野菜ビジネススクールがPPI論議で盛り上がる!
以下は㈱野菜ビジネス主催の野菜ビジネススクールの機関紙に掲載したPPIの実践事例についてまとめたものです。PPIを理解する上において大変参考になると思いますので、先方の許可をいただきましたので、本ブログでも公開します。
野菜ビジネススクールがスタートして、もう少しで1年をむかえるが、PI値もほぼ定着し、毎回の講座でMD評価表をもとに前月の検証と来月の仮説づくりを参加メンバーで議論できるようになってきた。今回、その議論の中で、特に注目を集めたのが、PPIの活用であった。PPIとは次世代PI値のことであり、PostPI値、PersonalPI値、PartialPI値のPをつけてPPIと呼んでいる。通常のPI値は買上点数を客数で割って算出するが、PPIはその客数を細分化して、部分客数で算出、すなわちPartialPI値となる。これをさらに細分化すると個人個人のPI値となり、文字通りPersonalPI値になる。また、客数概念を拡張すると初回購買客数やリピート購買客数でPPIを算出することもできるようになり、これは商売の原点であるリピート購買に注目したPI値の活用へとつながってゆく。
さて、今回、議論になったPPIは、実はこれまで流通業界ではごく自然に活用してきた指標である支持率に注目したことから始まった。一般的に支持率とはPI値とは違い、客数を客数で割って算出する。青果でいえば青果のみを購入した客数を店舗全体の来店客数で割って算出する。野菜ビジネスでいえば野菜の支持率は野菜の購入客数を店舗全体の客数で割って算出し、果物の支持率も同様に、果物の購入客数を店舗全体の客数で割って算出する。PI値理論では、PI値と混同しないように、この支持率を客数PI値として定義している。流通業界ではこれらがよく混在して使われ、支持率というとPI値なのか客数PI値なのかが曖昧につかわれることがしばしばある。また、支持率=客数PI値は実はこれだけでは不完全な指標であり、本来は、PPIと連動してはじめて意味をなすのであるが、なぜか、これについても流通業界では明確になっていない。PI値理論では、支持率=客数PI値は、PI値=客数PI値×PPIとして定義し、支持率=客数PI値はPI値アップのための最重要指標として位置づけている。すなわち、支持率=客数PI値をあげることはPI値アップに直結することであるが、PPI次第では、支持率=客数PI値をあげてもPI値はダウンすることもある。PI値アップのためには客数PI値をアップさせるか、PPIをアップさせるか、双方をアップさせるかの3択問題をうまく解くことがポイントであることが、ここからわかる。では、なぜ、PI値=客数PI値×PPIとなるのか。それは、PI値=買上点数÷全体客数であり、客数PI値=部分客数÷全体客数、PPI=買上点数÷部分客数なので、客数PI値×PPI=(部分客数÷全体客数)×(買上点数÷部分客数)=買上点数÷全体客数=PI値となるからである。
そこで、この考え方を青果ビジネスに当てはめてみたとき、今回、注目すべき数値が浮かび上がり、議論が大いに盛り上がったのである。今回の事例では、野菜の支持率=客数PI値はほとんどが約85%前後であったのだが、PPIが千差万別で最低300%から最高550%までばらついた。また、果物は逆に支持率=客数PI値が最低30%から最高60%までばらついたのに対し、PPIはほぼ200%で、ほとんどばらつきがなかった。これは当たり前のことではあるが、野菜と果物は全く別のMD戦略が必要であることを示し、レイアウト、棚割り、品揃え、販売促進等において根本的に区別しない限り、売上アップは望めないということが数値で理解でき、この数値をめぐって議論が盛り上がったのである。どういうことかというと、野菜はPPIにより差がつく商品であり、顧客が300%=3点買ってくれるか、550%=5.5点買ってくれるかという大きな差がでるということは、品揃えと棚割りが極めて重要な決め手となり、品揃えが弱く、買いにくい野菜売場では売上アップは望めないことを意味している。とまとの一箇所集中はその意味で極めて理にかなった政策である。逆に、果物はPPIでは差がなく、客数PI値で差がつき、30%の顧客が果物を買うか、60%の顧客が果物を買うかで差がでるので、これはレイアウトと販売促進=プレゼンテーションが決めてとなり、旬の商品をはじめに確実に買ってもらえるか否かが決め手になるといってもよい。野球でいえば一番打者ということになろう。PPIが約200%であるので、あと、もう1品年間商品であるバナナかりんごなどを1品買って終了ということになる。
まとめると、野菜はPPIアップ戦略が、果物は客数PI値アップ戦略が第一優先課題であり、そのための具体的政策を重点商品1品1品のレイアウト、棚割り、品揃え、販売促進等をつめてゆくことがポイントとなる。このように、PI値はもちろん、PPI、客数PI値にも焦点をあてることにより、青果ビジネスはさらに顧客満足度の高い確固たるビジネスとして確立することができるという確信がもて、今回は有意義な議論となった。
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