山崎製パンにみるパンの現状!
パンは食品スーパーマーケットにおいて最近重要な商品として育ちつつある。管理部門としては日配に属し、主力商品群は食パン、菓子パン、和・洋菓子に大きく分かれる。客単価は100円近くあり、PI値は50%を優に越える。その中でも客単価の最も高い商品群は菓子パンであり、40円近くあり、ついで食パン30円、その他30円というところであろう。したがって、パンの強化のポイントは菓子パンにあり、ついで食パンの強化がポイントとなる。
さて、2/21、山崎製パンが決算短信を公表した。それによると、売上7375億円(100%)、営業利益141億円(70.56%)、経常利益158億円(78.8%)、当期利益61億円(75.8%)であった。売上は昨年並みであったが、営業利益、経常利益ともに昨年を大きく下回り、厳しい決算内容であった。特に、食パン、菓子パンの伸び悩みに加え、売上の約8%を占めるコンビニエンス事業が営業損失となり、約3億円強の赤字になったことが大きかった。
ちなみに、山崎製パンの現在の株価は2/21現在、874円である。昨年12月は950円前後で推移していたが、今年に入り徐々に値を下げている。PBRは0.92倍、ROE3.03%、PER31.63倍、時価総額1925億円である。PBRが1.0倍を切り、厳しい経営状況といえる。早急に資産価値を引き上げるために、ROEの改善が急務であり、そのためには収益率の高い菓子パン、食パンが鍵を握っているといえよう。
さて、その菓子パン、食パンを含む食品事業の現状であるが、総売上は6782億円と全売上の92%を占め、営業利益も今期138億円を稼ぎ出している。全体の営業利益が141億円であるので、利益のほぼ100%が食品事業であるといえる。その中でも菓子パンは2755億円(100.6%)の売上であり、食品事業の40.6%を占め、トップの売上である。
一方、食パンの売上は879億円(98.5%)で食品事業の12.9%を占める。ここからもわかるように、いかに菓子パンのウェートが大きいかがわかる。また、菓子パンの比率はほぼ食品スーパーマーケットの比率であるが、食パンは若干低めであることから、菓子パンでは山崎製パンのシェアは高いが、食パンではシェアが充分に取りきれていないといえよう。
その他の商品では食パンを上回る商品群があり、調理パン・米飯である。売上が990億円(99.5%)で食品事業の14.5%で、わずかに食パンを上回っている。ついで、洋菓子であり、売上732億円(98.2%)で食品事業の10.7%である。そして、和菓子が続き、売上651億円(100.4%)で食品事業の9.5%を占める。最後はその他菓子等であるが、売上772億円(100.8%)であり、食品事業の11.3%である。
このように、山崎製パンの主力事業は食品事業の40.6%、全社の売上の37.3%を占める菓子パンであり、菓子パンが現在の山崎製パンを引っ張り、かつ、支えている商品群であるといえる。
実際、山崎製パンの菓子パンにはPI値の高い商品が目白押しであり、高いものだと優にPI値1%を越える商品がある。主な商品はナイススティック、高級つぶあん、コッペパンのジャム&マーガリン、チョココロネ、女峰ジャム&マーガリン、小倉&マーガリン、薄皮つぶあんぱん、ミニスナックゴールド、ホワイトデニッシュショコラ、カレーパン、まるごとソーセージ等であり、他社がなかなか追随できない商品である。またこれに加え、菓子パンのマーチャンダイジングの最大のポイントは品揃えをどこまで拡大できるかであるが、山崎製パンの新商品開発力には定評がある。
食品スーパーマーケットでもパンの決め手は菓子パンのマーチャンダイジングが鍵を握り始めた現在、山崎製パンとしても、再度、企業の根幹の菓子パンの再構築が今後の業績改善の鍵を握っているといえよう。
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