エコス、増収大幅減益で厳しい決算、2006年2月期!
エコスが2006年2月期の決算短信を発表した。それによると、連結売上高は1,148億円(107.6%)、営業利益4億円(20.1%:売上対比0.34%)、経常利益3億円(15.8%:売上対比0.26%)、当期利益-21億円となり、増収大幅減益であった。また、単独決算短信に関しては、売上711億円(101.5%)、営業利益2億円(13.1%:売上対比0.28%)経常利益2億円(12.8%:売上対比0.28%)、当期利益-12億円であり、単独も増収大幅減益であった。
これに対し、エコス自身は、既存店売上高の減少に伴う売上総利益率の低下及び販管費率の上昇等により大幅な減益となったと分析している。また減損会計の早期適用による減損損失24.9億円の計上等により当期損失になったとしている。実際、決算書で確認すると、粗利率は前期が28.1%に対し、今期は27.1%であり、1ポイント低下し、販売管理費は前期が26.1%に対し、今期は26.7%と0.6ポイント悪化している。差引き1.6ポイントであり、これが営業利益を大きく下げた原因といえる。既存店の状況については、前期の売上高が94.0%、下期がやや回復したものの98.8%であり、通期では96.6%と厳しい状況であり、エコス自身が分析しているように、既存店の不振が、粗利、経費等に大きな影響を与え、厳しい決算になったといえよう。小売業における既存店は売上が上がれば固定費が下がり、逆に下がれば固定費があがり、全体への影響が大きく、既存店の売上で昨年対比をクリアーできるかどうかが経営的には大きな課題である。
この数字を受けて、エコスは2006年度の経営基本方針を発表した。それによると、大きく、経営基本方針と数値計画からなっている。経営基本方針については、まず、2つの大方針を掲げており、1つは「組織運営を本部主体から、店舗主体へ」であり、もうひとつは「売上高の拡大と利益率の向上」である。特に、前者はいわゆる個店主義に通じる内容であり、本部主導を前提としたチェーンオペレーションの再構築といえよう。
また、上記2大方針を実現させるために、具体的な4つの政策を掲げている。出店戦略、商品政策、オペレーション施策、教育訓練・人事制度改革である。出店戦略については、今回の最大の課題が既存店の活性化にあることから、今期も全約70店舗の20%強にあたる16店舗の既存店の改装を予定しているという。また、それに加え、スクラップ&ビルドを積極的に行い、投資額も圧縮してゆく方針であるという。
商品政策については、生鮮、惣菜、グロサリーの大きく3つに分けて商品強化に取り組むという。生鮮に関しては、売場の見直し、企画の投入、そして、産直による商品力の強化により売上アップをはかるという。惣菜に関しては新たに工場をつくり、高品質商品の導入や商品開発を積極的に行い粗利率の高い惣菜強化により、粗利の改善に入るという。そして、グロサリーに関しては協同組合セルコチェーンのプライベートブランドのさらなる商品内容の充実をはかり、粗利改善を目指すという。
オペレーション施策に関しては、情報システムを見直し、店舗の業務、作業の効率化を支援し、さらに店舗中心の社内コミュニケーションの充実をはかるという。そして、教育訓練・人事制度改革については、特に、パート社員に対しての技術、マネジメント教育を行い、同時に、社員の教育研修制度を再構築するという。
これらの施策をもとに、2007年2月期の連結売上高は1,150億円(100.1%)、経常利益13億円(318.3%:売上対比1.13%)、当期利益4億円、単独では、売上高713億円(100.2%)、経常利益10億円(361.3%:売上対比1.4%)、当期利益3億円の計画である。特に、既存店に関しては100.1%の伸びを計画しているが、3月の既存店の結果は99.1%、全体では98.7%であり、上記計画を若干下回っており、厳しいスタートをきったといえよう。
4/14の日経でもエコスが関西のサボイを経営支援するという記事が載っていたが、現在のエコスの経営環境は厳しいものがあり、まず、既存店を活性化し、どこまで数字改善ができるかが当面の経営の最優先課題であろう。
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