ヨークベニマル、NSCに戦略転換!
ヨークベニマルのNSC戦略の原点は1998年11月オープンの福島県白川市のメガステージといえよう。ちなみに、NSCとはネバーフッドショッピングセンターの略で、中商圏対応型の近隣型ショッピングセンターのことである。白川市にはもともと、市街地にイトーヨカー堂、郊外に約20年前にオープンしたヨークベニマル昭和町店があっただけだったが、98年にヨークベニマルのメガステージが国道289号線沿いにオープン、地元ホームセンターのダイユーエイトに加え、ユニクロ、マツキヨ、ヤマヤ、ゼビオ、サイゼリアなど約20業種が集結する一大NSCが出現した。しかし、そのわずか2年後の99年10月にはイオンのSCがすぐ近隣にオープンし、激戦となった。
この激しい競争の中で、着実に、力をつけたヨークベニマルは2000年11月に郡山のイオンのSCのすぐ近くにダイソー、マツキヨ、ユニクロ等と八山田店を核としたヨークタウンNSCをオープンさせた。この年、福島に浪江店、宮城に若柳店のNSCをオープンさせている。ところが、先にオープンした福島県白川市のヨークベニマルNSCのメガステージでは、2001年1月にベイシアがカインズとともに、同じ国道289号線のハス迎えの至近距離(徒歩で移動できる)の場所にオープンした。わずか3年で白川では商圏構造が激変し、3つ巴の激しい競争が現在でも行われている。この時、すでに4店舗のNSCがオープンし、NSCのノウハウを確立したヨークベニマルは、その後、2002年から、NSCへ大きく舵を切り、怒涛の出店がはじまる。
2002年2月には宮城県に柴田店、3月には山形県に成沢店、6月には宮城県に岩沼西店、南吉成店、9月には宮城県に古川南店、山形県に成島店、10月には栃木県に石橋店、福島県に飯寺店、そして、11月には泉将監店と9店舗のNSCを出店、この年はフリースタンディングの店舗は、福島県の吉倉店のわずか1店と、NSCが主力業態になった年である。
2003年には3月に栃木県に泉が丘店、宮城に山田鈎取店、5月に宮城県に名取西店、7月に福島県にメガステージ矢吹店、11月に福島県に大槻店、本宮インター店と6店舗のNSCをオープンさせた。この年もフリースタンディングの店舗は福島県の新小原田店のみである。
2004年には、7月に栃木県に簗瀬店、山形県に河北店、10月に福島県に勿来江栗店、宮城県に白石店、11月に福島県に野田店、宮城県に新田東店と6店舗をオープンさせた。この年もフリースタンディングは宮城県に遠見塚店1店舗のみである。
そして、今年、2005年度は4月に、茨城県初となる赤塚店、7月に茨城県に坂東店、9月に茨城県に中郷店、10月には福島県に西若松店をフリースタンディングからNSCに改装オープン、11月には宮城県に大河原店、福島県にメガステージ石川店と6店のNSCをオープンさせた。
このように、この5年間で約30店舗のNSCを新規オープンさせている。今後は毎年10店舗以上の新店をオープンさせ、その中心はNSCであるという。すでに、現在、ヨークベニマルはNSCを主力業態とする食品スーパーマーケットといえ、5年後はNSCがフリースタンディングを上回る企業となるものと思う。ウォールマートも10年でディスカウントストアからスーパーセンターへ業態を劇的に展開したが、ヨークベニマルも食品スーパーマーケットからNSCへの業態転換を今後5年ではかるのではないかという勢いである。スーパーセンターの時代が目前に迫ったいま、NSCは食品スーパーマーケットの新たな成長戦略といえよう。
余談だが、ヨークベニマルはこのNSCの怒涛の出店に際し、この5年間、長短借入金0、無借金経営を貫いている。自己資本で毎年10店舗の新店をオープンさせる財務体質をつくりあげたといえる。現在100店舗を優に越え、年商2800億円、経常利益118億円(4.2%)、税引後の純利益が65億円あり、現預金が200億円と、借り入れなしで出店ができる財務状況といえよう。ちなみに株価は11/15現在3,320円、時価総額1,681億円、PER24.7倍、PBR1.69倍である。食品スーパーマーケットの中ではPBRは平均以上であるが、若干PERが低いのが気になるところだ。
このように出店戦略をささえる財務体質がしっかりしているので、今後、5年間でヨークベニマルはより食品スーパーマーケットの中でも成長性、収益性の高いNSCを主力業態とした食品スーパーマーケットになってゆくものと思う。
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