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June 15, 2006

関西スーパーマーケットの現状、厳しい経営状況が続く!

  関西スーパーマーケットの株価が下げ止まらない状況が続いている。6/14、年初来最安値の660円をつけた。この日の終値は670円、-33円(-4.69%)で引けたが、ここ1ケ月以上、株価は下げ続けている。6月以降の株価については、日経平均も大きく下げているので、それに連動した動きともとれるが、関西スーパーマーケットの場合は5月上旬から一貫して下げているのが特徴で、そのポイントは5/12に公表された、決算短信、決算参考資料によるところが大きいといえよう。それによると、収益に関しては昨年の減損会計等による当期純利益の赤字から一点黒字に転じたが、減収増益と、新店を出店し、既存店4店舗の改装を実施したにもかかわらず、売上が1000億円を割り込み.98%となった。さらに、財務的には有利子負債が増え、固定比率が184.4%と依然として高い水準にある点である。

  今期の関西スーパーマーケットの経営状況をもう少し詳しく見てみると、最も特徴的な点は株主状況の変化である。昨年の決算時期と比べると、筆頭株主が関西スーパーマーケット取引先持株会の6.66%から住友商事の9.94%にかわり、住友商事が関西スーパーマーケットの筆頭株主になったことである。昨年8/11に突然、住友商事が関西スーパーマーケットの株式2,857,000株を市場で買付け9.94%の持株比率(議決権ベースでは10.23%)の筆頭株主になり、業界を驚かせた。その後、今期の決算時期までは住友商事は関西スーパーマーケットの株を買い増してはいないようであるが、これにより、その他の株主構成も大きく変化した。最も変化したのは、関西スーパーマーケット取引先持株会と銀行が株式を買い増した点である。これにより、関西スーパーマーケット取引先持株会が6.66%から7.14%となり1位から2位に、東京三菱UFJが2.99%から3.97%と9位から3位へ、みずほが2.99%から3.97%と9位から3位へと、2位、3位を取引先と銀行で固めた点である。現段階ではその後、大きな動きはないようであるが、今後、住友商事がどう動くかが注目される。

  次に、気になるのは関西スーパーマーケットの財務状況であるが、最も大きく変化したのは長期借入金が大幅に増加した点である。昨年は78.6億円であったが、今期は120.6億円となった。一方、短期借入金も、9.5億円から13.7億円となり増えているが、一年以内返済予定の長期借入金が50.5億円から4.1億円に大幅に減ったため、短期合計では減った。しかし、トータルの有利子負債は136.6億円から140.3億円と増加した。これにより、流動比率が改善されて54.3%から96.2%となったが、それでも優良企業のヨークベニマルの約250%と比べると厳しい状況である。また、固定比率も依然として184.4%と高水準であり、これもヨークベニマルの72.8%と比べると約半分は借入れで固定資産をカバーせざるを得ず、厳しい財務状況がつづいているといえる。

  それに加え、今期は既存店の75%が昨年対比を割っており、全店No.1の高槻店も昨年87.5%、今期94.5%と厳しい状況が続いている。ベスト10の中では、No.2のフェスタ立花店は108.1%、No.8の瑞光店の103.7%と、この2店舗は好調であるが、その他は厳しい状況で推移しており、関西スーパーマーケットの基幹店舗も伸び悩んでいる。

  このように関西スーパーマーケットの現状は厳しい経営状況が依然として続いているといえる。来期の予想は増収増益を目指しているが、関西スーパーマーケットのドミナント地区である大阪、兵庫は厳しい競合状況が予想される。新年度に入り3ケ月がたとうとしているが、この8月の中間決算数値が注目されよう。

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Comments

・株主のことに言及するなら、①6月の立会外分売の目的、②加ト吉の子会社が株式を手放した背景にも触れて欲しかった。
・減収増益だから株価が急落したと書いているが、EPSやROEの改善と株価下落は結びつかない。経常利益21.5億円はピークの27.3億円(97/3期)には及ばないものの6番目の記録で、悪い決算ではなかった。
・ヨークベニマルは自己資本比率8割という食品スーパー業界には希有な財務構成の会社。ここと比べれば、オオゼキ(7617)やサンエー(2659)など財務が良いところも霞んでしまう。大阪のイズミヤ(8266)、和歌山のオークワ(8217)、兵庫のマックスバリュ西日本(8287)、このあたりと比較していれば、関西スーパーマーケットの状況がより明確になったと思う。
・株価が下がっていたのは事実。主力店の苦戦による減収や借入増加(率で2.7%、3.7億円)も事実。しかし両者がどういう因果関係にあるかの立証は困難。チャレンジ精神にあふれているが牽強付会。

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