ヤオコー、惣菜構成比が青果を抜き、過去最高に!
12/2、上場来最高値、3000円の値をつけたヤオコーの株価が急騰しているが、ヤオコーの最大の強さは惣菜部門にある。2005年3月の決算で、はじめて青果の構成比12.8%を0.1%上回り、12.9%となった。そして、この11月1日、ヤオコーの中間決算が発表されたが、それによると、惣菜の構成比が過去最高の13.3%となり、青果の13.0%を0.3%上回り、その差を広げつつある。
ヤオコーは惣菜を惣菜、寿司、ベイカリーと分けて集計しているが、寿司、ベイカリーは横ばいであるが、惣菜が伸びたのが大きかった。特に、2005年度決算には2004年6月にオープンした惣菜No.1店舗の埼玉県鶴ヶ島市のワカバウォーク店の貢献が大きかったといえる。ワカバウォーク店はヤオコー自らがデベロッパーとなったNSCであり、本体で30億円、NSC全体では140億円を目指した店舗である。東武東上線の若葉駅から徒歩1分の駅前立地という特性を最大限にいかした惣菜を店頭に配置するというヨークベニマルタイプのレイアウトを採用し、惣菜を戦略商品にすえた店舗である。
もともと、ヤオコーの惣菜構成比は他の食品スーパーマーケットと比べ、極めて高く、この数年間の推移を見ると、2005年(12.9%)、2004年(12.4%)、2003年(12.4%)、2002年(12.4%)、2001年(12.3%)、2000年(11.9%)、1999年(11.6%)とじりじり構成比を上げつづけ、この中間決算でとうとう13.3%と過去最高となった。特に、2002年度には惣菜部門が株式会社三味へと分社化され、一層の強化がはかられた。ちなみに、この間の生鮮3品の構成比は青果が12%強、鮮魚、精肉が10%弱という構成比であるので、惣菜がいかに戦略部門として位置づけられてきたかがわかる。
また、この惣菜の強さをささえた背景のひとつにヤオコーが早くから、NSCに本格的に取組んできたことがある。ヤオコーは何と1978年に埼玉県小川町に本格的なNSCをオープンさせており、現在、NSCが全店舗の半分以上を占め、前期から今期にかけて新店を10店舗出店しているが、9店舗がNSCである。最近のNSCはほとんどが700坪タイプであり、惣菜スペースも充分に確保でき、客数も週末、祭日に増える傾向があり、自然惣菜が強くなるという特徴がある。この数年のNSCの出店状況をみると、今期5店舗(SM2)、2005年6店舗(SM1)、2004年6店舗(SM2)、2003年2店舗(SM5)、2002年1店舗(SM1)、2001年9店舗(SM0)と過去7年間で何と29店舗の新規出店である。
さらにヤオコーは惣菜の粗利も年々高まっており、以前は43%~44%であった粗利率が最近では2ポイント強増加し、46%~47%にまで高まった。売上面だけでなく、粗利面でも戦略部門といえよう。ヤオコーは青果と加工食品を20%強の粗利で集客部門にすえ、鮮魚(32%強)、精肉(32%強)、日配(27%弱)で利益を確保するという戦略であるが、これに惣菜が集客と収益、双方に貢献する部門となったことが、ヤオコーの強さのポイントである。
今期中間決算では売上103.7%、経常利益102.6%と、これまで110%で伸びていた成長率、収益率がやや低めとなったが、2006年度見込みでは売上は102.9%、経常利益は110.9%の見込みであり、収益性の高い決算結果となりそうである。また、中間決算ではキャッシュフローが約45億円と過去最高となり、この面からも収益性の高さが鮮明となった。
今後、食品スーパーマーケットはスーパーセンターとの激しい競争になるものと思うが、ヤオコーのように惣菜の強いNSCづくりが、食品スーパーマーケットにとって、成長性、収益性を確保するための重要な戦略となろう。
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