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November 22, 2005

注目株!! アークスが上場来最高値更新!

  アークスが11/21、上場小売業トップの16.82%のストップ高の株価上昇率となり、上場来最高値をつけ、2090円でひけた。ここ最近3万株程度の売買高だったが、11/21は何と約10倍の30万株を越える大商いとなった。アークスの株価はここ数ケ月間は1500円前後で推移していたが、10/17頃から緩やかに上昇をはじめ、11月に入り1700円強で横ばいとなり、11/16頃からまた緩やに上昇しはじめた。そして、11/21、前日比301円(16.82%)と大暴騰した。現在のPERは57.3倍、PBR2.01倍と上場食品スーパーマーケットの中では高めではあるが、連結PERは21.7倍と、平均の約30倍と比べると若干低めといえる。

  ここ数年の業績も過去5年間の売上は1247億円、1370億円、1548億円、1873億円、2045億円と順調に伸ばし、経常利益も34億円、37億円、47億円、58億円、69億円と5年間増収増益を続けている。そして、来期は売上2260億円、経常利益は73億円(売上対比3.2%)と増収増益の予定である。売上高2000億円は北海道の小売りグループの中ではトップクラスであり、イオングループ、生協グループと並び、食品市場の3大グループの一角を占め、文字通り北海道の食品流通を牽引する企業となった。

  ここまで企業が成長し、収益性をたかめた背景は大きく2つあり、ひとつは、そもそものアークス誕生を含めM&Aにより企業規模を拡大させてきたことである。そして、もうひとつは、ビックハウスという食品スーパーマーケットとしての強力なディスカウント業態を北海道で軌道に乗せたことによる。

  アークスの歴史は、平成14年に、ラルズ(札幌)と福原(釧路)が経営統合し、純粋持株会社をつくり、株式交換により、M&Aを実施したことにはじまる。そして、平成16年のふじ(旭川)もやはり株式交換により吸収し、現在10の子会社の共同持ち株会社となった。最近の食品スーパーマーケットのM&Aはほとんどこの株式交換による完全子会社化であり、つい最近でもヨークベニマルが茨城のカドヤを株式交換で子会社化している。アークスはこのM&Aの仕組みを最大限に活用し、直接競合しない北海道の地域の食品スーパーマーケットを次々に傘下にいれ、規模の経済を追求し、ここへきて、2000億円の大台を超え、北海道の中でも最大規模の食品スーパーマーケットとなった。もともと、ラルズも福原も食品スーパーマーケット最大のボランタリーチェーンのCGCグループの会員であり、今回アークスに加盟したふじもCGCグループである。その意味で、アークスは北海道のCGCグループから生まれた企業集団といってもよい。なお、北海道のCGCには、(株)ホームストア 、(株)ラルズ、(株)道東ラルズ、(株)道北ラルズ、(株)道南ラルズ、(株)福原、(株)丸しめ志賀商店、(株)ホクノー 、ピュア食品(株)、(株)ふじ 、(株)中央スーパー、北雄ラッキー(株)の 12社が加盟しており、この内、ホームストア(7店舗)、(株)ラルズ(49店舗)、(株)道東ラルズ(13店舗)、(株)道北ラルズ(9店舗)、(株)道南ラルズ(18店舗)、(株)福原(43店舗)、(株)ふじ(22店舗)の7社に加え、酒、医薬品のイワイ(61店舗)、ライフポート(66店舗)が加わり、総店舗数は約300店舗、そのうち、食品スーパーマーケットは約170店舗となった。

  一方、アークスはビックハウスという強力な食品ディスカウント店を主力業態としており、ビックハウスがアークスの成長性を支えているといえよう。最近の新店もBig House深川店(10/28)、Big House白石店(9/29)、Big House野幌店(4/28)、Big House岩見沢店(3/3)とビックハウス主体の新店戦略であり、すでに約30店舗となった。ビックハウスの最大の特徴は販管費率が13%台という、驚異的な数字が示すとおり、徹底的なローコスト経営がなされている点である。この販管費率がディスカウントをもたらし、荒利16%強という低荒利でも約3%の経常利益をもたらしている。マーチャンダイジングも独特な手法を用い、業界では有名な1物3価の価格政策を採用し、ばら売り、まとめ売り、箱売りの価格がだんだん安くなるという値付けをあらゆる商品に採用している点である。これに加え、商品が徹底的に絞り込まれ、単品量販の売場を作り上げ、商品管理の作業コストを極端に少なくしている。さらに、荒利16%強にささえられた強力なディスカウント価格で対応するため、販売促進費も極端に省く点である。店舗にもほとんどコストをかけず、最近は新規出店もあるが、当初はほとんどが居抜き出店であり、出店コストも極力抑えた出店をはかっている。このような仕組みに支えられたビックハウスの平均売上は約30億円といわれており、このディスカウント政策が強力な武器となって、驚異的な集客をもたらしているといえる。

  今後、北海道にはイオングループのスーパーセンター、西友ウォールマートのスーパーセンター等の出店競争が予想されるが、アークスのビックハウスがどこまで対抗できるかが今後の鍵を握るといえよう。

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