ベルク、増収減益決算、2006年2月度!
ベルクの2006年2月度の決算が公表された。それによると、売上は782.6億円(107.0%)、営業利益28.4億円(91.5%:売上対比3.6%)、経常利益30.0億円(91.7%:売上対比3.8%)、当期利益16.1億円(89.5%:売上対比2.0%)と増収減益であった。
売上は新店を6店舗出店し、46店舗となったため、順調であったが、既存店が8店舗改装したにもかかわらず、94.5%となり、伸び悩んだことが減益の原因のひとつといえる。一般的に既存店の売上ダウンは固定費がそのままオンされるため、直接経費増に結びつきやすく、減益となる場合が多い。ベルクの今回の決算でも、既存店94.5%は固定費面の負担が大きかったものといえよう。これ以外にも、今期、ベルクは先行投資として、物流センターの第3次増床工事、連結子会社の惣菜を扱うホームデリカの第2工場を建設するなど開設経費などが増え、さらに新店のオープン経費も大きかったものといえる。ただし、これらの投資は、来期には生きてくるので、来期以降の負担は小さくなるため、経費比率は来期は改善するものといえよう。したがって、来期の最大のテーマは、既存店の活性化である。
ベルクの客単価はこの数年間、毎年減少しており、2003年2月期は2168円であったが、2004年2月期2099円、2005年2月期1984円、2006年2月期1911円と毎年約100円づつ減少している。また、PI値は2003年2月期1070%、2004年2月期1060%、2005年2月期1030%、2006年2月期1030%と若干の減少であるが、平均単価が2003年2月期203円、2004年2月期198円、2005年2月期193円、2006年2月期186円と毎年3~5%づつ落ちており、これが客単価を大きく落としている要因となっている。特に2006年2月期は既存店の客数、客単価ともに約97%で推移したため、既存店の売上が94.5%となった。さらに、新店の客単価も全店の2006年2月期の客単価が96.3%であったので、差し引き、既存店の97%と比べ、新店の客単価も低かったといえ、新店も全店の客単価を下げた要因のひとつといえよう。
今後、客単価アップをはかるには、平均単価の高い、鮮魚、精肉、グロサリー、日用雑貨等の商品構成比をアップさせる一方、食品スーパーマーケットの今後の中核商品となるであろう、特にPI値アップに貢献する惣菜、ハーフデリ等の商品開発が課題となろう。ベルク自身も次期の見通しの中で、新設した惣菜工場を中心に新たな商品開発をはかり、商品力の強化、店舗作業の削減、利益率の確保をし、「製造小売業」を目指すと宣言し、惣菜に大きな期待を寄せている。
これらの状況を踏まえ、来期の予想は、新店の出店を3店舗に抑え、従業員教育の充実を図る既存店の活性化に重点を移す方針という。予想数字は、売上高816.2億円(104.3%)、経常利益30.9億円(102.8%:売上対比3.7%)、当期利益16.5億円(102.2%:売上対比2.02%)とゆるやかな増収増益である。
ベルクは、これまで比較的家族世帯が多く、埼玉県の県北から群馬にかけてドミナント戦略をはかり、高収益を上げてきた食品スーパーマーケットである。これに対し、ここ最近は、核家族中心の比較的小家族世帯の多い埼玉県の県南から東京、千葉方面に出店エリアを広げつつある。この地域はこれまでのマーチャンダイジングとは異なった戦略が必要な地域であり、素材よりも惣菜、昼間よりも夜間、平均単価よりもPI値等が重視される傾向があり、商品構成、レイアウト、オペレーション等新たな店舗、商品開発が求められる。その意味で、今後、数年の間に新商圏にフィットした新たな店舗フォーマットを確立できるか否かがベルクの今後の成長への鍵を握っているといえよう。
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