西友、自動補充システムに本格着手!
本ブログでは発注と在庫管理に関するテーマを優先的に取り上げているが、11/14の日経MJに「西友、自動補充100店舗拡大」という記事が掲載された。自動補充システムの最大のポイントは物流センターであり、西友は埼玉県三郷に来年稼動の物流センター、その2年後には東京都府中の物流センターを完成させる予定である。いずれも24時間稼動である。この物流センターがウォールマートの最新ノウハウを取り入れたものであり、はじめから、今回の自動補充システムを前提として構築されている。この2つの物流センターが稼動すると、関東全域の物流網ができあがることになり、既存店はもちろん、今後、出店加速するであろうスーパーセンターへの自動補充システムが可能となる。
MJの記事によれば、すでに150店舗で試験運用しており、その効果が確認できたので、埼玉県三郷の物流センターの稼動に合わせ、100店舗増やし、関東、中部、西日本の全店約250店舗への自動補充システムの導入をはかるという。対象となる商品は菓子、調味料、飲料などの加工食品に加え、洗剤やベビー用品などの日用品、肌着、靴下などの衣料品の合計60カテゴリー、10,000品目になるという。これはおおよそ発注業務の1割程度が自動補充に切り替わる予定となり、最終的にはトータル物流コストを30%以上削減してゆく方針という。
この自動補充システムについては、ウォーマートが巨大なデータウェアハウスを構築した時に、投資利益の改善効果の高いアプリケーションNo.1として、自動補充システムが取り上げられた。当時約200億円の投資改善効果を見積もったシステムである。当時の自動補充システムは次のような仕組みで動いていたという。
毎朝6時に商品注文リスト案が店舗に到着し、店舗の部門責任者が削除したり、修正したりする。もし、お昼までに修正がなければそのまま自動発注される。この商品注文リストは、各商品ごとに発注見直し点が売上推移やリードタイムによって決められ、その発注見直し点に到達したら、自動的に商品注文リストが店舗ごとに作成されるというものである。この背景には、データウェアハウスにより、POSデータと在庫データの融合が可能となったことがあり、ウォールマートはこの自動補充システムにいたる過程で、BDSS(バイヤー デシジョン サポート システム)をバイヤー向けに、そして、リテールリンクをメーカー向けにスタートしている。さらに、これらデータを駆使し、その次のステップとしては自動品揃えシステムも構築している。これは、店舗トレイト、商品トレイトという店舗の特徴をたとえば駅前立地、郊外立地、ドラックストアと競合等、数千分類に分けて分類する一方、商品の特徴も同様に駅前立地で売れるか売れないか、郊外立地でよく売れるか等、やはり数千項目に特徴を分け、店舗ごとに、どの商品を品揃えすればよいかを自動的に判別し、その在庫までを確定するという仕組みである。このような仕組みが背後に動いたていたからこそ、スーパーセンターを今期は約300店舗の新規出店、この10年でも約150店舗から約1700店舗へという急成長ができたものと思う。
したがって、西友の今回の仕組みも、すでに、リテールリンクは動きはじめているので、次は自動品揃えシステムも稼動させる予定であり、2008年以降はスーパーセンターの本格出店となろう。
小売業界もPOSシステムからデータウェアハウスの時代に入りつつあり、その決め手がPOSデータに在庫データを組み込んだ自動補充システムであり、さらにそれを発展させた自動品揃えシステムであるといえよう。
参考文献:ウォールマートに学ぶデータウェアハウジング(翔泳社)
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