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September 30, 2011

マルヤ、2012年2月期、中間決算、依然厳しい状況!

   食品スーパーマーケット業界、2012年2月期の中間決算の公表がスタートした。9/28、マルヤが中間決算を公表、来週以降、続々と各社の中間決算の公表が予想されており、今後の食品スーパーマーケット業界の動向を占う上で重要な決算となる。特に、2月期決算企業は、2010年3月から、2011年8月度までが中間期間となるため、3/11の東日本大震災の影響、今期から適用となる資産除去債務会計基準の適用に伴う影響が発生するため、決算結果にどのような影響が生じるかが焦点となる。

   さて、マルヤの2012年2月期の中間決算の結果であるが、営業収益133.55億円(-1.0%)、営業利益0.24億円(昨年は赤字)、経常利益0.35億円(昨年は赤字)、当期純利益(-2.26億円)と、減収、営業、経常利益はプラスとはなったが、まだわずかであり、当期純利益は赤字と厳しい状況が続いている。マルヤ自身も、その他情報として、「継続企業の前提に関する重要事象等の概要」を公表しており、この中で、「当社は、平成19年2月期(第45期)以降営業損失を、また平成18年2月期(第44期)以降前事業年度まで営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上しております。・・」と厳しい経営状況にあり、続けて、「当該状況により当社には、将来にわたって事業活動を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。」とのことである。いかに、厳しい経営状況にあるかがわかる。

   これを踏まえ、マルヤでは、重点政策として、①荒利の改善、②コスト構造の改善、③人材の育成に取り組み、「当社は当該状況を確実に解消すべく、引き続き下記の施策に取り組んでおります。」とのことである。特に、①、②はまさに、マーチャンダイジング力の改善といえ、いかに、食品スーパーマーケットにとって、マーチャンダイジング力が経営の根幹を支えているかがわかる。その具体策であるが、①は取扱商品構成の見直し、発注精度の向上、新規商品の開発、在庫の削減等であるという。②はコスト削減に加え、「既存店舗の損益状況を踏まえ、店舗運営を継続するか否かを機動的に判断し、不採算店舗については、早急に改善策を講じる等の対策を迅速に行ってまいります。」とのことで、店舗運営の継続にまで踏み込むとのことで、食品スーパーマーケットにとって、いかに、不採算店舗がコストに重くのしかかっているかがわかる。

   そこで、マルヤのマーチャンダイジング力について見てみたい。まずは、原価であるが、77.06%(昨年78.80%)となり、1.74ポイント改善した。結果、売上総利益、いわゆる、粗利は22.94%(昨年21.20%)と上昇した。まさに、①荒利の改善が進んでいるといえる。マルヤ自身も、「生鮮部門の強化を図るとともに、新規商品の発掘、発注精度の向上、在庫の削減に注力した結果、売上総利益率は前年同期比1.7ポイント改善し、・・」とコメントしており、売上総利益の改善が進みつつあるといえよう。

   一方、経費の方であるが、29.57%(昨年29.68%)と0.11ポイント改善した。ただ、29%台は食品スーパーマーケット業界の2011年度の決算公開企業約50社の平均が25.18%であるので、食品スーパーマーケットとしては、かなり高めの経費である。マルヤ自身は今期経費削減に取り組む一方、「店舗面におきましては、3月にインパクト佐倉小竹店(千葉県佐倉市)、6月に和戸店(埼玉県南埼玉郡)を開設いたしました。その一方、不採算店舗の1店舗を閉鎖し、第2四半期末店舗数は51店舗となりました。」とのことで、不採算店舗の閉鎖も実施しており、これも、経費削減に寄与したといえよう。

   ちなみに、マルヤの出店に関わる資産であるが、前期決算時は、土地、建物、敷金保証金等の合計を店舗数で割った数字は1.82億円と、食品スーパーマーケット業界が約6億円前後であるので、極めて小さな資産の取得で出店ができる構造であり、居抜き出店等含めた家賃等経費をかけた出店構造であるといえ、ここからも、不採算店舗の閉鎖は経費削減に大きく寄与するといえよう。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-6.63%(昨年-8.48%)と、原価、経費ダブルでの改善により、依然として大きくマイナスではあるが、改善した。これに不動産収入、物流収入等のその他営業収入が6.84%(昨年5.31%)加わり、営業利益は0.21%(昨年-3.17%)と赤字から黒字に転じた。今期は、その他営業収入も1.53ポイントと大きく改善しており、結果、営業利益を原価、経費、その他営業収入と、トリプルで引き上げており、これが、営業利益が赤字から黒字に転じた要因といえる。

   このようにマルヤは経営が極めて厳しい状況に置かれているが、この中間決算においては、経営改革の柱としているマーチャンダイジング力、すなわち、原価と経費の改善がともに進み、さらに、その他営業収入もプラスになった。結果、営業利益を押し上げており、昨年の赤字から黒字に転換、一息ついた感があるが、まだそのプラスはわずかであり、特に、今期は資産除去債務会計基準の適用に伴う影響1.62億円を計上したため、当期純利益は依然として、赤字が続いている。マルヤとしては、特に、経費比率をいかに下げるか、コスト削減と不採算店舗の閉鎖、そして、既存店の活性化が当面の課題といえよう。今後、後半、さらに、経営改革が必須といえ、マルヤがどのような思いきった政策を打ち出すか、その動向に注目である。

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September 30, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 29, 2011

AIマトリックス、メーカー、卸へのすすめ!

   AIマトリックスは、このフォーマットを開発してから、数年がたつが、ほぼ定着したといえる。特に、ここ数年、RDSデータを通じ、メーカー、卸が重点商品の選定、および、品揃えを改善するために活用してきたのが実態といえる。私も、Chain Store Age誌へのマーチャンダイジング関連の記事を投稿する際は、RDSデータをもとに必ずといっていいほど、このAIマトリックスを活用している。いまやRDSデータの商品分析には必須の分析帳票といえる。ちなみに、RDSデータは全国約400店舗の食品スーパーマーケット等のPOSデータのことであり、(財)流通システム開発センターが収集分析し、広く、メーカー、卸、小売業等が活用している貴重な全国POSデータである。

   このように、メーカー、卸が商談等に活用するための第1ステップとしては、可能な限り、全国、あるいは、地域のPOSデータから重点商品を選定し、品揃えの改善をはかることがポイントといえる。そして、これができた時点で、次のステップとしては、同じ、AIマトリックスを小売業が開示するPOSデータで同様に分析すると、メーカー、卸が、即、実戦に活かすことができる。ここ最近、実際に、このような機会が増え、実戦投入がはじまったが、思いの他、有効に活用できることがわかった。

   AIマトリックスは、その意味で、2段階で活用することがポイントといえ、まずは、RDSデータ等、自社では収集できないPOSデータをもとに、重点商品の選定、品揃え商品の改善を行い、その後、小売業から開示されるPOSデータをもとに、AIマトリックスを策定し、実際に、小売業の重点商品、そして、品揃え商品の改善を行ってゆくと、世間とも、また小売業側の顧客ともズレのない重点商品の選定、そして、品揃え商品の見直しが可能となり、ベストバランスの強力なカテゴリーをつくりあげることができる。

   ここでAIマトリックスの基本構造を改めて確認しておきたい。まずは、AIマトリックスのAIとは商品を横3つ、縦3つのゾーン、合計3×3=9つのゾーンに分類し、これにAランクからIランクまでの9つにランクづけしたことから命名された重点商品の選定と品揃えの改善を目指し、ベストバランスの仮説づくりを行うための商品分析帳票のことである。2×2の4つ、すなわち、ADマトリックスももちろん可能であるが、RDSデータは1カテゴリー、数百から多いものでは数千の商品があり、これを4つのゾーンで分析するには、重点商品のみであれば、可能かもしれないが、品揃え全体を評価するには、無理あるといえ、9つ、すなわち、AIランクが望ましいといえる。

   そこで、AIマトリックス策定の課題は何かであるが、まずは、横軸を何にし、縦軸を何にするか、そして、もう1点、A、B、C、・・、Iのランクづけの優先度である。さらに、もう1点あげれば、横3つ、縦3つに分ける基準は何を根拠にするかである。この3つのポイントがあり、ここがAIマトリックスを実戦で活用してゆく時のポイントといえる。

   まずは、軸の取り方であるが、AIマトリックスはマトリックス、すなわち、横×縦の面積で表わすことが基本である。したがって、売上高を分解した各要素が基本となる。通常のPOS分析では売上高=売上数量×平均単価と分解し、これに客数(レシート枚数)が加わり、売上高=客数×PI値×平均単価=客数×金額PI値と分解される。これがRDSデータとなると、商品の導入店舗と未導入店舗が存在するため、その客数を加味し、売上高=総客数×客数PI値×導入店舗のPI値×平均単価となる。そして、さらに、これをまとめると、売上高=総客数×客数PI値×導入店舗の金額PI値(金額PI扱店)=総客数×総金額PI値(金額PI総店)となる。したがって、横軸をこの客数PI値、縦軸を金額PI扱店とすると、掛けた面積は金額PI総店となり、RDSデータを矛盾なく、マトリックスに治めることができる。

   次に、横、縦を3つに分ける基準であるが、これは平均値と標準偏差を参考にするとはまる。AIマトリックスの目的は重点商品の選定がまずはポイントであるので、平均値+標準偏差がひとつ、もうひとつは平均値か、平均値-標準偏差で分けるとまさに、重点管理が可能となる。平均値+標準偏差はおよそ、全体の15%となるため、これでAランクを分析すると、珠玉の重点商品が選定される。

   そして、ランクであるが、当然、右上がAランク、次に、右下がBランク、そして、左上がCランクとなるように斜めにランクづけをしてゆくことがポイントである。なぜなら、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店となるため、Aランクの右下と左上は掛けると金額PI総店が同じ数字となるからである。後は、優先度を客数PI値にするか、金額PI扱店にするかであるが、RDSデータであれば、商品が広く導入されている客数PI値の方が重点度が高いと判断できるといえ、客数PI値を優先にして、ランクづけをしてゆくことが望ましいといえよう。これで、AからIまで9つのランクづけが可能となる。

   このようにRDSデータ等のAIマトリックスができ上がれば、あとは、同様に小売業から開示されるPOSデータのAIマトリックスを策定し、同様にAI分析を行えば、小売業の重点商品の選定(ABCD)、品揃え商品の改善(EFGH)が可能となり、RDSデータ等との結果と比較することにより、重点商品の追加、品揃え商品の見直しが可能となる。ここ最近、小売業のPOSデータの開示はものすごい勢いで進んでいるといえ、メーカーとしては、是非、自社のブランド育成のためにも、RDSデータに加え、小売業から開示されたPOSデータのAIマトリックスを作成することで、開示されたPOSデータにもとづく小売業独自の分析結果をもとに、効果的な企画提案が可能となろう。

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September 29, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 28, 2011

リーチと導線について

   ID-POS分析の戦略作りは2つの局面があるといえる。1つはリーチ、すなわち、誰に焦点を当てるかである。そして、2つ目は導線、どの方向に顧客を導くかである。この2つを意識して取り組まないと、ID-POS分析は単なる分析に終始し、折角の貴重なデータが十分に活用されずに埋もれてしまう。そこで、ここでは、このリーチと導線について、ID-POS分析の観点から考えてみたい。

   まずは、リーチであるが、これこそ、ID-POS分析が食品スーパーマーケットにもたらした最大の成果であるといえる。実際、店舗の数千人の顧客と数万の商品をもとにID-POS分析をかけてみると、顧客と商品の関係が鮮明になる。どのようなことが明らかになるかであるが、一般に売れ筋といわれている商品が膨大なB顧客(トライアルカスタマー)で占められている事実が浮かび上がる。いわゆる、S顧客(ロイヤルカスタマー)は売れ筋といえども、わずかであることが判明する。このS顧客とB顧客の中間がA顧客(レギュラーカスタマー)であるが、A顧客はS顧客よりは多いが、それでも、B顧客に比べると圧倒的に少ないといえる。ちなみに、もう1ランク、C顧客を定義すると、これは未購入顧客のことである。

   このように、ID-POS分析で顧客をランクづけする時は、購入顧客を3段階、SABランク、これに、未購入顧客のCを加え、4ランクで分けると、顧客の購入実態を把握しやすいといえる。また、ランクを決める指標としては、一般には売上金額、売上数量等が用いられるが、ID-POS分析の本質から見れば、購入頻度をランクの基本にすえることが合理的といえよう。ID-POS分析の最終目的は顧客の売上げを上げることであるが、そのためには、その売上げを分解し、売上げを決定づける要素であるID-POS分析特有の指標、購入頻度が最もふさわしいといえよう。

   さて、リーチであるが、要は、このSABC顧客のどの顧客にリーチするかである。これがID-POS分析の戦略づくりのはじめの課題である。通常のPOS分析では顧客を把握することができず、分析は専ら商品分析となるため、顧客へのリーチができなかったが、ID-POS分析では顧客IDのランクづけからはじまるため、顧客へのリーチが可能であり、ここからはじめることがポイントといえる。

   ただし、ここで注意が必要である。このSABC顧客にはもうひとつのランクがあることである。それは、店舗への貢献ランクである。顧客は商品を購入するために店舗へ来店しているが、店舗では商品を複数購入する。しかも、毎回、同じ商品を購入する場合もあれば、毎回違う商品を購入する場合もある。そうすると、顧客は単品の商品の売上げで店舗の売上げを構成している訳ではなく、複数の複雑な購入パターンの商品の総売り上げで店舗の売上げを構成していることがわかる。したがって、ある商品を全く買わない顧客や時々しか買わない顧客、すなわち、その商品においてはC顧客、B顧客であっても、店舗への貢献度は極めて高い場合も当然あり、同じ顧客が店舗貢献度はS顧客、A顧客であることは十分にありうることである。

   したがって、リーチは商品への貢献度の顧客と店舗の貢献度の顧客を分けて検討する必要があり、ここがメーカーと小売業の分岐点となる。理想的にはSS顧客にリーチをかければ良いが、メーカーはSA、SB、SC顧客へもリーチをかけたいと思い、小売業はSSだけでなく、AS、BS、CS顧客へもリーチをかけたいと思うはずである。ここが双方のギャップが発生するところであり、そのバランスをどうとるかで、次の展開が違ってくる。

   その次の展開であるが、導線づくりである。導線とはリーチを前提に、たとえば、S顧客にどのようなアプローチを掛け、どのような方向に顧客を誘導してゆくかであり、ここがID-POS分析の成果の見せどころとなる。ID-POS分析は顧客の売上げを商品購入履歴から分析するものであり、原則、ID、ID客数PI値、PI値、平均単価の4つの指標が発生する。いわゆるID-POS分析の4D分析であり、この4つは、売上高=ID×ID客数PI値×PI値×平均単価で関係づけることができる。したがって、この4つの基本指標の内、リーチをかけた顧客のどの指標に焦点を当て、引き上げてゆくかの導線をつくることが課題となる。これを単に販促といっても良いが、販促は商品の販売促進の略であるので、ここでは、顧客の売上げを引き上げる、しかも、ID-POS分析の基本指標を改善することであるので、誘導、すなわち、その指標に沿って、導線をつくってゆくようなイメージであるので、導線という方がわかりやすいかと思う。

   こう考えると、ID-POS分析は、顧客にリーチし、その顧客の導線計画をつくり、顧客のランクを引き上げて行くことがその本質であることがわかる。従来のPOS分析のように、商品を強引に販促することではなく、まず、顧客ランクのどの顧客にリーチをかけるのか、そして、その顧客のどの指標に着目し、どのようにランクアップをはかってゆくのか、その導線を作り上げることにあるといえる。この2つを3ケ月、6ケ月、1年、3年、5年、そして10年以上かけて取り組んでゆくことがID-POS分析特有の顧客へのアプローチといえよう。

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September 28, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 27, 2011

食品スーパー売上速報、2011年8月度、鈍化!

   食品スーパーマーケット、上場企業、23社、約2,000店舗の2011年8月度の売上速報を集計した。食品スーパーマーケットは現在約50社が上場しているが、この内、売上速報を月次で公表しているのは、この23社である。ただ、その公表方法は様々であり、全体の売上速報だけの企業、既存店まで公表する企業、客数、客単価まで公表する企業、さらには、PI値、平均単価まで公表する企業である。そこで、ここでは、全体の売上速報だけでなく、必要に応じて、客数、客単価、そして、PI値、平均単価の動向についても見てみたい。

   さて、まずは、全体の結果であるが、この8月度は100.5%、既存店は98.5%と伸び悩んだ。7月度 104.9%(既存店102.8%)、6月度 102.0%(既存店100.2%)、5月度 101.9%(既存店99.8%)、4月度 105.0%(既存店100.8%)、そして、3月度 110.2%(既存店105.0%)という状況であり、3/11の東日本大震災以降、最も低い伸び率である。また、9/21に公表された日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、社団法人新日本スーパーマーケット協会の3団体合同のスーパーマーケット販売統計調査、7,552店舗の8月度の速報値も99.8%(既存店97.5%)と、失速しており、食品スーパーマーケット業界全体が厳しい8月であったといえよう。

   ただ、このような厳しい状況の中でも、105%以上売上げを伸ばした食品スーパーマーケットが5社ある。ヤマザワ110.2%(既存店108.2%)、アークランドサカモト109.6%(既存店101.7%)、ヤオコー107.7%(既存店100.9%)、バロー106.4%(既存店99.0%)、ハローズ105.6%(既存店97.1%)である。特に、ヤマザワは110%を超え、しかも、既存店が108.2%と好調な売上げの伸びである。

   そこで、この好調なヤマザワの推移を見てみると、8月度 110.2%(既存店108.2%)、7月度 119.1%(既存店117.0%)、6月度 114.2%(既存店112.3%)、5月度 112.1%(既存店110.2%)、4月度104.7%(既存店103.6%)、そして、3月度110.5%(既存店107.7%)という推移である。8月度は7月度と比べると大きく、伸び率が大きく下がっているが、3/11の東日本大震災の月、3月度と良く似た傾向といえ、依然としてヤマザワの高い伸びが継続しているといえよう。それにしても、8月度の既存店が108.2%と高い伸びを示しており、集計企業の中ではNo.1であり、これだけ既存店が伸びるのは極めて稀なケースといえよう。

   さて、この8月度、全体が100.5%と伸び悩んだ要因であるが、客数、客単価で見ると、客数99.4%(既存店97.0%)、客単価101.2%(既存店101.1%)であり、客数が下がっているといえる。ちなみにヤマザワは客数106.4%(既存店104.3%)、客単価102.6%(既存店102.7%)であり、むしろ、客数が伸びており、全体とは逆の傾向を示している。一般に、全体の客数が伸びない要因は新店が思うように出店できていないことによるが、3/11の東日本大震災以降、各社は経費削減に加え、キャッシュの確保を優先しており、さらに、財務の安定化にキャッシュを振りむける傾向が強い。したがって、この8月までの期間においては新店戦略が経営の優先事項となっておらず、これが全体の客数を抑え、結果、売上げが伸び悩んだ大きな要因といえよう。

   ただ、このような中で積極的な経営戦略を打ち出している食品スーパーマーケットもある。ヤオコーである。全体107.7%(既存店100.9%)、客数106.1%(既存店99.4%)、客単価101.4%(既存店101.4%)と、既存店よりも、全体の伸びが高く、新店効果によるところが大きいといえる。実際、3月度以降、昨年同様、2店舗の新規出店をしており、さらに、改装店舗も2店舗と積極的に客数アップをはかっているといえる。また、PI値102.2%(既存店102.2%)、平均単価99.2%(既存店99.2%)と、PI値が伸びており、積極的なマーチャンダイジングに取り組んでいるといえ、これも客数を伸ばしている要因といえよう。

   一方、この8月度、95%以下と売上げが厳しかった食品スーパーマーケットであるが、マルエツ94.5%(既存店92.3%)、PLANT94.2%、エコス93.4%(既存店94.1%)、トーホー89.8%(既存店95.2%)、Olympic:フード85.4%(既存店85.4%)である。また、100%を下回った食品スーパーマーケットであるが、イズミ99.9%(既存店99.8%)、アークス99.6%(既存店98.1%)、いなげや99.4%(97.4%)、カスミ99.0%であり、全23社中9社が昨対を下回った食品スーパーマーケットである。

   そして、105%未満、100%以上の食品スーパーマーケットであるが、ユニバース104.0%(既存店104.0%)、マックスバリュ北海道103.6%(既存店103.6%)、マックスバリュ西日本103.2%(既存店98.1%)、スーパーバリュー102.5%、マックスバリュ東北101.9%(既存店101.4%)、マックスバリュ中部101.5%(既存店99.4%)、マックスバリュ東海100.6%(既存店96.0%)、ダイイチ100.3%(既存店100.3%)、オオゼキ100.0%(既存店97.8%)である。ちなみに、オオゼキは上場をとりやめたが、売上速報は公表している。

   このように、この8月度の食品スーパーマーケットの売上げは、3/11の東日本大震災以降、好調であった流れが、止まった感があり、一転、厳しい状況となった。特に、既存店の客数の落ち込みが大きいといえ、本来、それを埋める新店の出店が抑制されているため、カバーできない状況であることも、その要因といえよう。後半、恐らく、各社、新店の再開がはじまり、全体の数字の底上げがはかられるものと思うが、この8月度の結果を見る限り、既存店の客数アップが課題といえ、今後、どのような活性化策を講じるのか、その動向に注目である。

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September 27, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 26, 2011

ID-POS分析、小売業向け無料セミナー、10月、11月!

   ID-POS分析の小売業向けセミナーの開催が決まった。テーマは、「売場最適化!ショッパーを捉える効率的な販売計画づくりへ」であり、サブタイトルは、「ID-POS分析で店舗力を上げる」である。日程と場所は、10/21(金)大阪、10/28(金)福岡、11/10(木)東京での開催となる。いずれも同じ内容であり、13:30から17:00までの3時間30分の予定である。今回のセミナーは、主催が(株)スマーツジャパン、特別協力が大日本印刷(株)、(株)インテージ、協力が日本オラクル(株)である。講師陣も私を含め、4名の予定であり、ID-POS分析を様々な角度から、多角的に取り上げる、小売業向けの無料セミナーである。

   さて、私の講演内容であるが、冒頭の50分となる。講演テーマは、「ID-POS分析、究極の目的、購入頻度アップの本質に迫る!」であり、サブタイトルは、「顧客を増やし、顧客の購入履歴を把握し、顧客本位のマーチャンダイジングをどう構築するか!」である。限られた時間での講演であるので、まさに、ID-POS分析の本質に迫った内容に絞って講演する予定である。ID-POS分析と通常のPOS分析との最大の違いは、顧客IDの購入頻度が分析できる点にあるといえ、この1点にあるといっても過言ではない。

   基本方程式も、通常のPOS分析が売上高=客数(レシート枚数)×PI値×平均単価=客数×金額PI値(客単価)と3つの要素、客数、PI値、平均単価の3Dで分析するのに対し、ID-POS分析は売上高=ID×ID客数PI値(レシート/ID)×PI値×平均単価=ID×ID客数PI値×金額PI値=ID×ID金額PI値(ID客単価)と、ID、ID客数PI値、PI値、平均単価の4Dでの分析となる。違いは客数(レシート)がID×ID客数PI値と分解されるところであり、ここで、3Dの1つが2つに分かれ、もうひとつ軸が加わり、4D分析となる点である。

   通常のPOS分析では、IDを把握することができないため、いきなり、レシートの把握となり、商品分析にダイレクトに入ってゆくことになるが、ID-POS分析では、まず、IDを把握するところからはじまるため、IDが最初の分析対象となり、顧客の分析がはじめの課題となる。したがって、通常のPOS分析では、商品分析、いわゆるABC分析が基本となるが、ID-POS分析では顧客分析、顧客のABC分析がスタートとなる。ここが決定的に違う点であり、ここからマーチャンダイジング戦略も通常のPOS分析では商品の売上げを引き上げることが目的となるが、ID-POS分析では顧客の売上げを引き上げることが目的となる。これは通常のPOS分析では、理論的に不可能なアプローチ方法であり、小売業がこれまで、顧客の大切さを理念では説きながら、実戦できなかった領域である。

   では、この時、何が決め手となるかであるが、これが今回のセミナーのテーマ、「究極の目的、購入頻度」ということになる。顧客の売上げを上げるとは、つまるところ、購入頻度を引き上げることであり、これ以外に売上げを引き上げる方法はない。もちろん、PI値、平均単価を引き上げ、売上げをあげることも可能であるが、その影響度は購入頻度に比べればはるかに小さく、購入頻度が顧客の売上げをあげる決定的な要素となる。したがって、小売業がID-POS分析に取り組み、ID-POS分析を通じて、売上げをはかってゆくためには、これまでのマーチャンダイジング戦略を見直し、顧客IDに基点をおいたマーチャンダイジング戦略に切り替え、顧客の購入頻度をいかに引き上げるかに重点を移すことが決め手となる。

   今回のセミナーでは、ここに重点を絞り、できるだけ、実際のID-POS分析のデータにもとづき、わかりやすく解説したいと思う。小売業のマーチャンダイジングは商品戦略からスタートしたが、ID-POS分析が可能となった現在、商品を支える顧客IDを把握し、その顧客IDの来店頻度をいかに引き上げるかに重点が移りつつあるといえ、これにより、これまでのマーチャンダイジング戦略を支えてきた品揃え、棚割、レイアウト、POP、ちらし、価格政策等すべてを見直し、再構築する段階に来たといえよう。

   なお、今回は、私以外にも、「ギャップをうめて失われた売上を取り戻す!ID-POS分析の活用方法」(平林勝宏氏、(株)ツルハグループマーチャンダイジング元代表取締役)、流通カードの革新!バリューカードとは?」~新たな顧客囲い込みのサービス~(西田真氏、大日本印刷(株))、「ID-POSで現場を可視化!MDとマーケティングの最適ソリューション(河合茂氏、(株)スマーツジャパン)の3名の講演予定である。

   このように、10/6(木)のメーカー向け、ブランド育成セミナーに続き、10月、11月の大阪、福岡、東京での小売業向けID-POS分析が決まり、ID-POS分析についての最新の研究成果を講演する予定である。ID-POS分析は今後、急速に進み、数年以内には、小売業の標準分析となり、メーカーとID-POS分析結果を共有し、顧客IDに基点をおいたMD研究会が主要チェーンで立ち上がり、新たなCRM、SCMへと発展してゆくものといえよう。是非、今回のID-POS分析セミナーを機に、ID-POS分析の本質をつかんでいただければと思う。

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September 26, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 25, 2011

日経MJでポイント賦与、メーカー販促の特集記事!

   9/23の日経MJで、ここ最近注目されているメーカー側からの、小売業へのポイント販促の記事が1面で特集された。見出しは、「ポイント奮発の損得勘定」であり、このテーマのもとに、「原資、売れた分だけ、メーカー、定番品には効果薄」、「売価を維持、利益改善、小売店、実施店舗増え横並び感も」、そして、「商品乗り換え促す、売り場確保にも効果」というものである。残念ながら、小売業側のPOS分析、特に、ID-POS分析との関係が十分に言及されておらず、メーカー側からの損得勘定が中心であり、是非、この続編、小売業側からの損得勘定の記事を特集して欲しいところである。

   ちなみに、小売業側からの損得勘定のポイントは、ポイントを商品に賦与した結果、商品の売上げを上げることではない。目的は、顧客の売上げであり、さらに、その結果、店舗全体の売上げを上げることにある。したがって、1品、2品へのポイント賦与では、店舗全体への売上げの貢献度は低く、少なく見積もっても、100品単位でのポイント賦与が必要であり、できれば、1,000品から数千品へのポイント賦与が望ましく、ここまでやらないと効果は期待できない。実際、記事の中でも、「イオンでは1年間で約3割増え3,000品目まで拡大、ボーナスポイント対象商品の年間売上げは300億円に達する。」、「イトーヨーカ堂も6月に導入、500品目以上にポイントをつける。」とのことである。

   これはID-POS分析をすると明らかであり、顧客と商品とはまるで曼荼羅のように密接な関係があり、商品ごとに購入している顧客のランクはめまぐるしく変わる。したがって、ある商品にポイントをつけても、その商品のS顧客(ロイヤルカスタマー)は、お買い得感を感じ取り反応するが、最も顧客数の多いB顧客(トライアルカスタマー)は、反応が鈍い。しかも、店舗全体の貢献度、すなわち、店舗のS顧客は、この商品のS顧客よりも、B顧客に多い場合もあり、この商品のみを強化しても、商品のS顧客への貢献にはなるが、店舗のS顧客への貢献にはならない場合もあるからである。

   理想的には商品のS顧客と店舗のS顧客が一致すれば、わずかな商品へのポイント賦与でも、その商品が広く顧客を集客している、いわゆる重点商品であれば、店舗全体の売上げ増へ貢献できると思われる。ところが、残念ながら、重点商品が必ずしも、店舗全体のS顧客を広く抑えているとはいえず、小売業にとっては、重点商品のみへのポイント賦与では、本来の目的、店舗全体の売上げアップを期待できないからである。したがって、店舗のS顧客を押さえようとすると、重点商品のみでは、抑えきることができず、顧客1人1人の購入履歴をつぶさに分析し、そこから得られた貢献度の高い商品にポイント賦与する必要があり、実際にピックアップすると、数百では足りず、数千単位の商品となり、この数千品目にポイント賦与がなされた時、小売業のS顧客にリーチがかかり、小売業全体の売上増が期待できるといえる。

   ID-POS分析を実施すればするほど、このような商品と顧客の関係は明らかになり、メーカー側が意図しているブランド育成と小売業側が意図している顧客の売上増とのギャップが鮮明になる。したがって、ポイント賦与は、ID-POS分析を前提として実施しないと、わけのわからない、意図した方向とは違う結果を招きかねないことになるといえる。その意味で、ポイント賦与は、ID-POS分析による事前の顧客1人1人の購入履歴の分析、できれば、最低1年は欲しいところであり、その結果からポイント賦与の期間、ポイント倍率を決定すべきであり、さらに、その結果を再び、ID-POS分析で検証すべきであるといえる。この仮説検証体制を前提として、客観データにより、メーカー、小売業ともに目的を達成できるようなバランスが最大の、まさに、ポイントとなる。恐らく、これが次世代の小売業とメーカーとのMD研究会の姿であろう。

   日経MJの特集記事の中でも、興味深い内容がある。「あるメーカーは最近、自社の1000円の加工食品に50円分のボーナスポイントを付けた。販売数量は期間中、2割増えたが、それでも担当者は不満を隠さない。「固定客が買いだめするだけで新規顧客獲得にはほとんどつながらない。反動減が怖い。」とのことである。さらに、「カルビーが昨秋、セブンイレブンで販売した「オリーブオイルポテトチップス」(148円)。ナナコポイント20円を付けたところ、出荷個数が付ける前の1.3倍に増えた。一方で、同時期に同額のポイントを付けた定番中の定番「ポテトチップスうすしお味」(148円)は「オリーブオイルほど販売数量は伸びなかった」という。効果が堅調なのは「新製品や、主力ではない既存の商品」(大手食品メーカー)だという。」とのことである。

   いずれも、ID-POS分析の結果をしっかり検証する必要があり、特にポイント賦与に関しては、通常の店舗では、0.5%から1.0%還元が基本であるので、先の事例では50円は1000円の5%、すなわち、5倍から10倍ポイントとなる。また、ポテトチップスでは20円は148円の13.5%となり、10倍から20倍以上の効果になる。顧客から見れば、確かにボーナスであり、同じ商品を10品から20品購入しないと賦与されないポイントであり、インパクトは大きいといえる。ポイント販促は、その意味でまだはじまったばかりであるといえ、今後、ID-POS分析の研究成果を活かし、メーカー、小売業の最適バランスをどうとるか、特に、商品選定、ポイント倍率、ポイント賦与期間の設定が課題といえよう。

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September 25, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 24, 2011

アークランドサカモト、2012年2月中間、増収増益!

   ホームセンターの大手、アークランドサカモトが9/21、2012年2月期の中間決算を公表した。食品スーパーマーケット業界もまもなく、続々と公表されるものと思われるが、2月期決算企業としてはいち早い中間決算の公表である。結果は、売上高491.56億円(8.4%)、営業利益49.93億円(42.8%)、経常利益52.81億円(42.8%)、当期純利益25.71億円(31.4%)と、増収増益、特に、利益がいずれの段階でも大幅に増加し、好決算となった。

   アークランドサカモトはホームセンターが主力業態であるが、これ以外にもガーデンセンター、ペットセンター、ムサシ食品館、アークドラック等、幅広い小売事業に取り組んでいる。その主力事業のホームセンターであるが、宮城県2店舗、山形県6店舗、地元、新潟県13店舗、富山県4店舗、石川県2店舗、京都府1店舗、兵庫県1店舗、合計29店舗を展開している。重点地区は地元、新潟県と東北地区であるが、東北地区は今回、東日本大震災の被災地にも出店しており、その影響が懸念されていたが、結果は、好調であったことから、被災によるマイナス面よりも、復興によるプラス面の方が大きかったといえよう。

   ただ、気になる数字もある。この中間決算は、アークランドサカモトが2月期決算であるため、3月から8月までの集計である。この6ケ月間の売上高の推移を見ると、3月度16.5%(既存店8.8%)、4月度16.0%(既存店10.0%)、5月度11.9%(既存店6.6%)、6月度14.0%(7.0%)、7月度16.5%(既存店9.4%)、そして、8月度9.6%(既存店1.7%)であり、7月度までは絶好調であったが、8月度はやや失速、特に、既存店の伸びがとまったことである。したがって、今後、後半もこの好調さが維持されるかどうかは、9月度以降の状況次第であるといえ、気になる8月度の売上高であるといえる。

   そこで、アークランドサカモトの利益がいずれの段階でも大幅な増益となったことから、大本の営業利益について、増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、65.84%(昨年66.71%)となり、0.87ポイントと大きく改善している。結果、売上総利益は34.16%(昨年33.29%)となった。それにしても、原価率が65%台と、食品スーパーマーケットでは考えられない原価率であり、これがホームセンターの特徴のひとつといえよう。

   一方、経費の方であるが、23.99%(昨年25.57%)と、1.58ポイントと大幅に下げ、原価以上の改善率である。こう見ると、経費は食品スーパーマーケットに近い数字であるといえ、食品スーパーマーケットとの差は、経費よりも、原価の低さ、すなわち、粗利率の高さにあるといえる。結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は10.17%(昨年7.72%)と、10%を超える高い数字となった。原価、経費ともに大幅な改善が寄与したといえよう。アークランドサカモトはその他営業収入が計上されていないので、マーチャンダイジング力=営業利益となり、営業利益が大きく改善したといえる。

   では、この好調な中間決算を受けて、利益、すなわち、獲得したキャッシュをどのように配分したかをキャッシュフロー計算書をもとに見てみたい。まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが、44.72億円(昨年45.55億円)と、若干であるが、減少している。これは、当期純利益は好調な決算を受け、45.60億円(昨年35.31億円)と、約10億円増加したが、法人税等の支払額が-17.29億円(昨年-2.00億円)と、大幅に増加したためである。

   では、これを受けて、投資活動によるキャッシュフローはどうかを見てみると、-6.03億円(昨年-18.41億円)と、明らかに、投資を極力控えたキャッシュの半分である。そこで、何の投資を抑制したかであるが、有形固定資産の取得による支出、すなわち、新規出店関連の資産の取得であり、-4.56億円(昨年-16.48億円)と大きく減少していることがわかる。それにしても、これだけ、投資を抑制するには、理由があるはずである。そこで、財務活動によるキャッシュフローを見てみると、-36.62億円(昨年-24.61億円)となり、10億円以上増加している。その中身は有利子負債の削減であり、-32.23億円(昨年-20.87億円)と、財務活動によるキャッシュフローの大半、しかも、ほぼ営業活動によるキャッシュフローを当てているといえる。したがって、この中間決算では、成長戦略から、財務の健全化に大きくキャッシュを配分したといえる。実際、自己資本比率も59.7%(昨年57.7%)と改善している。

   このように、アークランドサカモトの2012年2月期中間決算の結果は増収増益、しかも、大幅な増益となり、東日本大震災後の特需が大きく収益改善に寄与したといえる。そして、その結果得られたキャッシュの大半を財務の健全化に配分しており、成長戦略を抑制した経営決断をしていることがわかる。アークランドサカモトとしては、ここで、成長戦略を抑制してでも、財務の健全化をはかることが、経営の優先課題と判断したといえ、今後の成長への余力を残し、今後何があるかわからない不足の事態への対応余力、すなわち、内部体制の充実を図ったといえる。今後、後半、8月度の既存店の売上高が伸び悩んでいることが気になるが、さらに、財務の健全化を図るのか、それとも、成長戦略に舵を切るのか、その動向に注目である。

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September 24, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 23, 2011

アンケート調査とID-POS分析の類似性!

   アンケート調査とPOSデータは従来あまり相性がよくなかった。それは、アンケート調査が個人個人に質問をし、その結果を個人を主体として集計したものであるのに対し、通常のPOS分析は商品の売上金額と売上数量がわかるだけで、そこから顧客に踏み込み、集計することができなかったからである。売上金額、売上数量を客数(レシート枚数)で割って、金額PI値、PI値を算出したとしても、これは客数当たり、すなわち、レシート1枚当たりの売上金額、売上数量がでるにすぎず、いわば、巨大な顧客1人を分析しているにすぎなったからである。したがって、アンケート調査結果とPOSデータはあまり相性がいいといえず、商品を別々の角度から見た分析であったといえる。

   これに対して、ID-POS分析はどうか、ID-POS分析は通常のPOS分析と違い、商品ではなく、顧客IDに基点を置くPOS分析であり、その点では、アンケート調査と良く似た構造であるといえる。特に、ID-POS分析のはじめのフォーマットはすべての顧客を縦に並べ、各顧客の購入履歴の一覧表を作成し、そこから、様々なID-POS分析の指標にもとづき、顧客のランクづけを行うところからはじめる。まさに、顧客1人1人の購入履歴をじっくり把握するところからはじまるといえる。違いは、アンケート調査が個人個人の意識、意思、思い、おもわくなどを、個人別に聞き取っているのに対して、ID-POS分析は顧客個々人の商品の購入結果、購入履歴を冷徹に抑え、様々な指標化をしているところである。

   アンケート調査で、この商品を良く購入しますかと聞いて、「はい」と答えても、それが本当かどうか、さらには、「はい」を3段階等に分けて聞いてみても、それが本当かどうかは、わからない。本人自身が意識していない場合もあり、アンケートではある程度の傾向は出ると思うが、ID-POS分析ほど精度の高い結果は得られない。ただ、結果ではなく、思惑をつかめるという点ではアンケート調査の方が分があるといえよう。ID-POS分析はあくまで、商品の購入結果、購入履歴であり、そこから思惑を論理的に導くことはかなり難しいといえる。
   
   こう見ると、アンケート調査は、いわゆる、アイドマのAttention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)→ Action(行動)におけるAction(行動)の前までの領域を明らかにするのに適しており、最後のAction(行動)はID-POS分析の方が圧倒的に適しているように思える。そうすると、このアイドマを完結するには、マドイア、正確にはアメドイアと、逆にさかもどった方が良いといえよう。

   まずは、ID-POS分析で顧客IDの詳細な分析を行い、そこから顧客をランク分け、たとえば、S(ロイヤルカスタマー)、A(レギュラーカスタマー)、B(トライルカスタマー)と分ける。そして、それぞれのランクの顧客数名を選び、グループインタビュー、あるいは、まさに、全顧客にアンケート調査をかける。その時、アイドマをさかもどってゆき、まず、Memory(記憶)、そして、Desire(欲求)、Interest(関心)、最後にAttention(注意)を調査すれば良いのではと思う。もちろん、Attention(注意)→ Interest(関心)→ Desire(欲求)→ Memory(記憶)の順でも問題ないといえる。要は、Action(行動)からさかもどる、Action(行動)についてはあくまでID-POS分析での実績値で正確に把握するということがポイントである。

   特に、S(ロイヤルカスタマー)とA(レギュラーカスタマー)、B(トライルカスタマー)の違い、なぜ、B(トライルカスタマー)で留まっているのか、A(レギュラーカスタマー)からS(ロイヤルカスタマー)へのランクアップのポイントは何かなどが、グループインタビュー、アンケート調査等で明らかになれば、アンケート調査結果から、ID-POS分析ではつかめない事実にもとづく仮説が立てられるのではないかと思う。

   もちろん、ID-POS分析のもうひとつの特徴、属性の活用もポイントである。年齢、性別、居住地に加え、可能であれば、職業、年収等もアンケート調査と連動することもできよう。ただ、食品スーパーマーケットのID-POS分析の属性はしっかり把握できていないことも多く、実戦に活用するには、再度、グループインタビューやアンケート調査をかける段階で確認する必要があろう。確認した上であれば、ID-POS分析の属性情報も活用可能であり、これと、SABランクとクロス分析をかければ、より、きめ細かな調査結果を、アンケート調査と連動して得ることができよう。

   このように、これまでアンケート調査とPOS分析はあまり相性が良くなく、連動して活用されることはわずかであったが、ID-POS分析の時代になると、ID-POS分析とは極めて相性が良いといえ、連動してあい補い合いながら活用してゆくことが良いのではないかと思う。双方を切り離して分析し、あとでつなげるということも考えられるが、まずは、モデル事例として、特定店舗で検証をし、その結果を受けて、大々的にアンケート調査を実施した方が、アンケート調査の中身が実戦に即活用できるのではないかと思う。アンケート項目は恣意的に決められるケースが多いが、ID-POS分析と連動して決めてゆけば、より無駄のない、実務に耐えうる項目設定も可能となろう。

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September 23, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 22, 2011

コンビニ売上速報、2011年8月度、109.1%、好調!

   9/20、(社)日本フランチャイズチェーン協会から、2011年8月度の売上速報が公表された。この売上速報は、同協会に加盟するココストア、サークルKサンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの10社43,985店舗の売上高を集計したものであり、ほぼ日本全国のコンビニを網羅しているといえ、信頼度の高い統計データである。その結果であるが、全体の売上高は109.1%、しかも既存店が107.9%となり、好調な売上高の伸びとなった。

   この結果について、協会は、「上旬は各地域とも暑い時期と涼しい時期があったが、中旬から下旬にかけて前線の影響で高温の日がほとんどなく、アイスクリームやソフトドリンクは低調であった。」と、コメントしている。また、「既存店ベースの売上高は7,364億円(前年同月比+7.9%)で10ヶ月連続のプラスとなったが、前月の伸びは下回った。」とのことで、協会としては、やや伸び率にものたりなさを感じているようである。

   そこで、この売上高が109.1%となった要因を様々な角度から見てみたい。まずは、客数、客単価であるが、客数は1.5%(既存店0.04%)であるので、客数の伸びは見られなかった。特に、全体の客数は、新店に負うところが大きく、この8月度は先に見たように店舗数は43,985店舗であり、昨年8月度が43,270店舗であるので、1.7%(+715店舗)である。もちろん、これはビルドだけでなくスクラップのマイナスも入っての伸び率であるので、新店が715店舗ではなく、差し引き715店舗であるので、新店はさらに多かったと思われる。ただ、それを加味しても、客数の伸びは少なかったといえよう。特に、既存店はほぼ0%であり、厳しい状況であったといえよう。

   したがって、売上高を力強く支えたのは客単価である。その結果であるが、全体611.7円(7.5%)、既存店607.2円(7.9%)であり、何と、既存店の方が高い伸び率である。通常、小売業で既存店の客単価がこれだけ伸び、しかも、全体の売上高を大きく支えるケースは珍しいといえ、明らかに、異常な状況であるといえる。これは、たばこの要因がたぶんにあると思われるので、昨年9月のたばこの値上げ前と10月以降の値上げ後の既存店の客単価の状況を見てみたい。

   2010年9月度の既存店の客単価620.0円(10.6%)、10月度553.0円(-1.5%)、11月度563.4円(-0.8%)、12月度609.4円(1.9%)、そして2011年1月度602円(4.4%)、2月度594.4円(4.3%)、3月度614.1円(8.3%)、4月度572.6円(1.4%)、5月度585.8円(4.5%)、6月度585.2円(6.1%)、7月度598.9円(6.9%)、8月度607.2円(7.9%)という流れである。

   これを見ると、3月は東日本大震災の特需、4月はその反動、5月以降はほぼ正常といえるが、東日本大震災前と後では、2%から3%の上乗せがあるといえよう。したがって、あくまで、推測であるが、たばこの値上げ効果は4%強ぐらいであり、それ以上の数%のオンは東日本大震災以降の構造変化が起こっているのではないかと推測される。

   そこで、さらに、たばこを含む非食品(雑貨等)について、既存店の流れと同様に昨年9月からの売上高の伸び率、及び、構成比を追ってみたい。非食品、2010年9月度売上高伸び率43.9%(構成比40.1%)、10月度-19.3%(27.2%)、11月度-1.0%(31.0%)、12月度8.5%(33.7%)、2011年1月度13.2%(34%)、2月度16%(34.6%)、3月度23.8%(36.4%)、4月度6.2%(31.9%)、5月度22.9%(35.7%)、6月度28.6%(36.3%)、7月度26.1%(34.44%)、8月度23.5%(34.1%)という流れである。

   こう見ると、9月は、たばこの値上げ前で異常値となっており、その後10月はその反動、11月まで続いているといえる。そして、12月から値上げ効果が表れ、1月、2月で定着といえる。そして、3月の東日本大震災で特需が発生し、4月がその反動、5月以降、東日本大震災の影響がプラスオンになったように見える。12月までを約15%増とすると、5月以降は約25%増であり、その差10%がたばこ以外の非食品と思われる。そして、これが、先に見た客単価の流れと軌を一にしており、全体の客単価、特に、既存店の客単価を力強く押し上げているといえよう。もちろん、東日本大震災以降、たばこの需要がさらに増したとも、とれなくはないが、非食品はたばこ以外、様々な雑貨のカテゴリーがあり、これらの中に、伸びたカテゴリーがあると見た方が説明がつくといえよう。

   ちなみに、この8月度の非食品の23.5%(34.1%)以外の部門であるが、日配食品5.5%(33.5%)、加工食品-2.6%(28.1%)、サービス17.4%(4.3%)であり、全体は9.1%の伸びである。したがって、いまや、コンビニの売上構成比No.1は非食品であり、伸び率も圧倒的であり、たばこの値上げ、東日本大震災が非食品を2段ロケットでコンビニのNo.1部門に押し上げたといえよう。

   このように、2011年8月度のコンビニの売上速報が公表されたが、7月度と比べ、やや伸び率は下がったといえるが、それでも全体は109.1%、既存店は107.9%であり、依然として高い伸び率をキープしているといえ、好調といえる。ただ、気になるのは、客数、が全体、既存店ともに伸び悩んでいることであり、客単価、しかも既存店の客単価、その中でもたばこを含む非食品に支えられていることである。その意味でバランスを欠いた売上高の伸びであるといえ、今後、日配食品、そして、8月度はマイナスとなった加工食品の活性化が課題といえよう。次回、9月度、台風等の影響が多分にあると予想されるが、どのような結果となるか、気になるところである。

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September 22, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 21, 2011

価格って何だ、EDLPの時代はいつまで!

   「現銀正札掛け値なし」、これは三越によれば、「三井高利が延宝元年(1673)に江戸本町一丁目に呉服店を開業した時、他店との競争に打ち出した商法」であり、さらに、「越後屋は本町店が大火(天和2年・1682)にあい、天和3年(1683)5月駿河町に移転しました。駿河町には商店がないので、集客のために高利は新商法を考えました。」とのことで、いまから300年以上前に日本で生まれた他店との競争に打ち勝つ商法のひとつである。

   当時、現金商売、三越の資料では現銀(げんきん)と金ではなく銀を使っているが、現在でも銀座という地名が残っているように、金ではなく、銀での商いが多かったのではないかと思う。その現金商売であるが、当時は江戸では掛け売りが主体であり、さらに、正札、いまでいう値札をつけ、定価で商品を販売することは珍しかったようである。

   三越の資料でも、「当時の呉服屋にかかわらず、あらゆる商売は見世物商い(ミセモノアキナイ)[得意先に行って注文を聞き、あとから品物を持ってゆく]か屋敷売り[直接商品を得意先に持っていって売る]が普通でした。その上、得意先は大名、武家、大きな商家で支払いは6月、12月の節季払いか、年一度の極月払いを慣習としたので、資金の回転がなく、支払いの延長、回収不能等危険負担が売価にひびくという不合理を持っていました。」とのことである。

   三井高利は、この商法を古いととらえ、この商法に打ち勝つキラーコンテンツとして、「現銀正札掛け値なし」の手法を生み出し、江戸の競合店に打ち勝ち、江戸の商圏を抑え、この手法をもって、大阪、京都の商圏をも制覇していったという。これが日本の商いの転換点であったといえ、いまでも、この「現銀正札掛け値なし」は、あらゆる日本の小売業に受けつがれ、食品スーパーマーケットでは、これに、セルフ販売が加わり、実戦されているといえる。したがって、食品スーパーマーケットの商いの原点をさかもどれば、この三井高利が生み出した「現銀正札掛け値なし」にあるといっても良いといえよう。

   ただ、実際の食品スーパーマーケットの歴史は、この流れは汲んでいるとはいえるが、アメリカで発展したチェーンストアの仕組みを取り入れたものであるといえる。さらに、その大本は、自動車産業のフォードシステムのベルトコンベアに象徴される大量生産大量販売の手法が、セルフ販売へ応用され、取り入れられたといえ、その意味では、歴史の断絶があるといえる。

   ところが、驚くことに、この「現銀正札掛け値なし」を世界的規模で実施した企業がある。ウォルマートである。ウォルマートのEDLP(Everyday Low Price)政策はまさに競合店に打ち勝つ「現銀正札掛け値なし」を徹底したものであるといえ、しかも、これをアメリカ国内はもちろん、日本では西友を通じて、世界的な規模で進めようとしている。実際、全米ではこのEDLP手法をもとに商圏を制したといっても良く、日本でも、ここ最近、徐々に西友のEDLPが浸透しはじめているといえる。ただ、ウォルマートの創業者、サム・ウォルトンが三井高利を師と仰いだという話は聞いたことがないので、EDLPは「現銀正札掛け値なし」の精神を汲んでいるが、彼が独自に生み出した商いのキラーコンテンツであるといえよう。

   そして、三井高利が生み出した「現銀正札掛け値なし」の創設から300年強の歴史の中で、EDLPへと受けつがれ、いまや、この手法が商いの基本となり、食品スーパーマーケットはもちろん、あらゆる小売業に浸透しつつあるといえよう。ただ、実際にはEDLPを掲げても、これを守ることは難しく、High Low(ハイロー)の価格政策が繰り広げられているのが現状であり、正札が日々変化し、LP(Low Price)の実現に苦労しているのが現状である。ウォルマートですら、LPをすべての商品の価格で実現することは困難な状況であり、すべての商品の価格がLPであるわけではない。

   さて、問題は、次の300年、このまま「現銀正札掛け値なし」、そして、EDLPが続いてゆくのかどうかである。三井高利もサム・ウォルトンも当時の商いの環境に対してアンチテーゼとして打ち出した、当時としては、斬新で画期的な商法であったといえる。ところが、いまや、「現銀正札掛け値なし」、EDLPが支配的な商法となり、この手法が当時ほど競争力をもっているとはいえず、新たな商法が模索され、待ち望まれているといえよう。

   恐らく、そのポイントは、価格政策が鍵を握っているといえよう。「現銀正札掛け値なし」もEDLPも、原則、一物一価であり、商品の価格はひとつ、特にEDLPでは、競合店よりも、同一商品が安い価格に集約されることである。したがって、この価格政策を打ち消す価格政策、一物多価、できれば、一物無限価が望ましい。しかも、正札として見えている価格だけではなく、正札では見えない、誰もが納得する合理的な価格政策がその答えとなろう。この条件を満たす価格政策ができた時、EDLPは意味をなさなくなり、新たな商法が生まれるのではないかと思う。いま、三井高利が生きていたら、どのような商法を編み出そうとするか、尋ねてみたいところである。

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September 21, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 20, 2011

購入頻度が顧客ランクの基本!

   ID-POS分析は顧客IDに基点をおいた分析であり、そこが通常のPOS分析と決定的に違う点である。したがって、すべては顧客IDをどう認識するかにあり、ここがID-POS分析の最大の課題といえる。よく誤解されるのが、顧客IDを認識するということで、IDの属性が把握できることがID-POS分析の本質であるかのような議論があるが、これは、ある意味、正しい面もあるが、本質ではない。ID-POS分析の本質は売上げをより深く把握できる点にあり、属性はその売上げの深さを前提にした広がりを分析しているにすぎない。したがって、ID-POS分析において属性の分析ができても、従来のPOS分析の域をでない分析内容であれば片手落ちといえ、これにID-POS分析特有の深さがともなって、はじめてID-POS分析が完結し、その醍醐味を味わうことができる。

   さて、そのID-POS分析で常に問題となるのが、顧客のランク付けである。このテーマは古くて新しいテーマのひとつであり、これまで様々なランク付けがなされてきた。これは通常のPOSデータの商品のランク付け、すなわち、重点商品の選定でも同様な問題が存在した。たとえば、重点商品、一般には売れ筋と総称することが多いが、これをPOS分析でどう定義するか、すなわち、ランク付けである。

   最も単純なランク付けは、売上金額順にランクをつけ、重点商品を単純に売上の高い商品と定義することである。一方、これに対して、売上数量でランク付けすることも当然可能であり、売上数量を優先するランクづけもある。さらには、このミックスで、売上金額と売上数量の2次元でランクづけする方法もある。いずれも売上げの本質は何かを突き詰めた結果のランク付けであり、それなりに説得力のあるランク付けである。

   ただ、これが単独店であれば、問題はないが、チェーンストアとなると、売上規模の違いが大きく、単純な売上金額、売上数量ではランク付けが難しくなる。そこで、チェーンストアでは、客数(レシート枚数)を加味し、客数当たりの売上金額、売上数量、すなわち、金額PI値、PI値を活用にするようになり、ランク付けが発展した。そして、さらに、売上高の本質に迫り、売上高=客数×PI値×平均単価=客数×金額PI値というMD方程式が開発されたことにより、商品のランク付けはPI値と平均単価、そして、その積となる金額PI値で評価されるようになった。

   すなわち、すべての商品を金額PI値=PI値×平均単価と分解し、PI値も平均単価も高く、金額PI値の高い商品を最高ランク、PI値のみ高く、平均単価が低く金額PI値の高い商品を次のランク、平均単価のみ高く、PI値が低く、金額PI値が高い商品をその次のランク、・・というように、PI値×平均単価のマトリックスで商品のランク付けができるようになり、重点商品の捉え方が大きく変化していったといえる。

   そこで、ID-POS分析であるが、ID-POS分析も同様に商品のランク付けをするが、その前提となるのは、顧客のランクである。ID-POS分析は顧客IDの把握からはじまるため、まず、最初のランク付けは顧客であり、顧客ランクをどうするかが課題である。実は、ここでも、従来のPOS分析の歴史をたどっており、単純に顧客1人1人の売上金額でのランク付けから始まっている。初期段階としては、これはこれで良いといえるが、ただ、これでは、ID-POS分析特有の指標を十分に活かしきれていないといえ、まだまだ不十分である。

   ID-POS分析の基本方程式は、売上高=ID×ID客数PI値×PI値×平均単価=ID×ID客数PI値×金額PI値=ID×ID金額PI値であるので、ここから、ランク付けを検討する必要がある。ただ、金額PI値のランク付けはすでに、通常のPOS分析で解決済みであるので、ID-POS分析ではID-POS分析特有の指標、すなわち、ID客数PI値がランク付けの決め手となる。したがって、顧客を、まず、はじめにランク付けする最優先指標はID客数PI値、すなわち、頻度であるといえる。このID客数PI値により、顧客IDを並べ変えることが、ID-POS分析において、顧客をランク付けする第1歩といえる。

   そして、あとは、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値であるので、通常のPOS分析同様、2次元のマトリックスでID金額PI値を前提にID客数PI値、金額PI値でランク付けしてゆけば良い。さらに、金額PI値を従来のPOS分析同様、PI値、平均単価で落とし込めば、さらに、深さが増すことになる。

   このように、顧客をランクを付ける上においては、ID-POS分析特有の分析指標、ID客数PI値、すなわち、頻度を最優先指標としてランク付けすることが、合理的であるといえる。突き詰めれば、売上げとは商品に値段を付けて顧客に販売し、キャッシュを獲得することに他ならず、商品を評価するには、売上げの中身を深く掘り下げ、その本質の指標をもとに評価するのがポイントであるといえる。したがって、通常のPOS分析では商品をPI値、平均単価を金額PI値をもとにランク付けし、ID-POS分析では、顧客IDが把握できるがゆえに、顧客をID客数PI値と金額PI値をID金額PI値をもとにランク付けすることが、合理的であるといえる。顧客ランク付けに当たっては現時点では、これがベストなランク付けであるといえよう。

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September 20, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 19, 2011

グーグル、小売1200店舗の商品情報公開!

   すでに、ネット上ではこの情報が溢れかえっているが、9/16からグーグル(Google)が新サービス、「グーグルローカルショッピング」をはじめた。「グーグルローカルショッピング」でググると、0.06秒で約1,200万件の検索結果がでる。びっくりである。本ブログでは、日本経済新聞が9/16に掲載した「全国1200店の価格、グーグルで比較」という記事をもとに、必要に応じてグーグルでの検索結果も参考に、このサービスについて考えてみたい。

   まずは、日経新聞の記事の内容であるが、見出しは、「「全国1200店の価格、グーグルで比較」であるが、これ以外にも小見出し等がある。「ヨドバシやマツキヨの商品」、「在庫情報も公開」、「来年中に100社参加目標」であり、さらに、「スマホを使えば出先でも価格などを検索できる」と題し、スマートフォンを活用した新サービスの事例が図表で掲載されている。これを見ると、この新サービスはスマートフォン時代のキラーコンテンツのひとつとして位置づけられており、パソコン→インターネット→検索→広告収入という、これまでのグーグルを支えたビジネスモデルが、スマートフォン→インターネット→検索→広告収入という方向への戦略的転換を図かった新サービスであることがわかる。

   恐らく、近い将来、グーグルを支えてきた圧倒的なパソコンでのインターネット検索を通じての広告収入が、スマートフォンに置き換わるものと思われ、その先駆けとなる新サービスといえよう。今後、このようなスマートフォンを中核にした新たなビジネスモデルがグーグルに限らず、様々な企業において、ものすごい勢いで開発されるのではないかと、世界的な検索ビジネスの最大手の1社、ググールが本格的に動いたことで、予感させる動きであるといえる。

  スマートフォン市場のOSはいまやグーグルが世界シェアをアンドロイドで獲得しつつあり、スマートフォン、特にアンドロイド携帯でいかに広告収入を確保するかは、グーグルにとっては当面の戦略的な課題であるといえ、今回の新サービスは、その第1歩、あしがかりのひとつといえよう。

   ちなみに、情報提供する小売業側にはメリットがあるかどうかであるが、各社の記者会見等を見ると、スマートフォンでは、GPS機能を活用した位置情報があるため、地図と連動し、欲しい価格の最寄り店舗の検索が可能であり、販促に期待しているとのことである。また、在庫情報も表示されるとのことで、実際に購入が可能かどうかもわかるという。さらに、店舗側としては、ここ最近、急激にシェアを伸ばしてきたネット通販との激しい価格競争にさらされ、ネットの方が店頭よりも安いとの定評があり、これを事実をもって覆し、店頭の方が価格的にも安いというイメージを浸透させたいとの思惑もあるようである。

   さて、この新サービス、「グーグルローカルショッピング」の中身であるが、日経によれば、現在の参加企業は、「ヨドバシなどのほか東急ハンズ、CD・DVD販売のローソンHMVエンターテイメント(東京・品川)、書店「ブックファースト」を展開する阪急リテールズ、西鉄ストア(福岡市)が参加する。」とのことである。これら小売側は、「毎日1回以上、データをグーグル側にネット経由で送る。商品の入れ替わりが速い業態の場合などは、1日に複数回のデータ更新にも対応する、・・」という。小売企業の参加は無料であるとのことである。

   グーグルはこの新サービスを来年中に100社に増やす目標を掲げており、その候補には大手コンビニエンスストアや衣料品チェーンとも交渉中であるとのことである。すでに、今回、西鉄ストアが入り、食品スーパーマーケットも交渉候補にあがっており、コンビニエンスストアが決まれば、ドラックストア、ホームセンター等も検討がはじまり、小売業全体に広がってゆくことになろう。

   当然その場合はPOS情報が対象となるため、この動きは必然的にPOS情報の無料での開示サービスへとつながってゆくものといえよう。仮に、これが可能であるとすると、今回の価格情報、在庫情報、位置情報に加え、新たに販売情報が開示されることになり、商品情報により高い価値が加わることになる。さらに、将来的にはID-POS情報も当然可能となり、アマゾンのようなきめ細かなID-POS分析にもとづく商品情報の提示も可能となろう。グーグルがどこまで視野に入れて動いているか、現時点ではわからないが、そこまでゆく可能性は高いといえよう。

   このように、グーグルがこれまでのインターネットの検索から、大きく一歩踏み出し、商品情報の検索に動きはじめたといえる。しかも、小売業からの情報は無料であり、消費者の検索による広告収入のみですべての費用を賄うという。当然、この延長線上にはPOS分析、そして、将来的にはID-POS分析が視野に入っていると思われ、POS分析も新たな段階に入ったといえよう。ちなみに、グーグルのインターネットのログ解析のアナリティックスは無料であるが、完成度の高い分析がなされ、様々な帳票が開発されている。これを応用すれば、POS分析、ID-POS分析は十分に対応が可能であり、小売業にとっては無料でPOS分析、ID-POS分析が可能となる。その意味で環境は整っているといえ、いつ、グーグルが今回の新サービスを機会に本格的なPOS、ID-POS分析の世界に踏み出すか、その動向に注目である。

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September 19, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 18, 2011

食品スーパー、ID-POS分析、マトリックス組織!

   食品スーパーマーケットの現時点での本質は商品の安定供給体制の構築にあるといえ、その意味で、中核組織は商品部にあるといえる。つきつめれば、食品スーパーマーケットに限らず、小売業は商品と顧客との関係をいかに継続、安定させるかにあるといえ、商品の顧客への安定供給体制をどうはかるかが、最優先課題であるといえる。したがって、組織はシンプルであり、どれだけ、店舗数が増えようが、商品の安定供給を担う商品部が、その中核であり、ここが食品スーパーマーケットの心臓部といえる。

   店舗も同様であり、商品部が調達した商品を顧客にしっかり供給することであるが、ただし、店舗は供給ではなく、店頭で商品に価格をつけ、顧客に販売する点が違うといえる。供給と販売、その違いは価格にあるといえ、この価格が商品と顧客との関係を決める重要な要素となっており、ここに店舗の存在意義があるといえる。したがって、店舗は商品部の安定供給の流れを汲みながらも、商品部よりも顧客の方に目が向き、価格政策を通じて、販売に重点を置いているといえ、ここに、商品部との大きな違いが存在する。

   ただ、商品部の供給、店舗の販売は、その大前提に商品と顧客との接点、Point Of Sales、あるいは、Point Of Purchaseが重要な課題であり、そのためにPOS分析が必須となる。特に、通常のPOS分析は突き詰めれば、PI値(数量)と価格の関係を金額PI値(客単価)で分析することに尽きるといえ、いくらで何個売れるのか、その最大値、すなわち、最高の売上げ、キャッシュを獲得する手段に他ならない。このPOS分析は商品部も、店舗も共通の基本情報であり、この情報を共有することによって、商品部の供給と店舗の販売、言い換えれば、需給調整が為されることになる。POSデータはその意味で商品部と店舗との関係を共通の顧客の購入実績という客観データにもとづいて判断するための貴重なデータといえる。

   特に、ここ数年、POSデータのメーカー、産地への開示が浸透しはじめたことにより、商品部の安定供給体制がメーカー、産地まで店頭から生まれる共通のPOS分析データにより、調整が図られるようになった。その結果、食品スーパーマーケットの商品の安定供給体制づくりと、顧客への商品の販売体制づくりを連結する仕組みの完成度が高まりつつあるといえる。こう見ると、現時点の食品スーパーマーケットの組織はシンプルであり、店頭価格という商品の顧客への需給を調整する変換指標が存在するが、中核は商品部であり、商品部の機能を強化してゆくことが、本筋といえる。

   さて、この食品スーパーマーケットのシンプルな組織体系に、ここ最近、大きな変化が表れつつある。ID-POSデータの普及である。ID-POSデータは通常のPOSデータと違い、顧客1人1人の購入履歴の詳細が把握できることにより、これまでのように商品を顧客に店頭価格のみで販売することが必ずしも、最大の売上げ、すなわち、最大のキャッシュの獲得には結びつかないという事実が次々に浮かびあがってきたことである。

   そもそも食品スーパーマーケットが目指してきたのは、商品の安定供給体制づくりであり、それを前提とした店頭での価格調整による売上げ最大、すなわち、キャッシュの最大の獲得を目指す販売体制づくりであるといえる。ところが、これをID-POS分析で顧客1人1人の購入履歴を見てみると、特に、店舗のロイヤルカスタマー、S顧客にとっては望ましいとはいえず、というよりも、公平さを欠いた価格政策を含め、販売体制を敷いていることが明らかになりつつある。また、店舗のS顧客と、商品各部門のS顧客とは一致しない場合が多く、商品部が想定するS顧客と、店舗が想定するS顧客とは相反する場合すらある。顧客をSABで店舗と商品部とをそれぞれ、3区分した場合に、SS、AA、BBと一致するとはいえず、SB、BSが存在し、顧客の一元管理は明らかに無理がある事実が浮かび上がる。

   したがって、ことID-POS分析で顧客を分析した場合、食品スーパーマーケットとしては、商品部を中核組織とする組織体制だけでは、顧客の満足度を満たしえず、結果、売上げ、すなわち、キャッシュの最大化を目指すことができなくなる。これは以前から食品スーパーマーケットに携わる誰もが直観的には感づいていたことであるが、ID-POS分析を実施して、はじめて、数値で明らかになった事実であり、この事実が明らかになった時点で、食品スーパーマーケットとしては新たな組織づくりが求められているといえる。

   この事実が、今後の食品スーパーマーケットの組織体制を一変させる可能性が高く、それが、ID-POS分析を中核に据えた顧客1人1人の購入履歴をもとに、店舗からのSAB顧客への対応づくりと、商品部からのSAB顧客への対応づくりとの2つの軸で組織をつくる、いわばマトリックス組織の構築である。商品部はこれまで通り、商品の安定供給体制をつくりながらも、一方で、商品の購入者である顧客のSABへの対応を検討し、店舗のSABの顧客をもフォローする。一方、店舗は商品部のSABの顧客をフォローしながら、本質は店舗のSABの顧客を最優先でフォローする仕組みである。そして、このマトリックス組織を通じて、顧客1人1人から得られるキャッシュを最大化し、結果、売上アップを目指すことが、今後の課題となる。これがID-POS分析の結果が要請している食品スーパーマーケットへの顧客1人1人の切実な要望であるといえ、この事実を認識したら、是非、検討して欲しい、次世代の食品スーパーマーケットの組織づくりである。

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September 18, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 17, 2011

商品分類を顧客IDのリフト値から考えてみる!

   商品分類は古くて新しいテーマである。実際、食品スーパーマーケットでは、商品を約10の大分類で管理し、これを、それぞれ30分類ぐらいのカテゴリーに分け、そこに単品が約30品ぐらい配され、結果、約10大分類、約300カテゴリー、約10,000品の単品によって商品管理がなされているのが実態といえる。では、この大分類、カテゴリーは、どのように単品を分類しているのか、そして、そこには何らかの根拠があるのか、さらには、最新のPOS分析、特に、ID-POS分析で考えるとどのような分類となるかを考えてみたい。

   食品スーパーマーケットは、現在も続いているが、ラインロビングの歴史であるといえる。ラインロビングとは新たな商品群を他の業種からロビング、すなわち、盗むことであり、そうして、食品スーパーマーケットは食品の総合化を図ってきたといえる。その生い立ちは様々であるが、たとえば、青果専門店、八百屋からスタートした食品スーパーマーケットは、次のラインとして、鮮魚、精肉をロビングし、生鮮3品を統合した食品業態を確立した。その結果、何が生じたか、青果専門店よりもはるかに大きな売上げが達成された。特に、客数×客単価で見ると、客単価もさることながら、客数が飛躍的に伸びるという結果をもたらしたといえる。

   これは何が起こったかであるが、八百屋の時の客層と鮮魚、精肉をラインロビングした時の客層が大きく変化し、新たな客層が加わったからといえる。すなわち、八百屋で扱っていた青果物を購入する顧客は青果物の中だけで買い物をしていたが、これに鮮魚、精肉が加わったことにより、鮮魚を購入する客層、精肉を購入する客層が新たに加わり、全体の客数が飛躍的に伸びたということである。これがラインロビングの本質であり、ラインロビングとは、新たな客層を取り込むために、これまで取り扱っていなかった新たな客層の商品群をロビングすることである。

   食品スーパーマーケットは、その後、惣菜、日配、グロサリーとラインロビングを行ってゆき、さらには、雑貨、そして、最近では酒、ドラックをもラインロビングしてきたといえ、これが食品スーパーマーケットが食品の総合化をはかっていった歴史そのものであるといえる。

   では、ラインロビングの本質はどこにあるか、先にも触れたように、そのポイン
トは客数の拡大にある。仮に、ラインロビングしても、新たな客数が拡大できない場合は、もとの顧客が新たなラインの顧客と重なったことになり、これは、新たなラインがもとのラインに組み込まれたにすぎず、単に品揃えが充実したに過ぎない。これはラインロビングとは呼ばず、品揃えの拡大、すなわち、ライン統合に過ぎないといえよう。

   ラインロビングとは、その意味で、新たな客層を増やすための商品群の取り込みが本質であり、商品の品揃えを増やすための商品の統合はラインロビングではない。したがって、ラインロビングが成功した場合には、顧客はラインごとに商品を購入することになり、いわゆるワンストップショッピングが完結することになる。理想的な食品スーパーマーケットでは、同時に購入するかしないかは別として、顧客は、1店舗の食品スーパーマーケットの約10部門全部を満遍なく購入することになり、これまで、各ラインの商品を購入するために、各専門店を買い回りしなければならなかった買い物行動が1か所に集約されてゆくことになる。ただ、現実的には同じラインロビングをした食品スーパーマーケットが競合している場合の方が多いといえ、この時、顧客は食品スーパーマーケット同士のラインごとの比較検討を行い、それぞれ強いラインをもつ食品スーパーマーケット、数店舗での買い物行動となろう。

   さて、これをID-POS分析で見た場合、ラインロビングとはどのように定義できるかであるが、ID-POS分析にはID-POS分析特有の分析のひとつ、リフト値があり、これを活用して、ラインロビングを定義できる。ただし、通常のリフト値はレシートをもとに計算するが、ラインロビンングの定義は顧客IDであり、IDのリフト値が基本となる。すなわち、Aという商品とBという商品の購入顧客がリフト値1.00以上の時は、双方の商品はは顧客の相互購入関係が強いといえる。したがって、リフト値が1.00以下の場合がポイントであるといえる。極、単純化すれば、顧客IDのリフト値が低い商品がラインロビングに該当する商品であるといえ、これらを商品からカテゴリー、部門へと拡大し、ラインロビングの商品、カテゴリー、部門を見つけて行けば良いといえる。

   このように、食品スーパーマーケットを特徴づける本質のひとつであるラインロビングはいまも続いており、その意味で食品スーパーマーケットは食品に関して貪欲な業態であるといえる。ただ、さすがに、大分類でのラインロビングはほぼ限界に近付いているといえ、今後は、大分類からカテゴリー、単品へと関心が向かうことになろう。そして、その時の検証指標が、ID-POS分析のひとつ、リフト値、特に顧客IDのリフト値であるといえ、今後、このリフト値をもとに、商品分類、棚割、レイアウト、販促等が見直され、食品スーパーマーケットの客数を増やす、品揃えの改善がはじまり、現在のカテゴリー、部門の再構築につながってゆくのではないかと思う。

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September 17, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 16, 2011

Chain Store Age、日本の小売業1000社ランキング!

   Chain Store Age最新、9/15号にて、日本の小売業1000社ランキングの特集が組まれた。この特集は帝国データバンクのCOSMOS2の数値をもとに作成したものであり、食品スーパーマーケット、GMS、CVS、ドラックストア、HC、百貨店、家電量販店、アパレル、生協、ディスカウントストア、専門店と、小売業全体を対象としたものであり、現時点での小売業の概観がわかる内容である。なお、売上高については、商品売上高+その他の営業収入で示し、原則として単独決算の数値を用いている。上場企業であれば、決算数値を公表しているので、直接調べることもできるが、上場小売業は現在約400社であり、未上場企業は簡単に調べることはできず、今回の調査データはその意味で、未上場の小売業も含み、貴重なランキングである。

   まずは、全小売業の中で、売上高ベスト10であるが、No.1セブンイレブン・ジャパン2兆9,476億円、No.2ヤマダ電機2兆1,070億円、No.3イオンリテール1兆7,114億円、No.4ローソン1兆5,027億円、No.5ファミリーマート1兆4,404億円、No.6イトーヨーカ堂1兆3,736億円と、ここまでが1兆円を超える小売業である。ついで、No.7エディオン9,010億円、No.8サークルKサンクス8,550億円、No.9そごう・西武8,467億円、No.10ファーストリテイリング8,148億円である。残念ながら、食品スーパーマーケットは、この中には1社もない。

   そこで、食品スーパーマーケットのみの売上高ベスト10を見てみると、No.1ライフコーポレーション4,808億円、No.2ヨークベニマル3,433億円、No.3マルエツ3,314億円、No.4アークス3,036億円、No.5ベイシア2,771億円、No.6万代2,545億円、No.7バロー2,539億円、No.8オークワ2,519億円、No.9マックスバリュ西日本2,444億円、No.10サミット2,314億円である。ちなみに、3,000億円以上は4社、2,000億円台は11社、1,000億円台は16社である。したがって、食品スーパーマーケットで1,000億円を超えるのは全部で31社となる。

   以上が小売業全体、そして、食品スーパーマーケットの売上高ベスト10であるが、今回のChain Store Age、日本の小売業1000社ランキング特集は多岐に渡り、様々な角度からランキングが公表されている。その中で、さらに、食品スーパーマーケットに絞り、関係のあるランキングを見てみたい。

   まずは、売上高純利益率であるが、ベスト10はNo.1義津屋8.8%(9.81億円)、No.2京急ストア7.1%(26.46億円)、No.3大黒天物産5.1%(45.40億円)、No.4スーパーおくやま4.3%(4.60億円)、No.5タチヤ3.9%(4.91億円)、No.6オオゼキ3.8%(27.96億円)、No.7マルヤス3.7%(9.29億円)、No.8オーケー2.9%(66.47億円)、No.9成城石井2.9%(12.37億円)、No.10サンマート2.8%(3.00億円)である。これは営業利益率ではなく、当期純利益率であるので、高い数値である。5.0%以上が3社、3%以上5%未満が3社、2%以上3%未満が15社となる。ちなみに、全小売業で純利益率ベスト5は、No.1さいか屋16.3%、No.2エービーシー・マート15.8%、No.3クロスカンパニー10.3%、No.4ニトリホールディングス9.8%、No.5ディーゼルジャパン9.0%である。

   次に、自己資本比率を見てみたい。ベスト5の食品スーパーマーケットであるが、No.1マルト86%、No.2ハズイ食料品店84%、No.3マルヤス81%、No.4ヨークベニマル80%、No.5タチヤ79%である。トップクラスは約80%であり、高い数値である。食品スーパーマーケット全体では、80%以上が4社、70%台が7社、60%台が13社、50%台が22社であり、合計50%以上が46社となる。ちなみに、全小売業のベスト5はNo.1ツツミ97%、No.2北辰商事86%、No.3マルト86%、No.4ディーゼルジャパン86%、No.5良品計画84%であり、食品スーパーマーケットのマルトがNo.3で入っている。
   
   食品スーパーマーケットに関しては、これ以外にも様々なランキングが公表されているが、その中で、興味深いランキングとして、共同仕入・大手小売グループ別企業売上高ランキングがある。代表的なグループのベスト5を見てみると、CGCグループでは、No.1アークス3,036億円、No.2三和1,509億円、No.3原信ナルスH 1,233億円、No.4オリンピック1,025億円、No.5ユニバース1,020億円であり、ここまでが1,000億円以上の食品スーパーマーケットである。

   ニチリウでは、No.1ライフコーポレーション4,808億円、No.2イズミ4,806億円、No.3平和堂3,243億円、No.4コープさっぽろ2,544億円、No.5オークワ2,519億円であり、2000億円以上が6社であり、これを含め、1,000億円以上が8社である。そして、AJSではNo.1サミット2,314億円、No.2関西スーパーマーケット1,132億円、No.3ヤマナカ1,039億円、No.4とりせん851億円、No.5丸久779億円であり、1,000億円以上は3社である。

   このように、Chain Store Age、日本の小売業1000社ランキング特集は全41ページに渡る大特集であり、現時点における日本の小売業の概観を垣間見ることができる。特に、食品スーパーマーケットについては、全体の売上高、自己資本比率、従業員1人当たり売上高の基本指標に加え、地域別都道府県別のランキング、さらには、共同仕入グループ内ランキングも公表されており、貴重な食品スーパーマーケットの全体像を把握するための統計データである。今後、食品スーパーマーケット業界では中間決算のラッシュを迎えることになるが、このランキングの結果を踏まえ、各社の収益がどのような結果となるか、気になるところである。

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September 16, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 15, 2011

食品スーパーマーケット、新規出店情報、9月現在!

   経済産業省、商務情報政策局、流通政策課から9/1、「大店立地法の届出状況について(平成23年7月末)」と題し、新店情報が公表された。この新店情報は、毎月、経済産業省が都道府県・政令指定都市の協力を得て、各経済産業局ごとにとりまとめたものであり、現時点では7月末のものが最新の情報である。本ブログでは、大規模小売店舗立地法の法第5条第1項(新設)、すなわち、新店の届け出について、食品スーパーマーケットに絞って見てみたい。

   まずは、3/11の東日本大震災以降の食品スーパーマーケットを含む、大規模小売店舗の出店状況であるが、3月度62件(昨年66件)、4月度41件(昨年度52件)、5月度43件(昨年度42)、6月度46件(昨年度48件)、7月度53件(昨年度64件)という推移である。その差を見ると、3月度-4件、4月度-11件、5月度+1件、6月度-2件、7月度-11件であるので、単純に合計すると、-27件であるので、大きく下がっていることがわかる。小売業界全体が新規出店を控えている状況が鮮明である。

   そこで、このような全体的に小売業界が新規出店を控える状況の中で、食品スーパーマーケットの現時点での最新、7月度の新規出店の申請状況を見てみたい。全部で21件であり、7月度の小売業の全体が53件であるので、約40%となる。したがって、食品スーパーマーケットの大規模小売店舗の新規出店は小売業界の中では、大きな割合を占めており、小売業界の新店動向を左右する重みがあるといえよう。

   その状況であるが、北海道・東北では、マイヤ赤崎店(岩手県大船渡市、マイヤ、462坪、2011年11月25日開店)、(仮称)ヤマザワ中山店(宮城県仙台市、ヤマザワ、463坪、2012年3月27日開店)の2店舗である。いずれも、東日本大震災で被災にあった食品スーパーマーケットであり、岩手県、宮城県での新規開店である。

   首都圏であるが、八軒台モール(茨城県石岡市、ピー・エム・エイ、329坪、2012年3月30日開店)、(仮称)ロピア湘南めぐみが丘店(神奈川県平塚市、ロピア420坪、2012年3月15日開店)、(仮称)ダイエー草加店(埼玉県草加市、ダイエー、1,136坪、2012年3月2日開店)、(仮称)ヤオコー川越的場新町計画(埼玉県川越市、ヤオコー、2,197坪、2012年3月9日開店)、(仮称)ダイエー津久井店(神奈川県相模原市、ダイエー、708坪、2012年3月29日開店)、(仮称)サミットストア練馬石神井町店(東京都練馬区、サミット、557坪、2012年3月30日開店)であり、6店舗なる。

   ついで、中部、近畿、北陸であるが、(仮称)木曽川玉ノ井商業施設(愛知県一宮市、マックスバリュ中部、1,533坪、2012年3月16日開店)、(仮称)スーパーセンターオークワいなべ店(三重県いなべ市、オークワ、1,997坪、2012年3月27日開店)、マルヤス松阪川井町店(三重県松阪市、マルヤス、703坪、2012年3月10日開店)、(仮称)ディオ貝塚店(大阪府貝塚市、大黒天物産、558坪、2012年3月16日開店)、(仮称)ディオ和泉店(大阪府和泉市、大黒天物産、592坪、2012年3月30日開店)、(仮称)山陽マルナカ摂津店(大阪府摂津市、山陽マルナカ、611坪、2012年3月16日開店)、(仮称)ハーツ志比口店複合商業施設(福井県福井市、福井県民生活協同組合、881坪、2012年3月8日)の7店舗である。中でも、大黒天物産は地元岡山県から大阪への新規出店2店舗であり、積極的である。また、この2店舗以外にも、広島県への新規出店もあり、この7月は3店舗と全食品スーパーマーケットの中で最多の新規出店数である。

   そして、中国、四国、九州、沖縄であるが、セブン大林店(徳島市小松島市、株式会社セブン、354坪、2012年3月23日開店)、(仮称)ラ・ムー可部店(広島県広島市、大黒天物産、755坪、2012年3月7日開店)、ウエスタまるき湯田店(山口県山口市、丸喜、459坪、2012年3月16日開店)、(仮称)生活協同組合コープかごしま宇宿店(鹿児島県鹿児島市、生活協同組合コープかごしま、419坪、2012年3月14日開店)、(仮称)アクロスプラザいとうづ(福岡県北九州市、丸久、1,805坪、2012年3月26日開店)、(仮称)サンエー宜野湾コンベンションシティ(沖縄県宜野湾市、サンエー、4,882坪、2012年7月3日開店)の6店舗である。沖縄のサンエーも4,882坪というSCでの新規出店であり、来年7月の開店予定である。

   このように、9/1現在、最新の7月時点での食品スーパーマーケットの大規模小売店舗に該当する1,000平米(約300)坪)以上の新規出店予定であるが、全部で21店舗である。東日本大震災の被災地でもまだわずかであるが、マイヤ、ヤマザワの新規出店が決まったといえ、食品スーパーマーケット業界においても被災地の復興の兆しがみえる新店動向である。地域別では首都圏が6店舗と最も多く、ダイエーが2店舗と積極的な新規出店である。全体では大黒天物産が大阪2店舗、広島1店舗と、合計3店舗の新規出店であり、業績の好調さ裏付けているといえよう。ここで一気に成長戦略にシフトしつつあるといえる。食品スーパーマーケット業界は、前半は東日本大震災の影響を見極める上でも、抑制気味であった新規出店が、後半以降集中する可能性も高く、今後、各社がどのような新規出店戦略を打ち出すか、注目である。

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September 15, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 14, 2011

AIマトリックス、重点商品を空間、時間から選定!

   POSデータを活用し、重点商品を選定するのは、容易ではない。なぜなら、商品の評価には2つの問題がからむからである。ひとつは空間がからみ、そして、もうひとつは時間がからむからである。空間とは、導入店舗と未導入店舗の問題であり、時間とは導入期間と未導入期間の問題である。単独店では空間、すなわち、未導入店舗の問題は発生しないが、時間の問題は発生する。たとえば、年間数ケ月間しか販売実績がなかった商品も年間の売上高で比較すると、年間、ほぼ毎月販売実績があった商品と区別がつかなくなり、重点商品の選定の判断を誤る危険性がある。食品スーパーマーケットでいえば、季節性の高い果物等がこれに当たる。これは、売上高を分解し、売上高=客数×PI値×平均単価の3D分析をしても、同様な問題は残る。

   この問題を解決するには、導入期間を明確にし、導入期間と未導入期間とを分けて売上高を見る必要がある。ただ、売上高だけで評価すると、食品スーパーマーケットの場合は客数の大小によって、大きな違いが出てしまうので、一般的にはPI値を用いる。PI値を用いることによって、客数当たりの売上高、すなわち、金額PI値が算出され、売上高よりは、顧客の声を反映した指標として評価が可能となるからである。したがって、単独店の場合も、重点評価を選定するには、導入期間と未導入期間を区別し、なおかつ、金額PI値を活用するのが望ましいといえる。

   具体的には、単独店において、導入期間と未導入期間を加味し、年間の重点商品を制定するには、横軸を客数PI値とし、縦軸を金額PI値とする。客数PI値とは、導入期間の客数/全体の客数である。仮に、月別で見た場合は、全対の客数は12ケ月累計客数となる。導入期間は、商品が導入された月のみの客数である。ここから客数PI値は導入期間の客数の割合となり、年間導入されている商品は客数PI値100%となり、数ケ月間のみの商品は数ケ月の客数の割合となる。

   一方、縦軸は金額PI値となるが、ただし、この金額PI値は導入期間のみの金額PI値であり、全体の客数で割った金額PI値ではない。実は金額PI値を含め、あらゆるPI値は客数の取り方により、無限のPI値が存在する。今回のように、年間客数を分母にすれば年間PI値であり、季節の客数を分母にすれば、季節PI値となる。そして、ここがポイントであるが、このPI値は、全体のPI値=客数PI値×導入期間のPI値となり、全体のPI値は導入期間のPI値と客数PI値で結ばれることになる。客数PI値が導入期間の客数/全対の客数であるので、導入期間のPI値をかけると、導入期間の客数が約分され、全体のPI値となり、この数式が正しいことがわかる。

   したがって、縦軸を導入期間の金額PI値とすると横軸の客数PI値と掛けた面積が全体の金額PI値となることがわかる。このグラフ、すなわち、横軸が客数PI値、縦軸が導入期間の金額PI値、掛けた面積が全体の金額PI値となることにより、すべての商品をこのグラフの中に配置することが可能となる。そして、実際に、配置してみると、商品の違いが鮮明になる。たとえば、客数PI値が高く、導入期間の金額PI値高い商品、あるいは低い商品、一方、客数PI値が低くとも、導入期間の金額PI値が高い商品、低い商品等である。これは、このグラフを客数PI値が高い低い、導入期間が高い低いと、2×2=4つのマトリックスで見た場合であるが、これを3×3=9つで見ると、商品の位置づけがより鮮明になる。右上、すなわち、客数PI値、導入期間の金額PI値が双方高い、あるいはどちらかが高い商品ほど、重点商品であることがわかる。これがAIマトリックスの基本形である。9つ、すなわち、AからIまでの縦3つ、横3つの合計9つのマトリックスで重点商品を明確にしているマトリックスであるからである。

   さて、同様に、このAIマトリックスはチェーンストアでも活用することができる。横軸を導入店舗の客数PI値、縦軸を導入店舗の金額PI値とすれば、掛けた面積は全店舗の金額PI値となり、縦横3つに分ければ9つのマトリックスができあがり、AIマトリックスが完成する。さらに、季節性、新商品の導入期間などを考慮したい場合は、単独店のAIマトリックスを応用し、たとえば、客数を月ごとに算出し、累計客数分母にし、導入期間の導入店舗の月の客数を分子にすれば良いといえる。AIマトリックスの応用問題といえる。実際、この分析を約1万店舗で実施したことがあるが、重点商品が導入店舗、導入期間が考慮された、いわゆる空間と時間を加味した選定ができ、実務に耐えたので、数十店舗もちろん、数百店舗、数千店舗、・・においても、このAIマトリックスを活用して重点商品を選定することは可能である。

   このようにAIマトリックスは単独店でもチェーンストアでも重点商品をPOSデータから選定する上において、極めて、合理的であり、実務的な数表であるといえる。重点商品とは基本は売上高であるが、その中身にまで踏み込み、しかも、空間と時間を考慮しないと顧客の声を無視しかねない問題をはらんでおり、注意が必要といえる。今後は、さらに、このAIマトリックスのID-POS分析版にも挑戦してみたいと思う。

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September 14, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 13, 2011

食品スーパーマーケット、先週の株価、最新動向!

   今週の、食品スーパーマーケット最新情報、週間まぐまぐの冒頭でも一部掲載したが、食品スーパーマーケットの株価について、取り上げて見たい。食品スーパーマーケットの上場企業は約50社であり、小売業全体が約400社であるので、12.5%を占める。その株価をどう見るかであるが、通常は乖離率を用いる。乖離率には5日、25日、13週、26週などがあり、いわゆる移動平均株価である。ただ、ここでは、ごく単純に、先週の終り値、すなわち、金曜日時点の株価が先々週と比べ、いくら上昇したのか、あるいは下落したかで見てみたい。金曜日限定であるので、移動平均等と比べ、金曜日に何らかの激しい売買があれば、異常値となる可能性もあるので、他の評価指標も補いながら見てみる。

   まずは、結果であるが、食品スーパーマーケットの上場企業約50社の全体をざっと眺めてみると、No.1からNo.4まで、100円以上突出した伸びがみられ異常値である。ついで、No.5になると30円台となり、急激に伸び率が下がる。そして、0円以上でNo.24であり、ほぼ半分である。そして、ここからマイナスとなるが、-10円までがNo.39であるので、15社が0円から-10円までとなる。そして、残り、10社が-10円以下であるが、No.49で-42円となる。こう見ると、No.4までが異常値といえ、残り、45社はプラスマイナスの違いはあるが、極端な変動をしていないといえ、現時点では比較的安定した株価動向であるといえよう。ただ、今後、食品スーパーマーケット業界では、2012年度の中間決算の公表が1月度決算企業は終了したが、2月度以降はこれからであるので、業績次第では株価が大きく変動する可能性を秘めており、その動向を注視する必要があろう。

   そこで、実際の食品スーパーマーケット、個々の株価であるが、No.1からNo.4までの100円以上株価が上昇した食品スーパーマーケットは、ライフコーポレーション1,560円(+148円)、サンエー3,185円(140円)、ユニバース1,800円(117円)、アークス1,488円(106円)である。この4社のみが先週金曜日時点での突出した伸びを示した食品スーパーマーケットである。では、この異常値が一時的なものかを実際のチャートと評価指標で確認してみたい。

   No.1のライフコーポレーションであるが、チャートは8月までは下がり気味で推移していたが、8月以降、株価は急上昇、ほぼ右上がりで推移しており、特に、先週は売買高も活発だった。乖離率を見ると、5日5.05%、25日14.45%、13週13.53%、26週21.40%であり、すべてがプラス、しかも、長期が大きくプラスであり、投資家が熱い視線を注いでいるといえよう。No.2のサンエーであるが、ライフコーポレーションとは違い、9月に入って株価が上昇しており、9月までは厳しい状況であった。乖離率も5日1.62%、25日4.63%、13週2.37%、26週2.31%と、プラスではあるが、落ち着いた数字である。ただ、ここへ来て、売買高が急上昇しており、今後の推移が気になるところである。

   No.3のユニバースであるが、アークスとの経営統合を控え、10/18には上場廃止になる予定であるので、株式の取引期間は残り1ケ月と迫っており、最後の商いとなりつつある。チャートを見ると、8月中旬以降株価が上昇しており、特に先週は大きく上昇した。そして、No.4アークスであるが、ユニバースの株価の流れを受けているといえるが、チャートを見ると、9月に入ってからの急上昇であるが、9/9/には年初来最高値の1.508円となった。今後、ユニバース、アークスともに、当面、相乗効果で株価が変動してゆくものといえ、今後の推移を注視する必要があろう。

   この4社以外の株価動向であるが、プラスになったNo.5からNo.24までを見てみると、フジ1,837円(+36円)、神戸物産2,215円(+35円)、イズミ1,138円(+30円)、イオン九州1,470 円(+29円)、バロー1,327円(+27円)、関西スーパーマーケット782円(+15円)、マルヨシセンター342円(+13円)、イズミヤ327円(+11円)、北雄ラッキー370円(+10円)、ハローズ728円(+9円)、ベルク1,097円(+7円)、東武ストア259円(+7円)、マルヤ164円(+4円)、マツヤ661円(+4円)、天満屋ストア760円(+3円)、PLANT631円(+1円)、ダイイチ651円(+1円)、スーパー大栄195円(+1円)、ヤマザワ1,338円(0円)、OLYMPIC603円(0円)である。

    一方、マイナスになったNo.25からNo.49までであるが、マイナス幅の大きい順に見てみると、大黒天物産2,598円(-42円)、マミーマート 1,293円(-37円)、原信ナルスホールディングス1,270円(-23円)、アークランドサカモト1,278円(-21円)、スーパーバリュー1,025円(-16円)、ヤマナカ785円(-15円)、いなげや923円(-13円)、マックスバリュ中部768円(-12円)、丸久803円(-12円)、ジョイス 273円(-12円)、マックスバリュ西日本1,100円(-10円)、ドミー520円(-10円)、タイヨー640円(-9円)、ヤオコー2,758円(-8円)、オークワ946円(-8円)、マルキョウ450円(-7円)、マルミヤストア555円(-5円)、マルエツ266円(-3円)、マックスバリュ東北602円(-3円)、マックスバリュ北海道1,391円(-3円)、マックスバリュ東海1,027円(-2円)、平和堂967円(-2円)、カスミ470円(-2円)、アオキスーパー649円(-1円)、エコス451円(-1円)である。

   このように、先週の金曜日と先々週の金曜日との比較で、食品スーパーマーケットの全上場企業約50社の株価を見てみたが、注目株は4社、ライフコーポレーション、サンエー、ユニバース、アークスである。この内、ユニバースとアークスは経営統合がひかえた中での株価の上昇であり、今週の本命はライフコーポレーションとサンエー、その中でも、すべての乖離率が好調な結果を示し、チャートを見ても、株価の推移、売買高ともに、伸びているライフコーポーションであろう。今週、どのような推移を示すか注目である。

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September 13, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 12, 2011

ID-POS分析、ブランド育成セミナー、10/6、開催!

   「顧客IDから見える!「ブランド育成の最前線」」と題し、ID-POS分析のセミナーで講師を務めることになった。主催は日本マーケティング研究協会、10/6(木)、13:00から17:00、砂防会館(東京都千代田区)で開催される。講師は私1人、約4時間に渡るワンマンセミナーである。現時点でのID-POS分析による「ブランド育成」に関する最新の研究成果の公表となる。ID-POS分析の基礎から応用、そして、実戦まで網羅する予定であり、この日、1日でID-POS分析を活用したブランド育成のすべてが理解できるように工夫したプログラムである。主な対象はメーカーであるが、小売業の方にとってもID-POS分析を基礎から理解することができ、マーチャンダイジングへの応用も十分に可能である。特に、ID-POS分析のExcelでのブランド育成用の基本フォーマットを公開する予定であり、ポイントカード等を活用したID-POSデータがあれば、誰でも、ID-POS分析帳票を作成でき、それをもとにブランド育成の仮説検証体制の構築が可能となろう。

   ID-POS分析は日進月歩であり、実際に取り組むと日々発見の連続である。基本方程式、基本帳票はあるものの、その分析、応用は無限といってよく、従来のPOS分析では想像もつかない世界がそこには広がっており、工夫次第で、新たなノウハウをいくらでも生み出すことが、基礎さへ身につければ誰でもできる。今回のセミナーでは、「ブランド育成」に焦点を絞っているが、その本質が理解できれば、マーチャンダイジングへの活用、マーケティングへの応用等、自由自在となろう。

   セミナーの内容は大きく3つに分かれている。1つ目は「ブランド育成に絶対必要なID-POSの基本データとは何か」である。ID-POSデータは小売業側にしかないし、売場、すなわち、商品(ブランド)と顧客との接点で生まれる貴重なデータである。したがって、その貴重なID-POSデータを分析し、ブランド育成に活かすために、どのようなデータを小売業から取得しなければならないかを解説する予定である。よく問題になるのは期間であるが、これは最低1年は欲しいところだ。通常のPOS分析は、IDがないために、購入履歴が把握できず、瞬間の分析が基本となり、1ケ月から数ケ月のサマリーで十分といえるが、ID-POS分析は詳細な購入履歴を把握できるため、期間は長ければ長いほど良い。

   特に、今回は、ID-POS分析、しかも、テーマはブランド育成であり、S顧客(ロイヤルカスタマー)のみではなく、A顧客(レギュラー)、B顧客(トライアル)の全IDの購入履歴も把握する必要があり、さらに、その後、検証してゆくことが課題となる。ブランドによっては、B顧客(トライアル)が50%以上を占めることもあり、1年に1回しか購入しない顧客が大半の場合もある。したがって、最低1年、できれば、数年に渡っての基礎データが欲しいところだ。
 
   2つ目は、「ID-POSデータをどのように、ブランド育成用に加工するか」である。通常、ID-POS分析では縦に商品が並び、横に指標が並ぶ。商品は同一カテゴリー内のものを分析するのが通常である。今回はブランド育成というテーマであるため、通常のID-POS分析とは違い、縦にブランド購入顧客の全IDが並び、横にID-POS分析の分析指標が並ぶ、最新の研究成果の帳票を用いる予定である。また、S、A、B顧客のランクづけも単なる売上高、RFMではなく、ID-POS分析の本質、購入頻度にもとづいてランクづけを試みる予定である。極論すれば、ブランド育成とは顧客IDの購入頻度を引き上げることにあるといえ、この購入頻度を、時間とともにプラスに変化させてゆく、その流れをつくり、加速させることに他ならないといえる。そのためには、どのようなID-POS分析が実戦的か、そこに焦点を当てた解説となる予定である。

   そして、3つ目は、「ID-POS分析の結果から、ブランド育成の仮説検証体制をつくる」である。ブランド育成は分析で終わるものではない。その後、検証してゆく必要がある。検証とは、時間とともに、まずは、S顧客のPI値(購入点数)、平均単価を引き上げ、A顧客のID客数PI値(購入頻度)を増し、B顧客の次の購入を促し、そして、ブランド購入の新規購入顧客を増やすことに他ならない。そのために、どのようなアクションを起こすか、そして、どのように検証し、次の仮説づくりにつなげてゆくかを解説する予定である。

   今回のセミナー、「顧客IDから見える!「ブランド育成の最前線」」では、これら3つの内容をもとに、実際の事例も交えて、できるだけ分かりやすく、基本から解説する予定である。特に、事例ではグロサリー、生鮮及び日配と大きく2つに分け、たとえば、ワイン、牛乳、豆腐等を取り上げる予定である。従来のPOS分析は、売上高を客数(レシート枚数)、PI値、平均単価の3Dに分解することによって、研究開発が進んでいったが、ID-POS分析はこの客数をIDと購入頻度に分解し、結果、売上高=ID×ID客数PI値×PI値×平均単価と4D分析で研究開発が進んでゆくことになる。まさに、IDを基点に、購入頻度という新たな分析指標が加わることが、最大の特徴であるといえ、ブランド育成もこの購入頻度をいかに取り入れ、時間とともに加速させるか、これがID-POS分析におけるブランド育成の要諦といえる。

   当日は質疑応答も随時お受けし、その後、フェイスブック、Twitterでもフォローして行く予定であり、この機会に是非、本セミナーをご検討いただければと思う。
 ☞  詳細はちら!

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September 12, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 11, 2011

神戸物産、2011年10月期、第3四半期決算、増収増益!

   業務スーパーを展開している神戸物産が、9/7、2011年10月期の第3四半期決算を公表した。結果は、売上高1,129.70億円(9.6%)、営業利益30.75億円(45.4%)、経常利益30.62億円(40.9%)、当期純利益15.79億円(58.3%)となり、増収増益、特に、利益がいずれの段階でも大幅な増益となり、好調な決算となった。また、EPS(1株当たり利益)も201.21円(昨年124.26円)と、大きく伸ばしており、株主にとっても好決算となった。ただ、気になる数字もある。自己資本比率であり、28.7%(昨年30.5%)となり、30%を下回り、70%以上を負債に依存する財務構造となった点である。

   そこで、まずは、その気になる自己資本比率が28.7%となった要因を見てみたい。その最大の要因は有利子負債であるといえ、172.43億円(昨年120.88億円)と、昨年よりも51.55億円と大幅に増加し、総資産478.56億円に占める割合は、36.03%と、財務に重くのしかかっているといえる。これをキャッシュフローで見てみると、長期借入金が55.00億円(昨年7.00億円)と、大きく増加しており、ほぼ、この分が増加したためであるといえる。

   神戸物産は、現在、多額の資産が必須となる2つの事業戦略を打ち出している。ひとつは、「「第六次産業『真』の製販一体」という、グループとしての目標を達成するために、(株)神戸物産エコグリーン北海道では、事業用地の取得を進め、当第3四半期末現在の総取得面積はヘクタールまで拡大しました。」とのことで、農地取得に動いている。そして、もうひとつは、「事業活動に関しましては、商品の安定供給を行うため、中国からの輸入だけでなく、中国以外の諸外国からの輸入を増加させるため商品開発に努めてまいりました。また、関連工場では、更なる製販一体システムの強化をするため、各工場への設備投資、新商品の開発に取り組んでまいりました。」とのことで、自ら工場をもち、設備投資を増加させていることである。したがって、いずれも、資産の増加が発生し、その資金確保を負債に頼らざるを得ないためである。

   実際、今期の資産は478.56億円(昨年412.41億円)と、66.15億円増加しており、その要因は土地、建物等の固定資産の合計が94.70億円(昨年75.51億円)と大きく増加している。本来、神戸物産はフランチャイズシステムで新規出店をしており、通常の小売業のように新規出店にかかわる資産は0に近い数字である。ところが、先に見たように、製販一体の小売業を目指しているため、農地、工場等を所有する事業戦略をとり、資産が増加し、その分を現時点では、負債に依存した資金調達をはかっているため、自己資本比率が大きく下がる傾向にあるといえる。小売業というよりも、すでに、メーカーに近い財務構造であるといえる。

   ちなみに、現在の店舗数であるが、7月現在571店舗であり、この内、569店舗がフランチャイズ店舗であり、直営はわずか2店舗である。これが、成長を著しく伸ばした要因でもあるが、一方で、製版一体の小売事業という独特な小売業態を作り上げたともいえる。結果、自己資本比率28.7%となり、かなり厳しい数字であるといえ、今後、いかに営業活動によるキャッシュフローを増やし、財務の安定化をはかるかが課題といえよう。

   そこで、その営業活動によるキャッシュフローと直接かかわる営業利益の現況を見てみたい。この第3四半期決算では、昨対45.4%と大幅な増加となったが、神戸物産はフランチャイズシステムをとっているため、コンビニの決算とほぼ同じ営業構造であり、加盟店からの収入が大半を占める。その結果であるが、売上高は先に見たように、1,129.70億円(9.6%)であり、原価率は93.61%(昨年94.20%)と、0.59ポイント下がっている。結果、売上総利益は6.39%(昨年5.80%)と上昇した。製版一体の効果が反映されたものといえよう。

   一方、経費の方であるが、3.65%(昨年3.74%)と、0.09ポイント下がっており、経費の方も改善が見られる。したがって、差し引き、営業利益は2.74%(昨年2.06%)と大きく改善した。原価の改善が大きかったといえる。結果、営業活動によるキャッシュフローも26.45億円(昨年24.05億円)と、増加しており、この営業利益の改善効果がキャッシュフローを押し上げたといえよう。ただ、これが、財務の健全化にはまだつながっておらず、現時点では、厳しい財務状況の中、あえて、積極的に投資を行い、売上高の増加と利益の改善、特に、原価の改善に経営戦略の舵をとっているといえよう。

   このように、神戸物産の最新の決算、2011年10月度の第3四半期決算が公表されたが、増収、大幅増益となる好決算となった。現在、神戸物産の最優先課題は製販一体となった新たな小売事業の確立にあるといえ、農地の取得による農業経営にもとづく販売体制の確立、自ら工場を所有する製造小売業へと軸足をシフトし、新たな小売事業の確立に取り組んでいる。ただ、自己資本比率が小売業とは異質の資産の増加が見られ、負債に依存せざるをえない財務構造となり、30%を下回ってしまった。今後、安定的に収益をあげてゆくには、財務の改善は必須といえ、今後、神戸物産がどのように財務の健全化をはかってゆくのか、その動向に注目である。

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September 11, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 10, 2011

マックスバリュ北海道、2012年1月中間、財務に課題!

   マックスバリュ北海道が、9/7、2011年1月期、中間決算を公表した。結果は営業収益395.94億円(4.7%)、営業利益2.20億円(-1.62億円)、経常利益2.16億円(-1.66億円)、当期純利益-2.79億円(-1.61億円)となり、依然として、経営は厳しい状況が続いているが、業績の回復傾向が見える中間決算となった。マックスバリュ自身も9/5に、「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表し、この中で、通期予想はすえ置いたものの、この中間決算に関しては上方修正を行っている。その幅であるが、当初予想と修正値を示すと、営業収益390.00億円を395.94億円(+5.94億円)、営業利益-0.40億円を2.20億円(+2.60億円)、経常利益-0.40億円を2.16億円(+2.56億円)、当期純利益-3.80億円を-2.79億円(+1.01億円)と、いずれの指標も上方修正している。

   これについて、マックスバリュ北海道は、「営業収益は「マックスバリュ」業態での立地特性に合わせた店舗改装や価格競争力を強化した「ザ・ビック」が順調に推移したことにより当初予想を上回る見込みとなりました。」とのことである。また、「営業利益と経常利益では、上記の理由に加え、東日本大震災の影響のため当第2四半期累計期間で計画していた店舗改装、業態転換が第3四半期以降にずれこみ設備投資等の経費が当初計画よりも下回り、・・」とのことである。さらに、「当期純利益は、店舗改装、業態転換に伴う固定資産の除去等の費用が第3四半期以降にずれこんだこと等により、・・」とのことである。したがって、営業収益は今後とも安定した数字が確保されるものと思われるが、各利益に関しては、今後、ずれこんだ店舗改装、業態転換等の経費の発生が見込まれ、厳しい状況になりうるといえ、今後の動向が気になるところである。

   特に、マックスバリュ北海道は自己資本比率が23.2%(昨年25.8%)と厳しい状況にあり、約8割弱を負債に依存する財務状況であり、新規出店、そして、この中間決算においても営業収益を押し上げた店舗改装、業態転換等への新規の投資を確保するのが厳しい状況にある。そこで、この中間決算時のキャッシュフローを見てみたい。

   まずは、営業活動によるキャッシュフローであるが26.31億円(昨年7.75億円)と大きく増加している。これは当期純利益の赤字幅が縮小したことに加え、資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額が3.01億円計上し、さらに、仕入債務の増減額(-は減少)が 19.36億円(昨年1.86億円)と大幅に増加したためである。ただ、この仕入れ債務は決済日との関係もあり、いずれ発生するキャッシュであるので、フリーなキャッシュとはいえない。実際、この中間決算の最終キャッシュは15.89億円(昨年-2.15億円)であり、約15億円のキャッシュを確保している。

   そして、投資活動によるキャッシュフローであるが、1.66億円(昨年1.87億円)と、通常ではマイナスとなるところが、プラスとなっている。その理由は、建設協力金の回収による収入2.53億円(昨年3.13億円)、敷金の回収による収入0.24億円(昨年1.23億円)と、これらの資金回収をはかり、逆に、新規出店等に関係する有形固定資産の取得による支出を-0.86億円(昨年-1.20億円)と、先のコメントにもあったように大きく抑制したためである。

   では、投資活動によるキャッシュフローにおいて、ここまでキャッシュを捻出した理由はどこにあるかであるが、その答えは自己資本比率23.2%にあるといえ、財務活動によるキャッシュフローが-12.08億円(昨年-11.79億円)となり、その中身を見ると、長期借入金の返済による支出-12.07億円(昨年-11.79億円)、ここにキャッシュのほぼすべてを配分せざるをえなかったことにあるといえよう。マックスバリュ北海道の現時点での経営の最優先課題は、このキャッシュの配分を見る限り、長期借入金の返済、すなわち、財務の健全化にあるといえる。それだけ、財務的に厳しい状況にあるといえよう。

   実際、B/S(貸借対照表)を見ると、有利子負債は78.49億円と、総資産251.47億円の31.2%であり、さらに、支払手形及び買掛金は65.14億円(昨年84.50億円)と、総資産の25.9%と、重い負担となっている。したがって、マックスバリュ北海道の有利子負債と支払手形及び買掛金の合計が総資産の57.1%を占めており、しかも、いずれも、自己資本比率23.2%を超え、厳しい状況にある。キャッシュの大半をこの負債の圧縮に最優先で配分せざるをえない状況にあるといえよう。

   このように、マックスバリュ北海道の2011年1月期の中間決算が公表されたが、P/L(損益計算書)においては、依然として厳しい状況にあるものの、当初の予想を上回る決算となった。ただ、CF(キャッシュフロー計算書)、そして、BS(貸借対照表)を見る限り、財務面では、営業活動により得られたキャッシュの大半を負債の圧縮に配分せざるをえない状況にあり、これが経営の最優先課題となっていることである。自己資本比率23.2%の現状を考えると、この状況は当面続くといえよう。マックススバリュ北海道としては、まずは、キャッシュをいかに営業活動により生み出してゆくか、そのためのマーチャンダイジングの改善が急務といえる。今後、後半にかけて、どのような既存店への活性化をはかってゆくのか、その動向に注目である。

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September 10, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 09, 2011

マックスバリュ中部、2012年2月期中間、営業利益好調!

   マクスバリュ中部が2012年2月期決算を9/7公表した。いよいよ、食品スーパーマーケット業界も中間決算の公表がはじまった。その結果であるが、営業収益589.69億円(2.4%)、営業利益8.07億円(42.5%)、経常利益8.35億円(21.7%)、当期純利益-0.45億円となり、当期純利益は資産除去債務の会計基準の適用があり、赤字となったが、営業、経常段階では増収増益、特に、営業利益が好調な結果となった。

   これに先立ち、9/5、マックスバリュ中部は、「業績予想の修正に関するお知らせ」を公表している。この中で、この中間決算について、3/16に公表した予想を上方修正している。営業収益1.1%増、営業利益31.1%増、経常利益16.9%増、そして、当期純利益、-4.00億円を-0.45億円としており、マクスバリュ中部の予想以上に、この決算が好調だったことがわかる。それにしても、営業利益42.5%増、当初予想の31.1%増は異常値であるといえ、ここへ来て、急激に利益の回復が見られる。これについて、マックスバリュ中部自身は、「イオンのグループ力を活かした商品調達やプライベートブランド商品の拡大により売上高利益率についても想定の24.2%に対し、24.5%と0.3ポイント上回り、・・」とのことである。

   そこで、実際のマックスバリュ中部の中間決算に関して、営業利益が大幅な増益となった要因を原価、経費面から見てみたい。まずは、原価であるが、75.39%(昨年75.76%)となり、0.37ポイント減少している。結果、売上総利益は24.61%(昨年24.24%)となった。業績予想の修正でのコメントにあるように、商品調達力、PBの強化が大きかったといえよう。これに対し、経費の方であるが、25.67%(昨年25.82%)と、0.15ポイント削減した。特に大きかったのは既存店が102.0%と、堅調な数字で推移したため、相対的に固定費が下がったことが大きいといえよう。実際、既存店の推移を見てみると、2月101.8%、3月104.7%、4月102.6%、5月99.3%、6月101.0%、7月101.9%という状況である。3月の東日本大震災の特需を契機に、5月度はやや厳しかったが、それ以外は堅調な推移である。

   結果、差し引き、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力は-1.06%(昨年-1.58%)と、依然として、マイナスではあるが、その差は、原価、経費ダブルの改善により、大きく減少している。ただ、まだ、プラスにもってゆくには、より、一層の構造改革が必要といえよう。特に、現在の経費比率25.67%をいかに引き下げるかが課題といえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が2.47%(昨年2.60%)加わり、営業利益は1.41%(昨年1.02%)と、増益となった。

   一方、気になるのは、これだけ、営業利益が好調であるにも関わらず、営業収益が2.4%と伸び悩んでいることである。既存店が102.0%であるので、新店による増収はほとんどなかったといえる。実際、今期の新規出店は、0であり、マックスバリュエクスプレスへの業態転換が三重県で1店舗、店舗改装が同じく、三重県で1店舗のみであった。

   そこで、キャッシュフローの中の新規出店にかかわる項目、投資活動によるキャッシュフローの有形固定資産の取得による支出を見てみると、-5.60億円(昨年-2.77億円)であり、これに差入保証金の差入による支出-0.86億円(昨年-1.75億円)を加えた出店にかかわる資産の取得を見ると、合計-6.46億円(昨年-4.52億円)であり、増加が見られる。ただ、マックスバリュ中部の1店舗当たりの出店にかかわる資産は2.90億円であるので、店舗数にすると2.2店舗(昨年1.5店舗)であり、出店意欲は低いといえる。

   では、好調な利益は何に配分されたかであるが、キャッシュフローを見ると、財務活動によるキャッシュフローが-11.38億円(昨年-2.68億円)であるので、ここにキャッシュが配分されていることがわかる。その中身は、有利子負債の返済が-11.6億円(昨年0.21億円)であるので、これにキャッシュの大半を配分したといえる。マックスバリュ中部の自己資本比率は33.3%(昨年35.5%)と、約70%弱を負債に依存する財務構造であり、この負債を圧縮することが経営の優先課題といえ、ここに、この好調な中間決算で獲得したキャッシュを配分するという経営決断をしたといえる。したがって、成長よりも、財務改善を優先せざるをえなかったといえよう。ただ、それでも、自己資本比率はむしろ、下がり、依然として、33.3%と低い数字であるので、当面、成長戦略よりも、財務改善が優先される経営戦略を維持せざるをえないと思われる。

   このように、食品スーパーマーケット業界では先鞭をつける中間決算をマックスバリュ中部が公表したが、結果は、営業利益が大幅な上昇となり、利益の改善が鮮明である。ただ、成長性に関しては、自己資本比率が33.3%ということもあり、財務の改善を優先せざるをえない状況であり、新規出店0、既存店のディスカウント業態への転換、改装のみとなり、厳しい状況である。マックスバリュ中部自身は、本来であれば、好調な決算結果を成長戦略にもつなげてゆきたいところであろうが、当面、財務の改善が経営における最優先課題となり、低成長、高収益が続くことになろう。

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September 9, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 08, 2011

テスコとセブン&アイHの最新決算を比較して見る!

   テスコ撤退のブログからはじまり、テスコのP/L(損益決算書)、CF(キャッシュフロー計算書)、そして、B/S(貸借対照表)のブログと、テスコ関連のブログを3回に渡って、取り上げた。そこで、ついでに、さらにもう1回テスコ関係のブログを取り上げる。日本のセブン&アイHとテスコとの決算比較である。ただし、テスコは日本と会計方法が異なるため、単純に比較はできないが、比較可能な重要な項目のみ、テスコを主体に比較してみる。なお、テスコはポンド、セブン&アイHは円であるので、ここでは、1ポンド125円で計算し、日本円での比較を試みたい。
 
  まずは、P/Lから、テスコ、セブン&アイHの比較であるが、何といっても、テスコの結論はEPS(1株当たり当期純利益)であるので、そのEPSを見てみると、テスコ4,137.5円(33.10ポンド:昨対112.85%)であるのに対し、セブン&アイHは1,927.0円(昨対101.10%)である。したがって、テスコは単純比較で約2倍のEPSであり、しかも、昨対が2桁増であり、EPSはセブン&アイHを圧倒しているといえる。

   そこで、その元となった当期純利益であるが、テスコ3,338.75億円(26.71億ポンド:昨対114.34%)に対し、セブン&アイHは1,119.61 億円(昨対149.5%)であり、約1/3である。また、対売上高(営業収入)であるが、テスコ4.38%に対し、セブン&アイHは2.18%であり、テスコの収益率が約2倍となる。いかに、テスコの収益性が高いかがわかる。もちろん、現在は円高であるので、これが円安になれば、さらにその差は開くので、為替相場を加味しても、テスコの方が、セブン&アイHよりも収益性は高いといえよう。

   結果、これは、CFにつながり、営業活動によるキャッシュフローを見ると、テスコ4,990億円(39.92億ポンド:昨対84.13%)に対し、セブン&アイH3,105.27億円(昨対96.375)である。ここでもテスコの方が約2,000億円多く、豊富なキャッシュである。

   当期純利益に、これだけの差が生じる背景は率もさることながら、営業規模も大きいことにある。そこで、売上高(営業収益)を見てみると、テスコ7兆6,163.75億円(609.31億ポンド:昨107.06%)、セブン&アイH 5兆1,197.39億円(昨対100.2%)であり、約1兆5,000億円、テスコの方が大きく、これも、当期純利益、そして、キャッシュフローに影響を与えているといえよう。

   ついで、さらに、キャッシュフローを見ると、投資活動によるキャッシュフローであるが、テスコ-2,323.75億円(-18.59億ポンド:昨対99.04%)に対し、セブン&アイHは-3,120.81億円(昨対271.00%)である。ここで、逆転、セブン&アイHの投資が約1,000億円上回った。しかも、セブン&アイHは昨対約3倍ぐらいになっているので、今年は投資を大きく増加させている。その中身であるが、有形固定資産の取得による支出-2,322.70億円(昨対150.216%)と投資有価証券の取得による支出-2,806.01億円(昨対109.58%)であり、この2つが大半をしめる。これに対し、テスコの有形固定資産関連は3,972.50億円(31.78億ポンド:昨対111.31%)であり、約2倍弱大きく、新店関連への投資は積極的である。また、投資関連へは1,580.00億円(12.64億ポンド:昨対65.90%)であり、これはセブン&アイHの方が積極的である。

   そして、財務キャッシュフローであるが、テスコ-3,795億円(-30.36億ポンド:昨対84.16%)、セブン&アイH-562.58億円(昨対35.89%)である。セブン&アイHが極端に少ないといえるが、これはコマーシャルペーパーの収入が約700億円強昨年より多いためである。また、テスコとの違いであるが、有利子負債の返済と配当にある。特に、配当はテスコ1,351.25億円(10.81億ポンド:昨対111.67%)に対し、セブン&アイH 500.22億円(昨対97.17%)と約3倍弱の差がある。

   一方、B/Sであるが、まずは総資産であるが、テスコ5兆9,007.50億円(472.06億ポンド:昨対102.57%)に対し、セブン&アイH 3兆7,321.11億円(昨対101.59%)であり、テスコが約2兆円大きい。次に純資産であるが、テスコは2兆778.75億円(166.23億ポンド:昨対113.22%)に対して、セブン&アイHは1兆7,765.12億円(昨対99.02%)であり、かなり近い数字である。したがって、純資産比率はテスコ35.21%に対し、セブン&アイHは47.60%となり、セブン&アイHの方が安定した財務である。したがって、負債の主要項目である有利子負債はテスコ1兆3,843.75億円(110.75億ポンド:昨対83.44%)に対して、セブン&アイH は7,209.92億円(昨対102.78%)であり、ほぼ半分であり、総資産比率はテスコ23.46%、セブン&アイH 19.31%となり、テスコがやや重いといえる。ただ、テスコは急激に有利子負債を削減しており、これが、経営の優先課題のひとつとなっているといえよう。

   また、小売業特有の成長戦略、新店等への投資を土地、建物で見ると、テスコ3兆497.50億円(243.98億ポンド:昨対100.80%)に対し、セブン&アイH 1兆1,011.42億円(昨対109.52%)であり、テスコが約3倍と巨額である。したがって、総資産対比はテスコ51.68%に対し、セブン&アイH 29.50%となり、テスコの方がかなり重い負担である。ちなみに、出店余力をこの時点で算出すると、テスコ-16.47%、セブン&アイH 18.10%であり、テスコは大きく負債に依存する出店構造となっていることがわかる。

   このように、テスコとセブン&アイHの財務3表の主要項目を比較すると、P/Lではテスコがセブン&アイHを大きく上回り、高収益であり、EPSも高い。したがって、CFもテスコの方が豊富である。ただ、B/Sになると、セブン&アイHの方が健全であり、テスコは有利子負債が大きく、その要因が出店関連の資産が多額に及び、純資産比率が低いために、負債に依存せざるをえない財務体質のためである。こう見ると、テスコの日本市場攻略には財務面からやや無理があるといえ、競争を優位に戦え、投資採算が短期かつ十分に見込める地域への参入を優先せざるをえない状況にあるといえよう。当面、テスコとしては、不採算市場から撤退し、財務の健全化を優先してゆくのではないかと思われる。

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September 8, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 07, 2011

その2、テスコの決算、2011年度、最新を見る!

   前回のブログに引き続き、テスコの最新の決算、2011年2月期を見てみたい。前回はP/L(損益計算書)、CF(キャッシュフロー計算書)について見たので、今回はB/S(貸借対照表)について見てみる。それにしても、CFを見る限り、テスコは年間約5,000億円のキャッシュを獲得しており、その50%を新規出店、M&A等に充てている。これだけ、豊富なキャッシュがあっても、日本市場に参入できないわけであり、新規参入、特に、日本への新規参入はキャッシュを超える流通構造特有のテスコでは解決できない問題があったといえよう。また、テスコはアメリカでも苦労しており、fresh&easyをはじめて出店した2008年以降、赤字続きであり、厳しい状況である。流通の成熟市場ではテスコの力が十分に発揮できていないといえよう。一方、日本以外のアジア、China, Korea, Malaysia, Thailandでは順調に売上げ、そして、利益を伸ばし、いまやテスコ本体を支えるヨーロッパ以上の貢献度であり、明暗が分かれている。

   それにしても、日本でのテスコの評価は、CRMの世界最先端の企業であるという定評があるが、その最大の武器を、日本でも、アメリカでも十分に活用せずに、新規参入しており、疑問が残る新規参入戦略である。CRMは本来、顧客の購買行動を詳細に把握し、その分析結果をマーチャンダイジングにいかしてゆくことがポイントであるが、日本の顧客もアメリカの顧客の把握もCRMを通じて十分に把握したとは思えず、PB戦略、EDLP戦略に終始していたように思え、疑問が残る。

   さて、テスコのB/Sであるが、ヨーロッパという会計基準の違いもあり、日本のB/Sと考え方、会計思想の違いが見られる。そもそも日本のB/Sは貸借対照表の対照を重視しており、左右、左が借方、資産を表し、右が貸方、負債と純資産を示し、双方のバランス、まさに、左右対照形式で表現するが、テスコは縦に一本に直線につなげ、途中、小計は入れず、B/Sを作成している。さらに、日本では資産の勘定科目の順番は流動、固定の順番であるが、テスコははじめに固定資産が来る。全体の順番を見ると、固定資産+流動資産-流動負債-固定負債+純資産となる。しかも、固定資産と流動資産の合計数値がどこにも明記されておらず、日本のように流動資産+固定資産=流動負債+固定負債+純資産という左右対照という考え方がないといえる。

   なぜ、そうなるのかは、P/Lでもそうだが、結論は何かを重視しており、P/Lでは最後に結論として、EPS(1株当たり利益)が来て、株主に利益をどのくらいもたらしたかを示したように、B/Sでも、純資産、株主にどのくらい資産を残したかを示しているといえ、資産と純資産は同値、その間に、マイナスの負債があり、結果、資産がいくら残ったかを株主に示すということが重要であるとの認識から、このような形式、順番になるのではないかと思う。どうも、日本とヨーロッパでは、会計思想がかなり違うといえる。今後、日本でもIFARS(国際会計基準)の導入が進み、その形式の理解はできるだろうが、根本思想を理解するのは容易ではないように思う。

   そこで、実際のテスコのB/Sであるが、まずは、固定資産であるが、353.37億ポンド、その最大の項目はProperty, plant and equipment 243.98億ポンドであり、いわゆる、出店関連の資産が約70%を占める。次に流動資産であるが、118.69億ポンドである。ちなみに、Cash and cash equivalents、すなわち現金は 18.70億ポンドである。この現金も日本では最初の流動資産の項目となるが、テスコでは一番最後の項目である。最初の項目はInventories 、すなわち、在庫であり、31.62億ポンドである。ことごとく、日本のB/Sと順番が違う。そして、日本では、ここで、資産合計、すなわち、総資産が計算されるが、テスコのB/Sでは、これがない。そこで、あえて計算すると、472.06億ポンドである。1ポンド125円で計算すると約6兆円弱となる。

   そして、ここからも左右対照ではなく、直線上にB/Sが進んでゆくが、負債となる。はじめの負債が資産とは逆で、流動負債となる。177.31億ポンドである。そして、固定負債であるが、128.52億ポンドである。ここでも、この合計数値はないので、合計すると、305.83億ポンドである。この内、有利子負債は110.75億ポンドであり、1兆4,000億円弱となり、総資産の23.46%である。最後が純資産であり、166.23億ポンドとなり、総資産に占める割合は、35.21%である。ここでも、負債と純資産の合計は示されていないので、計算すると472.06億ポンドとなり、バランスがとれていることがわかる。

   これがヨーロッパでは通常のB/Sの表記なのであろうが、日本のいわゆる左右対照の貸借対照表と比べると、基本的に左右対照ではなく、直線であり、合計は全く計算されておらず、ひたすら、結論の純資産、すなわち、株主への貢献資産を計算するための流れになっており、固定資産+流動資産-流動負債-固定負債=純資産という流れである。日本のB/Sとはその思想、表現が全く違い、どこが対照なのかがよくわからないB/Sの表記である。ただ、これが本来のB/Sであり、日本が独特なのかもしれない。

   それにしても、純資産比率が35.21%、有利子負債比率が23.46%であり、1兆円を大きく超えており、テスコはけっして財務的に安定しているとはいえない状況である。CFの中でも、有利子負債の返済が多額に及んでおり、この決算書を見る限り、投資へキャッシュを十分に配分することはできず、財務の健全化に配分せざるおえない状況にあるといえ、日本で悠長に新規市場を開拓する余裕が十分にあるわけではないといえよう。恐らく、これも、日本市場から撤退した要因のひとつといえよう。

   以上、2回に渡って、テスコの2011年2月期の最新決算を見たが、あまりに、日本の決算書と形式が違い、さらに、思想の違いもあり、びっくりである。テスコの財務3表を見る限り、財務に十分な余裕がある訳ではなく、収益性の高い市場開拓が最優先課題であるといえ、日本からの撤退もやむをえない結論といえよう。それにしても、テスコが日本でCRMを本格的に実戦しなかったのは疑問が残り、日本のCRMの発展にとっても残念である。

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September 7, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 06, 2011

テスコの決算、2011年度、最新を見る、その1!

   テスコが日本市場からの撤退を表明したが、テスコの現状の経営内容はどのような状況にあるのかを2011年2月度決算、P/L(損益計算書)、CF(キャッシュフロー)、そして、B/S(貸借対照表)をもとに見てみたい。テスコはイギリスが本拠地の小売業であるが、事業はヨーロッパ、アジア、アメリカと3つの拠点がある。それぞれの2011年度の売上高と利益であるが、ヨーロッパ売上高105.58億ポンド(5.6%)、利益5.27億ポンド(11.2%)、アジア110.23億ポンド(21.5%)、利益5.70億ポンド(29.5%)、アメリカ5.02億ポンド(41.8%)、利益-1.86億ポンド(-12.7%)という状況であり、これに本国、イギリスの446億ポンド(5.5%)、利益25億ポンド(3.8%)が加わることとなる。ちなみに、現在1ポンドは125円ぐらいである。

   これを見ると、2011年度はアジアの売上高、利益がともにヨーロッパを抜き、テスコにとって最重点市場となったといえ、その成長率も驚異的である。このような状況の中での日本からの撤退であるが、日本以外のアジアへの投資は、今後ますます加速することになろう。気になるのはアメリカであり、成長率は高いが、依然として赤字である。テスコは2013年末までに、300店舗のフレッシュ&イージーでの単独黒字を目指すとのことであるが、厳しい状況が続いている。

   さて、まずは、P/L(損益計算書)であるが、テスコのP/Lは日本とは違い、原価、経費等の項目が日本のように表示されておらず、営業利益が売上高-販売コスト=売上総利益-経費+その他営業収入=営業利益+ファイナンス収益=税前利益-税金=税引後利益という構図である。一見、日本のP/Lに似ているようであるが、たとえば、販売コストは91.69%となり、原価としては高すぎる数字であり、日本の原価にさらに様々な販売コストが加わっていると思われる。2011年度決算のそれぞれの数字であるが、売上高609.31億ポンド、販売コスト558.71億ポンド(売上対比91.69%)、売上総利益50.60億ポンド(売上対比8.30%)となる。そして、経費16.76億ポンド(売上対比2.75%)、その他営業収入4.27億ポンド(売上対比0.70%)となり、営業利益は38.11億ポンド(売上対比6.25%)である。そして、さらに、ファイナンス収益、税金を加味し、最終の当期純利益は26.71億ポンド(売上対比4.38%)となる。

   日本の小売業と比較するには、営業利益のみがほぼ近い数字であるといえ、2011年度の営業利益38.11億ポンド(売上対比6.25%)がポイントといえよう。したがって、日本の2011年度の決算公開企業約50社の食品スーパーマーケットの営業利益の平均が2.3%であるので、いかに高収益であるかがわかる。テスコとしては、日本からの撤退もやむを得ない決断といえよう。また、このP/Lの最後はEPS(1株当たりの利益)が提示されており、33.10ポンド(昨対112.85%)であり、これがP/Lの結論といえよう。株主に対して、いかに、収益が貢献したかを示しているのが、P/Lの目的であるこがわかる。

   これを受けて、CF(キャッシュフロー)であるが、営業活動によるキャッシュフローは39.92億ポンド(約5,000億円)であり、豊富なキャッシュであるが、それでも昨年は47.45億ポンドであるので、大きく減少している。そして、投資活動によるキャッシュフローであるが、18.59億ポンド(昨年18.77億ポンド)である。したがって、フリーキャッシュフローは、差し引き21.33億ポンドであり、潤沢なキャッシュである。その中身であるが、新店等への投資が-31.78億ポンド(-28.55億ポンド)と大半を占めており、小売業特有の投資、新規出店が重きをしめていることがわかる。ついで、-12.64億ポンド (19.18億ポンド)であり、これが投資である。この2つが最大の投資活動によるキャッシュフローである。残念ながら、今後、これらが日本へ投資されることはない。

   そして、財務活動によるキャッシュフローであるが、-30.36億ポンド(昨年-36.07億ポンド)である。その主な中身であるが、有利子負債の返済-41.53億ポンド(昨年-36.01億ポンド)と配当-10.81億ポンド(-9.68億ポンド)である。結果、トータル-9.03億ポンド(-7.39億ポンド)であり、内部留保を取り崩している。

   こう見ると、営業活動によって獲得したキャッシュの約半分を投資し、新規出店とM&A等に充て、残りのすべてを、有利子負債の返済と配当に充てているが、約10億ポンド、ちょうど配当分不足し、内部留保を取り崩すというやりくりをしているといえる。テスコとしては、もう少し、キャッシュを獲得したいところであると思われ、キャッシュを稼ぐビジネスへの投資を優先したいというのが本音であろう。

   このように、2011年度のテスコの連結決算におけるP/L(損益計算書)とCF(キャッシュフロー)を見てみたが、堅実な成長、高い収益性を誇っており、営業利益率も6%を超え、当期純利益も4%を超えるという好決算である。ただ、それでも、キャッシュフローは、財務活動によるキャッシュフローにおける有利子負債の返済がやや重く、内部留保を取り崩さざるをえない状況であり、財務体質の改善とさらなるキャッシュの獲得が課題といえよう。なお、財務状況を示すB/S(貸借対照表)については、次回、改めて取り上げる。

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September 6, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 05, 2011

テスコ、日本から撤退、成長性見込めず!

   8/31、テスコが日本市場撤退を決断したプレスリリースを公表した。「Tesco to sell Japan business」と題したものであり、その第1声は、「“We have reviewed our portfolio in Asia and the performance of our business in Japan. Having made considerable efforts in Japan, we have concluded that we cannot build a sufficiently scalable business.」というものである。テスコの本拠地はイギリスであるが、事業は世界中に広がっており、日本はテスコにとってはアジアの中の1事業体のひとつである。この声明でも「our portfolio in Asia」といっているように、アジアの中で日本が、現在どのくらいのウェートを占め、今後、事業をどこまで拡大できるかが、事業継続の判断基準であったといえる。

   テスコの下した結論としては、「we have concluded that we cannot build a sufficiently scalable business.」とのことで、今後、日本では、スケールメリットを確保しえないということである。結果、「We have decided to sell our operations there and focus on our larger businesses in the region,・・」とのことで、事業の売却に入り、アジア市場において、よりスケールメリットの獲得できる地域に経営資源を集中するとのことである。しかも、「we will be undertaking a formal sale process over the coming months」数ケ月以内に事業売却に入るとのことで、早ければ年内には、日本のテスコの売却先が決まるのではないかと思われる。

   ここで、テスコの売上高から見た事業構造を改めて見てみたい。まずは、2010年度のグループ全体の売上高は625.37億ポンド(約7.81兆円)である。この4年間の売上高の伸び率は2010年5.23%、2009年14.78%、2008年11.07%、2007年8.05%であり、昨年度はやや伸び悩んだが、ここ数年2桁前後で伸びており、テスコにとって成長性は重要な要素であったことがわかる。そこで、さらに、その中身をイギリス、ヨーロッパ、アジア、そして、アメリカの4つに分けて見てみたい。

   まずは、2010年度であるが、イギリス2.41%(構成比61.6%)、ヨーロッパ-1.43(構成比13.9%)、アジア19.73%(構成比13.4%)、アメリカ69.41%(構成比0.5%)である。こう見ると、アメリカは伸び率こそ高いが、売上構成比はわずか0.5%であり、まだまだ、事業確立段階であるといえる。したがって、アメリカを除くと、アジアが極めて高い伸びを示し、しかも、売上構成比もヨーロッパを抜く勢いであり、いかにアジアを重視しているかがわかる。これを見ても、日本市場への期待は大きかったのではないかと予想されるが、コメントにもあるように、ポートフォリオでは日本の位置は極めて厳しい状況に置かれていたものと思われる。

   2009年度であるが、イギリス8.00%(構成比63.3%)、ヨーロッパ28.50%(構成比14.8%)、アジア26.9%(構成比11.8%)、アメリカ1,287.5%(構成比0.3%)である。2008年度は、イギリス6.71%(構成比67.3%)、ヨーロッパ23.61%(構成比13.27%)アジア25.69%(構成比10.7%)、アメリカ昨年実績なし(構成比0.03%)である。そして、2007年度であるが、イギリス8.91%(構成比70.0%)、ヨーロッパ9.10%(構成比11.9%)、アジア1.09%(構成比9.4%)、アメリカなしである。こう見ると、2009年度まではイギリス、ヨーロッパが順調にテスコの売上高を支えて来たといえるが、2010年度に入ると失速、変わって、アジアが台頭してきており、アジアは2008年度以降急成長していることがわかる。したがって、ここ数年、テスコはアジア市場を熱い眼差しで見ていたといえ、それだけ、日本市場への期待も大きかったのではないかと思われる。

   テスコは、日本市場へは「Tesco entered Japan in 2003 with the acquisition of the C2 Network, which ran stores under the Tsurakame brand.」と、2003年度にはC2ネットワークを通じて、つるかめブランドで参入している。アジア市場が急激に売上高を伸ばしはじめる2008年度段階では5年が過ぎており、成長戦略はそれなりに描けていたと思われるが、結果は、アジア市場の中では厳しい状況となり、今回の撤退という結論になったといえよう。

   テスコ自身も、日本市場について、「Japan is the smallest of Tesco’s international retail businesses.」と、コメントしており、テスコの中でも最も小さい小売ビジネスであったという。「The company operates 129 small stores in the Greater Tokyo area under the Tsurakame, Tesco and Tesco Express formats.」と、日本では全129店舗であるが、いずれも小規模店舗であるとのことである。テスコは現在、4,881店舗(内イギリス2,482店舗)であるので、129店舗はわずか2.6%であるので、テスコの目指す規模としては、少なくとも5%の250店舗、できれば、10%の約500店舗を当初は目指していたのではないかと思われる。その意味で今回のテスコの日本市場からの撤退はテスコ全体のおかれた状況からすると、当然の帰結であるともいえ、それだけ、日本市場が新規参入するには厳しい市場であったといえよう。

   このように、8/31、テスコが日本市場からの撤退を表明したが、2003年にはじめて、日本市場へ参入しての8年目での決断であり、これだけ、時間をかけてもテスコが望む市場規模を確保できなかったということであり、それだけ、日本市場はテスコにとって成長戦略が描けない市場であったといえよう。現在、テスコは、「Tesco, headquartered in the UK, is one of the world’s leading retailers and operates over 1,400 stores across five markets in Asia (China, Korea, Malaysia, Thailand and Japan).」とのことで、アジアだけでも1,400店舗を展開しており、今後、日本以外のアジアでの展開に経営資源を集中するとのことである。日本はその意味で成長市場ではなく、過当競争による飽和市場であるとのテスコの判断であるといえ、テスコ撤退後、日本の食品スーパーマーケット業界は、テスコの店舗を含め、本格的な合従連衡の時代に入るのではないかと思う。

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September 5, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 04, 2011

MD評価表、食品スーパーを支援、しばらくお待ちを!

   MD評価表はPOS分析の標準分析帳票のひとつであり、POS分析において、商品間の比較、商品の店舗間の比較をする上においてはなくてはならない帳票である。この帳票がはじめて世の中に登場したのは1992年10月のことである。この年、MD評価表の理論的根拠となるMD方程式を開発したことにより、自然、その管理帳票として、MD評価表が作成され、世の中に登場した。それから約20年、様々な改良がなされ、多くのチェーンストアで活用されてきたが、いよいよ、本格的に日本中の食品スーパーマーケットが、1店舗から、このMD評価表を活用できる時が近づいてきた。現在、その支援体制づくりの準備を着々と進めており、準備が整い次第、段階的に、MD評価表を日本中の食品スーパーマーケットに活用してもらえればと思う。

   MD評価表がその価値を発揮するのは店舗数が多ければ多いほど高くなる。原則、MD評価表は、MD、すなわち、マーチャンダイジングを評価するわけであるが、その評価に当たっては、何らかの基準が必要となる。通常、マーチャンダイジングの評価基準となるのは時間と空間である。できれば双方で評価するのが望ましいが、店舗数が少ない場合は、当然、空間、すなわち、店舗間の比較が十分にできず、自然、時間の比較が重視される。時間とは前日、前週、前月、前年等の比較である。この比較は単独店から可能であるので、MD評価表を活用し、マーチャンダイジングの改善に入ることが可能となる。ただ、時間を基準とした場合、いわば、これはパーソナルベストを目指すことしかできず、過去最高のマーチャンダイジングの実現は可能であるが、その数字がまだ伸びるのか、それとも限界なのかは判断がつかない。したがって、自然、次のステップとして、空間での比較が課題となる。

   空間とはチェーンストアの場合、2つの段階がある。ひとつは、自店のチェーンストア内での店舗比較である。そして、もうひとつは、自店のチェーンストアを含め、世の中の同業他社との比較である。前者がいわば、日本基準であるとすると、後者は世界基準を目指すことになるといえる。まずは、自社内でNo.1を目指し、これが達成されたら、同業他社のどこにもまけないNo.1を目指す、これが空間を通じて、マーチャンダイジングを評価するポイントである。

   現在、検討しているMD評価表の支援体制は、まさに、後者、各社が世界基準を目指し、1店舗から活用できる仕組みの開発である。自店内の時間軸に関しては、自らのPOSデータをMD評価表に落とせば、誰でもすぐにできる。また、自社内のチェンーンストアにおける店舗比較は自社内で何らかのプログラムを組めば、エクセルでできる。容易にできないのは、同業他社、すなわち、自社以外の食品スーパーマーケットのPOSデータとの比較であり、これは、簡単にできることではない。したがって、周到な準備が必要であり、検証が必要であり、権利関係の調整も必要であり、時間がかかることであるが、その準備は着々と進んでおり、そう遠くない将来には実現可能であると思う。

   さて、そもそものMD評価表であるが、MD、すなわち、マーチャンダイジングとは何かをPOSデータから導く必要がある。マーチャンダイジングとは、一言でいえば、需要供給曲線の需要曲線を右上にもってゆくことであり、需要曲線が右上に動いた時、マーチャンダイジングは成功、逆に左下に動いた時、マーチャンダイジングは失敗といえる。これをPOS分析に当てはめれば、需要曲線とは、PI値と平均単価のぶつかった点、すなわち、金額PI値のことであり、この金額PI値が現時点から右上に移動すれば、マーチャンダイジングは正しい方向に推移しており、逆に、左下に移動すれば、誤った方向に推移していると見なすことができる。

   MD評価表とは、この均衡点をPOS分析によって見つけ、金額PI値の高いベストプラクティスの店舗を見つけ出し、そこに近付き、追い越すためには、PI値に原因があるのか、平均単価に原因があるのかを見極め、その仮説を立て、実戦し、マーチャンダイジングを改善、すなわち、金額PI値のアップをはかるためのマーチャンダイジングの管理帳票のことである。結果だけでなく、その原因も見極め、さらに、仮説を立て、実戦し、その後、検証し、PDCAのマーチャンダイジング改善の流れを作り上げることが、その目的である。

   POS分析からは、このように金額PI値=PI値×平均単価ですべての商品が分解できるので、現状の金額PI値、すなわち、需要曲線の均衡点を見つけることができる。あとは、時間、空間、その中でも、自社のチェーン、さらには同業他社の均衡点が見つかれば、自店のマーチャンダイジングをどう改善するか、すなわち、需要曲線の均衡点を右上にどこまでもってゆけば、パーソナルベストが達成でき、さらに、日本基準、世界基準を目指すことができるかが見えてくる。今後、このようなMD評価表を通じての食品スーパーマーケットへの支援体制作りへ向けて、研究開発、および、その体制づくりを急ぎ、空間、特に他の食品スーパーマーケットと比較できるMD評価表を、どの食品スーパーマーケットでも1店舗から活用できる支援体制をつくってゆきたいと思う。もうしばらくお待ちください。

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September 4, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 03, 2011

POS分析から、どのように重点商品の選定をするか?

   食品スーパーマーケット、コンビニ等、チェーンストアにおいて、POSデータから重点商品を選定するのは簡単なようで、意外に難しい。なぜなら、商品の中には全店導入の商品もあれば、一部の店舗にしか導入されていない商品もあり、さらには、新商品もあり、これらの商品をどう評価するかが、難しいからである。そこで、ここでは、チェーンストアにおける重点商品の選定方法について考えて見たい。

   一般に重点商品とは売れ筋のことであり、売上高の高い商品であるといえる。ところがチェーンストアから売れ筋を選ぶとなると、先に上げたように、未導入店舗の商品をどう評価するか、新商品など未導入期間の商品をどう評価するかが問題となる。この問題を解決しない限り、単純にチェーンストアにおいて、重点商品を選んでも全店導入、全期間導入の商品の評価は問題ないとしても、未導入店舗、未導入期間のある商品の評価はその分不利となり、正当な商品への評価が下せないことになる。

   では、どう解決するかかであるが、はじめの未導入店舗については、評価軸を2つもつことがポイントとなる。ひとつは単純な売上高であり、もうひとつは導入店舗のみの売上高である。ただし、単純な売上高となると、客数の多い店舗と客数の少ない店舗を同一の基準で評価してしまうことになるので、評価は同じ売上高でも、客数当たり、すなわち、金額PI値を使うことが望ましい。コンビニの場合は、食品スーパーマーケットと違い、客数の規模が大きく違わず、ほぼ均一化されているので、店舗数で割った売上高、これも一種の金額PI値であるが、いわば店舗金額PI値を使っても良いといえよう。

   そして、この時、金額PI値の分母を全店の客数と導入店舗の客数に分けて、2つの金額PI値を算出することがポイントとなる。前者を金額PI総店、後者を金額PI扱店として区別する。さらに、ここでもう一工夫必要となる。この客数の違いを指標化することである。すなわち、導入店舗の客数/全店の客数である。これを客数PI値とする。この客数PI値は金額PI扱店/金額PI総店でも計算できる。なぜなら、金額PI扱店は、売上高/扱店舗の客数、金額PI総店は売上高/全店の客数であるので、割算すると、売上高が約分され、扱店の客数/全店の客数となるからである。

   これで、チェーンストアの重点商品のひとつめの評価の準備ができた。ここから早速、重点商品を選定することになるが、これまでの指標を整理すると、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店となる。したがって、この数式に則って、重点商品を選定していけばよい。すなわち、最終評価は金額PI総店であるが、重点商品の選定にあたっては、まずは、客数PI値で評価する。次に、金額PI扱店で評価する。すなわち、すべてのチェーンストアの商品を、2次元で評価することになる。仮に、横軸に客数PI値、縦軸に金額PI扱店をとれば、その掛けた面積が金額PI総店となる。したがって、この横軸を平均客数PI値、縦軸を平均金額PI扱店で分ければ、すべての商品は4つの象限に分かれる。この時、右上に来たものが最重点商品、右下が次に重視する商品、左上がその次に重視する商品、左下が今後に期待する商品となる。

   なぜなら、右上は客数PI値も高く、金額PI扱店も高く、多くの店舗で導入された中で、金額PI扱店が高いので、どの店舗でも売上高を稼いだ実績があり、最重点商品にふさわしいからである。一方、右下は客数PI値は高いが、金額PI扱店が低く、導入店舗は多いが、金額PI扱店が低く、やや課題を残している。左上も同様であり、金額PI扱店は高いが、導入店舗が少なく、未導入店舗でも売れるかどうかは保証されない。したがって、右下、左上はどうちらも課題があり、右上に比べ、慎重な判断が必要となる。なお、ここで4象限に分けたが、もうひとつ基準を入れ、3×3の9象限で評価すると、より、精度の高いものとなる。

   さて、もうひとつの未導入期間であるが、これは、評価時間をできるだけ細かく切って評価し、その累計値で評価することである。たとえば、1年の評価をする場合、1年を12ケ月に分け、月々の売上高、客数を12ケ月、それぞれの数値を算出し、これを1年の累計値として算出し、客数PI値、金額PI扱店、金額PI総店を算出する。これによって、新商品など、未導入期間がある商品はその月は0となり、導入月のみの数値が計算され、より、精度の高い重点商品の選定が可能となるからである。

   このように、重点商品の選定は、チェーンストアの場合は注意が必要であり、未導入店舗、未導入期間の問題があり、一概に、ばさっと評価することが難しいからである。これを解決するには、未導入店舗については、金額PI総店=客数PI値×金額PI扱店の数式で評価することにより、解決ができる。また、未導入期間については、可能な限り、期間を小さく分けて、その数値を累計することにより、未導入期間が省かれ、導入期間のみの数値の算出が可能となり、精度の高い重点商品の選定が可能となる。チェーンストアで重点商品を選定する場合は、以上2点に気をつけ、重点商品を選定し、マーチャンダイジングの改善をはかって欲しいところだ。

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September 3, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 02, 2011

家計調査データ、2011年7月度、食品、微増100.5%!

   8/30、総務省統計局から2011年7月度の家計調査データが公表された。すでに公表された消費者物価指数(CPI)では、デフレ傾向が鮮明であり、家計はどのような影響を受けているかが注目されたが、結果は全体1日、1世帯当たり9,033.74円(98.2%)となり、消費の伸びはみられず、厳しい結果となった。また、外食を除く食品は1,990.03円(100.5%)となり、微増、家計においても、消費は伸び悩んでいるといえ、厳しい状況が続いている。ここ数ケ月の食品の動向であるが、6月度1,920.87円(98.6%)、5月度1,899.00円(97.9%)、4月度1,885.40円(99.3%)、そして、3月度1,918.48円(100.5%)であり、大きな変化はなく、3/11の東日本大震災以降、食品はほぼ横ばいで推移しているといえる。

   そこで、まずは、全体が98.2%とマイナスとなった要因であるが、品目別に全体を見てみると、外食を除く食品は1,990.03円(100.5%)、外食363.58円(84.0%)、住居496.45円(83.2%)、光熱・水道 863.29円(102.4%)、家具・家事用品306.61円(93.4%)、被服及び履物375.00円(83.9%)、保健医療439.74円(106.7%)、交通・通信1,326.45円(87.3%)、教育417.48円(79.7%)、教養娯楽943.71円(80.9%)、その他の消費支出2,006.65円(93.6%)という結果である。プラスとなったのは、食品と光熱・水道、保健医療のみであり、全体的に消費が厳しい状況にあるといえよう。

   では、その伸びた要因の費目であるが、食品は別途取り上げるので、光熱・水道では灯油114.94円(141.3%)が大きく伸びており、これが要因である。ちなみに、電気代は357.55円(101.9%)と若干の上昇が見られ、微増である。ついで、保健医療であるが、医薬品82.52円(108.1%)と保健医療サービス253.16円(111.0%)が増加している。その中身であるが、医薬品では感冒薬6.58円(122.2%)、保健医療サービスでは歯科診療代47.39円(109.1%)、出産入院料6.45円(135.1%)の伸びが大きいといえる。

   一方、マイナスとなった費目であるが、外食、被服及び履物、交通・通信、教育、教養娯楽が80%台と大きく下がっているため、その要因を見てみたい。まずは外食であるが、最も伸びが厳しかったのは飲酒代35.00円(64.4%)であり、ついで、中華食9.90円(71.2%)、日本そば・うどん11.10円(78.9%)、和食48.87円(80.1%)、ハンバーガー11.06円(82.1%)、中華そば13.55円(83.5%)、洋食43.06円(84.9%)とほとんどの外食が厳しい状況である。被服及び履物であるが、被服関連サービス19.45円(74.9%)、洋服170.71円(79.5%)、シャツ・セーター類60.16円(83.6%)、生地・糸類4.94円(88.4%)が90%を割り込んでいる。特に、洋服の背広服20.42円(60.9%)、婦人用上着10.26円(63.9%)、女子用学校制服10.58円(58.0%)は70%を割っており、厳しい消費である。

   ついで、交通・通信であるが、自動車等購入200.97円(61.8%)、レンタカー料金1.29円(21.4%)、バス通学定期代1.39円(39.8%)、バス通勤定期代2.74円(46.7%)などが極端に低い費目である。教育では高校授業料の無償化により、国公立高校8.87円(33.5%)、私立高校29.48円(69.6%)と大きいが、これ以外でも、専修学校36.52円(62.1%)、私立小学校0.77円(28.6%)、私立中学校1.90円(35.3%)、私立大学 93.61円(64.2%)と私立関連の費目の消費が大きく下がっている。そして、教養娯楽であるが、テレビ60.16円(54.4%)、パーソナルコンピュータ36.94円(75.7%)、書籍23.03円(76.8%)、宿泊料35.71円(61.5%)、映画・演劇等入場料12.10円(64.5%)等が厳しい費目である。

   以上がこの7月度、全体の消費が伸び悩んだ要因であるが、ここで、食品について、改めて、この7月度の家計の消費状況を見てみたい。まずは、全体の動向であるが、穀類232.48円(109.6%)、魚介類210.61円(94.0%)、肉類201.65円(101.1%)、乳卵類104.29円(98.1%)、野菜・海藻272.94円(100.2%)、果物86.32円(100.5%)、油脂・調味料110.74円(105.0%)、菓子類213.97円(92.3%)、主食的調理食品114.06円(104.0%)、飲料123.32円(108.9%)、酒類97.84円(96.2%)である。

   そこで、ここでは、好調な品目、穀類109.6%、油脂・調味料105.0%、主食的調理食品104.0%、飲料108.9%の4つについて伸びた要因を見てみたい。穀類では、ほぼすべて110%近い伸びを示しており、特に、米82.06円(113.2%)、スパゲッティ4.61円(115.3%)、カップめん14.35円(140.8%)、即席めん6.61円(129.7%)、小麦粉2.58円(117.6%)、もち3.45円(137.2%)等が高い伸びである。油脂・調味料では乾燥スープ8.87円(131.6%)、風味調味料5.87円(111.0%)、ふりかけ4.97円(116.7%)等である。主食的調理食品ではハンバーグ2.87円(111.3%)、コロッケ5.61円(106.1%)、ぎょうざ6.32円(106.5%)、冷凍調理食品14.97円(106.2%)等である。そして、飲料であるが、ミネラルウォーターが12.84円(248.8%)と、異常値であり、これについで、乳飲料3.23円(113.6%)、コーヒー15.61円(112.6%)、炭酸飲料8.61円(111.7%)等が高い伸びである。

   このように、この7月度は全体が98.2%と、昨対を割っており、デフレ環境の中、厳しい消費状況であるといえよう。ただ、その中では外食を除く食品が比較的堅調な結果である。その要因は穀類、油脂・調味料、主食的調理食品、飲料の4つの費目が好調であり、これが食品全体を押し上げているといえる。特に穀類、飲料は好調な結果であり、2桁を伸ばした費目が数多く見られる。消費者物価指数(CPI)を見ていると、今後ともデフレ傾向は続くと思われ、家計全体の消費は厳しい状況が予想される。食品スーパーマーケット業界としては、デフレを前提に、その中でも伸びる費目と伸び悩む費目を見極め、メリハリのある商品戦略をとってゆくことが課題となろう。

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September 2, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 01, 2011

さいちの「おはぎ」、FNSドキュメンタリー、放映!

   8/30、深夜、フジテレビにて、25:50から27:40まで、110分間、興味深いテレビ番組が放映された。タイトルは、「おはぎ、あきない、おそうざい、秋保で出会った“生き方”」である。この番組はFNS(フジネットワークシステム)が主催する第20回FNSドキュメンタリー大賞のノミネート作品であり、仙台放送が制作したドキュメント番組である。食品スーパーマーケット業界ではあまりにも有名なさいちの「おはぎ」であるが、首都圏ではヤオコーで食べることができる。番組の中でも、ヤオコーが秋保のさいちで「おはぎ」の作り方を直に学び、それをヤオコー全店へ普及させる場面があったが、「おはぎ」がこれほどまでにパワーがある商品であることに改めて驚かされる番組である。

   さいちは、宮城県仙台市太白区秋保町にある約80坪の小さな食品スーパーマーケットであり、店名が「主婦の店さいち」という名のとおり、主婦の店運動の名残を残しており、いまではCGCグループに属しているが、店舗はこの1店舗のみである。さいちが一躍脚光を浴びたのは何といっても「おはぎ」である。番組の中でも「おはぎ」に関しては、微に入り、細に入り取り上げていたが、1個105円の「おはぎ」が1日平均5千個売れるとのことで、土日になると1万個、お彼岸になると2万個も売れるという。

   年商が約6億円であり、1日当たり客数が約1,000人強であるとのことで、PI値を計算すると、5,000個/1,000人=500%(5.0個)であり、平均単価が105円であるので、金額PI値はPI値×平均単価であるので525円となる。恐らく、食品スーパーマーケットの単品におけるPI値では、この「おはぎ」が日本一であろう。通常の食品スーパーマーケットではPI値1%で、200品ぐらいしか存在せず、10%で数10品となる。500%はありえないPI値である。ただし、商品としては、2個、3個、6個、10個売りなどがあるので、パック数としては、もう少し、PI値は下がるが、いずれにせよ、異常値である。

   ちなみに、食品スーパーマーケットの惣菜は売上構成比で見ると約10%前後であり、ヤオコーのように惣菜を戦略商品にすえたとしても15%前後が限界に近い数値であるといえる。さいちの惣菜は、この「おはぎ」が核となっているため、売上構成比は50%を超えるという。こうなると、食品スーパーマーケットというよりも、「おはぎ」を戦略商品にすえた惣菜店といえ、惣菜専門店に生鮮3品、日配、グロサリーを付加した店舗といえる。実際、人員配置も惣菜に重点的に配置されており、その統括は佐藤社長の奥さんである澄子専務が一手に取り仕切っており、人物金の経営資源の大半を「おはぎ」を中心に惣菜に投入している。これが類稀な独特な「おはぎ」を中核商品にすえた食品スーパーマーケットを作り上げていったものといえよう。

   番組を見ていて気になった場面があった。佐藤社長が手書きの帳簿を毎日夜遅くまで付けている場面である。中身を見ると、売上高、客数、気温、天気などの基本情報であるが、これが数10年分たまっており、しかも、一覧できるため、10年前の数字も瞬時に見ることができるという。食品スーパーマーケットはIT化がすごい勢いで進んでいるため、数表はほとんどExcelで管理しているのが現状であるが、なぜ、これほど手書きにこだわっているのか気になった。

   番組を見てゆくと、そのひとつの理由がどうも惣菜のロス管理にあるように思えた。さいちの惣菜の原価率は60%ぐらいであるという。これは通常の食品スーパーマーケットが40%から50%であるので、高い原価率である。したがって、素材を吟味しているといえ、この時点で通常の食品スーパーマーケットに味と品質で勝っているといえよう。ただ、結果、ロスが命取りとなり、惣菜の宿命ともいえるロス率を削減できないと利益が吹っ飛んでしまうことになる。食品スーパーマーケットはこのロス率を加味し、原価率を下げているわけであるが、さいちは、これを佐藤社長の販売予測能力に委ねているように思えた。

   すなわち、毎日、夜遅くまで帳簿を永年に渡り、自らの手でつけることにより、「おはぎ」をはじめ、惣菜の販売予測を自ら立てることが可能となり、しかも、学習効果が働き、精度の高い販売予測が可能になる。これがさいちの惣菜のロス率を最小限にし、結果、高い原価率でも利益を出せる仕組みを作り上げたのではないかと思う。販売予測は最後は人であり、人は学習して能力がアップする。したがって、自ら数字を手作業で付けることがいかに重要であるかを佐藤社長の背中が物語っているように思えた。

   さいちにはヨークベニマル、ヤオコー等、これまで数百社がその教えを請いに来ているという。番組では、大手食品スーパーマーケットだけでなく、大学の准教授、中小食品スーパーマーケットの惣菜担当者、惣菜専門店の従業員等が研修する姿がとらえられていた。以前から、食品スーパーマーケット業界では惣菜においてはヨークベニマル、ヤオコーが両巨頭であるとの定評が高いが、今回、この番組を見て、その中に、このさいちの「おはぎ」を中核とした惣菜のDNAが受け継がれた結果ではないかと、ふと思った。

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September 1, 2011 | | Comments (0) | TrackBack (0)