オーケーストアに見る、労働環境の改善状況!
オーケーストアの2006年3月期の決算が明らかになり、大幅な増収増益を達成したことは前回、本ブログでも取り上げた。今回の決算数字でも明らかであるが、オーケーストアは食品スーパーマーケット業界でも屈指の販売管理費の低い企業である。今期、2006年3月期で14.9%と15%を切る低さであり、この数字を達成している食品スーパーマーケットは日本ではほんの数社しかない。大黒天物産も、アオキスーパーも、そしてウォールマートも15%を切るところまで販売管理費を下げえてはいない。現在、15%以下の販売管理費で回している食品スーパーマーケットはおそらく、アークスのビックハウスぐらいではないかと思う。ビックハウスは販売管理費14.5%といわれており、それにつぐ、販売管理費の低さであろう。そこで、気になるのは、これだけ販売管理費が低いと、人件費を極端に削り、いわゆるサービス残業が頻繁におこっているのではないかという疑問である。これについてオーケーストアでは、現在、急激な労働環境の改善に取り組んでいるという。
発端は昨年10月に労働基準監督署から「時間外勤務手当が適切に支払われていないので改善するように」との是正勧告を受けたことによるという。オーケーストアでは、すぐに、動き、まず、100名の臨時採用を実施し、とりあえずサービス残業の解消に着手したという。そして、これを機会に抜本的に対策を立てなおそうと、ユニークな企画が練られる。大前提として、目標を8時間労働で競争力のある店舗運営の仕組みをつくることに置き、1職位につき2直3人編成の体制の厳守を徹底したという。たとえば、青果部門は青果部門長とその代行2名で運営を行うという。具体的には、早番勤務者の勤務終了時刻には遅番勤務者が既に勤務についているので、早番勤務の指揮者が残業する必要がない体制を整えたという。閉店時刻の15分後に店舗は消灯、閉鎖し、遅番勤務の指揮者の残業を無くしたという。さらに、補充採用を容易にするためパートの時給も950円に改定したという。
こうすることによって、理論上は3週に1日の有給休暇がとれるようになるので、さらに、ここがユニークな試みだが、その開いた時間を別途時給1,500円で、現場実務者が急に不足した場合などに対応できるように、雇用契約を締結する制度を設けたという。この狙いは、人員の足りないところを、2直3人の部門長と2人の代理がサービス残業ではなく、新たな技術研究社員という形で雇用契約を結び、不足の作業を埋めることに加え、自らの専門外、あるいはさらに専門を深めたい仕事を学ぶ機会を積極的に増やし、一種のジョブローテーションを会社が新たに賃金を払い行うという、研修効果も期待しているという。そうすることによって、会社全体の労働環境を改善するだけでなく、労働の質も向上させようという狙いがあるという。ただし、オーバーワークにならないように、早番の人が16時以降、手伝う場合でも、1日3時間が限度だという。
まだ、オーケーストアでは、これらの試みはまだ始まったばかりであり、運用がうまく回るかどうかは今後の課題という。当然、これらの仕組みが動き始めたことにより、これまでのように販売管理費率が15%以下で治められるどうかは難しいところであるが、オーケーストアとしては既存店の売上を増やしいて乗り切ってゆくという。損益計算上は、社員の人件費は基本的に固定費であるため、既存店の売上があがれば相殺されることになり、理論的には販売管理費をおさえることができるが、既存店の売上が予想以上に下回った場合は、固定比率が上がり、販売管理費が上がってしまうため、今回の試みが予想どおりにゆくかは、今後のオーケーストアの既存店の売上にかかっているといえよう。
年商1,258億円となったオーケーストアが、今後、これまでのような勢いで成長できるかどうかは、今回の労働環境の改善を含め、これまでの急成長の原動力となった仕組みを再度、ひとつひとつ見直し、整えてゆくことが求められるようになったといえよう。次回、12月に公表される半期決算に注目である。
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