ポイントカード戦略、各社各様!
食品スーパーマーケット業界では客数アップ戦略の一環として、既存顧客に着目し、ポイントカードを導入する企業が増えている。これまでの客数アップ戦略の基本は新規顧客に着目したちらしによる価格訴求が中心であったが、競合激化により、商圏が狭まり、新規顧客を獲得するよりも、既存顧客の来店頻度をあげる方が客数アップの効果が高いという判断が働いているものと思う。では、その決め手となるポイントカードについての各社の取り組み状況を見てみたい。
ポイントカードのしくみは単純化すれば、ポイントを貯め、ポイントを使うという点につき、その貯め方と使い方の違いにより、顧客の来店頻度を上げ、客数アップに結び付けられるか否かにあるといえる。また、それにより、カード使用率が大きく違ってくるため、当然、カード使用率が低ければ、店舗全体の来店頻度をアップさせることはできない。目安としては、来店客の80%以上のカード使用率は欲しいところであろう。
実際、食品スーパーマーケット各社のポイントカード戦略の実情を調べてみると驚くほど各社各様であることが実態として浮かび上がる。ポイントの貯めかた、ポイントの使い方が全くといっていいほど違うのである。当然、これらはカード使用率に影響を与え、本来のポイントカードの目的である既存顧客の来店頻度をアップさせられるか否かにかかわるので、慎重に検討する必要がある。
そこで、まず、食品スーパーマーケット各社のポイント還元率を見てみると、最高1.0%から最低0.2%まである。1.0%はオオゼキ、サミット、ぎゅうとら、特にこの3社はキャッシュバックであり、強力な還元方法を採用している。オータニ、平和堂、フジ、京成ストアも1.0%であるが、すべてお買い物券との交換であり、キャッシュバックと比べると顧客の魅力はやや落ちるといえよう。食品スーパーマーケット業界でポイントカード戦略では定評のあるオギノの還元率は食品では0.7%、その他では0.3%であり、しかもお買い物券との交換である。オギノの強みは、ポイントが貯まり、使える提携店の多さと、ポイントカードで得られた顧客データを再利用し、DMをピンポイントで発送する仕組みが付加されており、それらが還元率の低さをカバーしているといえよう。最近、ポイントカードを発行したPLANTは0.5%、東急ストア、カスミ、オダキューOXも0.5%の還元である。このように、還元率は0.5%ないしは1.0%が大半であるのが、実情である。
ではポイント貯める違いを各社見てみると、これも各社各様であり、100円で1ポイントから200円で1ポイント、500円で1ポイント、1000円で1ポイントと4つに分かれる。オオゼキ、サミット、ぎゅうとら、ウオロク、マルト、平和堂、フジ等は100円で1ポイント、オギノ、PLANT、オダキューOX、伊徳等は200円で1ポイント、オータニは500円で5ポイント、カスミ、イズミヤは1,000円で1ポイントである。これはポイントの貯まる速さを表しているので、原則、速ければ速いほど魅力があるといえよう。
次に、ポイントを使う場合であるが、これがさらに各社各様であり、10,000円から還元、50,000円から還元、100,000円から還元、200,000円から還元と20倍以上の違いがある。通常、食品スーパーマーケットの客単価は約2,000円であり、毎日同じ店で買い物をしても月間60,000円であるので、概ね、50,000以上は1ケ月に1回還元ができないことになり、貯めても貯めても、中々還元ができないという、顧客のイライラにつながる可能性が高い。その意味で、オオゼキ、サミット、京成ストアは10,000円、ぎゅうとら、オオタニは50,000円であるが、平和堂、PLANT、マルトは100,000、カスミ、オダキューOXは200,000円を含め、これ以上は顧客にとっては厳しいものといえよう。
このように、ポイントカードのチェックポイントは還元率、貯める速さ、還元基準金額、そして、還元がキャッシュかお買い物券かの4択問題であるといえ、この4つにおいて可能な限り、競合他社に引けをとらない条件設定がポイントになるといえよう。
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