マクドナルド、客単価アップに戦略転換!
5月度のマクドナルドの月次レポートが明らかになった。一見、信じられないような、びっくりする数字が並んでいるのに驚く。客数と客単価を間違えているのではないかと思うほど、これまでの傾向が180度、劇的に逆転しているのである。この1年間のマクドナルドの客数と客単価の関係は概ね、客数大幅増、客単価大幅減という流れであったが、この5月度は、全く反対となり、客数減、客単価大幅アップとなったのである。5月をさかいに明らかにマクドナルドに戦略転換が起ったといえる。
客単価は2D分析をすると、客単価=PI値×平均単価であり、客単価をあげるには、PI値を上げるか、平均単価を上げるか、それとも双方を上げるかしか、理論的にはない。これまで、マクドナルドは100円バーガーを主体にPI値アップに必死で取り組んできたが、5/13から、100円バーガーはこれまでどおりとし、新たに「新価格体系」という名の平均単価アップ戦略に取組みはじめた。これが、劇的な効果をもたらし、今回の驚異的な数字の変化をもたらしたものと思う。実はこの手法は昨年、モスバーガーが実証積みの戦略であったが、ここへきてやっとマクドナルドも平均単価アップによる客単価アップ戦略へ転換したものといえよう。
では、5/13からマクドナルドに導入された「新価格体系」とはどのような内容かをみてみたい。ポイントは2点、ひとつめは平均単価の高い新メニューを投入すること、そして、もうひとつは既存の価格体系を微妙に値上げすることである。この2点に加え、これまでまでの100円マックは継続するという。これは、よく見るとしたたかな戦略である。客単価2Dよりも、3Dで分析した方がわかりやすい客単価アップ戦略といえる。まず、100円マックの据え置きにより、PPIを落とさないようにする。そして、既存商品の価格を見直すことによって、平均単価のアップをはかる。さらに、新商品シャカシャカポテト+ドリンク、チキンマックナゲット+ドリンク330円を投入することにより、客数PI値アップをはかる。これにより、PPI×平均単価×客数PI値=客単価アップを3つの角度から相乗的に、同時並行的に目指すという戦術であり、かなり高度に様々な角度から計算された無駄のないすっきりした政策であるといえる。
実際に、この結果、5月の客単価が昨年対比113.4%となり、昨年の5月の客単価-13.0%をもどし、わずかに上回り、一昨年の水準を越え、この3年間ではもっとも高い客単価となった。このしたたかな、客単価アップ戦略が現時点では正しかったことが実証されたといえよう。
ちなみに、マクドナルドの昨年5月から、今年の5月までの客単価と客数の流れは、200505(-13.0%、10.1%)、200506(-17.2%、20.2%)、200507(-8.3%、12.6%)、200508(-8.1%、9.1%)、200509(-12.8%、12.8%)、200510(-8.4%、13.0%)、200511(-7.1%、16.1%)、200512(-5.8%、14.1%)、そして、今年に入り、200601(-8.6%、6.9%)、200602(-2.8%、6.8%)、200603(-5.2%、7.1%)、200604(0.1%、4.6%)、そして、200605(13.4%、-3.6%)と全く数字が逆転し、客単価大幅増、客数減となったのである。
このように、マクドナルドのこの5月は新体制になってのはじめての本格的な戦略転換であり、価格訴求を主体とする商品戦略の時代が終ったといってもよいくらい象徴的な出来事といえよう。時代はまさに客単価アップの時代に入り、しかも、2Dから3Dの時代に入りはじめたといえる。来月以降のマクドナルドの数字には注目である。
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