オーケーストア、急成長続く、大幅な増収増益を達成!
オーケーストアの2006年3月期の決算が明らかになった。それによると、単体の売上高は1,257億22百万円(前年比119.0%)、経常利益は54億98百万円(前年比127.8%)、経常利益率は4.37%(前期は4.07%)、経常総経費率は14.77%(前期は14.91%)、当期純利益は31億44百万円(前年比164.7%)となり、大幅な増収増益であった。しかも、既存店の売上高伸び率も108.3%と驚異的な伸び率を確保した。日本の食品スーパーマーケットの中で売上を120%以上伸ばしている企業は数社あるが、既存店を110%近く伸ばした企業は、年商1,000億円クラスの食品スーパーマーケットではオーケーストア以外見当たらない。この数字は驚異的な数字といってよい。しかも、オーケーストアはこの数字でも満足していないようで、ごく近い将来の目標は「借入無しで年率30%成長を達成する」であるという。
具体的には既存店の客数を10%増やし、熱烈なオーケーファンを増やし、これに新店の売上増を加えて、併せて30%の成長を達成するという。しかも、借入に頼らず、税引後の利益と減価償却の範囲内で新店投資を行い、財務の安全性を確保しながら30%成長を着実に達成するという。実際、今期の数字を見ている限り、けっして不可能な数字とは思えず、充分、現実味がある内容といえよう。ただし、現在の借入金は短期借入金が96.6億円、一年以内返済予定長期借入金が8.9億円、長期借入金が27.1億円と合計約130億円、さらに社債を入れると160億円を越え、流動比率が49.6%、固定比率が283.2%となり、財務面での健全性を確保するにはもう少し時間がかかりそうである。現在、食品スーパーマーケット業界でほぼ無借金経営を実践しているヨークベニマルの流動比率は224.0%、固定比率は76.7%であり、超堅実な財務内容である。
さて、オーケーストアの売上昨年対比119.0%、既存店108.3%の強さのポイントであるが、まず、旺盛な新店開発により、店舗数を増やしつづけている点をあげることができる。今期、野川店・新用賀店・相模原中央店・南砂尾高橋店の4店を出店し、計40店舗となった。食品スーパーマーケットが成長して行くためにはスクラップ&ビルドは前提条件であり、新店開発が止まった時点で企業の成長率は大きく落ち込むが、オーケーストアはここ数年新店を出店しつづけており、来期も5店舗を計画している。
次のポイントは、商品戦略である。オーケーストアの重点商品群は3つあり、最も強い部門が売上構成比19.36%の日配であり、ついで、青果、一般食品、菓子・飲料がそれぞれ11%で並ぶ。しかも、いずれも低粗利の日配20.0%、青果18.9%、一般食品19.1%、菓子・飲料17.0%と価格訴求が徹底されている点である。この部門は食品スーパーマーケットの中でもPI値3大部門であり、この3つの部門の強さがオーケーストアの競争力の源泉といえよう。ちなみに、企業全体の粗利率は19.3%であり、通常の食品スーパーマーケットと比べても約5%は低い粗利率といえよう。
しかも、もひとつのポイントとして、粗利率がこれだけ低いにもかかわらず経費比率が14.9%と15%を切る驚異的な数字である。その背景にはちらしなしのEveryday Low Priceが徹底され、販促比率が売上対比0.26%と低く抑えている点である。したがって、売上対比の営業利益率も4.4%を確保でき、当期純利益も2.5%、食品スーパーマーケット業界の中でも高収益体制を確保している。
そして、もうひとつのポイントは新技術にいち早くチャレンジする新奇性である。オーケーストアは食品スーパーマーケット業界でも業界初というものが多く、この数年、本格的に自動発注に取組み、グロサリー、日配、そして、青果にまでひろげている。また、つい最近ではCAS(細胞が生きたまま凍結され、解凍すると凍結した時点の細胞がそのままよみがえるという画期的な冷凍技術)を導入し、バックヤードはもちろん、売場の冷凍ケースにも導入しはじめ、まぐろをはじめ鮮魚、青果に活用がはじまっているという。
このように、今期のオーケーストアの決算は積極的な新店開発と既存店のマーチャンダイジング力のパワーアップにより大幅な増収増益となり、次の経営課題の無借金経営へむけての体制作りが着々と進んでいるといえよう。
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