セイフウェイ、赤字を脱却し、今期も黒字基調!
セイフウェイの株が25ドル近辺でもみ合っている。ニューヨーク証券取引所、12/23の株価は24.38ドルで引けたが、この数ケ月、株価が上昇基調で推移している。セイフウェイは2002年度に赤字に転落し、それまで40ドル台であった株価が、いっきに15ドル近辺まで暴落した。その後、20ドル強まで値を戻したが、2004年度は値をじりじり下げ20ドルを切る株価がつづいていた。しかし、2005年1月決算で黒字転換の結果となるや、株価が上昇に転じ、この2005/10/04には年初来最高値の26.46ドルをつけた。その後25ドル近辺でもみあっている状況が続いている。セイフウェイの株価は過去最高は1999年と2001年の60ドル台であり、現状の約25ドルはその時と比べるとまだまだであるが、収益の回復基調がみえはじめた現在、今後の成長戦略をどのように構築するかが鍵といえる。
セイフウェイの過去5年間の財務諸表を見ると、売上、税引き後利益(単位100万ドル)は2004年(35,822.9、560.2)、2003年(35,727.2、-169.8)、2002年(34,917.2、-828.1)、2001年(34,434.5、1,253.9)、2000年(32,103.3、1,091.9)という推移であり、株価が最高であった2001年度は5年間で最高の利益、売上対比約4%を出している。
ただし、売上は過去5年間ほとんど横ばいである。店舗数は現在1802店舗であるが、2003年(1817店舗)、2002年(1808店舗)、2001年(1773店舗)、2000年(1688店舗)とこの数年間は毎年ほぼ50店舗づつスクラップしているのに対し、新店がスクラップ店舗を大きく上回ることができずに、売上の伸びが止まっているのが原因である。
一方、収益に関しては、2002年度に赤字に転落し、翌年の2003年度も赤字が続き、株価がいっきに下がったが、赤字の原因は特別償却であり、P/Lの問題ではなかった。過去5年間の粗利率と経費比率の割合を見ると、2004年(29.58%、26.30%)、2003年(30.02%、26.37%)、2002年(31.49%、25.09%)、2001年(31.30%、23.37%)、2000年(30.11%、22.61%)とむしろ20004年度の方が低く、2002年度、2001年度はしっかりバランスがとれているからである。また、この第3四半期(2005/09)までの数字をみても、売上、収益ともに安定しており、今期も好決算が期待できそうである。
これらの数字をみると、アメリカと日本の食品スーパーマーケットを比べた場合、粗利の高さが際立っていることがわかる。日本の食品スーパーマーケットで平均30%の粗利の企業はまれであり、これが経費比率約25%をささえるポイントである。その背景にあるのは売上の20%強を占めるPBブランド戦略であり、セイフウェイでは何と全米に21の工場を所有し、PBの生産をしているという。牛乳工場が6つ、パン工場が5つ、ドリンク工場が4つ、アイスクリーム工場が2つ、果物・野菜加工工場が1つ、ペットフード工場が1つ、その他が2つである。同様にカナダにも12の工場があり、これら合計33工場でPBブランドが毎日生産され、約1800店舗に配送されている。
このように、営業面では順調といえ、新規出店戦略が今後の鍵となってきた。セイフウェイはこの数年間新規出店は30~40店舗であるが、スクラップも多く、実質、店舗数の増加は、企業買収であったといえる。1997年にはボンズ320店舗、1998年にはドミニックス116店舗を、1999年にはアラスカのカース49店舗、ランダルス117店舗を、そして、2001年にはゲナーディス39店舗を買収してきた。
今後はウォールマートのスーパーセンター約2000店舗との本格競争にどう対抗するかが大きな課題である。ウォールマートの経費比率15%強にもとづくEDLPの売価にPBおよび店舗数の拡大による生産コストの引き下げでどこまで売価を引き下げられるかが課題であろう。また、一方でセイフウェイは全米約1600店舗(カナダ約200店舗)のうち約30%の500店舗をカルフォルニアに展開しており、この地域でのさらなるシェアアップも今後の課題となろう。
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