西友、2005年12月度の決算を発表(2/17)
西友の2/17の株価が急落した。前日比35円(-12.73%)安の240円で引けた。この日は西友の2005年12月度の決算発表があり、売上高9,971億円(-3.3%)、営業利益12億円(-87.3%)、経常利益-61億円、当期利益-177億円であり、減収大幅減益となった。株価はこの結果をダイレクトに反映したといえる。西友の株価は1/17に年初来高値の397円をつけて以来、徐々に値を下げ、一時、上昇に転じたが、2月に入り、また、下降線を辿り、2/17の決算発表まで株価を下げ続けていた。
大幅減収になった主な原因を西友は、値替による差益率の悪化であると分析している。値替えとは販売価格を強化するための割引価格への変更のことであり、これが定番価格とのバランスが崩れ、粗利コントロールがうまくゆかなかったということであろう。また、もうひとつの原因として、大型プロモーション、特に「大創業祭」にともなう販売管理費が予想以上に増加したことによるという。
実際のP/Lでこの事実を見てみると、粗利率は、売上総利益で見る限り、昨年24.6%、今年も24.6%であり、粗利率の悪化はない。むしろ、これに不動産収入等の営業収入を加えた営業総利益は28.1%から28.4%へと上昇しており、粗利率はわずかであるが、改善している。したがって、数字からは西友が指摘しているほど、値替えによる差益率の悪化は見られないが、部門によってははそのようなことがあったのかもしれない。一方、販売管理費であるが、これは昨年が27.2%、今年が28.2%と1ポイント上昇した。この1ポイントの上昇分がほぼ粗利率とイコールになり、営業利益がほぼ0になった。そのため、昨年とほぼ同じ雑損失約100億円をカバーできなくなり、経常利益が-61億円になったといえる。したがって、昨年との違いは販売管理費の上昇分1%であり、これが、今期に関しては収益悪化の最大の原因であったといえよう。
西友は来期、既存店約65店舗の改装を最重点課題としており、これが成功すれば、販売管理費の固定費が相対的に下がり、販売管理費比率は今期よりも下がる可能性があり、来期予想の経常利益0%は可能な数値ではあろう。ただし、来期からは減損会計が適用されるため、特別損失の450億円をカバーすることは難しい。今後、西友がさらに利益を出してゆくには、もう一歩踏み込んだ既存店の活性化に加え、採算の合わない店舗の閉鎖、収益構造の高い新規業態であるスーパーセンターの大量出店による業態転換が必要と思われる。本家のウォールマートは10年かけて、ディスカウントストアを主力業態とした企業から、スーパーセンターを主力業態にした企業への劇的な転換を遂げた。西友も今期から5年で劇的な業態転換を行うことが急務といえよう。
今期から、西友の経営陣も一新され、11人の取締役の内、6人がウォールマートからの取締役である。これまでよりは意志決定が格段に早まることとなろう。また、その総指揮をとるCEOのカレジェッスキー氏はウォールマートの食品スーパーマーケットを立ち上げた実績をもっており、食品スーパーマーケットに関しては専門家である。また、既存店改装プロジェクトの「新ビジネス開発プロジェクト」とそれを補完する「地域MD活性化プロジェクト」も立ち上がる。前者はウォールマート側から、後者は西友側から人選されるという。さらに、新たにサプライチェーン総括本部も設置し、ウォールマートから専門家が派遣され、商品本部もウォールマートインターナショナルのトップが就任するという。今期の西友は完全にウォールマートが経営、営業の主導権を握ってのスタートであり、ウォールマートが今後、日本市場で成功するか否かの真価が問われる1年となろう。
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