イズミ、ゆめタウンの出店好調、7期連続増収増益!
6/6、イズミの2006年2月期の事業報告書が公表された。既に、4月に公表された決算短信で7期連続の増収増益の決算数字は確定しているが、事業報告としては、今回のものが最新のものであり、改めて、ゆめタウンの貢献度が大きかったことがわかる。特に、ここ数年、イズミは経常利益率が上昇しており、今期は過去最高の5.4%にまで高まった。昨年は4.7%、一昨年は4.5%、3年前は4.2%、4年前は3.9%であり、毎年毎年、経常利益率を上げており、安定した収益性を確保している。その背景には、1990年からはじまるイズミの主力業態、ゆめタウンの躍進にあるといえる。すでに、ゆめタウンは全70店舗のうち、40店舗を越え、ゆめタウンがイズミの出店戦略の根幹になったといえる。
では、ゆめタウンとはどんな業態か。その最大の特徴は、売上の根幹を食品に置き、衣料品とテナント100店舗近くを核売場とし、それに住居関連を付け加えた超スーパーセンターといってよい、イズミ独特の業態といえよう。ゆめタウンを含む、イズミ全体の売上構成比で見てみると、約4000億円の年商のうち、約35%が食品、約25%が衣料品、約25%がテナント、約15%が住関連であることから、ゆめタウン単独では、テナント構成比がさらにあがり、店舗によっては食品以上のNo.1の構成比であるといえよう。
この業態の最大の特徴はテナント構成比が極端に高いために、店舗全体の活性化が自店の商品群である衣食住以上に、テナントの入れ替え、配置換え等により大きく変わる点である。実際、イズミの事業報告書の中でもゆめタウンの活性化については「既存の一番店を増床・活性化してゆくことで競争力をさらに高めてまいります。」とうたっており、テナントがゆめタウンの鍵を握っているといえよう。今期の既存店、特に、ゆめタウンについては、No.1の年商223億円の高松店は平成7年にオープンした10年目を越える店舗であるが、昨年対比102.9%伸びており、テナントの入れ替え、配置換え等による効果が大きいことを示しているといえよう。ちなみに、年商100億円を越えるゆめタウンは現在、高松店を入れえて、7店舗ある。197億円の久留米店(111.9%)、172億円の長崎店(105.6%)、163億円の光の森店(125.0%)、126億円の筑紫野店(100.0%)、124億円の博多店(102.0%)、112億円の呉店(203.5%)である。
イズミがゆめタウンを確立したのは1990年であるが、ゆめタウンが本格的に軌道に乗り出したのは5年後の1995年の九州1号店となる福岡の遠賀店よりはじまる怒涛の九州出店による。その後、今日までの約10年間に、福岡店9店舗、佐賀県2店舗、大分県1店舗、熊本県5店舗と九州に15店舗の出店を果たし、ゆめタウン全店約40店舗の40%は九州での出店である。そして、来年には広島のJT跡地に広島最大級の超大型ゆめタウンが誕生する予定という。さらに、今後、10店舗以上のゆめタウンの出店も計画しており、イズミにおいてはゆめタウンが今後とも成長し、収益をあげてゆく根幹の業態といえよう。
ただ、気になるのは、業態が重い業態であるため、P/Lは好調でも、B/Sが重くなりがちである点である。イズミの場合、流動比率が約70%と低く、固定比率も約280%と高い。したがって、短期的な財務面も長期的な財務面もまだまだ安定した数字とはいえず、今後、どこまで、資産を軽くし、負債を減らしてゆけるかが課題といえよう。ただ、今期は負債全体を96億円圧縮し、2,190億となり、改善の方向に動いている。今後、ゆめタウンを主力業態にさらに収益性を高めることが当面の課題といえよう。
また、その意味でも、昨年、資本・業務提携をした丸久との間で、NSC(近隣型ショッピングセンター)の開発を行い、この新業態が軌道にのれば、資産の軽い収益モデルをもつことになり、財務面での大きな改善につながるものといえよう。さらに、現在のゆめタウンの大商圏タイプの業態に加え、NSCという中小商圏タイプの業態をもつことにより、商圏全体のドミナント戦略が可能となり、これまで確固とした地位をきづいてきた九州戦略をさらに深めることも可能となろう。
イズミの今後は、ゆめタウンの動向に加え、丸久との資本・業務提携によるNSCへの参入がどのように実現されるかが、注目である。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
週間!食品スーパーマーケット最新情報:まぐまぐ!スタート
客単価3D分析 基礎講座CD発売!
« 食品スーパーマーケット、先週の株価6/16、上昇気味で終る! | Main | 食品スーパーマーケットにビジネスチャンス、酒販9月完全自由化! »
« 食品スーパーマーケット、先週の株価6/16、上昇気味で終る! | Main | 食品スーパーマーケットにビジネスチャンス、酒販9月完全自由化! »
Comments