注目株!! 大黒天物産が上場来最高値更新!
大黒天物産が上場来最高値を11/17に更新し、5590円の値をつけた。10/28をピークに11月に入り、やや値を下げていたが、11/7以降じりじり値を上げ、11/17、5590となった。本ブログでも10/31に取り上げた時には上場来高値は2004/04/14の5540円であったので、今回50円の更新といえる。5590円は上場している食品スーパーマーケットの株価の中ではSHOP99の367000円を除けば、断トツのNo.1であり、2位のサンエーの4000円を大きく上回っている。しかも、PBRが何と6.1倍と食品スーパーマーケットの平均PBRが約1.5倍であり、SHOP99の7.2倍についで2位であり、3位は丸久の3.8倍であるので、如何に資産価値が高いかがわかる。ちなみに、PERは約30倍であるので、ほぼ食品スーパーマーケットの平均であり、この株価でも高すぎるとはいえない状況といえよう。
大黒天物産の来期の予想は、売上高は416億円(144.2%)、営業利益、経常利益とも23.4億円(127.7%)であり、売上高営業利益率、経常利益率は5.6%である。この成長と収益を支える戦略が出店であり、現在、大黒天物産は24時間営業のスーパーディスカウントストアのディオ16店舗とメガディスカウントランドのラ・ムーを6店舗展開している。今期2005年度はすでに、ディオを3店舗、ラ・ムーを2店舗の計5店舗の出店をした。
大黒天物産の特徴は、スーパーディスカウントストア、ディオの24時間営業の実現により、“エブリーデー・ロープライス”から“エブリータイム・ロープライス”を実現したことにある。もともとが物産の社名が示すように卸売業からスタートしている企業であるため、メーカー、一次卸からの1品大量仕入れをはじめ独自の仕入れルートを持っているため、ロープライスを可能にしている。さらに、最近では、現在、200点を越えるという自社PBの「D-PRICE」を開発したことも大きい。また、ロープライスで荒利が22.4%と一般の食品スーパーマーケットに比べ低めであるが、徹底的なローコスト経営にも徹しており、販管比率は何と16%である。そのため、経常利益率も今期は6.3%ときわめて収益性の高い企業をつくりあげた。経費16%の中身は、人件費率が福利厚生費も含め、荒利高の約30%強、売上高の約7%強に抑えられている点と、宣伝広告費が何と0.4%と極めて低い点である。通常の食品スーパーマーケットでは荒利高人件費比率で約35%、宣伝広告費で約2%はかけているので、この2つだけでも、約6%も違うのであるから、その分ロープライス政策をとることができる。すなわち、独自の仕入れで原価を抑え、独自のマネジメントで経費を抑え、収益を極限まで高める経営が実践されているといえよう。また、短期の1年以内に返済予定の長期借入れ金は約3億円弱とほぼ横バイであるが、長期借入金が昨年は約6億円あったが、今期は約半分圧縮し、3億円強となり、財務体質も改善が進んでいる。
ただ、これだけ財務内容がよい大黒天物産であるが、既存店の活性化には苦労しているのが現状で、直近の10月度の数字を見ると、既存店の売上は96.4%であり、客数は横バイであるが、特に、客単価が95.2%と落ち込んでいる点である。PI値、平均単価ともに約97%であるので、既存店の活性化が今後の大きな課題である。特に大黒天物産では、生鮮構成比が約30%、グロサリー構成比が約70%と通常の食品スーパーマーケットと比べ、極端にグロサリー構成比が高い。これは企業の創業が卸売りからはじまったということもあり、グロサリー最優先のロープライス政策をとっているためといえよう。今後、いかに、生鮮構成比を上げうるかが既存店を含めた、全店の客単価アップのポイントとなろう。
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