北海道、食品スーパーマーケットの競合状況を見る!
北海道の食品スーパーマーケット業界を視察する機会があり、有力な企業の店舗を何店かみた。北海道の食品市場は現在1兆数千億円といわれており、その内、約50%をわずか3つの企業グループが占めるという寡占状況である。3つのグループとは、アークスグループであり、イオングループであり、生協グループである。直近の決算数値で見るとそれぞれ2000億円を越え、この数年、さらに寡占化が加速しているという。今回視察したのは、このような非常に厳しい競合状況の中で、札幌商圏で強力なドミナント展開をしている北雄ラッキー、アークスグループの主力業態であるビックハウスの最新改装店舗、そしてマックスバリュー北海道のちょうど1年前に改装した惣菜強化型の店舗を視察した。
まず、北雄ラッキーであるが、現在3大食品スーパーマーケットグループと札幌商圏の中で激しい競争を繰り広げており、直近の決算では減収減益となり、厳しい状況である。実際、競合となるアークスグループ、マックスバリュー北海道が特に日配、グロサリーにおいて強力な価格訴求をしかけており、それに対抗するため、EDLP(Everyday Lucky Price)で応戦する一方、品質アップ戦略を大きく打ち出し、明確な差別化をはかっていた。売場のいたるところにナチュラルラッキーのポスターを掲げ、青果売場、精肉売場、日配売場、惣菜売場で有機野菜、無添加ロースハム、有機大豆豆腐、有機野菜を使ったサラダ等が訴求されていた。特に、青果、惣菜の強化は売場のかなりのスペースを割き、品揃えも充実していたのが印象的であった。この政策がどこまで徹底され、実際にどこまで数字改善につながるかが当面の課題であろう。一方、新店については、昨年、札幌を遠く離れた道北の稚内にNSC(郊外型ショッピングセンター)タイプで出店したが、このタイプが今後の北雄ラッキーの主力業態となる可能性が高く、今後の成長の鍵を握っているといえよう。
アークスについては、最新の改装店舗のビックハウスを視察した。いまから10年前ぐらい前に岩手のベルグループのビックハウスをみて以来であり、2世代ぐらい進化していたのには驚いた。まず、居抜き出店、単独出店というタイプではなく、完全なNSCとして生まれかわった新業態といってよい。ホームセンター、西松屋等専門店と同一敷地内での出店であり、ビックハウスがNSCの核店舗となっていた。さらに、商品戦略も以前の荒々しさがそぎ落とされ、伝統の一物三価は日配、グロサリー等で色濃くだされていたが、生鮮は格段と品揃えが充実し、ワンランク上のグレードの高い商品も導入されていた。また、NHK(New hokkaidou Kakaku)という形のEDLPが数多く訴求されており、安さだけを訴えるのではなく、値頃を重視した価値を打ち出していたのが印象的であった。依然として、ビックハウスの経費比率は15%を切るというが、このタイプはこれまでのディスカウントストアから、通常の食品スーパーマーケットに近づきつつあり、経費比率、粗利構造が上がってくるのではと感じた。アークスではビックハウスの店舗数が50店舗を越え、売上構成比が50%近くになっており、今後は、このNSCタイプを主にさらに進化してゆくのではと予感させた。
そして、もう一店舗は、マックスバリュ北海道の惣菜強化型の24時間営業の改装店舗である。2層建ての地上1階と地下1階の変形店舗であり、改装にあたっては大分苦労したと思われる。ごく、簡単にいえば、1階が巨大なコンビニ、地下が生鮮食品スーパーマーケットの2つの業態が1階と地下に出店したような店舗であった。1階はパン、惣菜から始まり、飲料、ビールへ流れ、第3壁面がラーメン、向かいがスナック菓子、中側はアイス、冷食、米、菓子、酒という商品構成である。地下は青果、和日配、鮮魚、精肉、洋日配、中が調味料、乾物などのグロサリーという商品構成である。単純にPI値で見ると、食品スーパーマーケットのPI値の高い3大商品である青果、日配、グロサリーがすべて地下に集約され、駅前立地というショートタイムショッピングが求められる立地であるにもかかわらず、ロングタイムショッピングとなってしまい、主婦にとっては結果として買いにくい店舗となってしまったといえよう。ただ、コンビニとしては大成功であり、今後、地下をどのように活性化してゆくかが課題であろう。現在、マックスバリュ北海道は、急激な新規出店政策から、今回の店舗のように既存店の改装に重点を移しており、当面、1店舗1店舗の活性化が課題であるという。
今回、上記のように北海道の代表的な食品スーパーマーケットを見たが、首都、札幌では各社の既存店の改装に各社各様、積極的に取り組む一方、郊外、さらには道北、道東、道南においては各社NSCを中心に新店ラッシュともいえる新規出店に取り組んでおり、北海道の食品スーパーマーケット業界がダイナミックに変化している状況を改めて認識できた。
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