November 13, 2009

POS分析、レシートとID分析の違いは?

   ここ最近POS分析が急速に食品スーパーマーケット業界、およびメーカー、卸で注目されつつある。その背景にあるのは、消費環境の厳しさが増す中、小売業側の収益が落ち、その対策のひとつとして、食品スーパーマーケットとメーカー、卸と一体となった取り組みが求められ始めたことがあるといえよう。特に、ここ最近、食品スーパーマーケット側のIT化が進み、webを通じて、POSデータを公開する仕組みがあいついで開発されたことも、この状況に拍車をかけているといえよう。そこで、ここでは、この注目されつつあるPOS分析において、2大潮流となりつつある分析手法、レシート分析とID分析の違いについて考えてみたい。

   POS分析には、大きく分けて2つの分析手法が存在する。ひとつはレシート分析であり、もうひとつはID分析である。では、この2つの分析手法の決定的な違いは何かを考えてみたい。まず、共通点であるが、どちらも、売上げと連動しており、売上げを起点に捉えることができる。レシートの場合は、売上=レシート枚数×レシート1枚当たりの売上げであり、IDの場合は、売上=ID数×1ID当たりの売上げとなる。したがって、ここから売上を起点に両者を関係づけることが可能となる。売上=レシート枚数×レシート1枚当たりの売上げ=ID数×1ID当たりの売上げとなる。そして、これを変形すると、レシートとIDの関係が明らかになる。すなわち、レシート枚数×レシート1枚当たりの売上げ=ID数×1ID当たりの売上げとなり、これをレシートから見ると、レシート1枚当たりの売上げ=1ID当たりの売上げ×(ID数÷レシート枚数)であり、IDから見ると、1ID当たりの売上げ=レシート1枚当たりの売上げ×(レシート枚数÷ID数)である。

   すなわち、レシートとIDの関係は、この数式によって関係づけられ、どちらを起点にしても、売上げを説明でき、売上げを媒介にして、この両者を関係づけることが可能となる。通常は、この2つの数式の内、後者、すなわち、1ID当たりの売上げ=レシート1枚当たりの売上げ×(レシート枚数÷ID数)を活用し、これをさらに整理し、ID金額PI値(1ID当たりの売上げ)=ID客数PI値(レシート枚数÷ID数)×金額PI値(レシート1枚当たりの売上げ)として、活用している。

   したがって、レシートとIDの関係は、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値で関係づけられ、この両者は無関係ではなく、この数式により、売上げを媒介にして、密接な関係にあるといえる。そこで、この数式をもとに、レシートとIDの違いを改めて考えてみたい。

   まず、レシートであるが、決定的な違いは、レシートにはIDがないため、ID客数PI値が存在しないことである。数式の右半分の金額PI値だけの世界での分析となる。したがって、売上げをあげるには、レシート枚数を増やすか、金額PI値(レシート1枚当たりの売上げ)を増やすかということになる。特に、金額PI値の高い商品が重視され、この商品のレシート枚数をいかに増やすかが最重点課題となる。

   これに対して、IDは、数式が示すように、金額PI値にID客数PI値がかかっているため、ID客数PI値、すなわち、頻度が重要なキーワードとなる。したがって、この頻度次第で、金額PI値が高いものでも、ID金額PI値は低くなることもあり、逆に、金額PI値が低いものでも、ID金額PI値は高くなることもある。これは、レシートの世界では想像もつかなかった事実であり、IDを見ることによってはじめて明らかになった事実である。したがって、ID客数PI値、すなわち、頻度分析が可能なことが、決定的な違いのひとつである。

   次に、その延長となるが、頻度分析、すなわち、リピート分析が可能となることである。単純なID客数PI値の頻度だけでなく、売上げの中身が、トライアルIDが多いのか、リピートIDが多いのか、さらには、ヘビーリピートか、ライトリピートかなど、様々な頻度分析が可能となる。また、IDの属性と絡めれば、属性ごとの頻度分析も可能となり、売上げの中身がより深く分析できることがポイントである。

   そして、もう1点、IDで売上げが見えるので、対象商品だけでなく、そのIDが購入している全商品を見ることもできることである。これもレシート分析では逆立ちしても把握できない実態である。これによって、併売分析も可能となり、さらには、そのIDがどれだけ、店舗に貢献しているか、いわゆるロイヤルカスタマー度の判別も可能となる。これは、財務との連動も視野に入る課題であり、特に、キャッシュフローと密接に絡むテーマでもある。

   このように、レシートとIDは密接に関係しており、しかも、その本質は、決定的な違いがあるといえる。さらに、この両者は従属関係にあるともいえ、ID客数PI値を介することによって、金額PI値の世界をID金額PI値の世界に変換することが可能である。金額PI値の世界はすべてID金額PI値で説明することができるが、ID金額PI値の世界は、IDの把握ができない限り、金額PI値では説明できないという関係である。その意味で、POS分析は、その歴史はレシートからIDへという流れであるが、本質を理解するには、IDからレシートへの方が速く、しかも深く理解でき、広がりも大きいといえよう。

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November 13, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 12, 2009

CRMデータのみの広告登場!

   日経MJには、様々な商品の広告が掲載されるが、9/11にも、ヤクルトの番爽麗茶の全面広告が掲載された。通常、この種の広告の場合は、何らかの検証データが提示され、その数字を根拠に、強く、消費者、小売業に訴えることが多いが、このヤクルトの全面広告では、その検証データに、CRMデータがメインで取り上げられた。しかも、対象は小売業への訴求であり、そのCRMデータを根拠の一つとして、棚割の提案、売場づくりへの提案も写真入りで、提示されており、CRMデータを全面に出した広告としては、かなり思い切った試みであるといえよう。

   現在、商品の検証には通常のPOSデータが活用されることがほとんどである。その背景には、CRMの研究開発は進んでいるが、小売業側に、CRMデータを検証する仕組みが十分でないことが大きいといえよう。通常のPOSデータは、小売業、特に、食品スーパーマーケットでは、ほぼ100%、自店で検証ができるため、メーカーが広告に、通常のPOSデータを検証結果として掲載した場合、そのデータが正しいか、正しくないかの判断を、自ら、追検証できるため、数字の客観性が確認できる。ところが、CRMデータの場合は、小売業側に自社で十分に分析できる体制がほとんど確立されていないために、自社での検証は難しいものがあり、広告に掲載されたCRMのデータの数字をそのまま受け入れることが難しいのが現状である。

   今回のヤクルトの広告では、番爽麗茶の小容量と大容量のユーザー、及び、両ユーザーの割合を数字と円グラフで示し、大容量のユーザーは51%、小容量のユーザーは35%、両ユーザーは14%、合計100%という検証結果を提示している。さらに、そのグラフの上に、アンケート調査結果として、番爽麗茶を飲むユーザーの91.8%が毎日飲むとの円グラフを掲げており、シンプルな数字の提示である。また、CRM特有の解説として、小容量はトライアルユーザーが多く、大容量はロイヤルユーザーが多いと付け加えており、まさに、CRMデータを全面に押し出した広告である。

   ここで、提示されたデータ、解説は、すべてCRMデータに基づくものであり、通常のPOSデータ分析からはけっして得られない数字であり、恐らく、ほとんどの食品スーパーマーケットでは、いずれのデータも検証することができない数字である。

   一見すると、大容量51%、小容量35%は売上構成比とどこが違うのかと思ってしまうかもしれないが、これは、IDの数を表しており、数字の算出過程が全く違う。売上は、売上金額=ID数×ID金額PI値と分解でき、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値と、落とし込むことができる。したがって、売上金額とID数とは正の相関関係にはならず、ID数が少なくても、ID金額PI値が高い場合もあり、逆に、ID数が多い場合でも、ID金額PI値が低い場合もあり、売上金額とID数とは正の相関というよりは、むしろ、逆相関となることすらあるといえる。一方、通常のPOS分析で可能な金額PI値は、客数を一定とした検証の結果は、売上げ構成比そのものを表しているといえ、直感的に理解しやすい数字である。

   その意味で、今回のCRMデータで最も大事な数字は、両ユーザー14%という数字であろう。この数字も、CRM特有の数字であり、これは、小容量と大容量との相関性は弱く、容量の違いが、客層の違いになっている可能性が高いことを表しており、双方の品揃えが必要であるという根拠を示す数字ともいえ、容易にイメージができるからである。また、今回、ヤクルトでは、新たに、中間の1000mlの中容量を新発売したということであるが、これは、1000mlが、小容量、大容量と違う新たな客層をつかむ可能性が高いという仮説の提示といえ、小容量、大容量と、ユーザーがどう重なるか、その結果、総ユーザーが拡大するのかが、今後の検証ポイントといえよう。

   今回、この広告の主要なテーマが、ロイヤルユーザーの囲い込みと新規トライアルユーザーの獲得を目指すということであるが、CRM分析を全面に出すのであれば、さらに、店舗のロイヤルユーザーの囲い込みと新規トライアルユーザーの獲得を目ざすための、検証データを示しても良かったのでは思う。ロイヤルユーザーはメーカーにとっては、その商品のヘビーユーザーであるが、食品スーパーマーケットにとっては、店舗に貢献度の高いユーザーのことであり、必ずしも、メーカーのロイヤルユーザーと重ならない面がある。番爽麗茶がどれだけ、店舗貢献度が高いか、すなわち、商品はもちろん、店舗のロイヤルユーザーをつかんでいるかを示せたら、より、この広告はCRMデータを駆使し、食品スーパーマーケットに強く訴えることができたように思う。

   このように、今回のヤクルトの番爽麗茶の日経MJでの全面広告は、CRMでの検証データをメインにした内容となっており、これまでの通常のPOSデータでの検証ではなく、非常に興味深い内容であり、新たなCRMデータの検証結果を広告に活かす可能性を示したものといえよう。CRMデータの検証は、まだまだ始まったばかりであり、特に、食品スーパーマーケット側ではこれから検証体制が構築される段階といえ、今後、有望な検証データとなってゆくものといえよう。今回の広告はその意味で、今後につながる試みであり、次の、第2弾に期待したいところである。

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September 12, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 09, 2009

品揃えをどう評価するか?

   これまで、品揃えの数字評価は、POSから上がってくるデータをもとに、様々な分析を行い、その結果をもとになされてきた。基本はABC分析であり、売れ筋をA、死に筋をCとし、A商品を強化し、C商品をカットし、新商品と入れ替えることによって、結果、品揃えが改善されるという考え方が基本にあった。ただ、売れ筋、死に筋を数量で見るか、金額で見るかは長い間、論争が繰り広げられ、中々、決着がつかず、多くの場合、両方を見比べながら、バランスをとるという形で、売れ筋、死に筋を判断してきたといえる。

   その後、PI値分析が普及しはじめてからは、売れ筋、死に筋を金額PI値で判断し、さらに、その中身をPI値(数量)と平均単価、双方から判断するようになり、売れ筋の中にも、PI値の高い商品、平均単価の高い商品、PI値、平均単価、双方が高い商品を区別するようになった。同様に、死に筋も、PI値が低い商品、平均単価が低い商品、PI値、平均単価双方が低い商品を区別し、この死に筋の中でも、PI値、平均単価双方が低い商品を、品揃えの優先度が低いと判断し、カット対象とし、新商品と入れ替えるという流れができあがった。

   従来の売上金額、売上数量だけでは、単純な判断しかできなかった売れ筋、死に筋も、PI値分析ができるようになってからは、少し、顧客の購買実態に踏み込むことができ、品揃えを以前よりは、深く考えることができるようになったといえよう。ただ、どちらも、基本は2元論の域を出ず、高いか低いかを1次元で見るか、2次元で見るかの違いであり、2次元で見た方がやや深く、高いか低いかを判断できるというにすぎない。

   本来、品揃えは、売れ筋、死に筋という2元論的な捉え方ではなく、必要か必要でないかという観点が先にあるはずであり、この点を最優先に考えて品揃えを決めるべきであるといえる。ところが、現状のPOSからは、必要であるか、必要ないかの判断に足るデータはあがってこないため、極論すれば、売れ筋は必要、死に筋は必要ないと同義語となり、品揃えの基準が本来の必要、必要ないから、売れ筋、死に筋に置き換わってしまっているのが現状であるといえる。

   よく、コンビニなどでは経験することであるが、いつも、いきつけのコンビニで買っていた商品が突然なくなってしまうということが起こる。これは、まさに、売れ筋、死に筋のことであり、自分にとっては売れ筋でも、コンビニにとっては死に筋であると判断され、カットされてしまうケースである。A商品を残し、C商品をカットすれば、C商品をよく買っていた顧客のA商品は当然カットされてしまう。この背景には、A商品は売れ筋であり、誰でもが買う商品であり、誰でも必要な商品であるという暗黙の了解があり、同様に、C商品は誰も買わない商品であり、必要ない商品であるという無意識の認識があるからであろう。

   ここ最近、CRM分析に取り組むようになって、どうも、この暗黙の了解、無意識の認識がおかしいのではないかと思うようになった。すでに、約20年に渡って、PI値分析をあらゆる商品で行ってきたが、金額PI値の高いもの、すなわち、A商品である売れ筋を強化しても、売上げが上がらない商品群が厳然としてあり、しかも、A商品を強化して売上が上がった商品群でも、ある段階に来ると、限界が訪れ、そこから先にゆくには、C商品を強化することが決め手となる場合が多々発生している。

   ところが、C商品の評価は従来の売れ筋、死に筋論では歯がたたず、全く、別の角度、次元の違う分析が必要といえ、どうも、その決め手として、CRM分析が有力な手法であることが、わかってきた。CRM分析には様々な方法があるが、品揃えを評価する方法としては、相関分析、ID金額PI値分析が有効である。

   いくつか事例を上げると、たとえば、牛乳の売れ筋は1,000mlであるが、500ml、200mlの品揃えは必要か必要でないか、また、同じ1,000mlの中でも、ABCがあり、C商品の品揃えは必要か必要でないかをどう判断するかである。この時、同じメーカーの同じ牛乳の1,000ml、500ml、200mlの相関分析をしてみると、当然、価格は大容量がお買い得であり、小容量が高めであるが、CRM分析で相関関係を見ると、あまり高い相関関係がないことが多い。それぞれが、独自の顧客を獲得し、相互交流があまり起こっていないことが見られる。このようなことが明らかになれば、いずれも、しっかり品揃えすべきであることが明らかになる。また、同じ、1,000mlのAとC商品のID金額PI値分析を試みると、C商品の方がA商品よりもID金額PI値の高い商品、すなわち、優良顧客がしっかり購入している商品がたくさん見つかる。これを果たしてC商品というのか、ID金額PI値で見れば、むしろ、A商品と定義でき、これまでのAとCが逆転する商品が見つかる場合が多い。

   このように、品揃えとは、本来、商品の単純な売上金額だけで判断できない要素が厳然として存在しているといえ、CRM分析は、これまでの分析では見えなかった判断基準を新たに提示する分析手法であり、特に、品揃えの評価には、必須の分析手法といえよう。CRM分析はまだ始まったばかりともいえるが、まずは、品揃えの再評価に活用してゆくところから入ると、実践的で、わかりやすく、また、効果も期待できるのではと思う。

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September 9, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (1) | TrackBack (0)

September 06, 2009

商品には2つの売上げがある!

   従来、売上げというと、商品の売上げをさし、商品ごとの売上金額を分析し、その結果をマーチャンダイジングに活かしてきたといえる。たとえば、豆腐の売上といえば、豆腐に分類される全商品の個々の売上げを合計したものであり、通常は約50種類ぐらいで構成されている。その約50種類の豆腐の中から、売上げの高い商品を重点商品とし、まずは、その重点商品の鮮度を高め、いかに欠品させないかを最優先に取り組み、豆腐全体の売上げアップを図ってきたといえる。これが、豆腐で最初に取り組むマーチャンダイジング政策といえよう。ついで、その他の商品をつぶさに調べ、商品の品揃えを見直し、豆腐全体の最適な品揃えに取り組むというのが次のステップである。

   このように、豆腐のマーチャンダイジングを考える時は、まず、豆腐の売上げを把握することがそのスタートとなる。ところが、ここ最近、CRM分析が導きだした答えは、豆腐の売上げにはもうひとつの売上げがあるということを発見したことである。通常、CRM分析を行うには、すべての商品をID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値で分解し、従来の商品分析から得られる売上げに対して、IDから得られるID金額PI値を基盤にすえる。すなわち、商品からの売上げに対し、ID金額PI値は、ID、すなわち、顧客からの売上げを表していることになる。

   具体的な数字を当てはめてみると、豆腐の売上げが10万円であった場合、これを従来のPOS分析で見ると、豆腐の価格が100円とすると、点数は1,000個となり、10万円=1,000個×100円となる。これに対して、CRM分析を行うと、ID、すなわち、顧客という概念が入り、たとえば、豆腐を100人(ID)が購入した場合、顧客1人(ID)当たりの売上げ、ID金額PI値は、10万円÷100人(ID)=1,000円となり、さらに、この100人が1,000枚のレシートをもたらしているとすると、ID客数PI値は、1,000枚÷100人(ID)=10枚/IDとなる。まとめると、CRM分析では、ID金額PI値(1,000円)=ID客数PI値(10枚/ID)×金額PI値(100円)ということになる。

   この時、豆腐の売上げ10万円はどうなったかであるが、ひとつは、従来のPOS分析の商品そのものの販売数とその価格とを掛けた、1,000個×100円=10万と、まさに商品の売上げでとらえることができる。そして、もうひとつは、CRM分析を行い、ID、1人当たりの売上げに着目し、ID金額PI値1,000円×ID数100人=10万円としてとらえることができる。これは、豆腐には2つの角度から売上げをとらえることできるということであり、ひとつは、商品そのものの売上げ、そして、もうひとつは豆腐を購入する顧客の売上げということである。CRM分析が確立される以前には、顧客の売上げが存在せず、売上げといえば、商品からの売上げしかなく、顧客からの売上げという概念も、計算もできなかったのが実情である。

   なお、初期のPI値分析は、商品の売上げから、一歩、顧客の売上げに近づいたものであり、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値の金額PI値で商品の売上げ把握するものであり、その意味で、CRMの一部、範疇とみることができよう。IDではなく、レシートまでが限界ではあるが、従来の商品からの売上げに対して、一歩、顧客からの売上げに近づいたのが初期のPI値分析といえよう。

   さて、最近のCRM分析は、さらに、もう一歩踏み込み、ID金額PI値を豆腐だけにこだわらず、豆腐以外の商品にも広げた分析にも入りつつある。いわゆる、商品変換といわれる視点の転換である。これは、豆腐を購入している10人のIDが豆腐以外に何を買っているかまで、踏み込む分析であり、ここまで踏み込むと、豆腐の購入IDが店舗全体にもたらす売上げへの貢献分析が可能となる。一見、デシル分析に似ているが、店舗全体ではなく、豆腐、しかも、最終的には豆腐の単品、1品1品にまで分析対象を広げるので、単純なデシル分析とは違い、CRM分析の商品変換といった方がわかりやすいかと思う。

   先のID金額PI値(1,000円)=ID客数PI値(10枚/ID)×金額PI値(100円)の同じIDの購入商品を豆腐以外の全品に広げたものである。たとえば、1レシート当たり、2,000円の買い物をしていたとすれば、ID金額PI値はID客数PI値(10枚/ID)×金額PI値(2,000円)となり、20,000円となる。この20,000円とは何か、これが豆腐の購入顧客10人(ID)がもたらす、店舗全体へのID当たりの売上げである。

   ということは、豆腐の売上げには、豆腐からのみ把握できる10万円という売上げと、ここで導きだしたように、豆腐の購入顧客10人(ID)が店舗全体にもたらす、20,000円×10人=20万円という売上が存在しているということであり、豆腐にはこの2つの売上げが存在しているということである。

    そして、この2つ目の売上げがCRM分析のみで得られる独特な売上げであり、しかも、この2つ目の売上げはすべての商品に存在している。この観点からマーチャンダイジングを再構築した時、これまでの商品の売上げをもとにしたマーチャンダイジングから新たなマーチャンダイジングの世界をつくることができ、豆腐の新マーチャンダイジングを新たに作り上げることが可能となる。また、これは、P/Lそのものを見直し、CRMのP/Lを要求しているともいえ、マーチャンダイジングだけでなく、経営そのものへの変革につながる力を秘めているといえよう。まだまだ、CRM分析は始まったばかりといえるが、今後、どのように発展してゆくか楽しみである。

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September 6, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

June 18, 2009

ID-POSデータ、客は商品にしかつかない!

   時代は明らかにID-POSデータの活用に動き始めている。現在、POSデータには大きく2種類のデータがある。ひとつは純粋な商品販売データであり、これは商品ごとの販売金額と販売点数のデータであり、通常のPOS分析で、一般に活用されているデータである。そして、もうひとつは、IDがついた商品販売データであり、ID-POSデータといわれるものであり、いま最も小売業界、メーカー等で注目されているPOSデータである。どこが違うのか、ひとことでいえば、商品ごとにIDが付与されているか否かであるが、IDが付与されると、そんなに違いがあるのかということになるが、実際に使ってみると、違いというよりも、次元が違うという印象であり、単純に比べること自体が難しいといえよう。

   なぜか。通常のPOSデータは商品の売上金額、売上数量までしか把握することができないので、そこから判断できるのは、商品の売上金額、売上数量の大小である。いわゆるABC分析の延長となり、ごく簡単にいえば売れ筋、死に筋の判断が最大の活用方法といえよう。ここから、死に筋、いわゆるZ商品をカットし、新商品と入れ替えることによって、売れ筋だけを残そうというのが単品管理の極意といえる。また、PI値を活用したPOS分析では、逆に売れ筋を重点商品としてピックアップし、この商品に経営資源を集中し、限界まで重点商品を伸ばそうというのがPI値分析の極意といえる。この場合、死に筋は、放っておくか、勝手に消えるのを待つことになる。ひょっとすると、いつか重点商品に転換するかもしれないからである。

   いずれにせよ、従来のPOS分析ではこの辺までが限界といえ、商品の販売動向を売上金額と売上数量から判断し、マーチャンダイジング、マーケティングへ活用してゆくことがポイントとなる。

   では、その商品にIDが付与された場合はどうなるかであるが、商品の見方が売上金額、売上数量から見るのではなく、まず、その商品の購入IDがどのような購買をしているのかを最初に見ることになる。そして、次に、可能な限り、そのIDにどのような特徴があるかを明らかにしてゆくことになる。したがって、単純な商品の売上金額、売上数量はあまり意味がなく、重視するのは、IDから見た場合という、必ず、枕詞にIDから見た場合という言葉がつくことになり、視点が商品からID、すなわち、顧客に移ることになる。

   余談だが、小売業の格言のひとつに、「店は客のためにある」という言葉がある。また、私が約20年前にコンサルティングをスタートした時に、当時の上司から、「客は商品にしかつかない」という言葉を教わり、いまでも、これは大切にしている。いま、思えば、どちらも、顧客と商品の関係を端的に表しており、まさにID-POSのテーマであるといえよう。ところが、これまで小売業が活用してきたデータは商品からの一方通行のものだけであり、顧客からのという視点が欠けていたといえる。商品の売上金額、売上数量は詳細なデータが把握できるが、肝心のその商品を購入している顧客、すなわち、IDデータはつい最近まで実践に活用されることはごく一部の企業を除き、ほとんどなかったといえよう。

   これは、日本中の小売業の中核組織が商品部にあり、その延長線上に店舗があり、店長をはじめ、各従業員が商品部の延長となっていることからも明らかである。現段階では小売業の組織上に、顧客、IDを管理する部門がほとんど存在しないのが実態である。本来、その最前線に店長がいて、店長と店舗スタッフが一丸となって、その店舗の来店顧客へ、商品を通じて最大のサービスを提供すべく、動くことが小売業の本質であり、商売の原点であると思われるが、どうも、そうならかなったところに、小売業の格言とのずれが生じているように思える。

   その意味で、ID-POSは本来の小売業の原点にもどるための手段のひとつであり、商品を売上金額、売上数量からだけで見るのではなく、まず、その商品の購入IDの視点にたって見直し、その商品の購入IDにとって、もっとも購入しやすい、できうる限りの最高のサービスをもって、その商品を提供し、また、そのような商品を提供する環境、空間を作ることを、店長を中心に店舗スタッフ全員で議論し、実践してゆくことが本質であるように思える。

   ID-POSはまだはじまったばかりといえ、今後、取り組みはじめた小売業、そして、そのデータを活用するメーカーで、様々な創意工夫がなされ、徐々に実践投入され、完成度を増してくるものと思われる。ただ、最も大切なことは、顧客からの視点にたった商品の分析を行い、その結果を顧客に返し、それを繰り返すことによって、顧客と商品の関係を強固なものとし、顧客にとって、その商品を購入するには最適な環境、空間となる店舗を作り上げることであるといえよう。

   電子マネーも急激な勢いで普及しはじめており、さらに、食品スーパーマーケット各社も、この数年で独自のポイントカードを本格導入しはじめ、ID-POSデータを分析する環境は整いつつあるといえる。今後、このID-POSを活用し、顧客と商品との関係が見直され、どのように小売業、そして、メーカーが新たなマーチャンダイジング、マーケティング戦略を打ち出すかに注目したい。

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June 18, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

April 26, 2009

オオゼキにみる常連客の経営的な意義を考えてみる!

   「お父さん、お父さん、今のお客さん、明日もまた来てくれるかね?」、オオゼキの創業者、佐藤達雄夫妻の言葉であり、オオゼキの創業の精神を象徴的に表した言葉であるが、この言葉ほどCRMの本質をついている言葉はないといえよう。オオゼキは早くから、ポイントカードを導入し、商品の値引きだけでなく、顧客に対していかに利益を還元するかに取り組んできた。その理由は、恐らく、この創業の精神を具体的に商売に活かす手段のひとつがポイントカードの活用であると判断したためと思われる。

   これまで、各食品スーパーマーケットでは、この顧客への還元政策、すなわち、ポイントカードを活用したCRMが経営に対してどのようなインパクトがあるかが、中々実証できずに、理念先行型でポイントカードを導入したり、競合店への対抗策としてやむをえず導入したりしてきたのが実態かと思う。この疑問に答える実証結果のひとつが、今期のオオゼキの決算で、明らかになった。

   オオゼキはこれまで、決算書ないしは決算説明会資料の中で、ポイントカードの活用事例と効果について、その一部を公開してきたが、今期の決算説明会の資料の中では、もう一歩踏み込んだポイントカードの実証結果が公表された。まさに、オオゼキの創業の精神が正しかったことを実証する結果となっており、改めて、ポイントカードを活用したCRMの目的、経営的な意義が明確になったといえよう。

   その内容であるが、オオゼキのポイントカードの顧客と各店舗の利益との相関関係を分析した結果、常連客と店舗営業利益率との間には、明らかな正の相関があったという今期の決算結果である。ここで常連客とは、買上頻度が週1回以上の顧客のことであり、新マーチャンダイジングでいえば、ID客数PI値が週1.0回/IDの顧客のことである。

   今回の公表内容では、まず、この常連客がレジ客数とどのような関係にあるかが分析されている。これも新マーチャンダイジングでいえば、IDとレシートとの関係であり、まさに、ID客数PI値を算出していることになるが、その結果は、28%の常連客が77%のレジ客数の構成比であったとのことである。これを新マーチャンダイジングの観点から、再解釈すると、全レシート枚数の77%は常連客28%のレシートであるということであり、23%が非常連客72%のレシートであるということである。

   仮に、レシート枚数が1,000枚発生すると、その内の770枚が常連客のレシートであり、その常連客は1,000枚のレシートをもたらした顧客の内、わずか28%であるという事実である。仮に、カード使用者が100人であったとすると、28人が770枚のレシートをもたらし、72人が230枚のレシートをもたらしていることになる。ID客数PI値を計算すると、常連客は770枚÷28人=27.5枚/人であり、非常連客は230枚÷72人=3.19枚/人ということになり、約10倍、ID客数PI値が違うことがわかる。常連客はこの期間に27.5回平均して来店しているが、非常連客は3.19回来店しているということになる。期間を約3週間と考えるとほぼぴたりであり、常連客は1週間に平均27.5÷3=9.1回、非常連客は3.19÷3=1.0回となり、これがかなり実態に近い数字ではないかと思われる。

   これは実証データであるので、オオゼキの常連客は非常連客の約10倍来店回数が多かったということであり、しかも、この28%の常連客の平均は1週間に約10回来店される顧客であることになる。そして、各店舗の常連客の人数と営業利益率の相関図を作成してみたところ、全29店舗がy=xの直線上に並ぶという結果になったという。常連客の高い店舗ほど営業利益率が高く、常連客の少ない店舗ほど営業利益率が低い結果となったという。

   まさに、オオゼキの創業の理念が実証されたけ結果であるといえ、常連客を大切にし、常連客を増やした店舗がオオゼキに結果的に利益をもたらしたといえる今期の決算結果となったことになる。CRMは、これまで、その目的がいまひとつ明確にならなかった点に加え、その実証事例があまりに少ないという問題もあり、単なるポイントカードで留まってしまった感がいなめないが、今回のオオゼキの実証結果は、CRMは常連客を大切にし、増やすことであり、その結果、企業に大きな利益をもたらすものであるということを明確にしたといえよう。

   これを新マーチャンダイジングの方程式に当てはめれば、ID金額PI値(粗利)=ID客数PI値×金額PI値(粗利)の中で、金額PI値よりも、ID客数PI値がCRMではより重要な指標であり、いかに、ID客数PI値を高めることが、ID金額PI値を高めることだけでなく、利益率をも高めることになるということが実証されたといえよう。

   当然、次のテーマとしては、ID客数PI値の高い顧客、すなわち、常連客の好みの商品は何かを見つけ出し、その商品を通じて、個別に還元してゆくなど、もう一歩踏み込んだポイントカードの政策も考えられることである。以前から、オオゼキは個店主義が徹底しており、常連客の要望する商品に対し、店長権限でその店舗だけ品揃えに加えることも実施していたが、まさに、これは常連客の来店動機を促し、ID客数PI値を引き上げる政策のひとつでもあったといえる。オオゼキが今回の実証結果を受け、今後、どのようなCRM戦略を打ち出すかに注目である。

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April 26, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

March 12, 2009

ID-POSの新マーチャンダイジング、実践はじまる!

   食品スーパーマーケット最新情報、有料版プレミアムでは、新マーチャンダイジングと称し、ID-POSのマーチャンダイジングについての解説を様々な角度から取り上げているが、いよいよ、その新マーチャンダイジングがクライアントでも実践段階に入りはじめた。新マーチャンダイジングの基本方程式は、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値、ただひとつであり、この基本公式をもとに様々な角度から、ID、すなわち、顧客の購買実態を掘り下げ、マーチャンダイジングの改善につなげてゆくことが新マーチャンダイジングの目的である。

   この基本公式は実によくできており、また、応用範囲も広く、従来のマーチャンダイジングでは見えなかった世界が見え、これまでのマーチャンダイジングの常識が時にはくつがえされたり、時には、ますます深められたりし、日々、新たな発見がある。ここ最近、これまでのマーチャンダイジングの常識がくつがえされた事例としては、従来のマーチャンダイジングでは金額PI値を最大にすることが目的であり、正しい方向にマーチャンダイジングが進んでいると思っていたが、新マーチャンダイジングから見た場合は、必ずしも正しいとは限らなかったということである。

   これは新マーチャンダイジングの基本公式が示すように、新マーチャンダイジングの目的は金額PI値を引きあげることではなく、ID金額PI値を引き上げることであり、金額PI値は、ID客数PI値とともに、目的ではなく、手段のひとつであるからである。したがって、金額PI値が下がっても、ID客数PI値がそれ以上に上がれば、ID金額PI値は高くなり、従来のマーチャンダイジングでは失敗とみなされた結果が、新マーチャンダイジングでは成功とみなされるからである。

   これは、金額PI値がレシート当たりの売上を見ているのに対し、ID金額PI値がID当たりの売上を見ており、ID当たりの売上は、ID当たりのレシートの枚数、すなわち、ID客数PI値で決まるからである。従来のマーチャンダイジングはレシートの世界しか見ることができず、そのレシートが誰のレシートかはけっして判別がつかなかった。ところが、新マーチャンダイジングではID管理が前提であり、レシート1枚1枚にID番号がふられ、レシート1枚1枚が誰のレシートかが分かるようになり、商品の購入状況が何個と個数しかわからなかった情報が、商品の購入状況が回数、誰が何回買ったかまでわかるようになった。その何回を表す新たな指標がID客数PI値(レシート枚数÷ID数)であるが、このたったひとつの指標が見えるようになったことにより、これまで見えなかった顧客の購買実態の細部が見えるようになったことが大きいといえる。

   つきつめれば、従来のマーチャンダイジングと新マーチャンダイジングとの違いはID客数PI値にあるといっても過言ではなく、このたったひとつの指標が生まれたことにより、新たなマーチャンダイジングの世界がはじまったともいえる。しかも、この新マーチャンダイジングの基本公式は応用範囲が広く、たったひとつの公式が様々に変化し、次々と顧客の購買実態を掘り下げてゆくことができる。

   たとえば、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値のID客数PI値のレシートに着目し、このレシートをIDの全レシートで見た場合、購入レシートのみで見た場合、さらには、購入点数が多い場合で見た場合など様々なレシートで見た場合の購買状況に分解することができる。これがレシート変換である。また、今度はIDに着目し、ID客数PI値のIDをその商品の全購入ID、リピート購入ID、男女別、年齢別など様々なIDで見ることもできる。これがID変換である。さらには、IDの購入商品に着目し、特定商品のみで見た場合、あるいは購入全商品で見ることもできる。これが商品変換である。新マーチャンダイジングは基本公式はひとつであるが、顧客の購買実態をこのように、レシート変換、ID変換、商品変換という様々な角度から掘り下げることが自由自在にできるので、これまでのレシートのみでの断片的な顧客像から、ほぼ、等身大の顧客像を描くことができるようになるのが最大の特徴といえる。

   実際、この新マーチャンダイジングが現在、メーカー、小売業等で徐々に実践投入が始まっており、これまでのマーチャンダイジングでは得られなかった結論をもとに新たなマーチャンダイジングの仮説を立案し、検証に入りはじめている。特に、いま最も注目されているのが、商品変換であり、ある特定の商品を購入されている顧客がその商品以外にどのような商品、まずは、買い物かご全体の商品をどのような頻度で、どのくらい購入しているか、そして、その特定の商品と他の特定商品との関係はどのような構造になっているかである。これがわかることにより、その商品の購入顧客の店舗全体への貢献度、他の特定商品との購入実態がつかめ、これまでのマーチャンダイジングでは踏み込めなかった領域へ踏み込むことができるようになり、マーチャンダイジング戦略そのものの再構築につながってゆく。まだまだ、はじまったばかりの新マーチャンダイジングの実践ではあるが、時々、本ブログでもその成果を取り上げてゆきたい。

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March 12, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

January 27, 2009

ID-POS時代のMD評価表とは?

   MD評価表とは、POS分析におけるマーチャンダイジング(MD)を評価するための基本フォーマットである。通常、POS分析では商品1品1品を金額PI値=PI値×平均単価に分解し、この商品を小分類、中分類、大分類などにまとめ、マーチャンダイジング改善の仮説を立ててゆくことになる。この時、マーチャンダイジングの仮説を立てやすくするために、一目でわかりやすくまとめた一覧表がMD評価表である。当然、評価をすることになるが、金額PI値=PI値×平均単価であるので、評価は金額PI値で評価される。その際、金額PI値がアップする場合がPI値だけ、平均単価だけ、双方となるので3パターン、ダウンする場合もPI値だけ、平均単価だけ、双方となるので、3パターン、合わせて6パターンとなる。
  
   これが通常のPOS分析におけるMD評価表であり、基本は商品を評価することがポイントとなる。では、ID-POSの場合はどうか。ID-POS分析の場合はIDが主体となり、客数は以前、本ブログでも解説したように6パターンある。会員、非会員、そして、この会員が購入会員、未購入会員に分かれ3パターン、さらに、会員は購入、未購入がID、レシートに分かれ、非会員が購入、未購入に分かれ、全部で6パターンである。したがって、ID-POS分析を行う場合は、客数が基本6パターンとなり、しかも、IDが把握できる会員とIDが把握できない非会員とに分かれる。通常のPOS分析が原則、客数は総レシート枚数のみであったことを考えると、客数が6パターンあり、金額PI値ひとつとっても様々な金額PI値が存在し、よく整理して活用しないと、袋小路に陥ってしまい、収集がつかなくなってしまうので、気をつけける必要がある。
  
   ただ、基本方程式はひとつであり、通常のPOS分析が金額PI値=PI値×平均単価であるのに対し、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値のみである。もちろん、金額PI値=PI値×平均単価であるので、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値=ID客数PI値×PI値×平均単価となる。さらに、ID客数PI値×PI値=IDPI値であるので、IDPI値を付けくわえても良い。ちなみに、粗利まで把握するのであれば、金額PI値×粗利率=粗利PI値となるので、ID客数PI値×粗利PI値=ID粗利PI値ともなり、これらを必要に応じて追加し、マーチャンダイジングを売上面だけでなく、粗利面からの評価を入れても良い。
   
   さて、ここからが本論であるが、この基本方程式、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値をもとに作成されるマーチャンダイジングの評価表がID-POS分析におけるMD評価表である。基本はこの式だけであるので、あとは、縦軸、横軸、そして、客数変換が新たに加わり、ID-POSのMD評価表ができあがる。

   まず、基本フォーマットであるが、縦軸がID、横軸がID金額PI値、ID客数PI値、金額PI値となる。これが基本形である。あとは応用で、金額PI値の次に、PI値、平均単価、粗利率、粗利PI値、ID客数PI値などの関連指標をつけておくと便利である。さらに、その指標のもととなった、総ID数、総レシート枚数、売上金額、売上数量、粗利高、売上構成比、ID構成比などをつけておくとさらに、活用しやくなろう。
  
   そして、客数変換であるが、これは、まず、全体の会員を基本にしたもの、購入IDのみに絞ったもの、特定IDに絞ったものなど、様々な客数を分母にしたものが考えられるので、これは目的に応じて客数を自由に変換すれば良い。通常は、ID-POS分析であるので、購入IDを基本形にした方が良いかもしれない。たとえば、青果でいえば、青果購入IDであり、バナナであれば、バナナの購入IDである。
  
   ここまでできれば、あとは縦軸であり、この縦軸がもうひとつのID-POS分析ならでの軸となる。まず、基本はID分類となる。分類ができなければ、全IDをそのまま縦一直線に並べれば良い。1,000行でも、2,000行でも、10,000行でも、100,000行でも並べれば良い。そして、これを様々な角度から顧客分類を考え、3パターン、5パターン、10パターン、100パターン等に分類し、意味のある顧客グループをつくることがポイントである。
  
   統計学的には因子分析をもとにデンドログラムをつくるなどもひとつの方法である。あるいは、単純に年齢別、男女別、地域別、家族構成などで分類してみることも良いと思う。さらには、各指標で分類し、ID金額PI値の高いグループ、低いグループ、ID客数PI値の高いグループ、低いグループなどである。これ以外にも、RFM分類、単純な売上金額によるデシル分類など様々な分類が考えられる。そして、もう一点、この縦軸を商品分類とすることもありである。これは、通常のPOS分析の応用系であり、縦軸を顧客分類で見るのではなく、商品分類に転換して見てみることである。
  
   このように、ID-POS分析におけるMD評価表はダイナミックに変化するフォーマットであり、客数によるパターン、縦軸を顧客IDにしたパターン、商品分類にしたパターンなど同じフォーマットが次々に七変化してゆき、ひとつのフォーマットでマーチャンダイジングが判断されるわけではなく、様々な変化の中でマーチャンダイジングの仮説をつくことがポイントであるといえよう。まずは、縦ID、横指標、客数は購入IDでつくり、様々な商品のMD評価表をじっくり見てみることからはじめると良いと思う。それだけでも、これまでのマーチャンダイジングの固定観念が大きく変わり、思いがけない発見があると思う。

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January 27, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

January 21, 2009

ID-POS時代の客数、どうとらえたら良いのか?

   ID-POS分析が即実践に応用しにくい大きな要因のひとつに客数という問題がある。一般的にPOS分析では客数というとレジ通過客数、すなわちレシート枚数のことであり、しかも、来店総客数、総レシート枚数のことである。この客数を分母にし、売上金額、売上数量、粗利金額など様々な営業数値を分子にし、算出するのがPI値であり、POS分析はPI値分析のことといっても過言ではない。では、ID-POS時代の客数はどう考えたらよいだろうか。これがなかなか共通認識がなく、様々な客数が使われ、ID-POS分析に混乱をきたしているといえる。そこで、ここでは、ID-POS時代の客数をどうとらえたら良いかをまとめてみたい。

   まず、ID-POSで抑えなければならない最も重要な客数は総ID数である。この総ID数はある一定期間に1度でも来店されたIDの総数であり、この客数がID-POS分析では基本になる。そして、これに対応する客数がそのIDの総レシート枚数である。通常のPOS分析の時のレジ通過客数のように思えるが、少し、違うのは、この総レシート枚数はあくまでも、IDのレシート枚数であって、IDとして把握できていない、いわゆる非会員のレシート枚数は含まないので注意が必要である。ID-POSの場合は、必ず、IDが把握できる会員、IDが把握できないレシートのみの非会員とに大きく分かれ、レシート枚数も会員のIDが把握できるレシート枚数とIDが把握できないレシート枚数に分かれる。この2つを足したものが、レジ通過客数であり、従来のPOS分析の客数のことである。

   したがって、ID-POSの場合は会員比率が重要であり、売上金額、売上数量、粗利などすべて会員と全体、そして、非会員とに分けることがポイントとなる。ちなみに、会員比率といった場合、IDの比率は非会員のID数が把握できないので、算出は不可能である。可能な会員比率はレシート枚数、売上金額、売上数量、粗利などである。一般的な食品スーパーマーケットでは大体会員比率は80%から90%ぐらいになるのが通常であり、残り10%から20%は会員化は難しいのが現状である。

   このように、まず客数といった場合、会員、非会員を含めた総レシート枚数、これが、従来のPOS分析の客数であり、ID-POSになると、これに、会員ID数、会員レシート枚数が加わり、基本の分析は、会員ID数となり、分析が進んでゆく。たとえば、会員のレシート枚数÷ID数をID客数PI値といい、ID1人当たりのレシート枚数を表し、購入頻度分析などが可能となる。このID客数PI値がID-POS特有の指標のひとつであり、この指標がID-POSでは縦横無尽に活躍することとなる。

   この3つの基本客数に加え、ID-POSではさらに、一歩踏み込んで、購入客数と未購入客数とに分けるのが一般的である。この分解は従来のPOS分析でもレシートだけであれば可能ではあったが、そこまで分析し、実践に活用していた事例は皆無に近いといえ、ほとんどのケースが総客数、すなわち、総レシートどまりであったといえよう。

   通常のPOSの時代ではあまり実用性がなかった客数の分類であるが、ID-POSの時代には必須の分析ともいえ、購入と未購入に分けて客数をとらえることは実践面でも重要な分類である。では、どのように購入と未購入を分けるかであるが、まず、ID全体を購入IDと未購入IDに分けることができる。そして、さらに、購入IDのレシート枚数、未購入IDのレシート枚数を算出することが可能となり、客数は先ほどの3つの客数、総レシート、総ID、総IDレシートが購入、未購入に分かれ、全部で3×2=6通りの客数が理論的には区別することができる。これがID-POS時代の客数の基本である。

   整理すると、客数はまず、総レシート枚数からはじまる。そして、IDの把握ができるようになると、ID客数の把握が可能となる。これがID-POS分析の第1歩となる。そして、そこから、IDのレシート客数が生まれ、客数は総レシート枚数、ID数、IDのレシート枚数と3つの基本客数ができあがる。これが基本である。そして、ここから応用となるが、今度はこの3つの客数それぞれを購入客数と未購入客数に分けることがポインとなる。まず、総レシート枚数であるが、購入レシートと未購入レシートである。次に、IDであるが、購入IDと未購入IDである。そして、最後が、購入IDのレシート枚数と未購入IDのレシート枚数である。これで全部で6つの客数ができあがる。

   このように、ID-POSの時代の客数はこの6つの基本客数が存在し、顧客の購買行動をより深く分析することができ、ここから様々なマーチャンダイジングの仮説をつくることが可能となり、検証の精度も向上する。また、通常のPOS分析では、顧客を細分化できなかったため、顧客分析よりも商品分析が重点となったが、ID-POS分析では、商品分析に加え、顧客分析が重要な分析手法となり、マーチャンダイジングもより顧客起点のものとなってゆく。また、工夫次第では、さらに、購入者IDをつきつめ、リピート分析に踏み込むことも可能となる。POS分析もIDを把握できたことにより、これまで見えなかった、また、踏み込むことができなかった領域に踏み込むことが可能となり、様々なマーチャンダイジングの可能性を広げることができるようになる。ID-POSはまだまだ始まったばかりであり、今後より実践的な研究開発に踏み込んでゆきたい。

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January 21, 2009 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

December 09, 2008

ID-POS時代のマーチャンダイジングとは?

   いま、POSからID-POSへと急激に変化が生じている。それにともない、マーチャンダイジング手法にも変化が生じ、これまでの手法に新たな手法が開発されつつあり、数年後には、ID-POSのマーチャンダイジングがこれまでのマーチャンダイジングを凌駕し、新時代を築くのではないかと予想される。そこで、今回は現時点で、ID-POSにおける将来の新たなマーチャンダイジング手法を予想し、今後の動向をうらなってみたい。

   まず、最も変化するのはマーチャンダイジングの目的であろう。通常のPOS分析はレシート分析までが限界であり、レシート1枚当たりの売上をいかにあげるかがマーチャンダイジングの目的であった。いわば、微分の世界であり、レシート1枚当たりの瞬間的な数字を引き上げ、将来の数字を変化させることに主眼があったといえる。レシート1枚当りはわずかな変化であるが、そのわずかな変化でも、レシートが1億枚になれば、大きなボリュームとなり、莫大な利益をもたらすことになる。そのため、1円にこだわるマーチャンダイジングが基本となり、レシート1枚当たり1円をいかに上げるかが重要なマーチャンダイジングの目的であったといえる。

   これに対して、ID-POSの目的はレシートにもこだわるが、それ以上にIDにこだわるマーチャンダイジングであり、ID、すなわち、顧客一人当たりの売上をいかにあげるかが、その目的となる。微分に対して、積分の世界であるといえる。なぜなら、IDは時間とともに、レシート枚数が増加し、IDの売上をあげるとは、レシート当りの売上をあげつつ、それ以上にレシート枚数を増やすことにが目的となるからである。しかも、この時間がくせもので、1秒、1分、1時間、1日、1週間、1ケ月、1年、・・100年、・・と無限に続く時間があり、最終目的は、ID、すなわち、その顧客の一生涯となるからである。ID-POSの目的はその意味で、瞬間的なマーチャンダイジングを考えるのではなく、顧客の一生涯のマーチャンダイジングを考え、いかに顧客当りのレシート枚数を増やすかが、その目的であるといえる。これは、逆転の発想でもあり、仮に、レシート当りの売上が落ちたとしても、レシート枚数を増やせばいいではないかという発想も成り立ち、POSの世界の最重要目的であったレシート当りの売上をあげることは主目的ではなくなり、むしろ、レシート枚数を増やすことが重要な目的となる。  

   ここから、小売業の常々提唱してきた顧客志向の理念がマーチャンダイジングの目的と一致することになる。よくいう、FSPではなく、CRMという言葉の方がぴったりくることもわかる。FSPは政策的な要素が強いが、CRMは理念を示しており、いかに顧客との関係を良好に保つかがポイントであり、まさに、ID-POSの一生涯の顧客との関係を考えたマーチャンダイジングを実践するという手法と合致し、CRMの方が、ID-POSのマーチャンダイジングに近い言葉といえよう。

   では、POSとID-POSではその目的の違いが、これまでのマーチャンダイジング政策をどのように変えるかを考えてみたい。最も大きく変化するのが、価格政策であろう。これまでの価格政策はレシートに記載された商品に対する値引きしかできなかったが、ID-POSではIDへの値引き(還元)が可能となり、理論的にはIDごとの値引き(還元)が可能となる。いわゆる、PLU(プライスルックアップ)というPOSレジの基本技術である商品1品ごとの価格設定により、商品のバーコードをスキャンした瞬間に価格がルックアップする仕組みが、ID-POSではIPLU(IDプライスルックアップ)という仕組みが基本となり、IDコードをスキャンした瞬間にその顧客への特別還元の価格がルックアップする仕組みになることである。当然、粗利管理も商品ごとの粗利管理ではなく、顧客ごとの粗利管理となり、しかも、瞬間的な粗利管理ではなく、IDごとの一生涯を想定した粗利管理となり、顧客と商品との関係が深まれば深まるほど(レシートの枚数が増える)その商品の価格はその顧客特有のお得な価格となり、しかも、全体の粗利率は落ちないという結果になる仕組みといえよう。

   これ以外にも通常のマーチャンダイジング政策もこれまではレシート1枚当たりの売上をあげることにが目的であったが、今後はむしろレシートの枚数を増やすことが目的となるため、顧客が再度その商品を購入していただくにはどのようなマーチャンダイジング政策を考案すれば良いかを考えるようになり、プライスライン、品揃え、棚割、レイアウト、商品プレゼンゼンテーション、そして、POP、ちらし等の販促、すべてID-POS分析指標で再検証されることになり、何が最もレシートの枚数を増やすことに効果があったのかを競いあい、顧客との良好な関係を現場がID-POSデータを見ながら取り組んでゆくことになろう。

   このように、ID-POSの時代はまず、マーチャンダイジングの目的が根本的にかわり、レシート管理からID管理へと転換し、価格政策、粗利管理も180度変化し、さらには、これまでのマーチャンダイジング政策が全面的に再検証されることになるといえよう。数年後にはおそらく、現在の情勢を見るとID-POSの時代になると思われ、ID-POSが普及することにより、真の顧客指向を小売業が追い求める時代になるのではないかと思う。

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December 9, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 20, 2008

ID客数PI値(来店頻度)、到来の予感!

   以前、本ブログでも解説したが、PI値には3つある。金額PI値、PI値、そして、客数PI値である。通常のPOS分析では、この内、金額PI値、PI値を活用し、客数PI値はあまり活用することがない。まれに、支持率という指標で、客数PI値を使うこともあるが、参考指標として、活用するのが実態であるといえよう。この時の客数PI値は、たとえば、青果の支持率を青果のレシート枚数(客数)÷全体のレシート枚数(客数)とし、レシート÷レシートで算出するのが実態である。ただ、この支持率を活用して、金額PI値、PI値との関係を導き、マーチャンダイジングへ活用した事例はほとんどなく、通常は金額PI値、PI値で留まっているのが実態といえよう。

   仮に、現在のPOSデータでもレシートの客数PI値を自由に算出できることができれば、PI値分析はもっと進歩したと思うが、現状のPOS分析ではレシートの客数PI値を自由に算出できるシステムは稀であり、参考に算出することはあっても、活用するところまではいっていなかったというのが実態である。

   では、レシートの客数PI値が算出できていたら、どのようなことが可能となったかであるが、それはこれまでの、金額PI値=PI値×平均単価に客数PI値が加わり、金額PI値=客数PI値×グループのPI値×平均単価という数式が可能となった。ここで、客数PI値とは、グループの客数(レシート)÷全体の客数(レシート)であり、グループのPI値とは、グループの買上点数÷グループの客数(レシート)である。青果でいえば、青果の金額PI値を青果の客数PI値(レシート)、青果のみのPI値、青果の平均単価に分けて考えることができるということである。

   これで、何が便利になるかであるが、これまで金額PI値=PI値×平均単価から、PI値が青果の客数PI値と青果のみのPI値に分けることが可能となり、PI値アップを客数(レシート)と青果のみのPI値に分けて分析ができ、これまでの買上点数アップだけでなく、青果の客数(レシート)アップを目指すマーチャンダイジングを検討し、検証することができるようになるということである。特に、青果のレイアウトの改善、検証には青果のPI値よりも、青果の客数PI値(レシート)の方が、より精度の高い仮説検証が可能となる。販促も同様、客数(レシート)を増やしたのか、点数を増やしたのかの分解ができ、より明確な意図をもった販促を行うことができるようになる。
  
   このように、これまでのPOS分析でも客数PI値(レシート)を導入することで、マーチャンダイジングの仮説検証の精度は飛躍的にアップするが、残念ながら、ここまで客数PI値(レシート)を算出でき、MD方程式を活用できる仕組みがなかったので、POS分析は、金額PI値=PI値×平均単価で止まってしまっていたのが実態といえよう。
  
   ところが、突然、ここ最近、IT技術の発展によって、新POSが旧POSに変わり、各食品スーパーマーケットで導入されるようになって、ポイントカード対応のPOSシステムが一般化しはじめ、いきなり、ID-POS分析が可能となるケースがではじめている。私のクライアントでも、ここ最近、規模の大小を問わず、ID-POS分析対応の新POSを導入する食品スーパーマーケットが増えはじめているのが実態である。こうなると、従来のレシート分析から、いきなり、ID-POS分析へと発展し、これまで、ほとんど活用されなかった客数PI値が脚光をあびはじめている。びっくりである。ただ、POSメーカーにしっかりした理論展開ができていない場合が多く、現場では、せっかく算出された標準帳票を、ID-POS分析用に再度、作り直すケースもままある。
   
   ではID-POSとこれまでのPOSとは何が違うのかであるが、決定的な違いは、レシートで見るか、IDで見るかの違いである。先に、POS分析では、金額PI値=客数PI値(レシート)×グループPI値(レシート)×平均単価(レシート)として説明したが、これが、ID-POSになると、金額PI値(ID)=客数PI値(ID)×グループPI値(ID)×平均単価(ID)となり、レシートを客数として分析したものが、すべてIDに置き換わる分析となることである。すべてのPOS分析の指標にIDがつき、レシートの世界とIDの世界が併存して、パラレルで走り始め、この2つは交わることがなく、どこまでも並行線で分析が突き進み、その世界の中で完結することになる。したがって、ID分析がはじまると、これまでのレシートの世界から別の世界に移ってしまうので、戸惑ってしまうのが実態であり、導入初期の頃は様々な混乱が起こる。
   
   ただ、この2つの世界を翻訳するキーがないのかというと、それが、たったひとつだけ存在する。ID客数PI値である。ID客数PI値はレシート枚数÷ID数のことであり、レシートとIDの関係を決定づける唯一の指標である。これは一般には来店頻度ともいわれる指標であり、たとえば、1週間にAさんが3回来店しているとすると、ID客数PI値は3回÷1IDとなり、3がAさんの1週間におけるID客数PI値であり、来店頻度である。
   
   このID客数PI値という指標を活用することによって、レシートの世界とIDの世界を結びつけることが可能となり、ID金額PI値(ID)=ID客数PI値(レシート/ID)×金額PI値(レシート)、IDPI値=ID客数PI値×PI値とレシートの世界の金額PI値もPI値もIDの世界のID金額PI値、IDPI値と関係づけることが可能となり、2つの世界の翻訳が可能となる。ID-POS分析が可能となったら、このID客数PI値を存分に活用し、新たなマーチャンダイジングの世界をぜひ切り開いて欲しい。

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November 20, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

October 15, 2008

レシート3枚でわかるID分析とレシート分析の違い!

   最近、ID分析とレシート分析の話をする機会が多くなった。また、実際、私のクライアントの小売業、メーカーでもID分析がはじまりつつある。そこで、改めて、ID分析とレシート分析の違いとその関係を整理しておきたい。最近よくこの違いを説明するために使う事例がレシート3枚による説明である。恐らく、ID分析とレシート分析を理解するには、たった3枚のレシートで説明できるのではないかと思う。2枚でも説明は可能だが、ID特有の分析を説明するには不十分であり、やはり最低3枚は必要かと思う。
   
   その3枚であるが、1枚はaさんがトマト1個を買ったレシートである。実際には購入数量と購入金額などのデータも入るが、ここでは話をわかりやすくするために、購入数量のみでレシートを示す。2枚目はaさんが1枚目のレシートの次に、トマト2個を購入したレシートである。一応、ここでは時間を定義する。1枚目と2枚目のレシートは購入順序があり、1枚目が先であり、2枚目が後とする。実は、ID分析では時間がレシート分析よりも決定的に重要な要素となる。これで2枚のレシートの定義ができた。そして、3枚目のレシートがbさんがトマトを購入しなかったレシートである。いわゆる0レシートであり、これはトマトを0個購入したレシートとする。要するに、その店舗に来店し、何かを購入したのだが、トマトは購入しなかったというレシートである。
  
   これですべてである。ID分析とレシート分析を理解する上では、この3枚のレシートがあれば、恐らく、すべて説明できると思う。さて、まず、レシート分析について説明する。ここで、分析ということで、最も一般的なPOS分析、PI値分析で、この3枚のレシートを分析してみたい。PI値とは、購入数量÷客数(レシート枚数)で定義する指標であり、食品スーパーマーケットでは最もメジャーな指標であり、この20年間で日本中の津々浦々の食品スーパーマーケットに普及した指標のひとつといえよう。ここでは、私が使うPI値として、%、すなわち、100倍でPI値を表現することにする。一般的には小売業は100倍、メーカーは1,000倍を使うケースが多いが、小売業の実務では100倍、%がおすすめである。
   
   さて、まず、レシート分析であるが、通常のトマトのPI値はトマト3個÷レシート3枚=100%となる。これが最もメジャーなPI値算出方法であり、恐らく、PI値を算出する場合はこのPI値となる場合がほとんどであろう。ただ、よく見ると、このPI値は少し違和感がある。それは、トマトのPI値を算出しているのに、トマトを購入しないbさんのレシートもカウントしているからである。いわゆる0レシート問題である。実は、この0レシート問題はPI値分析では重要なテーマであり、0レシートを含めるか含めないかは議論が分かれるところである。

   当然、0レシートを排除して算出するPI値もあり、この場合はトマト3個÷レシート2枚=150%となる。どちらがトマトのPI値をよりよく反映しているかであるが、技術的には、0レシートを区別することがむずかしく、単純に0レシートを含め、すべてのレシートで割ってPI値を算出する場合がほとんである。区別できる場合は、両方を算出し、使い分けることになるが、そこまでレシート分析を行っているケースは現実的には極めて少ないのが実態である。また、この2つのPI値の関係は、0レシートを含めてのPI値(100%)=(トマトの購入レシート÷全レシート)×0レシートを含めないPI値(150%)となり、(トマトの購入レシート÷全レシート)が2枚÷3枚=2/3となり、双方がイコールになる。この(トマトの購入レシート÷全レシート)のことを客数PI値という。

   以上がレシート分析の基本である。これに対して、ID分析であるが、ID分析の場合をPI値に対してID-PI値とする。したがって、トマトのID-PI値はトマト3個÷ID2人=150%である。これは0レシートを含めているので、レシート分析同様、0レシートを含めない場合もあり、その場合のID-PI値はトマト3個÷ID1人=300%となる。ここで、この2つのPI値の関係は、レシート分析同様、0レシートを含めたID-PI値(150%)=ID客数PI値(1人÷2人)×0レシートを含まないID-PI値(300%)となり、双方がID客数PI値で関係づけられることになる。

   このように、レシートの世界もIDの世界もその中で、同じ概念のPI値が走ることになり、双方の中で分析が完結し、進んでゆくことになる。いわば、閉じた空間での分析であり、交わることがない世界である。したがって、ID分析というと、IDの中だけで分析しがちとなるが、実は、ID分析と並行して、レシート分析も走っており、独自の空間を形成していることがわかる。

   では、この2つの世界をつなぐことはできないかと考えてみると、それが実は可能であり、そのポイントが先ほどから何度も登場している客数PI値である。実際に、つないでみると、ID-PI値=ID客数PI値×レシートPI値となる。ここでID客数PI値とはレシート数÷ID数であり、いわゆる来店頻度のことである。実際、0レシートを含めた場合で計算して見ると、ID-PI値=150%、ID客数PI値=150%、レシートPI値=100%であるので、150%=150%×100%となり成り立つことがわかる。0レシートを省いた場合でも300%=200%×150%となり、成立する。

   この研究はまだまだ初歩的な研究段階であり、今後、様々なPI値が創意工夫され、マーチャンダイジングの解明が進んでゆくものと想像される。実際、ここでは言及しなかったがリピートの問題なども、研究テーマであり、まだまだ、レシート分析もID分析も研究途上の分析であるといえよう。マーチャンダイジングは実に奥が深い!

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October 15, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

September 23, 2008

現場のためのID-POS活用のポイント!

   食品スーパーマーケット業界のID-POSの時代が真近に迫ってきたように感じる。来月から、私のクライアント、数店舗の食品スーパーマーケットチェーンであるが、ID-POSの運用がはじまる。これまでもポイントカードは導入していたが、そのデータをマーチャンダイジングに活用することができない状況であったが、今回、システムを一新して、ポイントカードのIDデータとPOSデータとのリンクが可能となり、ID-POS分析が可能となった。いま、そのシステムの最終調整に入っているが、恐らく、この10月からはID-POS分析が可能となろう。

   POS分析とID-POS分析では何が決定的に違うかであるが、最大の違いはレシート1枚1枚にIDが振られることである。この1点がPOS分析とID-POS分析の決定的な違いであり、これによって分析の幅が広がり、これまで見えなかった世界が見えるようになり、新たなマーチャンダイジングの政策が企画立案できるようになることである。当然PI値分析もこれまでの金額PI値=PI値×平均単価から、この金額PI値そのものをより深く分析することができるようになる。金額PI値はそもそも、レシート1枚当たりの売上金額である。金額PI値=売上金額÷客数であり、この客数がPOS分析ではレシート枚数であるので、金額PI値=売上金額÷客数(=レシート枚数)となるので、金額PI値はレシート1枚当たりの売上金額ということになる。

   では、この金額PI値にIDがつくとどうなるかであるが、レシート1枚1枚にIDが振られるので、これまで、あるIDのレシートがある期間に2枚、3枚あってもこれを区別することができなかったため、金額PI値を掘り下げることは、ID、顧客視点という観点からはできなかった。ただ、商品視点という観点からであれば、金額PI値を掘り下げることはできたが、そこまで掘り下げているPOS分析は皆無に近い状況であったのが実情である。実は、商品視点から金額PI値を掘り下げるのも、顧客視点、すなわち、ID視点から金額PI値を掘り下げるのも、理論的には全く同じであり、POS分析から、金額PI値を掘り下げる仕組みがもっと実用化されてもよかったと思うのだが、現実は、単純な金額PI値止まりであるのが実状である。恐らく、今後もこの商品視点からの金額PI値の掘り下げはなかなか進まず、一気に、顧客視点、すなわち、ID視点からの金額PI値の掘り下げが先行し、これが、商品視点を包み込んでしまうのではないかと思う。実際、今回、私のクライアントで起こっている現実はまさにこの方向である。

   そこで、この顧客視点、すなわち、ID視点からの金額PI値の掘り下げのポイントであるが、結論からいえば、金額PI値とIDの関係を導くことにあり、数式ではID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となる。この数式がID-POS時代の新たなマーチャンダイジング方程式の基本となる。ここで、ID客数PI値は、ID数÷客数(レシート枚数)であり、ID金額PI値は売上金額÷ID数である。したがって、これまでの金額PI値の研究成果が無駄になるわけではなく、むしろ、ID客数PI値によって、ID-POS分析に組み込まれることになる。
   
   この数式の重要性は、これまで、マーチャンダイジングは金額PI値を引きあげることが重要なテーマであった。そして、そのためには、金額PI値=PI値×平均単価であるので、PI値を引き上げるか、平均単価を引き上げるか、あるいは双方を引き上げるかが重要な課題であった。これが、ID金額PI値では、それにもうひとつの指標、ID客数PI値をひきあげることが、さらに、マーチャンダイジングにとって重要であるということを示していることである。数式からもわかるように、金額PI値だけがあがっても、ID客数PI値が下がってしまったら、ID金額PI値は落ちる場合があるからである。あるいは、逆に、金額PI値が下がっても、ID客数PI値が上がれば、ID金額PI値はあがるということであり、必ずしも金額PI値のアップだけにこだわる必要はなく、場合によっては金額PI値を落として、ID客数PI値を引き上げる戦略的なマーチャンダイジングもありということなる。
   
   ここで重要なことは、ID客数PI値であり、この指標がID-POS分析の最重要指標であるということである。したがって、ID-POS分析にあたっては、まず、IDを把握し、そのIDのレシートが何枚であるかを、正確に把握することが最重要課題であり、それが把握できたならば、そのIDのレシート枚数を増やす、すなわち、来店頻度を引きあげることに全力を傾け、その後、そのレシート当りのPI値(購入点数)と平均単価(購入単価)を引き上げる金額PI値アップへ取り組むということがポイントとなることである。
   
   したがって、現場がID-POS分析ができるようになったならば、まず、取り組むべきは、自分の担当する商品のID数とそのレシート枚数の把握であり、それを把握したら、各IDのレシート枚数をいかに増やすか、すなわち、ID客数PI値(来店頻度)を引きあげるかを必死で考え、その次に、これまでどおり、金額PI値=PI値×平均単価にそって金額PI値アップに取り組むことがポイントとなる。また、ID金額PI値が上がってきたら、IDそのものも増やすことも、現場の課題である。これまでは客数を増やすことがなかなかイメージできなかったが、自分の管理する商品のIDを増やすことは誰でも可能であり、結果、これが、店舗全体の来店頻度アップにつながり、客数アップにつながってゆく。ID-POSはその意味で、金額PI値を包み込み、新たに、客数をも増やす戦略的なマーチャンダイジングが可能になる分析とえいよう。来月以降のこの食品スーパーマーケットでの取り組みが楽しみである。

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September 23, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

July 27, 2008

0レシートはいかに、行方不明、IDかレシートか?

   ID-POS分析に取り組んでいると思わぬことが起こる。特に、指標が通常のPOS分析の10倍ぐらいの数になるため、その指標の計算の根拠となるID、レシートがどれとどれを計算しているがわからなくなり、検算をしてみると、合わなかったり、あるレシートが抜けていたりすることが時々起る。たいがいの場合は、算出された数字に違和感を感じ、気づくが、時には、根拠となるID、レシート、その計算式が合っていても、何かおかしいと感じ、あらためて、考え方、すなわち、定義をかえなければならないこともある。その典型的なひとつが0レシートの問題である。
  
   0レシートは、通常、その商品の売上が発生しないため、捨てられてしまい、計算に組み込まれないことが多い。そのため、ID分析では矛盾をきたさないが、レシート分析になると0レシートが除外されるため、矛盾を起こすことがある。たとえば、あるカテゴリーのID-POS分析を行う時、カテゴリーの客数を算出する場合、IDからのアプローチの場合と、レシートからのアプローチの場合で、ID分析結果が違った数字となる場合がある。ID分析からアプローチすると、ある期間にそのカテゴリーを買ったIDをすべて抽出し、当然、そのIDのレシートもすべて抽出される。これを計算式に示せば、ID=ID客数PI値×客数となる。ID客数PI値は客数(レシート枚数)÷ID数、客数はレシート枚数のことである。そして、このレシートは、ある期間にIDが1回でも購入した場合、そのIDのレシートがすべて集計されるので、その期間に2回目に来店し、その商品を購入しなかったレシート、いわゆる0レシートも含まれることになる。

   すなわち、各IDはその期間に様々な購買行動をするが、その対象商品を購入することもあれば、購入しないこともあり、この購入しない、0レシートもそのIDの0回買ったという購買行動であり、これも含めて、ID客数PI値、レシート数÷IDを算出しないと、購入頻度が正確に算出できないといえる。0レシート除いたID客数PI値はIDの正確な購入頻度を表しているとはいえず、購入した時のみの購入頻度を表していることとなる。これはこれで、意味のある分析ではあるが、IDのトータルな分析としては、少し違和感のある分析である。

   IDを起点にしてレシートを収集すればこのことは避けられるが、これが、レシートを起点にしてレシートを収集すると変なことが起こる。すなわち、ある期間に分析対象の商品を購入したレシートのみを抽出し、ID-POS分析をかける場合である。この場合は当然、その期間のその商品の購入レシートのみとなるので、0レシートが除外され、その除外されたレシートからID分析を試みるため、その期間、IDが来店して、その商品を購入しなかったIDがふられた0レシートが行方不明となり、IDがふられた0レシート以外の購入実績のあるレシートのみでの分析となる。したがって、ID=ID客数PI値×客数がIDを起点にした場合と同じ数字にならず、ID数は同じであるが、客数、すなわちレシート数に違いが生じ、それがID客数PI値、すなわち、購入頻度の違いとなって表れてしまう。同じID数でありながらも、ID客数PI値、客数に違いが生じてしまうのである。

   要は、0レシートを客数、すなわち、レシート数に入れるか入れないかの違いであり、これが0レシートの問題である。本来、その商品の購入頻度といえば、ある期間にそのIDがその商品を購入した場合も、しない場合も含めてどのくらいの頻度でその商品を購入するかが自然な購入頻度といえ、購入しない時のレシートを引いてしまうと正確な購入頻度ではなく、購入した時の購入頻度という限定付になってしまい、ID-POS分析としては消費行動を正確に表しているとはいえない分析であるといえよう。

   これを避けるためには、まず、基本概念として、0レシート、すなわち0回購入も重要な顧客の購買行動であり、これも含めてID-POS分析を行うことが顧客の消費実態を正確に表すことであるとの共通認識が必要である。そして、このようなことが起こらないようにするには、分析手順をレシートから分析するのではなく、常にIDから分析することを第1とすることを徹底することである。まず、IDを抽出し、次に、そのレシートすべてを抽出すれば、0レシートが必然的に含まれるからである。これが逆になると、その商品の購入レシートのみが抽出され、その中のIDを抽出した場合、0レシートがどこかへ消えてしまうからである。

   このように0レシートはインドの0の発見ではないが、ID-POS分析にとっては重要な基礎概念であり、顧客の購買行動として0回も、0回買ったという認識し、特に、客数PI値には絶対に入れるべきレシートであるといえよう。おもしろいことに数量PI値、金額PI値は0の場合は存在しないが、客数PI値は0回の場合も存在し、重要な意味をもつので、ID-POS分析にとっては、客数PI値が命であるので、0レシートは必須のレシートである。なお、この0レシートがもたらす、ID-POS分析の意義については、稿をあらためて、本ブログで取り上げてみたい。

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July 27, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

July 20, 2008

金額PI値かID金額PI値か、それが問題!

   いよいよ、私のクライアントでもID-POS分析がはじまりつつある。食品スーパーマーケットで数社が取組はじめ、メーカーでも数社が検討に入った。まだまだ、はじまったばかりであり、今後、どのように展開してくのか、楽しみである。そこで、ここでは、ID-POS分析をはじめるにあたって、一番はじめに問題となる金額PI値とID金額PI値の違いとその関係に絞って、実践面も踏まえて解説をしてみたい。

   まず、金額PI値であるが、これは売上金額÷レシート枚数のことである。厳密にいえば、金額PI値は2つあり、全来店顧客を前提にしたレシート枚数とポイントカードなどのIDのみの顧客のレシート枚数を分母にした金額PI値がある。ID数が来店顧客と一致すればこの2つは同じ金額PI値となるが、実際はポイントカードの使用比率は70%から80%、低い場合には50%から60%となるため、まず、一致することはなく、2つの金額PI値が存在することになるが、ここでは、IDのレシートを分母とした金額PI値について取り上げる。したがって、この金額PI値はIDに絞ったレシート枚数を分母とした金額PI値のことである。

   次に、ID金額PI値であるが、これは、売上金額÷ID数のことである。金額PI値との違いは分母がレシート枚数であるか、ID数であるかの違いであり、分母はIDの売上金額であり、同じ数字となる。したがって、どちらも、1人当たりの売上金額といえるが、金額PI値はレシート1枚当たりの売上金額であるのに対し、ID金額PI値はID1人当りの売上金額となる。

   通常、POS分析というと、レシート1枚当りに換算した金額PI値を使用し、この金額PI値を1円でも高めることがマーチャンダイジングの目的となる。そして、そのために様々な仮説をつくり、アクションを起こし、検証し、次の仮説につなげてゆくというPDCAサイクルを繰り返し、金額PI値アップを目指してゆく。ところが、ID-POS分析の場合は、IDを前提したID金額PI値を使用し、ID当たりの売上金額をいかに高めてゆくかが目的となる。金額PI値の場合はIDが把握できないため、すぐに、商品個々の分析に入り、商品からのアプローチしかできないが、ところが、ID金額PI値の場合は、IDが把握できるために、すぐには商品にいかず、IDに直接働きかけることが可能となり、顧客へのアプローチが可能となる。商品個々に落とした場合も同様に、その商品の購入顧客へ直接働きかけることが可能となる。これが金額PI値とID金額PI値の決定的な違いであり、見方を変えれば、IDが把握できるのであれば、ID金額PI値を算出し、直接顧客IDに働きかけるアプローチをすべきといえよう。

   さて、ここからが、今回のブログのテーマであるが、では、この金額PI値とID金額PI値とはどのような関係となっているかである。以前もブログで何回か取り上げているように、この2つは、客数PI値で媒介される。客数PI値にも2つあり、IDを分母とするID客数PI値とレシート枚数を分母とする客数PI値とがあるが、ここでは、ID客数PI値を使い、この2つの金額PI値を結びつけてみると、ID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値となる。これがID-POSにおける基本公式である。ここで、ID客数PI値とはレシート枚数÷ID数のことであり、一般には購入頻度といっている指標である。ある期間にある顧客が何回購入したかを表す指標であり、ID-POS分析では実に重要な指標のひとつである。

   したがって、ID-POS分析の最も重要な基本公式はID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値といってよく、これが金額PI値とID金額PI値の違いであり、関係であるといえる。この式の意味することは、ID金額PI値を引きあげるには、ID客数PI値を引き上げるか、金額PI値を引き上げるか、ないしは双方を引き上げるかの3択問題となるということである。実はここが重要なポイントであって、これまで、通常のPOS分析で取り組んできた金額PI値アップは、通常のPOS分析では目的であったが、ID-POS分析では手段となってしまうということであり、目的はID金額PI値を引きあげることにあるということである。

   これは頭を柔らかくしないと、理解できないことであり、たとえば、金額PI値を落としても、ID客数PI値(購入頻度)をそれ以上に引き上げてしまえば、ID金額PI値は高くなるということであり、むしろ、現実にはこのようなことがいくらでもあるということである。金額PI値しか把握できなかった時代は金額PI値を下げることは許されないことであったが、ID-POS分析がきで、ID金額PI値が算出可能となった段階では金額PI値を引きあがることは望ましいが、それ以上にID客数PI値を引き上げることが、さらに重要な課題となり、金額PI値だけでなく、ID客数PI値とのバランスをとったマーチャンダイジング政策をIDレベルでつくってゆくことが課題となるということである。

   ID-POS分析はまだはじまったばかりであるが、スタートの時点で、まず、理解しなければならならい基本の基本となる公式は、このID金額PI値=ID客数PI値×金額PI値であり、この基本公式からID-POS分析ははじまるといってよい、極めて重要な公式であり、概念である。

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July 20, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

June 19, 2008

ID分析の決定的な違いとは?

    前回のブログで、レシート分析の世界とID分析の世界が互いに客数PI値でつながっていることを解説した。また、基本的にこの2つはレシート分析≦ID分析という関係があり、ID分析はレシート分析の上位概念と捉えられ、レシート分析で可能な分析はID分析ですべて可能であるが、逆にID分析で可能な分析の中にはレシート分析でできない分析があるということも解説した。そのひとつが、ID特有の顧客セグメントであり、たとえば、顧客属性がこれにあたる。ただ、顧客属性は通常のポイントカードでは正確に把握することが難しく、性別はかなり確かな属性として把握できても、年齢、その他は入会時に正確に記入してもらえるかは難しいものがあり、現実の食品スーパーマーケットのポイントカードでは属性の正確な把握はかなり難しいのが実態である。

   そこで、食品スーパーマーケットでID特有の絶対的な顧客セグメントは何かと考えて行くと、現在最も精度の高い顧客セグメントは購買行動によるセグメントであるといえよう。その中でも、ほぼ実用化され、定評のある顧客セグメントは購買頻度による顧客セグメントである。典型的な分析方法が、IDをその商品に購入経験により、セグメントすることである。その商品を購入したか、しなかったかはレシート分析でもできる顧客セグメントできるが、商品を購入した経験があるか、そして、その中でも、複数回購入した経験があるかについては、ID分析以外把握できない顧客セグメントであり、レシート分析では、購入レシートと未購入レシートの区別まではつくが、購入レシートの中で複数回購入しているかを区別することは不可能な話である。また、未購入のレシートにおいても、レシート枚数まではわかるが、そのIDが何人なのかまでは把握ができず、ここでもIDとレシートの差が明確である。

   その意味で、レシート分析とID分析の決定的な違いは、特に食品スーパーマーケットにおいては顧客属性よりも、顧客の購買行動にあるといえ、その観点から顧客セグメントに分けて分析できることにあるといえよう。

   では、この時、売上を分解すると、どのような数式になるかを考えてみたい。数式を簡単にするために、典型的なケースを考えてみる。バナナの購入顧客、すなわち、IDが10人であった場合、このIDを分析してみた結果、はじめてバナナを購入したIDが3人、バナナを複数回購入した経験のあるIDが7人であった場合である。通常のレシート分析ではこれらは区別できないため、10人の総レシート枚数が客数となり、レシート分析が進んでゆく。ID分析の場合は、このような購買行動の区別が可能なため、はじめて購入したバナナの購入顧客3人のIDをセグメント客数にした分析と、バナナの複数購入顧客7人のIDをセグメント客数にした分析とに分けることができ、バナナ全体のID、10人の中身をバナナの購買行動で分けることが可能となる。この時の基本は10ID=3ID+7IDとなり、これがID分析の基本となる。

   すなわち、レシート分析ではひたすらレシートの枚数を増やすか、レシート内の売上金額である金額PI値を引きあげるかにより、バナナの売上を伸ばすマーチャンダイジングのみであった。これが、ID分析では、そのレシート枚数の中身がID10人、さらには、はじめてバナナを購入したID3人、バナナを複数回購入したID7人とに分けられ、それぞれ、そのレシート枚数、レシートの売上、金額PI値が把握できる。したがって、そのマーチャンダイジングは、ID10人を11人、12人とすることであり、そのためには、バナナをまだ購入していない顧客にバナナの購入を促すことであり、さらに、バナナをはじめて購入した顧客に再度購入を促すことであり、理想的には全顧客IDにバナナを購入してもらい、しかも、複数回、バナナを購入してもらうようなマーチャンダイジングの仮説をつくって、商品からのアプローチとID特有の直接何らかの方法で顧客IDに働きかけることにより、バナナの売上をのばすことが、ID特有のマーチャンダイジングといえる。

   このように、ID分析は同じ購入客の購買行動にまで踏み込み、その顧客セグメントにもとづいたマーチャンダイジングを改善することにより、顧客の数を増やしながら、その購買行動にもとづいたマーチャンダイジング政策を検討し、改善することが可能となるのが最大の特徴といえよう。

   実は、レシート分析でもこのような考え方を応用すると様々な分析が可能となる。たとえば、バナナを購入しているレシートと購入していないレシートを分析し、顧客をセグメントする方法である。通常バナナの購入しているレシートはバナナの売上金額、売上数量があがるので、分析対象となるが、バナナを購入していないレシートはバナナの売上金額0、売上数量0であるため、活用されることなく捨てられるが、バナナ以外の購入商品の数字、たとえば、レシート全体の数字であれば、活用可能となり、バナナの購入レシートのセグメントとバナナを購入していないレシートのセグメントに分けて分析するなど、様々な分析が可能となる。顧客セグメントはその意味で実に奥が深いテーマであり、ID分析の醍醐味でもある。

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June 19, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

June 18, 2008

金額PI値とID金額PI値について

   前回に続き、レシート分析とID分析の話である。今回はこの2つの世界観をより具体的に理解するために、金額PI値という指標に絞って、見てみたい。ここで、金額PI値といった場合は、これまで、小売業では通常実施してきたレシート分析の指標とし、ID分析の場合はIDを頭につけてID金額PI値というように表現し、金額PI値を区別して使ってゆきたい。

   この2つの世界をわかりやすく理解するために、具体的な数字で見てみたい。ある期間にIDが10人、レシート枚数が100枚、売上金額が100,000円の場合である。この場合、ID分析の場合のID金額PI値は100,000円÷10人であるので、=10,000円となる。同様にレシート分析の場合は、金額PI値=100,000円÷100枚となり、=1,000円となる。同じ金額PI値でも100倍違う数字となり、この瞬間に、レシート分析の金額PI値で数字に慣れてしまった場合は、その桁数があまりに大きくなり、理解ができなくなってしまう。これが、さらに、期間が伸びて、IDは同じ10人、レシート枚数が200枚、売上金額が200,000万円となった場合は、さらに戸惑うことになる。この時のID金額PI値は200,000円÷10人であるので、何と20,000円となり、先ほどのケースの場合の金額PI値が2倍となってしまう。ところが、レシート分析上では、金額PI値は200,000円÷200枚であるので、1,000円となり、金額PI値は同じ数字で変わらないからである。

   ID金額PI値はこのように期間の取り方によって、通常の小売業の数字では倍々ゲームとなり、時間とともに増加してゆく数字となるのが通常であり、一般的に金額PI値は客単価であるので、時間とともに倍々となってゆくなど創造できない世界であり、まず、ここで、ID分析がわかりづらくなってしまう原因がある。まさに世界観が違うといえ、レシート分析では時間というものがさほど意識されなかった世界であったが、ID分析では時間が極めて重要な概念となり、どの期間でのID金額PI値なのかが厳密に問われなければ、比較検討がそもそもできない世界であるといえる。

   一方、客数の方は今度は逆の動きとなる、レシート分析の場合は先ほどの事例では100枚が200枚と倍となったが、ID分析の場合はIDは10人で変わらずであり、変化がない。金額PI値とは対照的な動きであり、レシート分析は期間とともに、客数が増えてゆくが、ID分析の場合は期間とともにIDはあまり増えず、変化が少ないといえる。

   したがって、レシート分析の場合は、売上=客数(レシート枚数)×金額PI値であり、時間とともにレシート枚数が大きく変化し、金額PI値は客数ほど大きな変化はないことがわかる。逆に、ID分析の場合は売上=客数(ID数)×ID金額PI値であり、時間とともにID金額PI値が飛躍的に増大し、客数はあまり大きな変化がないという好対照な結果となる。

   これだけ、世界観が違うと、売上の根幹指標のひとつである客数と金額PI値が全く正反対の動きとなり、実に理解しづらい指標となり、まず、話が通じるはずがなく、これまで、通常取り組んできたレシート分析のマーチャンダイジングがIDの世界では対照的な動きとなり、理解不能となってしまうのが通常である。レシート分析では通常、マーチャンダイジングの改善は変化の起こりにくい金額PI値に焦点を当て、さらに、金額PI値をPI値と平均単価に分解し、単品ごと、カテゴリーごとの課題を抽出し、その解決をはかってゆくという流れになるが、この流れを、ID分析に適用しても、ID金額PI値が時間とともに急激に増大するため、とらえにくい動きとなり、ID分析でマーチャンダイジングを改善するには別のアプローチが必要となる。むしろ、IDに焦点をおき、IDを増やすことにマーチャンダイジングの焦点を当てることが正解といえ、IDの変化をもたらすための仮説検証がID分析では重要な政策といえよう。ID金額PI値については、このまま活用するよりも、一旦、金額PI値との翻訳作業を行い、翻訳後、再度、ID金額PI値を改善するマーチャンダイジングを検討した方がよさそうである。

   実は翻訳作業はさほど難しい作業ではなく、客数PI値ひとつで簡単に双方の世界へは変換が可能であり、その返還を行うことで、レシート分析で培われたノウハウをID分析へ応用することができ、逆に、ID分析で新たに作られるノウハウをレシート分析に翻訳し、活用することもできる。

   たとえば、レシート客数とID客数は客数PI値、ないしは、ID客数PI値で翻訳が可能であり、同様に、金額PI値とID金額PI値も客数PI値とID客数PI値で翻訳ができる。また、この客数PI値とID客数PI値は互いに逆数となっており、双方を掛け合わせると1となる関係であり、客数PI値=1/ID客数PI値という関係である。ここで、客数PI値とはID÷レシート枚数であり、ID客数PI値は逆数のレシート枚数÷IDのことである。

   このようにレシート分析とID分析はあまりに対照的な指標となるため全く別な世界のことのように思えてしまうが、実は密接に関係しているといえ、客数PI値、ID客数PI値を加えることで相互の世界をいったりきたりできるようになる。その意味で、これまで蓄積してきたレシート分析のマーチャンダイジングのノウハウは、ID分析が可能になった場合は一度、客数PI値で翻訳し、棚卸をしてみると良いといえよう。マーチャンダイジングの精度が飛躍的にあがるはずである。

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June 18, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

June 17, 2008

レシートの世界とIDの世界!

   もう20年近くPOS分析に取り組んできたが、いまだ極めつくせずに、研究をつづけている。まだまだ先が長そうであるが、ほぼ方向性は見えているので、根気よく、取り組んでゆきたい。この研究に時間がかかるひとつの理由は、理論と実践が裏腹の関係にあり、理論の方は知恵を絞れば、比較的構築しやすのだが、実践の方がIT技術の進化、費用対効果の面で中々追いついてこないということがある。約10年前、1998年頃にID-POS分析にはじめて取り組んだ時には、IT技術もまだまだ発展途上であり、ハード、ソフト両面でかなりの設備投資が必要な時代であったが、最近のIT技術の普及は目覚ましいものがあり、いまでは、技術面はほぼ問題ないところまで来ているといえる。

   その意味でいま、POS分析に問われているのは、ID-POSの時代に相応しいマーチャンダイジング理論の構築であり、それを裏づける費用対効果の高い実践事例であるといえよう。通常のPOS分析とID-POS分析はどこが違うのか、どのような関係にあるのかを明確にし、ID-POSでなければならない独自固有の分析手法とその効果を実証し、費用対効果も含めて、ID-POSの導入が本当に小売業の収益の改善に寄与するかを検証することであろう。今後、数年間は、この模索の時代が続くと思うが、私自身にとっても次世代のPOS分析のテーマ、少し気負っていえば、使命として取り組んでゆきたい。

   さて、そのPOS分析であるが、POS分析には客数のとらえ方により、レシート分析とID分析に大きく分かれ、さらに、それぞれが全体客数とセグメント客数に分かれる。この両者は独自の世界を構築し、その世界の中で交わることがなく、完結することができるのが特徴である。どちらも、売上からはじまるのだが、一旦、その世界に入ってしまうと、その世界の中で分析がはじまり、売上が無限の要素に分解されるが、その分解された要素はその世界の中でのみ回っており、売上を起点に表と裏の世界が出現することになるのが特徴である。

   ひとつ例を示せば、売上をレシート分析の主要指標のひとつレシート客数で分解すると、売上=レシート客数×レシート客数当りの金額PI値となる。このレシート客数は全体客数の場合もあれば、セグメントされた客数の場合もあり、セグメント客数を用いた場合は、さらに、売上は、売上=レシート客数×レシート客数PI値×セグメント客数のレシート金額PI値となる。ここで、レシート客数PI値はセグメント客数÷全体レシート客数のことである。したがって、セグメント客数=全体レシート客数となった時は客数PI値=1となり、レシート全体客数の場合はセグメント客数がレシート客数と一致した特殊な場合であることがわかる。

   これに対して、ID客数の場合であるが、売上をID分析の主要指数のひとつであるID客数で分解すると、売上=ID客数×ID金額PI値となり、セグメントIDの場合も売上=ID客数×ID客数PI値×セグメントIDの金額PI値となる。ここで、ID客数PI値はセグメントID客数÷全体ID客数である。

   そして、この2つはどこまで行っても交わることがなく、レシート客数はレシート客数の中で、ID客数はID客数の中で完結し、ぐるぐる回っているに過ぎない。いわば、独自の世界を構築しており、その独自の世界で動いているといえる。問題は、通常、これまで、小売業ではレシート分析の世界でマーチャンダイジングの仮説検証を実施し、そのノウハウを積み重ねてきたため、ID分析でPOSデータが分析された場合、戸惑ってしまい、思考停止か、全く別の世界のこととして理解しようとしてしまうことである。通常、世界観が2つ出現した場合には、新たな世界観の中で新たな世界観を構築するか、または、過去の世界観で構築されたものを、何らかに方法を用いて翻訳し、新たな世界観を理解するかの方法しかないが、現在のPOS分析の現状は、双方がごちゃごちゃになっており、業界全体が戸惑っているのが現状のように思える。

   そこで、歴史的にはレシート分析がはるかに長い歴史があり、マーチャンダイジングについてはこれまで仮説検証が繰り返され、ノウハウの蓄積も厚いものがあり、ひとつはこれをID分析に翻訳することが早道であろう。また、一方で、ID分析でなければ絶対にできない分析もあり、これについては、IDの世界で新たなにマーチャンダイジングを構築するしか方法がないといえよう。逆に、IDの世界はレシート分析では全く見えない新たな世界であるため、レシート分析に翻訳することは全部は不可能な世界だからである。両者の関係は基本的にレシート分析≦ID分析という関係にあるので、レシート分析はすべてのIDに翻訳可能であるが、ID分析はある部分はレシート分析に翻訳不可能なものもある。

   したがって、ID分析が可能になった場合は、ID分析を主体にマーチャンダイジングを確立し、これまでレシート分析の仮説検証により蓄積されてきたノウハウはすべてID分析に翻訳しなおし、さらに、ID分析特有の分析を用いて、仮説検証を行い、新たなノウハウを加えてゆくことが望ましいように思える。その意味でID-POSの時代はこれまでのマーチャンダイジングのノウハウが無駄になるのではなく、新たな観点から再検討し、必要に応じて新たなノウハウを付け足すことがその本質であるといえよう。

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June 17, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (2) | TrackBack (0)

May 20, 2008

客数PI値は奥が深い!

   最近、ID-POS分析に携わる機会が増えた。小売業界はもちろん、メーカーにもここのところ通常のPOS分析はもちろん、ID-POS分析も密かなブームが起こりはじめており、POSデータが小売業の本部、店舗間、小売業とメーカー間、さらには卸との間で、日本中を飛び回っているような活況を呈しはじめた。ただ、大半の小売業は通常のPOS分析主体であり、まだまだ、ID-POS分析まではいたっていないようであるが、ごく一部ではあるが、かなりID-POSの研究も進み始めている動きがうかがえる。

   本ブログでもID-POS分析については何度も取り上げているが、ID-POS分析を研究すればするほど、新たな発見もあり、実に奥が深いといえる。その中でも、ID-POS分析特有の指標のひとつに客数PI値がある。ID-POS分析には指標がざっと数えただけでも30から40はあり、通常のPOS分析が数指標である点と比較すると雲泥の差であり、これは次元が違うと思った方が良いといえよう。つくる気になれば、100指標ぐらいはできてしまい、正直、人間がやるべきかどうか、最近は少し悩んでいる。

   したがって、ID-POS分析の評価も無限大のパターンとなる。通常のPOS分析では、金額PI値=PI値×平均単価の評価であれば、理論的に6つしか存在しないが、ここにID-POS分析特有の客数PI値が入り、金額PI値=客数PI値×PPI×平均単価となったとたんに、金額PI値がアップする場合、ダウンする場合とつきつめてゆくと、ざっと数10パターンとなり、簡単には解けない迷路にはまり込んでしまう。つい最近まで、この評価は18通りだとばかり思っていたが、最近、研究が進み、いまでは30通りをこえており、32パターンまで確認されている。要は、3Dになると2Dの面から立方体になるため、面積ではなく、体積が複雑に変化するためにパターンが増えてしまうのである。

   これが、ID-POSになった場合はさらに複雑な問題が発生し、どう考えても普通の人間が取り組むべき問題とは思えず、これはどこかで、ブラックボックスとしてしまうか、逆に、実践的で効果の高いもの、時間はかかるが効果の大きいものなどに単純化し、誰でもその選び抜かれた指標さえ管理すれば、結果がでるというところまで突き詰めるかのどちらかが選択肢といえよう。

   その中でも恐らく、ID-POS分析の数ある指標の中で、現段階で、最も重要な指標のひとつが客数PI値であろう。客数PI値だけでも、ID-POS分析ではたくさん登場し、様々な活躍をする。また、実践的にも用途が広く、戦略的にも戦術的にも用いることができ、実に重宝な指標である。

   その客数PI値であるが、大きく2つに分けることができる。そもそも、客数PI値とは、客数を客数で割って算出する指標であり、金額PI値が金額を客数で割り、数量PI値が数量を客数で割るのと同様に手軽にひょういひょい作ることができる。大きく2つに分かれるといったのは、分母が客数の場合とIDの場合に分かれるということである。ここで、客数とはレシート枚数のことである。ID-POS分析はIDを前提とした分析となるので、この分析にはレシート枚数、すなわち、客数が使われることはなく、IDの世界で完結してしまう。たとえば、売上=ID×ID金額PI値とか、ID金額PI値=ID数量PI値×平均単価とか、ここには客数=レシートという概念はなく、IDの世界でぐるぐる回っているだけである。

   これに対し、客数=レシートを用いた世界もこれまで通りしっかり存在する。売上=客数×金額PI値であり、金額PI値=数量PI値×平均単価などがそうで、これも、逆に、ここにはIDは存在せずに、客数=レシートの中で回っており、ID-POS分析と平行に走り、ほぼ、ID-POS分析とシンメトリーで分析が展開される。この2つは、かなり、美しい世界であり、売上を媒介にして左右対称、ここに客数PI値が加わると、左右、上下、奥行き対象、ないしは相似形となる美しい世界が展開されることになる。たとえば、金額PI値=客数PI値×PPI×平均単価に対し、金額PI値=ID客数PI値×ID-PPI×平均単価というようにである。

   さて、ここからが本題であるが、では、この客数PI値とID客数PI値はどのような関係にあるのだろうか。そもそも、客数とはIDと来店頻度の掛け算でできあがった世界であり、実は客数とIDははじめから密接な関係があり、客数(レシート枚数)=ID×来店頻度とあらすことができる。本ブログでは、これまではこの来店頻度を逆数にし、客数PI値とし、来店頻度をあえて定義しなかったが、実は、この来店頻度は何をかくそう、ID客数PI値のことであり、客数(レシート枚数)は客数=ID×ID客数PI値とすることができ、この方がすっきりする。同様に、ID=客数×客数PI値となる。したがって、客数PI値はID客数PI値の逆数となり、この2つを掛けると客数PI値もID客数PI値も消滅し、1となる。ちなみに、ここで客数PI値はID÷客数であり、ID客数PI値は客数÷IDのことである。

   このように、客数PI値は大きく2つ存在し、従来の客数=レシート枚数を分母にした客数PI値とIDを分母においたID客数PI値があり、この2つの客数PI値が通常はそれぞれの世界で活躍しているが、時々、この2つがぶつかり、どちらかの世界に転換したり、時には真正面からぶつかり、消えてしまったりする。客数PI値は、このように実におもしろいダイナミックな動きをしており、実に奥が深く、あじわいのある指標といえよう。

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May 20, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

May 16, 2008

伊藤忠食品、CRMへ本格参入!

   5/12の日経MJで、「伊藤忠食品、携帯で購買履歴管理」、「スーパー外食向け新システム」、「IT会社と提携10社導入見込む」という記事が掲載された。内容は、伊藤忠食品がスピードパートナーズと資本業務提携を深め、この7/1から食品スーパーマーケット、外食産業向けの携帯電話を活用したCRMシステムの販売をはじめるというものである。すでに、食品スーパーマーケットの大丸ピーコック、ドラックストアのセイジョーがシステムの導入を決定したといい、今後、1年間で10社程度、会員数では500万人を見込むという。

   ここ最近、CRMは日進月歩で進化しており、従来のポイントカードを活用したものから、最近では電子マネーがはやりである。今回、このシステムを導入する大丸ピーコックも電子マネー、Edyをすでに導入しており、この携帯でのサービスが新たに加わることとなるが、Edy利用者は、携帯登録をすると、Edyと携帯双方のポイントが受けられるのか、それとも一方だけなのか、その辺がみえないところであるが、携帯という新たな媒体を活用する本格的なCRMが伊藤忠食品を主体に稼働することになる。

   記事の内容を読むと、今回のCRMサービスは、会員登録から、販促まで一貫して携帯電話でできる仕組みであり、会員には来店時や広告商品受け取りの際にポイントが付与されるという。また、ホームページと連動して、そのポイントも他のポイントに交換できるようにもなったり、メーカーの新製品への意見をきくことができるようになるなど、食品スーパーマーケット側のホームページを活用した顧客とのコミュニケーションもはかり、販促、新商品の評価等にも活用するという。

   ただ、今回の携帯活用の仕組みについてはいくつか課題もあるといえよう。ひとつは、携帯会員と食品スーパーマーケットの利用客の関係である。携帯の普及の速度は目覚ましいものがあり、ほぼ、1人1台の時代に入ったといえるが、今回のように会員カードの代わりに携帯を使える顧客が全体のどのくらいを占めるか、また、ある特定の客層に偏ってしまい、食品スーパーマーケットのマーチャンダイジングに活かせるかどうかである。電子マネーも普及しているとはいえ、食品スーパーマーケットへ導入した事例を見ると数10%という状況であり、マーチャンダイジングに活用するにはまだまだ絶対数が足りない状況であることを考えると、携帯の場合も電子マネーを優に超える会員比率になるかどうかが見えないところである。

   さらに、その中で、食品スーパーマーケットとしては、いわゆる優良顧客に対して扱く還元をすることが本来のCRMの目的であるが、携帯会員のみ厚く還元すると、本来の優良顧客が不満を抱く可能性は否定できないといえよう。いかに携帯会員で食品スーパーマーケット本来の優良顧客に会員になってもらえるかが、CRMを成功に導くためにもひと工夫が必要といえよう。一般的に通常のポイントカードは全顧客の80%前後にまで会員比率があがるので、ほぼ、優良顧客の会員化をはかり、厚く還元することが可能になるが、限られた特定の顧客層のみへの厚い還元は逆効果になる恐れもあり、ここがこの携帯を活用したCRMの課題といえよう。

   そして、もうひとつは、食品スーパーマーケットのCRMで本当に還元しなければいけない商品は生鮮食品、惣菜、日配であり、この部門の売上構成比は60%から70%にもなる。したがって、この部門の優良顧客の会員化を行い、この部門の商品での厚い還元が食品スーパーマーケットにとっては決めてとなる。その生鮮、惣菜、日配のPOSデータをうまく取り込み、顧客データとリンクさせ、何らかのアクションプログラムをつくる必要があるが、このデータの取り込みが至難の技であることである。

   各食品スーパーマーケットによって、これらは商品分類、商品コード、単品管理の仕方が違っており、これらを統一することは不可能に近い作業であり、食品スーパーマーケットごとに対応せざるをないといえよう。今回の日経MJの記事を読む限りでは、この辺がよく見えないところだが、一歩間違えると、食品スーパーマーケットの約30%から40%の部分であるグロサリー主体となったCRMとなってしまい、店舗全体へのインパクトが限定されてしまいかねないことである。

   CRMの目的は食品スーパーマーケットの顧客へ対しての一律還元をやめ、同じ販促費用をかけるのであれば、より、店舗に貢献している顧客に対し、手厚く還元することにより、優良顧客の来店頻度を促し、最終的には顧客のLTV(ライフタイムバリュー)、生涯にわたっての末長いお付き合いをしてもらうことである。そのためには、まず、店舗の優良顧客に確実に会員になっていただき、その優良顧客に最高のサービスを提供できる体制をきづくことである。また、その際、可能であれば、すべてのカテゴリーの優良顧客をも会員化できることが望ましいといえる。そして、その顧客のリピートの高いNo.1商品により厚く還元することがポイントである。今回の携帯CRMがどこまで、この辺をおさえた仕組みとなるかに注目したい。

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May 16, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

March 25, 2008

リクルート、ID-客数PI値を活用!

   3/24の日経新聞にリクルートの記事が載った。見出しは、「旅館、ホテルの販促支援、特定客に秘密プラン」である。内容は、この3月末から、旅館、ホテル向けにインターネットを使った新しい販促支援サービスを始めるというものでる。何が新しいかというと、見出しにある「特定客に秘密プラン」、ここがポイントであり、ここには、2つの要素、特定客と秘密プランがからんでおり、この2つの要素を満たす販促がいままで簡単にはできなかったことが、今回のサービスでは簡単にできるようになったということである。

   この背景には、PI値分析が絡んでおり、しかも最新の研究テーマであるID-3D分析がその背景にある。小売業界ではIDの特定、システム開発、投資、顧客のアプローチ方法の開発の遅れなどがあり、理論は先行するものの、実用化が遅れがちであるが、今回のリクルートの仕組みはインターネットを活用するため、システム開発、投資、顧客へのアプローチ方法とすべての面でリーゾナブルであり、実用化にいたったといえよう。

   まず、特定客であるが、今回の仕組みは、リクルートのじゃらんネットを活用するために、すでに約1万7,400件の宿泊施設へ申し込んだ実際の顧客ID、恐らく数10万件以上であると思うが、があるため、このIDを活用することができる。しかも、宿泊経験のあるIDであるため、氏名、住所、性別、電話番号、メールアドレス、年齢、宿泊場所、宿泊料金等、詳細かつ精度の高いID属性、ID履歴データがあるため、これを活用することが可能となる。小売業の場合だと、通常のポイントカードでは、属性データを中々把握するのが難しい。特に、氏名、住所、電話番号、メールアドレス等が把握できないと顧客へ直接アプローチする手段がなく、直接顧客へ販促プログラムを提供することが難しい状況となる。今回のリクルートの場合はじゃらんネットというインターネットを活用しており、かつ、実際の宿泊経験のある顧客であるので、この点は全く問題がないといえよう。

   次に肝心の秘密プランであるが、これは当然、特定客を前提とする内容になるが、基本は値引きであり、ついで、逆の付加価値サービスであり、実質、値引きである。要はディスカウントプランであるが、これまでのプランとの違いは、秘密にある。この秘密がこれまではなかなか難しい課題であったが、今回は顧客を特定化できるので、特定顧客向けのプランをつくることができ、それをその特定顧客のみに伝えることが、メールかダイレクトメールで可能となったことが大きい。

   記事の中でも、これまでのプランの弊害として、誰でも閲覧できるサイトへの掲載の場合とメールでの配信の場合をあげている。サイトの場合だと、「稼働率を上げたい施設が激安プランを誰でも閲覧できるサイト上に掲載すると、安いプランに予約が集中。通常プランで予約していた人がキャンセルして安いプランに乗り換えるケースも想定され、宿泊単価が下落するリスクが高まる。」という。また、メールの場合は、「メールで案内すると、頻度によっては顧客の印象を悪くするリスクがある。」という。どちらの場合もこれまでは、結果として、単価下落につながり、肝心の稼働率の上昇にもなかなかつながりにくかったのではいないかということで、今回の、「特定顧客に秘密プラン」の販促サービスが開発されたという。これにより、単価下落を極力回避し、同時に稼働率を向上できるのではというのが、リクルートの狙いであるといえよう。

   さて、今回の記事では触れられていないが、ここにもうひとつのポイントがある。それはこのような「特定顧客に秘密プラン」を実現するためには、これまでの客数の把握の仕方が根本的に変わったことである。PI値分析でいえば、客数PI値の採用といえよう。これまで客数は全体客数のみであった分析が、客数を自由にグルーピングできるようになり、そのグルーピング客数に合わせた商品開発ができるようになったことである。たとえば、過去2回以上、その旅館に3日以上泊まった顧客をグルーピングし、その顧客を特定し、その顧客特有の秘密プランを立案し、その顧客にみに秘密プランを提供するということが可能となる。しかも、特定顧客のみの金額PI値(客単価)に、客数PI値を掛ければ、全体客数で割った、金額PI値となるため、従来の全体客数を分母とした金額PI値と客数PI値を媒介にして比較可能となり、その特定顧客への秘密プランがどのくらいの効果をもたらしたかについても比較検討が可能となる。今後、つくられる様々な秘密プランについても、客数PI値、金額PI値を算出すれば、それらのプランどうしも比較検討可能となり、より効果的なプランの実現につながってゆくことになろう。

   このように、今回のリクルートの販促プランはインターネットだからでき客数PI値をフルに活用したものであるが、これは顧客のIDの把握が可能であれば、理論的には食品スーパーマーケットでも可能なことである。ただ、食品スーパーマーケットの場合は、プランづくりまではゆけるが、顧客に直接働きかける手段がちらし、DM、レシート等なかなか決め手がないため、これをマーチャンダイジングにどう活かすかがポイントとなろう。いずれにせよ、今回の動きは、顧客IDを本格的に活用する時代がごく身近になったことを示しているといえよう。

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March 25, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

February 28, 2008

ID-客数PI値と来店頻度(購入頻度)の違い!

    客数とは奥が深い。最近、IDに触れる機会が多くなり、客数とIDの関係を考えることが多くなった。本ブログでも、すでに何回もとりあげているが、とりあげるたびに新たな発見があるし、IDを把握する意義が明らかになる。IDが把握できなかったときは客数とはレジ通過客数のことであり、レジで発生するレシート枚数のことであった。これ以外に客数を把握する方法がなかったことにもよるが、IDを意識することがあまりなかった。約10年以上も前にポイントカードを活用したOne To Oneマーケティングに取り組んだ時も、IDよりも、客数=レシート枚数を重視していたように思う。

   もちろん、IDを前提としなければ、初回購買、リピートという定義そのものが成り立たないので、IDを活用しなかったわけではないが、感覚としてはIDよりも客数に意識がいっていたと思う。ところが、最近、約10数年ぶりに、ポイントカードを活用したID-POS分析に本格的に取り組むようになって、客数よりも、IDを強く意識するようになった。以前、本ブログでも取り上げたが、PI値もIDとの関係でみれば、ID-PI値=購入頻度(来店頻度)×PI値と定義できる。ID-PI値は買上点数÷ID数のことであり、購入頻度は客数÷ID数のことであるので、購入頻度×PI値は(客数÷ID数)×(買上点数÷客数)となり、=買上点数÷ID数=ID-PI値となる。これがID-POS分析の基本公式のひとつとなるが、実は、この公式は別の角度から見ると、もっとおもしろい式に変形ができる。

   購入頻度とは客数÷ID数のことであり、客数はレシート枚数でもあるので、購入来店回数のことである。したがって、それをID数で割れば、1ID当たりの購入来店回数であり、レシート枚数となる。簡単な事例を示せば、Aさんが1週間に1回の時は購入頻度は1/1=100%であるが、1週間に2回の場合は2/1=200%=2回となる。Aさんが1週間に1回、Bさんが2回であれば、この2人の購入頻度は3/2=150%となる。当然、これにPI値をかければ、ID当りのPI値、ID-PI値となる。

   さて、ここからが、このブログの本題であるが、購入頻度をひっくりかえしたらどうであろうか。すなわち、1/購入頻度である。式では1/(客数÷ID)であるので、=ID÷客数となる。これはいったい何だろうか。意味的には1回当たりのID数であるので、レシート1枚当たりのID数となる。なんだか意味がよくわからない指標であるが、よく見るとこれは客数PI値の一種ともとれる。もともと、客数PI値は(グループ客数÷全体客数)のことであり、分母が全体客数の場合であるので、このID数÷客数も客数PI値=ID-客数PI値と考えれば良いのはないかと思う。

   PI値も分解すれば、PI値=客数PI値×PPIであり、この時の客数PI値はグループ客数÷全体客数、PPIは買上点数÷グループ客数であるので、グループ客数がID数になっても問題ないといえよう。ID-PI値がID数当たりの買上点数であるので、PI値=客数PI値×PPI同様、ID客数PI値を用いれば、PI値=ID-客数PI値×ID-PI値となり、PI値をIDの客数PI値とIDのPI値で説明できるようになり、PI値とIDの関係がより明確になる。

   これまでの、購入頻度を使った場合は、ID-PI値=購入頻度×PI値となり、PI値を説明するよりも、ID-PI値を説明する式であったが、このPI値=ID-客数PI値×ID-PI値はまさにPI値を説明する式であるので、PI値とIDとの関係をより分かりやすく、説明しているように思う。この式を言葉で表現すると、PI値を上げるには、ID-客数PI値をアップさせるか、ID-PI値をアップさせるかがポイントであり、ID-客数PI値をアップさせるには、ID-客数PI値がID数÷客数であるので、ID数を増やすことがポイントであり、ID-PI値を増やすには、ID-PI値が買上点数÷ID数であるので、ID当りの買上点数を増やすことがポイントとなる。

   どちらも、IDに着目し、IDの数かID当たりの買上点数を増やすことがPI値を引きあげる要因となり、マーチャンダイジングを考える際、IDに焦点を絞った対策が明確になり、客数という、ややぼやけた指標からIDという明確な指標に意識が絞られ、場合によっては、IDに直接働きかける、まさにダイレクトマーケティングにもつながるテーマとなり、IDを把握する意義が明確になると思う。

   その意味でこれまで、ID-PI値=購入頻度×PI値を使ってきたが、購入頻度の逆数であるID-客数PI値を用いたPI値=ID-客数PI値×ID-PI値という公式もID-POS分析の中で活用していき、より、PI値とIDの関係=客数とIDの関係をわかりやすく、実践的に活用していけるのではないかと思う。

   ID-POS分析はまだまだ始まったばかりであり、今後、この公式のような数式、指標が無限に登場してくることになると思うが、できるだけ、わかりやすく、実践的な数式、指標を開発してゆきたいと思う。全体客数=レジ通過客数=総レシート枚数しか把握できない時代は単純、シンプルであったが、IDが把握できるようになると、指標、公式が無限となり、どの指標がどの場面に最も有効なのかを見極めながら活用してゆく必要があるといえ、実に客数は奥が深いと改めて感じる。

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February 28, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

February 20, 2008

みずほ銀行、CRMに本格着手、ID分析で最適な商品!

   日経新聞2/18に「みずほ銀、営業手法を導入、個人データ分析、最適な商品紹介」、「結婚した→生命保険、子供進学→教育ローン」という記事が掲載された。内容はみずほ銀行がこれまでの経験と勘による営業のやり方を約2,500万人の顧客のデータベースを分析し、最適な金融商品を提案する営業手法を導入するというものである。目的は、みずほグループの大きな課題となっている個人向け金融の強化につなげることにあるという。すでに、アメリカの大手銀行に担当者を派遣し、ノウハウを吸収したということで、この2月にはテストマーケティングも実施したという。

   みずほグループの最新の決算数値であるこの1/31に公表された2008年3月期の第3四半期決算を見ると、みずほグループは、みずほ銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ信託銀行の3つに分かれているが、個人の預金は、それぞれ3 2兆2,648億円(60.9%)、68億円(0.07%)、1 兆8,318億円(63.0%)と合計3 4兆1,035億円(52.3%)であるので、この約34兆円、約2,500万人、平均約130万円の個人顧客が対象になる。

   日経新聞の記事を読むと、このような手法は欧米の金融機関では広く活用されているというが、日本の大手銀行が本格的に取り組むのは初めてという。具体的には、みずほ銀行に口座をもつ、約2,500万人の顧客の家族構成や預金残高、ATMの利用状況など約500項目の情報を集計し、分析するという。その分析の中から、名字の変更や使うATMの場所の変化も読み取り、結婚や転居といった生活の変化までをも類推するという。日経新聞では、その具体例として、これまでみずほ銀行では「30代から40代の男性」のように大まかな区分であった顧客分類を「金利が高い時期に現住所に転居した」という新たな顧客分類を作成したり、「同じマンション内にローンを借り換えた顧客がいる」という顧客分類を作ったりし、この絞り込まれた顧客にふさわしい金融商品のDM(ダイレクトメール)を発送するという。実際、このような絞り込まれた顧客にDMを発送したところ、資料請求の件数や説明会への参加率が従来の約3倍になったという。当然、顧客情報も支店、5ケ所のコールセンター、DM担当部で共有し、顧客の反応や契約状況を商品ごとに蓄積し、精度をたかめてゆくという。効率が高まれば営業費用の削減にも結びつけてゆきたいという。

   日経新聞の記事の内容はこのような内容であるが、これはまさに、食品スーパーマーケット業界ではじまったCRMそのものであり、大手銀行業界でも本格的なCRMへの取り組みがはじまったといえ、時代はまさにCRMの時代に突入しつつあるといえよう。ただ、この記事を読む限り、CRMデータの活用方法は顧客に力点をおいたアプローチといえ、もう一方の商品に力点をおいたアプローチが見えてこないのが残念である。銀行の場合は食品スーパーマーケットと違い、預金を預ける際には詳細な個人情報を記入しないと受け付けてくれず、しかも、住所変更、氏名の変更なども比較的最新の情報に更新される頻度が高いために、この極めて信頼性の高い個人情報を起点にCRMを行うことができる。

   食品スーパーマーケットでは銀行ほど詳細な個人情報を把握することは不可能であり、つい最近はじまったセブンイレブンの電子マネー、nanacoをみても、名前だけでカードを発行しており、個人情報はカード活用時に店員が性別、推定年齢等を類推する以外に方法がないといえよう。したがって、小売業が銀行のような詳細な個人情報を活用してのCRMには無理があり、必然的に商品に力点をおいたアプローチとなる。

   ただ、今回の日経新聞の記事を読む限りでは、CRMの醍醐味ともいえる顧客グループを自由につくり、その顧客グループごとに需要を読み、最適な商品を決定し、DMを打つという仕組みである。したがって、どのような顧客グループを作り、その顧客グループがどのような収益を上げるかを検証してゆくので、顧客グループの作り方は商品からのアプローチを考える上でも大いに参考になるといえよう。実際、記事にもあったが、約500項目の切り口で顧客グループを作っており、これだけ切り口があれば、ほぼ無限の顧客グループをつくることが可能となろう。CRMはまさにこのきめ細かな顧客グループづくりが命といえる。同様に、商品も数100項目の様々な切り口で商品グループをつくってゆけば商品を通じた顧客グループを自由に作ることができる。実際、ウォルマートはカードデータは使っていないが、店舗と商品双方を数100項目の切り口で分析し、マーチャンダイジングに活かしており、食品スーパーマーケットとしては、商品からの顧客グループづくりがキーとなろう。

   このように、今回の日経新聞の記事は、大手銀行業界も本格的なCRMの時代がはじまろうとしているという内容であり、今後の食品スーパーマーケットのCRMを考える上においても、特に顧客グループをどう自由につくるかという点では参考になるといえよう。銀行は食品スーパーマーケットと比べ顧客は多いが、商品は少なく、食品スーパーマーケットは逆に商品が多く、顧客も多いというビジネスである。食品スーパーマーケットとしては、顧客からのアプローチだけでなく、商品からのアプローチも重要なCRM戦略となろう。いずれにせよ、CRM戦略は今後の重要な経営戦略のひとつであり、今後、銀行がどこまでCRM戦略に取り組んでゆくかに注目したい。

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February 20, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (2)

February 13, 2008

IDにこだわる、IDと客数の違い!

   これまで、POSデータ分析では客数を最重要指標としてとらえ、売上金額を客数で割り、金額PI値(客単価)を算出し、売上数量を客数で割り、PI値(数量PI値)を算出し、チェーンストア全体の各商品の状況、あるいは個々の店舗の状況を見てきた。ここで使用する客数とはレシート枚数のことであり、Aさんが2回来店して買い物をした場合はレシートが2枚発生するので、客数を2人と数え、金額PI値はAさんの売上金額を客数2人で割って算出し、同様にPI値もAさんの売上数量を客数2人で割って算出した。しかし、よく、考えてみると変な話である。Aさんは1人なのに、2回来店すると、レシートが2枚発生するので、客数を2人とし、金額PI値、PI値を計算することになるが、実際はAさんは1人であるので、本来は客数は1人として計算するのが正しいはずである。

   ちなみに、よく支持率という指標があり、部門客数を来店客数で割って算出し、売上金額、売上数量の支持、すなわち、金額PI値、PI値と区別し、客数のPI値としてとらえ、客数の支持率とみる場合がある。実はこれも、先ほどと同じAさんが2回来店した場合は客数が2人と数えるため、純粋な客数とはずれ、レシート枚数をレシート枚数で割っているにすぎない。売上金額、売上数量よりは、真の客数に近いが、純粋な客数とは若干ずれるといえる。

   では、純粋な客数とは何かであるが、これは結論からいえば、IDの数のことである。IDの数とは単なるレシート枚数とは違い、レシート1枚1枚にIDをつけ、先のAさんが2回来店した場合は、そのレシートにAさんのIDをつけ、Aさんが2回来店したと区別し、レシート枚数=来店回数は2回であるが、ID数は1人であるととらえることである。このように客数をとらえることによって、これまでの客数=レシート枚数=回数がID数×来店回数(来店頻度)となる。こうとらえると、先のAさんが2回来店した場合は、客数2人ととらえるのではなく、ID1人×2回来店としてとらえ、客数は1人、その1人が2回来店したと把握し、客数と回数とを厳密に区別し、純粋な客数を明確にすることになる。

   したがって、これまでの客数が増加した場合も、その中身はID数が増えたのか、それとも来店回数が増えたのかを数字で把握し、どちらかを区別し、判断することになる。仮に、IDが増えていなければ、客数増ではなく、当然、来店回数が増えていると判断することになる。逆に、来店回数が増えていなければ、ID数が増えていることになり、この時はじえめて客数が増えたと判断することになる。ここに客数のとらえ方のあいまいさはなくなり、IDを把握することによって、真の客数がみえるようになる。

   では、このように、IDが把握できるようになると何が便利になるかであるが、たとえば、販促を評価する時、IDが把握できない時は、客数=レシート枚数=回数が増えたか否かで判断せざるをえなかった。ここで、IDの把握が可能となれば、何らかの販促の結果、客数が増加した場合、それを客数=ID数×来店回数と分解し、その販促が純粋にIDの数を増やしたのか、それとも来店回数を増やしたのかを区別し、IDを増やした時に、はじめて新規顧客を増やす販促であったと判断し、逆に、IDの数がさほど増えず、来店回数が増加したのであれば、それは新規顧客を増やしたのではなく、既存顧客の来店回数を増やしたと判断することができ、販促の効果がどちらに重点があったかどうかを見分けることが可能となり、販促そのものの見直しにつながってゆくことになる。

   実は、販促とは、本来、このような2つの側面があり、どんな販促を打っても必ず、IDの数の増加か来店回数の増加かが起こっており、IDの把握ができれば、どちらにより重点があるかが数字で判断できる。そして、販促とはまず、IDを増やし、限界まで増やし続け、一方で、既存顧客になったIDに対して、来店回数を増やし続ける販促を新たに展開し、双方をバランスよく実施しながら、客数=ID数×来店回数の双方を引き上げることがその目的となる。

   これはPOPひとつにもいえることであり、POPをつけることによって、客数=レシート枚数=回数が増えた場合は、必ず、ID数×来店回数に分解し、そのPOPによって、ID数が増えたのか、来店回数が増えたのかを区別できるようになる。POPも新規顧客、すなわち、ID数を増やすPOPと既存顧客の来店回数を増やすPOPがあり、双方のバランスをとりながらスパイラル状に客数=レシート枚数=回数を増やしてゆくことがポイントといえよう。

   このように、これまでは単なる客数=レシート枚数=回数しかPOSデータでは客数が把握できなかったが、ポイントカード等を活用することによって、客数を客数=ID数×来店回数という2つの指標に分けることができるようになり、純粋な客数であるIDが増えたのか、それとも既存顧客の来店回数が増えたのかが区別できるようになる。IDが把握可能であるのであれば、ぜひ、ID分析を行い、真の客数=IDの動向を見極め、文字どおり顧客のためのマーチャンダイジングの改善につなげてゆきたいものである。

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February 13, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

January 25, 2008

Google Analyticsにはまる、ID-POS分析のモデルがここにある!

   最近、Google Analyticsにはまっている。Google Analyticsは1年前ぐらいから使いはじめたが、つい最近、リニューアルをし、私にとっては実に使いやすくなった。Google Analyticsはホームーぺージの解析ソフトであり、Googleが無料で提供しているものである。使い方は簡単で、ホームページの各コンテンツにGoogleが提供するトラッキイングコードを張り付けるだけでよく、あとはGoogleが独自に集計し、分析をしてくれる。ちょうど、食品スーパーマーケットのバーコードと同じ役割であり、このGoogleのバーコード(トラッキングコード)をつければ、GoogleというPOSレジが、サイト訪問者の履歴を集計分析するという仕組みである。私が、特に、このGoogle Analyticsに興味を持ったのは、ID-POS分析に極めてよく似た分析を提供していたからであり、このGoogle Analyticsを理解することが、ほぼ、イコールでID-POS分析を理解することにつながるように思えたからである。実際に活用して、まさに思った通りであり、Google Analyticsを勉強し、使いこなすことはID-POSを理解し、使いこなすことに通じると確信した。

   ただ、いくつか不満な点があるといえばあり、ID-POSのIDの考え方が、Google Analyticsでは2つにわかれている。技術的には完全なIDでの分析が可能であるはずであるが、必要ないと判断して提供していないか、あえて提供してないかがわからないが、ここが若干不自由なことである。どういうことかというと、Google AnalyticsにはIDにあたる概念として、セッションとユニークユーザーとがある。この2つはページビューに対応する顧客の把握概念であり、セッションがそのサイトに30分以上滞在していたサイト訪問者のIDを表しているのに対し、ユニークユーザーは時間制限がなく、IDそのもののサイト訪問者、まさにIDを表しており、微妙に違いがある点である。全体のサイト分析ではサイト訪問者をこの3つの指標で分析しているが、個々のコンテンツになると、セッション分析まではするが、ユニークユーザー分析はしていないのが実態であり、ID分析が、セッション分析までとなってしまう点である。

   そのため、POS分析でいえば、通常の全体客数のPI値-POS分析、レシート客数のグループ客数のPI値-POS分析まではほぼ可能であるが、ID客数によるID-POS分析が十分にできないため、リピート分析等が十分でない点である。ただ、セッションもユニークユーザーに近い概念であるため、レシート分析よりは、ID-POS分析に近いところまで迫るこができるので、とりあえず、現在はこれで我慢して活用している。将来、ユニークユーザ分析が各コンテンツでもできるようになるとほぼ、POS分析のID-POS分析とイコールになるので、期待している。ただ、Googleの目的は、Google Adwordsの広告収入の不正を見つけるためのIDの把握が目的であるようであり、セッションとべージビューを区別できれば、ある意味十分といえ、ユニークユーザーまで今後把握し、提供するかは何ともいえないといえよう。

   ただ、この時点でも、Google AnalyticsはID-POS分析に極めて近い分析をし、様々な工夫された帳票を公開しているので、ID-POSを個人で勉強するには、このGoogle Analyticsが最適な仕組みといえよう。私個人はこの分析に加え、客単価3D分析のノウハウを導入し、サイト訪問者の時間の3D分析をしているが、独自の工夫を加えなくとも、様々な分析指標、基本帳票が用意されており、十分、実践に活用できる内容であるといえよう。

   実際、どのようなサイト訪問者の分析が行われているかをいくつか見てみると、基本サマリーはセッション、ユニークユーザー、ページビュー、平均ページビュー、平均サイト滞在時間、直帰率、新規セッション率の7項目であり、この7項目すべてが、時系列でグラフですぐに見れるようになっている。しかも、時間の指定は自由に指定でき、初期設定は直近の1ケ月の30日間の日別折れ線グラフである。このグラフが、この7項目をクリックすると、すぐに表示され、時間の指定も自由であり、2つの時間を指定し、重ね合わせ、比較することもできる。実によくできた構造である。この7項目の平均ページビューはページビュー÷セッションとなっており、ユニークユーザー=IDで割っているわけではなく、Google AnalyticsのIDの基本的な把握はセッションであることがわかる。

   Google Analyticsにはおもしろい指標もあり、直帰率、離脱率などというものがあり、各コンテンツごとに表示される。直帰率は、別のサイトからこのサイトに来た訪問者がそのまま他のサイトへ飛んでいった比率であり、離脱率は、同様にこのサイトに来た訪問者がこのサイトのコンテンツをいろいろ見て、どのコンテンツから他のサイトへ移ったかを見る指標であり、よく考えられていると思う。これを食品スーパーマーケットでとろうとしたら、簡単ではなく、ICカードを活用すればできるのかもしれないが、把握できれば、マーチャンダイジングに役立つといえよう。

   このように、Google Analyticsは将来のID-POS分析の先行分析指標、先行帳票を提供しているといえ、使えば使うほど、実におもしろいし、示唆に富む内容である。現在、各食品スーパーマーケットでID-POSデータが算出されつつあるが、まずは、このGoogle Analyticsで慣れた上で、さらに自由に加工ができるので、工夫を加えながら、その結果を参考に取り組んでゆくといいのではないかと思った。ちなみに、以前も本ブログでも触れたが、GoogleはGoogle Adsenceの広告料金算定にPI値、金額PI値を活用し、PI値の概念はすでに取り入れられており、この面でもPI値分析と実に相性が良い。

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January 25, 2008 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 26, 2007

テスコの競合店価格調査データを見る!

   食品スーパーマーケットにとって競合店調査は日常的に行われているといえるが、テスコほど徹底的に価格調査を毎週実施している企業は珍しいといえる。私も約20年前に船井総研に入社した当時は、ほぼ毎日依頼された食品スーパーマーケットの競合店の価格調査を行い、膨大なレポートを作成していたが、テスコの調査内容を見ると、さすがに圧倒される。しかも、テスコはその調査データをすべて、検索できる形でホームページ上に毎週公表しているのである。従来、競合店の価格調査データは原則、内部で活用され、密かに自店の価格を調整したり、商品力グラフをつくり、競合店の強み、弱みを分析し、自店の商品の価格はもちろん、品揃え、棚割、レイアウトの改善、販促の見直しに活用するのが主な目的である。ところがテスコは、このデータを消費者に競合店よりも価格の高い商品もふくめ、すべてつつみかくさず公開している点が通常の競合店調査との大きな違いである。

   目的が従来の自社の戦略の見直しにとどまらず、調査データをあえてすべて公開することで、消費者からの信頼を勝ち得ようとしているといえよう。その最大の理由は、ウォールマートの傘下に入ったテスコの最大の競合店アズダのEDLP(Every Day Low Price)への対抗、というよりも、EDLPを打ち消すことであろう。ウォールマートをはじめEDLPを自社の戦略とする企業はその地域で一番安い価格で商品を販売していることを標榜し、消費者に様々なメディアを活用してアピールする。したがって、その競合店はあたかも、EDLP戦略を採用した企業に対して、イメージとして高いのではという疑問を消費者に与えてしまい、価格政策では不利な状況に陥りがちとなる。

   テスコはこれに対抗し、そのイメージを打消すことが大きな目的で、毎週この徹底した価格調査をホームページを通じて消費者に公開していると思われる。もちろん、テスコはその背後に、クラブカードにもとづくID-POSデータの分析結果があるので、テスコの自社の顧客の最もリピートの激しい商品はあらかじめおさえていると思うので、その商品は優先的に価格対抗策を打ち、自社の顧客の固定客化をはかっていると思われる。

   では、そのテスコが毎週どのような価格調査を実施しているかであるが、テスコの競合店として、3社を毎週チェックしている。アズダ(340店舗)、セインズベリー(788店舗)、モリソンズ(368店舗)である。この直近の調査は11//19から11/21の間での調査データであり、約10,000品を調査している。正確にはアズダの7,047品、セインズベリーの8,423品、モリソンズの6,125品であり、この商品1品1品とテスコの商品を比較し、その結果を公表している。その総数を見ると、テスコがアズダに対し、安かった商品数は1,801品(26%)、高かった商品は1,268品(18%)、同じだった商品は3,978品(56%)である。同様にセインズベリーに対しては、3,474品(41%)、752品(9%)、4,197品(50%)、モリソンズに対しては、1,997品(32%)、1,264品(21%)、2,864品(47%)となる。したがって、対アズダで見ると、安い商品の数の方が、高い商品よりも多く、全体としてみれば、アズダのEDLPはことテスコに対しては機能していないといえ、見事にEDLPを打ち消しているといえよう。

   そこで、ここでは、さらに代表的な単品に絞って実際の価格調査の結果を見てみたい。ちなみに、テスコは13分類で商品を管理している。ベイカリー、青果、精肉と魚、グロサリー、冷凍食品、花、日雑、デリとデイリー、美容、酒、ペットフード、飲料、その他である。その中で、日本では青果のPI値最高のバナナを見てみると、テスコがkg0.68ポンドに対し、アズダを含め、すべて同じ価格である。イギリス産リンゴ9個パックは1.49ポンドで最安値である。精肉のフィレステーキがkg18.97ポンドで、すべて同じ価格である。アラスカのサケがkg11.95ポンドでアズダの11.98ポンドよりも安く、モリソンズは同じであり、セインズベリーは商品がなかったという。

   デリとデイリーを見てみると、卵6Pが1.84ポンドですべて同じ価格である。牛乳も0.40ポンドですべて同じ価格である。デリとデイリーは生活必需品が多く、主要品目については価格がお互い調査しあい、同じ価格に収斂されていくようである。

   グロサリーについて見てみると、ハインズのスパイダーマンパスタが0.32ポンドでアズダの0.35ポンド、セインズベリーの0.44ポンドよりも安いが、モリソンズは0.32ポンドと同じ価格である。ネスレのキットカット5パック225gは1.00ポンドで他の競合店はすべて1.28ポンドとテスコが最安値である。飲料ではエイビアンの水500mlが0.42ポンドで他の競合店も同一価格である。750mlは0.75ポンドでモリソンズのみ0.72ポンドであるが、他は同じ価格である。

   という具合に、13の大分類でそれぞれが数十の中分類、さらに数10の小分類に分かれ、そのもとで各単品がテスコと他の3店舗との価格比較表ができあがっており、その数がざっと10,000品の価格比較となり、これが毎週調査され、更新されていく。日本でも軌道に乗り始めたテスコエクスプレスが当初から主要品目の競合店調査にもとづく価格対策を打ち出していたが、その原型はここにあったといえよう。価格は顧客にとってもっとも重要な購買動機となる指標のひとつであるが、テスコがここまで価格にこだわった経営を徹底して実践しているとは驚きである。テスコのカード戦略はもちろん、価格政策を主体にしたマーチャンダイジング政策にも注目といえよう。

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November 26, 2007 in CRM、FSP, ウォルマート、海外情報, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)

November 11, 2007

顧客データからのマーチャンダイジングを考えてみる!

   ミクシーの新しいトピックを久しぶりに立ててみた。「ポイントカード、CRM、FSP、顧客データの活用について」というトピックである。現在、食品スーパーマーケット最新情報、ミクシー版は262人が入会しているが、共通の関心事をくくるトピックをつくることはなかなか難しいもので、いろいろ試行錯誤を繰り返している。今回はこれまで、あまり、発言のなかったトピックをばっさり切り、新たな試みとして、このトピックをつくってみた。これまで、あまり、ミクシーでは私も流れにまかせて発言をしてこなかったが、このトピックに関しては、私のクライアントも関心をもっており、また旬な内容でもあることから、積極的に発言をしてゆきたいと思う。

   ちょうど、先週のまぐまぐのコンサルティング、現場からのミニレポートの第56回目で「顧客分析について」を取りあげたが、その内容も踏まえて、ここでは、ミクシーの新トピック、「ポイントカード、CRM、FSP、顧客データの活用について」の問題提起も踏まえて、顧客データからのマーチャンダイジングを考えてみたい。

   顧客データを活用したマーチャンダイジングはまだ始まったばかりといえ、小売業もメーカーもまだまだしっかりと対応できていない状況といえる。その一方で、POSデータの開示はコープさっぽろの事例を出すまでもなく、各社が積極的に取り組み始め、大手食品スーパーマーケットでは対応していない企業はないくらい、ちょっとしたブームとなりつつあるといえる。ざっと、あげただけでも、サミット、コープさっぽろ、ライフコーポレーション、コープこうべ、サンエー、バロー、ユーコープなど目白押しといってよいくらい、ここ最近、急激に増えつつある。サミットに関しては、顧客ID付きPOSデータも開示しており、POSデータだけではなく、本ブログのテーマである顧客データを活用したマーチャンダイジングがはじまったといってよい。もちろん、これ以前には、セブンイレンブンのチームマーチャンダイジングはあまりに有名であり、いずれ、nanacoのデータもメーカーへ公開され、グループマーチャンダイジングへ発展してゆくものといえよう。その意味で、POSデータにもとづくマーチャンダイジングは新たな段階に入ったといえ、小売業内部で活用されていた段階から、メーカーとともに活用する段階に入り、さらに、その中身が単なるPOSデータから、ID付きPOSデータへとかわりつつあるといえよう。

   では、ID付きPOSデータ、すなわち、顧客データを活用したマーチャンダイジングとはまず何から手をつけるべきかを考えてみたい。この分野では、テスコがクラブカードで先行したため、顧客をグルーピングし、そのグルーピングした顧客へ何らかの購入金額に対しての+αの還元を提供することにより、来店頻度をあげる手法が一般化しつつある。ちょうど、食品スーパーマーケットが商品分類をまず、約10ぐらいの大分類をつくり、それぞれを約30から50ぐらいに分け、結果、300から500ぐらいの小分類で管理しているように、顧客もまず、10ぐらいに分け、それをさらに数10に分け、結果、数百の顧客群に分け、分類してゆく方法である。ただ、商品分類と根本的に違うのは、商品分類はほぼ一元的に分類でき、小分類間、大分類間共通の商品は用途分類を採用した場合は発生するが、これを別に集計すれば、ほぼ重ならずに分類が一元的に可能となる。

   ところが、顧客分類は、顧客の好みは千差万別であり、一元的にくくるのはかなり無理がある。そこで、テスコのようにクラスター分析をかけ、何とか意味のある顧客分類を導き出すことになるが、これは、実務としては至難の業であり、うまく分類できるかどうか、かなり難しいといえる。

   そこで、現状はとりあえず、通販で確立されたRFM(テスコはRFV)分析を基本に顧客をデシル、10段階に分け、このデシルを基本に顧客の実態をつかみ、デシル1の最優良顧客(店舗RFM貢献度最高)を維持、発展、そして、増加させるためにどんなアクションを起こすかが中心になりつつある。これはこれで、十分効果のある内容ではあるが、ことマーチャンダイジングという観点から見ると、どのように商品の品揃えが変わり、どのように売場が変わり、どのようにレイアウトが見直され、どのように販促が代わってゆくのかが、いまひとつ、イメージしにくいといえる。徐々にデシル1の方のための売り場に近づいてゆくのであろうが、果たしてそれで、マーチャンダイジングは改善されるかである。しかも、これに関しては、別段、単品データを必要とせず、通常のポイントカードさえ導入していれば、RFM分析にもとづくデシル分類は可能な話であり、ポイントカードの延長線上にある課題であるといえる。

   では、単品データにIDが付与され、さらに、レシートデータにもIDが付与された場合はたして何が可能であるのか、また、これまでのPOSデータと違い何が新たに付加されるのか、あるいは、どのような新たな展開につながるかについて考えてみたい。マーチャンダイジングとは直訳すれば商品政策であり、本来商品の分析から入るべきであると思うが、どうも、いまのCRMは顧客の分析から入りすぎてしまい、一歩間違えると、単品管理で陥った均衡縮小の品揃え同様、顧客の均衡縮小になりかねい危険があり、再度、IDと商品とがリンクした場合のマーチャンダイジングとは何かを明らかにする段階に入ってきたといえよう。

   この続きについては、ミクシーの新トピック「ポイントカード、CRM、FSP、顧客データの活用について」で議論を深めつつ、今後、本ブログでも、そのまとめとして、継続的にとりあげてゆきたい。まずは、「顧客データからのマーチャンダイジングを考えてみる!」の序章ということで、続きは乞うご期待!

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November 11, 2007 in CRM、FSP, 経済・政治・国際 | | Comments (0) | TrackBack (0)