レシート分析のポイント
一般的にレシート分析というと、商品の関連分析が先行している感があるが、レシート分析の最大のポイントは商品分類ごとの細分化した客数が把握できることにある。大分類、中分類、小分類から単品、そして、単品と単品を自由に組合せた自由分類の客数がレシート分析により可能となることである。逆に、レシート分析ができない場合は、これらの客数は全く把握できず、全体の客数しか算出できない。その商品分類、あるいはその商品を購入した顧客も、購入しなかった顧客も一緒の客数となってしまうため、客数の把握が大雑把になる。より、精度の高い顧客の購買行動をつかむためには、レシートの分析による商品分類ごとの顧客の購買行動をみることがポイントである。
これは、通常小売業界で活用されている客単価にも同じことがいえる。客単価は一般的に売上を全体客数で割って算出し、売上=全体客数×客単価で表し、売上を上げるためには全体客数をアップさせるか、客単価をアップさせるか、双方をアップさせるかという3択問題を解くことである。ところが、全体客数は店舗全体の商品政策や競合状況、社会行事、天候などに左右され、自らの力ではどうにもならない要素が多く、この改善は並大抵のことでは難しく、結局、ちらし政策が唯一といってよい解決策となる。
ところが、レシート分析が可能になると、客単価の全体客数が商品分類で細分化された細分化客数として把握可能となり、売上÷全体客数=(売上÷細分化客数)×(細分化客数÷全体客数)となり、客単価も細分化客数で把握ができる。したがって、ある商品分類の売上をあげるためには、その商品分類の客単価をあげるか、その商品分類の店内客数をあげるか、あるいは双方をあげるかの3択問題となり、これまでのように、客単価だけの改善だけでなく、店内の客数からその商品への集客をはかれば、その商品の売上アップにつながるという、新たなマーケティング政策が導きだされることとなる。
これは、自らの力で店内集客力をアップさせることが可能となるため、ちらしにかわり、POP、棚割り、レイアウト、インプロ、店内クーポンなど様々な政策が重要なテーマとなる。しかも、従来の全体客数では、これらの販促政策の効果を検証することが中々できなかったが、細分化された客数を活用することにより、かなりの精度でこれらの効果を明確な指標で検証することが可能となる。
さらに、従来、客単価は2Dで分析され、客単価=PI値×平均単価であったが、レシート分析による細分化客数を活用することにより、PI値も客単価同様、PI値=買上点数÷全体客数=(買上点数÷細分化客数)×(細分化客数÷全体客数)となり、より精度の高い細分化されたPI値(PPI(Personal PI値))に分解することが可能となり、PI値アップも細分化PI値であるPPIと細分化客数÷全体客数(これを客数PIと呼ぶ)で表すことが可能となる。したがって、客単価は、客単価=PI値×平均単価=PPI×平均単価×客数PIとなり、客単価も3Dで分析が可能となる。
このようにレシート分析ができれば細分化客数を把握することが可能となり、小売業のマーチャンダイジングのこれまでの様々な政策を、より精度の高い指標で検証できるようになるだけでなく、新たなマーチャンダイジング理論である客単価の3D分析に道を開くこととなる。残念ながら、まだまだ、レシート分析は技術的にも理論的にも発展途上であり、今後の研究に委ねる必要があるが、ここで示した、細分化客数に着目した手法は今後の小売業界の新たなマーチャンダイジングを考える上で、参考になるものと思う。
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