マックスバリュ東海のマーチャンダイジング戦略!
現在、マックスバリュ東海は、食品スーパーマーケット業界の中でも最も元気のよい企業の1社といえる。ここ数ケ月の昨年対比の売上をみても直近の2月度が122.5%、1月度が120.4%、12月度が118.5%と好調であり、既存店も100%を越えている。その背景にあるのは、積極的な新規出店政策であり、昨年度からはじまった3ケ年計画では、スクラップ&ビルドを含め、30店舗の新規出店をめざしており、さらに、今後は、週末集客タイプのNSC(ネバーフッドショッピングセンター:郊外型SC)にも力をいれてゆくという。また、もう一方では、平日強化型のきめ細かなマーチャンダイジング政策を実施し、近隣からの来店頻度を上げ、集客をはかる政策をもめざすという。
直近のマックスバリュ東海の業績であるが、3/24に2006年2月期の業績修正が公表された。それによると、売上は874億円(116.6%)、営業利益は39.7億円(110.5%)、売上対比4.54%、経常利益40.0億円(112.6%)売上対比4.57%、当期純利益28.5億円(98.2%)、売上対比3.2%と当期純利益は昨年対比で若干のマイナスとなるが、経常利益ベースでは大幅な増収増益とり、2006年2月期は好決算で終わりそうである。それにともない、ここ最近株価も上昇しており、3/31現在、前日比10円高の2310円(0.43%)で引けた。
さて、マックスバリュー東海のマーチャンダイジング政策であるが、2006年2月期の第3四半期決算の営業数値を見る限りでは、売上116.4%=客数118.5%×客単価98.2%=PI値103.5%×平均単価94.8%であり、平均単価を約5%下げ、PI値を3.5%アップさせ、客単価を前年並みに近づけつつ、客数を大幅に伸ばし、売上を大きく伸ばしていることがわかる。もちろん、客数は既存店が101.7%であるので、新店によるところが大きいが、PI値のアップが客数アップに連動しているといえ、マーチャンダイジング戦略は明確にPI値アップ戦略といえよう。
では、PI値アップ戦略に取組むマックバリュ東海のマーチャンダイジングのポイントは何かをみてみたい。柱は大きく3つである。1つ目は、火曜市の徹底強化と品切れ対策による客数増加である。2つ目は、生鮮フード部門の強化などによる粗利率の安定確保である。そして、3つ目は、とりわけ新店におけるローコストオペレーション運営の早期軌道化に向けての仕組みづくりである。この3つを柱に様々なマーチャンダイジング政策がとられている。
特徴的なマーチャンダイジング政策は生鮮強化のために味、鮮度に拘ったいつでも出来たて商品を提供するインストア製造の強化であり、きわめつけが「ワンデー・ファイブ・サイクル」を目指した生鮮重視型のオペレーション体制の確立である。これは夜間営業の標準化と収益向上を目指し、深夜、早朝の品揃え基準を策定し、時間帯毎にタイムリーな商品提供を目指したものである。そして、この仕組みをモデル店で確立し、全店に水平展開をはかり、全店の作業改善と意識改革をはかっていくという。また、商品づくりについても、出来たての追求はもちろん、バラ販売、少量パック化をすすめる一方、「マックスバリュプライス」や「スペシャル月間特値」による価格政策にも力を入れている。平日の客数対策については、均一セール企画の火曜、水曜市の商品の改廃スピードをあげる政策を重視し、新店においてはいち早く、これらのマーチャンダイジング政策を定着させることをすすめているという。
このようにマックスバリュ東海はPI値アップ戦略による客数アップに照準をあわせたマーチャンダイジング政策を主体に現在取組んでおり、一方で、今後の食品スーパーマーケット業界の今後の成長戦略をささえる店舗フォーマットであるNSC開発も本格化しつつあり、当面、注目企業のひとつといえよう。
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