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November 30, 2010

消費者物価指数(CPI)、2010年10月度、100.2%、上昇!

   消費者物価指数(CPI)、2010年10月度が11/26、総務省統計局から公表された。結果は、総合指数が100.2%と、1年ぶりにプラスに転じた。ただ、3つある総合指数の内、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は依然として-0.6%、-0.8%であり、生鮮食品、食料(酒類を除く)及びエネルギーの貢献度が高いといえ、今後、消費者物価指数(CPI)全体がプラスに転じてゆくのかについては、もうしばらく推移を見る必要があろう。

   そこで、総合指数が前年同月比で0.2%のプラスとなった要因を各項目の寄与度で見てみると、プラス要因となった項目は生鮮食品0.71(昨年0.45)、たばこ0.27(昨年0.00)、電気代0.09(昨年0.08)、灯油0.07(昨年0.08)、都市ガス代0.06(昨年0.05)、ガソリン0.06(昨年0.05)であり、見事に生鮮食品、食料(酒類を除く)及びエネルギーの項目であり、これが総合指数をプラスに転じた要因である。特に生鮮食品、たばこの貢献度が高かったといえ、今後はどちらも落ち着くものといえ、この結果を見る限り、来月以降は再び総合指数がマイナスに転じる可能性が高いといえ、デフレ基調は依然として続いているといえよう。

   一方、マイナスの寄与度の項目も見ておきたい。最も大きくマイナスとなったのが公立高校授業料-0.39(昨年-0.39)であり、現在、この高校授業料の無料化が消費者物価指数全体を押し下げている最大の項目となっている。また、私立高校授業料も-0.10(昨年-0.10)であり、合計-0.49(昨年-0.49)となり、高校授業料は公立、私立ともに消費者物価指数を押し下げている。仮にこれを除くと、消費者物価指数はさらに上昇するが、生鮮食品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数の方は、これを加味してみも依然としてマイナスであり、全体しては、デフレ基調であるといえよう。また、これ以外のマイナス項目では、生鮮食品を除く食料-0.28(-0.32)、その他-0.29(-0.49)である。食品は生鮮と非生鮮で対照的な結果となったといえよう。

   したがって、この10月度の総合指数がプラスに転じた要因は生鮮食品の相場高、たばこの値上げによる影響が極めて大きかったといえる。また、資源、エネルギーもプラスに影響しており、全体として特殊要因といえよう。今後、これえらは徐々に落ち着いてくるといえ、一時的な物価上昇といえよう。今後は恐らく、徐々に落ち着いてくるものと予想され、消費者物価指数は再びマイナスとなる可能性が高いといえよう。

   では、この10月度最も物価を押し上げた生鮮食品の状況を前年同月比で見てみたい。まずは大分類、中分類で見ると、生鮮野菜29.4%と異常値である。特に、レタス133.2%、トマト67.8%、はくさい60.0%、ピーマ54.1%、だいこん52.6%、さやいんげん51.9%と、50%以上上昇した項目も多い。ついで、キャベツ43.3%、ねぎ39.8%、ほうれんそう29.3%、きゅうり26.0%、ながいも25.1%、にんじん24.3%、ブロッコリー22.0%、なす19.9%、かんしょ14.6%、ばれいしょ14.5%、たまねぎ13.8%、さといも10.8%、れんこん10.1%が10%以上上昇した項目である。逆に、下がった項目はもやし-4.7%、生しいたけ-0.9%のみであり、いかに、野菜が異常な相場高であったかがわかる。

   また、果物も24.0%と上昇しており、その中身を見ると、かき(果物)47.9%、りんごA33.5%、ぶどうB31.8%、なし29.5%、みかん16.7%、グレープフルーツ 15.4%と軒並み相場高の影響とえいよう。ただ、輸入品であるグレープフルーツが15.4%は異常値といえる。同じ輸入品のバナナ-1.7%、キウイフルーツ-2.0%はマイナス、オレンジ2.2%、 レモン0.4%は小幅な上昇であり、グッレープフルーツはかなり高い消費者物価指数であるといえよう。

   青果以外では魚介類-1.4%、肉類-1.1%であり、いずれもマイナス、生鮮食品といっても、消費者物価指数にかかわる部門は青果に限定されるといっても良く、これが生鮮全体、さらには、消費者物価全体を押し上げてしまうといえ、影響力がいかに大きいかがわかる。見方を変えれば、それだけ家計にとって重要な部門といえ、青果の重要性が改めてクローズアップされた結果であったといえよう。

   一方、消費者物価指数を下げる要因となっている生鮮食品以外の食品であるが、穀類-3.2%、特に、米類が-4.7%と大きく下がっている。ついで、乳卵類-1.0%、油脂・調味料-2.3%、菓子類-1.4%、調理食品-1.0%、飲料-1.7%、酒類-1.4%と、すべての大分類がマイナスであり、明らかなデフレ傾向が続いているといえよう。こう見ると、食品は青果のみが相場高により、異常値となっているといえ、この10月度の傾向が今後続く可能性は極めて低いといえよう。

   このように、この10月度は消費者物価指数が100.2%と、上昇に転じたが、その中身を見ると、生鮮食品、特に青果の相場高による影響と、たばこの値上げの影響が大きかったといえ、一時的な動きであるといえよう。来月以降はどちらも落ち着いた数字となると思われ、またマイナスに転じることになると思われる。したがって、当面、デフレ基調は継続するものと思われ、食品スーパーマーケット業界にとっては厳しい年末となりそうである。

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November 30, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 29, 2010

食品スーパー売上速報、2010年10月、102.1%!

   食品スーパーマーケット、2010年10月度の売上速報が11/27、オール日本スーパーマーケット協会、日本スーパーマーケット協会、社団法人新日本スーパーマーケット協会の3団体合同統計として公表された。結果は全体の売上高が74,921,083万円(昨対102.1%)となり、前月、9月度の確定値が同時に公表されたが102.5%であるので、10月度も堅調な結果となった。特に、この2ケ月間は猛暑による青果の相場高となり、食品スーパーマーケットの中核部門、青果にプラスの影響が出ており、これが全体を底上げしたこともあるといえる。ただ、その他の部門も堅調な数字となり、食品スーパーマーケット業界は全体としては、ここ数ケ月、安定した売上高が確保できているといえよう。

   この食品スーパーマーケットの売上速報は、先の3団体の全国の加盟食品スーパーマーケットの集計データであり、店舗数では7,066店舗、企業数では北海道・東北45社、関東78社、東海・北陸69社、関西36社、中国・四国42社、九州・沖縄22社、合計292社をカバーしており、日本全国の主要食品スーパーマーケットが網羅され、食品スーパーマーケット業界の現状を知る上で、唯一の貴重な統計データである。

   この統計はこの4月度からスタートしたが、それ以前はチェーンストア協会等の数字が基本とされていた。その中にはGMSなどビックストアが入り、衣料品、住関連品等の数字も入り、食品スーパーマーケットの数字を撹乱していたきらいがあった。また、食品についても、食品スーパーマーケット業界とGMSでは傾向が違い、GMSの規模が大きいため、GMSの結果を反映する傾向が強く、食品スーパーマーケットの純粋な数字が隠れてしまっていたといえる。これに対して、今回のこの3団体の統計は純粋な食品スーパーマーケットの数字であり、食品スーパーマーケットの現況を強く反映しており、信頼のできる数字といえる。特に、全体の数字だけでなく、食品スーパーマーケット特有の生鮮3品、青果、水産、畜産、そして、惣菜も別途集計されており、まさに、食品スーパーマーケット業界独自の集計となっているのが特徴である。

   さて、その各部門の結果であるが、何といっても青果が109.9%(売上構成比13.3%:前月昨対103.7%)となったことが大きい。全体が102.1%であるので、全体を力強く牽引している。これは、相場高が平均単価を押し上げたといえ、結果、売上高を大きく上昇させたものと思われる。一般に食品スーパーマーケットの青果は相場と連動しており、相場が上昇すると売上高も上昇し、相場が下がると売上高も下がる傾向が強い。これは、食生活の根幹を支える野菜のPI値が価格の上昇ほど下がらない傾向が強いためである。通常の商品はPI値と価格とは反比例の関係が強く、価格上昇、PI値ダウンとなるが、青果はPI値ダウンの幅が他の商品よりも弱いという特徴があるがゆえの今回の結果であるといえよう。したがって、マーチャンダイジングが改善された効果よりも、相場の影響が色濃く出た結果といえよう。

   この青果についで、伸びた部門は、104.0%(売上構成比8.9%)の惣菜である。前月も104.0%であるので、ここ数ケ月、惣菜は好調な部門であり、全体の102.1%を超え、青果と並び、食品スーパーマーケット全体の売上げを力強く押し上げているといえる。これはデフレ傾向が引き続き続いているので、外食から内食需要へとシフトしている傾向もあるのではないかと思われる。

   景気に関しては、本調査と同時に各社の景況感指数(DI:Diffusion Index)を公表しているが、この中で 景気判断DIを見ると、3ケ月前との比較は45.2、3ケ月後の見通しは44.6と、食品スーパーマーケットの経営者は景気に関しては厳しい見方をしていることがわかる。したがって、惣菜を含め、外食よりも食品スーパーマーケットで素材、おかずを購入する傾向が強いのではないかと思われる。

   ついで伸び率の高い部門であるが、畜産102.0%(売上構成比10.2%)、一般食品・その他101.4%(売上構成比44.6%)となる。そして、水産であるが、残念ながら99.0%(売上構成比8.8%)となり、雄一、厳しい部門となった。しかも、売上構成比も青果13.3%、畜産10.2%と比べ、水産8.8%はかなり低い数字であり、惣菜の8.8%と同率、惣菜の伸びを見ると、さらに、厳しい数字が予想され、今後、食品スーパーマーケットにとっては、水産の活性化が大きな課題となろう。また、食品以外、非食品であるが98.9%(売上構成比14.3%)という結果であり、食品とは対照的な結果となった。

   このように2010年10月度の食品スーパーマーケット業界の売上速報は102.1%と堅調な伸びとなった。特に、青果は109.9%と2桁に迫る伸びとなり、相場の好影響も加わり、絶好調であったといえよう。また、青果以外では惣菜の伸びも104.0%と全体を押し上げており、好調である。まだ売上構成比が8.8%であり、今後、10%を超え、青果につぐ食品スーパーマーケットの柱になる可能性が高く、今後の食品スーパーマーケットの有力部門といえよう。ただ、景気は依然としてデフレ基調が続いており、景気判断DIも45.2と、食品スーパーマーケットの経営者は厳しい見方をしている。今後、デフレ基調の中で、どのように売上げを伸ばしてゆくか、次の11月、そして、食品スーパーマーケット最大の売上月12月度の動向が気になるところである。

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November 29, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 28, 2010

日経MJで小型食品スーパーマーケットの記事!

   11/26の日経MJで小型食品スーパーマーケットの記事が掲載された。見出しは、「小型スーパー個性競う」、「ヨーカ堂こだわりの商品、イオンローコスト運営、マルエツ通常店を凝縮」であり、各社の小型食品スーパーマーケットの現状を取り上げている。本ブログでも取り上げたイトーヨーカ堂の食品館阿佐が谷店も取り上げられており、都心型小型店がにわかに注目されつつあるといえよう。

   記事の中では、イトーヨーカ堂以外にも、イオンのまいばすけっと、マルエツのマルエツプチ、成城石井も取り上げられており、その違いを一覧表でも解説しており、興味深い内容である。記事を読む限り、この4つの都心型食品スーパーマーケットは3つのタイプに分かれているという。ひとつは、イトーヨーカ食品館堂阿佐が谷店、成城石井型のこだわり商品を強化したアップスケールタイプの食品スーパーマーケット、イオンのまいばすけっとの小型ディスカウント型の食品スーパーマーケット、そして、マルエツプチの通常凝縮型の食品スーパーマーケットである。

   記事の中でも言及されているが、イトーヨーカ堂食品館と成城石井は基本コンセプトが良く似ているという。まず、イトーヨーカ堂食品館であるが、想定顧客層を「生活に比較的ゆとりのある高齢者、共働き夫婦、単身者」としており、698円のポン酢など通常店にあまりない商品も多いという。さらに惣菜にもこだわり、398円、498円の弁当に加え、698円のキンメダイの煮付け弁当、さらには、1,500円前後の人形町今半の弁当まであるという。そして、記事では、「ヨーカ堂のこだわり路線をさらに推し進めているのが成城石井だ。」と解説しており、最新の六本木ヒルズ店を取材している。

   実際、成城石井とイトーヨーカ堂食品館阿佐が谷店の売場は良く似ており、ブログでも言及したが、随所に成城石井のにおいのする商品があり、基本コンセプトが似ているといえる。イトーヨーカ堂食品館は、今後、1年以内に東京23区に10店舗、将来は首都圏に100店舗を展開する計画であるというが、これを統括するのが、成城石井の元社長、大久保氏とのことで、似てくるのは当たり前といえば当たり前であろう。

   ただ、記事の中でも言及されているが、イトーヨーカ堂食品館の店舗面積が880平米であるのに対し、成城石井は100から180平米と1/4以下の超小型店であり、ここ最近は特に商業施設内、駅中などに出店しており、出店戦略に違いが見られる。ちなみに、この店舗面積の違いが商品構成にどのような違いがあるかであるが、決定的な違いは、生鮮食品と日配食品であり、この商品群が店舗面積の差となっているといえよう。また、成城石井は酒が特に強化され、ワイン等が充実しているが、イトーヨーカ堂食品館はあまり酒は強化されてはおらず、ここも大きな違いである。したがって、両社は競合するというよりは、合い補いあう関係ともいえ、今後、駅中は成城石井、駅周辺はイトーヨーカ堂と補完関係を築くことも可能であるといえ、同一商圏内に両店舗が同時に成り立つことも十分に考えられることである。

   これに対して、イオンのまいばすけっとであるが、店舗面積は成城石井に近く、150平米から250平米であるが、とにかく価格訴求が基本戦略であり、しかも、商品を約2,000品に絞り込んでいるのが特徴といえる。この面積ではさすがに生鮮食品、日配の充実は難しく、グロサリー主体の商品構成とならざるをなくなる。すでに150店舗近く首都圏に出店しており、小型食品スーパーマーケットとしては、今回の記事にはないが、ローソンストア100(ショップ99)と並び、店舗数がかなりの数となっており、業態としても確立しつつあるといえよう。

   そして、マルエツのプチであるが、記事の中では「通常の食品スーパーを凝縮した形」と表現されているが、実際、商品数は約3,000品目、売場面積は140平米前後ということで商品数をコンビニ並みに絞り込み、面積はコンビニよりも一回り大きいといえ、その分、生鮮食品、日配等を充実させているといえる。特に、出店戦略が「都心部のスーパーが少ない地域」への出店であるといい、まさに、食品スーパーマーケットの空白商圏を補う業態というコンセプトであるといえる。

   今回記事には掲載されていないが、首都圏ではいなげや、カスミ、テスコ、JRに買収された紀ノ国屋なども小型店開発に積極的であり、今後、都心型小型食品スーパーマーケットの競争が激化してくるものと予想される。ただ、まだまだ、採算性にあっているとはいえず、当面ビジネスモデルとしての検証が続くと思われるが、都市部でのニーズは確実に増加しているといえ、消費者にとっては望ましい動きであるといえる。

   このように、日経MJで都心型、小型食品スーパーマーケットが特集されたが、100店舗以上を出店し、業態が確立されつつあるのがイオンのまいばすけっと、ローソンストア100(ショップ99)ぐらいであり、あとは、ここ最近本格展開がはじまった、ないしは計画されている企業であり、ビジネスモデルとしては、まだまだ実験段階であるといえよう。ビジネスモデル確立には、恐らくもう数年かかるのではないかと思われるが、今後、本命となる可能性の高いイトーヨーカ堂食品館の2号店がいつ、どこに出店するのかが気になるところである。

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November 27, 2010

キャッシュフロー、ホールフーズマーケットを見る!

   前回に引き続き、ホールフーズマーケットの2010年9月期の本決算を取り上げて見たい。前回がP/Lを取り上げたので、今回はこの好調な決算を受けて、ホールフーズマーケットのJohn Mackey氏(CEO: co-chief executive officer and co-founder of Whole Foods Market)の意思が最も強く反映されるキャッシュフローに焦点を当て、彼がどのようにキャッシュを配分したか、経営の意思を垣間見てみたい。

   まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、今期は大幅な増益となったが、585,285千ドル(昨年587,721千ドル)と、昨年とほぼ同じ、日本円で約500億円となった。これは、当期純利益は245,833千ドル(昨年146,804千ドル)と167.4%の大幅な伸びとなったにも関わらず、買掛金、在庫、その他の資産が増加したため、昨年と比べキャッシュを使ったためである。売上高が好調であったがゆえに、積極的なマーチャンダイジングの強化をはかったためであるといえよう。

   次に、キャッシュフローの中でも将来戦略が強く反映される投資活動によるキャッシュフローであるが、-715,406千ドル(昨年-386,283千ドル)であり、昨年の約2倍のキャッシュを配分している。John Mackey氏の強い意志が感じられる。その中身であるが、意外なことに、Purchase of available-for-sale securities、すなわち有価証券に-1,072,243千ドル、約900億円購入しており、営業キャッシュフローの総額を超える金額を投資している。びっくりである。成長戦略、すなわち、土地、建物等へは-171,379千ドル(昨年 -247,999千ドル)と、昨年と比べ削減し、わずか約140億円であり、この配分を見る限り、昨年よりも出店は控えるものと思われ、来期は既存店の活性化に注力するものと思われる。ただ、それにしても、これだけ有価証券への思い切った投資はびっくりであり、それだけ、短期では有価証券の価値が大きく高まるという読みであろう。

   しかも、営業活動によるキャッシュフローの約2倍の有価証券への投資であるので、当然、フリーキャッシュフローは-130,121千ドル(昨年201,438千ドル)、昨年と一転、マイナスとなり、その分のキャッシュの調達が必要となる。したがって、新たにキャッシュを調達してまで、有価証券に思い切った投資を行ったということであり、これが、John Mackey氏の経営者としての、まさに経営決断であるといえよう。この決断を見ると、今後、アメリカの金融市場は大きく伸びる可能性があるといえ、ホールフーズマーケットの動きはもちろん、アメリカ、そして、今後の世界経済の動向に注目といえよう。

   さて、問題はホールフーズマーケットがマイナス分のフリーキャッシュフローの資金をどう調達したかであるが、一般には2つの方法がある。ひとつは、財務活動によるキャッシュフロー、すなわち、有利子負債を増加させるか、資本金を増加させる方法であり、もう1つは、内部留保を取り崩す方法である。そこで、財務活動によるキャッシュフローを見てみると、-168,906千ドル(昨年199,455千ドル)と、さらにマイナス、むしろ、マイナスを増加させており、財務活動によるキャッシュの調達を選択しておらず、結果、内部留保を取り崩している。ただ、株式の発行が46,962千ドル(昨年4,286千ドル)あり、昨年同様に実施し、資本金の増強をはかっているが、財務活動によるキャッシュフローのマイナス分はカバーしきれていない。

   そこで、財務活動によるキャッシュフローの中身を見ると、有利子負債の返済が -210,350千ドル(昨年-318,370千ドル)と、ここにキャッシュを配分している。ただ、昨年は同時に借入も実行していたため財務活動によるキャッシュフローが増加したが、今期は新たな借り入れはしておらず、そっくり返済にキャッシュを配分しており、内部留保を投資活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフロー、双方に配分していることがわかる。

   では、どのくらいの金額を内部留保から取り崩したかであるが、-298,134千ドル(昨年399,596千ドル)であり、このキャッシュを投資活動によるキャッシュフローと財務活動によるキャッシュフローに配分したといえる。したがって、B/Sの現金が131,996千ドル(昨年430,130千ドル)と大きく減少しており、財務的にはキャッシュが減少するというリスクを負ったことになる。ただ、このリスクを負っても、いまは投資、特に、有価証券を購入しておくべきとのJohn Mackey氏の強い意志が働いたといえ、異例のキャッシュフロー戦略といえよう。

   ちなみに、ホールフーズマーケットの純資産比率は59.53%(昨年43.00%)であり、昨年と比べても、比率を見ても、安定しており、財務状況は健全であるといえる。これは増資と好調な決算による利益増が大きく、この安定した財務改善があったがゆえに、今期、異例ともいえる思い切ったキャッシュフロー戦略を打ち出したともいえよう。

   このように、キャッシュフローには今期のホールフーズマーケットの決算のように、経営者の強い意志が反映される。John Mackey氏はCEOであり、創業者の1人でもあるがゆえに、カリスマ性を備え、かつ強力な権限をもっており、今回のような異例のキャッシュの配分が可能であったといえよう。通常はここまで有価証券にキャッシュを配分、しかも、内部留保を取り崩してまで配分するという荒技はできないといえるが、これがキャッシュフローの本質であるといえ、ここに経営者の強い意思を読みとることができる。それにしても、John Mackey氏、恐るべき経営者である。

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November 27, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 26, 2010

ホールフーズマーケット、株価上昇、決算好調!

   ホールフーズマーケットの株価が11/4、大商いとなり、急上昇した。前日11/3の41.07ドルが11/4、47.27ドルとなり、売買高は1,285.4万株、通常が150.0万株前後の商いであるので、約10倍弱の大商いである。過去3年間で最高値の株価であり、2008年11月には10ドルを切り、底値をつけていた状況であったが、その後、株価は上昇傾向で推移する。今年に入り40ドル付近まで上昇し、しばらく横ばいで推移していた株価であったが、11/4まさに急上昇である。その要因であるが、11/3にホールフーズマーケットの2010年度の本決算が公表され、昨年の厳しい決算とは一転、好調な決算であったことにあるといえ、ホールフーズマーケット復活の決算となった。

   その決算結果であるが、まずは、売上高であるが、9,005,794千ドル(昨年8,031,620千ドル:112.1%)と、2桁の伸びであり、大幅な増収となった。2009年度が1.0%と、わずかな伸びに留まったことと比べ、明らかに、売上高が回復している。しかも、既存店が7.1%の伸びであり、新店効果だけではなく、ホールフーズマーケット全体が回復基調にあるといえよう。さらに、四半期ベースで見ると、第1四半期7.0%、第2四半期13.4%、第3四半期15.2%、第4四半期14.7%と順調に推移しており、安定した成長を続けていることがわかる。

   ついで利益であるが、ホールフーズマーケットのP/Lは独特な利益構造となっており、日本のP/Lのように、営業利益、経常利益、当期純利益という利益がなく、まずは、店舗貢献利益が算出される。これは粗利から直接店舗にかかった費用を差し引いた利益であり、まさに店舗貢献利益である。2010年度は124.8%であり、売上高の伸び、112.1%を上回る伸び率である。ちなみに、売上高対比は8.4%であり、高い数字である。ついで、ここから一般管理費を差し引いた通常利益、ただし、開店、閉店経費前の経費を差し引く前の利益が算出される。昨対133.5%であり、好調な数字である。これも売上高対比を見ると、5.4%と高い数字である。そして、さらに、ここから開店、閉店費用を差し引いた営業利益が算出される。昨対は何と154.0%であり、絶好調である。これも売上高対比を見ると、4.8%であり、やはり、高い数字である。

   それにしても、ここまで利益を段階的に分けて公開するのは極めて異例といえ、びっくりである。いわゆる営業利益までに、店舗貢献利益、開店、閉店経費前の通常利益が段階的に開示され、それに伴い、費用がその度に、直接店舗にかかった費用、一般管理費用、そして、開店、閉店費用として計上され、まさに、小売業ならではの、独特な利益の開示方法であるといえよう。

   さて、ここで、原価、経費という観点から、2010年度のホールフーズマーケットの決算結果を改めて見てみたい。まずは、原価であるが、65.18%(昨年65.70%)であり、原価が0.52ポイント改善している。結果、売上総利益、いわゆる粗利率は、34.82%(昨年34.30%)と、粗利が改善している。それにしても、粗利率が34.82%とは、小売業としては異例の高さであるといえ、これがホールフーズマーケットの最大の特徴である。オーガニック商品を主体とする食品スーパーマーケットであるがゆえの強さであるといえよう。ちなみに、ウォルマートの2011年度の第3四半期決算時の粗利率が24.80%であるので、いかに、ホールフーズマーケットの粗利率が高いかがわかる。

   一方、経費であるが、これが、営業利益までに、3段階あるので、それぞれの段階で見てみると、まずは、Direct store expensesであるが、26.37%(昨年26.71%)と、0.34ポイント改善している。ついで、General and administrative expensesであるが、3.02%(昨年3.03%)と、0.01ポイントと、わずかではあるが、ここでも改善している。そして、Pre-opening expenses、Relocation, store closure and lease termination costsであるが、0.54%(昨年1.00%)と0.46ポイント改善している。したがって、すべての段階の経費が改善されており、利益の改善に加え、経費も改善されていることがわかる。ちなみに、この3つの経費を足すと、29.93%(昨年30.74%)という数字となり、粗利も高いが、経費も高い数字である。これもウォルマートと比較すると、ウォルマートは19.72%の経費比率であるので、何と約10%の差であり、ここにもホールフーズマーケット独特の営業構造の特徴があるといえよう。

   結果、差し引き、営業利益は4.85%(昨年3.56%)となり、大幅な増益となった。原価が改善しただけでなく、経費もすべての段階で改善しており、理想的に業績が回復したといえよう。この決算数字が公表された翌日11/4の株価が急騰するのも頷ける結果であるといえよう。

   このように、ホールフーズマーケットは、復活ともいえる鮮やかな大幅な増収増益決算であるといえる。しかも、売上高は既存店も回復しており、さらに、利益は、原価、経費双方が改善、経費はすべての段階で改善しての好決算であり、力強さを感じる決算結果といえる。これを踏まえて、2011年度であるが、売上高は10% - 12%、既存店も5.5% - 7.5%と増収予想である。また、営業利益も5.0%の増益予想である。したがって、来期も好調な決算となる可能性が高いといえ、この2010年度が異常値ではなく、今後も今年同様の好決算が期待できそうである。

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November 25, 2010

ウォルマート、第3四半期、売上高3.8%増!

   ウォルマートが11/16、2011年1月度の第3四半期決算を公表した。決算期間は2/1から10/31までの9ケ月間であり、ウォルマートの本決算は2011年1月、あとわずかであり、今期最終の四半期決算である。結果は、売上高$ 303,352(昨年$ 292,306:3.8 %)となり、単位は100万ドルであるので、1ドル83円で計算すると約25兆円となった。昨対が3.8%と微増であり、やや、売上高は伸び悩んだといえよう。一方、営業利益であるが、$17,538(昨年$16,544:6.0%)となり、増益、売上高比率で5.78%と堅調な数字となり、増収増益の好決算となった。

   そこで、まず、売上高が3.8%増となった要因を事業構造から見てみたい。ウォルマートの事業構造は大きく3つに分かれており、米国内ウォルマート部門、サムズクラブ部門、そして、ウォルマートインターナショナル、すなわち、国際部門である。この内、最も伸びたのは国際部門13.5%である。少し前までは、ドル高が国際部門の売上を引き下げていたが、ここ最近は一転、ドル安になり、ウォルマートの国際部門の売上を押し上げており、この為替相場も好調な要因のひとつといえる。たとえば、1ドル100円の為替相場が現在1ドル83円の円高、すなわちドル安となっており、100円の売上げが現在は1.20ドルとなり、ドル安がウォルマートの国際部門の売上げを押し上げるためである。余談だが、セブン&アイHはアメリカのセブンイレブンの売上構成比が高いために、ドル安、すなわち、円高は不利に働き、このまま円高が続くと、決算にも影響が生じかねないといえよう。

   では、アメリカ国内の状況はどうであったかであるが、ウォルマート部門は0.4%と微増であり、厳しい結果であった。ウォルマート全体の売上構成比が62.35%であるので、国際部門のドル安ばかりに頼っているわけにはいかず、今後、国内部門の活性化が課題といえよう。また、サムズクラブ部門は3.1%と堅調な数字であったが、売上構成比は11.98%とウォルマート全体への影響度は低く、これを見ても、ウォルマート部門の重要性がわかる。

   次に、利益面を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、75.20%(昨年75.04%)と0.16ポイント上昇が見られる。結果、売上総利益は24.80%(昨年24.96%)となった。日本の食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社の平均が25.0%であるので、ほぼ同じ数字であり、25.0%の粗利率は食品スーパーマーケットでは世界標準値ともいえよう。一方、経費の方であるが、19.72%(昨年20.03%)と、0.31ポイント改善しており、20%を下回る経費比率である。これも、日本の食品スーパーマーケットの決算公開企業約50社で見ると、25.6%であり、約5%経費比率が低く、ここがウォルマートの真骨頂、ローコストオペンレーションであるといえよう。約25兆円の規模で20%を下回る経費比率であり、驚異的な数字といえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は5.08%(昨年4.93%)となり、昨年を上回った。原価の上昇を経費の削減でカバーしており、これが好調な決算の要因といえよう。そして、これにその他営業利益が0.70%(昨年0.73%)のり、営業利益は5.78%(昨年5.66%)と、わずかではあるが、増益となった。

   この好調な決算を受けて、ウォルマートのキャッシュフロー、特に、今後の成長にかかわる投資活動によるキャッシュフローを見てみたい。今期は9,289百万ドル(約7,700億円:昨年8,661百万ドル)と昨年以上の投資をしており、その大半が新規出店がらみといえ、昨年以上に積極的な投資であるといえる。また、財務活動によるキャッシュフローでは、10,972百万ドル(昨年5,105百万ドル)を自社株買いに配分しており、実質、株主還元といえる。

   これを受けて、ウォルマートの株価であるが、ここ数ケ月は株価が右上がりに上昇している。ちょうど5ケ月前の7/1に47.77ドルの底値を付けて以降、株価は上昇、8月には50ドルを超え、9月には54ドルを超えた。そして、11月には55ドルを超え、現在、54ドル前後で推移している。その背景には、この第3四半期決算が好調であったことに加え、先にあげた約100億ドルの自社株買いも効いているといえ、株主還元が徹底しているといえよう。

   結果、この第3四半期のEPS(一株当たり利益)は増加している。ウォルマート自身もこの決算の冒頭で、「Walmart reports third quarter diluted earnings per share (EPS) of $0.95, compared to an adjusted $0.82 per share last year. 」とコメントしているように、0.95ドル/株(昨年0.82ドル/株)への増加を最も重要な決算結果として掲げており、いかに、株主還元がウォルマートの経営にとって重要事項であるかがわかる。

   このように、ウォルマートの第3四半期決算が公表されたが、結果は増収増益の堅調な決算となった。ただ、売上高は国際部門によるところが大きく、利益は原価よりも、経費削減に負うところが大きく、やや気になる決算結果である。ウォルマートとしては、大黒柱の国内のウォルマート部門の売上、そして、EDLPの前提となる原価改善による増収増益を目指したいところであると思われ、今後、どのようにウォルマートが、この決算結果を受け、経営改善に踏み切るか注目である。

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November 25, 2010 in ウォルマート、海外情報, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 24, 2010

コンビニ、売上速報、2010年10月度、-3.7%!

   注目のコンビニの売上速報、2010年10月度が(社)日本フランチャイズチェーン協会から11/22、公表された。9月度はたばこの値上げによる駆け込み需要が売上高を押し上げ、速報値で昨対15%増と異常値が出ており、その反動がどのくらいになるか注目されていた。結果は-3.7%減となり、微妙なマイナス、大きな落ち込みとはならず、むしろ、善戦したといえよう。ちなみに、この10月度までの売上速報の数字であるが、10月度-3.7%、9月度+15.0%、8月度+2.9%、7月度+2.6%、6月度+0.9%、5月度-1.1%、4月度-1.4%、3月度-2.6%、2月度-2.0%、1月度-2.7%という推移であり、10月度はやや落ち込み幅が大きいが、9月度の異常値を考慮すると、さほど大きな落ち込みではないといえよう。

   特に、商品部門ごとの売上速報を9月度と比較して見ると、日配食品4.6%(9月度1.0%)、加工食品1.7%(9月度1.3%)、非食品-19.3%(9月度43.9%)、サービス8.8%(9月度4.5%)という結果であり、たばこを含む非食品以外の部門はむしろ数字が伸びており、昨年対比で見ても、9月度の昨年対比で見でも、好調といえる。明らかに、たばこの問題に絞られているといえ、今後、たばこの買いだめが一段落すると、非食品もプラスになり、全体もプラスに転じる可能性が極めて高いといえよう。したがって、この9月度のコンビニの売上速報は9月度のたばこの値上げに対する駆け込み需要の反動はあったものの、その影響を抜けば、堅調な売上高であったといえよう。

   今回のこの10月度のコンビニの売上速報はマスコミ各社も注目していたと見え、各社が様々な記事を掲載している。その一部をネットから拾ってみると、「コンビニ売上高5.9%減 10月、「たばこ特需」の反動」(日経新聞)、「コンビニ売上高10月5.9%減、たばこ駆け込みの反動」(朝日新聞)、「コンビニの10月売り上げ低調、たばこ反動減で」(読売新聞)、「たばこ反動にプレミア路線で対抗 10月コンビニ、5・9%減も客足戻る」(MSN産経ニュース)、「たばこ反動減、コンビニも打撃=5.9%マイナス-10月」(時事通信)、「たばこ増税コンビニ直撃」(TBS)という見出しである。

   この(社)日本フランチャイズチェーン協会のコンビニの売上速報は、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの10社の統計数字であるが、全体は-3.7%であったが、各社の数字には大きなばらつきがあるという。先の各社の記事の中で、日経新聞を見ると、セブンイレブン・ジャパン-2.1%、ローソン-3.1%であるのに対して、たばこの売上構成比の高いサークルKサンクス-11.1%、ミニストップ-10.6%、ファミリーマート-9.9%と2極化しているという。また、11月に入り、すでに売上高がプラスに転じたチェーンも出ているといい、コンビニの売上高がゆるやかなに回復する動きもみられるという。

   MSN産経ニュースでは、これを裏付けるように、各社のコメントを掲載しているが、「10月当初は、たばこの売り上げが4~5割減ったが、思ったより速いペースで戻っている」(セブン-イレブン・ジャパン)、「11月中旬の段階で来店客数が前年を上回る水準に回復した」(ローソン)とのことで、特に、この2チェーンは売上高が回復基調に入っているといえよう。特に、「各社とも「ここでしか買えない」というプレミアム商品を強化するなどの反動減対策が効果を発揮している。」とのことで、プレミアムがキーワードのようである。

   さて、ここで、もう少し、10月度の数字を確認してみたい。全体の売上速報は-3.7%であったが、既存店は-5.9%ともう少し厳しい状況である。店舗数が43,268店舗(1.7%)と新店が増加したことが全体の数字を押し上げたといえる。では、客数、客単価はどうであったかであるが、客数-2.6%(既存店-4.4%)、客単価-1.1%(既存店-1.5%)であり、売上高減の要因は客単価よりも客数が大きいといえる。

   ちなみに、客単価の金額であるが、10月度558.8円(既存店553.0円)、昨年10月度565.0円(既存店561.6円)であり、昨年と比べ約7円のダウンである。7円の客単価は200円の商品のPI値3%強であり、コンビニの客数約1,000人で30個の数であり、1日30個プラスで売れるかが課題となる。逆に、平均単価を210円強と10円強のアップでも良い。実際のコンビニの対策を見ると、プレミアム商品開発による平均単価アップを重視しているようであり、PI値アップの数量強化ではないようである。

   このように、この10月度のコンビニの売上速報は、全体が-3.7%(既存店-5.9%)となったが、その要因は予想された9月度のたばこの値上げ前の駆け込み需要の反動であることが明らかであり、これを除くとむしろプラスであるといえ、比較的堅調な結果となったといえよう。その意味で、たばこの影響はコンビニにとって、プラス効果の方が大きかったといえ、マイナスは予想の範囲内、むしろ、予想以上にマイナスの影響は低かったといえよう。次回、11月の数字がプラスに転じるかどうか、コンビニの今後の動向に注目である。

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November 24, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 23, 2010

食品スーパーマーケット、マーチャンダイジング力の実態!

   食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力、売上総利益(原価)-経費、すなわち、商品売買から得られる利益の直近の動向を見てみたい。取り上げる食品スーパーマーケットは、ここ数ケ月以内に公表された中間決算、本決算、四半期決算の主要食品スーパーマーケットである。全部で19社を取り上げて見たい。まずは、結論であるが、マーチャンダイジング力がプラスになった食品スーパーマーケットが7社、マイナスになった食品スーパーマーケットが12社となった。したがって、この結果を見る限り、マーチャンダイジング力は厳しい状況にあるといえる。

   そこで、まず、プラスの食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力を見てみたい。数字が高い順に見てみると、大黒天物産、マーチャンダイジング力5.77%(昨年5.28%)、原価77.36%(昨年77.09%)、売上総利益22.64%(昨年22.91%)、経費比率16.87%(昨年17.63%)、原信ナルスH、マーチャンダイジング力マーチャンダイジング力は3.39%(昨年2.67%)、原価73.74%(昨年73.74%)、売上総利益26.26%(昨年26.26%)、経費比率22.87%(昨年23.59%)であり、この2社が特に好調な結果となった。ただ、どちらも、経費を削減してのマーチャンダイジング力のプラスであり、経費削減が好調の要因である。

   ついで、PLANT、マーチャンダイジング力2.18%(昨年1.39%)、原価80.36%(昨年80.76%)、売上総利益19.64%(昨年19.24%)、経費比率17.46%(昨年17.85%)、マルキョウ、マーチャンダイジング力1.63%(昨年1.48%)、原価78.99%(昨年79.68%)、売上総利益は21.01%(昨年20.32%)、経費比率19.38%(昨年18.84%)、ハローズ、マーチャンダイジング力1.0%(昨年0.3%)、原価77.0%(昨年77.1%)、売上総利益23.0%(昨年22.9%)、経費22.0%(昨年22.6%)、ダイイチ、マーチャンダイジング力0.71%(昨年0.70%)、原価76.95%(昨年76.81%)、売上総利益は、23.05%(昨年23.19%)、経費比率22.34%(昨年22.49%)、マミーマート、マーチャンダイジング力0.36%(昨年0.33%)、原価75.94%(昨年75.99%)、売上総利益は24.06%(昨年24.01%)、経費比率23.70%(昨年23.68%)である。

   この内、原価のみ改善した食品スーパーマーケットはマルキョウ、マミーマートであり、経費のみ改善した食品スーパーマーケットは、ダイイチのみである。これ以外の食品スーパーマーケット、PLANT、ハローズは原価、経費双方を改善しており、理想的なマーチャンダイジング力の改善となった。

   一方、マーチャンダイジング力が、マイナスとなった食品スーパーマーケットであるが、ダイエー、マーチャンダイジング力-7.29%(昨年-8.41%)、原価69.98%(昨年70.35%)、売上総利益30.01%(昨年29.65%)、経費比率37.30%(昨年38.06%)、アオキスーパー、マーチャンダイジング力-2.58%(昨年-1.65%)、原価84.85%(昨年84.63%)、売上総利益15.15%(昨年15.37%)、経費比率17.73%(昨年17.02%)、オークワ、マーチャンダイジング力-1.89%(昨年-2.04%)、原価75.19%(昨年75.39%)、売上総利益24.81%(昨年24.61%)、経費比率26.70%(昨年26.65%)、マックスバリュ東北、マーチャンダイジング力-1.76%(昨年-2.39%)、原価77.10%(昨年76.81%)、売上総利益22.90%(昨年23.19%)、経費比率24.66%(昨年25.58%)、バロー、マーチャンダイジング力-1.14%(昨年-1.26%)、原価76.66%(昨年76.60%)、売上総利益23.34%(昨年23.40%)、経費比率24.48%(昨年24.66%)の5社が-1.0%以上のマイナスとなった。

   さらに、これ以外のマーチャンダイジング力がマイナスとなった食品スーパーマーケットであるが、関西スーパーマーケット、マーチャンダイジング力-0.88%(昨年-1.36%)、原価76.87%(昨年76.51%)、売上総利益23.13%(昨年23.49%)、経費比率24.01%(昨年24.85%)、イズミ、マーチャンダイジング力-0.58%(昨年-0.79%)、原価78.83%(昨年78.32%)、売上総利益21.17%(昨年21.68%)、経費比率21.75%(昨年22.47%)、カスミ、マーチャンダイジング力-0.45%(昨年-0.75%)、原価74.46%(昨年73.99%)、売上総利益25.54%(昨年26.01%)、経費比率25.99%(昨年26.76%)、ヤオコー、マーチャンダイジング力-0.21%(昨年0.16%)、原価71.53%(昨年71.38%)、売上総利益28.47%(昨年28.62%)、経費比率28.68%(昨年28.46%)、マルエツ、マーチャンダイジング力-0.09%(昨年0.60%)、原価71.56%(昨年71.65%)、売上総利益28.44%(昨年28.35%)、経費比率28.53%(昨年27.75%)、マックスバリュ西日本、マーチャンダイジング力0.08%(昨年0.57%)、原価76.01%(昨年75.44%)、売上総利益23.99%(24.56%)、経費比率23.91%(昨年23.99%)、アークス、マーチャンダイジング力3.02%(昨年3.14%)、原価77.26%(昨年77.70%)、売上総利益22.74%(昨年22.30%)、経費比率19.72%(昨年19.16%)の7社である。

   この12社の内、原価のみ上昇した食品スーパーマーケットは、マックスバリュ東北、バロー、関西スーパーマーケット、イズミ、マックスバリュ西日本の5社であり、経費のみ上昇した食品スーパーマーケットはオークワ、マルエツ、アークスの3社である。そして、原価、経費ともに上昇した食品スーパーマーケットは、アオキスーパー、カスミ、ヤオコーの3社である。また、ダイエーは原価、経費ともに下がっており、マーチャンダイジング力は大きくマイナスであるが、昨年よりは改善している。

   このように、ここ最近の食品スーパーマーケットの決算結果を見ると、マーチャンダイジング力がマイナスとなった食品スーパーマーケットが多いといえる。そして、その要因は原価の上昇であるケースがどちらかというと多いといえ、経費はむしろ全体として改善傾向にあるといえよう。これは、まさに、デフレによる経営環境の厳しさを反映しているといえ、価格競争が原価に跳ね返っているといえよう。したがって、このような経営環境の中でも利益を確保してゆくには経費の削減しかないといえ、各社が経費の削減に強く取り組んだ結果ともいえよう。当面、この傾向は続くといえ、今期の本決算は経費削減が利益を確保するための最優先での経営課題となるものといえよう。

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November 23, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 22, 2010

食品スーパーマーケット、中間決算、新聞記事!

   日経MJ11/19、日経新聞11/20、食品スーパーマーケットの中間決算の評価について、対照的な記事が掲載された。先に公表された日経MJの見出しは、「食品スーパー10年度中間決算、猛暑効果は限定的、価格競争で粗利率悪化」、「マルエツなど4社、営業2ケタ減」との厳しいトーンの記事である。一方、翌日に掲載された日経新聞の見出しは、「食品スーパー、収益が改善、主要17社、今年度15社が経常増益に」、「低コスト経営で高収益、販売管理費圧縮」という、収益改善のトーンの見出しである。

   いったいどちらが正しいのだろうか、どちらの記事も同じ、食品スーパーマーケット業界の2010年度の中間決算の結果を前提としての記事であり、取り上げた食品スーパーマーケットも、ライフコーポレーション、マルエツ、アークス、カスミ、いなげや、ヤオコー、ベルクと7社が共通であり、同じP/L(損益計算書)をもとに記事が書かれている。であるにもかかわらず、見出しのトーンが日経MJは悪化と日経新聞は改善と対照的なものとなり、両方を同時に見ると、混乱してしまう内容である。

   なぜ、同じ食品スーパーマーケットのP/L(損益計算書)を基にした記事であるのに、このような対照的な記事となるのか、不思議である。一般に同じ数字に対しての解釈が違う場合は、その数字の解釈そのものに問題があるのか、あるいは、その数字が2重に解釈できるかであるが、今回の場合は、記事を読む限り、後者のように思える。食品スーパーマーケットのP/L(損益計算書)は2重の評価を含んだ要素があり、どちらに焦点を当てるかにより、良くも悪くもなるということがたまたま起こり、日経MJは悪い面を取り上げ、悪化のトーンの記事となり、日経新聞は良い面を取り上げ、改善のトーンの記事となったと思われる。

   また、双方の記事で取り上げた主要食品スーパーマーケットのP/L(損益計算書)の数字を見ると、日経MJは売上高と営業利益の昨対比較、日経新聞は売上高と経常利益の昨対比較と、利益の焦点の当て方が違う。決算短信、有価証券報告書等で公開されている食品スーパーマーケットのP/L(損益計算書)には、利益面では3つの利益がある。日経MJが記事で取り上げた営業利益、日経新聞が取り上げた経常利益、そして、当期純利益である。このどれに焦点を当てるかで、中身はかなり変わってくる。営業利益は比較的マーチャンダイジングの結果を反映するが、経常利益は営業外収入、支出等が加わり、マーチャンダイジングの要素が薄れる。さらに、当期純利益に関しては、特別損失などが加わり、さらに、マーチャンダイジングの要素から遠ざかった利益となる。

   今回の記事は、日経MJが営業減益に焦点を当て、悪化のトーンを出しているのに対し、日経新聞は経常利益に焦点を当て、改善のトーンを出しており、食品スーパーマーケットの利益の焦点の当て方に違いがあり、評価が対照的になったことも大きいといえよう。ただ、記事の中身をつぶさに読んでみると、実は、評価がわかれた要因は、P/L(損益計算書)では、公開されていない利益の解釈の違いにあったように思われる。

   実は、食品スーパーマーケットには、もうひとつ、第4の利益が存在している。本ブログでも取り上げているマーチャンダイジング力である。これは、営業利益の前にある利益であり、原価(粗利)と経費で決まる、商品売買から得られる、まさにマーチャンダイジング戦略の結果の利益である。営業利益はこれに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が加わるため、実は、原価(粗利)、経費の利益が撹乱されてしまい、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジング力を正確に評価することができない。

   今回の日経MJ、日経新聞の記事の中身を見ると、日経MJは営業利益というよりも、粗利率、すなわち、原価(粗利)に焦点を当てているのに対し、日経新聞は販管費、すなわち、経費に焦点を当てており、評価が対照的になったものと思われる。なぜなら、今期の各食品スーパーマーケットの中間決算のマーチャンダイジング力を見ると、原価が上昇(粗利が悪化)し、経費が減少(販管費圧縮)、結果、差し引き、マーチャンダイジング力が改善しているケースが比較的多いからだ。

   したがって、粗利に焦点を当てれば悪化、経費に焦点を当てれば改善ということになり、最終的にマーチャンダイジング力、差し引きはというと、改善がやや多いという状況であるといえる。食品スーパーマーケットの利益は原価(粗利)、経費の一方だけでは評価が難しく、差し引き、マーチャンダイジング力の利益で評価すべきであり、原価(粗利)、経費のバランスをどうとるかがマーチャンダイジング戦略そのものといえよう。

   こう考えると、日経MJも日経新聞もどちらもある意味、正しい評価ともいえるが、経営は常にバランスであり、もう一歩踏み込み、マーチャンダイジング力ではどうなのか、さらに、その他営業収入を加えた営業利益ではどうなのか、そして、経常利益、当期純利益ではどうかと利益を詰めてゆけば、今回の記事とは違ったトーンの記事になったのではないかと思う。それにしても、改めて、数字の解釈、そして、その評価、特に、経営に関しての評価は、難しいものであると思う。

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November 22, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 21, 2010

マミーマート、2010年9月期本決算、減収増益!

   食品スーパーマーケット業界の上場企業は約50社あるが、その中で9月期決算企業は4社ある。PLANT、ダイイチ、マルキョウ、マミーマートである。すでに、この内3社、PLANT、ダイイチ、マルキョウについては、本ブログで取り上げたので、今回は、11/12に公表されたマミーマートについての本決算を見てみたい。まずは、その結果であるが、売上高824.83億円(-0.9%)、営業利益15.26億円(1.9%)、経常利益18.56億円(0.7%)、当期純利益7.13億円(-13.5%)と、営業段階では、減収増益となる決算となった。

   そこで、減収になった要因であるが、マミーマートは平成21年11月に千葉県柏市に光ヶ丘店、平成22年6月に埼玉県川口市に川口芝店を新規出店しているが、一方で、経営効率化の観点から堀の内店・早稲田店を閉鎖したという。したがって、総店舗数は67店舗と変わらず、新規出店による売上増がスクラップ&ビルド政策で相殺されている。

   一般に食品スーパーマーケットの売上高は既存店の押し上げ効果は弱く、新規出店による増収がほぼ100%といってよく、スクラップよりもビルドが上回った時に、売上げが増加する。したがって、マミーマートが5%の成長を目指すには、現在67店舗であるので、少なくとも3店舗以上の新規出店の純増が必要となる。仮に10%であれば、7店舗は欲しいところだ。今期、残念ながら純増0であり、結果、売上高が-0.9%と伸び悩んだものといえよう。

   ちなみに、今期のマミーマートの投資活動によるキャッシュフローであるが、有形固定資産の取得による支出が-42.18億円(昨年31.02億円)である。マミーマートの出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等の合計は225.87億円であり、これを67店舗で割ると、1店舗当たり3.37億円となる。したがって、今期は42.18/3.37=12.5店舗となり、12.5店舗/67店舗=18.6%の出店意欲であり、強気の新規出店戦略であるといえる。来期は今期以上に新規出店がはかられ、売上増を目指すのではないかと想定される。実際、来期の通期予想の売上高は425.00億円(3.2%)であるので、増収の予想である。

   また、この出店にかかわる資産225.87億円は総資産343.56億円の65.74%となる。今期、マミーマートの自己資本比率が50.2%(昨年52.7%)であるので、差し引き出店余力は15.54%であり、この分を負債に負う財務構造となっている。その負債の主要項目、有利子負債は61.25億円(昨年36.53億円)と増加しており、総資産に占める割合は17.82%とやや重くなりつつある。したがって、ほぼ、この有利子負債分を新規出店に回している構図といえ、もう一段、財務の改善を図りたいところであろう。

   一方、営業利益が増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価あるが、75.94%(昨年75.99%)であり、若干であるが、原価の改善が図られている。マミーマート自身も、「生鮮部門を中心に週間単位の重点販売商品を展開し、お客様にお買い求め易い商品展開を行ない、また、㈱マミーマートのプライベートブランドである「mami+」(マミープラス)商品の開発を積極的に進め、品質と価格での訴求を行ってまいりました。」とのことで、生鮮食品、PBの強化を図ったことが、原価改善につながったものといえよう。結果、売上総利益は24.06%(昨年24.01%)となった。

   これに対し、経費の方であるが、23.70%(昨年23.68%)と、微妙な数字であるが、若干の上昇が見られる。ただ、マミーマート自身としては、「ローコストオペレーションを実現するため、精肉部門のアウトパック商品比率UP、納品形態の変更による陳列作業の簡素化、ジョブフリーによる店舗作業効率の改善を図ってまいりました。」とのことで、積極的なローコストオペレーションの確立に向けて動いており、今後、数字にも反映されてくるものと期待される。ちなみに、今期の23.70%は、決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの平均が25.6%であるので、マミーマートはトップクラスの経費比率の低さである。

   したがって、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.36%(昨年0.33%)と、わずかではあるが、改善した。原価の改善が寄与したといえよう。これに、その他営業収入が1.49%(昨年1.47%)のり、営業利益は1.85%(1.80%)と増益になった。売上高では若干の伸び悩みがあったが、営業利益率の上昇で相殺し、今期増益を確保したといえる。今後、新規出店が順調に進み、増収が確保できれば、増収増益が視野に入ってきたといえよう。

   このようにマミーマートの2010年9月期決算は、スクラップ&ビルドにより、店舗の純増につながらず、減収とはなったが、原価の改善が経費の上昇を抑え、増益を確保した。そこで今後であるが、投資活動によるキャッシュフローを見る限り、マミーマートは積極的な新店開発に踏み込む可能性が高く、来期以降は増収も期待できよう。有利子負債が増加したのはやや気になる点であるが、成長戦略を優先した今期の経営方針であるといえ、今後、マミーマートが財務改善をどのように進め、積極的な成長戦略とのバランスをとってゆくかが注目である。

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November 21, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 20, 2010

市場シェアと金額PI値(インストアシェア)について

   いまから約20年前、1992年10月、市場シェアと金額PI値(インストアシェア)が繋がった。本来、この2つは簡単につなげることができない。市場シェアは文字通り、市場におけるシェアであり、金額PI値(インストアシェア)とは無関係で存在している。一般に、計算式はマーケットサイズ×商圏人口×シェアで表すことができ、市場全体のマーケットサイズを算定し、これに商圏人口を掛け、そこからシェアを推定する。ここには、金額PI値(インストアシェア)の入る余地はなく、すべて、アウトストア、まさに、市場において決まる数字である。一方、金額PI値(インストアシェア)は、市場とは無関係に決まる指標であり、インストアの売上高を客数で割って表す指標である。金額PI値(インスとアシェア)は、顧客1人当たりの売上高であり、これをカテゴリー別に算出すれば、そのカテゴリーに属する商品に関してのシェアは、カテゴリー全体から割れば算出できる。

   この2つの指標は従来、別々に算出され、2つの関係を結びつける方法はないと思われていた。したがって、メーカーは市場シェアを使いマーケティング戦略をつくり、小売業へ様々なアプローチをしているのに対し、小売業は金額PI値(インストアシェア)を使い、自社のマーチャンダイジング戦略をつくり、メーカーに働きかけている。2つのアプローチは似て非なるもの、これが商談という場でぶつかり、双方理解不能の中で、マーケティングとマーチャンダイジングが交錯し、何らかの妥協点を見出し、商談が成立するという構図である。

   しかも、いまでも見かけるが、小売業の方も、自社の販売計画を立てる時には、意外なことに、市場シェアを使っている場合もある。これは家計調査データや様々な統計データを駆使し、カテゴリーごとのマーケットサイズを算定し、これに自社の商圏人口を掛け、自社のカテゴリーの売上高で割って現状の推定シェアを算出する。そして、その数字を前提にランチェスター理論を当てはめ、地域一番店を目指すために、どのくらいまで売上高が望めるかをはかり、販売計画に活かしている。まさに、メーカーの市場シェアの応用ともいえる。

   ただ、小売業が本来立てるべき販売計画は金額PI値(インストアシェア)に基づくべきであり、ここから販売計画を立てるのが無理のない手法といえる。これは、売上高を客数と金額PI値(インストアシェア)に分けて、それぞれの目標数字を過去の数字、自社の他店の数字、入手可能な他社の小売業の数字等を参考にし、算定する方法である。この手法を使えば、部門、カテゴリーだけでなく、単品の販売計画を策定することも可能であり、ここから、様々なマーチャンダイジング戦略を策定することもできる。しかも、金額PI値(インストアシェア)は、PI値×平均単価に分けることも可能であり、ここから、プラスラインの設定、販売数量の算定もでき、販促、発注、物流計画の策定も可能となる。

   このように、商品の販売計画には2つのアプローチがあり、メーカーが主に使うアプローチが市場シェアからのアプローチであり、マーケティング的手法である。一方、小売業が主に使うのが金額PI値(インストアシェア)からのアプローチであり、マーチャンダイジング的手法である。そして、この2つは、従来、交わることがないと思われ、別々の手法として、メーカーはメーカーの中で、小売業は小売業の中で活用されてきたといえる。

   ところが、一見、この交わらないこの2つの手法は、実は深い関係にあり、見事に融合することができる。それを発見したのが冒頭の1992年10月のことである。どのように結び付くかであるが、まず、どちらも販売金額は共通である。したがって、どちらのアプローチもこの販売金額を算出するための手法であり、その指標には共通点があるはずである。メーカーは販売金額をマーケットサイズ×商圏人口×シェアと表す。一方、小売業は販売金額を金額PI値(インストアシェア)×客数と表す。したがって、この2つをつないで見ると、販売金額=マーケットサイズ×商圏人口×シェア=金額PI値(インストアシェア)×客数となる。

   そこで、よく、この2つを見ると、マーケットサイズ=金額PI値(インストアシェア)であり、商圏人口×シェア=客数であることがわかる。ただ、メーカーはマーケットサイズ×商圏人口を市場規模として、これにシェアを掛けて販売金額を算出しているが、これをマーケットサイズと商圏人口×シェアに分ければ、まさに、小売業の金額PI値(インストアシェア)と客数に対応可能となり、双方の算出した販売金額をメーカー用、小売業用に翻訳することができる。

   このように、実は市場シェアと金額PI値(インストアシェア)は全く同じものであり、販売金額を市場から見て算出するか、小売業の店内から見て算出するかの違いである。しかも、名前は違うが、マーケットサイズは金額PI値(インストアシェア)のことであり、商圏人口×シェアは客数のことであり、双方は同じ指標を、名前を変えて活用していただけであり、本質は同値、同じものであるといえる。したがって、双方が双方の指標を理解し、販売金額の目標の数値を共有すれば、商談がうまく運ぶはずであり、無理のない販売計画を双方が立案し、さらに、そこから販促計画、物流計画、生産計画へと落としてゆくことができるのではないかと思う。

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November 20, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 19, 2010

マルキョウ、2010年9月期、減収減益、財務は改善!

   九州、福岡のマルキョウが2011年9月期の本決算を11/15、公表した。結果は売上高897.95億円(-3.1%)、営業利益17.97 億円(-1.0%)、経常利益19.19億円(0.9%)、当期純利益11.86億円(46.0%)となり、当期純利益は増益となったが、営業段階では減収減益となる厳しい決算となった。ただ、自己資本比率は75.8%(昨年70.2%)となり、極めて高い比率となり、財務は大きく改善した。この自己資本比率は決算公開企業約50社の中では、ヨークベニマルの80.3%につぐ、2番目の高さであり、いかに高い数字であるかがわかる。

   そこで、今期、マルキョウがどのように自己資本比率を改善したのかを、キャッシュフローとB/Sをもとに見てみたい。まず、今期は通常はマイナスとなる投資活動によるキャッシュフローがプラスとなっており、異変が生じている。実際の数字は24.31億円(昨年-15.77億円)であり、明らかに異常値である。その中身であるが、出店関連への投資、有形固定資産の取得による支出は-7.04億円(昨年-15.74億円)と半減し、投資を控えているが、投資は実施しており、この段階ではプラスではない。

   では、何がプラスとなったかであるが、定期預金の払戻による収入が41.34億円(昨年60.32億円)と昨年よりは金額は少ないが、大きく増加している。一方、同時に定期預金の預入による支出を計上しているが、その金額は-11.35億円(昨年-62.34億円)と、昨年と比べ、大きく減少しており、結果、その差額がプラスとなり、投資活動によるキャッシュフローを異例のプラスに転じさせたといえる。しかも、営業活動によるキャッシュフローは28.62億円(昨年20.34億円)と、増加しているので、結果、フリーキャッシュフローは何と、52.93億円(昨年4.57億円)となった。明らかに異常値といえる。

   そこで、この潤沢なフリーキャッシュフローをどう活用したかであるが、財務活動によるキャッシュフローを見ると、-40.13億円(昨年-15.33億円)と、大半を財務改善に回している。その中身は、長短借入金の返済に-37.04億円(昨年-12.89億円)であり、昨年以上の負債の削減を行ったといえる。したがって、有利子負債は41.42億円(昨年78.46億円)と、半減しており、総資産532.10億円(昨年562.40億円)に占める割合は7.78%(昨年13.95%)と半減した。結果、トータルキャッシュフローは12.80億円(昨年-10.75億円)と、プラス、現金及び現金同等物の期末残高も47.04億円(昨年34.23億円)と増加した。

   これが、今期、マルキョウの自己資本比率が増加し、上場食品スーパーマーケットとしては最高の数字を達成した要因といえる。投資を控え、営業活動によるキャッシュフローに加え、定期預金の払い戻しを加え、その大半を財務改善に充てた結果であり、経営者の財務改善への強い意志が感じられるキャッシュの配分である。仮に、来期も同様に財務改善に取り組めば、有利子負債が全額返済でき、自己資本比率は7.78%改善し、80%を超え、ヨークベニマルを超え、日本一となるのではないかと思われる。

   ただ、気になるのは投資を控えているがゆえに、増収の確保は厳しいものがあり、今期減収減益となった営業面の改善が可能かどうかである。そこで、今期の営業利益が減益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、78.99%(昨年79.68%)となり、-0.69ポイント改善している。結果、売上総利益は21.01%(昨年20.32%)と上昇した。一方、経費の方であるが、19.38%(昨年18.84%)と、0.54ポイント上昇しており、経費の上昇が見られる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は1.63%(昨年1.48%)と改善した。これに不動産収入等のその他営業収入が0.38%(昨年0.48%)加わり、営業利益は2.01%(昨年1.96%)と、率では、増益となった。ただ、売上高が-3.1%と、減収となったため、営業利益高では減益となり、減収減益の厳しい決算となった。

   こう見ると、営業面では経費の上昇が見られるが、それをカバーする原価の改善が図られており、売上高が改善できれば増収増益は構造的に可能といえよう。マルキョウ自身も、「売上総利益の改善を掲げ、販売データの分析など諸施策に取り組んでまいりました結果、当連結会計年度は売上総利益率が21.0%となり前連結会計年度より0.7ポイント改善することができました。次期につきましても、販促の強化、売れ筋商品のフェイス拡大による売り場改善などの諸施策を行い、引き続き売上総利益の改善に取り組み業績予想の数値を達成するよう努力してまいります。」と、コメントしており、原価の改善はさらに進んでゆくものと思われる。

   このように、マルキョウの2010年9月期の決算は減収減益とはなったが、今期は敢えて投資を控え、財務改善にキャッシュを優先的に配分しており、結果、上場食品スーパーマーケットではNo.1の自己資本比率となり、財務の安定が図れた。また、その影響で、売上高はマイナスとはなったが、営業利益率ではプラス、特に、原価の改善が進んでおり、収益性はむしろ改善している。したがって、強固な財務基盤をもとに、成長戦略に転換することはいつでも可能な状況にあるといえ、今後、マルキョウが引き続き、財務の基盤強化を進めるか、成長戦略に舵を切るか、その経営戦略に注目である。

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November 19, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 18, 2010

ダイイチ、2010年9月期本決算、増収増益!

   北海道のダイイチが11/10、2010年9月期の本決算を公表した。結果は、売上高292.22億円(4.1%)、営業利益6.33億円(21.5%)、経常利益5.73億円(20.6%)、当期純利益3.95億円(40.9%)となり、増収増益、特に利益は2桁増の好決算となった。利益増に対し、売上高の伸びがやや低いが、これは、ダイイチが今期、積極的にスクラップ&ビルドを実践した結果である。

   今期はビルドとして、「6月に大型複合商業施設内の核店舗として「自衛隊前店」(帯広ブロック)、7月に直営売り場面積722坪の当社最大規模の「花咲店」(旭川ブロック)」を新規出店している。一方、スクラップとしては、「小型店の「ハーモニー店」(帯広ブロック)、「北斗店」(旭川ブロック)および「神居店」(旭川ブロック)を閉店」し、結果、総店舗数は合計19店舗となった。ダイイチは、ドミナントを3つのブロックに分けて管理しているが、このスクラップ&ビルドの結果、「帯広ブロックは142億20百万円(前年同期比9.2%増)、旭川ブロックは103.16億円(同0.7%減)、札幌ブロックは46億.72円(同0.8%増)」となり、帯広ブロックの伸びが顕著であった。

   一方、利益が2桁増になった要因であるが、原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.95%(昨年76.81%)と0.14ポイント上昇している。ダイイチ自身も、「当社グループを取り巻くスーパーマーケット業界は、需給ギャップによるデフレ圧力に加え、消費者の節約志向や自己防衛意識が強まる中、企業間競争の激化に伴い販売価格の下落を余儀なくされ、極めて厳しい経営環境にありました。」とのことで、販売価格の下落が、原価に影響を与えたといえよう。結果、売上総利益は、23.05%(昨年23.19%)となった。ついで、経費の方であるが、22.34%(昨年22.49%)と、0.15ポイント減少しており、経費の削減が進んだ。これについて、ダイイチは、「人員配置の効率化や光熱費など徹底したコスト削減に努め、消費不振の中で競合他社との激しい消耗戦に備えるべき体制作りに取り組んでまいりました。」と、コメントしており、人件費、水道光熱費を特に削減したとのことである。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は0.71%(昨年0.70%)と、経費削減分が寄与し、0.1ポイントの改善となった。これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.47%(昨年1.16%)が加わり、営業利益は2.18%(昨年1.86%)と、増益、さらに売上高の増収が相まって、営業利益高は2桁の増益となる好決算となった。ただ、マーチャンダイジング力はわずか、0.01ポイントの改善に留まっており、増益はその他営業収入に負うところが大きく、今後、ますます経営環境が厳しくなることが予想され、やや気になるところである。

   では、今期のダイイチの財務面はどうであったかを、B/S、キャッシュフロー面から見てみたい。まずは、自己資本比率であるが、34.0%(昨年34.9%)と、0.9ポイント下がっており、しかも、34.0%と低く、結果66%を負債に負う財務構造であり、経営を圧迫している状況といえる。その負債の中身であるが、有利子負債が56.96億円(昨年49.28億円)と、総資産143.46億円(昨年130.25億円)の39.70%(昨年37.83%)と、自己資本比率を超え、経営に重くのしかかっているといえよう。一方、出店にかかわる資産、土地、建物、資金保証金等の合計は、110.97億円(昨年106.17億円)となり、総資産の77.35%(昨年81.51%)である。したがって、自己資本比率との差、出店余力は-43.35%(昨年-46.61%)となり、負債に大きく依存する出店構造となっており、今後、新規出店を果たし、成長軌道に乗せるには、一層の財務改善が課題といえよう。

   そこで、今後の出店戦略であるが、投資活動によるキャッシュフローを見ると、-10.27億円(昨年-4.61億円)と倍増している。この内、出店関連の投資、すなわち、有形固定資産の取得による支出、建設協力金の支払いによる支出、敷金及び保証金の差入れによる支出等を見ると、-10.53億円(昨年-4.94億円)であり、大幅に増加しており、積極的な新規出店への投資であるといえる。ダイイチの1店舗当たりの出店にかかわる資産が、現在19店舗であるので、5.84億円となるので、ほぼ2店舗分の投資であり、ここから出店意欲を計算すると2店舗/19店舗、105.26%となる。今後も厳しい財務状況の中ではあるが、スクラップ&ビルド戦略を実施し、増収を確保してゆくものと思われる。ちなみに、来期予想であるが、売上高302.21億円(3.4%)、営業利益6.83億円(8.0%)であり、売上高300億円を達成し、増収増益を確保する予想である。

   このようにダイイチの2010年9月期の本決算が公表されたが、増収増益、特に、利益は2桁増という好決算となったが、その利益構造をみると、その他営業収入に負うところが大きく、経費の削減が原価の上昇で相殺されており、もう一段と、利益を改善したいところであろう。また、自己資本比率も34.0%と負債に大きく依存する財務構造となっており、今後、安定的に新規出店を果たしてゆくにはやや厳しい状況にある。ダイイチとしては、まずは、マーチャンダイジング力を強化し、キャッシュを生み出し、財務改善につなげてゆくことが先決といえ、短期はもちろん、同時に、中長期的な経営戦略をどう構築するかが経営課題といえ、その動向に注目である。

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November 18, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 17, 2010

菓子パンがなぜマーチャンダイジングの活性化に最適か?

   ここ数年、一貫して、食品スーパーマーケットにおいて、菓子パンのマーチャンダイジングの重要性を取り上げ、その実践に取り組んできた。その理由は菓子パンが食品スーパーマーケットの中で金額PI値が最大級であるにもかかわらず、そのマーチャンダイジングが圧倒的に遅れているからである。また、それに加え、菓子パンは食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングの原理原則を学ぶ上において、最適なカテゴリーでもあるからである。

   食品スーパーマーケットには生鮮食品を含め、約300のカテゴリーがあるが、この約300のカテゴリーを金額PI値順に並び変えると、菓子パンは、トップクラスの金額PI値、場合によっては、No.1のカテゴリーとなる。高い店舗では30円(1,000人当たり30,000円)前後となり、この数字を超える食品スーパーマーケットにおける商品群はあまりなく、まさに、トップクラスの商品群である。

   ところが、これだけ金額PI値が高いにもかかわらず、食品スーパーマーケットにおける位置付けは意外に低く、マーチャンダイジングにとって不可欠な重点商品をしっかり押さえていない店舗が多い。菓子パンの重点商品は生鮮食品のトップクラスの商品と何らひけをとらない商品が多く、金額PI値でいえば1円(1,000人当たり1,000円)を超える商品が5品ぐらいはあり、その半分0.5円(1,000人当たり500円)を超える商品となると、5品から10品ぐらいはある。これをしっかり押さえている発注担当者は稀であり、その発注数量をPI値、客数から算定している担当者はさらに少ない。

   ただ、これは発注担当者の問題ではなく、実は店長、部門長の問題でもある。金額PI値1円、0.5円の商品は菓子パンに限らず、店舗全体への貢献度がきわめて高く、金額PI値であるがゆえに、キャッシュ貢献度が極めて高い商品であり、キャッシュフローの源泉となる商品である。まして、菓子パン全体は金額PI値最大級の商品群であるがゆえに、カテゴリーとしてもキャッシュフローの源泉となっており、単品、カテゴリーともに一致する稀なキャッシュフロー貢献度No.1の商品、商品群であるといえる。

   したがって、菓子パンは店長、部門長も熟知する必要があり、この商品群の活性化いかんで店舗全体のキャッシュフローへ大きな影響を与えかねない重要な商品群である。店長、部門長はまずは菓子パンの重点商品をしっかり押さえ、発注担当者と毎日確認をとるべきであり、売価、欠品、過剰在庫、POP、棚割、レイアウト、品出し等、常に注意を怠ってはいけない。できれば、週に1回はPOSデータを担当者と確認し、先週の課題、来週の方針を決めるミーティングを持つべき重要な商品群であるといえる。

   一方、菓子パンはマーチャンダイジングを勉強する上でも最適なカテゴリーである。先に解説した重点商品が明確であり、かつ、店舗貢献度、ひいては会社全体のキャッシュフロー上も貢献度が高く、重点商品の重要性を理解する上においては最適なカテゴリーであるからである。そして、もうひとつ、マーチャンダイジングを勉強する上において重要な品揃えの重要性を理解する上においても最適な商品であることである。

   品揃えの原則はA商品を見つけ出し、これを絶対にカットせず、365日24時間売り続けることに加え、逆にC商品は頻繁にカットし、新たにA、Bとなる可能性の高い新商品(まだ店舗で扱ったことのない商品を含む)を新規に導入し、カテゴリー全体の金額PI値の水準を引き上げることにある。菓子パンは日本の食品スーパーマーケットでは、月間約1,000SKUが販売されており、実際に各店舗で取り扱われている商品はせいぜい100SKUから200SKUぐらいであるのが実態である。少ない店舗では100SKUを切る場合もある。したがって、この約1,000SKUから200SKUを選んだとしても、残り約800SKUは全くその店で販売されたことがない商品であり、当然のことであるが、この約800SKUに自店でA、Bとなる可能性のある商品が埋もれていることは間違いなく、実際のデータを見てもそれは明らかである。

   したがって、品揃えの重要性と実際に品揃えを変えた時の数字の違い、金額PI値の変化、そして、キャッシュフローのインパクトを体感するには菓子パンはマーチャンダイジングが十分に取り組まれていないがゆえに、最適な商品群であるといえる。先の店長、部門長、そして、担当者の週1回のミーティングにこの品揃えの問題も入れて欲しい課題であるといえる。

   このように菓子パンの食品スーパーマーケットにおける重要性はキャッシュフローを実際に増加させることに加え、マーチャンダイジングの原理原則を理解し、その効果を体感する上で最適な商品群であるといえ、発注担当者だけに任せるのではなく、店長、部門長も交え、少なくとも週1回は戦略ミーティングを持ち、毎日、重点商品のチェックはして欲しいとことだ。また、発注担当者だけでなく、全従業員はもちろん、パートさん全員にもマーチャンダイジングを理解し、勉強するためのOJTとして活用して欲しい商品群である。

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November 17, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 16, 2010

RDS/POSデータをどう活用するか!

 RDS/POSデータセミナー終了後、関係先でRDS/POSデータの活用がはじまった。このPOSデータは自店のPOSデータとRDSの全国約100社の食品スーパーマーケット、約400店舗のPOSデータの中から、自店が所属する地域のPOSデータとの比較ができ、結果、自店のマーチャンダイジングの改善に活かすことが可能な貴重なPOSデータである。食品スーパーマーケットであれば、全国どこでも、この価値あるRDS/POSデータをRDS(財団法人流通システム開発センター)に申し込めば、無料で自社のPOSデータと比較可能な形で入手することができる。

   そこで、改めて、このRDS/POSデータをどう活用するかについて、解説したい。現在、このRDS/POSデータについては、体験版として、本ホームページから菓子パンに限り、無料で診断を受け付けているが、すでに、数社の診断を実施しており、その診断ポイントも含め、解説してみたい。

   まず、最初の着眼点であるが、RDS/POSデータはJICFS(JAN Item Code File Service)の標準小分類に自社のPOSデータを再分類して比較可能な形に集計してくれるので、JANコードがあるPOSデータはすべてRDS/POSデータと比較可能となる。現在、JICFSに登録されているPOSデータは食品関連では、加工食品 423,949件、生鮮食品 17,717件、菓子 203,867件、飲料・酒類 180,451件、その他食品 37,036件の合計863,020件であり、これに非食品を入れると登録データ総合計は5,017,891件となる。意外に、生鮮食品も多く、きのこ類、果物、塩干、加工肉、惣菜など生鮮3品の中で取り扱われている商品もかなり登録されているといえる。ただ、地域特有の日配食品、米、地域ブランドなどはない場合もあり、その場合は比較可能な商品で活用することになる。

   たとえば、どのような分類があるかであるが、たばこ、その他農産、菓子パン、ビール、その他畜産、発泡酒、畜肉ソーセージ、カップ麺、ヨーグルト、牛乳、スナック、・・などであり、食品で約300近い商品分類となっている。特に、このその他農産、その他畜産等に生鮮食品の青果、畜産の商品があり、意外に便利である。その他農産には約650SKUが比較可能となっており、JAもがみぶなしめじ、ドールPHバナナレギュラーTQCX、JAもがみしんちゃんエノキ200g、JAえのき茸200g、坂本青果たまねぎ1kg、更埴ほんしめじ100g、金丸物産えのき茸信州の拘り茸200g、信和たまねぎ、住田きのこえのき200g、弘果ハローキティ完熟バナナくん800g、住商フルーツバナージュバナナ600gなど、バナナ、えのき、たまねぎなど、主力商品も多く、意外に便利である。

   さて、実際にどう活用するかであるが、まずはじめの活用は約300に分類されたRDS/POSデータの商品群と自社の商品群ともマッチングさせ、金額PI値の順に並び変えることである。そして、ここがポイントであるが、自社のPOSデータと比較し、金額PI値が自社の方が高い商品群を優先的にピックアップし、自社の強い商品を最優先で活性化する、これがポイントである。実際の9月度のある事例であるが、ベスト10を見ると、たばこ、菓子パン、生麺・ゆで麺、その他畜産、その他加工水産、納豆、豆腐、漬物、パーソナルアイスその他、半生菓子、生菓子という結果となった。9月度は全国的にたばこの値上げ前の駆け込み特需が発生したため、たばこがNo.1となったが、これを抜くと、菓子パンが実質No.1であり、ここからも、菓子パンが食品スーパーマーケットにいかに価値ある商品であるかがわかり、今回の菓子パンの無料診断を是非活用して欲しいところだ。

   一方、同時に、店舗の活性化の極意はワーストにも目を配ることである。実際のワースト5を見ると、ビール、リキュール類、焼酎(乙類)、スポーツドリンク、その他雑酒であり、この商品群等をベスト商品群と同時に、いち早く、マーチャンダイジングの改善を行いたいところだ。特に、焼酎(乙類)は平均単価が米についで、食品スーパーマーケットでは高い商品であり、平均単価を改善し、金額PI値をアップするためにも、重要なカテゴリーである。

   このように、いま取り組むべき重点カテゴリーが決まると、ここからは、単品の比較検討となる。たとえば、最重点カテゴリーの菓子パンでは、RDSには約1,000種類の菓パンが食品スーパーマーケットでは毎月販売されているが、自社が取り扱っているのは通常100SKUから200SKUぐらいであるのが実態である。したがって、広く視野を広げ、この約1,000SKUから、重点商品を選ぶと同時に、月間、300SKUの品揃えに挑戦するだけで、菓子パンの数字は飛躍的に上がる可能性が高く、このような点からRDS/POSデータを活用してゆくことがポイントである。

   RDS/POSデー活用の醍醐味は、自社のデータだけではわからない重点商品の発見、現在の自社の取り扱っている商品の強さ、弱さの把握、そして、自社ではけっしてわからない取り扱ったことのない自社にとっては隠れた重点商品を見つけ出すことが可能なことにあるといえる。特に、小規模、中規模の食品スーパーマーケットにとっては必須のツールであるといえ、その醍醐味を是非味わって欲しいところだ。

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November 16, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 15, 2010

N009:直売所と食品スーパーマーケットの青果の違い!

   九州、福岡へ飛んだ。直売所関連の調査である。1泊2日の調査であるが、前回の北海道同様、中身の濃い調査となった。特に、木の花ガルテンでは1号店、大分県の大山店のレストランで矢羽田組合長へヒアリングをさせていただき、翌日には福岡の明野店へ朝一番にお邪魔し、商品の搬入から、陳列、在庫の引き取りまでの一連のオペレーションをつぶさに視察させていただいた。その詳細については、いずれ、調査報告書の中でまとめる予定であるが、ここでは、直売所と食品スーパーマーケット、八百屋との青果の違いについて改めて考えて見たい。

   すでに、本調査の中で、数多くの文献を読み、直売所1,000件以上の個別データを収集分析し、数千件の消費者アンケートを読み、数百人の生産者ヒアリングを確認し、そして、数10件の現地調査を行ったが、これらを通じて直売所の実態が明確になるに従い、食品スーパーマーケット、そして、八百屋等との青果の違いが決定的なものであると確信しつつある。一言でいえば、直売所には商品管理がない。あるのは生産者管理のみである。

   したがって、極論であるが、直売所にはマーチャンダイジングは存在せず、あるのは、生産者の需要創造を支援する、新たな流通システムともいえる実態である。一見すると、トマトがあり、きゅうりがあり、ほうれんそうがありと、これら青果物が直売所においても、食品スーパーマーケットにおいても、八百屋においても同じように販売されているように見えるが、その本質は180度違い、似て非なるものである。同じトマトであっても、直売所のトマトは極論すれば無限にあるが、食品スーパーマーケット、八百屋のトマトは有限である。せいぜい数種類が限度であり、それ以上増やすには、かなりの努力が必要である。

   なぜ、こうなるのか。その本質は、商品に対しての根本的な捉え方に違いがあるからであるといえよう。食品スーパーマーケット、八百屋においてはトマトという商品を考えた場合、トマトの種類、大きさ、色、形、食感、糖度、鮮度など、商品を様々な要素に分解し、トマトのマーチャンダイジング戦略を決定し、その商品を仕入れようとする。そして、そのために、バイヤーが市場に仕入れにゆき、ない場合は、産地めぐりをし、その目的のトマトを見つけ出すことになる。

   一方、直売所では、そもそもトマトという商品管理をしていない。トマトを種類、大きさ、色、形、食感、糖度、鮮度などに分けることもない。意味がないからである。あるのは生産者のみであり、誰が生産したトマトであるか、この一点のみの管理である。種類も、大きさも、色も、形も、食感も、糖度も、鮮度も関係ない。誰が生産したトマトかが問われるのみである。したがって、直売所にバイヤーは存在しない。そのような組織もないし、そのような組織をつくる必要もない。強いてあげれば、トマトを生産している農家、個人を探すことが最大の課題であり、トマトを探すことが課題ではない。

   食品スーパーマーケット、八百屋ではトマトの品揃えを検討することが、売上げアップの課題であると信じ、消費者が好むトマトを見つけ出そうとする。そして、あらゆる消費者の需要にこたえるべく、可能な限りのトマトの品揃えを増やそうとする。これがトマトのマーチャンダイジングであり、結果、売上げアップを目指すことになる。これに対して、直売所はトマトの品揃えを増やそうとはしない。増やすのはトマトの生産者であり、その生産者が創意工夫を行い、消費者の好みにあうトマトを開発してくれることを期待する。結果、トマトの生産者が増え、それぞれのトマトの生産者が切磋琢磨し、結果、トマトの品揃えも増え、売上げアップを目指すことになる。

   トマトを含め、青果物という観点で見た場合、食品スーパーマーケット、八百屋は青果物において、数百種類の品揃えを確保しようとマーチャンダイジング戦略を検討し、実践に移してゆく。これに対して、直売所の青果物は、数百人の生産者を確保し、それらの生産者の創意工夫、切磋琢磨により、様々な商品改善、商品開発が起こり、結果、売上げがあがることを期待する。同じ売上アップを目指していながら、全く、その方向、手段が違うことに驚かされる。

   このように、食品スーパーマーケット、八百屋と直売所は同じトマトを扱いながら、その本質が全く違い、似て非なるトマトを販売しているといえる。トマトそのものは一見すると違いが見えないが、売場に置かれるまでの、プロセスが全く違い、商品戦略から選ばれたトマトであるか、生産者戦略から選ばれたトマトであるかの決定的な違いがある。結果、商品戦略から見たトマトは生産者を問わないが、生産者戦略から見たトマトは生産者に徹底的にこだわり、商品戦略を問わないことになる。商品戦略を生産者に全面的に委ねることになるといえる。これが直売所の本質であり、食品スーパーマーケット、八百屋との決定的な違いであるといえよう。

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November 15, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 14, 2010

時間と金額、新たな視点!

   ここ最近ID-POS分析の依頼が増え、膨大なデータと日々格闘している。ID-POS分析は通常のPOS分析と違い、IDが把握できることが最大の違いであるが、実はIDが把握できることにより、現時点ではまだ不可能であるが、新たな境地を開拓することができる。時間の導入である。これまで、マーチャンダイジングに時間という概念を導入することはあまりなかった。せいぜい、52週のマーチャンダイジング計画を策定するなど、中長期的な将来の時間に対して、商品の販売ピークを予想することなどに応用してきたことが主な時間の活用であったといえる。

   ところが、時間はよくよく考えて見ると、金額、数量と同値の指標であり、顧客が商品を購入した瞬間に時間が発生する。本来、商品の販売は金額と同時に時間が付随しており、顧客の消費行動にはどのような段階においても時間が存在しているのが、実態である。ただ、時間が正確に測定できなかったために、時間が分析対象にならず、マーチャンダイジング政策に活かされなかっただけである。仮に、顧客の商品行動に応じて、時間が測定できるとすると、顧客と商品の関係は、従来のID、売上金額、売上数量に加え、新たに時間という指標が加わることになる。もちろん、現時点で時間を把握することは簡単にはできない話であるが、実は、時間は売上金額、売上数量と同値の指標であるといえ、把握できるのであれば、正確な時間をつかみ、マーチャンダイジング政策に活かしたいところである。

   特に、可能、不可能は別として、顧客がちらしを見た時間、後々に購入した商品の時間をさかもどって、その対象商品をチェックした時間、その後、店舗についた時間、店舗に入った時間、対象商品にまでたどりついた時間、かごにピックアップした時間、レジで精算をした時間などが把握できれば、その時間を分析することにより、顧客の商品購入の瞬間のみから発生する売上金額、売上数量だけでなく、その購入に至るプロセスが把握でき、マーチャンダイジングへの応用が可能となる。特に、販売促進関連への様々な活用が可能となり、これまでの販促に時間という概念が加わることになる。

   では、時間がわかった場合、どのように時間をマーチャンダイジングに活かすかであるが、時間は瞬間を測るのではなく、量として算出することがポイントである。ちょうど、売上金額が売価と数量の関係で決まるように、ちらしであれば、見始めた時間と見終わった時間、商品購入であれば、店舗に入った時間、レジで精算した時間、さらには、対象商品までへの到達時間、かごへのピックアップまでの時間等、量ではかることにより、あたかも、お金を費やすがごとく、時間を費やすことが把握できるからである。

   時は金なりという言葉があるが、この言葉どおり、時間は金とイコールであり、顧客は自分に与えられた人生の貴重な時間を無意識に重要な事項から費やしており、時間をかけるものほど、重要なものといえる。あるいは、繰り返し、時間をかけるものはいわゆる習慣化され、時間が短くなるが、その事項はある一定期間の中で、トータル時間が長くなり、トータルで見ると極めて重要なものとなっているなど、短くても繰り返されるものも重要なものといえよう。ID-POS分析のリピート分析とほぼ同じ概念である。

   したがって、仮に、時間が測定できれば、時間をあたかも売上金額のように分析することができ、ID-POS分析の基本方程式がそのまま時間という概念で分析が可能となる。すなわち、売上金額=ID×ID金額PI値=ID×ID客数PI値×金額PI値の金額のところが時間となり、時間=ID×ID時間=ID×ID客数PI値×時間PI値という方程式ができあがり、新たにTime Index(TI値)が生まれる。この数式が意味するところは、顧客がその商品に費やした時間は顧客の数と顧客の総時間で決まり、さらに、これを分解すると、顧客の数と、顧客1人当たりの購入回数と、顧客の1回当たりの時間とによって決まるということである。

   そして、その時間が長ければ長いほど、その商品は顧客が時間をかけて購入した商品であり、人生の貴重な時間とお金を費やすに値する重要な商品であるということになろう。恐らく、結論としては、よりたくさんの顧客がわずかな時間で購入するものや、わずかな顧客であるが、極めて時間をかけて購入するものなどが高い時間を獲得するのではないかと思われる。

   このように、仮に、時間が測定でき、マーチャンダイジングにこの時間という概念が組み込まれると、ID-POS分析に新たな境地が生まれる可能性が高く、今後の重要な研究課題であるといえよう。残念ながら、時間をどう正確に測定するか、その分析理論、結果の応用手法など研究すべき、そして、開発すべき課題は多いが、テーマとしては興味深いものであるといえよう。実は、現実の小売業では、中々難しいが、バーチャルの小売業、インターネットの世界ではほぼ、時間の測定はIDごとに可能であるといえ、ここでノウハウを開発し、リアルの世界へ応用する方法もあり、その意味で、今後、ネットスーパーは時間という概念を組み込み、新たなマーチャンダイジング戦略を試し、リアルの売場のマーチャンダイジングに活かすということも検討すべきであろう。

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November 14, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 13, 2010

バロー、2011年3月期、中間、増収増益!

   バローが2011年3月期の中間決算を11/4、公表した。結果は、営業収益1,857.58億円(8.4%)、営業利益47.28億円(9.2%)、経常利益50.10億円(10.3%)、当期純利益11.11億円(-38.0%)となり、増収増益の好決算となった。ただ、当期純利益は、「「資産除去債務に関する会計基準」の適用に伴う特別損失14 .83億円を計上したこと等により、・・」とのことで、減益となった。

   この資産除去債務に関する会計基準は今年の4/1以降の上場企業に適用が義務づけられたため、この3月期決算企業から適用が始まっており、軒並み、当期純利益が特別損失として計上されるため、減益になる食品スーパーマーケットがあいついでいる。食品スーパーマーケットの資産のほとんどは固定資産であるため、この資産を将来除去する可能性が高いものに関しては、減価償却費と同様に費用化し、決算に反映させざるをえないためである。したがって、3月期の決算企業は軒並み、当期純利益がマイナスとなり、来期は2月期決算企業が同様に当期純利益の減益があいつぐことになろう。

   ちなみに、バローであるが、特別損失として、P/L上に資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額14.83億円を計上しているが、営業活動によるキャッシュフロー上では、同額が資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額として計上しており、キャッシュとしてはプラスとなる。バローの減価償却費がキャッシュフロー上は42.37億円であるので、約35%となるので、かなり大きな金額であるといえよう。また、B/Sの負債に関しても、資産除去債務として、流動負債に0.20億円、固定負債に31.21億円、合計31.41億円計上している。これまでにない、費用、キャッシュフロー、負債であり、今後、食品スーパーマーケットの決算数字を見る際、必ず発生する項目であり、注意が必要である。

   さて、バローの中間決算であるが、まずは、営業収益が8.4%と好調であった理由であるが、「店舗につきましては、SMバロー11 店舗・食鮮館タイヨー1店舗を新規に出店いたしましたほか、昨年度末に買収した(株)ビックポンドストアーのSM7店舗を、SMバロー1店舗・食鮮館タイヨー6店舗に改装して新規オープンいたしました。・・」とのことで、積極的な新店開発、店舗改装が寄与したといえる。結果、今中間決算期の店舗数は食品スーパーマーケットが143店舗となり、バローの事業所としては196店舗、グループ全体では他の業態も含め482店舗となった。ちなみに、最新店舗の概要であるが、この11/11にオープンしたバロー小牧岩崎店を見ると、総投資額が5.2億円であり、食品スーパーマーケットの平均4.73億円にほぼ近い数字である。売場面積は1,566.1平米(約475.5坪)であり、標準的な食品スーパーマーケットといえる。年商目標15.5億円(約425万円/日)である。これでバロー事業所としては197店舗、グループ全体では483店舗となった。

   一方、営業利益が9.2%と好調であった理由であるが、原価、経費面から見てみたい。まは、原価であるが、76.66%(昨年76.60%)と、0.06ポイントとわずかに上昇しているが、ほぼ昨年並みの水準を維持しており、結果、売上総利益は23.34%(昨年23.40%)となった。これについて、バローは、「チラシ特売価格による販売促進を減らし、毎日安定したお買い得価格で販売するEDLP施策も拡大しております。・・」とのことで、EDLP政策を拡大していることも原価の安定に寄与しているものといえよう。これに対し、経費の方であるが、24.48%(昨年24.66%)と、0.18ポイント削減しており、経費の改善が進んでいる。先のEDLP政策が、原価水準の維持に加え、経費の削減にも寄与していると思われる。一般にEDLP政策は、ちらし等の販促経費の削減に加え、発注数量が安定し、物流、発注、品出し、POP、棚割など、店内作業を大きく削減する効果があり、人件費、物流費等の経費の削減をもたらすといえ、今期の経費の減少は、このEDLP政策の寄与も少なからずあるといえよう。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力であるが、-1.14%(昨年-1.26%)と、マイナス幅が縮まっており、利益の改善をもたらしている。そして、これに、物流収入、不動産収入等のその他営業収入が3.79%(昨年3.89%)加わり、営業利益は2.65%(昨年2.63%)と若干のプラスになった。これに、営業収入の伸び、8.4%が相まって、結果、営業利益は9.2%と、2桁近い伸びとなり、好調な中間決算となった。

   このようにバローの2011年3月期の中間決算は、今期から資産除去債務に関する会計基準が適用されたため、当期純利益は特別損失を計上したため、-38.0%となったが、営業、経常段階では、9.2%、10.3%とほぼ2桁の高い伸びを示し、好調な決算となった。これは、新店開発が順調に進んだことに加え、「全国的な猛暑による飲料需要等の増加もあり、SMバローにおける既存店売上高は、6月より9月まで4か月連続で前年比プラスで推移、・・」とのことで、既存店も好調に推移したことが大きかったといえよう。今後、後半、依然としてデフレ基調の厳しい経営環境が続くと思われるが、バローがこの好調さを維持できるかどうか、そのマーチャンダイジング政策に注目である。

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November 13, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 12, 2010

ヤマザワ、2011年3月期、中間決算、減収減益!

   ヤマザワが、2011年3月期、中間決算を10/29、公表した。結果は、売上高451.77億円(-1.4%)、営業利益11.05億円(-8.4%)、経常利益11.19億円(-8.1%)、当期純利益2.86億円(-52.2%)と、減収減益、厳しい中間決算となった。これについて、ヤマザワは、「個人消費においてはデフレの進行や円高による輸出産業の業績不安などから回復とは程遠く、非常に厳しい状況で推移いたしました。」とのことで、経営環境について、極めて厳しい認識である。また、「小売業界におきましても、消費者の生活防衛意識の高まりによる低価格志向への対応や店舗数の増加による競合の激化など、厳しい経営環境となりました。」と、低価格志向への対応が厳しい経営環境を招いた要因とのことである。

   実際、低価格志向への対応につては、「毎日午後2回タイムサービスを全店舗で実施し、野菜や日配品を中心に数量限定ではありますが、価格を大幅に値下げして販売し、好評を得ております。更に、「安さに挑戦値下げしました」と題し、利用頻度の高い商品を対象に当初200品目、その後500品目に拡大して、通常価格の値下げを行いました。」とのことで、思い切った価格政策を全店に渡って実施したとのことである。実際、ヤマザワの既存店の客数、客単価を見ると、客数が97.6%、客単価98.7%と、双方が下がっており、厳しい状況である。さらに、客単価の中身、PI値と平均単価を見ると、PI値は100.6%とわずかに上昇したが、平均単価が98.1%と下がっており、低価格志向への対応が、数字にも表れているといえよう。

   なお、当期純利益が-52.2%と大きく落ち込んだ理由は、食品スーパーマーケット全体にもいえることであるが、「資産除去債務に関する会計基準」に基づき特別損失4.51億円を計上したことによるという。この決算期から、ヤマザワ同様、資産除去関連の特別損失を計上する食品スーパーマーケットが多く、これがダイレクトに当期純利益に響いているといえる。ただ、この特別損失はキャッシュフロー上は、プラスとなり、この中間決算時のヤマザワの営業活動によるキャッシュフローは、18.99億円(昨年14.55億円)と増加している。当期純利益は昨年の10.54億円から、5.83億円と半減しているにも関わらず、増加しており、キャッシュフロー上はプラスといえる。

   また、今期は、「商品管理面におきましては、在庫削減に取り組みました。特に後方の在庫に関しては、在庫の保管什器の台数に上限を設け、一定数以上にならないよう目に見える形で管理してまいりました。」とのことで、在庫の削減にも努めており、これが、結果、営業活動によるキャッシュフローを見ると、たな卸資産の増減額(△は増加)が昨年の1.06億円から0.26億円へと大きく削減されており、在庫改善が進んでいるといえよう。ただ、これ以上に大きいのが、仕入債務の増減額(△は減少)が昨年の2.17億円から5.36億円へと増加していることであり、キャッシュアウトを極力減らしており、これらが相まって、今期は当期純利益が極めて厳しい状況の中、営業活動によるキャッシュフローはむしろ増加し、キャッシュを確保したといえる。

   では、その増加したキャッシュをどう投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローに配分したかを見てみたい。まずは、投資活動によるキャッシュフローであるが、5.64億円(昨年14.22億円)と大きく削減している。これは新規出店等への投資、有形固定資産の取得が昨年の13.73億円から、3.87億円へと大きく減少したことが大きい。ヤマザワの本決算時の1店舗当たりの出店にかかわる資産が4.36億円であるので、今期の3.87億円は1店舗弱の資産であり、成長戦略よりも、内部体制を固める経営決断であると思われる。

   そして、財務活動によるキャッシュフローであるが4.92億円(昨年1.00億円)と、昨年と一転、大きく増加している。その中身であるが、有利子負債の返済2.00億円、配当1.46億円、その他1.45億円であり、まさに、財務の改善に大半を配分している。結果、この中間期のヤマザワの有利子負債は15.20億円(決算時17.20億円)と削減され、総資産410.48億円のわずか3.7%となり、いつでも、返済できる状況にあるといえよう。実際、現金及び預金は48.24億円であり、実質、無借金経営といえよう。したがって、トータルキャッシュフローであるが、8.41億円(昨年-0.67億円)となり、結果、内部留保を充実させている。

   このように今期のヤマザワは明らかに、成長戦略から内部体制の充実、財務の改善に軸足を移していることがキャッシュの配分を見ると明らかである。したがって、後半も新規出店よりも、内部体制固めを重視した経営戦略をとることが予想され、既存店の活性化が当面の経営課題となろう。その意味ではまずは、価格対策としての平均単価のダウンが、どこまで、PI値アップに結び付き、さらに、客数アップにつながるかが課題といえよう。今後、後半、そして、来期へ向けて、ヤマザワがどのようなマーチャンダイジングの強化をはかるかに注目である。

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November 12, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 11, 2010

ID-POS分析の醍醐味とは?

   ここ最近、ID-POS分析を実施する機会が増えつつある。ID-POS分析は通常のPOS分析と違い、文字通り、IDが把握できることが最大の違いであり、すべての分析に必ず、IDが加わることが特徴である。たとえば、店舗全体の分析に際しても、従来のPOS分析は売上金額、売上数量、レシート枚数の3つしか基本指標がなかったが、ID-POS分析になるとIDが加わり、しかも、このIDが基点となってPOS分析が進んでゆく。これは大分類、中分類、小分類となっても同様であり、さらに、SKUでもIDが加わり、POS分析が進んでゆく。その意味で、IDがはじめから、最後までついて回り、しかも、分析の基軸となることがポイントである。

   では、このIDが基軸となった場合、何が通常のPOS分析と違ってくるかであるが、はじめに明確な違いとなるのは、これまでのPOS分析では商品分析のフォーマットしかなかったものに、新たに、顧客、すなわち、IDを基軸にしたファーマットが登場する。これは、縦軸に商品が並んでいた商品分析のフォーマットの縦軸がIDとなり、IDが縦一直線に並ぶフォーマットができあがることである。商品はどこにいくかであるが、横軸が基本指標と分析指標となるので、フォーマット上は消える。というよりも、3次元となる。この1枚のフォーマットが対象分析商品の数だけ重なるイメージである。

   もちろん、横に、商品と基本指標、分析指標をつなげてゆけば、3次元を2次元で表すことができるが、これはかなり無理があり、したがって、せいぜい重点商品ぐらいに絞り、あとは、必要な分析対象の商品を別途、縦に顧客、横に基本指標と分析指標をもとに作成してゆくしかないといえる。特に、期間分析、たとえば、月別分析を行う場合などは、当然、横軸に月ごとの基本指標と分析指標が入るので、自然、商品を限定せざるをえないため、IDを基軸にしたフォーマットは商品を充分に表現することが物理的に無理があるといえる。ただ、このフォーマットがこれまでの通常のPOS分析ではありあえなかったフォーマットであるといえ、これがID-POS分析ならではの醍醐味のひとつといえる。

   では、このフォーマットから何が新たに分かるかであるが、商品のロイヤルカスタマーの購入実態をつぶさに把握することが可能になる。そして、その延長として、顧客をロイヤルカスタマーに導いてゆくための様々な仮説をつくることができる。いわば、これまでの商品からのアプローチに対して、顧客からのアプローチともいえ、これが数字で理解し、数字で仮説を立て、数字で検証でき、しかも、ID個々の購入実態を思い浮かべながら仮説検証ができるので、イメージで把握することができることである。

   商品からのアプローチではいまひとつ顧客のイメージがつかみにくかったが、この帳票を駆使すれば、顧客の購買行動がほぼイメージでき、イメージのあるマーチャンダイジング戦略をつくることができる。これがID-POS分析のまさに、醍醐味のひとつといえよう。そして、そのイメージはさらに膨らませることができる。これがもうひとつのID-POS分析の醍醐味であるが、IDを基点に商品変換が可能となることである。

   どういうことか、これまでのPOS分析では商品購入に関して、誰が、すなわち、IDが特定できかったため、膨大なレシートがあっても、誰のレシートかがわからなかった。それが、ID-POS分析ではレシート1枚1枚にID番号が振られるため、誰のレシートかが特定でき、IDの全購入商品まで分析を広げることができる。これが商品変換であり、対象商品だけでなく、最終的にはIDの全購入商品まで分析が可能となる。それにより、そのIDが対象商品に対してどのくらい貢献しているか、すなわち、商品のロイヤルカスタマー度を把握できるだけでなく、店舗全体の貢献度、すあなち、店舗のロイヤルカスタマー度まで把握できる。しかも、この2つを並列に配置したフォーマットを作れば、商品のロイヤルカスタマー度だけでなく、店舗のロイヤルカスタマー度まで一目でわかり、トータルに顧客を把握することができる。これがまさに、もうひとつのID-POS分析の醍醐味といえよう。

   ちなみに、この時の基本分析指標であるが、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値が基本となる。商品の場合も、店舗の場合もIDは変わらないが、それぞれの指標が大きく違ってくる。たとえば、商品の場合はID金額PI値は商品の売上高/IDであるが、店舗になると、全商品の売上高/IDとなるので、かなり大きな差となる。同様に、ID客数PI値も金額PI値も大きな差となり、これを同時に見ることにより、同じ顧客が商品へ対して、そして、店舗に対して、どのような購買行動をしているかがわかり、顧客の消費実態をより深くつかむことができ、まさに、顧客の消費実体のインメージ化が実現する。

   このように、ID-POS分析の醍醐味は、通常のPOS分析ではけっして把握できないIDが把握できるので、IDを基軸にした帳票があらたに作成され、顧客のより深い消費実態がイメージできることである。そして、もうひとつは、さらに、広く顧客が購入している全商品にまで分析対象を広げることができ、まさに顧客のトータルな消費実態をイメージできることである。これ以外にもID-POS分析の醍醐味は数多いが、特に、この2点は通常のPOS分析では得られない分析であり、ID-POS分析ができる環境にあるのであれば、是非その醍醐味を味わって欲しいところである。

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November 11, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 10, 2010

原信ナルスH、2011年3月期決算、増収増益!

   原信ナルスHが2011年3月期、中間決算を11/2、公表した。結果は売上高615.04億円(3.7%)、営業利益20.47億円(26.4%)、経常利益20.35億円(32.3%)、当期純利益2.77億円(-64.1%)と、当期純利益は資産除去債務に関する会計基準等の適用により、特別損失が-13.61億円発生し、マイナスとなったが、営業、経常段階では増収増益の好決算となった。原信ナルスHは、この決算時についての経営環境を、「春先の天候不順から一転、当四半期は異常な猛暑となり、お客様の購買行動に様々な影響が出ました。加えて、7月に競合他社6店舗の出店があり、当社グループの出店地域を取り囲む状況も大きく変化いたしました。・・」とのことで、地元、新潟県の競合激化が一層進んでいるとのことである。

   ところで、資産除去債務に関する会計基準等の適用に関しての財務への影響であるが、P/L上は特別損失として、13.61億円計上し、当期純利益が2.77億円(-64.1%)と、大きな影響を受けているが、この時点では実際のキャッシュは発生しておらず、キャッシュフローでは、同額が営業活動によるキャッシュフローに計上され、その結果、営業活動によるキャッシュフローは35.64億円と昨年の29.75億円を上回っており、増加した。いわば、キャッシュフロー上は減価償却費と同じ扱いであり、これがP/Lとキャッシュフローとの大きな違いである。

   したがって、この中間期の投資活動によるキャッシュフローを見ると、昨年の-6.74億円に対し、今期は-24.19と、約4倍の投資を実施している。その中身は、新規出店関連と思われる有形固定資産の取得による支出が-26.37億円(昨年-6.91億円)と多額の投資となった。当期純利益上は厳しい決算となったが、キャッシュフロー上は昨年よりも潤沢な資金が確保でき、今後の成長へ向けての投資が可能になったといえる。また、財務活動によるキャッシュフローも-7.21億円(昨年-21.56億円)と大きく抑えており、結果、内部留保も4.23億円(昨年1.44億円)と増加した。P/L上は当期純利益が大きく減少したにも関わらず、キャッシュフローはむしろ増加しており、結果、前期と比べ、成長戦略への多額の投資が可能となったといえ、経営的には今期の中間決算は前期よりも積極的な経営を実践しているといえる。

   さて、原信ナルスHの営業利益について、26.4%と大幅な増益となったが、その要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、73.74%(昨年73.74%)と、偶然の一致であろうが、小数点以下2桁まで一緒である。この点について、原信ナルスHは、「当社グループの食品製造加工機能や出店地域での圧倒的な販売力を活かして、おいしく、しかも、毎日低価格で販売できる商品を開発し、他社との差別化を図りました。・・」とのことで、これら商品開発が原価維持に寄与したものといえよう。結果、売上総利益は、26.26%(昨年26.26%)となった。

   一方、経費の方であるが、22.87%(昨年23.59%)となり、0.72ポイント減少しており、経費の削減が進んでいる。これについても、原信ナルスHは、「チラシ広告の実施方針見直し、消耗品や什器関連に関する調達価格見直しと管理の徹底、作業割当の精度向上による人件費の適正化等に一層の取り組みを行い、諸費用削減に努めております。」とのことである。ただ、「猛暑の影響から、四半期累計期間で水道光熱費6.5%、修繕費が17.9%それぞれ前年同期に比べ増加いたしました。また、ガソリン価格の上昇影響で、配送費は16.3%前年同期に比べ上昇いたしました。」とのことで、上昇した経費もあったが、全体としては、
経費の削減が進んだといえる。

   結果、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は3.39%(昨年2.67%)となり、大きく改善した。原価は横バイであったが、経費削減が寄与し、利益を押し上げた形である。原信ナルスHの場合は、その他営業収入が計上されていないため、マーチャンダイジング力=営業利益となり、これが営業利益を押し上げた要因である。

   ちなみに、原信ナルスHの客数、客単価等であるが、現在、65店舗あるが、平均1日当たりの客数は約2,800人(昨対103.2%)であり、客単価は1,761円(昨対100.3%)である。やや客単価が伸び悩んでいるといえ、その中身、PI値は1043%、平均単価168円である。客単価よりも、客数に重点を置いた営業構造であるといえ、平均的な食品スーパーマーケットと比べ、かなり客数が多いのが特徴といえる。

   このように、原信ナルスHの2011年3月期の中間決算が公表されたが、増収増益の好決算であったといえ、特に、経費削減が大きく進んでおり、これが今期の利益を押し上げたといえる。ただ、原信ナルスH自身もコメントしているように、競合の食品スーパーマーケットの出店が増加し、経営環境は厳しさを増し、これにデフレも拍車をかけ、価格競争が激しくなっているという。したがって、原価を改善するのは容易ではなく、今期も昨年と同じ数字となり、この面からの利益の改善は厳しさが増しつつあるといえよう。残された後半、どこまで経費を削減し、原価を維持できるか、今後の原信ナルスHのマーチャンダイジング戦略に注目である。

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November 10, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 09, 2010

キャッシュフローの絶妙な配分とは?

   キャッシュフローには企業経営にとって、極めて重要な経営決断が反映されている。このキャッシュの配分如何で今後の成長が決まってしまうし、財務の改善がどのように図られるかも見える。さらに、配当を見れば、いかに、株主を重視しているかもわかる。しかも、この決断は最終的には経営者が自ら行うために、経営者の意思が最も反映される財務諸表のひとつであるといえ、経営者の微妙な心のゆれ、心理までが読み取れる指標であるといえる。では、このキャッシュフローに最適な配分は存在するのか、存在するとすれば、それはどのような配分比率なのかを、実際の決算数値から読み取ってみたい。

   決算数値は、決算公開企業約50社の2010年度の本決算、必要に応じて、2011年度の中間決算をも参考にし、その絶妙な配分比率を読みとってみる。まず、キャッシュフローであるが、大きく、3つに分かれる。キャッシュインとしての営業活動によるキャッシュフロー、これが配分の原資となる。そして、このキャッシュを投資活動によるキャッシュフローで配分する。ここが1つ目の配分であり、ここに経営者の成長戦略への意思が強く反映される。食品スーパーマーケットの投資活動によるキャッシュフローは、ほぼ100%が固定資産、敷金保証金等への投資であり、その大半は新規出店と考えられるので、投資活動によるキャッシュフロー=新規出店=成長戦略といっても過言ではない。

   この投資活動によるキャッシュフローを営業活動によるキャッシュフローから引いたものがフリーキャッシュフローであり、これが財務活動によるキャッシュフローに配分される。財務内容が良好な企業は、その大半を配当と内部留保に回すことができるが、財務内容が厳しい企業は財務改善にこのキャッシュを回さざるをえなく、特に、有利子負債の返済に回すことになる。さらに、財務内容が厳しい場合には、キャッシュを有利子負債を通じて、新たに調達することもあり、これを投資活動によるキャッシュフローに逆流させることもある。ただ、経営的にはますます厳しい状況に追い込まれかねず、ここにも経営者の心理が強く表れることになる。また、有利子負債を調達せず、内部留保を取り崩す場合もあり、この財務活動によるキャッシュフローには様々な選択肢があり、どの選択肢を取るかも、経営者の決断にかかっており、ここにも経営者の心理が強く反映される。

   そこで、実際の数字であるが、決算公開企業約50社の2010年度の本決算を見ると、1社1社はバラバラなキャッシュフローであるが、全体の合計数字を見てみると、食品スーパーマーケットとしての黄金律とでもいうべき、絶妙なキャッシュの配分の状況が浮かび上がる。その数字であるが、まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、276,861百万円であり、これは、売上高対比3.7%となる。その大半が当期純利益と減価償却費であるといえ、この2つが食品スーパーマーケットのキャッシュの源泉となる。

   さて、このキャッシュの内、何%を投資キャッシュフローに配分しているかであるが、-187,497百万円であり、これは営業活動によるキャッシュフローの67.7%となる。すなわち、営業キャッシュフローの約70%が投資に振り向けられている。その投資であるが、食品スーパーマーケットの場合は、先にも見たように、ほぼ100%が新規出店関連、すなわち、有形固定資産の取得と敷金保証金等への配分である。この事実を見ても、食品スーパーマーケットの投資=新規出店といっても過言ではなく、=成長であり、食品スーパーマーケットは営業活動から得られるキャッシュの約70%を成長戦略への投資に配分しているのが実態であるといえる。

   では、残り、約30%が財務活動によるキャッシュフローとなるが、財務活動へのキャッシュをどのくらい配分しているかであるが、-69,830百万円であり、これは営業活動によるキャッシュグローの25.2%であり、約25%となる。その中身であるが、大よそ営業活動によるキャッシュフローの15%が有利子負債の返済に回され、約10%が配当に配分されているのが実態である。したがって、食品スーパーマーケットの財務活動によるキャッシュフローは有利子負債の返済と配当に大半が配分されるといえ、その比率は、営業活動によるキャッシュフローの約15%、約10%であるといえる。そして、残りが内部留保ということになり、差し引き、約5%となる。

   このように、食品スーパーマーケットのキャッシュの流れ、そして、その配分比率は、営業活動によるキャッシュフローの約70%を投資、その大半を新規出店、すなわち、成長戦略に配分し、残った約30%の内、約15%を財務改善に配分し、約10%を配当に回しているといえる。そして、最終的に残った約5%を内部留保し、キャッシュを増やし、財務体質の強化を図っているのが実態といえる。これが決算公開企業約50社のキャッシュフローの実態であるといえ、食品スーパーマーケットを経営する上でのキャッシュの配分の黄金比率といえよう。個々の食品スーパーマーケットを見ると、かなりバラツキはあるが、全体で見ると、このような絶妙な配分となり、実に興味深い実態である。

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November 9, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 08, 2010

家計調査データ、2010年9月度、食品98.5%!

   総務省統計局から10/29、2010年9月度の家計調査データが公表された。本ブログでは、食品スーパーマーケットの客単価と連動を図るために月間のデータを1日当たりに変換し、かつ、購入世帯のみの消費金額と未購入者も含めた全体の消費金額、及び、購入者の割合を全項目で独自に算出し、消費実態をより深く分析している。その結果であるが、外食を抜いた食品の2010年9月度の消費額は1,941.27円(98.5%)となり、昨対をわずかに下回り、やや厳しい結果となった。

   これまでの結果を見ても、8月度2,037.32円(98.6%)、7月度1,980.42円(99.5%)、6月度1,947.93円(98.1%)、5月度2,039.97円(97.2%)、4月度1,898.10円(97.9%)、3月度1,927.32円(98.3%)、2月度1,914.82円(97.0%)、1月度1,778.32円(99.1%)という状況であり、今年に入って、昨対を超えた月は1回もなく、消費者物価指数同様、消費はデフレ気味で推移しているといえよう。ただ、この9月度は猛暑の影響とたばこの関係で消費が上向くのではないかと思われたが、結果は98.5%であるので、全体を押し上げるまでにはならなかったといえる。

   そこで、まず、たばこの影響を見てみたい。家計調査データではたばこはその他の消費支出に分類されており、その結果であるが、たばこ75.30円(245.5%)、購入者のみ448.48円(233.0%)、購入者の割合16.8%(105.4%)という結果である。この結果を見ると、明らかに異常値であり、昨対245.5%となった。ただ、購入者の割合はわずか105.4%であり、購入者のみの数字が233.0%と大きく伸びたのが要因であり、買いだめが激しく起こったことによる消費増といえよう。

   これについて、総務省統計局では新たにたばこのみの分析を過去2回の値上げ、平成18年度と平成15年度の時と比較しているが、それを見ると、今回の方が大きく伸びており、たばこの買いだめが強かったといえる。また、過去2度の数字を見ると翌月にはたばこの消費が半減するが、翌翌月には戻っており、今回もどう動くか興味深いところである。さらに、日別の動きも分析しているが、これを見ると、値上げ1週間前から消費が上昇し始め、5日前当たりからは加速度的に上昇し、前日が通常の6倍ぐらいまで跳ね上がっているのが特徴である。

   一方、猛暑の動きであるが、まず、飲料全体が140.43円(108.9%)と伸びており、特に、炭酸飲料12.07円(123.5%)、乳酸菌飲料10.47円(113.4%)、果実・野菜ジュース27.07円(111.2%)、ミネラルウォーター7.63円(110.1%)と、いずれも2桁の伸びである。ただ、紅茶1.70円(81.0%)、緑茶7.43円(83.2%)、コーヒー10.23円(89.5%)は伸び悩んでおり、猛暑だからといって、すべての飲料が伸びているわけではない。これ以外ではアイスクリーム・シャーベットが28.80円(119.5%)、購入者のみ38.82円(107.7%)、購入者の割合74.2%(111.0%)であり、新規購入者も大きく増加しているのが特徴である。また、酒類では、発泡酒・ビール風アルコール飲料が27.23円(158.9%)と大きく伸びているのは特徴である。

   さらに、果物では、ももが5.23円(163.5%)と大きく伸びたが、その要因は購入者のみが34.84円(112.8%)と伸びた以上に、購入者の割合が15.0%(145.0%)と大きく上昇しており、まさに、猛暑でももを購入する新規の購入者が大きく増加したといえよう。もも以外でも、グレープフルーツ1.63円(136.1%)、オレンジ1.13円(117.2%)、キウイフルーツ3.27円(116.7%)等も良く伸びている。逆に、りんご10.73円(88.5%)、みかん5.57円(94.9%)は伸び悩んでおり、果物も飲料同様、明暗が分かれた。

   では、食品全般のこの9月度状況はどうであったかであるが、伸びた部門は、先の飲料が140.43円(108.9%)と伸びたことに加え、発泡酒・ビール風アルコール飲料が牽引した酒類が108.80円(104.7%)と伸びている。これ以外の部門では調理食品265.67円(100.5%)、乳卵類112.00円(100.4%)が、わずかではあるが、伸びた部門である。逆に、伸び悩んだ部門であるが、菓子類193.53円(94.7%)、穀類223.97円(94.8%)、魚介類204.17円(95.6%)、油脂・調味料101.40円(96.1%)、果物111.60円(96.2%)、野菜・海藻278.40円(98.0%)、肉類201.27円(99.6%)であり、特に、果物は猛暑の影響で先に見たように伸びたものもあるが、全体としては、伸び悩んだといえる。

   特に伸び悩んだ項目を見ると、まぐろ13.23円(88.8%)、さんま11.63円(87.3%)、たい2.67円(86.0%)、ほうれんそう3.43円(64.0%)、さつまいも3.33円(82.6%)、さといも3.60円(86.4%)、だいこん 5.83円(87.1%)、さやまめ5.77円(70.3%)、食用油7.40円(83.5%)、マーガリン2.23円(81.7%)、砂糖2.90円(82.1%)、酢3.10円(87.7%)、風味調味料4.63円(89.1%)、カステラ1.97円(69.4%)、ケーキ14.90円(89.6%)、プリン4.17円(89.9%)、せんべい12.40円(89.0%)、ビスケット7.53円(88.6%)、キャンデー5.40円(87.1%)、チョコレート 6.97円(87.1%)等である。

   このように、2010年9月度の家計調査データを見ると、たばこと猛暑との影響により、伸びた項目は大きく伸びているが、全体へ影響を与えるほどではなく、むしろ、伸び悩んだ部門の方が多かったといえる。また、2桁以上昨対を下回っている項目も多く見られ、全体としては、家計の消費は伸び悩んだといえ、これまでのデフレ気味の厳しい消費動向とほぼ同じ結果であったといえよう。今後、消費者物価指数を見ても、デフレはしばらくは継続しそうな状況といえ、消費も厳しい状況が続くものといえよう。来月以降は、たばこの反動、猛暑の効果も消え、消費はさらに厳しい局面を迎えるのではないかと懸念され、今年は厳しい1年となりそうである。

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November 8, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 07, 2010

関西スーパー、2011年3月期中間、増収増益!

   関西スーパーマーケットが、10/28、2011年3月期の中間決算を公表した。結果は、営業収益576.71億円(4.1%)、営業利益5.63億円(53.0%)、経常利益6.82億円(37.7%)、当期純利益2.91億円(前期は赤字)と、昨年の赤字から一転、黒字決算となり、増収増益となった。ただ、営業利益率は売上高対比で見ると0.99%と、依然として厳しい状況が続いており、なお、一層の収益の改善が欲しいところであろう。これについて、関西スーパーマーケット自身は、「当小売業界においては、猛暑の影響により、飲料、氷菓等の販売が好調であったものの、業態間競争の激化による商品単価の下落や消費者の節約志向に変化はなく、経営環境は依然厳しい状態が続いております。」との厳しい認識である。

   そこで、まず、増益になった要因であるが、既存店は-0.3%とわずかなマイナスに留まったことが大きく、これに新店が4月に瓢箪山店(大阪府東大阪市)、江坂店(大阪府吹田市)、萬崎菱木店(堺市西区)、5月に善源寺店(大阪市都島区)の4店舗を出店したことが全体の営業収益を4.1%に押し上げた要因といえよう。ちなみに、部門別の状況であるが、最も売上高が伸びたのは青果8.5%(構成比16.63%)であり、ついで、惣菜7.0%(構成比8.08%)であり、この中間決算では、この2部門が全体を牽引したといえる。これ以外でも好調な部門が多く、日配5.2%(構成比15.75%)、一般食品4.5%(構成比27.27%)と、ここまでが、全体の平均値4.2%(売上高)を上回った部門である。それにしても、青果の構成比16.63%はかなり高い数字であり、精肉の12.35%、海産の10.01%と比べても頭一つ出ており、関西スーパーマーケットは生鮮3品、惣菜の中では青果がNo.1部門であり、集客の要となっているといえる。

   その集客に関してであるが、関西スーパーマーケットのこの中間決算での粗利率を見ると、生鮮食品が22.7%、一般食品が24.6%であり、本来、粗利の高い生鮮食品の粗利が低く、生鮮食品、特に、青果の価格訴求をかけていると思われる。これについて、関西スーパーマーケットも「当社グループは、長期ビジョンとして「チャレンジ100!」をキャッチフレーズに、「2020年、店舗数100店舗・年商2,000億円」を掲げ、鮮度の良い商品を安く売り続けることに注力し、その地域に“なくてはならないスーパーマーケット(地域一番店)”の多店舗化を推進、・・」とのことで、長期ビジョンの中で、鮮度の良い商品を安く売り続けることに注力しているとのことで、今後ともこの生鮮の価格にこだわってゆくものと思われる。ただ、地域一番店と多店舗化とのバランスをとるのは難しいものがあり、今後、どのようにマネジメントしてゆくかが課題となろう。

   次に、営業利益が増益になった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは原価であるが、76.87%(昨年76.51%)と、0.36ポイント上昇している。コメントにもあるように、業態間競争の激化の影響が大きかったものといえよう。結果、売上総利益は23.13%(昨年23.49%)と、粗利は減少した。一方、経費の方であるが、24.01%(昨年24.85%)と0.84ポイント削減しており、経費の削減は大きく進んだ。これについて、関西スーパーマーケットは「管理面では、コスト削減のため、省電力照明の採用や節電による消費電力の削減、プラスチック類や紙類等の資源ゴミのリサイクル推進による可燃ゴミの減量化などを図りました。」とのことである。さらに、「ローコスト体制づくりとして、グロサリー商品の営業時間外集中補充作業の推進や一般食品、菓子および雑貨に続き日配商品の自動発注システムの実験と検証を繰り返すなど、店内作業削減と作業効率の向上に取り組みました。」とのことで、最大の経費、人件費にもメスを入れており、これらの効果が数字に反映されたものといえよう。

   ただ、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.88%(昨年-1.36%)と、昨年よりは改善したが、依然としてマイナスであり、今後、原価、経費双方の改善がさらに必要といえよう。これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が1.88%(昨年2.04%)のり、結果、営業利益は1.00%(昨年0.68%)と、増益にはなったが、その他営業収入に負うところが大きかったといえる。こう見ると、この中間決算では、経費の削減が営業利益を改善した原動力であったといえ、原価、そして、その他営業収入に関しては、なお課題を残した決算結果であったといえよう。

   ちなみに、関西スーパーマーケットの客数、客単価であるが、 1日の売上高(517.77万円)=客数(3,228人)×客単価(金額PI値)(1,604円)、客単価(金額PI値(1,604円)=PI値(989%)×平均単価(161.60円)である。典型的な都心型食品スーパーマーケットであり、客単価よりも客数、平均単価よりもPI値を重視したマーチャンダイジングが徹底されているといえ、ここから見ても、青果強化による集客を強く図っていることが頷ける数字である。

   このように、2011年3月度の関西スーパーマーケットの中間決算は増収増益とはなったが、経費削減に負うところが大きく、さらに、マーチャンダイジング力は依然としてマイナスであり、その他営業収入に依存する状況といえる。それにしても、青果部門の構成比が16.63%と営業の柱になっており、これが客数、PI値、双方を強く押し上げているといえ、今後、他の部門との連携をどう図り、収益の確保、特に原価の改善をはかってゆくかが課題となろう。次の本決算、そして、中長期的に関西スーパーマーケットがどのように原価の改善をはかってゆくのか注目である。

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November 7, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 06, 2010

日経MJ、新製品週間ランキング、11/5、菓子の季節!

   日経MJ、新製品週間ランキングが11/5、公表された。猛暑もすっかり終わり、肌寒い季節、冬の到来となり、新製品も様変わりしはじめた。これまで、飲料関連がトップを走っていたが、一転、菓子がトップに躍り出て、飲料は厳しい季節となった。唯一、サントリー、オールフリー350ml×6本のみが金額PI値433円(カバー率78.5%)で高い数字をキープしているが、2位以下は金額PI値100円台となり、飲料ではこのオールフリーのみである。変わって、菓子が軒並み金額PI値が上昇し、Cランク200円以上の金額PI値の新製品が13品と絶好調である。まさに、菓子の季節到来といえよう。

   その菓子であるが、No.1は明治製菓、メルティキッスクリーミーショコラ60g、金額PI値455円(カバー率92.7%)となり、今週の全新製品の中でトップとなった。平均単価は214円であるので、PI値を逆算すると、455円/214円/1000人となり、0.21%となる。食品スーパーマーケットの1日当たりの客数が約2,000人であるので、1日4個となる。菓子でPI値0.21%は高い数字であり、しかも、金額PI値455円はトップクラスである。ただ、10/17初登場と日が浅いだけに、今後どこまで、この数字をキープできるかが気になるところである。

   No.2は先週1位のロッテ商事、ラミー2本入、金額PI値378円(カバー率88.3%)である。No.1、No.2ともにチョコレートであり、しかも、金額PI値400円前後と高い数字であり、今後、チョコレートには注目である。No.3は森永製菓、ムーンライトソフトケーキ6個、金額PI値364円(カバー率63.2%)、No.4明治製菓、メルティーキッス濃抹茶60g、金額PI値307円(カバー率91.5%)と、ここまでが金額PI値300円以上のBランク商品であり、今週の注目の菓子である。

   ついで、菓子はまだまだ高い金額PI値の商品があり、No.5、No.6、いずれもネスレ日本、No.5がキットカットミニオトナの甘さ13枚、金額PI値298円(カバー率76.9%)、No.6がキットカットミニ15枚、金額PI値297円(カバー率83.8%)である。この新製品は9/18、8/28初登場であるので、ほぼ落ち着いた数字であるといえ、高い支持を保っているといえる。ついで、No.7が明治製菓、メルティキッスフルーティ濃いちご60g、金額PI値264円(カバー率89.5%)である。これで、メルティキッスシリーズは3つ目であり、いずれも金額PI値が高く、今週、注目のチョコレートである。

   菓子の強さは、このチョコレートだけではなく、No.8からNo.10はポテトチップスが入っている。そのNo.8は湖池屋、ポテトチップスリッチカットショコラ仕立て58g、金額PI値226円(カバー率61.9%)、No.9はカルビー、ポテトチップスカライラー58g、金額PI値218円(カバー率67.2%)、そして、No.10がカルビー、ア・ラ・ポテトじゃがバター味72g、金額PI値218円(カバー率81.8%)となる。以上が菓子ベスト10であるが、いずれも、金額PI値が200円のCランクを超え、Bランクの300円以上が4品、しかもトップは500円に迫る勢いであり、まさに、菓子の季節到来といえよう。

   菓子に関しては、もうひとつ、冷菓、アイスクリームも気になるところである。今週のアイスクリームNo.1はハーゲンダッツジャパン、ミニカップパンプキン120ml、金額PI値218円(カバー率74.9%)である。No.2はロッテアイス、雪見だいふくとろける生キャラメル94ml(47ml×2個)、金額PI値213円(カバー率42.9%)である。いずれも、金額PI値Cランクの200円を超えており、高い数字である。また、No.3にもロッテアイス、雪見だいふく47ml×2が金額PI値143円(カバー率91.5%)で入っており、この時期のアイスクリームとしては、高い金額PI値であり、注目の新製品といえよう。

   一方、菓子以外であるが、家庭用品で2品、金額PI値、Bランクの300円を超える新製品がある。No.1は花王、ソフィーナポーテ濃密リンクル美容液30g、金額PI値353円(カバー率27.69%)であり、No.2はマックスファクター、SK-Ⅱスキンシグネチャーメルティングリッチクリーム50g、金額PI値325円(カバー率15.4%)である。いずれも高額商品であり、平均単価は4,574円、17,348円となり、この価格では中々食品スーパーマーケットとしては手が出せないプライスラインといえよう。また、今週のその他食品であるが、残念ながら金額PI値300円を超えるBランク以上のものが一品もなく、不調である。その中で、No.1とのなったのは森永乳業、ビヒダスヨーグルトバラエティパック4ポット80g×4、金額PI値281円(カバー率75.7%)であり、これを入れても、金額PI値200円以上は4品であり、厳しい数字である。

   このように、今週の日経MJ新製品週間ランキングは菓子、特にチョコレートの季節となり、その数字の高さが際立っており、全体の新製品を力強く、牽引しているといえる。ただ、金額PI値500円以上のAランクがないのが残念であるが、300円以上のBランクのものが4品、200円以上のCランクのものが9品、合計13品がB、Cランクであり、しかも、その内7品がチョコレートであり、トップクラスの金額PI値である。今後、しばらくはこの傾向が続くと思われ、さらに、有力な新製品の登場も期待されよう。来週以降もチョコレートには注目である。

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November 6, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 05, 2010

ヤオコー、2011年3月期中間、増収減益!

   ヤオコーが2011年3月期の第2四半期、中間決算を10/28、公表した。結果は、営業収益1,075.77億円(5.0%)、営業利益43.80億円(-3.6%)、経常利益43.02億円(-4.0%)、当期純利益22.74億円(-12.2%)となり、増収とはなったが、減益となるやや厳しい決算となった。ヤオコー自身は、「個人消費は、経済対策の効果もあって一部持ち直しの傾向にあり、消費者マインドに改善も見られますが、スーパーマーケット業界におきましては、デフレが続くなか低価格志向は変わらず、依然として価格競争・安売り競争が続いております。」との認識で、価格競争が厳しかったとのことである。

   そこで、ヤオコーが減益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、71.53%(昨年71.38%)と0.15ポイント上昇しており、若干の原価の上昇が見られる。結果、売上総利益は28.47%(昨年28.62%)となった。この28.47%の売上総利益は食品スーパーマーケット業界ではトップクラスであり、2010年度の決算公開企業約50社の本決算で見ると、ベスト5前後となる。平均がちょうど25.0%であるので、この数字を見てもヤオコーが付加価値の高いマーチャンダイジングを実践していることがわかる。

   実際、今期のヤオコー単体の部門別収益構造を見ると、生鮮部の粗利は28.54%、グロサリー部は23.38%であり、これに、まさに付加価値の高い惣菜(三味)が49.02%のり、結果、28.73%、連結よりも高い粗利率となる。また、この惣菜(三味)は売上構成比が14.0%と、食品スーパーマーケット業界の中でもトップクラスであり、相乗積を取ると6.86%となり、粗利全体の23.88%、約1/4を占める。いかに、ヤオコーの惣菜が食品スーパーマーケットの商品全体の中で付加価値が高いかがわかる。

   ただ、今期ヤオコーは、付加価値を追求し、惣菜を中核にミールソリューションを追求する一方、価格コンシャス、すなわち、価格にもこだわっており、価格に対しては競合を意識した価格帯への修正に入っている。今後、この高い粗利率を維持できるか、今後の数字が気になるところである。この価格コンシャスネスについては、「具体的には価格コンシャスを徹底するという観点から、競合他社の価格調査も踏まえ、従来よりは価格帯を広げ、頻度品の下限価格を引き下げるとともに中心価格帯より少し上のセミアップグレード商品の品揃えも強化し、より広いお客様のニーズに対応できるようにいたしました。」とのことで、プライスラインを含め、価格構造そのものの見直しを行っているとのことである。

   一方、経費の方であるが、28.68%(昨年28.46%)となり、0.22ポイント上昇している。これについて、ヤオコーは、「経費削減につきましても、引き続き販売・事務消耗品から店舗施設関係経費まで全般に亘って発注方法、仕様の見直しなど徹底したコスト削減に努め、・・」とのことであるが、残念ながら、若干経費の上昇が見られる。ちなみに、ヤオコー単体で見た場合、先の惣菜(三味)はヤオコーの子会社であるので、これを抜いた場合は23.1%に下がる。惣菜(三味)を加えると、単体では27.4%であるので、惣菜(三味)が粗利への貢献度も高いが、経費への負担も大きいといえよう。また、これも2010年度の決算公開企業約50社の本決算で見ると、平均は25.6%であるので、ヤオコーはかなり高めの経費比率であるといえる。経費をかけて付加価値を極限まで追求するという営業戦略といえる。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-0.21%(昨年0.16%)と、プラスから、マイナスへ転じた。原価、経費双方が上昇したことが大きくマーチャンダイジング力に影響を与えたといえよう。これに、ヤオコー特有のNSC(近隣型ショッピングセンー)を主体とした経営構造により、不動産収入等のその他営業収入が4.47%(昨年4.48%)のり、結果、営業利益は4.26%(昨年4.65%)と、減益となった。売上高は新店等の貢献があり、105.05%伸びたにも関わらず、その伸びで営業利益の減少を補えなかったといえ、それだけ、原価、経費ダブルでのマイナスが大きかったといえよう。

   気になる今期、本決算の予想であるが、営業収益2,170.00億円(5.1%)、営業利益 91.25億円(6.1%)、経常利益88.85億円(5.0%)、当期純利益49.70億円(3.0%)と、増収増益予想である。ヤオコー自身も、「通期の業績予想につきましては、当第2四半期連結累計期間の業績が、概ね予定通りに推移していることから、平成22年5月6日に公表した期初の予想を変更しておりません。」とのことで、後半、挽回し、増収増益にもってゆくとのことである。

   このように、デフレが深刻さを増し、食品スーパーマーケット業界にとっては厳しい経営環境の中、高付加価値を目指しているヤオコーの決算が注目されたが、結果は増収とはなったが、原価、経費、双方が上昇し、減益となるやや厳しい決算となった。ヤオコーもデフレ対策として、今期から価格コンシャスネスを掲げ、競合状況も意識した価格にこだわる価格政策を打ち出しているが、まだ、全体の結果には成果が表れていないようであり、今後、さらに、強く押しすすめる必要があろう。ただ、付加価値追求と価格訴求は相反する課題であり、そのバランスを取るのは極めて難しいマネジメントが要求される。今後、この両立をどうはかり、収益の改善をはかるのか、ヤオコーの後半の動向に注目である。

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November 5, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 04, 2010

N008:くるるの杜(もり)を見る!

   直売所関係の調査事業の一環で11/1、11/2と北海道に飛んだ。目的は北海道庁へのヒアリング、札幌市役所へのヒアリング、そして、北海道の生産者へのヒアリング、さらに、札幌市、および札幌市郊外の農産物直売所へのヒアリングと視察である。1泊2日の行程、朝一の飛行機でゆき、最終で帰るという慌ただしいスケージュールであったが、成果は十分、充実した調査となった。おいおい、本ブログでも取り上げてゆくつもりであるが、今回は、この調査の中で最も印象に残った直売所、くるるの杜(もり)について取り上げてみたい。

   農産物直売所の調査については、いま話題の、札幌市のど真ん中、狸小路にあるHUGも興味深い直売所である。ここでは、店長に約1時間ヒアリングさせていただき、HUGオープンからこれまでのおいたち、現状の営業、そして、経営状況、今後の課題等をお話いただき、かなり活発な議論をもさせていただいた。これについても、いずれ、本ブログでも取り上げてゆきたいと思うが、今回は、くるるの杜(もり)、恐らく、現時点では、日本で最も完成度が高く、かつ、北海道ならでのスケールの大きさ、そして、雄大な夢、構想をもった直売所であるといえ、取り上げてみたい。

   このくるるの杜は、ホクレンが総力をあげて、今年の7月にオープンした農産物直売所を核にした農業体験までできる一大農業アミューズメントパークのような施設である。ホクレンの平成22年度の投資計画の中では直売所、農村レストランなどの固定資産取得に9億3,000万円が計上されているので、この大半がくるるの杜に投資されたものといえよう。運営費等を加えれば、10億円プロジェクトといえ、一直売所への投資金額としては、異常値である。ただ、実際にくるるの杜へ行ってみると、10億円かかっても、けっしておかしくない規模であり、納得ができる。

   くるるの杜の概要であるが、敷地全体面積は176,561平米(約5万坪強)であり、歩いて回れるような広さではない。この広大な土地に農産物直売所380平米(約115坪)が核店舗としてあり、さらにもう一つの核店舗が農村レストランであり、150席ある。この2つだけの施設だと約5万坪の広大な敷地面積を埋めることは到底できないが、ここを埋めるのが体験農場10,000平米(約3,000坪)、市民農場120区画、ビニールハウス(冬場の体験農場などに使用)、たんぼ、多目的ハウス、多目的広場、そして、312台の駐車場がある。これでも、まだ、敷地面積は埋まらないが、おそらく、今後、さらに、農場、他の施設等を増加してゆくのではないかと思われる。

   したがって、直売所自体は約100坪強であるので、直売所としては、中型クラスといえ、けっして、大きな直売所ではないが、この広大な複合施設とともに配置されると、食品スーパーマーケットのNSC(近隣型ショッピングセンター)と、ほぼ同じコンセプトであるといえ、NDS(近隣型複合直売所)という新たな直売所の都市近郊における業態がホクレンにより、開発されたともいえよう。おそらく、現時点ではまだここまで完成度の高いNDS(近隣型複合直売所)はないのではないかと思われ、今後の直売所の1つの時代をつくるのではないかと思う。

   通常、直売所の運営はJA、行政、第3セクター、生産者、民間企業等が行うが、いずれが運営主体になっても、ここまで大がかりな投資をすることはまず難しいといえる。今回、通常ではありあえないようなことが起こったのは、運営主体がホクレンという強大な組織が本格的に動いたからといえよう。ホクレンはひとことでいえば、北海道の農協により組織された連合会であり、130会員からなり、出資金201億円、総取扱高1兆4,734億円(平成21年度実績)という、巨大な組織である。経常利益は61.48億円であるので、総取扱高対比0.41%と利益率は低いが、扱高は大きい。資産も9,663.96億円と1兆円近い資産を持ち、今年度の投資額も74.39億円と経常利益以上の投資であり、積極的である。この投資額にくるるの杜、約10億円が含まれている。

   したがって、ホクレンという、これだけ、巨大な組織だからこそできた投資であり、直売所のNDS(近隣型複合直売所)であるといえよう。実際、直売所で商品を見て見ると、通常の直売所とは違い、生産者の名前に交じって、JA名がある野菜、果物が数多くある。したがって、流通ルートも通常の直売所では見られないJAが集荷し、市場へ出さない商品であるといえ、いわば、市場外流通、もっと正確にいえば、規格外市場外流通ともいえ、ある意味、直売所革命、新たな小規模農家のための農産物の流通ルートの登場ともいえる。

   このように、くるるの杜はホクレンが総力を挙げて取り組み、直売所の概念を打ち破り、NDS(近隣型複合直売所)という新たな直売所業態を構築したといえよう。ホクレンというJAの連合会であるがゆえに可能であったといえ、また、商品戦略も各JAが集荷した、いわば、市場流通に加え、新たに規格外市場外流通市場を作り上げたといえ、これまでの私的な直売所が、このくるるの杜によって、はじめて認知されたともいえる。その意味で、くるるの杜は直売所という業態が新たな段階に踏み込んだ転機となる直売所ともいえ、今後の動向、そして、全国的なうねり、広がりになってゆくのではないかと思われる。それにしても、改めて北海道は広く、大きいと感じた。

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November 4, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 03, 2010

N007:直売所決め手となるか、GS1データバー!

   前回のブログで直売所のバーコードについて取り上げた。その最後にGS1データバーについて言及したが、ここでは、そのGS1データバーについて、改めて直売所との相性、今後の可能性、そして、食品スーパーマーケット業界への普及の可能性について考えてみたい。(財)流通システム開発センターによれば、GS1データバーは、「1990年代半ばに開発が始まり、2006年秋にISO/IEC国際標準規格となりました。我が国においても2008年秋から一部の医療医薬品の使用単位(個装)に表示されています。」とのことであり、さらに、国際的な流通システム分野の標準化機関、GS1では、2010年1月からGS1データバーが2014年までに段階的に利用可能としてゆくことで合意したという。

   このGS1はベルギーに本部があり、世界中のバーコードの標準化をはかっている国際組織であり、日本の(財)流通システム開発センターはその日本支部、GS1ジャパンともなっており、今回のGS1データバーの標準化に合意している。いわば、会計分野で進んでいるIFRS(国際会計基準)と同じ、そのバーコード版である。では、その合意内容であるが、「①2010年から利用可能となるのは、合意された企業間における限定的な利用です。②2010年から2014年までの間、各国は読取機器やアプリケーション等の対応状況を踏まえ、それぞれ段階的に導入を進めることになります。③2014年の段階では、少なくとも、商品識別コード(GTIN)をソースマーキングしたGS1データバーが、何処でも(オープンに)読める体制が整えられることが求められています。」とのことである。

   この国際合意を受けて、GS1ジャパン、すなわち、(財)流通システム開発センターでは、「これらPOSシステムやスキャナ、プリンタその他関連機器の導入、入替を行う企業に対して、GS1データバー対応機種を選定されることを強く推奨いたします。」とのことで、流通業界に現在も、今後も強く働きかけてゆくとのことである。

   では、このGS1データバーは従来のいわゆる13桁のバーコードとどこが違うのかであるが、見た目と機能面から比較してみたい。まずは、見た目であるが、半分以下と小さい、しかも、さらに半分にして2段重ね、3段重ねも可能である。したがって、これまで難しいといわれていたリンゴやオレンジのような球体の果物などにも貼ることができ、スキャンでの読み取り精度も格段とアップしたという。すでに、ウォルマートはこのGS1データバーをサンキスト、ドールなどに働きかけており、日本でも輸入果物にGS1データバーが貼られ始めているという。

   次に機能面であるが、最大の特徴はAI(Application Identifier)という機能が組み込まれたことである。これは、様々な情報項目を見分ける暗号のようなものであり、たとえば、(11)は製造年月日、(15)は販売期限日、(30)は個数、(315)は容量、(422)は原産国など、現在国際規格では、120種類の情報項目が標準化されており、日本国内はもちろん、世界中で識別可能であるという。特に(91)から(99)は独自に情報項目を設定できるので、この9つに様々な独自の情報をGS1データバーに入れ込むことも可能である。

   ちなみに日本でこのGS1データバーにいち早く注目したのは医療品業界、コンビニエンス業界、食品スーパーマーケットの精肉部門である。いずれも安心、安全に絡む必要性から取り入れられた経緯がある。医薬品は人の命にかかわる薬の有効期限、使用期限の自動識別が可能となり、コンビニでは公共料金等のミスのゆるされない管理に活用され、食品スーパーマーケットの精肉部門では狂牛病の教訓から個体識別番号を組み込み、トレーサビリティーの確認、安全安心を確保する点から採用された。

   こう見ると、青果物は見た目からも機能面からもまさにGS1データバーは最適なバーコードであるといえ、少なくとも現在の13桁の幅の長いインストアコードよりも、実用性は高いといえよう。特に、青果物専門店ともいえる直売所においては、地産地消、安全安心の観点、さらには、将来的には輸出も視野に入れると、食品スーパーマーケットの青果部門ももちろんであるが、それ以上に先駆けて、GS1データバーを活用し、消費者への安全安心を保障し、生産者の所得安定に寄与することが求められるのではないかと思う。

   問題は直売所の生産者が高齢化しており、女性の生産者も多いということである。高齢者でも女性でも簡単、気軽に利用できるGS1データバーのオペレーションが必須であり、これについては、まだ実証実験がなされたことがなく、今後の課題として残っている。ITは日進月歩であり、高齢者、女性にも優しい仕組みができるのではないかと思うが、どう解決してゆくのかが課題といえよう。そして、もう一点、通常のPOS分析でもそうだが、分かり安く、実践的に活用可能な分析帳票の開発である。これも高齢者、女性の方でも一目で問題点が把握でき、翌日から価格政策、在庫管理、生産管理、新商品開発へのヒントが得られるようなわかりやすい帳票開発もポイントといえよう。

   このようにすぐに直売所にGS1データバーを導入することは現時点では上記のような問題点があり、難しいかもしれないが、青果という形状が様々な商品を扱い、安心安全、そして、何より鮮度が重要な商品を扱う直売所においては、本来、食品スーパーマーケットに先駆けてでも、このような先進的な取り組み、国際的な視野をもって取り組むべきではないかと思う。また、このような観点から直売所の運営も考えてゆくべきではないかと思う。今後、どの直売所がいつGS1データバーを取り入れるか、注目したい。

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November 3, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 02, 2010

N006:直売所のバーコードとは?

   ここ最近、直売所を調査するケースが増え、全国の直売所を見る機会が増えた。首都圏はもちろん、先週は仙台、来週は北海道、次の週は名古屋、大阪、そして、月末は福岡の直売所を調査する予定である。そこで、最近気になっているのが、直売所のPOSの状況である。その中でも、バーコードの活用が特に気になる。食品スーパーマーケットと同じ13桁のバーコードを使いながらも、その使用方法が実にユニークであるからである。食品スーパーマーケットの生鮮食品の管理に活用するインストアコードに近い活用の仕方であるが、それともまた違い、独特な活用がなされている。

   ところで、通常の13桁のバーコードは、初めの2桁が国別番号であり、次の5桁が企業名であり、その次の5桁が商品名であり、最後の1桁がチェックデジットとなる。余談だが、このチェックデジットであるが13桁のバーコードでは1桁となる、これが何をどうチェックしているのかが以前から気になっていたが、調べてみると実に便利な数字である。まずは、その算出方法であるが、日本のバーコードの総元締めともいうべき、(財)流通システム開発センターによれば、「456995111617の場合、すべての偶数位置の数字を加算する。1の結果を3倍する。すべての奇数位置の数字を加算する。2の答えと3の答えを加算する。最後に“121”の下1桁の数字を“10”から引く。この場合は“10”から“1”を引き算した答えの“9”がチェックデジットである。 下1桁が“0”となった場合は、チェックデジットはそのまま“0”となる。(“0”の場合は“0”)」ということである。

   かなり複雑な計算をしているが、すべての13桁のバーコードはこのような計算をして算出しているということである。では、このチェックデジットをどう活用しているかであるが、大きくは2つの目的があるという。ひとつはスキャンの読み取りミス防止、そして、もうひとつはバーコードの書き変え(偽造)チェックであるという。どうして、このたった1桁の数字でそんなことができるかであるが、POSレジでは一度バーコードをスキャンすると、先に上げた計算に当てはめ、チェックデジットを計算し直すとのことで、その時算出された数字とバーコードのチェックデジットの数字とが違っていた場合、読み取りミスと判断できるという。同様に、数字が書きかえられた場合もチェックデジットの数字と合わなくなることが起こり、偽造等のチェックに活用可能であるという。

   POSレジがスキャンと同時にそんな計算を一瞬の内にしていたとは驚きであるが、このチェクデジットがあるおかげで、読み取り精度が数億分の1ぐらいになるというので、これまた驚きである。たった13桁のバーコードであるが実に興味深いといえよう。

   さて、本題に戻るが、直売所は食品スーパーマーケットと違い、同じ生鮮品、特に青果物を扱っているが、バーコードの活用方法が全く違う管理を行っている。ここに直売所で実際に購入したミニトマトがあるが、このバーコードは1306310302308という13桁の数字が付けられている。では、この13桁はどう管理されているかであるが、はじめの1が店舗番号のようである。次の4桁、3063が出荷者名、次の3桁、103が品名、すなわち、ミニトマト、次の4桁、0230が価格、そして、最後の8がチェックデジットである。ちなみに、このチェックデジットを先の計算式に充てはめると15×3+7=45+7=52となり、10-2=8で確かに、チェックデジットは8となる。

   したがって、食品スーパーマーケットと直売所のバーコードの活用の決定的な違いは出荷者管理をバーコードで管理していることであるといえる。したがって、商品ごとの分析に加え、出荷者ごとに通常のPOS分析が可能となり、さらに、これをクロスさせ、商品ごと、出荷者ごとのPOS分析も可能となる。そして、この出荷者がキーとなることで、生産者へ対しての様々な情報提供が可能となり、これを携帯電話と連動させれば、売上速報、在庫状況の随時提供も可能であり、実際、そのような活用が一部の直売所ではなされている。これは生産者のID-POS分析であるともいえ、恐らく、ID-POS分析のノウハウがほぼそのまま消費者ではなく、生産者版でできるのではないかと思う。

   ただ、残念なのは、13桁の限界もあり、この事例のように、13桁に込められる情報は店番、出荷者名、品名、価格の4つであり、これ以上の情報を付加することは物理的に無理があるといえる。出荷者にとっては、さらに、直売所への出荷数量、容量、販売期限、出荷時刻など付加できれば、付加したいところであろう。

   こう見ると、直売所の今後の商品管理を考えた場合、現在の13桁のバーコードよりももっと柔軟に対応でき、先に上げた直売所特有の様々な青果物の情報が付加できれば、生産者にとってメリットが大きいといえよう。たとえば、直売所特有の在庫問題、物流問題、生産者の生産計画、新商品開発等にデータを活かすことができれば、より生産者の所得の安定に寄与し、さらには所得の向上も繋がることになろう。実は、現在、まさに、2010年から始まった新たなバーコードがあり、これを活用することによって、この問題が解決できる可能性が極めて高いといえる。それはGS1データバーであるが、これについては稿を改めて取り上げてみたい。

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November 2, 2010 in 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 01, 2010

PLANT、2010年9月期決算、減収増益!

   PLANTが2010年9月度本決算を10/29、公表した。結果は、売上高834.61億円(-4.0%)、 営業利益21.09億円(46.5%)、経常利益20.03億円(78.3%)、当期純利益10.81 億円(74.6%)となり、減収とはなったが、大幅な増益となる決算となった。これについて、PLANT自身は特に、利益について次のようにコメントしている。まず、「利益におきましては、従来から取り組んでまいりました「在庫管理」「値入向上とロスの削減」のほか、昨年8月より導入した「生鮮管理システム」の本格稼動により粗利益率の改善が図れました。」とのことで、原価が改善したという。一方、経費の方も、「店舗運営において人時生産性を意識した人事管理が定着化したことにより作業効率の向上が実現し、主に人件費や販売費を売上高に応じてコントロールすることができ、・・」とのことで、改善が進んだという。

   そこで、このPLANTの本決算時での営業利益が大きく増益となった要因をP/Lの原価、経費面から確認してみたい。まずは原価であるが、80.36%(昨年80.76%)と、0.40ポイント改善しており、結果、売上総利益は19.64%(昨年19.24%)と、粗利が上昇した。コメントにもあったように、生鮮管理システムの本格稼働により、生鮮の粗利率が改善したものといえよう。PLNTは業態としてはスーパーセンターであるが、食品、すなわち、フードの売上構成比は66.3%と極めて高く、年々、上昇しており、いまや食品スーパーマーケットに限りなく近づきつつあるといえ、生鮮食品の粗利改善は店舗全体に大きな影響を与えるまでになったといえる。

   一方、経費の方であるが、17.46%(昨年17.85%)と0.39ポイント削減しており、コメントにもあるように作業効率の向上が人件費、販売費の削減に寄与したといえよう。実際、給料及び手当は67.55億円(売上対比7.79%)から62.33億円(売上対比7.49%)と5.22億円減少しており、売上対比でも0.30ポイント減少している。結果、差し引き、商品売買から得られるマーチャンダイジング力は2.18%(昨年1.39%)と0.79ポイント改善しており、 原価、経費双方の削減が大きかったといえよう。

   これに不動産賃貸収入が0.35%(昨年0.28%)となったが、ここでも数字が改善しており、結果、営業利益は2.53%(昨年1.67%)と大幅な増益となった。今期は原価、経費の改善に留まらず、その他営業収入である不動産賃貸収入も改善しており、トリプルでの利益改善となり、大幅な営業利益の改善をもたらしており、PLANTの収益の改善が鮮明になったといえよう。

   そこで、気になるのは、売上高であるが、残念ながら、今期は-4.0%とマイナスとなった。これは新規出店がなかったことが大きいといえる。一般に食品スーパーマーケットの成長戦略は新規出店による成長が原則であり、そのために財務を健全化し、出店余力を蓄え、毎年、安定的に新規出店を果たしてゆくことになるが、PLANTの今期の自己資本比率は21.2%(昨年17.4%)と、昨年よりは改善したとはいえ、負債に80%弱負っている財務構造であり、出店への余力が十分でないのが現状といえる。

   では、このような状況の中で、今期好調であった利益をどう配分し、どのような経営戦略を打ち出そうとしているのかを、キャッシュフローから見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、23.69億円(昨年32.57億円)と、8.88億円減少している。今期増益により、当期純利益は20.47億円(昨年10.83億円)と倍増したが、その他のマイナスが大きかったといえる。その要因を見てみると、未払い消費税等の減少が-4.06億円(昨年5.13億円)、さらに法人税等も支払いがかさんだためである。増益分がそっくり、税金関連で相殺された形であり、結果、昨年よりも営業活動によるキャッシュフローが減少するという結果となった。

   一方、投資活動によるキャッシュフローはどうであったかであるが、-7.48億円(昨年-10.79億円)であり、その中身は定期預金の預入による支出が-31.00億円と最大であり、同時に収入が24.00億円、差し引き、-7.00億円となった。したがって、残念ながら新規出店への投資はなく、来期も新規出店は厳しい状況にあるといえる。結果、差し引き、フリーキャッシュフローは16.21億円(昨年21.78億円)となり、大半を財務活動によるキャッシュフローに回している。そして、その財務活動によるキャッシュフローであるが、-24.87億円(1.41億円)とフリーキャッシュフロー以上のキャッシュフローが発生しており、その中身は長期借入金の返済による支出-24.14億円であり、結果、内部留保も取り崩すこととなった。

   このように、今期決算のPLANTは減収とはなったが、大幅な増益となり、収益の回復は原価、経費、そして、その他営業収入とトリプルでの改善が寄与し、鮮明である。ただ、キャッシュフローはほぼすべてが有利子負債の削減のみに充てられており、成長戦略を描くまでには財務の改善は進んでいない。今期も有利子負債は167.12億円(総資産の46.54%)とまだまだ厳しい財務状況にあり、当面、キャッシュフローを財務の改善に振り向けざるをえない状況にあるといえる。ただ、今期同様、今後も安定的に利益の回復が見込めれば、5年前後で財務の健全化がはかれるものといえ、今期のように高収益な決算が今後とも継続できるかが課題といえよう。来期も今期同様、デフレ環境が予想されるが、PLANTがどこまで収益改善をはかってゆくけるか、その動向に注目である。

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