レシート分析と顧客指向
客単価3D分析に本格的に取り組みはじめて数ケ月が過ぎた。最近では客単価3Dの講演、ブログ、まぐまぐをはじめWeb等への執筆、そして、客単価3D分析の導入を検討する企業への説明等の機会が増えた。その中でよく「通常の分析と何が違うの?」という質問を受ける。そこで、改めて、客単価3D分析の他の分析手法との根本的な違いを明確にしてみたい。
結論からいうと、客単価3D分析が他の分析手法と決定的に違うのは、顧客指向の純度が違うという点である。顧客指向の純度とは、どれだけ顧客の声に忠実に分析しているかという度合いである。
では、なぜ、純度が違うのか。それは、分析の出発点、土台が違うからである。石油にたとえると、原油を使うか、重油を使うか、ガソリンを使うかという違いである。ウィスキーにたとえると、水割りか、オンザロックか、ストレートかの違いといえる。当然、小売業の経営理念は顧客指向、Customer is always right!であり、どれだけ顧客指向を目指した経営ができるかが最大のポイントであり、決定的な差別化となる。そして、そのためには日々発生する販売データをどのように分析するかであるが、実は、その前提は、その分析すべきデータそのものの純度にある。純度が高いとは、分析に用いるデータがどれだけ濃く顧客の声を反映しているかである。
一般的には小売業の販売データも顧客指向を前提とした場合、純度を3つに分けることができる。ひとつは金額に着目した売上金額データであり、2つ目は販売数量に着目したPI値データであり、3つ目は購入顧客に着目した客数PI値データである。この3つは顧客指向の純度が全く違う。どのくらい違うかというと、売れ筋(顧客の欲しい商品)をそれぞれのデータで分析してみれば一目瞭然である。
ひとつめの売上金額データで売れ筋を見た場合、顧客の購買状況がほとんど見えないため、たとえば、1,000円の売上金額の商品が2つあった場合、どちらが売れ筋かがつかめない。これがPI値データで見ると、同じ1,000円の商品が100円のものが10個、200円のものが5個という違いであれば、売上金額のデータでは区別がつかなかったが、その店舗の来店客数が仮に1,000人の場合、それぞれ、PI値=1%(10個÷1,000人)、PI値=0.5%(5個÷1,000人)となり、より顧客一人当りの購入数量、すなわちPI値の高い10個の方が売れ筋と判断できる。
しかし、この場合でも、5/23の本ブログでも触れたように、購入顧客数に着目した場合はどうなるか。たとえば、10個の中身が1人の顧客が10個買っていた場合と、5個の中身は5人の顧客が1個づつ買っていた場合では、同じ来店客が1,000人の店舗の場合は、顧客購入率、すなわち、客数PI値=0.1%(1人÷1,000人)、客数PI値=0.5%(5人÷1,000人)となり、5個の方が実は顧客購入率、客数PI値が高く、より顧客指向の強い商品といえ、こちらを売れ筋と見るべきである。
このように、商品を分析する場合は、どのデータをもとに判断するかが極めて重要な問題である。顧客指向という観点から見た場合、これまで述べたように3つの純度があり、ひとつめ、ふたつめまでは通常のPOSから上がってくる販売データで分析ができる。しかし、3つめの購入顧客に視点をおいたデータ、客数PI値はレシート分析のみから算出される極めて顧客指向の純度の高いデータであり、レシート分析を土台としない限り得られない貴重なデータでもある。
このように、よい分析をするためには、分析の前提となる純度の高いデータが必要といえる。
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