既存店活性化が食品スーパーマーケットの当面の課題!!
2/7の日経に「九九プラス、今期純利益24%減、既存店の低迷長引く」という記事が掲載された。記事の内容は、2006年3月期の九九プラスの連結純利益が前期比24%減の7億円になる見通しであり、その原因として、食品スーパーマーケットが安売りを強化した影響で主婦を中心に来店客が減少したという。大量出店で増収は確保するが、店舗採算が良い既存店売上高の長期低迷が響くということである。また、九九プラスは年末には全店舗の1/5に当たる170店舗を改装したが、想定した売上の回復にはとどいていないもようだという。新規出店に関しては約300店舗の計画で、今期末には800店舗強になる予定という。
このように、九九プラスは新規大量出店による売上にささえられており、これほどの大量出店にもかかわらず、純利益が24%も減少してしまうのは、既存店の数字が低迷しているからに他ならない。実際、既存店の売上が伸びた場合は経費の変動費は売上に応じてかかるが、固定費がその分かからず、企業全体の収益は改善することになる。逆に、既存店の売上が下がった場合には、固定費が利益を圧迫し、企業全体の収益を悪化させることになる。したがって、小売業の収益確保の最大のテーマは既存店の売上改善であり、そのためには既存店の客単価アップが最大のテーマとなる。
実際、昨年12月度の九九プラスの既存店売上は95.8%であり、全店は136.7%であるので、非常に厳しい既存店の数字であり、その瞬間に、企業全体の収益性は厳しいものとなってしまう。他の食品スーパーマーケットの既存店の数字に注目してみると、PLANTはさらに厳しい数字であり、94.8%である。PLANTも全店は123.2%であるので、九九プラスとよく似た状況といえる。さらに既存店95%前後の企業を見てみると、カスミが95.4%、ダイイチが96.7%、オリンピックが96.7%、マックスバリュ西日本が97.3%である。これらの企業は全体の数字も100%強であるので、収益的にはかなり厳しい状況にあるといえよう。小売業の場合は収益の数字をみなくとも、既存店の売上数字をみれば大体その企業の収益性がわかってしまう。
反対に、既存店が105%近くまで回復した食品スーパーマーケットもある。イズミ、ヤマザワの2社がこの12月度は、ほぼ105%弱となり、全体も同様、105%近い数字である。102%から103%の企業はマックスバリュ東海102.7%、バロー102.4%、の2社であり、現状の食品スーパーマーケット業界ではまだまだ既存店の回復まではできていないのが現状といえよう。
このように、現状の食品スーパーマーケットの既存店が回復基調にある企業はまだまだごく僅かであり、大部分の食品スーパーマーケットは新店により、既存店をカバーし、昨対の売上を支えており、収益性はけっしてよいとはいえない。収益性を改善するためにも、今年の食品スーパーマーケットの大きなテーマは既存店の昨年対比105%以上が急務であろう。ちなみに、食品スーパーマーケット業界で既存店の昨年対比がトップクラスの企業はオーケーストアであり、本部ブログでも触れたが、既存店108.6%で現状走っている。したがって収益性も高く、売上119.9%に対し、経常利益は138.5%であり、まさに、既存店の数字が収益にも大きく跳ね返った結果といえよう。
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