PI値1%が食品スーパーマーケットの根幹商品
PI値は、平均単価とともに客単価アップのための根幹指標ですが、その意義は顧客満足度をダイレクトに表す指標といえます。PI値=買上点数÷客数(%)ですので、PI値は顧客一人当りの買上点数を表し、その商品に対する顧客の支持を表している指標のひとつです。したがって、このPI値を食品スーパーマーケットでつきつめてゆけば、それは、人間の命の原点、すなわち、生きて行くのに必要な商品とは何かを知ることになります。いわば、ライフラインの原点の商品が浮かび上がるといってよいと思います。
いまから約10年以上前、PI値をはじめて食品スーパーマーケットに適用した時の業績アップ方法はPI値で1%以上の商品を売場から選定し、その商品を重点強化商品として、欠品と鮮度管理を徹底することが主な手法でした。そして、その商品の品質と品揃えの充実をはかってゆくことがポイントでした。これはいまでも生きているノウハウのひとつです。そして、その時からいまにいたるまでかわっていない点はPI値が1%以上の商品は食品スーパーマーケットの中には約10000品(SKU)ある商品の中にわずか、150~200品(SKU)しかないという事実です。この10数年間例外がありません。すなわち、このわずか150~200品の中に人間の生活の原点があり、ひいては食品スーパーマーケットの存在理由があるということです。ちなみにPI値1%とは1000人/日の客数で1日10個、2000人/日の客数で1日20個売れる商品のことです。
本ブログでも食品スーパーマーケットの売上構成比について触れましたが、その時の結論は農産、日配、食品が最重点部門であるということでした。PI値1%の商品を分析すると、当然のことですが、このことを裏付けることができます。PI値1%の150~200品の中で最も数が多い部門が日配であり、約70品ぐらいあります。ついで、農産であり、約50品ぐらいあります。そして、食品が約20品ぐらいになります。残りの部門は10~20品となります。しかも、PI値1%、約200品を合計すると売上構成比は40~50%、PI値合計は何と500%近くになります。食品スーパーマーケットのPI値は約1000%ですので、顧客はPI値1%の商品の中から5点購入し、残りの9800の商品から5点購入するこということです。これは単に顧客にとって大事な商品であるだけなく、企業経営にとっても大事な商品であり、顧客満足度と企業経営が重なる最重要商品群であることがわかります。ちなみにPI値最高の商品は何でしょうか。食品スーパーマーケットでは牛乳、もやし、麺類などが最上位商品であり、ほぼ10%強という数字になります。したがって、この世の中のすべての商品の中で最高のPI値は約10%であり、その頂点に牛乳、もやし、麺類があるということになります。その意味で、食品スーパーマーケットは世の中のPI値最高の商品を扱う小売業と定義することもできます。
余談ですが、ウォールマートがデータウェアハウスを構築し、在庫データと融合し、自動発注、バイヤー意思決定サポートシステム(BDSS)、メーカー向けリテールリンク、さらには、自動品揃えシステム等をつくった時に、2.3という数字に驚いたというエピソードがあります。2.3とは1週間に平均2.3回、商品が売れるという数字で、逆にいうと、1週間に2.3回しか商品が売れない、すなわち、1週間に4.7日は商品の売上が全くないということです。この事実に気づき、さらに商品販売動向を分析してみると、毎日売れる商品が約5000、1週間で売れる商品が約20000、1ケ月でやっと売れる商品が40000だったそうです。ウォールマートは食品スーパーマーケットとは対極をなす業態ですが、それでも、顧客にとって本当に必要な商品はごくわずかだけであり、その商品が経営の鍵を握っていたという事実です(ウォールマートに学ぶデータウエアハウジング(翔泳社))。
ついでにもうひとつ余談ですが、アメリカのコネチカット州のスチューレオナルドは商品を約2000品目に絞った、年商約100億円の食品スーパーマーケットですが、これはまさにPI値の高い商品に絞りきれたからこそできたビジネスといえます。現在、スチューレオナルドはCEOもジュニアに代わり、店舗も3店舗となり、年商は300億円を越えたそうです。
このように、食品スーパーマーケットにとってはPI値1%の商品が根幹といえ、この商品の重点管理が経営の成否を決めるといえます。
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