日本最大の食品スーパーマーケットが誕生!!
4/11、7&Iホールディングスがヨークベニマルと株式交換締結を結び、9/1に株式交換による完全子会社化を実施すると発表した。株式交換比率はヨークベニマルの株式1株に対して、7&Iホールディングスの株式0.88株を割当て交付するという。7&Iホールディングスはこれにより、ヨークベニマルを食品スーパーマーケット事業の柱とし、子会社のヨークマート、シェルガーデンを統合すれば、年商4,000億円を越え、日本最大の食品スーパーマーケットが誕生することになる。現在、日本にはまだ年商4,000億円を越える食品スーパーマーケットは存在しないので、この統合を機に日本でもはじめて年商4,000億円の食品スーパーマーケットが誕生する可能性が高まったといえよう。
この発表を受け、4/12のヨークベニマルの株価は急騰、210円高の4,180円(5.28%)高で引けた。しかも、売買高が577千株と通常の10倍以上の大商いとなった。ヨークベニマルの年初来高値は1/13の4,360円であり、ここ数ケ月では高い水準の株価といえる。逆に、7&Iホールディングスの株価は80円安の4,760円(-1.65%)で引けた。4/12には7&Iホールディングスの決算短信の発表があったが、それによると売上は3兆8,957億円、営業利益は2,449億円であり、ヨークベニマルの売上貢献度は10%弱、営業利益貢献度は5%強である点を考えると、衝撃的なインパクトとはいえず、投資家の反応が鈍かったものと思われる。
同じく、4/12にはヨークベニマルも決算短信を発表しており、それによると、連結では、売上は3,149億円(107.8%)、営業利益140億円(98%:売上対比4.4%)、経常利益141億円(100%)、当期利益73億円(94.4%:売上対比2.3%)と営業ベースでは、増収減益であった。また、単体では、売上は2,974億円(103.3%)、営業利益114億円(94.9%:売上対比3.8%)、経常利益119億円(100.7%)、当期利益67億円(102.6:売上対比2.2)と、やはり、営業ベースでは増収減益であり、単体の方がやや数字が伸び悩んでいる状況といえよう。
ヨークベニマルの今期の営業政策は、「小商圏で繰り返し来店されるお客さまの日常の食卓をより楽しく、豊かに、便利にする」というコンセプトのもとに、「個店経営の確立」、「商品開発の強化」、「基本4項目の徹底:フレンドリーサービス、クリンリネス、鮮度と味の追求、品切れ防止」、「技術革新による生産性の向上」を基本方針とし、200店舗体制に向けた組織と仕組みづくりに取り組んできたという。基本4項目に鮮度と味の追求、品切れ防止を入れるところは食品スーパーマーケットに徹するヨークベニマルらいしい方針であり、実際、ヨークベニマルの売場を見ると、これらが徹底されているといつも思う。特に、今期は発注ミーティングを店組織に定着させることを最大の課題として取り組んできたといい、基本4項目に掲げる品切れ防止が最大の課題であったといえる。
それにともない、この数年間の既存店の客数、客単価の動きをみてみると、客数は競合店等の影響もあり、99.3%と昨年をわずかに下回った。客単価も、まだ、100%までは回復していないが、年々上昇しておおり、3年前の95.8%、2年前の96.3%、そして、今期の98.5%と確実に回復傾向にある。特に、PI値が99.3%、100.4%、100.9%とわずかではあるが、昨対を越え、確実に上昇しており、平均単価も96.5%、95.9%、97.6%と過去3年間では最も高い数値であった。この数年間、ヨークベニマルはPI値も平均単価も回復基調にあるといえ、客単価も昨年対比100%が見え始めたといえよう。
このように食品スーパーマーケット業界の中でも、経営数値はもちろん、マーチャンダイジングの完成度の高いヨークベニマルが7&Iホールディングスの完全子会社となり、日本最大の食品スーパーマーケットとなることは、今後の食品スーパーマーケット業界全体の再編成につながるインパクトがあり、今年は、食品スーパーマーケット業界にとっては激動の1年を暗示している年といえよう。
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