まちづくり3法、参議院本会議で可決し、法案が成立!
5/31、まちづくり3法のひとつ、「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化の一体的推進に関する法律の一部を改正する等の法律案」が参議院本会議で賛成211票、反対15票で可決され、法案が成立した。これで5/24に既に参議院本会議で可決された「都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案」につぐ2つめのまちづくり3法の法案成立であり、今回は大規模店舗立地法の法案の改正はないので、まちづくり3法が正式に成立した。流通業界は、この法案成立により新たな出店戦略の時代を迎えることになる。
中心市街地活性化法は5月に入り、参議院、経済産業委員会において5/11から審議に入り、5/16、5/18、5/23と集中的に審議を行い、5/30、委員会で可決された。特に、5/23にはユニー株式会社、代表取締役社長(日本チェーンストア協会会長)佐々木孝治氏、熊本市長、幸山政史氏が参考人として意見を述べ、質疑応答を行った。
ユニーの佐々木社長は、郊外大型店を規制すれば、中心市街地がよみがえることは絶対にないと強調し、中心市街地が衰退した原因は時代のニーズにあわなくなったことであるとの意見を述べた。特に、現在の中心市街地には大型店が出店する充分なスペースがないばかりか、インフラとしての道路、駐車場等の整備が充分でない点が大きいと指摘した。ただ、その一方で、今回の法案については、中心市街地に隣接したところに新しい町をつくり、共存させてゆくという発想でコンパクトシティーをつくってゆくこともひとつの発想ではないかとも述べた。
また、熊本市でのイオンの出店を不許可にした熊本市の幸山市長も参考人として意見を述べた。その中で、なぜ、イオンの出店に対して不許可を出したかについては、熊本市のマスタープランとの考えにそぐわなかった点をあげ、交通渋滞の悪化、地下水への影響、中心市街地の商店街への影響等を考慮し、総合的な判断によったという。特に、交通渋滞に関しては、イオンが郊外にできると熊本市街から熊本空港までの交通渋滞が起こり、現状35分から60分となり、大きな影響になるという予想数字であったという。
そして、その後、質疑応答に入ったが、幸山熊本市長に質問が集中し、ユニーの佐々木社長へはわずか3回と本法案の規制対象なる流通業界へ対しては政治家の関心がいまひとつ薄いという印象であった。全体の参議院、経済産業委員会の審議状況をみても流通業界側からの質疑応答は少なく、今回のまちづくり3法の法案成立状況は流通業界側の視点が弱い感じは否めないといえよう。
まちづくり3法成立後の今後の流れであるが、大規模集客施設(大型店)1万㎡を規制した都市計画法の施行は約1年半後となるが、中心市街地活性化法の施行は来月、遅くとも8月からの予定である。すぐに内閣に中心市街地活性化本部が設けられ、この秋には基本方針が閣議決定され、各地区からあがってくる中心市街地活性化基本計画の第1号が認定され、その後、続々と認定されてゆくものと思う。
6/3の日経新聞夕刊には、まちづくり3法の成立を受け、各自治体の中型店規制も独自に始まったという動きもあり、1万㎡から、6000㎡、3000㎡等へ出店規制をかける県、市町村もあるという。福島県の6000㎡規制の施行は今年10月の予定であり、国の方向は決まったが、各自治体の方向はまだ決まっておらず、今後、どこまで規制がかかるかが見えない状況といえる。
流通業界にとっては、少なくとも今後5年間は、新規出店による成長戦略から、既存店の活性化、M&Aによる成長戦略への戦略転換が求められるといえよう。
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