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November 24, 2005

売上速報!! 食品スーパーマーケット 2005年10月度

客単価アップが当面の最優先課題!
 食品スーパーマーケットの2005年10月度(11/23現在)の売上速報が出揃った。現在、売上速報を公開している企業は食品スーパーマーケット上場企業約50社の内、約20社(2000店舗弱)である。2005年10月度の売上は昨年対比105.8%、内訳は客数が111.1%、客単価が95.4%(客数、客単価まで公開している企業は約10社)となり、先月と比べ、売上が1ポイントダウン、客数の伸びはほぼ同じだが、客単価が1ポイント強ダウンした。
 客数で昨年対比を下回る企業はほとんどないが、客単価で昨年対比を越えた企業は前月同様0であった。各企業とも客単価アップに苦戦している状況といえる。さらに既存店に関しては、売上が95%、客数は昨年対比ぎりぎりであるが、客単価は全体とほぼ同じ95%強である。既存店に関しては客数も苦戦している状況であり、出店競争による競合店の影響が大きいといえよう。また、このうち7社が客単価=PI値×平均単価にもとづき、PI値、平均単価を公開している企業があるが、その平均はPI値99.5%、平均単価95.8%であり、既存店はPI値が102.0%と100%越えているが、平均単価が95%であり、価格を下げた分をPI値でカバーできず、客単価が95%にとどまった。

  全体として、各社とも激しい出店競争の中で、既存店では価格訴求をかけ、PI値アップに取組んだが、客単価を押上げるまでにはいたらなかったといえる。さらに、売上をカバーするために新店を積極的に出店して、客数は何とかアップしたが、客単価が思うように伸びず、新店の客数アップにささえられ、売上は何とか105%にまとめたといえる。

  このように、現状は大変厳しい競争の中にあり、たとえ客数を新店の出店により、105%まで伸ばしても、客単価が95%で伸び悩んでいるため、売上は昨年対比100%を超えられない状況がつづいており、客単価アップ政策が当面の食品スーパーマーケット業界の最重要戦略となった。

新規出店が寄与し、売上110%を超える企業が6社
 このような中で2005年10月度も昨年対比の売上が110%以上になった企業が6社あった。九九プラス、大黒天物産、プラント、マックスバリュ東海、アークランドサカモト、ハローズである。特に九九プラスは、新規出店により、この数ケ月140%以上の伸びである。ただ、既存店は95%強と競争激化がつづいている。大黒天物産はここにきて126%と、この数ケ月間約140%の伸び率であったが、はじめて120%台となった。プラント、マックスバリュ東海はどちらも出店戦略が順調に進み、プラントは120%弱、マックスバリュ東海は114%と安定した伸び率を示している。特に、マックスバリュ東海はPI値も全店、既存店とも100%を越え、既存店の客数も先月同様、100%を越えた。アークランドサカモトはスーパーセンタームサシが寄与し既存店も102.7%と好調である。ハローズは600坪対応のニューフォーマットの新店が寄与し、既存店は厳しい状況ではあるが、全体としては110%と前月同様クリアーした。このように、新規出店戦略が順調に推移している企業は昨年対比110%以上であった。

ヨークベニマルvsカスミ
 注目される北関東の茨城商圏であるが、カスミのドミナント商圏である茨城地区に新規参入し、既に3店舗のNSCを出店したヨークベニマルの影響が今月数字になってあらわれた。カスミの先月は100.3%の売上であったが、今月は98.1%とダウン、さらに既存店は95.8%と先月と比べ2ポイントもダウンした。ただ、ヨークベニマルもNSCの新規出店により客数は105%弱アップしたが、客単価が95%と落ち込み、先月は104.1%であった売上が100.1%と厳しい状況である。地元福島をはじめ、宮城、山形等で既存店の激戦が厳しい状況にあったといえよう。

105%前後の企業が5社
 今月、約105%で推移した企業は5社である。107%のオオゼキ、105%のヤマザワ、105%のヤオコー、104%のバロー、103%のエコスである。この中でもヤマザワは既存店の売上も先月に続き、101.7%と、既存店の活性化も起動にのりはじめた。ただ、客単価は96.2%と先月よりも1ポイント強ダウンし、客数アップによる売上増である。オオゼキは既存店が95.9%と厳しい状況であったが、客数を114.9%と伸ばし、売上を107.3%と先月よりも2ポイントアップした。ヤオコーも先月同様105.1%で安定した推移であるが、客単価が先月よりも2ポイント落ち96.2%と、特にPI値が伸び悩んだことが大きかった。バロー、エコスはほぼ同じ傾向で104.1%、103.3%であった。特にエコスは、この月、既存店に価格訴求をかけ、平均単価が89.8%と10ポイント以上下げ、PI値を105.8%までもっていったが、客単価が価格訴求をかけた割にはアップせず95.1%となったが、その分、客数が102.1%増え、売上を先月よりも1ポイント以上改善した。

7社が昨年対比割れ
 上記以外の7社は残念ながら、昨年対比を下回った。特に、オリンピック、ミスターマーックス等の非食品の強い企業が厳しい傾向であった。また、いなげやが先月96.3%、今月92.9%、既存店は91.3%と厳しい状況である。特に、いなげやはエコス同様、既存店の平均単価を10%下げ、PI値を108%までもっていったが、エコスと違い、客数が94.5%と伸び悩み、厳しい月となった。

参照:2005年10月度詳細データ

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