ウォールマートの陰、日経で3回に渡って連載!
4/4から4/6まで、日経新聞で、「巨人ウォールマート、独り勝ちの代償」と題して、3回に渡ってウォールマートが取り上げられた。1回目は、「大量出店・戦略に変調、効率経営に批判」、2回目は「手薄な医療保険やり玉、社員冷遇の代名詞」、そして、3回目は「民主、選挙戦の標的に、介入する政治」という記事であった。ウォールマートの陰の部分に光を当てた記事であり、今後のウォールマートの行方をうらなう上で参考になるので、再度、いま、何が問われているのかを確認してみたい。
1回目の記事では、ウォールマートが「医療費の公的負担が増える」、「米製造業の空洞化を招いている」という批判を地方自治体や労働組合が浴びせているという内容である。3月下旬には、ウォールマートの出店規制をメーン州の自治体が可決、昨年11月にはオハイオ州で労働組合が中心となり、住民投票でウォールマートの出店にまったをかけたという。また、メリーランド州では、企業に一定の医療費を義務づける「ウォールマート法案」を制定したという。
これは、ウォールマートは現在でも労働組合の活動を拒否しており、労働組合と激しい対立関係にあることが背景にある。特に、労働組合は世界中から商品を大量に輸入するウォールマートが米国製造業の職を奪うと主張しており、いわゆるEveryday Low Price政策が根本から問われているといえよう。また、ウォールマートの社員がウォールマートの医療保険ではなく、公的保険に頼ることが多く、納税者の負担になるという。これは、ウォールマートの福利厚生が不十分であるという主張であり、いわゆるEveryday Low Cost政策が問われているといえよう。
2回目の記事では、1回目の医療保険の問題をさらに掘り下げ、今年1月に成立した「対ウォールマート法案」の審議の過程で開かれた公聴会でのウォールマートの社員の証言を掲載し、ウォールマートの医療保険の問題を取り上げている。ウォールマートの医療保険は小売業界平均の本人負担3割ではあるが、大企業と比べると本人の負担割合が高いという。そのため、多くの社員やその家族が公的制度に頼らざるをえないという。この2月にはウォールマートも新型医療保険を打ち出したが、その評価はまだ定まらないという記事であった。
このように2回目の記事ではウォールマートの医療保険の問題に終始した記事となっており、ウォールマートの医療保険は小売業水準ではあるが、全米の大企業と比べるとまだまだ水準が低いという。世界有数の大企業となったウォールマートが、今後、従業員の福利厚生をどう取組んでゆくが問われているという記事であった。
そして、3回目の記事では、ウォールマートと政治との関係を取り上げ、大統領選挙に向けた民主党が反ウォールマート的な動きに出ているという内容である。ウォールマートもここ数年、政治献金が急速に増えており、特にブッシュ大統領が再選をめざした2004年には2億円強の政治献金を共和党にしたという。民主党にも政治献金はしているが、その比率は小さく、最近では民主党が医療費の増大、対中貿易赤字の象徴としてウォールマートを標的にしているという。また、つい、最近では将来の大統領選を睨んで、民主党のヒラリー上院議員がウォールマートの政治献金を返還したという記事であった。
このように、3回目の記事では、経済問題から、政治問題にもウォールマート問題は発展しているということであり、特に、民主党が医療費の増大と貿易赤字問題の象徴としてウォールマートを標的にしはじめということである。いまや、ウォールマートは政治対策も避けて通れないほど巨大な企業となったといえよう。
日経の記事はこのように3回に渡ってウォールマートの陰、医療費の増大と貿易赤字についてのものであったが、特に、医療保険の問題を中心に労働組合、政治との軋轢に焦点を当てた記事っであった。これはウォールマートの経営理念ともいえるEveryday Low PriceとEveryday Low Costが真正面から問われている問題であり、今後のウォールマートのゆくえが注目される。
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