売上構成比から見た食品スーパーマーケットの現状
食品スーパーマーケットの主要企業8社の売上構成比を見ると各企業の戦略が浮かび上がってくる。今回対象にした企業は、ベルク、エコス、オオゼキ、マックスバリュ東海、大黒天物産、ハローズ、ヨークベニマル、ヤマザワである。各社商品分類がまちまちであるので、一概に比較することは難しい面もあるが、できるだけ共通なものをもとに比較を試みた。
売上構成比については、本ブログでも11/23に掲載した、来期決算からはじまる知的資産経営報告書でも、第2項目に「選択と集中」があり、その中で各企業が主力事業をどこに置き、その売上比、利益比、利益率を見ることにより、その企業の主力事業の優位性を確認することができ、そのことを経営者、従業員はもちろん、株主、取引先、債権者、地域社会等が共通に認識することが、その企業の知的資産経営を確立し、ひいては安定した利益、成長をもたらすことになるという。そして、主力事業はおおむね売上高の20%以上を生み出す事業部門と考えられるという注意書きがある。ちなみに、今回の対象企業の中で、主要部門の売上比、利益比、利益率、全てを公開している企業はヤマザワ1社であり、他の企業は売上比のみであった。
さて、このような観点から食品スーパーマーケットの売上構成比をみた場合は、食品スーパーマーケットの主力事業は、対象8社の平均をとると、食品の約30%、日配の約20%、青果の約15%の3つといえる。青果は精肉、鮮魚を合わせた生鮮3品では約35%となり、大きく見れば、生鮮、食品、日配といえる。この3大商品群の中で、生鮮強化型の典型的な企業がオオゼキであり、何と47.1%の売上構成比である。もっとも低い企業が30.9%と同率で大黒天物産とマックスバリュ東海である。特にオオゼキは、青果の売上構成比が20.7%と主要企業の中でもずば抜けており、青果を生鮮の主力商品にすえていることがわかる。
一方、グロサリー強化型の典型的な企業が大黒天物産であり、マックスバリュ東海となる。ただ、グロサリーについては、日配とグロサリーの境界線が各社違うため、単純に公表数字で比較するのは難しいといえる。ちなみに、グロサリーの売上構成比が最も低い企業はヨークベニマルであり、24.5%である。ヨークベニマルは日配+惣菜の売上構成比は対象企業の中でNo.1であり、特に、惣菜が何と13.5%という圧倒的な数字である。各社平均は8%強であるので、13.5%は主力事業といってもよい数字であり、改めて、ヨークベニマルの強さと収益力は惣菜にあるといえよう。
その他企業の特徴としては、ベルクが生鮮の中で鮮魚を強化しており、青果と並び13.1%の売上構成比である。また、雑貨が8.5%と対象企業の中でNo.1であり、ベルクの収益力は鮮魚と雑貨が大きく貢献しているものといえる。エコスは対象企業の平均値に近く、明確な主力部門がないが、バランスのよい売上構成比といえよう。最近、600坪タイプのSSMの出店を強化したハローズもエコスと同じく、対象企業の平均に近い売上構成比であるが、生鮮の中では精肉が12.4%とNo.1で、青果よりも、鮮魚よりも精肉の強い生鮮部門を確立している。ヤマザワも対象企業の平均に近い売上構成比である。ヤマザワについては、先にも触れたように、唯一荒利を公表している企業であり、それを見ると生鮮が27.8%、日配が28.9%、グロサリーが21.2%、トータル25.5%であるので、日配、生鮮が利益の牽引役であることがわかる。また、最近、急激に導入は進んでいる酒については今回の対象企業のうち、分離して公表している企業は3社であるが、平均売上構成比は5%であり、エコスの6.3%、オオゼキの6.3%、ハローズの2.3%が現状の売上構成比である。
今回の対象企業は8社であったが、この8社の中でも各社の特徴がはっきり出ており、どの部門を主力部門にすえて取組むかが、今後の食品スーパーマーケットの成長と収益の確保の鍵を握っていることが改めて明確になったといえよう。
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