客単価1円の重みについて
記念すべき200本目のブログです。
チェーンストアにおける最大のメリットは店舗数の増加にともない、客数が飛躍的に増加し、それにともない売上が急激に拡大することである。一般的な食品スーパーマーケットの店舗数と客数との関係を見ると、まず、客数は1日約2,000人であり、月間約60,000人、年間約720,000人となる。これに対し、店舗数が10店、20店と増え、100店舗を越え、さらに、店舗数が約150店舗になると何と年間客数が延べ約1億人となる。日本の食品スーパーマーケットで年間客数が約1億人を越える企業はまだ7、8社であり、恐らく、この数年でM&Aが進み、20社ぐらいとなるであろう。
では、年間約1億人の客数とは食品スーパーマーケットにとってどのような意味があるのだろうか。その最大の意味は、客単価1円の価値が飛躍的にアップすることである。1店舗の場合は、客単価1円の価値は1日約2,000円、月間約60,000円、年間約720,000円であるが、これが約150店舗となると、1日約300,000円、月間約9,000,000円、そして、年間では約1億円となるのである。
このように店舗数が約150店舗になると、年間延べ客数は約1億人となり、これはイコール客単価1円は1億円に匹敵するといことを意味する。したがって、1店舗当りの客単価が仮に平均2,000円であれば、年間売上高は約2,000億円となる。また、これは、1店舗当りの客単価が仮に平均1円アップすると、その瞬間に全店では年間約1億円のアップが見込まれるということであり、客単価1円の重みが、約150店舗ともなると非常に重い価値となるのである。
ちなみに、全世界で最高の客数をほこるチェーンストアは恐らくセブンイレブンであろう。既に日本で1万店舗を超えた。1店舗当りの1日当りの客数が約1,000人であるので、月間では30,000人、年間では36.5万人、全店合計では、1日1,000万人、月間では3億人、年間では何と36億人となり、客単価1円の重みは36億円となる。以前、本ブログでも何回か取り上げたが、セブンイレブンのおにぎりのPI値が1%、平均単価100円とすると、客単価は1円となり、おにぎりの年間売上はまさに36億円となるのである。アイスクリームを約20SKUに絞り、死に筋を徹底排除し、常にPI値の高いアイスクリームの品揃えを、発注強化により、欠品させずに維持しつづけることにセブンイレブンが執念を燃やす理由はここにあるといえよう。
では、約150店舗の食品スーパーマーケットが1円の客単価をアップさせるには何がポイントとなるのであろうか。そのキーワードは「Think small!」である。ウォールマートの創業者サム・ウォルトンが常々言い続けていた言葉である。ここに真実がある。この言葉は客単価1円の重みと言い換えてもよく、まず、1店舗から、1部門から、1小分類から、1商品からはじめよということであり、その成功事例がやがては全店に波及し、1商品の客単価1円のアップが、約150店舗の食品スーパーマーケットでは1億円の売上になることを象徴的に表している言葉であるといえよう。これが小売業の本質であり、恐らく、サム・ウォルトンはそれが肌で、体の芯からわかっていたのであろう。
したがって、約150店舗の食品スーパーマーケットではまずモデル店舗を設定し、各部門、1商品、1小分類から取組み、確実な成功事例をつくり、全店へ水平展開させてゆくことが食品スーパーマーケット全体の売上アップにつながる大戦略となるのである。逆に、モデル店での、各部門、1商品、1小分類で客単価1円のアップができなければ、全店の売上アップは難しいともいえよう。小売業では、全体の売上あげるためには、モデル店での各部門1商品、1小分類から取組み、確実な成功事例をつくり、全店へ水平展開させることが王道であり、その絶えざる成功事例作りが小売業の業績アップの本質といえよう。
このように客単価1円の重みは、食品スーパーマーケットにおいては、店舗数が約150店舗近くなると、その価値が飛躍的に増し、いかに1円にこだわれるかが大きなポイントとなる。そして、そのキーワードが、「Think small!」あり、これが客単価1円の重みである。
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