菱食に見る食品卸売業の現状!!
日本の食品スーパーマーケットに大きくかかわっている食品卸売業の年商5000億円以上の企業は6社である。No.1が国分の約1兆3000億円、No.2が菱食の約1兆2000億円、No.3が日本アクセスの約8000億円、No.4伊藤忠食品、No.5三井食品、No.6加藤産業で、この3社はほぼ5000億円という年商である。この内、No.1の国分、No.3の日本アクセス、No.5の三井食品は非上場である。
そこで、ここでは食品スーパーマーケットと特に関係の深い菱食について、その現状を菱食の最新経営数字である第3四半期の決算数字でみてみたい。菱食の食品スーパーマーケットの売上構成比は卸売業界の中でも高く、約40%を占め、圧倒的なシェアである。過去3年間の推移も39.6%、40.0%、41.7%と年々少しづつであるが、シェアが拡大している。2番目がコンビニエンスストアで13.0%で、過去3年間の推移は13.3%、13.0%、13.0%とほぼ横倍である。そして、3番目がGMSであり、8.8%である。そして、シェアは小さいが、ドラックストアが過去3年間3.5%、3.7%、4.3%と伸びているのが現状である。このように、菱食の経営の根幹は食品スーパーマーケットとの取引といってよく、年商1兆2000億円の約40%、約5000億円の取り引きである。
一方、菱食の主力商品群を見てみると、No.1が酒類であり、25.1%を占める。過去、3年間は28.3%、25.8%、25.1%であるので、ほぼ横ばいである。No.2は冷凍・チルドであり、21.1%である。この冷凍・チルドについては3年前は9.7%であったが、昨年21.1%、そして、今年21.4%と昨年から急激に数字を伸ばした商品群である。今後、菱食は冷凍・チルドにも力を入れてゆくことになろう。そして、No.3が嗜好品・飲料類であり、17.5%であり、No.4が調味料で14.2%、No.5が麺・乾物で10.5%となる。この5つで、全体の90%越える。
食品スーパーマーケットのシェアが約40%であるが、取り扱いシェアを見ても、食品スーパーマーケットでいう加工食品にあたる嗜好品・飲料類の17.5%、調味料類の14.2%、麺・乾物類の10.5%を合計すると42.2%となり、食品スーパーマーケットの加工食品への卸売業が経営の柱といえる。ついで、冷凍・チルドの、酒、菓子が続き、いわゆる、食品スーパーマーケットのレイアウトの外周の生鮮に対して、内側の雑貨を除く、すべての商品群に対応した、食品スーパーマーケットの売上の約50%を菱食の取り扱い商品でまかなえることになる。
このような食品スーパーマーケットへの卸売業を経営の根幹にすえた菱食の最新の経営数値を直近の第3四半期決算で見てみると、売上は101.1%、営業利益105.9%、経常利益105.4%、純利益107.1%で、増収増益である。また、通期も増収増益予想であり、2005年12月期は好決算が期待できそうである。菱食は卸売業であるので、食品スーパーマーケットとは経営構造が大きく違い、売上が1兆円を越えるが、粗利率は8%、販売管理費率は7.5%、営業利益率は0.5%という文字通り薄利多売の世界である。また、菱食の直近の株価の推移を見てみてみると、ここ数年ほぼ株価は横ばいであり、この数ヶ月は3300円前後で推移している。ちなみに、菱食のPBRは2.33倍、ROEは8.22%、PERは22.8倍、時価総額1342億円である。
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