相場安の時のPI値活用のポイント
ここへきて、今期、2度目の野菜の相場安である。東京中央卸市場の1月から10月までの月間市場統計情報をみると、1月から5月までは昨年対比100%前後で推移していたが、6月に入り、80%台に暴落した。そして、この数ヶ月95%前後でやや持ち直し気味であったが、10月に再び暴落、75%台まで落ちた。11月に入っても前半は厳しく、後半やや上向きになってきたが、依然、昨年対比100%までは解消していない厳しい相場が続いている。
11/25から12/1の週の個々の商品の状況を見ると、大根75%、人参60%は、まだいい方で、キャベツは57%、レタスは何と41%と大きく値を下げている。これ以外にも、はくさい73%、ほうれんそう85%、ねぎ71%、かぼちゃ66%、ピーマン63%に加え、超主力のトマトも73%と厳しい相場である。これに対し、昨年対比を上回った商品は、きゅうり115%、なす120%、じゃがいも110%、たまねぎ122%、生しいたけ133%とわずかである。単純平均では野菜全体は89%と10月以降、厳しい相場が依然として続いているといえる。
さて、一般に青果の相場が上がった時には、それに連動して業績がアップする場合が多いが、逆に今回のように、相場が暴落といってよいほど下がった時には、それにともない業績が急落することが多い。特に、前月度は客単価が大幅に減った企業が多かったのではないだろうか。そこで、今回は、このように相場が下がった時のPI値活用の方法を考えてみたい。
相場に野菜の客単価が左右されてしまうということは、通常の売り方は相場高の時には通用するが、相場安の時は通用しにくい傾向があるということである。では、なぜそういう傾向があるのか。客単価は一般的にPI値×平均単価であるが、相場が下がるとは、通常の商品の全体の平均単価が下がることである。全体の平均単価が下がるとは、トマトでいえば、トマトの中心プライスが下がるといことである。今回は73%であるので、約30%ダウンしたということだ。別の見方をすれば値頃が崩壊したともいえる。値頃とはトマトの全SKUの売上を販売数量で割った平均単価のことである。この平均単価=値頃が相場安によって崩壊するとどうなるか。低価格商品と高価格商品に2極分化され、両極端な価格体系となり、通常の品揃えではこれまでの客単価を確保しえなくなってしまうのである。したがって、相場が下がり、中心プライスが崩壊した時には通常の売り方は通用しなくなり、新たな客単価アップ政策が必要となる。
では新たな客単価アップ政策とはどのようなものであるか。それは、相場安によって中心プライスが崩壊するので、まず、平均単価を極限まで下げて、PI値を過去最高にもってゆく商品開発、具体的にはバラの徹底強化である。そして、一方、全くその反対の、それまでの平均単価の高い商品が下がり、平均単価が低くなり過ぎることを補う特大サイズ、容量の商品開発である。この特大サイズ、容量の商品開発によって、平均単価のダウンを食い止めることができる。そして、もう一つが、崩壊した中心プライスゾーンに導入する同容量でアップグレードされた、相場安以前の中心プライスを維持した商品開発である。すなわち、PI値アップ商品、平均単価アップ商品、値頃になったアップグレード商品の商品開発を行い、品揃えを変えることがポイントである。
お客さまから見れば、いままでの商品のグレードがあがり、バラは安くなり、お買い得商品がよりお買い得になる売場ができあがるということである。このように、これら3つの商品開発をトマトで、キャベツで、ねぎでと、重点商品群から見直すことが相場安における喫緊の対策である。相場安の時は、商品の品揃えの全面見直しなしに数字の好転はないといえよう。
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