生鮮、仲卸売業者、最新の経営実態を見る!
東京中央卸売市場が、この3/3に最新の仲卸業者の経営実態調査、「データで見る仲卸業者の経営状況」を公表した。この実態調査は平成16年中に決算を終え、平成17年8月までに事業報告書を提出した業者を対象とした調査結果である。水産物、青果、食肉、花きの4つに分けて集計されており、現状の仲卸業者の経営実態を知ることができる。
まず、全体像だが、平成16年末現在、仲卸業者数は1456者であり、これは平成15年と比べると60者減少している。また、平成元年は1794者だったので、18.8%(338者)の減少であり、仲卸業者の数は年々減少傾向が鮮明といえる。売上高については54.8%が減少しており、経常利益については、39.1%が赤字となっている。
次に、それぞれの部門の実態はどうかを見てみたい。水産物においては、平成元年は1236者であったが、全体の傾向と同様年々減少を続け、平成16年には975者(78.9%)となった。青果については、平成元年502者であったが、平成16年には395者(78.7%)と減少している。食肉も同様であり、平成元年は50者であったが、平成16年は34者(68.0%)と減少した。一方、花きは平成元年わずか6者であったが、平成16年には52者(866.7%)と、大幅に増加し、仲卸業者の中では大きく業者数を伸ばした部門である。
では、営業成績はどうであろうか。水産物の仲卸業者では、前期よりも売上を伸ばした業者はわずか24.9%であり、66.3%が売上が減少し、残り8.8%が現状維持と、半数以上が売上が減少している。青果については、水産物とは逆に、前期と比べ売上が増加した業者は58.7%と半数を越え、売上が減少した業者は31.6%で、残り9.7%が現状維持であった。食肉については、青果よりもさらによく、前期よりも売上が増加した業者が74.1%と大半であり、残り25.9%が売上が減少した。花きは前期よりも売上が増加した業者が50.0%、減少した業者が47.9%、残り2.1%が現状維持とほぼ増加と減少が半々だった。このように、売上については、青果業者、食肉業者、花きは半数以上が前期をクリアーしたが、水産物は厳しい状況であったといえる。
次に、売上総利益率であるが、全体としては13.24%であり、前期比をわずかに上回った。水産物は16.18%、青果は11.66%、花きは15.60%といずれもやや前年を上回ったが、食肉のみは7.66%とわずかではあるが、前年を下回った。一方、営業損益については、全体としては水産物は47.5%が黒字であるが、52.5%が赤字であり、半数以上の業者が赤字となった。青果については55.89%が黒字であり、44.11%が赤字であり、やはり大半が赤字といえる。これに対し、食肉については、81.5%が黒字であり、18.5%が赤字、同様に、花きに関しては77.1%が黒字であり、22.9%が赤字と、大半が黒字と大きく明暗が分かれた。
ちなみに営業利益率は水産物は0.2%、青果は0.48%、食肉は0.34%、花きは0.63%といずれの業者も1.0%大きく下回り、経営状況は厳しいといえよう。営業利益率が低い理由は一般管理費の高さにあり、特に、この業界特有の人件費率の高さが営業利益を圧迫しているといえよう。仲卸業者全体の平均営業利益に対しての人件比率は57.24%であり、特に水産物は63.22%と厳しい状況にある。同様に青果は53.0%、花きは54.56%と高いのが特徴であるが、食肉のみは38.42%と他の仲卸業者と比べ極めて健全な状況である。
最後に経常損益であるが、全体としては60.9%の黒字に対し、39.1%の赤字であるが、やはり水産物が厳しく、44.6%が赤字である。その他の業者は青果30.6%、食肉22.2%、花き20.8%と赤字比較的少ない状況である。
このように現状の仲卸業者は食肉、花きは比較的好調であるが、青果、特に、水産は厳しい経営をつづけており、年々業者数も減少し、この分野においては構造改革をさけて通れない厳しい状況にあるといえよう。
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