まちづくり3法衆議院を通過、参議院へ
まちづくり3法の「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案」が4/21、衆議院経済産業委員会で可決され、その後、4/25、衆議院本会議でも可決された。すでに、まちづくり3法のもうひとつの「都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案」は4/11に衆議院本会議を通過しており、この連休明けには、いよいよ両案の参議院での審議がはじまる。今回は大規模店舗立地法の改正は見送られたので、まちづくり3法の法案成立は秒読み段階に入ったといえる。
4/21の衆議院、経済産業委員会での最終審議では、民主党の北神圭朗委員と日本共産党の塩川鉄也委員が質問に立った。北神委員はこれまでの委員会での審議の総まとめとしての大所高所からの質疑であったが、その中で、特に、強く質問したのは、中心市街地の活性化においては、土地の私有権にある程度の制限をつけるべきではないかという主張であった。また、塩川委員は、この法案に反対の立場からの質問であった。特に、国がまちづくり活性化案を認定することは、自由なまちづくりの試みを奪い、認定されな圧倒的多数のまちづくり案を切り捨てることになりかねないという主張であった。この2委員の質疑のあと、直ぐに採決に入り、4/21、衆議院経済産業委員会で賛成者多数で可決された。その後、4/25には衆議院本会議でも可決された。
さて、本法案および都市計画法の改正案の今後の方向であるが、この連休明けには、参議院の国土交通委員会、経済産業委員会で審議が開始され、早ければ5月中に、遅くとも、今回の第164回、通常国会の会期は6/18までであるので、来月上旬には可決される見込みである。
このような中、5/3の日経新聞で、まちづくり3法改正案に対するアンケート調査の結果が公表された。それによると、回答企業の51%が規制の適用を受けない床面積1万㎡以下の店舗を出店すると答え、郊外出店に強い意欲を示しているという。また、すでに出店を開始した企業も35%あり、都市の小商圏に対応した小型店を設けるという企業も26%という。小売業側ではすでにこの法案は折込ずみであり、着々と対案が練られ、すでに実行に移されているといえよう。
このアンケートでは、さらに、法改正に伴う業界の変化についても聞いており、最も多かったのはNSC(近隣型ショッピングセンター)が増えるという回答であり、何と約80%であった。ついで、物件競争が激化し、地価・賃料が高騰との回答が約60%であった。市街地の小型店が増えるという回答も約40%、同業のM&Aが増加という回答も40%弱と高い数字であった。逆に、中心市街地が再生し、衰退が止まるとの回答はわずか数%であり、小売業の大半はまちづくり3法がめざしている方向とは逆になると見ていることが浮き彫りになった。
日経の記事ではPLANT、ベイシアの対応についても取材しており、PLANTはPLANT3、すなわち、3000坪の店舗にシフトし、ベイシアも1万㎡以下に今後は抑えるという。またイトーヨーカ堂も1万㎡以下のNSCの出店に力を入れるといい、イオンは同様に1万㎡以下のNSCの出店に力を入れる一方で、150㎡以下の店舗の出店を強化するという。
このように、まちづくり3法の法案成立は秒読み段階に入ったが、流通業界はまちづくり3法の趣旨とは全く反対の方向に動く可能性が高く、中心市街地が政府の意図しているように活性化されるか否かは厳しい状況といえよう。また、食品スーパーマーケット業界においては、この法案成立がNSCへの異業種の参入を含め、出店競争をより加速する可能性が高く、今後、5年間はNSC全盛の時代となろう。
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