10.39%)と、純資産が上昇した分改善しているが、依然として、マイナスであり、約10%弱負債に依存する出店構造であり、今後、もう一段と出店余力を高めたいところであろう。

   さて、今期の原信ナルスHの格付けであるが、本決算後の格付投資情報センター(R&I)の4/28時点の評価によれば、BBB+(トリプルBプラス )であり、前回評価のBBBから1ノッチ引き上げされ、格付けが向上した。この格付けは9段階の格付け評価(最上位格AAA~最下位格C)における上位から4番目に当たり、「信用力は十分であるが、将来環境が大きく変化する場合、注意すべき要素がある、・・」という評価ということである。実際、先に見たように、財務は確実に改善されており、結果、格付けが向上したといえよう。

   このように、2010年3月期の原信ナルスHの本決算は増収増益の堅調な決算となり、自己資本比率も向上し、財務の改善も進んだ。特に、今期は、昨年の積極的な投資を控え、財務の改善に入る一方、営業面でも、新店よりも既存店の活性化、経費の削減に取り組むなど、攻めから守りの経営を重視したといえよう。ちょうど、今年は、原信ナルスHにとっても今後の10年を見据えた長期経営計画の見直しの時期でもあり、今後、どのような経営戦略を打ち出し、実行に移してゆくか、その動向に注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 15, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 14, 2010

いなげや、2010年3月期決算、減収減益!

   いなげやが、5/11、2010年3月期の決算を公表した。結果は、営業収益2,236.62億円(-2.0%)、営業利益34.03億円(-14.1%)、経常利益 36.72億円(-13.0%)、当期純利益13.12億円(-21.9%)と、減収減益の厳しい決算となった。特に、営業収益については、いなげや自身も、「当事業における営業収益は、消費マインドの冷え込みや業種業態を超えた価格競争の激化などから既存店売上高が前期比6.8%減少し、新店による売上増の寄与がありましたが、同3.5%減と大変厳しい結果になりました。」と、コメントしているように、既存店が伸び悩んだことが大きかったといえよう。

   また、営業利益についても、-14.1%と2桁の落ち込みであり、厳しい結果である。そこで、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、72.79%(昨年72.77%)と、ほぼ昨年並みの数字を確保しており、デフレの中、原価は維持できた。結果、売上総利益は27.21%(昨年27.23%)となった。一方、経費の方であるが、29.39%(昨年28.85%)と、0.54ポイント上昇している。原価は抑えることができたが、経費が上昇しており、利益を圧迫したといえよう。したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力は-2.18%(-1.62%)とマイナス幅が広がった。

   それにしても、経費比率が29.39%と30%近い数字であり、かなり高いといえる。昨年の決算公開企業約50社の平均が約25%強であるので、いなげやの経費比率はかなり高く、今後、経費比率をいかに下げられるかが課題といえよう。

   一般に、経費比率が高くなる要因は坪効率と密接な関係がある。いなげやの今期の坪効率は1坪当たり、327.69万円であり、都心部の食品スーパーマーケットとしてはかなり低い数字といえよう。したがって、客数の割に店舗面積が大きいといえ、結果、坪当たりにかかる経費、人件費、減価償却費、家賃、水道光熱費等が高くなる。これを相殺するには、都心部では、坪効率500万円は欲しいところであろう。ちなみに、昨年度の経費比率18.2%のオオゼキは坪効率が優に1,000万円を超えており、この坪効率の高さが経費比率を下げる要因となっている。
   
   そして、営業利益であるが、このマーチャンダイジング力に、不動産収入、物流収入等のその他営業収入がのり、1.58%(昨年1.79%)となり、減益となった。こう見ると、今期は原価よりも経費の上昇が大きく、今後、いなげやとしては、いかに経費比率を下げるか、そのためにも、既存店を活性化し、坪効率を引き上げられるかが大きな課題といえよう。
   
   そこで、財務面についても見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、57.1%(昨年56.0%)と若干であるが改善している。これは総資産が769.27億円(昨年770.29億円)と減少し、純資産が440.83億円(昨年432.14億円)と増加したことが大きい。純資産が増加したのは、負債の主要項目である有利子負債が72.51億円(昨年74.93億円)と減少したことに加え、買掛金が136.48億円(昨年143.50億円)と減少したことが大きいといえよう。
   
   ただ、気になるのはキャッシュフローである。今期の営業キャッシュフローは減益決算が響き、42.25億円(昨年47.91億円)と減少している。ところが、投資キャッシュフローは-61.55億円(-13.20億円)と大きく増加している。その要因は出店関連の有形固定資産の取得が-41.68億円(昨年-38.06億円)と増加していることに加え、今期は有価証券の取得に-19.89億円(昨年0)を投資したためである。したがって、差し引き、フリーキャッシュフローは-19.3億円(昨年34.71億円)と、昨年の順流から逆流となり、キャッシュ不足となった。したがって、このマイナス分のキャッシュを財務キャッシュフローで補うか、現預金を取り崩すことになる。
   
   そこで、今期の財務キャッシュフローを見ると、-10.46億円(-13.83億円)とマイナスであるので、さらに、マイナス幅が広がり、キャッシュ不足となっている。その要因は有利子負債を-3.43億円返済したことに加え、配当に-6.95億円配分したためである。当然、フリーキャッシュフローはマイナスであるので、現金を取り崩しており、キャッシュフローのトータルは-29.76億円(昨年20.88億円)となり、厳しいキャッシュフローの流れとなった。結果、現金及び現金同等物の期末残高は89.87億円(119.63億円)となった。ちなみに、投下資本(純資産+有利子負債)と営業キャッシュフローとの関係を示すキャッシュ効率であるが、8.14%(昨年9.48%)と減少しており、営業キャッシュフローの減少が影響したといえよう。
   
   このように、いなげやの2010年3月期決算は減収減益の厳しい結果となった。特に、既存店の減少が売上げだけでなく、経費比率の上昇にも影響を与えたといえ、マーチャンダイジング力のマイナス幅がさらに拡大しており、既存店の活性化が急務といえよう。一方、財務面であるが、自己資本比率は若干上昇しているが、キャッシュフローは昨年の順流から逆流となり、フリーキャッシュフローがマイナスとなる状況となった。そして、そのマイナス分を現金を取り崩して補っており、キャッシュ不足といえよう。今後、既存店の活性化に加え、新店開発も強化する必要があるといえ、そのためにも、営業キャッシュフローをいかに増加させるかが 最優先の経営課題といえよう。いなげやが今期の厳しい決算結果を受けて、どのような経営改革を打ち出すか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 14, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 13, 2010

九九プラス、V字回復、既存店は減収!

   九九プラスが4/14、2010年2月期の決算を公表した。結果は営業総収入1,354.10億円、営業利益17.92億円、経常利益18.60億円、当期純利益16.73億円となった。今期は決算期が変更になり、これまでの3月決算からローソンに合わせ、2月決算に変更したため11ケ月決算という変則決算となった。今後、九九プラスはローソンとの株式交換により、完全子会社となり、上場廃止となるので、今期が最後の決算公開となる。

   九九プラスは2007年2月のローソンとの資本業務提携以降、両者の関係を深めてきた。この1年の中でもローソンとの関係は、2009年5月1日にローソンの100%子会社、バリューローソンを吸収合併し、70店舗を吸収し、事業規模を拡大している。これに、独自の新規出店が108店舗加わり、今期は996店舗(昨年856店舗)と、店舗数が大きく増加した。また、ローソングループのPB、バリューラインの開発を加速させ、商品力の強化もはかった。さらに、ローソンのフランチャイズノウハウを導入し、FC展開を本格展開しはじめ、昨年の109店舗から167店舗と順調にFCが増えている。今後は、冒頭でも触れたように、ローソンとの株式交換により、ローソンの完全子会社、上場廃止、資本業務提携から完全子会社へと経営のステージが移ることになる。

   そこで、今期の決算内容であるが、最大のポイントは、九九プラスの営業利益がV字回復したことである。昨年の営業利益はわずか2.61億円であり、しかも前期は赤字、下期の黒字でカバーし、プラスにもっていっており、厳しい1年であった。今期は昨年の下期を上回る黒字を達成しており、結果、11ケ月の変則決算であったが、昨年の2.61億円の営業利益から、17.92億円と、まさにV字回復である。

   では営業利益がV字回復した要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、75.36%(昨年75.97%)と、0.61ポイント下げており、大きく原価が改善していることがわかる。結果、売上総利益は24.64%(昨年24.03%)と改善した。ちなみに、九九プラスの商品構成比であるが、No.1部門は日配の27.5%、ついで、No.2が一般食品の22.7%であり、この2部門で50.2%と半分を占める。したがって、原価改善はこの2部門が大きく鍵を握っているといえ、ローソングループのPB、バリューラインの貢献が大きかったといえよう。この2部門についで、No.3が9.2%の雑貨であり、食品スーパーマーケットと競合する生鮮は7.9%、惣菜は8.9%であり、構成比は低いといえる。

   これに対して経費であるが、25.41%(昨年25.80%)と0.39ポイント改善した。したがって、原価、経費ダブルで利益を改善しており、理想的な改革が進んだといえよう。特に、昨年12月、100%子会社の九九プラス関西を吸収合併し、人的資源の有効活用や間接業務の一元化により、グループの経営資源の集中と経営の効率化を進めたことが大きいといえよう。結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.77%(-1.77%)とマイナス幅が大きく縮まった。ただ、まだ、マイナスであり、今後、さらに、原価、経費の改善が課題であろう。

   そして、このマーチャンダイジング力に、その他営業収入が加わり、営業利益となるが、九九プラスはローソンとの資本業務提携以降、FC化を強く進めており、FCから上がる収入が伸びている。現在、その他営業収入の約60%となり、FCからの収入は昨対121.67%と急激に増加している。そのその他営業収入であるが、2.13%(昨年1.97%)と、0.16ポイント増加しており、結果、営業利益は1.35%(昨年0.20%)となった。

   今期の営業利益のV字回復は、原価、経費が下がり、さらにFC収入の増加により、その他営業収入も増加するという、トリプルで営業利益を押し上げており、V字回復が絵にかいたような理想的な結果となったといえよう。少し気になるのはV字回復したとはいえ、営業利益率は1.35%と、食品スーパーマーケット業界のトップクラスの5%前後、平均の2.5%前後と比べても低い数字であり、今後、さらに、収益を改善したいところであろう。そして、そのためにも、今期の売上が98.8%となった既存店をいかに活性化するかが課題といえよう。

   さて、財務の方であるが、自己資本比率は48.1%(昨年41.6%)と、こちらも改善しており、営業利益のV字回復が自己資本比率を引き上げたといえる。また、有利子負債も16.85億円(昨年27.17億円)、総資産対比でも6.42%(昨年10.48%)と減少しており、財務バランスが改善している。ただ、営業キャッシュフローが7.76億円(22.65億円)と、大きく減少しており、気になるところである。これは、当期純利益は順調に増加したが、今期は仕入れ債務が19.56億円減少したことが大きかった。

   このように、九九プラスの2010年2月期の決算が公表されたが、昨対は11ケ月の変則決算であったため、単純な比較はできないが、昨年の12ケ月間の数字と比べ、すべてがプラスであり、増収増益となった。特に、営業利益はV字回復を果たしており、その内容も、原価、経費が下がり、FCからの収入を含む、その他営業収入も増加しており、理想的な利益改善であったといえる。まさに、ローソンとの資本業務提携の成果が表れた結果といえよう。来期は、ローソンの完全子会社となり、上場廃止になり、直接の決算の公表はないと思われるが、今期の好決算を受けて、さらに、どこまで業績が改善するか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 13, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 12, 2010

関西スーパーマーケット、2010年3月期決算、増収減益!

   関西スーパーマーケットが2010年3月期の決算を公表した。結果は、営業収益1,109.31億円(1.7%)、営業利益13.74億円(-29.5%)、経常利益15.93億円(-27.9%)、当期純利益4.14億円(-56.6%)となり、増収減益となる厳しい決算となった。特に、利益はいずれの段階も大きく減少し、当期純利益に関しては昨対50%を割り込む結果となった。関西スーパーマーケット自身は、当期純利益については、「今後の損益改善のための企業体質強化策として、好立地への新規出店と並行して赤字店舗の閉鎖を進めることにより、店舗閉鎖損失が発生いたしました。・・」とコメントしており、赤字店舗の閉鎖が大きかったという。実際、今期は、特別損失として、店舗閉鎖損失-4.52億円、店舗閉鎖損失引当金繰入額-2.72億円の合計-7.24億円を計上しており、利益に響いたといえよう。

   ただ、営業利益についても、昨対-29.5%と大きく減少しており、特別損失もさることながら、営業段階でも厳しい結果であった。そこで、営業利益が減少した要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、76.15%(昨年(76.01%)となり、0.14ポイント上昇している。これについては、関西スーパーマーケットは、「当期は、関西スーパーマーケット創業50周年にあたり、今日までご愛顧いただいたお客様への感謝の気持ちをこめて「めちゃ安特価」「50%引きセール」「たすかる値」「記念ロゴマーク入り商品」などの特別企画を実施いたしました。・・」とのことで、価格訴求を強く打ち出したことが原価上昇につながったのではないかと思われる。結果、売上総利益は、23.85%(昨年23.99%)と下がった。

   一方、経費の方であるが、24.61%(昨年24.10%)と、0.51ポイント上昇しており、経費の上昇も見られる。したがって、ダブルで利益を圧迫しており、結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.76%(昨年-0.11%)とマイナス幅が広がった。そして、これに、その他営業収入である不動産収入、物流収入等が2.02%(昨年1.93%)加わり、結果、営業利益は1.26%(昨年1.82%)とプラスになったが、昨年と比べ大きく減少しており、厳しい営業利益となった。

   特に、経費が上昇した要因の一つは、既存店が-2.5%(昨年1.5%)となったことが大きいといえ、結果、固定費が相対的に上昇し、経費増になったものと思われる。関西スーパーマーケットは都心部での店舗展開が主体であり、客数は1日平均3,196人と、3,000人を超える多さであり、食品スーパーマーケット業界では客数ではトップクラスである。

   ただ、客単価は1,652円と、けっして高い方ではなく、むしろ、低いといえよう。その要因はPI値が996%(1人平均9.96個購入)、平均単価が164.30円と、PI値よりも平均単価の低さにあるといえる。特に、今期は、客数99.68%、客単価98.15%と、客単価の方が下がっており、その中身はPI値101.42%、平均単価96.76%と、平均単価の落ち込みが大きかったといえる。したがって、先にも見たように、原価上昇の要因の一つともいえる強力な販促が平均単価を下げ、原価を下げたのではないかと思われ、利益だけではなく、売上げ、特に、既存店のダウンにつながったものといえよう。

   こう見ると、今期の関西スーパーマーケットは当期純利益が昨対56.6%と厳しい結果となり、キャッシュフローも大きく減少したのではないかと思われるが、実際は、営業キャッシュフローは、26.74億円(昨年4.80億円)と大きく増加し、キャッシュはむしろ増加した。これは、キャッシュフロー上の当期純利益は8.85億円(昨年17.65億円)と大きく減少したが、昨年は厚生年金基金脱退損失引当金が-11.91億円、法人税等の支払額-11.88億円など、10億円単位のマイナスがあったためである。したがって、今年は、新規出店関連への多額の投資を営業キャッシュフローの範囲内で賄えており、昨年のように、有価証券の売却益で賄うことなく、キャッシュが回っているといえる。

   とはいっても、財務キャッシュフローで、有利子負債が2.60億円増加しており、負債の有利子負債合計が109.63億円となり、とうとう100億円を突破し、総資産の21.16%となり、財務に重くのしかかっているところが気になるところである。ちなみに、営業キャッシュフローと純資産+有利子負債の関係、投下資本当たりのキャッシュを生み出す力、すなわち、キャッシュ効率を計算すると、昨年が異常値であったこともあり、7.44%(昨年1.37%)と大きく増加しており、キャッシュ効率自体は上昇している。

   このように、2010年3月期の関西スーパーマーケットの決算は増収とはなったが、利益はいずれの段階でも大きく減益となる厳しい結果となった。特に、営業面では原価、経費、双方が上昇しており、既存店も平均単価のダウンが大きく、昨対を割っており、厳しい決算となった。今後、この厳しい結果を受けて、関西スーパーマーケットとしては、平均単価の改善が急務といえ、そのためには、食品スーパーマーケットの根幹ともいえる平均単価に大きく貢献する生鮮、惣菜の活性化が最優先課題といえよう。関西スーパーマーケットが今後、どのような生鮮、惣菜強化のマーチャンダイジング政策を打ち出すか、注目したい。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 12, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 11, 2010

ヤオコー、2010年3月期、個別、21期連続、増収増益!

   ヤオコーが5/6、2010年3月期の決算を公表した。結果は連結では減収増益となったが、個別では21期連続の増収増益となる好決算となった。連結が減収となった要因は、ヤオコーによれば、「一昨年9月のカルチャー事業部門子会社(株)ワイシーシーの売却や昨年3月の宅配事業部門子会社(株)フレッシュヤオコーの清算などの影響で、営業収益では若干の減収になりました、・・」とのことで、子会社の問題が影響したとのことである。

   さて、実際の決算結果であるが、まず、連結は、営業収益2,064.97億円(-0.9%)、営業利益85.97億円(5.3%)、経常利益84.60億円(3.9%)、当期純利益48.27億円(2.6%)と減収増益となった。一方、個別であるが、営業収益1,978.77億円(1.1%)、営業利益76.28億円(7.2%)、経常利益76.60億円(6.9%)、当期純利益45.06億円(14.7%)と、増収増益の好決算となった。こう見ると、連結と個別の営業収益の比率は95.8%であるので、約5%が個別以外の営業収益であり、また、営業利益は88.72%であるので、約10%強が個別以外の営業利益である。ここでは、ヤオコー全体の決算を見るため、連結の数字を基本に見てゆく。

   まず、営業収益であるが、今期、ヤオコーは、昨年9月に新座店(埼玉県新座市)、10月に前橋日吉店(群馬県前橋市)、11月に秩父上野町店(埼玉県秩父市)、今年1月に所沢美原店(埼玉県所沢市)、2月に青梅今寺店(東京都青梅市)と、5店舗の新店を出店している。結果、店舗数は、埼玉県66店舗、千葉県12店舗、群馬県11店舗、茨城県8店舗、栃木県5店舗、東京都2店舗の計104店舗となり、100店舗を超えた。また、連結では営業収益が創業以来はじめて2,000億円を超え、今期は100店舗、2,000億円という記念すべき年となった。

   一方、営業利益の方であるが、増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、71.16%(昨年71.18%)と、わずかであるが、原価を下げており、原価改善が進んだ。これについて、ヤオコーは、「今期も、原料の大豆に拘り「佐賀県産フクユタカ」を使用した味わい豊かな豆腐など、新たな開発商品を投入いたしました。また、各メーカーのご協力をいただいてパンやプリンなど当社オリジナルのPBの開発も行い、お客さまの高いご支持をいただいております。・・」とのことで、積極的にヤオコーのPB、「The Marketplace」の開発に取り組んだとのことで、その成果が表れたものといえよう。結果、売上総利益は、28.84%(昨年28.82%)となった。
   
   これに対して、経費の方であるが、28.95%(昨年29.01%)と、経費も若干下がっている。これについても、ヤオコーは、「経費削減につきましては、ロジスティクス推進部内の専担部署が中心となって、販売・事務消耗品から店舗施設関係経費まで全般に亘って発注方法、仕様の見直しなど徹底したコスト削減を進めました。そのうえ当期は電気料金の引き下げ効果もあり、販管費全体として大きな削減が図られました。・・」とのことで、経費削減を徹底したという。
   
   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は、差し引き、-0.11%(昨年-0.19%)となり、依然としてマイナスではあるが、その幅が縮まった。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が4.46%(昨年4.28%)のり、結果、営業利益は4.35%(昨年4.09%)となった。こう見ると、今期のヤオコーの収益構造は、トリプルで利益の改善が図れており、理想的に利益改善が進んだといえよう。トリプルとは、原価の削減、経費の削減、その他営業収入の増加である。食品スーパーマーケットの利益構造はこの3つで決まるので、3つとも改善するのは至難の業であるが、今期のヤオコーは3つとも改善しており、結果、好決算となったといえよう。
   
   ただ、経費比率は28.95%と食品スーパーマーケットの中では高めであり、マーチャンダイジング力が依然として、マイナスになるのは、この経費比率の高さが要因といえよう。一方、売上総利益、すなわち、粗利は28.84%と、これは食品スーパーマーケットとしては高い数字であり、ヤオコーは食品スーパーマーケットとしては粗利大、経費大という珍しい収益構造といえる。
   
   では、財務の方であるが、今期の好調な決算結果を受け、自己資本比率が45.0%(昨年43.5%)と若干上昇している。これは純資産の利益剰余金が増加したことによるところが大きい。ただ、有利子負債は156.61億円(昨年136.22億円)と、総資産の19.50%(昨年18.46%)とやや増加しているところが気になるところである。そこで、キャッシュ効率、すなわち、営業キャッシュフローを純資産+有利子負債で割り、キャッシュを生み出す効率を見てみると、15.33%(昨年15.96%)と、若干下がっており、これも気になるところである。すなわち、財務は安定し、営業キャッシュフローは増加したが、有利子負債が増加したため、キャッシュ効率が下がっているということであり、今後の課題といえよう。
   
   このように、2010年3月期のヤオコーは連結では減収増益であったが、個別では増収増益の好決算となり、自己資本比率も若干改善し、財務の安定も図れた。特に、利益構造が、原価、経費、その他営業収入と、トリプルでの理想的な改善が進んだことが大きかったといえよう。ただ、有利子負債が増加し、キャッシュ効率が下がったことは気になるところである。今期、100店舗、2,000億円を達成し、新たなステージに踏み込んだヤオコーが、今後、どのような経営戦略を打ち出すか、興味深いところである

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 11, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 10, 2010

家計調査データ、2010年3月度、食品98.3%!

   総務省統計局から、4/30、家計調査データ月報の最新、2010年3月度が公表された。家計調査データの月報は翌月の月末に公開されるため、現在、5月ではあるが、最新はこの3月度である。結果は、何と、全体の消費額が1世帯1日当たり10,322.29円(103.0%)と、ここ数年で最高の数字となった。一見、デフレ環境の中ではあるが、消費が回復しているように見える。ただ、外食を除く食品は1,927.32円(98.3%)と逆に下がっており、こと、食品に関しては依然として厳しい数字で推移している結果となった。

   では、この3月度は何が全体の消費を押し上げたかであるが、大分類で見てみると、住居596.97円(118.0%)、交通・通信1,519.94円(114.7%)、教育523.52円(111.3%)、教養娯楽1,167.13円(108.3%)家具・家事用品328.16円(107.7%)の5部門が大きく消費を伸ばしたことがその要因である。ちなみに、被服及び履物は、446.87円(97.8%)と食品以上に下げ幅が大きく、厳しい状況であった。また、外食も432.97円(101.0%)と微増に留まった。したがって、この3月度は食品、衣料品が厳しい状況であり、住関連、その他が大きく増加し、全体の消費を押し上げた結果であったといえる。

   そこで、この3月度、消費が力強く伸びた5つの大分類で特に120%以上伸びた項目を見てみたい。住居であるが、設備修繕・維持全体が263.45円(154.5%)と大きく伸びており、その中でも、給排水関係工事費51.26円(676.2%)、畳替え0.55円(425.0%)、外壁・塀等工事費 65.87円(246.0%)が異常値である。ここへ来て、修繕に消費が振り向けられた状況が鮮明である。交通通信では、何といっても、自動車購入324.39円(164.0%)が大きく、ついで、バス通学が増えたのか、バス通学定期代が3.48円(142.1%)と伸びた。

   ついで、教育では、国公立大学17.94円(154.0%)、私立小学校 2.71円(200.0%)、中学校補習教育42.81円(134.0%)、私立高校42.35円(128.6%)、私立大学145.71円(122.5%)と軒並み上昇している。教養娯楽では、テレビ110.65円(181.0%)、教養娯楽用耐久財修理代3.39円(172.1%)、ビデオデッキ13.55円(159.1%)、他の教養娯楽用耐久財19.74円(122.9%)と、エコポイント関連が高い伸びを示している。そして、家具・家事用品であるが、エアコンディショナ17.61円(718.4%)、ベッド11.94円(359.2%)、家事使用人給料3.61円(228.6%)、他の室内装備品3.77円(142.7%)、カーテン 7.19円(139.4%)、応接セット6.23円(138.8%)、清掃代16.61円(121.2%)が良く伸びている。

   以上の項目がこの3月度、120%以上消費が伸びた項目であり、デフレとは反比例に伸びている消費といえ、デフレに強い項目といえよう。自動車、家電等は政府支援のエコポイントが効いているといえ、これ以外では家の修繕関連、教育関連の伸びが顕著であるといえよう。

   さて、では、このような好調部門とは打って変わり、デフレの影響を強く受けた食品について見てみたい。まずは、この3月度の食品の大分類の状況であるが、伸びた部門は野菜・海藻272.39円(101.4%)、調理食品255.65円(101.5%)の2部門のみであり、しかも、微増である。そこで、野菜の中で特に伸びている部門を見ると、たけのこ3.77円(128.6%)、たまねぎ10.81円(126.9%)、ねぎ7.90円(116.1%)、かぼちゃ3.74円(108.4%)、ほうれんそう6.71円(107.2%)等であり、やはり、相場との関係が強いといえよう。この傾向は4月度も続くといえ、食品では、野菜が全体を牽引する状況である。また、調理食品では、うなぎのかば焼き5.06円(118.0%)、やきとり4.90円(111.8%)、ぎょうざ5.94円(108.2%)、しゅうまい2.87円(107.2%)等の伸びが顕著であり、これは中国餃子の問題が解決に向かっていることも好影響を与えているといえよう。

   一方、消費が特に厳しかった食品の部門であるが、酒類が101.71円(92.1%)と大きく下がっており、厳しい状況である。特に、これまで好調であったウイスキー3.29円(84.3%)が大きく落ち込み、主力のビール29.26円(86.7%)、焼ちゅう19.00円(94.1%)が伸び悩んだ。一方、低価格の発泡酒・ビール風アルコール飲料21.35円(124.4%)は絶好調であり、ついで、ワイン5.94円(110.8%)も好調であった。

   酒類についで、落ち込みが大きかった部門は、肉類199.35円(95.1%)、穀類212.19円(96.7%)である。肉類では、合いびき肉5.42円(91.8%)、牛肉48.94円(93.6%)、豚肉64.81円(93.6%)に加え、加工肉のハムも10.94円(95.8%)と落ち込みが大きかった。穀類では、米72.52円(93.8%)が最も落ち込みが大きく、ついで、スパゲッティ4.00円(88.6%)、生うどん・そば10.39円(96.4%)等が厳しかったといえる。

   このように、2010年3月度の消費はデフレの影響を強く受けた結果となったといえる。消費が大きく伸びたところは政府のエコポイントで実質価格が下がった自動車、家電が大きく、ついで、修繕関連、教育関連の消費が顕著であった。一方、デフレの影響をもろに受けているのが食品、衣料品等であるといえ、特に食品では、野菜と一部惣菜を除きほぼ全滅という厳しい状況であった。野菜も相場の影響が大きく、惣菜も中国餃子問題が解決に向けて動きだしたことが大きいといえる。今後、当面、デフレは継続する可能性が高く、この3月度の消費環境がしばらく続くものといえよう。食品スーパーマーケットにとっては、当面、厳しい経営を余儀なくされるといえ、原価、経費を改善し、キャッシュをいかに確保するかが最大の経営課題といえよう。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 10, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 09, 2010

レイアウトと尺効率について

   PI値は顧客1人当たりの販売金額、販売数量の指標であるが、この指標の食品スーパーマーケットでの実践的な活用方法には様々なものがある。基本はマーチャンダイジングへの活用が主であるが、それ以外では、発注への活用、レイアウトへの活用等がある。そこで、ここでは、レイアウトへの実践的な活用方法について解説してみたい。

   レイアウト、いわゆる、商品群のゾーニングであるが、ポイントは2点ある。1点目は商品群の配置、まさにゾーニングであり、もう1点はその商品群のスペース配分、いわゆる尺数配分である。これらは、食品スーパーマーケット業界において確固たる理論が確立されているわけではなく、様々な考え方があり、独特なノウハウが乱立しているという状況といえよう。

   そこで、PI値を活用した1点目のゾーニングであるが、これは、原則、客動線に沿って、金額PI値(PI値)の高い商品を配置することがポイントとなる。ただ、良くあることだが、客動線がしっかりしていない場合が往々にしてあり、商品のゾーニング以前の問題として、客動線の見直しが前提となる場合が多い。そもそも客動線がおかしければ、どんなに商品のゾーニングを完璧にしても、全体の売上、利益は上がらず、それ以上にお客様が買いにくい売り場となってしまいかねない。

   客動線がおかしいとどのようなことが起こるかであるが、たとえば、金額PI値1円の商品があった場合、入店客数が1,000人であれば、1,000円の売上げとなるが、ある場所では入店客数の1/2、すなわち、500人しか通らない客動線があった場合、売上げは500円しか上がらないことになる。したがって、良い客動線とは、この客数比率、すなわち、客数PI値が100%の客動線が望ましく、120%、150%、200%の客動線を作れればさらに良いということになる。ちなみに、重点商品の2か所陳列は、客数PI値200%を客動線を変えずに実現する方法であり、顧客が同じ場所を2回通ることと同値、理に適った方法である。まさに、相対性理論の世界であり、客動線に注目することも、商品に注目することも顧客にとっては同じ原理となる。

   ちなみに、食品スーパーマーケットの最高の客動線はワンウェイコントロールであり、ツーウェイ、いわゆる2重動線を作らないレイアウトである。しかも、商品のゾーニングとも絡んでくるが、5分で欲しい商品約10品の買い物ができるレイアウトがベストである。あとは、商品群のゾーンニングであるが、これは、原則、客動線に沿って、金額PI値(数量PI値)の高い順に並べれば良い。また、重点商品は主動線から見えることと、可能な限り、手が届くことが望ましい。

   次に、2点目、商品群のスペース配分であるが、これは、経験と勘の世界が横行しており、理論的にスペース配分を決めるケースは以外に少ない。では、スペース配分に理論がないのかといえば、ある。ポイントは鮮度と欠品、コストである。食品スーパーマーケットで鮮度が劣化する場合のほとんどは商品管理の問題ではなく、スペース配分にある場合が多い。同様に、欠品の問題も担当者の発注、品出しの問題以前に、スペース配分の問題である場合が多い。スペースが広いと、当然、在庫を多く投入しがちとなる。1日に10個売れる商品を3フェースとれば、奥行き3個強で良いところを5個入れてしまえば、15個となって5個余る。逆に1フェースにすると、5個入れて、いっぱいになり、補充を忘れた場合、欠品となる。したがって、この場合は2フェース管理が望ましいといえよう。鮮度劣化せずに、欠品を防ぐバランスを探すことがスペース配分の基本である。

   そして、もう1点、コストであるが、特に、生鮮、日配は減価償却費、光熱水道費、家賃、人件費等のコストがかかっており、一定以上の売上金額、粗利が取れないと費用対効果が合わなくなる。この問題を解くのが売上(粗利)である。したがって、一定以上の売上(粗利)が必要であり、それらを計算して商品群のスペース配分をする必要がある。

   では、これらの鮮度と欠品、コストのバランスをとるスペース配分とはどう考えたら良いかであるが、これが、ベストバランスの尺効率を決めることが大前提となる。結論から言うと、鮮度と欠品には尺数量、コストには尺売上が決め手となる。食品スーパーマーケットで実践的に使われる尺数量と尺売上は、生鮮食品の尺数量30から40個、尺売上8,000円から10,000円ぐらい、日配の尺数量40個から50個、尺売上4,000円から5,000円、グロサリーの尺数量5個から10個、尺売上1,000円から2,000円である。

   この尺効率が決まれば、あとは、金額PI値(数量PI値)×客数/尺売上(尺数量)でスペース配分が理論的に決まり、その後、微調整をすれば良いだけとなる。よく、大型店、中型店、小型店のレイアウトを作る場合があるが、本来は客数1,000人、2,000人、3,000人のレイアウトを作るべきである。ただ、実際の食品スーパーマーケットでは、小型店で3,000人、大型店で2,000人の場合もあり、双方が一致しない場合が多く、このような場合は、小型店でオペレーションに負荷がかかり、大型店では、スペースが余るということが起こる。ただ、このような場合でも、理論的に数字を出してみて、何が問題なのかを理解した上で、商品群のゾーニングをする必要があろう。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 9, 2010 in 経済・政治・国際, PI値 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 08, 2010

日経MJ、5/7でキャッシュを特集!

   日経MJの1面、2面全面を使い、5/7、日本の小売業調査速報版が公開された。これは、上場している百貨店、スーパー、コンビニで2009年5月から2010年2月に決算期を迎えた60社及びセブン&アイ・ホールディングス参加のセブン-イレブン・ジャパンの業績をもとに、分析したもので、今期決算、2010年度版の速報値といえる。見出しは、「マイナス成長下、現金力勝負に」、「売上高前年度割れ7割、投資急ブレーキ、海外開拓が不可欠」であり、特に、現金に注目したところが、今回の特集のポイントである。1面の各社の決算一覧表にも、営業利益ランキングに加え、営業キャッシュフロー、投資キャッシュフローを掲載しており、キャッシュがメインの特集といえる。

   キャッシュを特集した背景には、集計小売業の約70%の売上高が前の年度を下回り、マイナス成長に入った小売業が経営を維持してゆくには、いかにキャッシュを確保するかにあるという認識があるためである。また、そのキャッシュをどこに振り向けるか、すなわち、投資するかについては、成長著しい海外がポイントであると日経MJでは指摘しており、今後、日本の小売業が成長してゆくには海外戦略が課題とのことである。

   今回の日経MJの特集は、これまでの単純なP/L、B/Sの決算数値の比較ではなく、キャッシュという視点に着目しており、しかも、CF、キャッシュフローに注目しているのが特徴である。本ブログでも、キャッシュという視点が小売業ではより重要な指標となるとの観点から、新たに、キャッシュ効率という指標を導入し、今後の食品スーパーマーケットの財務分析に加えてゆく予定ではあるが、まさに、今回の日経MJの特集はそのキャッシュに着目した特集であり、興味深い結果となっている。

   ランキングを見ると、営業利益の上位の小売業は、セブン&アイ・ホールディングス2,266.66億円、イオン1,301.93億円であり、この2社が小売業では1,000億円を超える営業利益である。では、営業キャッシュフローはどうかを見ると、逆転する。イオンが3,610.96億円、セブン&アイ・ホールディングスが3,222.02億円となり、何と3,000億円を超える営業キャッシュフローとなる。特に、今期、イオンの営業キャッシュフローが昨対54.3%となったことが大きい。日経MJの記事の中ではイオンのジャスコ津田沼店の青果売場の写真が大きく掲載され、その写真の中でジャガイモ、タマネギ、ピーマン、ニンジン等の野菜のバラ売りがクローズアップされている。記事の中で、「無造作に見えて、それぞれの数量は店が緻密に計算している。・・」とのことで、結果、「青果の在庫回転日数は以前の約半分に改善した。・・」とのことである。

   営業利益にはこの在庫がダウレクトに反映されることはないが、営業キャッシュフローではたな卸資産の増減でキャッシュが大きく動く。イオンの昨年のたな卸資産は-52.07億円と在庫が増加し、キャッシュがマイナスとなったが、今期は123.78億円と在庫が減少し、キャッシュが大きく増加した。昨年との差は約200億円弱である。ただ、これ以外にもイオンの営業キャッシュフローを見ると、税金等調整前当期純利益が約300億円、仕入れ債務の増加が約200億円、有価証券及び投資有価証券売却損益が約200億円増加しており、これらがあいまって営業キャッシュフローが大きく改善し、今回の集計小売業の中ではトップとなった。

   こう見ると、小売業のキャッシュを増やす方法は利益を上げることも重要であるが、在庫管理を徹底することも今期のイオンでは顕著であったといえ、低成長、マイナス成長の中では、この在庫管理の差がキャッシュの差となり、今後、在庫管理がより注目されることになろう。

   では、食品スーパーマーケットの状況はどうかを見てみたい。食品スーパーマーケットでは6位にイズミが営業利益204.10億円(営業キャッシュフロー344.27億円)で入った。ついで、10位に平和堂96.60億円(253.67億円)、11位にアークス88.40億円(79.21億円)、12位にサンエー88.09億円(98.28億円)、13位にライフコーポレーション86.76億円(129.86億円)、14位にマルエツ78.56億円(79.47億円)、15位にオークワ58.41億円(123.02億円)、16位にカスミ55.53億円(95.18億円)が入り、ここまでが営業利益50億円を超える小売業である。こう見ると、10位前後、営業利益50億円から100億円のところに食品スーパーマーケットが集中しているといえる。

   このように今期は約70%が売上高昨対割れ、さらに、営業減益、赤字も約70%という小売業の速報値が日経MJから公表された。このような厳しい決算結果は、今後、小売業界にとっては、低成長、マイナス成長がより深刻な経営問題になり、その中で経営改善をはかるには現金、キャッシュを生み出す力をつけることが、日経MJが指摘したように極めて重要であるといえよう。その意味で、今回の日本の小売業調査速報の特集でキャッシュを全面に掲げて各小売業を評価したことは時宜を得たテーマであるといえよう。今後、この現金、キャッシュをいかに生み出す力をつけることができるか、小売業各社の経営戦略に注目といえよう。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 8, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 07, 2010

アークランドサカモト、2010年2月期決算減収増益!

   アークランドサカモトが4/2、2010年2月期の決算を公表した。デフレが進行し、消費環境が厳しい中、ホームセンターの動向が注目される中での決算であったが、結果は、売上高873.99億円(-2.6%)、営業利益56.30億円(17.5%)、経常利益60.52億円(25.2%)、当期純利益28.34億円(237.7%)となり、減収とはなったが、大幅な増益となる決算となった。アークランドサカモト自身も、「売上高は消費低迷により小幅減収となりましたが、平成19年年初以降、取り組んでまいりました事業構造改善政策の発現により、増益を達成することができました。・・」と、コメントしており、特に利益改善に力を入れていることがわかる。

   そこで、まず、アークランドサカモトの原価、経費の状況を見てみたい。原価は67.40%(昨年68.39%)と、0.99ポイント改善しており、デフレ環境の厳しい消費の中で、原価が改善している。結果、売上総利益は、32.60%(昨年31.61%)と、粗利が上昇した。一方、経費の方であるが、26.14%(昨年26.26%)と、経費も0.12ポイント改善している、したがって、原価、経費双方が改善しており、ダブルで利益を底上げした構図である。アークランドサカモトはその他営業収入が0であるので、差し引き、マーチャンダイジング力=営業利益となり、その結果は、6.46%(昨年5.35%)と、極めて高い数字となった。昨年も5.35%と、食品スーパーマーケット業界の数字と比較すると、トップクラスであり、今期は一段とその数字が上昇しており、コメントの通り、事業構造改善の成果といえよう。

   これを受けて、キャッシュフローを見てみると、営業キャッシュフローが95.14億円(昨年44.04億円)と倍増している。その要因であるが、この好調な決算を受けて、当期純利益が51.74億円(昨年19.29億円)と、約30億円増加している。これ以外にも棚卸資産の減少が約15億円、仕入れ債務の増加が昨年と比べ約15億円あり、これらが寄与し、営業キャッシュフローが倍増した。

   ついで、投資キャッシュフローであるが、-3.44億円(昨年-52.46億円)と、投資が大きく削減されている。これは、有形固定資産の取得による支出が-10.06億円(昨年-46.77億円)と、新規出店関連への投資を控えたためである。結果、フリーキャッシュフローは91.7億円(昨年-8.42億円)と、昨年のマイナスから一転、プラス、しかも、100億円近いプラスとなった。

   そして、このフリーキャッシュフローを財務キャッシュフローに活用することになるが、財務キャッシュフローは-89.97億円(昨年4.42億円)と、何と、フリーキャッシュフローの大半を財務キャッシュフローに充てており、昨年とは対照的なキャッシュの流れとなった。その中身であるが、有利子負債の返済へ-83.82億円と、ほぼ全額を充てている。昨年は6.94億円の有利子負債の増加があったので、財務キャッシュフローも対照的なキャッシュの活用となった。

   結果、自己資本比率が53.2%(昨年44.8%)と、大きく上昇し、財務改善が進んだ。総資産が616.71億円(昨年679.47億円)と減少し、純資産が338.53億円(昨年312.89億円)と増加したためであり、ここでもダブルで財務が改善されているのがわかる。実際、負債が278.17億円(昨年366.58億円)と88.41億円と減少しているが、これは、有利子負債が97.66億円(181.49億円)と、ほぼ有利子負債の削減分減少している。また、純資産が増加したのは、増益という好調な決算による利益剰余金の増加に負うところが大きい。
そして、それにともない、資産面では在庫、出店関連資産が減少しており、全体がスリムになり、健康体になったといえる。実際、有利子負債の総資産に占める割合も15.83%(昨年26.71%)であるので、大きく削減されたことがわかる。

   結果、トータルのキャッシュフローは1.72億円(昨年-3.99億円)とわずかであるがプラスとなった。ただ、現金自体は増加が見られず、資産の現金及び預金は20.03億円(昨年18.30億円)と微増にとどまった。したがって、このキャッシュフローの一連の流れを見ると、昨年とは一転、投資を大きく控え、増益となった豊富な営業キャッシュフローを、ほぼ全額フリーキャッシュフローとして持ち、その潤沢なフリーキャッシュフローのほぼ全額を有利子負債の返済に充て、財務改善をはかった構図である。実際、負債が削減され、純資産が増加し、資産がスリム化されており、財務体質が大きく改善されたといえよう。

   このように、アークランドサカモトは、今期、経営戦略の照準を財務の改善に絞ったといえ、思いきった、大胆なキャッシュフロー戦略を採用したといえよう。ここまでキャッシュフローを財務戦略に当てるのは異例ともいえ、通常であれば、投資へ営業キャッシュフローの1/2以上を充て、成長戦略重視のキャッシュフロー戦略となるところであるが、びっくりである。ただ、結果、自己資本比率が53.2%(昨年44.8%)へと約10%と、大きく改善しており、財務体質が1年でがらっと変わったといえる。ちなみに、2011年2月期の通期決算予想は増収増益であり、次期も潤沢な営業キャッシュフローが見込まれるが、今後、アークランドサカモトがどのような経営戦略を打ち出すか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 7, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 06, 2010

野菜相場、4月の動向、依然高値?

   4月は天候不順から野菜の相場が異常値となり、食品スーパーマーケットの野菜の価格が大きく上昇するなど、異変が続いた。野菜は需要供給の法則がダイレクトに相場によって反映され、入荷が少ない時は相場が上昇し、逆に、入荷が多い時は相場が下落するという結果となる。したがって、食品スーパーマーケットも野菜の相場が大きく上昇すると、価格への転嫁をせざるをえず、店頭価格が異常値となる。価格政策については、食品スーパーマーケットは相場が5%から10%ぐらいの変動であれば、さほど店頭価格は変えないが、20%、30%、そして50%ともなると、さすがに、たえられず、店頭価格へも相場を反映せざるをえなくなる。

   そこで、この4月度の野菜がどのような相場状況であったのかを東京中央卸売市場の週間の野菜の相場情報をもとに見てみたい。まず、4月の第5週、4/23から4/28のゴールデンウィーク前の直近の野菜の相場を見てみたい。一目見て明らかに高いという数字が並ぶ。前年同期比150%以上価格が上昇した野菜を見てみると、さつまいも198%(相対、千葉)、ねぎ170%(相対、千葉)、セルリー169%(せり、静岡)、レタス166%(せり、茨城)、ピーマン165%(相対、茨城)、はくさい155%(相対、茨城)、なす154%(せり、高知)という状況である。200%近い野菜もあり、明らかに異常値といえる。食品スーパーマーケットの店頭でもねぎ、レタス、はくさい、なす等の野菜の価格が上がっているのが現状といえよう。

   これについで、120%以上の相場上昇が見られた野菜であるが、だいこん149%(せり、千葉)、キャベツ148%(せり、神奈川)、きゅうり148%(相対、埼玉)、ピーマン144%(せり、茨城)、キャベツ142%(相対、神奈川)、だいこん141%(相対、千葉)、トマト141%(せり、栃木)、かぶ133%(相対、千葉)、にんじん133%(相対、徳島)、レタス145%(相対、茨城)、ねぎ149%(せり、千葉)、きゅうり129%(せり、埼玉)という状況である。ほぼ、全面高といって良い状況であり、野菜が、明らかに異常値である。逆に、昨対を下回った野菜であるが、そらまめ85%(相対、鹿児島)のみであり、その他の公表されている主要野菜の相場はすべて昨対を上回っており、いかに、直近の4月度、第5週の野菜が高いかがわかる。

   ちなみに、入荷量を見ると、総入荷量が87%であり、野菜の供給がいかに少ないかがわかる。したがって、需要供給の法則が働き、当然、相場上昇が起こることになる。個々の野菜の入荷量を前年同期比でみると、そらまめ59%、なす67%、ピーマン72%、だいこん78%、トマト80%、じゃがいも82%、きゅうり83%、かぶ84%、セルリー85%、たまねぎ86%、こまつな87%、レタス88%、キャベツ90%、はくさい90%、ねぎ90%、ふき94%、ほうれんそう97%、なましいたけ97%、にんじん103%、たけのこ105%、かぼちゃ110%、さつまいも112%という状況である。昨対100%を超える入荷量の野菜もあるが、わずかであり、野菜の絶対量の不足が続いている状況である。

   東京中央卸売市場の相場情報のコメントを見ると、「「キャベツ」は28日に1,000トン以上の大量入荷があり価格も後半は下げた。「レタス」は前週と同じで低温から全国的に出回り少なく、価格はほぼ保合も前年比大幅高。「はくさい」も前週と同じで春物少なく増量は5月になりそうで、価格は当面強めの展開。・・」とのことで、気温の低さが、入荷不足の原因であることがわかる。ただ、5月に入って気温も上昇しており、今後、逆に野菜の大量入荷があると、相場は一転下げに転じるので、今後の動向をしっかり見る必要があろう。

   ここで、さらに、4月第1週から、この第5週までの推移が高めに動いている野菜を見てみたい。ねぎ(170%、271%、233%、193%、196%)、キャベツ(148%、176%、172%、100%、113%)、レタス(166%、136%、135%、115%、121%)、はくさい(155%、147%、127%、86%、57%)、きゅうり(148%、159%、150%、115%、104%)、なす(154%、154%、127%、137%、-)、ピーマン(144%、120 %、116 %、117%、75%)、さつまいも(198%、164%、123%、120%、106%)、にんじん(133%、131%、113%、103%、97%)等である。4月度前半は昨対を切る週もあるが、第3週目ぐらいから、急激に相場が上昇していることがわかる。

   このように、この4月度の野菜の5週間の相場の推移を見ると、前半はさほど高い数字ではなく、上昇気味の推移であったが、中旬頃から、気温が下がり、急激に各野菜の入荷不足が起こり、相場が急上昇したことがわかる。そして、この直近の第5週においては、昨対150%以上の野菜が増え、200%近い相場となった野菜も生じ、野菜全体が相場高になった異常事態が発生しているといえよう。このまま、このゴールンウィークに流れ込んだことにより、依然として、野菜の相場高が続いているといえよう。今後、ゴールデンウィーク明け、野菜がどのような相場となるか、この5月相場の推移に注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 6, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (1)

May 05, 2010

イズミ、2010年2月期決算を見る!

   イズミが4/9、2010年2月期の決算を公表した。結果は営業収益4,921.40億円(-1.6%)、営業利益204.10億円(-0.0%)、経常利益197.30億円(0.5%)、当期純利益87.52億円(-31.3%)と、わずかに減収、営業段階は微妙な減益となる決算となった。ただ、その幅はわずかであり、ほぼ昨年同様の結果といえる。イズミ自身も、「特に、単価と数量がともに下落を続けるデフレ状況の下で販売低迷が長期化する中、生産性の改善やコスト削減を推し進め収益の下支えを図りました。・・」と、コメントしており、デフレの影響を強く受けた決算結果となったといえよう。

   そこで、まず、営業利益が-0.0%と微妙な結果となった要因を原価、経費面から見てみたい。今期のイズミの原価は78.47%(昨年78.01%)と0.46ポイント上昇している。コメントにもあったように、デフレによる単価の下落が大きかったといえよう。結果、売上総利益は21.53%(昨年21.99%)と減少した。一方、経費の方であるが、22.15%(昨年22.55%)と0.40ポイント減少しており、経費の削減が進んだ。これもコメントにあったように、生産性の改善やコスト削減を推し進めた結果であるといえよう。

   ところで、イズミは衣料品、住関連品等も幅広く扱うGMS、SC業態が主力であるので、売上総利益、いわゆる粗利率が低いように思うが、イズミ本体の決算結果を見ると、その理由がわかる。売上構成比は衣食住合計で57%であり、残りの大部分の35.6%がテナントである。その売上構成比と粗利率を見ると、衣料品15.7%(粗利率36.7%)、食料品32.4%(粗利率25.6%)、住居関連品9.0%(粗利率31.2%)となり、衣食住合計で57.0%(粗利率29.5%)となる。したがって、この段階では粗利率は30%弱と極めて高い数字である。

   そして、これにテナント35.6%(粗利率8.2%)が加わり、この時点で売上構成比は92.6%となるが、相乗積をとると、57.0%×29.5%+35%×8.2%=16.81%+2.87%=19.68%となる。相乗積は粗利構成比であるので、衣食住のみでは16.81%分しか粗利貢献度がなく、テナントの粗利率が8.2%と低いために、粗利貢献度はわずか2.87%となり、結果、この時点で19.68%という粗利になる。これにその他が加わり、最終的には21.53%の粗利率となるが、テナント収入がイズミのビジネスモデルでは極めて必要不可欠な要素となっていることがわかる。

   したがって、このテナント収入も含めた売買差益による利益、マーチャンダイジング力を見ると、-0.62%(昨年-0.56%)と、原価の上昇を経費の削減でカバーできず、マイナス幅をやや広げる厳しい結果となった。それだけ、デフレ圧力が大きかったといえよう。そして、これに、その他営業収入が加わるが、イズミの場合は個別の決算状況を見ると、大きく3つに分かれていることがわかる。不動産賃貸収入(個別売上対比1.4%)、流通センター収入(個別売上対比1.4%)、 店舗賃貸共同管理費収入(個別売上対比1.7%)である。いずれもかなりの数字であり、連結では、合計4.99%(昨年4.84%)となる。GMSの10%前後の数字と比べると、小さいが、食品スーパーマーケットの数字と比べると破格の数字であり、これがイズミの利益の源泉といえよう。

   結果、営業利益は4.37%(昨年4.28%)と増収とはなったが、今期の売上げが-1.76%となったため、金額では204.10億円(昨年204.12億円)とごくわずかな減収、-0.0%という結果となった。こう見ると、今期は、原価の上昇が収益を圧迫したといえ、デフレの影響を強く受けた決算結果となったといえよう。

   そこで、デフレの影響について、さらに、その中身を見てみると、今期は新店が2店舗増加し、昨年の83店舗から85店舗へと店舗数が増加した。ところが、売上高が-1.76%のマイナスとなったが、その要因は既存店が95.3%と厳しい結果となったためである。特に、客数97.4%、客単価97.0%と、双方がダウンしており、客単価に関しては、PI値101.3%、平均単価95.7%と、平均単価のダウンが大きかったといえる。一方、これを商品別にみると、衣料品89.9%、食料品95.7%、住居関連品95.7%、テナント96.9%であり、衣料品の落ち込みが特に大きかったといえる。GMS各社も衣料品の落ち込みが大きい結果が、今期決算では顕著であるが、イズミも同様に衣料品の落ち込みが大きく、まさに、デフレの影響といえよう。

   ただ、このような厳しい決算状況の中で、財務の改善は進んでおり、自己資本比率が30.1%(昨年28.6%)と、30%台となった。昨年の決算公開企業約50社の平均が40.7%であるので、まだまだ改善したいところではあるが、上昇している。その要因は負債の主要項目である有利子負債を65.96億円返済し、1,660.58 億円(総資産対比42.8%)となったことである。今後、さらに、有利子負債の削減は必須といえるが、財務の改善が進んだといえる。

   このように、今期、2010年2月期のイズミの決算はデフレの影響を強く受け、既存店、特に衣料品が厳しい状況であり、原価の上昇が見られるが、経費の方の削減が進み、ほぼ昨年なみの営業利益を確保したといよう。また、この厳しい経営環境の中、有利子負債を削減し、財務改善も図っており、攻めの経営から守りを固める経営の1年であったといえよう。当面、このデフレ環境は続くと予想されるが、次期、2011年度、イズミがどのような経営戦略を打ち出すか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 5, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 04, 2010

イオンリテールの2010年2月期の決算を見る!

   イオンの2010年2月期の決算が4/14に公表されたが、減収とはなったが、昨年の減益から一転、増益となり、堅調な結果となった。営業収益5兆543.94億円(-3.4%)、営業利益1,301.93億円(4.7%)、経常利益1,301.98億円(3.3%)、当期純利益311.23億円(昨年は赤字)という結果である。ただ、営業利益を対営業収益比で見ると、2.57%であり、もう一段、増益を目指したいところであろう。

   この結果を受けて、GMSを統括するイオンの中核企業、イオンリテールの決算結果はどのような状況であったかを見てみたい。まず、営業収益からその他の営業収入を引いた売上高であるが、イオンは4兆5,425.99億円であり、イオンリテールは1兆7,025.72億円であるので、構成比は37.48%であり、約40%弱であり、文字通り、イオングループの中核といえよう。イオンリテールの昨年は6ケ月間の集計であるので、昨対は比較できないので、ここでは、イオン本体との様々な比率を比較してみたい。

   次に、増益となった営業利益であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、イオンは71.96%であり、イオンリテールは73.83%であり、イオン本体の方が若干原価は低いといえる。結果、売上総利益、いわゆる粗利はイオン28.04%(イオンリテール26.17%)となり、粗利面ではイオン本体の方が高めである。これは、イオン本体が原価の低いディベロッパー、金融事業等が加わっているためといえよう。ただ、極端な差があるわけではなく、イオンリテールの数字に良く似た構造であるといえよう。ちなみに、イオンにおけるイオンリテールを含め、他のGMS、食品スーパーマーケット等を含めた総合小売業の営業収益は4兆864.74億円であるので、全体の80.84%であるので、他の業態よりも小売業の数字が強く反映されることでもあり、イオンリテールの数字にイオン本体も近い数字になるものと思われる。

   一方、経費の方であるが、イオン36.43%(イオンリテール33.65%)となる。これは食品スーパーマーケットでは考えられない経費比率であり、いかに、GMS業態が高い経費比率であるかがわかる。特に、どこで差がでるかであるが、イオンリテールの経費項目を見ると、突出したものが2つある。ひとつは人件費関連13.97%であり、もうひとつは設備費であり、13.47%である。この2つの項目で27.44%となり、いかに、GMSは人と巨大な設備投資をかけて小売業を営んでいるかがわかる。

   経費面から見る限り、GMS改革はマーチャンダイジングの問題ではなく、巨大な設備投資をどう回収するかの問題といえ、必然的に不動産収入が前提のビジネスモデルとならざるをえない宿命を負っているといえよう。その意味で、百貨店、SCに近いビジネスモデルであるといえ、マーチャンダイジング主体の食品スーパーマーケット、フランチャイズ主体のコンビニのビジネスモデルとは一線を画す業態であるといえよう。GMSは、小売業というよりも、不動産業に近い業態といえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力はイオン-8.39%(イオンリテール-7.48%)と大きくマイナスとなる。イオン本体の方がややマイナス幅が大きいが良く似たマーチャンダイジング構造といえよう。これに、GMS特有の不動産収入、物流収入等のその他営業収入がイオン11.26%(イオンリテール8.67%)のるが、これを見る限り、イオン本体の方が大きいが、ディベロッパー事業、金融事業等の貢献が高いためといえよう。イオンリテールとしては、マーチャンダイジング力も、その他営業収入も低く、もう一段数字を引き上げたいところであろう。

   結果、営業利益はイオン2.87%(イオンリテール1.19%)という結果であり、イオン本体に比べ、イオンリテールの方が、営業利益がかなり低く、課題が残ったといえよう。特に、その他営業収入よりも、マーチャンダイジング力の差の方が課題といえ、今後、原価の引き下げが一層課題となろう。ちなみに、昨年の6ケ月間の決算となったイオンリテールの原価を計算すると73.74%であり、今期の73.83%よりも低い。今期はトップバリュが昨年の10.8%から13.3%へとイオンリテール内での構成比が上がっているにも関わらず、原価が下がっておらず、それだけ、残り生鮮食品を含む85%以上のNBの原価の下落が大きかったものといえよう。


   ちなみに、純資産比率であるが、イオン30.23%(イオンリテール24.73%)であり、財務面でもイオン本体の方が健全であり、イオンリテールは負債に約75%負う財務構造であるといえ、出店戦略も負債に依存する構造となっており、今後、安定成長をはかる上でも一層の財務改善も課題といえよう。

   このように、GMSを含む総合小売業はイオン本体の80.84%を占める中核事業であり、その中でもイオンリテールは約50%、全体では約40%を占めるイオンの大黒柱といえる。そのイオンリテールの今期2010年2月期の決算結果を見ると、本体よりも、マーチャンダイジング力、その他営業収入、営業利益いずれも下回っており、課題が残る結果であったといえよう。本来、イオンリテールがイオン全体を売上高、営業利益ともに牽引してゆきたいところであろうが、残念ながら全体に押し上げられている状況といえ、GMS改革はイオンにとって待ったなしの最優先経営課題であることがより鮮明となった決算結果であったといえよう。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 4, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 03, 2010

セブンイレブンジャパンとセブン&アイH!

   2010年2月期の食品スーパーマーケット業界の決算の発表がほぼ終了した。全体的には厳しい決算が多く、減益となる食品スーパーマーケットが多い。このような中で、小売業界のトップ、セブン&アイHの中核企業セブンイレブンジャパンの決算がどのような状況であったかを見てみたい。

   セブン&アイHは事業構造を大きく6つに分けて管理している。2010年2月期の営業収益の合計は5兆1,112.97億円であったが、その内訳は、コンビニエンス事業(構成比38.30%)、スーパーストア事業(構成比39.24%)、百貨店事業(構成比17.95%)、フードサービス事業(構成比1.68%)、金融関連事業(構成比2.14%)、その他の事業(構成比0.65%)となる。コンビニエンス事業とスーパーストア事業が2トップであり、ついで、百貨店事業が続く事業構造である。

   ところが、これが利益、特に営業利益となると、2,266.66億円の内訳は、コンビニエンス事業(構成比80.85%)、スーパーストア事業(構成比6.23%)、百貨店事業(構成比0.60%)、フードサービス事業(赤字)、金融関連事業(構成比13.26%)、その他の事業(構成比0.24%)となる。2トップが、コンビニエンス事業の1トップとなり、営業収益の構成比2.14%の金融関連事業がこれに続くことになる。コンビニエンス事業が利益の源泉であり、セブン&アイHを支えているといえよう。

   では、そのコンビニエンス事業であるが、今期の営業収益は1兆9,685.55億円(昨対-14.7%)となり、大きく減収となった。一方、営業利益は1,838.37億円(昨対-13.8%)と、こちらも減益となり、結果、減収減益の厳しい決算となった。これが、セブン&アイH全体が営業収益5兆1,112.97億円(-9.5%)、営業利益2,266.66億円(-19.6%)、経常利益2,269.50億円(-18.7%)、当期純利益 448.75億円(-51.4%)となった大きな要因のひとつである。

   そこで、このセブン&アイHの中核事業、コンビニネス事業について、ここでは、特に、セブンイレブンジャパンについて、見てみたい。まず、この営業収益1兆9,685.55億円(昨対-14.7%)の中身であるが、セブンイレブンジャパンの数字は4,077.95億円(昨年3,997.83億円:102.00%)と増益である。コンビニエンス事業は減収となったが、セブンイレブンジャパンは増収である。では、全体が減収となった要因は何か、これが、海外のセブンイレブンにある。

   今期のコンビニエンス事業 の営業収益1兆9,685.55億円の内、セブンイレブンジャパンの占める数字は4,077.95億円であるので、約20%強であり、残り、80%が実に海外のセブンイレブンの連結数字である。店舗数で見れば、国内のセブンイレブンが12,753店舗であるのに対し、海外はエリアライセンシー店18,407店舗に加え、直営6,389店舗が加わり、24,796店舗となる。また、セブンイレブンジャパンはフランチャイズ主体の事業構造であるため、加盟店収入のみの決算への計上となるため、結果、営業収益は海外比率約80%という数字となる。

   したがって、海外の連結では円高の影響を受けることに加え、特に、アメリカではガソリンの売上構成比が高く、石油相場の影響も大きく受ける。今期も為替レートは昨年が1ドル103.48円で計算していたが、今期は1ドル93.65円と円高となったため、10%以上の影響が生じることになる。セブン&アイH自身も、「コンビニエンスストア事業:ガソリンの単価下落による約1,900億円、円高による約1,500億円の減収要因がありました。・・・」と、コメントしているように実に約3,400億円の減収要因となっており、これが、今期のコンビエンス事業の減収の最大の要因といえよう。

   では、営業利益はどうかであるが、セブン&アイHのコンビニエンス事業の営業利益は先に見たように、1,838.37億円であるが、この内、セブンイレブンジャパンの営業利益は1,562.20億円(全体1,780.60億円:87.73%)であり、減益とはなったが、全体の構成比は約85%であり、利益貢献度が極めて高いといえよう。約80%の営業収益比の海外のセブンイレブンの営業利益への貢献度はわずか約15%である。したがって、セブンイレブンジャパンのコンビニエンス事業における利益貢献はもちろん、セブン&アイHの中でも約70%となり、セブン&アイH全体に占めるセブンイレブンジャパンの存在がいかに巨大なものであるかがわかる。

    気になる営業利益が減益となった要因であるが、営業総利益は4,420.76億円(昨対4,376.18億円:101.01%)とわずかに増加している。一方、経費の方は2,858.56億円(昨対2,595.58億円:110.13%)と大きく増加しており、経費の上昇が営業利益が減益となった要因である。特に、地代家賃112.22%、広告宣伝費135.96%等の上昇が大きかったといえよう。

   このように、セブンイレブンジャパンのセブン&アイHへの事業貢献度は極めて大きいといえ、営業収益では10%弱であるが、営業利益では約70%となる存在感であり、企業グループ全体の利益を大きく牽引している。また、海外のセブンイレブンはコンビニエンス事業の約80%の営業収益となるが、円高、ガソリン等の影響を強くうけるため、不安定要因が高く、今期の営業利益貢献度もコンビニエンス事業のわずか約15%である。規模と質とが反比例関係にある事業構造といえる。セブン&アイHとしては、今期決算を受けて、1トップが鮮明となったセブンイレブンジャパンを中核にどう構造改革に踏み込むのか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 3, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 02, 2010

消費者物価指数(CPI)、2010年3月度、-1.1%!

   4/30、総務省統計局から2010年3月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。結果は、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として99.6 となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は1.1%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は99.5となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は1.2%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は97.7となり,前月比は0.3%の上昇。前年同月比は1.1%の下落となった。」となった。消費者物価指数は、このように3つに分けて公表されており、(1)が文字通り総合、(2)が相場変動の激しい生鮮食品を除く総合、そして、(3)がさらに、食料(酒類を除く)と国際相場と関係の深いエネルギーを除く総合である。

   特に、今月の消費者物価指数で気になるのは、前年同月比がどの段階でも1.0%以上の下落となっており、しかも、前月比0.3%とわずかな上昇にとどまったことである。これまでの数年間の消費者物価指数を月別で見ると、上昇局面では右上がりに動き、逆に下降局面では右下がりに動き、全体としては、いわゆるsinカーブを描き、半円形の動きとなるのが実態である。ところが、ここ数ケ月の動きは、昨年の10月の-2.0近辺の頂点を境に徐々に物価上昇率が上昇してゆき、プラスに近づいてゆく局面に入ったといえるが、1月以降、動きがピタリととまり、-1.0%前後で動かなくなったことである。これまでの数年間の推移を見る限り、3ケ月連続で物価上昇率が横ばいとなったことはなく、明らかに、この3ケ月横ばいは異常な状況といえよう。それだけ、デフレが定着しつつあるといっても良い状況を示しているともいえる。

   こうなると、4月以降がどうなるかを予想するのが極めて難しい状況といえ、このまま-1.0%前後で横ばいが続くのか、プラスの方向に動くのか、それとも、一転して、さらにデフレの方向に再び動き始めるのか、読めない局面に入ったといえよう。これまでの動きを見る限り、物価上昇局面に入ってもおかしくない状況であるにも関わらず、横ばいとなったことから、現状はかなりのデフレ圧力が強いと推測されよう。

   さて、今月はこの3月度の消費者物価指数(CPI)と同時に、2009年度の年間の消費者物価指数も公表された。その結果であるが、「(1) 総合指数は平成17年を100として100.0となり,前年度比は1.7%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.0となり,前年度比は1.6%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.3となり,前年度比は1.0%の下落となった。」であった。総合で1.7%の下落とのことで、まさに、デフレの1年間であったことがわかる。日経新聞によれば、下落は5年ぶり、下落率は比較可能な1971年度以降、過去最大となったという。したがって、今期の決算はまさに、このデフレ真っただ中での決算であったといえ、食品スーパーマーケットの決算が厳しかったのも、このデフレの影響が強く反映された結果といえよう。

   では、今年の3月度、依然としてデフレ圧力が強かった要因を10大費目で見てみたい。総合が同年前月比-1.1%となった要因を寄与度で見ると、食料が最も大きく-0.44ポイントであり、ついで、光熱・水道の-0.31ポイント、教養娯楽の-0.28ポイントである。特に、食料では、生鮮食品-0.02ポイントであるのに対し、生鮮食品を除く食料が-0.41ポイントと圧倒的であり、生鮮食品以外の下落が大きかったといえよう。

   そこで、生鮮食品を除く食料で、下落率が大きかった項目を見てみると、食用油-14.8%、ビスケット-12.6%、スパゲティ-12.5%、たらこ-9.3%、マヨネーズ-8.7%、ミネラルウォーター-8.5%、食パン-8.5%、ケチャップ-7.8%、うなぎかば焼-7.7%、小麦粉-7.7%、果実ジュース-6.2%、ししゃも-5.5%、混ぜごはんの素-5.4%、ぶどう酒-5.3%、ちくわ-5.2%等であり、以上が-5.0%以下である。また、食料以外では、電気代-9.0%、都市ガス-10.3%、テレビ(薄型)-35.9%、パソコン(デスクトップ型)-33.7%、パソコン(ノート型)-37.3%、カメラ-31.3%、外国パック旅行-11.0%、高速自動車国道料金-6.6%等が物価の下落が大きかった項目である。

   ちなみに、このようなデフレ環境の中で、逆に、10%以上物価が上昇した項目を生鮮食品も含めて見てみると、たまねぎ34.7%、乾燥スープ31.2%、ねぎ 30.4%、キャンデー22.4%、だいこん17.3%、マーガリン16.4%、ガソリン16.4%、ばれいしょ16.0%、れんこん15.8%、灯油14.6%、かぼちゃ14.4%、ピアノ12.9%、女性誌12.1%となる。野菜が多いのが特徴であるが、4月度は野菜がさらに上昇しているので、全体の消費者物価指数へ与える影響は大きいかもしれない。

   このように、2010年3月度の消費者物価指数(CPI)は-1.1%と依然として横ばいが続いており、デフレ圧力が強いといえよう。また、同時に公表された2009年度の年間の消費者物価指数も-1.7%の下落であったことがはっきりした。しかも、過去最低の数字であるとのことで、明らかに、昨年から本格的なデフレ局面に入ったといえ、今年に入ってもその影響が続いているといえよう。こう見ると、今後とも、当面デフレが継続する可能性が高いといえ、食品スーパーマーケット業界としても、デフレを前提とした経営戦略を立てることがポイントといえよう。4月以降の消費者物価指数がどう動くか注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 2, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 01, 2010

日経MJ、新製品週間ランキング、4/30、飲料好調!

   ここへ来て、気温も上昇し、日経MJ、新製品週間ランキングも飲料が好調に推移している。ひところの金額PI値100円前後という厳しい状況が一変、夏に向けての新製品が出揃い、しかも、金額PI値も高い水準である。No.1はヤクルトミルミル100ml×3本、金額PI値は525円とAランクの500円を超えており、好調である。No.2には麒麟麦酒、休む日のAlc.0.00% 350mlが金額PI値484円で入り、これも高い数字である。この商品は本来酒扱いであり、ビールコーナーに陳列されることが多いが、ここではノンアルコールということもあり、飲料に分類され、このランキングに登場した貴重な商品である。カバー率も83.2%と、対象49チェーン、250店舗の大半に導入されての金額PI値484円であるので、極めて高い数字である。

   一般に、金額PI値で新商品を評価する場合、500円以上がA、300円以上がB、200円以上がCと見ておけば良いといえよう。これは新商品の評価だけでなく、定番の評価も同様な数字で評価して良いといえ、実際、金額PI値500円を超えるのは至難の業であり、中々500円を超える新商品はもちろん、定番を見つけるのも大変であり、それだけ、高い数字といえる。

   今週の日経MJ、新製品週間ランキングでも、金額PI値500円を超えたのは、このミルミル以外では、家庭用品のNo.1、カネボウ化粧品、ブランシールスペリアホワイトニングWコンクルージョン(医薬部外品)450ml、金額PI値765円、そして、No.2、マックスファクター、SK-Ⅱセルミネーションエッセンス50ml、金額PI値554円のみである。しかも、この2品のカバー率は26.0%、16.4%と、低い数字であり、ごく限られた店舗のみでの数字である。顧客からの充分な評価を受けての数字ではないといえよう。したがって、実質、金額PI値500円以上がどの店舗でも期待できる新製品は、ミルミル1品といってもよく、いかに、500円が高い水準であるかがわかる。

   さて、飲料のNo.3であるが、サントリー、ペプシネックス500mlペットボトル、金額PI値440円、カバー率は何と98.4%であり、極めて高い数字である。ちなみに、今週の全新製品の中でカバー率No.1は飲料、No.6のカゴメ、野菜生活100オリジナル200ml、金額PI値303円であり、カバー率は99.2%である。250店舗の99.2%は248店舗となるので、2店舗のみ入っていない店舗があったが、ほぼ対象店舗全店といって良いといえよう。このNo.6の前のNo.4、No.5には日本ミルクコミュニティ、すっきりCa鉄1000ml、金額PI値372円、毎日骨太1000ml、金額PI値371円が入った。そして、No.7にアサヒ飲料、十六茶490ml、金額PI値301円が入り、ここまでが、金額PI値Bランクの300円以上の新製品である。

   したがって、飲料の金額PI値の水準がここへ来て、大きく上昇しているのがわかる。今週、金額PI値300円以上の新製品を見てみると、飲料7品、菓子0品、冷凍食品0品、その他食品3品、家庭用品5品であるので、いかに、飲料の数字が高いかがわかる。飲料について、さらに、ランキングを見てみると、No.8、No.9に、今週初登場の新製品がキリンビバレッジから入っており、しかも、金額PI値200円のCランクを超えている。No.8が生茶朝のうるおいブレンンド茶500mlペットボトル、金額PI値294円、No.9に生茶500mlペットボトル、金額PI値245円である。カバー率も68.4%、70.4%であり、まずますの数字である。これ以外にも、金額PI値200円台の新製品が飲料では6品あるので、A、B、Cランク合わせて15品がランクインするという状況であり、いかに、今週の飲料が高い水準にあるかがわかる。

   飲料以外では、その他食品が今週は金額PI値が高い水準であり、200円以上が全部で13品あり、好調といえよう。特に、ベスト3が不動となりつつあるといえ、いずれも金額PI値は500円までは行かなかったが、300円以上であり、高い数字である。No.1、No.2は定番中の定番のリニューアル商品、ハウス食品、バーモンドカレー<中辛>238g、金額PI値444円、No.2は<甘口>238g、金額PI値365円である。ただ、先週比は-61円、-54円であり、少し落ち込みが大きく気になるところではある。ただ、カバー率は96.0%、96.0%とほぼ100%に近い数字であり、まさに、定番といえよう。

   そして、No.3には、明治乳業、グルト!ストロベリー40g×6個、金額PI値332円が入った。カバー率が48.8%とやや低いのが気になるが、金額PI値332円とBランクであり、導入店舗の顧客の評価は高いといえよう。その他食品は、この3品が300円のBランク以上の新製品であり、以下、200円以上が10品続き、飲料についで、今週、好調な部門である。

   このように、今週の新製品週間ランキングは飲料が好調といえ、各社ここへ来て、次々に新製品を投入しており、しかも、その金額PI値も高い水準で推移しており、注目の新製品ランキングといえよう。今後、夏場になり、さらに、気温が上昇すると、飲料の数字はもう一段と跳ね上がる可能性が高いといえ、いまの段階から、飲料については、新製品の動向をしっかりつかんでゆくことがポイントといえる。来週以降、飲料がどこまで金額PI値を伸ばしてくるか、注目である。

食品スーパーマーケットのための決算分析、財務3表連環法Vol.4、詳細はこちら!
有料版プレミアム、ID-POS分析分析実践シリーズ!今週の内容!  
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ 資料集
Mixi(ミクシィ)版にMD力って何?のトピックをつくりました!

May 1, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (2)