NSC(近隣型SC)へ専門店がシフト!
4/12の日経MJに「ポイントが新業態、近隣型のSC向け、まちづくり3法対応」という記事が載った。内容を要約すると、カジュアル衣料専門店のポイントが2年以内を目処に、NSC(近隣型ショッピングセンター)向けの新業態を開発するという。ポイントは現在、「ローリーズファーム」、「グローバルワーク」という主力業態をもっているが、これとは別に、NSC向けに低価格で、日常性の高い衣料専門店を新たに開発するという。そして、この背景にあるのは「まちづくり3法」の改正であり、この法案が成立すると大型SCの出店が大幅に制限され、新たな成長を目指すためには、NSC対応の新業態開発が必要と経営判断したという。この分野ではすでに、ユニクロやハニーズが先行しているが、ポイントは、独自性をだすために、ファッション性を打ち出すのではないかと記事では推測している。
ポイントはファッションカジュアルを専門とするSPA型(製造小売業)の衣料チェーン店であり、ここ数年急成長を遂げてきた企業である。2001/02(121億円)、2002/02(156億円:128%)、2003/02(206億円:132%)、2004/03(278億円:134%)、2005/02(377億円:135%)という急成長である。また、前期の売上総利益は228億円(60.4%)と驚異的な数字であり、SPAであるからこそ可能な粗利率である。一般管理費は153億円(40.5%)、営業利益75億円(19.8%)といずれも通常の小売業では達成不可能な数字である。
上記数字のように、ポイントはこの数年間、約130%の急成長を続けてきた企業であり、その出店戦略は郊外型の大型ショッピングセンターや都心の専門店ビルが中心であり、いわば中から大商圏中心の出店戦略であった。したがって、ポイントが今後とも高い成長性を維持してゆくためには独自のチェーン展開か、まちづくり3法に規制されないNSCへの出店が大きなテーマとなる。ただ、そのためには、小から中商圏対応の業態開発が課題となり、これが、ポイントが新業態開発に踏み切った背景である。
4/12の日経MJでは、さらに西松屋チェーンの記事も掲載しており、その中でもやはり、西松屋チェーンもNSCへの出店に自信、という内容である。西松屋チェーンはベビー子供服の専門チェーンであり、全国に500店舗近く展開している企業である。西松屋チェーンも最近ではNSCに出店しているが、売上は大型ショッピングセンターの出店ほどは取れず、販売管理費もアップするという。しかし、店舗面積が狭い分、衣料品の構成比があがり、粗利は改善するという。やはり、小商圏対応の品揃えがポイントになるという。
このように、まちづくり3法は、イオンのように、大型ショッピングセンターや大型スーパーセンターを主力業態としてきた企業に大きな影響がでるだけでなく、そこに出店していた専門店にも大きな影響が予想される。今後、大型ショッピングセンター中心に出店戦略をとっていた専門店に関しては、NSCに出店戦略を切り替えざるをえず、そのためには、これまでの大商圏型の業態から中、小商圏型の業態開発が急務となる。
一方、食品スーパーマーケット業界にとっては、今後、大型ショッピングセンターに出店してきた衣料専門店、住関連専門店、外食専門店、その他業態の専門店が小、中商圏に対応したNSC向けの業態開発が進むことにより、NSC展開においては様々な選択肢が広がる。その意味で、NSCは今後の大きな成長性の高い主力業態へ育つ可能性が高く、食品スーパーマーケット業界としては、今後、NSCの確立が新たな急成長分野となろう。今回のポイントの新戦略は、食品スーパーマーケット業界にとってNSCの開発がますます重要な経営戦略となるきっかけとなろう。
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