PLANT、新店開発が経営に重くのしかかる!
ここにきてPLANTの利益が限りなく0に近づいている。直近の平成17年度9月期の決算短信が10/28に発表されたが、財務状況を見ると経常利益が売上対比0.7%となった。中間決算では0.9%であったので、厳しい数字である。ちなみに、昨年は0.9%であったので、昨年と比べても数字の改善がはかられていない。しかも、荒利率は17.5%で昨年の16.4%と1ポイント増加しているにもかかわらず、経費が予想以上に大きくかかり、昨年の15.7%から17.1%となり、収益に大きく響いたといえる。経費の中でも大きく増加した項目は人件費、水道高熱費、消耗品費、リース料、減価償却費等である。いずれも出店にかかわる費用である。PLANTは2年前の2003年までは経常利益率が3~4%であり、充分な収益がでていたことを考えると、2004年度0.93%、そして、今期の0.7%は急激な経営の悪化といえる。反面、売上は絶好調であり、2000年度から2005年度まで115%前後の成長を続け、特に、昨年は120%以上、今期も約115%となった。ただし、既存店はマイナスであり、新店に支えられた増収であることがわかる。新店については、昨年、新潟にPLANT5刈羽店、今期、岐阜にPLANT6瑞穂店、来期、新潟にPLANT5横腰店、福島にPLANT5大玉店、そして、福井にPLANT3清水店のオープンをはじめ、中期的には現在の約600億円の売上を5倍の3,000億円まで目指すという。現在約10店舗であるので、あと40店舗の新店をつくる計算となる。
これらの数字は明かに新店が経営に重くのしかかっている構図であり、しかも、BSを見ると、新店にともなう商品と建物(土地ではない)が急激に膨らみ、それを利益でカバーすることが全くできず、短期および長期の借入金でカバーしている状況である。その額、約100億円である。
IT企業であれば株価を上げ、時価総額を増やし、多額の資本を調達し、営業拡大をしてゆくところであろうが、直近の株価は1140円(11/10)であり、食品スーパーマーケットの平均が約1500円であるので、株価は低く、時価総額は77億円と食品スーパーマーケットの中ではワーストクラスである。ちなみに、現在時価総額の全小売業の中でNo.1は7&Iホールディングズ(イトーヨーカ堂グループ)の56,144億円であり、2位がイオンの18,679億円、3位がヤマダ電機の9,718億円である。食品スーパーマーケットではイズミの2,124億円、ヨークベニマルの1,711億円、ナフコの1,192億円がベスト3である。食品スーパーマーケット上場企業約50社の平均時価総額は約400億円であるので、PLANTの時価総額はかなり低く、資金調達が厳しい株価である。また、株価の推移をみると、上場来高値の3,030円(2000/07/05)をつけて以来、2005/10/26に上場来最安値の1012円をつけたが、ここ数日少し値を戻し、現在1,140円(11/10)であるが、依然として厳しい株価が続いている。
ちなみに、来期2006年度の予想は新店戦略により、売上げは120%前後を目指しているが、経常利益は依然として0.7%前後の予想であり、今期同様厳しい数字となりそうである。
当初、PLANTはウォールマートの日本版といわれ、現在でもベイシアと並び日本型スーパーセンターのトップを走っている小売業と一般には思われているが、2003年頃からのPLANT4(4,000坪)、PLANT5(5,000坪)の超大型店の出店が経営バランスを崩し、今期、そして来期もこのバランスがもとにもどらない状況が続く。本家本元のウォールマートはこの10年間、売上は115%前後で成長を続けながらも、経費、荒利は若干アップしたが、利益は4.5%前後で一定に保ち続け、スーパーセンターを約150店舗から1,700店舗に増やすという経営を続けた。その意味で、PLANTが中期経営目標3,000億円をかかげるには、まだ、PLANTとしてのフォーマットが充分に固まっているとはいえない状況であることを上記の数字は物語っている。このまま経営のバランスがとれない状況での出店を続けるのは、今後の資金調達ひとつをとってみても厳しいものと思われる。PLANTの商品構成比は現在食品が60%を越えるということをみても、まず、食品のマーチャンダイジングを核とした収益モデルの確立が急務であるといえよう。
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