3月度、経済月例報告、景気は回復している!
3月度の経済月例報告が内閣府から3/15に公表された。それによると、総論 としては、景気は、回復しているという判断である。これは2月度と同じ判断であり、3月度も引き続き、景気は回復基調であるといえよう。また、その判断にいたった背景には4つのポイントがあり、1つ目は企業収益が改善し、設備投資が増加している点である。2つ目は、個人消費が、緩やかに増加している点である。3つ目は、雇用情勢が、厳しさが残るものの、改善に広がりがみられる点であり、そして、4つ目が輸出、生産が緩やかに増加している点である。これら4つの状況を勘案し、政府は3月度の景気動向も2月度同様、景気は回復しているという判断を下した。
ただし、3月度の景気判断は政策判断として、今回の日銀の政策決定について、次のように言及している点が2月度と大きな違いである。すなわち、「日本銀行は3月9日に、量的緩和政策を解除し、金融市場調節の操作目標を日本銀行当座銀行預金残高から無担保コールレート(オーバーナイト物)に変更した上で、これをおおむねゼロ%で推移するよう促すことを決定した。また、同時に決定した「新たな金融政策運営の枠組みの導入について」の中で物価安定の考え方等を明確化した。」という点であり、今後、政府、日銀一体となった取組みを行い、デフレからの脱却を確実なものにするという。
では、食品スーパーマーケット業界と特にかかわりの深い個人消費と雇用情勢についてもう少し具体的に見てみたい。政府が3月度の景気が回復しているという判断にいたった個人消費の動向であるが、この背景としては、消費者マインドが改善し、所得が緩やかに増加していることがあげられるという。実際、政府が毎月、家計調査月報と鉱工業出荷指数を合成した消費総合指数を見ると、2003年の半期以降、この1月まで上昇基調が続いており、消費マインドは改善している。また、雇用者の所得の動向を表す実質雇用者所得の動きも明らかに1昨年の1月以降上昇基調で、直近の今年1月までつづいており、所得も上昇している。したがって、今後とも、政府の経済政策が継続される限り、個人消費に関しては好調に推移してゆくものといえよう。
一方、食品スーパーマーケット業界にとってのもうひとつのかかわりの深い雇用情勢についてであるが、政府は、完全失業率が高水準ながらも、低下傾向で推移し、賃金も緩やかに増加していることから、雇用情勢は改善しているという判断である。実際、完全失業率と有効求人倍率のここ数ケ月の推移をみると、この4年間、右肩上がりで推移し、とうとう、この1月には1.03倍となり、ここ数年では過去最高の有効求人倍率となった。逆に完全失業率は3年前から右下がりの傾向で推移し、ここ数ケ月やや上昇気味とはいえ、この1月度は4.5%であり、2002年、2003年頃の5.5%前後の高めの水準であった頃と比べると、明らかに下がっているのが実態である。この統計を見る限り、雇用情勢は、好景気の状況となりつつあり、正社員、パートも含め、人材確保が難しくなりつつある状況といえよう。
最後に、もうひとつ、食品スーパーマーケット業界と密接なかかわりのある物価についてであるが、消費者物価は横ばいとみてよさそうである。1月に入って、前月比は上昇しているが、これはこれまでの原油等の市況高や寒波の影響によるものと考えられ、傾向としては横ばいといえよう。ただし、企業物価、輸入物価は統計を見る限り、この数ケ月上昇基調であり、物価に関してはけっして安心できる状況とはいえない。
このように、日本経済の景気動向は3月度も2月度同様、おおむね良好であるといえよう。食品スーパーマーケット業界にとっては消費者物価が横ばいで推移し、個人消費、個人所得が堅調であり、プラスの要因といえるが、反面、好景気であるがゆえに、雇用情勢が食品スーパーマーケット業界にとっては人が集まりにくいということがマイナスの要因といえ、いかに、パートを含め、人材を確保するかが当面の課題といえよう。また、石油の市況悪化が長引けば、全体の物価にも影響があらわれる懸念があり、こと物価に関しては注意深く見守ってゆく必要がありそうである。
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