重点商品を考える!
客単価3D分析の基礎理論が完成し、最近では、実際のデータを分析する機会が増え、いよいよ、客単価3D分析も実践段階に入りつつあるといえる。その中で、客単価3D分析がこれまでの、客単価1D分析、2D分析と決定的に違う点が浮かび上がりつつある。それは、重点商品という考え方の違いであり、また、その考え方にもとづき実際に選定された重点商品の違いである。結論からいうと、客単価2D分析で重点商品を選定した場合、どこまでいっても、何度やっても客単価3D分析で選定した重点商品と比べると、10~15%ぐらいすり抜けてしまう商品がでてくる。客単価2D分析の網の目をすり抜けてしまうのである。そして、この10~15%の商品が実は決定的な商品である場合が多く、これを何とか客単価2D分析でカバーしようとすると、今度は余計な商品が入り込んでしまい、重点商品の純度が落ちてしまうのである。
ではなぜ、このようなことが起るのか。それを突き詰めてゆくと、答えは、重点商品とは何かという根本的な問題に突き当たる。根本的な問題とは重点商品の選定根拠である。従来、重点商品というと単に売れている、顧客から支持がある、儲かる、あるいは売れて儲かるなど様々な定義があり、それぞれの考え方にもとづき重点商品を選定してきた。たとえば、売れているというと売上金額ベスト、売上数量ベストにもとづき重点商品を選定することになる。顧客から支持があるというと、PI値ベストにもとづき重点商品を選定することになる。売れて儲かるというと、売上金額ベストと粗利金額ベストの組み合わせで重点商品を選定することになる。ちなみに、客単価2D分析の場合は、客単価ベストでまず選定し、次にPI値を優先してどこまで追加するかを決めて重点商品を選定するのが一般的である。
しかし、これらどの方法で選んだにせよ、決定的に欠けているものがある。それは顧客の視点という考え方である。顧客の視点とは、選ばれた重点商品が本当に顧客が買っているのかどうか、いったい何人の顧客が買ってくれたのかという視点である。これは本当に商品1品1品を調べてみなければわからない数字であり、上記にあげたどの方法でも顧客が何人買ってくれたのかはつかめないのである。これを知るには、商品1品1品の顧客の数を数えるしかない。たとえば10個売れた商品があった場合、1人が10個買った商品も、10人が1個づつ買った商品も同じ10個売れた商品である。これをPI値で算出した場合も、同じ店舗であれば、全体客数で割るためPI値が全く同じになってしまう。でも10人が1個づつ買った商品の方が明らかに顧客の支持は高く、顧客の視点という観点から見た場合は、こちらが重点商品であり、1人が10個買った商品は顧客の視点という観点で見る限り重点商品とするには無理がある。
すなわち、顧客の支持があるとは売上金額が大きい、売上数量が多いではなく、顧客の数が多い、これが顧客の本当の支持であり、本来、重点商品とは顧客の数で決めるべきものである。商品の本質とは、金額の大きいものを追いかけると、数量が見えなくなり、数量の多いものを追いかけると、顧客が見えなくなる。顧客の多いものを追いかけた時、はじめて商品の本質が見えるのである。また、金額と数量を組合わせても、顧客の多いものが浮かび上がるわけではなく、顧客の多いものをつかもうとすれば、それは商品1品1品の顧客の数を本当に数えるしかないのである。
これが客単価3D分析を実践してみてつかんだ商品の本質であり、このように商品を顧客という視点から見直してみたとき、重点商品も顧客の視点から選定が可能となり、「重点商品=購入顧客の多い商品」と改めて定義することができる。仮に商品の購入顧客の数がつかめない場合でも、その商品は本当に顧客から支持されているのかを問い直して欲しい。繰り返し問い直し続けることによって商品の本質がつかめてくるはずである。
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