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July 2006

July 31, 2006

PLANT、2006年9月期第3四半期決算、厳しい経営状況が続く!

  PLANTが2006年9月期の第3四半期決算を公表した。それによると、売上高は566.3億円(125.4%)と極めて順調に推移したが、営業利益は-1.7億円、経常利益は0.4億円(14.2%:売上対比0.07%)、当期純利益-0.07億円という営業赤字の厳しい決算であった。PLANTの四半期決算の公表は昨年からはじまったが、昨年同期の第3四半期の決算をみると、売上451.6億円、営業利益1.6億円(売上対比0.35%)、経常利益2.9億円(売上対比0.64%)、当期利益2.5億円(0.55%)であり、昨年も厳しい第3四半期決算であったが、今期はさらに厳しい第3四半期決算であり、9月の本決算へ向けて厳しい経営状況が続くといえよう。

  売上に関しては2005年11月に新潟にオープンしたPLANT-5の横越店、2006年2月に福島県にオープンしたPLANT-5の大玉店が大きく寄与し、昨年対比125.4%と大幅な増収であった。ただし、既存店は96.5%と苦戦しており、新店効果による売上増であったといえる。まちづくり3法が成立したことにより、PLNT-4以上の出店が当面厳しくなるため、今後、PLANT-3以下の出店を余儀なくされ、今後とも高い成長率を維持できるかは厳しい状況である。

  今回、営業赤字に陥った、最大の原因は既存店が伸び悩んだ上に、PLANT-5という約5000坪の新店2店舗の経費がかさみ、営業利益でカバーできなくなった点である。損益計算書を見てみると、粗利益率は17.4%から17.7%へと改善しているが、経費比率が17.1%から、18.0%と過去最高の経費比率となったためである。経費比率が大きく上がった原因は新店2店舗に関わる賃借料、原価償却費、消耗品費、広告宣伝費等の経費増であるという。特に、今回の経費比率18.0%は、2001年9月期の13.8%と比べると4ポイント強の上昇である。その後の経費比率の推移をみても、2002年13.7%、2003年14.5%、2004年15.7%、2005年17.1%と年々、しかも、ここ数年は大きく上昇している。地元富山県から他県への新規出店、PLANT-5、PLANT-6の大型店化の動きに連動し、経費比率がアップしているのが実情である。

  しかも、この第3四半期の決算では、財務状況もより一層厳しくなっている。特に、流動負債においては、新店2店舗の出店により、支払い手形および買掛金が12.0億円の増加、短期借入金が20億円の増加となった。固定負債においても長期借入金が11.7億の増加となり、長短借入金の合計額が昨年同時期と比べ約50億円増加し、150億円強となった。これは年間予想売上金額の約20%であり、食品スーパーマーケット業界平均の15%と比べても高めの水準であり、今後、日銀の0金利解除により、金利も大きく上がることが予想され、このまま収益率が低い状況が続くと、財務的にも厳しい状況となろう。

  PLANTの株価はここ数ケ月厳しい状況がつづいており、4月度は1,000円近い株価を維持していたが、5月に入り、株価の下落が続き、下げ止まらない状況である。7/18にはついに、500円を割り込み、7/27には上場来最安値となる435円をつけた。今回の2007年9月期の決算が公表されたのが7/21であることを考えると、すでに1週間は経過しているが、底値が見えにくい状況といえる。

  当面、PLANTとしては新店開発が事実上抑制されるため、既存店の活性化に全力をあげ、収益性をいかに高めるかが最大の経営課題といえよう。特に、PLANTの特徴はGMSタイプのスーパーセンターであるにもかかわらず食品構成比が60%を越えるという高さであり、既存店の活性化も食品が今後の鍵を握るといえる。第3四半期決算でも惣菜、鮮魚、酒は昨年を上回ったとのことだが、この3部門に加え、青果、日配、食品のPI値3大部門の強化が当面のポイントであろう。

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July 30, 2006

食品スーパーマーケット、今週の株価情報(20060728)!

  日経平均がここへ来て、少し回復し始め、ここ数日、15,000円を越え、7/28は15,342円(前日比163円:1.07%アップ)で引けた。4月には17,000円であった日経平均であったが、その後、6月まで株価を下げ続け、一時、14,000円近辺にまで下がった。その後、やや持ち直し7月初めには15,500円まで値を上げるが、北朝鮮のミサイル問題、中東情勢の悪化などにより、再び株価が下がりはじめ、7月中旬には14,500円付近まで下がった。しかし、7月後半に入ると、株価は再び上昇しはじめ、15,000円台を回復し、7/28の株価は15,342円となった。このように、ここ数ケ月間は、15,000円をさかいに、日経平均は上げ下げを繰り返すという不安定な動きが続いている。

  このような中、食品スーパーマーケット業界、上場約50社の株価も不安定な動きを示していたが、7/28、今週末の株価は概ね堅調であった。食品スーパーマーケット業界を含む、小売業界の7/28の株価上昇率は、全33業種の中でもベスト10に入り、14.64円(1.68%)アップの886.12円で引けた。国際情勢はまだまだ不安定であるが、景気の上昇が消費にまで波及しはじめたとの政府の判断により、内需関連株の代表としての小売業界の株価は動きがよいといえよう。ちなみに、7/28、No.1の業界はゴム製品業界であり、57.54円(3.51%)アップの1,697.73円で引けた。ゴム業界の中でも堅調な株価であった企業はブリジストン、東海ゴムである。

  食品スーパーマーケット業界、上場約50社の中で、7/28m株価上昇率No.1の企業は東武ストアであった。8円(2.72%)アップの302円で引けた。丸紅がダイエーの株式を産業再生機構から買い取り、子会社化することで、丸紅系の東武ストアにも買いが入ったといえよう。ちなみに、ダイエーは59円(3.03%)アップの1,843円と株価が大きく上昇しており、同じ、丸紅系のマルエツも1円(0.19%)と僅かにアップし、525円で引けた。今後、この3社の動きには注目である。ついで、No.2の株価上昇率の企業はCFSである。14円(2.18%)アップの654円で引けた。CFSは食品スーパーマーケットのキミサワよりも、ドラックストアのHACに力を入れており、出店も旺盛である。株価は6月以降、約2ケ月間650円前後で横ばいであり、この数日、じりじりと上昇ぎみで推移している。No.3は15円(2.14%)アップの715円でひけたカスミである。カスミは7月に入り株価を下げていたが、7/28は大きく反発し、売買高も通常の3倍の8万株が買われた。No.4は30円(2.02%)アップの1,510円で引けたマックスバリュ西日本である。マックスバリュ西日本は7月に入り株価を下げ、1,500円を割っていたが、この日、反発、1,500円台を回復した。以上が、食品スーパーマーケット業界で7/28に2%以上株価が上昇した企業である。

  ついで、7/28、1%以上株価が上昇した企業は、丸栄(1.99%、205円)、丸久(1.88%、1,080円)、イズミヤ(1.88%、811円)、ヨークベニマル(1.46%、3,460円)、大黒天物産(1.38%、2,570円)、サンエー(1.35%、3,750円)、いなげや(1.23%、817円)、原信ナルスホールディングス(1.17%、1,380円)の8社である。

  逆に、7/28、株価を下げた食品スーパーマーケットは、ヤマザワ(-2.08%、1,968円)、カウボーイ(-1.38%、355円)、オオゼキ(-0.93%、3,180円)、相鉄ローゼン(-0.82%、478円)、マックスバリュ中部(-0.52%、955円)、ハローズ(-0.58%、683円)の6社が0.5%以上この日に株価を下げた。ちなみに、7/28に株価を下げた食品スーパーマーケットは上場約50社のうち、14社であり、この日はこの数字が示すように、大半の食品スーパーマーケットの株価は上昇した1日であった。

  来週以降の株価については、国際情勢は緊迫し、依然石油は高値で推移しているが、国内景気はこのような中でも上向いており、特に、消費動向も上向きの兆候がではじめた。第1四半期の2月度決算の数字をみてもおおむね食品スーパーマーケット業界は堅調であり、業績のよい企業の株価は堅調に推移するものといえよう。食品スーパーマーケット業界の来週の株価も注意深く見守ってゆきたい。

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July 29, 2006

日経POS、週間売れ筋ランキング発表!

  7/25の本ブログで2006年の上半期の新製品売れ筋ランキングを取り上げたが、7/28、日経MJで週間の新製品売れ筋ランキングが特集された。週間売れ筋とは13週間以内に調査対象の食品スーパーマーケットに登場した商品であり、その商品の中から、今週のランキングを客単価(1000人当り)で算出したものである。そこで、本ブログでは、2006年上半期の新製品の売れ筋と今週の新製品の売れ筋ランキングを比較しながら、いま、食品スーパーマーケットで導入すべき新製品候補を取り上げてみたい。なお、週間版の公表データは上半期版と若干異なり、PI値が算出されていない。そのため、本ブログでは客単価と平均単価から逆算して、参考数字としたい。また、上半期版にはなかったデータとしてカバー率が算出されている。これは、調査対象店舗、約30チェーン、約200店舗の中で何%の店舗がすでに新製品を導入しているかの割合を表したものである。

  なお、日経MJの新製品売れ筋ランキングをみる場合のひとつの目安であるが、1000人当りの客単価の場合は、500円以上(客単価0.5円)が超売れ筋Aランク商品とみてよい。200円~300円以上(客単価0.2円~0.3円)がBランク、それ以下がCランクとみてよい。通常のグロサリーは300円以上を売れ筋とみてよいが、日経MJで取り上げている商品群は冷凍食品、菓子などの客単価の低い商品群も取り上げているので、200円までランクを下げた方がよいかもしれない。

  では、まず、飲料の今週の新製品売れ筋ランキングをみてみたい。上半期ランキングで0.5円を越えた商品はサントリーの黒烏龍茶PET350mlと花王のヘルシアウォーターPET500mlのグレープフルーツ味の2品であったが、今回の週間売れ筋ランキングではこの2品に加えて、緑茶伊右衛門、濃いめ、500mlペットが加わった。何と702円である。7/15に登場したばかりの新製品であるため、販促がかかったものとみえ、平均単価が93円であり、PI値も0.77%である。カバー率も92.7%と高く、注目度も高いといえよう。ただし、いまは初回購買が進んでいる状況であるといえ、今後、数週間たってリピート購買に入った場合をみてみないと、現時点では何ともいえないが、現時点では非常に高い支持を受けているといえよう。

  次に、菓子であるが、上半期のランキングでは200円を越える新製品はなかったが、今週のランキングでは3品入ってきている。7/15に登場したロッテ商事のコアラのマーチ牧場ミルク242円、上半期No.2であった鶴田食品工業のマンナンライフ蒟蒻畑ぶどう味25g×12 229円、カルビー夏ポテトこだわり浜御塩85g224円である。いずれもカバー率が約90%、夏ポテトは98.4%と菓子の中ではカバー率No.1である。

  そして、その他の冷凍食品、その他食品、家庭用品であるが、500円を越えた新製品は上半期にも登場したカネボウ化粧品のブランシールホワイトニングコンクルージョン40mlの美容液824円、1品のみである。これ以外の新製品では、ユニリーバー・ジャパンのラックススーパーダメージぺアシャンプー&コンディショナー&ヘアパックセットであり、398円である。また、その他商品の中で、日清食品、カップヌードル夏の辛口、スパイシーチリ76gが294円、明星食品の一平ちゃん香ばしネギ醤油味86gが216円と検討している。残念ながら冷凍食品ではNo.1が121円のアイスクリームの森永乳業のエスキモー、ピノミント10ml×6粒であり、200円を越える商品は1品もない。また、これら商品群はこのように売れ筋がはっきりしないため、新商品であってもカバー率も50%前後であり、単品でヒット商品を生み出すのは至難の業である。なお、週間版では酒のデータは公表されていないのが残念である。今後、酒は自由化が決まっており、ほぼ100%の食品スーパーマーケットで取り扱われる商品となるため、この秋以降は注目の商品群である。

  このように、食品スーパーマーケットとしては、日経MJの新製品売れ筋ランキングの週間版をチェックするポイントとしては、客単価500円以上でカバー率が90%以上、かつ、登場日が5週以上のものは即導入すべき商品とみてよい。また、次のBランク、200円から300円が次にチェックすべき新製品といえよう。そして、その中でも先週比が横ばいか伸びている商品は特に要チェックである。今回、本ブログで取り上げた10品はまだ未導入の店舗は即導入を検討してよいといえよう。

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July 28, 2006

ウォールマート新店情報、2006年7月度!

  ウォールマートの新店が7月度も順調にオープンしている。7/26現在、スーパーセンターが22店舗、ディスカウントストア2店舗、サムズクラブ1店舗、そして、食品スーパーマーケットであるネバーフッドマーケットが3店舗と合計28店舗をこの7月にオープンさせた。依然、スーパーセンターの出店が好調であり、まだまだ全米には出店余地があるといえ、今後の旺盛な出店がつづくものと思う。また、7月度は、食品スーパーマーケットであるネバーフッドマーケットも3店舗出店しており、ウォールマートが最近力をいれはじめたオーガニック、自然食品等の品揃えも強化され、アップスケール型の食品スーパーマーケットを模索し始めたといえよう。本ブログでは、最新店舗のネバーフッドマーケットとスーパーセンターの現状を取り上げてみる。

  7/18、ウォールマートの食品スーパーマーケット、ネバーフッドマーケットがフロリダ州のオーランドにオープンした。24時間オープンの食品スーパーマーケットであり、最近、ウォールマートも取り組み始めたオーガニックと自然食品も充実させたという。主な商品としては、コーヒー、紅茶、パスタ、ビーナッツバター、ソース、チーズ、リンゴ、オレンジ、キウイ、ハーブ、ジャガイモ、苺などであるという。売場面積は約1000坪であり、取扱い商品はグロサリー、ベイカリー、冷凍食品、畜産、日配、農産、そして、惣菜、飲料である。これらの食品群に加え、酒、ペットフード、雑貨等も取り扱ったという。また、レジは12台であるが、6台はセルフレジを導入したという。アメリカでもセルフレジが定着しつつあるといえよう。また、最近、ネバーフッドマーケットで力を入れている新しい売場、Grab-It-And-Go(つかんでGO)、というコーヒーとドーナッツなどの軽食がすぐに買える売り場を店頭に置いてコンビニエンス性を強化したという。また、コンビニエンス性の強化に関しては、このコーナー以外にも30分で写真が仕上がり、買い物がてらに現像写真を受け取れるミニラボの導入、ドライブスルーのドラック売場も併設されているのが特徴である。今回のネバーフッドマーケットのオープンにより、フロリダ州におけるウォールマートグループの店舗は、スーパーセンターが136店、ディスカウントストア46店、ネバーフッドマーケット10店、サムズクラブ39店、そして、物流センター6ケ所になるという。

  一方、スーパーセンター最新店舗は、7/14、オークランド州のオクラホマシティにオープンした。これまでのスーパーセンターよりも通路幅を広くとり、ディスプレイを充実させ、床もコンクリートと木製にするなどハード面の充実もはかったという。また、マーチャンダイジングにも改善を行い、現在36の部門に分け、アパレル、アクセサリー、宝石、園芸、健康・衛生、家電などの部門として展開されているが、今回の新店にはこれらに加え、ベイカリー、デリカ、冷凍食品・冷凍肉、デイリー食品、ビール、カー用品、レストラン、写真、薬局、ヘアーサロン、ガソリン、携帯電話なども展開されるという。さらに、写真館、病院、ガソリンスタンド、銀行も併設されるという。ちょうど日本のNSC(近隣型ショッピングセンター)の各業種が付け加わるイメージであり、スーパーセンターを補完する業種の強化といえよう。店舗面積は約5500坪であり、日本のPLANTの最大規模、PLANT6とほぼ同じ面積といえる。24時間オープンであり、レジ台数は通常の20台に加え、エクスプレスレジが8台増設されているという。ちなみに、オークランド州のウォールマートグループは、今回の新店がプラスされ、スーパーセンターが54店、ディスカウントストア28店、ネバーフッドマーケット15店、サムズクラブ8店、そして、物流センター2ケ所になるという。

  このようにウォールマートの最新店舗の食品スーパーマーケットであるネバーフッドマーケットはオーガニックと自然食品の強化によるアップスケールとコンビニエンス性を強化しはじめたのが特徴である。また、最新のスーパーセンターはNSC型になりつつあり、既存のマーチャンダイジングの領域を広げる一方、新業態を併設し、スーパーセンターを補完する動きが打ち出されつつあるといえる。ウォールマートの既存店はやや成長に陰りが見られるが、新店に関しては絶好調であり、ウォールマート全体の成長は今期も好調が続くといえよう。

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July 27, 2006

コンビニ業界と食品スーパーマーケットの客数と客単価の違い!

  7/26の日経MJで第27回コンビニエンスストア調査の結果が公表された。この調査は全国のコンビニエンスストア56社に日経MJが調査表を送付し、有効回答のあった52社の様々な数字のランキングをまとめたものである。今回の調査の結果、日経MJでは現在のコンビニ業界を象徴するキーワードをいくつかあげている。主な見出しを拾ってみると、「コンビニ全世帯対応へ」、「停滞打破、中高年など開拓」、「セブンやファミマ業態転換には慎重」、「既存店不振、成長鈍る」、「セブン、際立つシェア」等である。

  ここから浮かび上がるコンビに業界の現状は、既存店が伸び悩み、成長が鈍り、厳しい経営環境にある。そして、その停滞を打破するために全世帯への需要開拓が課題となっており、新業態の開発に取り組みはじめた。ただし、最大手のセブンイレブン、ファミリーマートは業態転換には慎重であり、特にセブンイレブンは既存の業態での全国展開に力を入れ、際立ったシェアを獲得しつつある。今回の調査結果から読み取れる現状のコンビニの概況は以上のようにまとめることができよう。

  では、コンビニとは食品スーパーマーケットと比べどのような特徴があるのかを、今回の調査データの中の客数と客単価に着目してみてみたい。日経MJで公表されたデータにもとづき、コンビニ主要20社の客数と客単価との相関図をつくってみると、見事にy=1/x上にすべての店舗が並ぶ。全体の平均値は客数が約900人/日、客単価が約500円、売上が45万円/日である。セブンイレブンはこのグラフの中では見事に真ん中のゾーン、客数も客単価も高いゾーンであり、客数985人/日、客単価636円であり、真ん中よりやや客単価の高めの位置にある。

  一方、客数が高く、客単価の低いゾーンには東日本キオスクが位置し、客数1730人/日、客単価342円である。このゾーンには他に小田急電鉄、客数1473人/日、客単価377円や阪急電鉄、客数1260人/日、客単価336円が入っており、見事に電鉄系のコンビニが固まっている。いわゆる駅のホームでのコンビニはいかに客数をさばくかが売上の決め手となっており、客単価はコンビニ業界最低でも、客数を最高にもってゆくことにより経営のバランスをとっているといえよう。ちなみに、このゾーンのコンビニで客単価の高い企業は一社もない。

  もう一方の客数が低く、客単価の高いゾーンには北海道のセイコーマートのハセガワストアが18店舗という店舗数ではあるが、客数633人/日、客単価852円である。また、北陸酒有連がやはり店舗数は10店舗と少ないが客数235人/日、客単価850円と、今回の調査の中では最も客数が少ないコンビニである。このゾーンにはもう1社、千葉県で67店舗を展開しているコスモスジャパンがあり、客数405人/日、客単価705円である。ちなみに、このゾーンのコンビニで客数の高い企業は1社もない。

  そして、残りのコンビニチェーンはほとんど真ん中に固まっているが、さらに細かくみると、真ん中のゾーンの中でも、y=xの傾向があり、客単価の高い企業ほど、客数も多いという傾向のように見える。

  これを食品スーパーマーケット業界と比べてみると、食品スーパーマーケットの客数と客単価のほぼ平均値は客数2000人/日、客単価2000円であり、ちょうど、セブンイレブンの数字の約2倍強となる。コンビニの商品構成は食品スーパーマーケットと比べ、決定的に違う点は生鮮3品であり、食品スーパーマーケットの生鮮3品の売上構成比は40~50%であることを考えると、食品スーパーマーケットから生鮮3品を引くと、客単価は約半分になり、当然、生鮮3品を購入する顧客も半分と考えると、客数も半分になる。

  このように考えるとコンビニの業績改善は食品スーパーマーケットに近づき、客単価、客数を無理に増やしてゆくよりも、現状の客数、客単価の最適バランスをとり、客数、客単価を微妙に改善しながら、店舗数を極限まで増やしてゆくセブンイレブンのような手法がコンビニの本質に沿った無理のない経営戦略のように思える。セブンイレブンの全国シェアが際立つ傾向が今回の調査では鮮明になりつつあることが、このことを裏づけているといえよう。

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July 26, 2006

景気は回復している!月例経済報告7月度!

  内閣府から7/19、月例経済報告が公表された。今回の表紙には「景気は回復している」という表題がつけられ、その説明として、「先行きについては、企業部門の好調さが家計部門へ波及しており、国内民間需要に支えられた景気回復が続くと見込まれる。一方、原油価格の動向が内外経済に与える影響等には留意する必要がある」という文章がつけられている。いよいよ「家計部門へも企業部門の好調さが波及」と言及しており、景気回復が家計部門に波及し、今後とも持続するとの見通しである。

  月例経済報告の総論では景気が回復している根拠として、4つの観点をあげている。ひとつは企業収益は緩やかに増加しているという点であり、2つめは個人消費は緩やかに増加しているという点であり、3つめは雇用情勢は厳しさが残るものの、改善に広がりがみられるという点であり、そして、4つめは輸出、生産は緩やかに増加しているという点である。特に、食品スーパーマーケット業界としては、個人消費と雇用情勢が気になるところであるが、個人消費に関しては、単なる増加ではなく、緩やかに増加と一歩踏み込んだ表現を使っており、今後、期待をもてそうな景気判断といえよう。一方、雇用情勢については、厳しさが残るもののという表現が依然として残っており、やや厳しい情況の判断である。

  では、月例経済報告の各論はどうかを見てみたい。特に、食品スーパーマーケット業界に関係の深い内容を見てみると、まず、消費者物価であるが、これは横ばいとなっているとの判断である。類別で見た場合、一般商品は石油の上昇により上昇しているとのことだが、一般サービス、公共料金はおおむね横ばいということである。実際の諸費者物価のデータは11月以降前年比は上昇しているというが、これも石油製品、その他の特殊要因を除くとゼロ近傍で推移とのことであり、今後の動向には注視していく必要があるとのことである。また、雇用情勢であるが、5月の完全失業率は0.1ポイント低下し、4.0%となり、就業者が増加し、完全失業率は減少したという。ただ、いわゆるフリーター世代の15~24歳層の完全失業率は低下傾向ではあるが、依然として高水準であるという。また、新規求人数は増加し、有効求人倍率は上昇とのことで、雇用者数も増加しているという。賃金に関しても定期給与は緩やかな増加傾向で推移とのことで、雇用情勢から見ても景気の回復感がうかがわれる情況といえよう。

  一方、海外の動きであるが、アメリカは個人消費等の伸びは緩やかになっているものの、景気は拡大しているという判断である。中国に関しては景気の拡大が続いているとのことで、韓国も緩やかに景気は拡大しているとの判断である。また、ユーロ圏では景気は緩やかに回復しており、英国の景気に関しては回復しているとの判断である。

  なお、内閣府が補足資料として原油価格の動向についてまとめている。それを見ると第一次石油ショック(1973年)の時と比べ原油価格は1バレル50ドルを越え、5倍以上になっているが、我が国経済への影響が低下している理由として3つの理由をあげている。ひとつは、省エネが進み、GDP(国内総生産)に占める石油の割合が約3分の2となったことであり、2つめは1次エネルギーに占める石油の割合が約8割から5割に低下したことであり、3つめが為替レートが273円/ドルから110円/ドルと大幅な円高になったことであるということである。確かに、現在、異常な石油高であるにもかかわらず、石油危機の時のようなパニックにならない理由が納得できた。日本経済は約30年かけて、石油依然型経済を省エネ、石油代替エネルギーにより脱却し、しかも、経済力をつけ、為替レートを円高にもっていったことが勝因であった。ただ、今後の動向には注視が必要とも言及しており、これ以上の原油高は景気に影響を与えかねないといえよう。

  このように、7月度の月例経済報告が内閣府から公表されたが、食品スーパーマーケット業界にとっては、景気という観点では大きなマイナス材料はないといえる。むしろ、消費者物価、雇用情勢、そして、石油価格の動向についても、注視は必要ではあるが、プラスの材料といえ、今後、既存店の回復、そして、積極的な新規出店が今年後半以降期待できそうである。

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July 25, 2006

日経POS、新製品売れ筋ランキング発表(2006年上期)

  7/24の日経MJに2006年上期の新製品売れ筋ランキングが掲載された。この売れ筋ランキングは毎週日経MJで公表している新製品売れ筋ランキングの半期のまとめにあたるものであり、全国主要33チェーンの食品スーパーマーケット、約200店舗の集計データである。毎週公表される売れ筋ランキングではPI値が公表されないが、この半期のまとめではPI値も公表され、客単価の公式どおり、客単価=PI値×平均単価として、客単価、PI値を1000人当りの指標で公表している。したがって、100人当り、%で判断するには、公表データの桁をひとつ左にずらしてみればよい。公表商品群は飲料、酒類、菓子、その他食品、化粧品、家庭雑貨のベスト10のみであるが、新製品の傾向を充分につかむことができる。

  まず、飲料であるが、No.1はサントリーの黒烏龍茶PET350mlであり、客単価0.63円、PI値0.40%、平均単価158円である。5月に登場したばかりであるにもかかわらず、短期間で0.5円の客単価を越えた。客単価0.5円は100店舗以上の食品スーパーマーケットでは年間客数が延べ1億人を越えるため、年間5000万円の売上となる重点管理商品である。飲料を含め、グロサリー商品では、客単価0.5円以上をA商品、0.3円以上をB商品として重点管理すべき数字とみてよく、黒烏龍茶は売れ筋といってよい数字を短期間で獲得したといえる。No.2は花王のヘルシアウォーターPET500mlのグレープフルーツ味である。客単価0.55円、PI値0.31%、平均単価177円である。飲料ではこの2品が0.5円の客単価を越えた新製品であり、No.3からは0.3円代となる。この客単価0.5円を越えた上位2品はいずれも中性脂肪に焦点をあてた新製品であり、黒烏龍茶が中性脂肪の上昇を抑えるポリフェノールを、ヘルシアウォーターが中性脂肪の消費を促す茶カテキンを豊富に含んでいるという。キーワードは中性脂肪、健康というところであろう。

  酒類に関しては、No.1はサントリーのジョッキ生350ml×6缶であり、客単価0.76円、PI値0.13%、平均単価586円である。これ以外に、0.5円の客単価を越えた新製品が2つあり、No.2がアサヒビールのぐびなま350ml×6缶、客単価0.66円、PI値0.11%、平均単価605円であり、No.3がキリンビールの円熟350ml×6缶、客単価0.64円、PI値0.09%、平均単価721円である。No.3以下は客単価が0.3円台となり、このベスト3が売れ筋とみてよい。No.1のジョッキ生とNo.2のぐびなまが第3のビールであり、No.3の円熟は発泡酒である。

  菓子ではNo.1が森永製菓のシルフィ2枚×6であり、客単価0.18円、PI値0.12%、平均単価148円である。No.2は鶴田食品工業のマンナンライフ蒟蒻畑ぶどう味25g×12であり、客単価0.15円、PI値0.10%、平均単価146円である。菓子は客単価0.5円を越える商品はあまりなく、0.3円でも売れ筋であるが、残念ながら、今回は0.2円をも切ってしまった。

  その他の食品、化粧品、家庭用品で客単価0.5円を越えた商品は、味の素のギョウザ12個252gの冷凍食品であり、客単価0.64円、PI値0.37%、平均単価169円である。食品関係は以上が客単価0.5円を越えた新製品であり、これ以外に0.5円の客単価を越えた新製品は化粧品2品である。1品はカネボウ化粧品のブランシールホワイトニングコンクルージョン40mlの美容液であり、何と客単価0.9円、PI値0.01%、平均単価5689円である。今回の上期の新製品売れ筋ランキングトップの商品である。そして、もう1品はマックスファクターのSK-Ⅱホワイトニングソーススキンブライトナー75gであり、客単価0.63円、PI値0.006%、平均単価9724円とPI値はほとんど見えない数字である。2000人/日の客数の標準的な食品スーパーマーケットで1週間に1個売れるか売れない商品であるが、客単価は0.5円を越え、PI値でみれば死に筋であるが、客単価でみれば売れ筋といってよい。

  このように食品スーパーマーケットにこの1月から6月までに登場した2006年上期の新製品の中で客単価0.5円を越えた商品はたった8つであり、客単価0.5円を越えることが難しいかがわかる。ただ、この8つは間違いなく現時点では売れ筋といってよく、まだ、充分に展開していない場合はすぐに販促をかけ、検証してみて欲しい。

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July 24, 2006

視聴率とGRPについて

  今週の食品スーパーマーケット最新情報の客単価3D分析ミニ講座の中で視聴率についてとりあげ、視聴率はPI値そのものであるが、最近では個人視聴率という指標が活用されはじめ、これが、PPIのことであることを解説した。今回、改めて、視聴率について調べてみたが、実はその中で、客単価3D分析ではないが、客単価そのものと同じ数式であらわされる指標をみつけた。GRPである。GRPは以前から気になっていたが、あまり深く調べてみることはなかった。改めて調べてみると、GRPは客単価そのものといってもよい指標であることがわかった。そこで、ここでは、GRPについて、客単価との関係を取り上げてみたい。

  GRP(Gross Rating Point)は一般には広告効果の測定指標のひとつとして開発された指標であり、1分ごとの視聴率の番組時間当りの総和を表したものである。数式では、視聴率=GRP÷番組時間であり、これを変形すると、GRP=視聴率×番組時間となる。たとえば、ビデオリサーチのホームページをみると、様々な番組のGRPが公表されているが、日本テレビ開局50年金曜特別ロードショー・千と千尋の神隠しのGRPは7460%であり、視聴率は46.9%、番組時間は159分である。したがって、千と千尋の神隠しは7460%=46.9%×159分と表すことができる。客単価の基本公式は客単価=PI値×平均単価であるので、視聴率をPI値とすれば、番組時間は平均単価となり、GRPは7460%となる。すなわち、千と千尋の神隠しの客単価は7460%で、PI値は46.9%、平均単価は159分と見ることもできる。ここで、7460%は74分と置き換えても同じであり、千と千尋の神隠しの客単価(客時間?)は74分ということになる。すなわち、千と千尋の神隠しを見た人も見ない人も含め、千と千尋の神隠しを平均74分は見たということである。

  実際、視聴率は対照番組視聴世帯数÷テレビ視聴世帯数で割って算出し、これに対照番組時間を掛けると、(対象番組視聴世帯×対照番組時間)÷テレビ視聴世帯数となり、テレビ視聴世帯数1世帯当りの対象番組の総視聴時間となる。これはまさに客単価そのものであり、さらにこれに、テレビ視聴世帯数である総客数を掛けると、売上、すなわち、対象番組視聴世帯の総視聴時間となる。これまで、視聴率には平均単価がないと思っていたが、実はテレビ業界は金額よりも時間がキーワードであり、平均単価ではなく、番組時間が決め手であることがわかる。このように考えると、GRPは客単価そのものといってもよく、客単価の金額の変わりに、時間で置き換えたものといえよう。したがって、GRPを算出することにより、視聴率の世界も客単価2D分析のノウハウを活用することが可能となり、今後、さらに、一部始まっているが、客単価3D分析のノウハウを入れることにより、視聴率も様々な活用が可能となろう。

  ビデオリサーチのGRPの公表データを見るとおもしろいことがわかる。先ほどの千と千尋の神隠しは2003年度の関東地区の年間No.1の視聴率であり、46.9%であったが、GRPで見ると、千と千尋の神隠しを越える番組がいくつもあることがわかる。視聴率では31.5%と年間No.5の新春スポーツスペシャル・第79回東京箱根間往復大学駅伝競走・復路はGRPではNo.1の12,461%(124時間)である。PI値では15%も差があるが平均単価である番組時間が千と千尋の神隠しが159分であるのに対し、東京箱根間往復大学駅伝395分と2倍以上の時間であるため、客単価であるGRPでは勝ってしまったのである。客単価6段階評価をすると、千と千尋の神隠しは○○○の真ん中に位置するのに対し、東京箱根間往復大学駅伝は○の左上に位置し、しかも、客単価は極めて高いという結果である。

  このように視聴率もGRPという平均単価である番組時間という概念を加えることにより客単価分析ができるようになり、番組の評価を単純な視聴率だけでみる見方から、時間という概念を加えた2次元分析でみることができるようになった。今後、GRPという客単価分析が視聴率の世界でもますます重要な指標となってゆくものと思う。

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July 23, 2006

食品スーパーマーケット業界へ商社が積極的に参入!

  7/22の日経1面に「ダイエー、丸紅が再建主導」、再生機構保有株、全株購入し、44%出資へという記事が載った。現在、ダイエーは経営再建中であり、筆頭株主は産業再生機構が議決権ベースの33.6%を所有しており、その全株を丸紅が買取る方針であるという。丸紅は全株買取後は44.6%の議決権ベースでの筆頭株主となり、ダイエーの再建を主導する形となる。これにより、産業再生機構主導で進められてきたダイエーの再建が、丸紅主導型の再建へと転換することになる。丸紅がこのような決断をしたことにより、今後、食品スーパーマーケット業界へ商社がこれまで以上に積極的に参入してくるものと思う。

  丸紅は、現在、丸紅フードインベストメントを通じ、食品スーパーマーケットへの出資を積極的に進めており、主な食品スーパーマーケットへの投資はマルエツ、東武ストアであったが、今回のダイエーへの出資により、ダイエー、マルエツ、東武ストアーという一大食品スーパーマーケットグループを誕生させることになる。ダイエー約1兆1千億円、マルエツ約3千億円、東武ストアー約800億円の合計約1兆5千億円の食品スーパーマーケットグループとなる。

  実際の株式所有状況は、ダイエーについて2006年2月現在では、丸紅リテールインベストメントが9,951,000株(5.04%)を所有し、第2位の株主であり、また丸紅フーズインベストメントも1,739,000(0.88%)を所有しているが、これが、今後44.6%の議決権ベースでの株式を所有し、筆頭株主となる。マルエツについては丸紅は、2006年2月現在、丸紅フーズインベストメントが37,113,000株(28.79%)を所有し、第2位の株主である。筆頭株主は現在、ダイエーであり、46,423,000株(36.02%)を所有している。したがって、丸紅がダイエーの筆頭株主となることにより、マルエツは丸紅の完全な傘下となる。また、東武ストアーについては、丸紅フーズインベストメントが筆頭株主であり、17,639,000株(25.01%)を所有している。したがって、今回の丸紅のダイエーへの出資により、実質上、ダイエー、マルエツ、東武ストアによる一大食品スーパーマーケットグループの誕生といえる。このように丸紅が食品スーパーマーケットグループ形成へと動いたことにより、今後、三菱商事、住友商事も同様な動きを強めるものと思われる。

  三菱商事は、現在、食品スーパーマーケットでは、ライフコーポレーションの親会社となっており、議決権の20.7%の株式を所有している。実は、親会社になったのはつい最近のことであり、昨年2005年10月7日に三菱商事の議決権が20%を越えたことが正式にライフコーポレーションから確認され、10/11に公表されたばかりである。三菱商事からは役員2名を受け入れ、今期からは、三菱商事出身の岩崎新社長が指揮をとっている。当面、三菱商事はライフコーポレーションを核に食品スーパーマーケットグループの形成をすすめてゆくことになろう。

  一方、住友商事は、食品スーパーマーケットには早くから参入しており、サミットストアの100%親会社であり、現在、役員を5人派遣している。今後、サミットの投資額を大幅に増やし、積極的な新店開発に取り組むことも決まっており、食品スーパーマーケットへの取り組みをますます強めつつある。また、サミット以外にも、マミーマートの議決権の20.05%の株式を所有し、役員を3名派遣している。関西スーパーマーケットについても2006年3月現在、2,857,000株(9.94%)を所有し、筆頭株主となっている。さらに、西友については2005年12月現在、59,305,000株(6.66%)を所有している。西友の親会社であるウォールマートとも友好関係にあり、サミットを核にマミーマート、関西スーパーマーケット、そして、西友が連携すればやはり1兆5千億円の一大食品スーパーマーケットグループとなる。

  このように、丸紅がダイエーへの出資を決断したことにより、三菱商事、住友商事も食品スーパーマーケット業界へのさらなる参入が予想され、今後、各商社の動きが食品スーパーマーケット業界でますます活発になってゆくものと思う。

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July 22, 2006

ヤオコー、鮮魚部門の生産性改善に本格的に着手!

  ヤオコーが鮮魚部門の生産性改善に本格的に取組み始めた。5月9日に発表されたIRプレゼンテーションの場で、第49期、2006年3月度の決算の概況説明がなされたが、その中で、第49期の主要施策の中で明らかになった。ヤオコーでは鮮魚部門にまず取り組んだ理由として、これまで一番MH効率(マンアワー:時間当りの生産性)が悪く、改善の難しい部門であったことから、そこにメスを入れ、実績を出すことにより、全体の生産性の改善に大きくつながってゆくと考え、着手したという。

  今回はモデル店として坂戸千代田店が選定され、トヨタ系のコンサルタントの指導のもと、鮮魚部門の生産性アップに本格的に取り組んだという。最近、食品スーパーマーケット業界ではトヨタの看板方式を学ぶ企業が多く、仕入れから、物流、販売までの一貫した商品の流れを顧客のニーズに即して再構築する仕組みづくりに取り組む企業が増えている。

  本来トヨタの看板方式は食品スーパーマーケットのセルフ販売からヒントを得て構築されたノウハウであるが、それが、最近では逆転現象がおき、看板方式を食品スーパーマーケットが改めて取り入れはじめているのが実態である。食品スーパーマーケットの売場は視点を変えれば、巨大なベルトコンベアと同じであり、生鮮食品を販売している壁面の冷蔵什器をベルトコンベアととらえることができる。工場ではベルトコンベアが回転するが、食品スーパーマーケットではベルトコンベアが止まっており、お客様が回転しているという違いがあるが、視点を変えてお客様が止まっていると見れば、食品スーパーマーケットの冷蔵什器がお客様の周りを回転していると見ることもでき、まさに、食品スーパーマーケットは実は工場そのものなのである。したがって、お客様が冷蔵什器から商品をカゴに入れる行為は自動車の部品をピックアップすることと同じであり、冷蔵什器を一周してカゴ一杯の商品をピックアップして、やっと食事をつくる=自動車を組み立てることができるのである。見方を変えれば、主婦は毎日様々な自動車を食品スーパーマーケットという工場で作っているともいえる。

  看板方式の最大のポイントはお客様が商品を欲しいときに欲しい商品が補充される体制を、在庫0でつくりあげることであり、その時が最高の生産性を実現するという考え方である。ヤオコーの坂戸千代田店では、そのためにまず3S(整理、整頓、清掃)から入り、次に、時間帯別マーチャンダイジングに取り組んだという。ヤオコーでは、第49期の最大のテーマはOne Day 2Open(1日2回開店)というスローガンがあり、鮮魚部門もこのスローガンのもと、特に夕方のピーク時に合わせて、商品加工、品出し、陳列を行い、新鮮で美味しいものをボリューム感を出して顧客へ訴求し続けたという。当然、そのためには、看板方式の考え方を取り入れ、坂戸千代田店の鮮魚部門の作業の段取り、時間割、勤務体制等を根本的に変えたという。これまでは店や人の都合に合わせて商品化していたやり方から、お客様のニーズに合わせて作業を根本的に組み立て直したという。

  その結果、坂戸千代田店の鮮魚部門の2005年12月度の売上は昨年対比114%となり、人件費は88%、そして、ロスが74%に大きく下がったという。ここで注目すべきはロスが売上の上昇分以上に下がったことであろう。人件費に関しては売上が14%アップしているので、現状の人員でシフトを変えたり、教育研修を実施し、技術・作業レベルをアップさせれば88%は充分可能であろうが、ロスは売上アップ分以上に下がっており、これはチャンスロスを減らし、無駄な在庫を減らし、値引き、廃棄ロスが改善できない限り下がらない数字であるので、この点がOne Day 2Openによって実現されたものといえよう。

  ヤオコーでは今回の坂戸千代田店の好結果を受け、今後、全店の鮮魚部門の生産性の改善に本格的に取り組むという。しかも、今期の第5次中期経営計画の最重要テーマの1つにもなるというので、鮮魚部門の生産性の改善はヤオコーの今後の経営戦略の最重点課題に位置づけれらたといえる。ヤオコーの今年の鮮魚売場に注目である。

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July 21, 2006

オオゼキ、第1四半期決算(2007年2月期)、増収増益で推移!

  オオゼキの2007年2月期の第1四半期決算が公表された。それによると、売上153.7億円(112.8%)、営業利益11.4億円(112.6%:売上対比7.4%)、経常利益11.4億円(112.0%:売上対比7.4%)、当期純利益6.4億円(124.1%:売上対比4.1%)と大幅な増収増益であった。直近、6月度のオオゼキの売上速報は全店119.8%(既存店102.9%)とさらに昨年対比の売上高伸び率を伸ばしており、食品スーパーマーケット業界の中でも超高水準の売上伸び率で推移している。しかも収益性も昨年対比で112%と大幅に伸びただけでなく、売上対比では7.4%と食品スーパーマーケット業界の平均2~3%と比べ、ずば抜けた利益率でもある。

  このようにオオゼキの第1四半期決算は極めて良好な決算であり、特に売上が伸びた要因は新店の展開が順調になされたことが大きい。ここ最近、オオゼキは年2店舗(2003年2店舗、2004年2店舗)の新規出店のペースであったが、ここへ来て、新規出店のペースがはやまり、2005年には4店舗の新規出店を果たした。2005年2月末の総店舗数が27店舗であるので、4店舗の出店は約120%の店舗数の増加であり、既存店の数字が大きく落ち込まない限り、充分、昨年対比を110%以上にもってゆくことは容易であり、この積極的な新店開発が売上が好調な最大の要因といえる。また、今期もすでに、三鷹店(3月)と戸越公園店(6月)と新規出店をしており、それが6月度の売上速報の119.8%となった大きな要因であるといえよう。このように、昨年からオオゼキは新規出店を積極的に展開する戦略に転換しており、当面、高い売上の伸び率で推移しそうである。

  また、営業利益については、粗利率が25.4%と昨年の24.6%よりも1%弱改善し、経費比率は18.0%と昨年の17.2%と比べややアップしたが、粗利率の改善によりカバーした形である。それにしても、正社員比率が70%弱という(通常の食品スーパーマーケットではパート比率が70%強)環境で経費比率が18%でおさまるのは驚異的な数字であり、これを支えるのが平均来店客数4000人弱/日と坪効率年間1300万円という高密度な販売力の高さにあるといえよう。ちなみに、通常の食品スーパーマーケットの客数は約2000人/日、坪効率は約400万円であるので、いかにオオゼキの客数、坪効率が高いかがわかる。

  一方、この第1四半期の財務状況については、短期借入金額が4.2億円から3.4億円と0.7億円減少し、長期借入金に至っては4.3億円が0.8億円と大幅に減少し、長短借入れ合計が年間売上の1%を切るという超健全な借入金比率となった。ちなみに、食品スーパーマーケット業界平均の年間売上対比の借入金比率は約15%である。また、キャッシュフローに関しても、営業活動によるキャッシュフローが大きく増加したため、現金および現金同等物の期末残高は71.9億円と昨年の59.7億に比べ12.2億円増加し、キャッシュフローも大きく増加し、健全な財務状況であるといえる。

  そして、これらを支えるオオゼキの商品戦略であるが、第1四半期の特徴は鮮魚の売上構成比が13.5%と昨年の13.0%に比べ若干アップしたことである。それ以外は大きな変化はなく、3大戦略商品は青果の21.2%、日配の19.3%、食品の18.1%であり、この3つの部門、特に青果を最大強化部門と位置づけている点がオオゼキの最大の特徴である。ちなみに、青果の粗利率は2006年2月度の決算数字で見ると26.4%であり、けっして価格訴求をかけて強力な集客をはかっているわけでなく、集客というよりも、むしろ青果を収益部門と位置づけてもよいくらいの粗利率である。

  このようにオオゼキの第1四半期の決算はP/L、B/Sともに極めて好調な決算であり、特に売上高は積極的な新店開発により、昨年対比120%近い伸び率となり、当面、高い成長率が続くものと思う。これまで唯一、既存店の売上が100%を越えなかったことが大きな課題であったが、6月度の売上速報では100%を越えてきており、既存店も順調な売上を確保しはじめた。オオゼキは今期の食品スーパーマーケット業界の中でも最も注目度の高い企業といえよう。

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July 20, 2006

食品スーパーマーケット売上速報、120%前後の企業が7社!

  2006年6月度の食品スーパーマーケットの売上速報の集計がまとめた。食品スーパーマーケット業界の上場企業は約50社であるが、そのうち、約20社が毎月売上の推移を公表している。また、約15社は客数、客単価の推移も公表し、さらに約5社がPI値、平均単価の推移まで公表している。この集計をはじめて、今回で13回目となり、1年が経過した。そこで、今後は昨年の状況も踏まえて、食品スーパーマーケット業界の売上速報を解説してゆきたい。

  さて、2006年6月度の食品スーパーマーケットの売上速報で最も特徴的な点は売上伸び率の高い企業の順位が微妙に変化していることである。ここ最近、トップグループを形成していた、九九プラス、PLANT、大黒天物産の3社の数字がペースダウンしている。今回も売上伸び率ではNo.1はPLANTの128.1%であるが、3月度の142.0%、4月度の131.4%、5月度の133.5%と比べると少し成長率がペースダウン気味である。それに加え、既存店は94.4%と苦戦しており、今後、新規出店が厳しいことを考えるとさらに成長率が鈍化する可能性が高い。No.2は大黒天物産の122.1%であるが、やはり、既存店は96.3%と厳しい状況である。全体の伸び率は3月が150.6%、4月が140.2%、5月が125.9%と徐々に成長率が下がってきており、2月以降の新店もないことから、今後、さらに成長率が下がるものといえよう。そして、九九プラスは118.0%とNo.5と、これまでここ最近はベスト3以内であったが、ここへきて5番目となり、さらに、既存店も94.0%と厳しい状況である。このように、これまでのベスト3であった、PLANT、大黒天物産、九九プラスの成長率が下がり、しかも、既存店が約95%と厳しい状況である。

  これに対し、逆に、6月度に入り、成長率が120%近くまで上昇してきた企業が4社ある。No.3のマックスバリュ東海、No.4のオオゼキ、No.6のアークランドサカモト、No.7のハローズである。いずれも約120%近い成長率であり、しかも、既存店が100%を越えているのが特徴である。今後、食品スーパーマーケット業界注目の企業といってもよい。

  No.3のマックスバリュ東海であるが、119.9%と高い成長率であり、この数字はここ最近維持しており、しかも既存店が6月度は106.1%と今回公表された食品スーパーマーケットの中ではNo.1である。ついで、わずか0.1%の差でNo.4がオオゼキであり、119.8%である。オオゼキは最近の新店開発が売上を押し上げており、ここ最近では最高の成長率である。既存店も102.9%と、この1年間1度も100%を越えることはなかったが、6月度に入り100%を越えた。No.6はアークランドサカモトであり、117.6%、既存店も101.7%であった。最近の大型ディスカウントストアのたて続けての新規出店が数字を押上げ、120%近い伸び率であった。No.7はハローズであり、115.0%、既存店も101.1%と高い成長率でほぼこの1年間維持してきた。このように、6月は、この4社が高成長企業群に入り、これまでの3社独占状況が大きく崩れはじめたといえる。

  上記7社以外では、No.8がヤオコーの111.3%、既存店99.6%であり、No.9がバローの111.1%、既存店103.8%であり、No.10がCFSコーポレーションのキミサワの107.6%、既存店103.8%であり、No.11がカスミの107.5%であり、No.12がヨークベニマルの106.2%、既存店95.7%であり、ここまでが105%以上の食品スーパーマーケットである。

  逆に、この6月度、昨年対比100%を下回った食品スーパーマーケットは3社である。マックスバリュ北海道の97.8%、既存店97.8%であり、いなげやの97.8%、既存店100.5%であり、オリンピックの95.9%、既存店92.8%である。

  このように、2006年6月度の食品スーパーマーケットの売上は昨年対比約120%の高成長企業が増え、昨年を下回った企業はわずか3社であり、全体としては好調な売上で推移しているといえよう。また、既存店の売上も100%を越える食品スーパーマーケットが増えつつあり、今期の食品スーパーマーケット業界は、好決算が期待できそうな状況で推移しているといえよう。

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July 19, 2006

食品スーパーマーケット、新店情報、200607前半!

  7月に入っても、食品スーパーマーケット業界の新規出店が旺盛である。今月はベイシアのスーパーセンターも2店舗、NSC(近隣型ショッピングセンター)もサミット1号店が出店するなど、食品スーパーマーケットの新規業態の出店もあいついだ。現在6月度の上場食品スーパーマーケットの売上速報を集計しているが、全体としては約110%、既存店は約100%と新店による売上アップの傾向は鮮明であり、新店開発が食品スーパーマーケットの成長を大きく支えている状況といえる。すでに、多くの食品スーパーマーケットが新年度に入り、第1四半期を終えたが、どの企業も新店開発が成長の鍵と位置づけており、当面、食品スーパーマーケットの新店開発のハイペースは続くものと思う。

  このような中で、ベイシアがスーパーセンターを2店舗、1店舗は既存店の全面リニューアル、もう1店舗は新規出店と、立て続けにオープンした。7/13、長野県安曇野市にベイシアスーパーセンターあづみの堀金店をリニューアルオープンした。約6億5千万円かけて、敷地面積を30655㎡から50687㎡へ、店舗面積を7600㎡から9684㎡と大幅に増築増床した。食品フロアーも737坪から933坪と約1000坪となり、すべての部門の見直しを行い、品揃えを大幅に増やした。そして、もう1店は7/15、千葉県長生郡長生村に新規オープンしたベイシアスーパーセンター長生店である。ベイシアスーパーセンターとしては26店舗目となる。売場面積は8000㎡であり、ワンフロア、集中レジの典型的なベイシアスーパーセンターである。ベイシアは6月にも2店舗、4月にも2店舗オープンしており、今期6店舗目となる。

  一方、NSC(近隣型ショッピングセンター)については、今回はNSCを積極的に出店しているヨークベニマル、ヤオコー、バローの出店はなかったが、サミットが7/15、はじめての自社開発のNSCとなるグリーンマークシティーを東京都足立区に新規開発し、サミット保木間店を新規オープンした。サミット以外にはドラックストアのサンドラック、カジュアル衣料のコルモピア、書店のブックスゴローが入り、サミットを核にNSCが構成されている。売場面積約600坪で、年商目標は26.4億円であり、サミット83店舗目の店舗となる。サミットは7/18の日経新聞の記事にもあったように、親会社の住友商事が全面バックアップ体制をとり、今後5年間に約500億円投資し、NSCを含め120店舗へ、年商2900億円を目指すという。今後、サミットの動向には注目である。

  さらに、食品スーパーマーケットでも各地で新規出店があった。東日本では、北海道のアークスが7/15、札幌市白石区にラルズ新ほくと店を新規オープンした。アークスとしては3/9にオープンしたフクハラ足寄店以来の新規出店である。ベルクも7/5、群馬県太田市にベルク植木野町店を新規オープンした。5/24にオープンした川口前川店以来の新店であり、ベルク全体では48店舗となる。一方、西日本では、マックスバリュ九州が7/8、マックスバリュ門司西店を福岡県北九州市に新規オープンした。24時間オープンであり、店舗面積約700坪、年商16億円が目標であるという。出店が真近の店舗としては、7/22、東京都品川区にライフコーポレーションがライフ大崎百反店を新規オープンする予定である。2層タイプの店舗であり、売面約400坪で、年商18.5億円を目指すという。ライフコーポレーショ193店舗となる店舗であり、東京では47店舗、東日本では87店舗目の店舗である。

  また、九九プラスであるが、やや新規出店ペースは落ち、7月は7/11の川口本町店、7/13の世田谷砧店の2店舗のみである。5月度6店舗、6月度9店舗とこれまで月20店舗近い出店ペースであった点を考えると半減しており、直近6月度の売上速報を見ても昨対120%を割り118%とこれまで130%前後の高成長を続けてきたが、ここへきて大きくペースダウンとなった。

  このように、7月前半も食品スーパーマーケット業界は新規出店が旺盛である。今期の特徴としては、食品スーパーマーケット各社がNSCへの開発を積極的にはじめたことに加え、今後5年間を新規出店のビジネスチャンスととらえ、積極的な新規出店戦略を採用しはじめたことである。特に、サミット、マックスバリュ東海、オオゼキ、ヤオコー、ヨークベニマル等の今後の新店戦略には注目である。

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July 18, 2006

マグロの高値相場が続き、付加価値アップの商品づくりが今後の決め手!

  東京中央卸売市場の主要水産物が昨年と比べ高値相場がここ最近続いている。特に、マグロはこの数ケ月間、高値相場が続き、生マグロは約150%、冷凍メバチは約120%近い昨年対比の数字で推移しており、食品スーパーマーケットにとっても価格設定に苦労している状況が続いている。また、マグロ以外の商品でも高値で推移している魚種も多く、直近の7月度第2週の相場では、カツオが約120%、アジが約130%、ハマチが約150%、サンマが約110%、塩サケが約110%と昨年対比では軒並み高値相場となっている状況である。これに対し、逆に、相場安の魚種はイワシの約50%、スルメイカの約60%、サバの約90%、カレイの約90%と少なく、全体としては、高値相場であるといえる。

  このような中でマグロについては3月頃から高値相場が続いており、この5週間の動きを見てみると、生マグロの国内物は6月第3週が118%、第4週が140%、第5週が174%、7月第1週が163%、第2週が118%と平均150%近い高値である。また、取引量が多い冷凍メバチについては、6月第3週が122%、第4週が121%、第5週が122%、7月の第1週が119%、第2週が117%と平均120%と生ほどではないが、高値相場が続いている。
これら、マグロがここへきて高値相場となった背景には、マグロの資源保護の関係で、冷凍マグロの主要輸入国である台湾が減船したことが大きいという。7/17の日経MJでは冷凍マグロの在庫が5月末時点で10%減少という記事の中でこの点に言及しており、冷凍メバチの輸入量が1月から5月までの累計で26411トン、前年同期比5975トン減少し、約82%であったという。また、在庫量に関しては、全国主要冷蔵庫のマグロの5月度末の状況はメバチが17388トンと92%、キハダが16075トンと69%であったという。メバチも在庫量が減っているが、キハダは大きく在庫量が減っているのが実態であるという。

  また、5月度の家計調査月報を見てみると、マグロについては、昨年対比で平均単価が199.45円から206.95円へと約104%上がっている。それにともない、消費額も1日当り、17.7円(月間549円)から17.1円(月間530円)へと若干減少している。6月度の数字はまだ公表されていないのでわからないが、このままマグロの相場高が続けば、さらに価格が上昇し、消費額が減る可能性が高いといえよう。

  さらに、今後、高級マグロといわれているミナミマグロ(本マグロ)についても漁獲制限が課される可能性が高くなってきたという。ENVIROASIAという日本、中国、韓国のNGOが共同して取り組む3カ国の環境情報共有プロジェクトによれば、日本、韓国、豪州、ニュージーランドが加盟している、みなみまぐろ保存委員会で2006年10月の会議で大幅なミナミマグロの漁獲制限が課される方向であるという。これが正式決定されれば、ミナミマグロの相場がさらにあがり、キハダ、メバチの通常のまぐろに加え、南マグロ(本マグロ)という高級グレードのマグロの価格も上がることになり、この秋からはマグロ全体が高級魚となり、これまでのような価格で食品スーパーマーケットでマグロを販売することが難しくなりかねない状況となる。

  マグロは家計調査月報5月度で見ると、鮮魚全魚種の中でNo.1の17.1円である。No.2が刺身盛合せの16.2円、No.3がさけの11.2円であり、刺身盛合せの中にもマグロが高い比重を占めていることを考えると、家計消費の中ではマグロは圧倒的な鮮魚の消費額であることがわかる。このような状況の中で、マグロの相場が通常のキハダ、メバチに加え、高級グレードの本マグロまで上がる可能性が高いことは、食品スーパーマーケットの鮮魚部門にとっては厳しい状況が予想される。今後の食品スーパーマーケットの鮮魚は素材中心の平均単価ダウン、PI値アップ戦略から、素材を高度に加工した付加価値の高い商品づくりによる平均単価アップ戦略が業績を左右することになろう。

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July 17, 2006

得点圏打率について

  7/17配信の食品スーパーマーケット最新情報のメールマガジンの中で、客単価3Dミニ講座で大リーグでよく活用されている得点圏打率について取り上げた。客単価3Dミニ講座も今回で8回目となり、前回から、日常的に使われている客単価3D分析の事例を取り上げているが、今回は得点圏打率に注目した。その理由は、これはまさに客単価3D分析の初歩的な応用事例ではあるが、核心をついた典型的な指標であるからである。メールマガジンでは最新の得点圏打率のデータとか、今後の方向についての解説が充分でなかったので、あらためて、本ブログでも取り上げてみたい。

  最近のデータを改めて調べてみて、びっくりしたのは、2005年、昨年度のナショナルリーグNo.1の選手はカージナルスの田口壮選手であったことである。4割7厘という得点圏打率であり、メジャーリーグ全打者の中でも、No.2である。ちなみに、No.1はブルージェイズのフランク・カタラノ-ト選手であり、4割9厘と、田口選手とはわずかな差である。田口選手の総合打率は3割弱であるので、いかに得点圏打率が高いかがわかる。また2005年のイチローは得点圏打率が3割を切っており、マリナーズの成績に比例して、厳しい年であったことがわかる。それにしても、田口選手の得点圏打率はすばらしい数字であり、カージナルスが重用している理由の一端がここにあったといえよう。

  さて、このように得点圏打率は総合打率を補う重要な指標であることがわかるが、この得点圏打率は実は客単価3D分析の応用であり、逆に、客単価3D分析を使うとさらに様々な指標をつくることができる。最近では、この得点圏打率は打順を組む時に監督が重要視する指標のひとつであるといわれ、得点圏打率にもとづく自動打順組み換えソフトなどの試みもなされているという。

  一般的に得点圏打率の計算方法は、得点圏、すなわち、2塁か3塁に味方選手がすでに出塁していた時のみのヒット率であらわされる。具体的には、得点圏打率=得点圏におけるヒット数÷得点圏における打席数である。これはまさに客単価3D分析のPPIのことであり、客数を得点圏とそれ以外に分けて考える細分化客数の応用であることがわかる。したがって、この得点圏打率と通常の総合打率との関係は、通常の総合打率=得点圏打率×得点圏打席率+得点圏以外の打率×得点圏以外の打席率となる。これを客単価3D分析に置き換えれば、PI値(通常の総合打率)=得点圏PPI(得点圏打率)×得点圏客数PI値(得点圏打席率)+得点圏以外のPPI(得点圏以外の打率)×得点圏以外の客数PI値(得点圏以外の打席率)となり、客単価3D分析のPI値の分解と全く同じ数式であり、その中の得点圏PPIのみを抽出していることがわかる。

  したがって、理論的には得点圏打率は正確には、実は2種類あり、ひとつは、得点圏PPIであり、もうひとつは、得点圏打率×得点圏打席率、すなわち、得点圏PI値である。打席数を得点圏に置くか、全打席に置くかの違いである。また、ヒットの数にかかわらず、得点圏打席数、すなわち、客数PI値もあり、実は、こちらの方が客単価3D理論からいっても、実は重要な指標であり、何度チャンスに打順が回ってくるかを表し、チャンスをつかむ強さをはかるには得点圏打率よりも重要な指標である。

  さらに、客単価3D分析を用いると、PI値分解だけではなく、平均単価をも考慮し、客単価に高めた得点圏打率を造ることも可能となる。具体的には平均単価の代わりに、得点、1ベース、2ベース、3ベース等の数字を掛け合わせると、より、得点の獲得率を表す指標となり、単にチャンスの時にヒットを打つか打たないかだけでなく、得点につながったか、あるいはつながる可能性が高かったかを指標化することもできる。先ほどの打順へ応用する場合も、このように、得点圏打率だけでなく、得点圏打席率や得点圏における得点貢献度率などを組み入れるとより、現状の各選手の最適バランスを考えた打順を組むことができるようになろう。

  このように、客単価3D分析は意外なところですでにその一端が活用されていることがわかる。今後、客単価3D分析も食品スーパーマーケットをはじめとする小売業界はもちろん、様々な分野での活用も考えてみたい。

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July 16, 2006

ヨークベニマル、2007年2月期、第1四半期決算、増収減益!

  7/11、ヨークベニマルの2007年度、第1四半期決算(連結)が発表された。それによると、売上836.8億円(111.1%)、営業利益23.3億円(67.6%:売上対比2.9%)、経常利益24.0億円(69.3%:売上対比3.0%)、当期純利益13.7億円(69.0%:売上対比1.7%)と増収大幅減益であった。売上は順調に推移しているものの、営業利益、経常利益、当期純利益ともに大きく落ち込み、厳しい第1四半期決算となった。ヨークベニマルは、この8月末で7&Iホールディングスへ株式交換により、合併され、上場廃止となることが決まっており、次回、中間決算が最後の決算発表となるが、中間決算予想も増収減益となる見込みであり、収益性の回復が当面の経営課題であるといえよう。

  ヨークベニマルがこのような厳しい決算であった背景には大きく2つの点があげられる。ひとつは、ここのところ急激な新規出店が続いており、そのための出店経費がかかり、一般管理費が上昇している点である。もう一点は既存店の商圏環境が競合店により厳しい状況にあり、売上が伸び悩み、固定費が相対的に上昇し、一般管理費の負担が結果的に大きくなっている点である。実際、第1四半期の損益計算書を見てみると、売上総利益も28.8%から28.4%と若干落ちてはいるが、それ以上に一般管理費が26.8%から28.2%と大きく上昇しており、これが営業利益を売上対比4.7%から2.9%へと落ちた主要因となっている。

  まず、新規出店についてであるが、この第1四半期は3月に宮城県に利府野中店、茨城県にひたちなか店、4月に福島県に花春店、エブリア店、宮城県に石巻蛇田店、そして、5月に宮城県に市名坂店と、合計、新店を6店舗出店している。現在、ヨークベニマルは6月に栃木県に出店した足利店を加え、合計126店舗となったが、この数年、新店開発が旺盛である。したがって、売上は111.1%と第1四半期は大きく伸びているが、これはこのように新店効果によるところが大きい。ちなみに、この8月の中間決算の売上予想は116.7%とさらに上昇する見込みである。このように、新規出店6店舗がこの第1四半期に重なり、売上は順調に伸びたが、その分、出店経費が大きく、一般管理費の負担が大きかったものといえよう。

  また、この新店ラッシュは、一般管理費だけでなく、財務的にも影響がでているといえる。キャッシュフローの動きを見ると、投資活動におけるキャッシュフローの新店および既存店の改装投資などによる有形固定資産の取得額が37.3億円増加し、結果として、現金および現金同等物を約23億円取り崩している。ただ、借入れ金は依然0の無借金経営をつらぬいており、経営を圧迫するほどの問題ではない。

  次に、既存店の状況であるが、直近6月度の既存店の売上は95.7%と厳しい状況である。第1四半期の3月の既存店の売上は96.6%、4月は94.9%、5月は95.1%であり、6月までの累計では95.6%と平均約5%の既存店の落ち込みであり、第1四半期は既存店が苦戦している状況である。特に、既存店の累計客数97.4%、客単価98.0%と客数、客単価ともにダウンしており、これが相対的に全店の固定費の上昇につながり、新規出店費用の増加とともに、2重の経費が一般管理費の上昇につながったものといえよう。ちなみに、ヨークベニマルの昨年、2005年2月期の既存店の売上は97.8%、2004年2月期は99.0%であるので、年々、既存店の売上が伸び悩み、この第1四半期はもっとも厳しい既存店の売上であったといえる。

  このように第1四半期のヨークベニマルは売上は新店効果により極めて順調に推移しているが、新店費用増加および既存店の伸び悩みにより、経費比率があがり、収益を圧迫している状況がつづいており、当面、既存店の活性化、昨年対比100%を達成することが急務な状況であるとえよう。

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July 15, 2006

青森のユニバース、上場へ

  青森のユニバースの上場の記事が7/11の日経新聞、東北版の記事に掲載された。それによれば、今年度中にも東証二部に上場申請をする方針であるという。ユニバースが上場すれば、青森県内では6社目であり、11年ぶりに上場企業が誕生するという。上場の目的として、ユニバースはここ最近年3店舗のペースで出店をつづけており、資金調達の多様化をはかるとともに、上場により、企業イメージを高める狙いがあるという。食品スーパーマーケット業界でもひさしぶりの上場となる。特に、東北地区では、ヤマザワ、ヨークベニマル、マックスバリュ東北、ジョイスにつぎ5社目の上場企業となる。

  ユニバースは現在、青森県を中心に岩手県、秋田県に37店舗を展開し、年商は822.7億円であり、当期利益約18億円である。ここ数年の売上の推移は2003年627.7億円、経常利益16.2億円(売上対比2.58%)、2004年687.7億円(109.5%)、経常利益17.7億円(売上対比2.57%)、2005年756.2億円(109.9%)、経常利益22.4億円(2.96%)、そして、2006年822.7億円(108.7%)、経常利益25.5億円(売上対比3.09%)と、この3年間は増収増益と好業績で推移している。食品スーパーマーケット業界の中では、経常利益率は平均であるが、成長性が高いのが特徴といえよう。特に、今年4月には岩手県の食品スーパーマーケット、ファルを合併しており、青森県、秋田県に加え、岩手県もあらたな成長市場となり、今後、さらなる成長が期待できよう。

  また、長短の借入金は2003年102.6億円(売上対比16.3%)、2004年90.3億円(売上対比13.1%)、2005年84.7億円(売上対比11.2%)、そして、2006年103.6億円(12.5%)と食品スーパーマーケット業界平均の15%を下まわっており、健全な経営である。今後、上場による調達資金は新規出店に充てられるかと思うが、借入れ金の返済にも充てられれば、さらに財務の健全化をはかることができ、食品スーパーマーケット業界でも成長性、収益性に加え、財務の健全性も高い超優良企業となろう。

  ユニバースは1967年創業の食品スーパーマーケットであり、青森県八戸市に1号店となる小中野店をオープンしたのがスタートである。その後、10年の間に、八戸に5店舗、三沢に2店舗、岩手に1店舗の計9店舗を出店し、1978年にはCGCジャパンに加盟している。1982年には年商が100億円を越え、1994年には八戸の湊店を改装し、現在、北海道のアークスが主力業態としている食品ディスカウントストアのビックハウスをオープンしている。1995年には年商が300億円を突破し、その後、積極的な出店を重ね、2001年には年商500億円を越えた。2004年には今年合併した岩手のファルと業務提携をし、ファルの4店舗を直営化している。昨年、2005年には穂並町店を業態転換し、ビックハウスではなく、独自の食品ディスカウントストア、パワーズU十和田店をオープンしている。そして、今年、2006年、創業40周年目を向かえ、東証2部への上場を目指すという。

  ユニバースの最新店舗は、2005年10月に三沢にオープンしたユニバース三沢堀口店であるが、この店舗は約900坪の売場面積を持ち、隣接地にホームセンターのホーマックを配すNSC(近隣型ショッピングセンター)である。年商は23億円を目指すという。今後、ユニバースも食品スーパーマーケット業界の今後の主力業態となるNSCへ積極的に取り組んでゆくためのモデル店舗となる新店であり、上場後はこのNSCが青森、岩手、そして、秋田へと展開されてゆくことになろう。2009年度、3年後には年商は1000億円が目標というが、このNSCの成否が鍵を握るといえよう。
 
  ユニバースが年商1000億円になることにより、東北では福島、宮城を中心に年商3000億円のヨークベニマル、山形を中心に年商約1000億円のヤマザワ、秋田を中心に年商約1000億円のマックスバリュ東北、そして、青森、岩手を中心に年商約1000億円のユニバースの4社を中心に食品スーパーマーケット業界が動いてゆくことになる。東北の食品スーパーマーケット業界も寡占化の時代に入りはじめたといえよう。

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July 14, 2006

Googleで客単価3D分析、PI値を検索!

  Googleで客単価3D分析、PI値を検索してみた。客単価3D分析は487件、PI値は何と564000件の検索結果である。さすがに、客単価3D分析では、本ブログの食品スーパーマーケット最新情報がNo.1であったが、PI値では残念ながら、No.1は本ブログではなかった。PI研のホームページがNo.2であり、No.3が本ブログの食品スーパーマーケット最新情報であった。そこで、今回は、これまでのブログとちょっと趣をかえて、Googleで客単価3D分析を検索してみて、これはっと思う、私なりに推奨できる記事を取り上げてみたい。本来、ブログの極意はトラックバック等に代表されるネットワーク機能にあり、このような今回の試みをもとに、今後、本ブログもブログ本来の醍醐味を考慮しながら、さらに内容を充実させた最新の食品スーパーマーケット情報を発信をしてゆきたいと思う。

  参照1:http://park14.wakwak.com/~usj/money.htm:事業分析(マネーのツボ)、ここでの注目は数年前の資料ではあるが、USJ(ユニバーサルスタジオジャパン)とTDL(東京ディスニーランド)の客単価比較である。はじめて私も知ったが、ほぼ客単価は10000円弱であり、リピート率は3年に1回ぐらいという。

 参照2: http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/news/0110/29/jeans.html:ITmedeiaの携帯クーポンの効果検証の記事である。ジーンズメイトのケーススタディをとりあげているが、携帯に3000円、1500円、500円のクーポンを発信し、その効果を検証したものだが、通常の顧客よりも客単価が1.5倍ぐらいになり、値引き後の粗利高も高いという。今後の携帯クーポンの行方をうらなう意味で興味深い記事である。

 参照3:http://news.goo.ne.jp/news/reuters/keizai/20060705/JAPAN-219917.html:通信社ロイターの記事であるが、消費に重点をおき、客単価についても言及された記事である。ロイターが7/5までに、百貨店、スーパー、家電量販店、旅行代理店、衣料専門店、インターネット商店街の各社の販売担当役員らを対象に、この夏の個人消費の動向についてインタビューしたものであるが、価格よりも価値に重点をおいた消費がポイントであるという。

 参照4:http://www.sej.co.jp/owner/data/heikin.html:セブンイレブンの客単価について、セブンイレブン自らが公表した数字です。649円だそうです。この数字は、コンビニエンス業界トップだそうで、他のコンビニは600円を切っているとのことです。平均単価が200円とすれば、PI値は300%強といったところでしょうか。ちなみに、客数は986人、約1000人だそうです。

 参照5:http://www2a.biglobe.ne.jp/~js88/Bikei/Sihyo/bekei1.html:理美容室の経営指標一覧です。スタイリストのポータルサイトです。一般的な理容室の客単価は5000円強、美容室の客単価は7000円強だそうで、美容室の方が客単価が高い業態といえます。

 参照6:http://www.gci-klug.jp/klugview/06/07/03/post_3958.php:吉野家のうな丼導入の考察記事です。マクドナルドの平均単価アップ戦略の成功事例を参考に、うな丼導入がPI値から平均単価アップ戦略への転換であることを示唆した内容です。

 参照7:http://www.sc-abeam.com/mailmagazine/otani/otani0106.html:カー用品、イエローハットの客単価アップ戦略についてのメルマガの記事です。平均単価アップ戦略ではなく、ついで買いを促すPI値アップ戦略がポイントだということです。

 以上、今回は7つの客単価に関して、参考となると思われる内容をGoogleで検索し、取り上げてみた。食品スーパーマーケットだけでなく、様々な業種業態の客単価のとらえ方、具体的な客単価アップ手法を取り上げてみた。客単価は商品と顧客の接点をとらえた指標であり、この点についてはあらゆる業種業態が共通であるので、今後とも、食品スーパーマーケットの参考となる客単価に関する内容は本ブログでも積極的に取り上げてゆきたい。
 
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July 13, 2006

食品スーパーマーケット各社、第1四半期決算を続々公表-西日本編!

  前回のブログでは、東日本編の食品スーパーマーケット業界の第1四半期決算を取り上げたので、本ブログでは続編として、西日本編を取り上げてみたい。西日本編の食品スーパーマーケットの特徴としては、減損会計を適用し、減収になった企業もあるが、総じて増収増益、ないしは、わずかな減益の企業が多かったのが特徴である。特に、サンエー、丸久、イズミは際立った収益性の高さであり、食品スーパーマーケット業界の中でも特質に値する数字であるといよう。

  まず、増収増益の食品スーパーマーケットであるが、オオクワが売上102.0%、営業利益115.8%(売上対比2.56%)、当期利益127.3%と増収大幅な増益であった。特に第1四半期ではプライスカット業態の新店が3店舗出店、高品質スーパーのメッサ業態が既存店から業態転換するなど、新店改装効果が大きかったという。マックスバリュ西日本も売上102.7%、営業利益102.2%(売上対比2.39%)、当期利益104.8%と増収増益であった。特に商品部門別の売上伸び率では、日用雑貨120.4%、寿司・惣菜・弁当108.2%、酒160.8%、畜産106.4%、パン・生菓子105.6%、冷凍食品105.3%と105%以上伸びた部門が多かったことが高収益に結びつたといえよう。また、丸久は売上105.0%、営業利益104.3%(売上対比5.36%)、当期利益125.6%と増収大幅増益であった。丸久は現在、新業態アルクに力を入れており、この業態が軌道に乗り、高収益体制をもたらしているといえよう。

  次に、増収減益の食品スーパーマーケットであるが、まず、サンエーが売上102.4%、営業利益99.5%(売上対比7.16%)、当期利益103.9%と増収わすかな減益であった。ただし、売上対比の営業利益率は食品スーパーマーケット業界トップクラスの7.16%と、驚異的な収益力であり、昨年対比もわずか0.5%の減益であり、きわめて堅実な経営状況であるといえよう。ライフストアは売上104.2%、営業利益121.9%(売上対比2.48%)、当期利益-17.4億円と増収減益であった。当期利益が大幅な赤字になったのは、減損会計の適用により、27.6億円を計上したためである。売上、営業利益に関しては順調に推移しており、特に営業利益が大幅に改善しており、第1四半期は順調なスタートをきったといえよう。また、平和堂は売上106.2%、営業利益87.6%(売上対比2.51%)、当期利益65.5%と増収減益であった。第1四半期は食品スーパーマーケットが2店舗の新規出店に加え、大型店のアル・プラザつかしんを出店した結果増益にはなったが、逆に出店経費が発生したため、減益になったという。第2四半期以降はこれらの費用が相殺されるため、収益は改善されるものといよう。ちなみに、平和堂のポイントカード引当金は52.1億円であり、平和堂の年間売上約4000億円の1.3%とけっして小さくない金額である。ハローズであるが、売上110.2%、営業利益87.5%(売上対比2.57%)、当期利益86.1%と増収減益であった。この第1四半期には約600坪の新店に加え、既存店1店舗をNSC(近隣型ショッピングセンター)に業態展開をし、大幅な増収は確保したが、反面、出店費用等がかかり、減収になったという。イズミは売上101.1%、営業利益109.6%(売上対比5.58%)、当期利益87.5%と増収減益であった。特に、第1四半期はゆめタウンのテナント入れ替えなどを見直し、活性化をはかり、売上対比の営業利益率が5.58%と食品スーパーマーケット業界の中でもトップ水準となった。そして、イズミヤであるが、売上103.6%、営業利益73.3%(売上対比1.04%)、当期利益82.9%と増収減益であった。この第1四半期は今後のイズミヤの戦略業態であるスーパーセンターが神戸に4号店、5号店と2店舗新規出店したが、既存店が依然として厳しい状況であり、売上は103.6%とアップしたが、収益が厳しい状況であった。

  残念ながら、減収減益となったのは、ユーストアであり、売上99.1%、営業利益65%(売上対比1.44%)、当期利益2.3億円のプラスの減収増益であるが、昨年が赤字決算であったため、昨年対比はない。昨年の当期利益が赤字であった理由は、早期に減損会計を適用し、多額の特別損失が発生したためであるが、今期は減損会計が発生しなかったため、当期利益は黒字に転じた。ただし、新店が1店舗出店しているにもかかわらず、売上が99.1%となったのは、既存店が競争激化により、厳しい状況であったためと思われる。

  このように、西日本の食品スーパーマーケットは東日本の食品スーパーマーケットと比べ増収増益、ないしは、増収減益の企業がほとんどであり、しかも減損会計の影響は一部の企業には大きく響いているが、大部分は早期に適用済みないしは収益と相殺してしまっており、さほど影響はなかったといえる。また、営業利益率の高い企業がこの第1四半期には多かったのも特徴である。

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July 12, 2006

食品スーパーマーケット各社、第1四半期決算を続々公表-東日本編!

  食品スーパーマーケット業界においても、6月後半から、7月にかけて、2月決算企業が第1四半期決算を続々と公表しはじめた。3月決算企業の第1四半期の公表は今月下旬から来月はじめにかけての予定である。公表された第1四半期の決算を見ると、大きな特徴として、今期から減損会計を適用する企業が多く、当期純利益では昨年対比がマイナスになるケースが多い。したがって、増収減益という企業が多いのが特徴である。なお、本ブログでは食品スーパーマーケットを東西に分け、2回に分けて特集する。今回は、東日本編として、静岡より東の食品スーパーマーケットを取り上げた。愛知、北陸は西日本編の方で取り上げた。

  このような中で、増収増益を達成した食品スーパーマーケットは6/26の本ブログでも取り上げたマックスバリュ東海、そしてもう1社東急ストアであった。マックスバリュ東海は現在食品スーパーマーケット業界の中でも無借金経営かつ営業数値も高い、抜群の経営内容であり、売上は119.5%、営業利益は116.2%(売上対比4.12%)、当期利益は120.6%と大幅な増収増益であった。そして、もう1社、東急ストアであるが、売上112.6%、営業利益119.6%(売上対比1.89%)、当期利益235.4%と大幅な増収増益であった。これは札幌東急を連結子会社化したことに加え、新店の錦糸町店を出店したこと、4月からポイントカードが導入されたこと、さらには、創業50周年を迎えての大型販促が寄与したことなどによる。

  ついで、増収減益の企業は、北海道のアークス、埼玉のベルク、茨城のカスミであった。アークスであるが、売上102.1%、営業利益99.3%(売上対比2.66%)、当期利益15.5%と増収大幅減益であり、今期から適用の減損会計が大きく響いた結果である。第1四半期では新店2店舗の準備がはじまり、改装店舗として、道北ラルズのビックハウス東店、また、本ブログでも触れた、ラルズのビックハウス星置店の2店舗の改装効果があり、売上は102.1%と昨年を越えた。現在、アースクスは北海道ほぼ全域に165店舗を展開している。 ベルクについては、売上105.4%、営業利益81.6%(売上対比3.10%)、当期利益56.9%と増収大幅減益であった。減損になった理由は、減損会計に加え、ポイントカードの未使用分を今期から引当金に組み入れ特別損失が減損会計(0.27億円)よりも大きく、1.35億円経常したことが大きかったといえる。ポイントカードの未使用ポイントの処理に関しては、食品スーパーマーケット業界でも負債に経常しないケースがこれまで多かったが、ここへきて、減損会計が厳格に適用されるなど、会計基準が厳しくなったため、ベルクのように負債経常する企業が今後は増え、当然、その分、財務負担が重くのしかかることになる。そして、カスミであるが、売上105.5%、営業利益90.0%(売上対比2.66%)、当期利益68.0%と増収減益であった。増収につては、新店3店舗、みらい平駅前店、フードスクェアカスミ八潮駅前店、松ヶ丘店を出店したことによるが、減損会計の早期適用が大きく、減益となった。

  一方、残念ながらこのタ第1四半期は厳しい決算である減収減益の食品スーパーマーケットは、東武ストアとCFSコーポレーションであった。東武ストアは売上99.7%、営業利益139.6%(売上対比3.09%)、当期利益33.7%と減収減益であった。減益の理由は減損会計が適用されたことによる。東武ストアは前期より3年半ぶりに新規出店がはじまり、今期も埼玉県草加市に草加手代町店、東京都墨田区に業平店の2店舗の新規出店を果たしている。そして、CFSコーポレーションは売上94.3%、営業利益は0.59億円の赤字、当期利益は12.8億円の赤字と減収赤字決算という厳しい数値であった。特に、減損会計の適用により、特別損失として21.1億円を経常したことが大きく響いたといえる。

  このように、2月度決算の中ですでに第1四半期の決算を公表した企業をみてみると、新店を積極的に展開している食品スーパーマーケットは増収を達成しているが、今期から食品スーパーマーケット業界にも減損会計が適用されはじめ、当期利益に関しては厳しい数値となった企業が多いのがこの第1四半期決算の特徴といえる。来月以降は3月決算の企業も公表がなされると思うが、売上だけでなく、営業利益率をいかに高めるかが、当面の食品スーパーマーケット業界の課題となったといよう。

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July 11, 2006

丸久、第1四半期、前期の流れを受け、増収増益で推移!

  7/5に公表された丸久の第1四半期決算によると、売上153.0億円(105.0%)、営業利益8.2億円(104.3%:売上対比5.3%)、経常利益7.3億円(108.1%:売上対比4.7%)、当期利益3.7億円(125.6%:売上対比2.4%)となり、増収増益であった。丸久の2006年2月度決算も売上105.0%、営業利益113.5%、経常利益121.3%、当期利益122.1%と大幅な増収増益であり、第1四半期は営業利益のみ、やや、伸び率が下がっているが、ほぼ、前期の流れを受けて好調な決算数値である。しかも、丸久はこの5年間、増収増益を維持しており、食品スーパーマーケット業界の中でも好業績を維持し続けている好調な企業である。

  これにともない、丸久の株価も月足でみると、ほぼこの数年間、右上がりで推移しており、大きくさげることがなかった。さらに週足で見ると、4月以降、それまで800円前後で推移していた株価があがりはじめ、この2ケ月で1100円を越え、ほぼ一直線に近い形で上昇している。これを日足でみると、直近の株価は1150円前後でここ最近はもみ合っているが、全体の流れとしては上向きの流れである。

  このように、丸久の営業数値はここ数年、良好であるが、残念ながら財務体質、特に、長短借入金が売上568億円に対し、約30%弱の163億円と多いのが課題である。それでも3年前は200億円近くの長短借入金であったので、この3年間で30億円強返済し、好転したが、それでも、まだ多めといえよう。ただし、2005年10月には広島のイズミとの資本・業務提携により、4.22%の株式をイズミが所有し、4番目の大株主となったため、今後、イズミの開発ノウハウ等を導入することにより、好業績を維持できれば、7~8年で財務体質も大きく改善可能となろう。
 では、丸久の好業績の原因はどこにあるか。そのポイントは全66店舗のうち、現在22店舗を占める主力業態のアルクにあるといえよう。アルクは1998年からはじまった丸久の新営業戦略店舗プロジェクトであり、1号店が「アルク秋月店」である。このアルク秋月店は直近の数字みても全店の売上ランキングの中でちょうど10番目の店舗であり、前期の年商は15.4億円である。アルク1号店ということで、約300坪の店舗面積であるが、ここからアルクの歴史が始まったといえよう。現在の最新填補のアルクは店舗面積は約500坪となり、食品スーパーマーケットとしてはフルラインの商品展開ができる店舗面積といえよう。現在、丸久の売上ランキングベスト10にはアルクが9店舗は入っており、全店66店の内、22店舗のアルクが売上ランキングベスト10のほとんどを占めることからも、アルクが丸久の主力業態として確立されたといえよう。ちなみに、前期の年商でアルクベスト3は、No.1がアルク琴芝店で23.4億円、店舗面積約600坪である。No.2がアルク小郡店で20.2億円、店舗面積が約550坪である。そして、No.3がアルク西宇部店で19.7億円、売場面積約530坪である。このように、アルクは店舗面積約500~600坪、年商約20億円の食品スーパーマーケットであり、丸久の客単価は平均1600円ぐらいであるが、アルクをもう少し高めで1800円ぐらいでみると、客数は3000人/日となる。丸久では、当面、アルク30店舗体制を目指しており、このアルクが今後の丸久の鍵を握っているといえよう。

  今後に関しては、イズミとの資本・業務提携が丸久の主力業態であるアルクの新規出店、商品力の強化、そして、NSC共同開発等の新業態開発等へ発展してゆくかがポイントであろう。特に、NCS(近隣型ショッピングセンター)へのアルクの進化は、小商圏から中商圏を目指すことが可能となり、年商もワンランクアップし、さらに収益性の高い業態となろう。今後、アルクがどのように進化してゆくのか注目である。

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July 10, 2006

ウォールマート2006年6月度110.4%、既存店は101.2%!

  ウォールマートの2006年6月度の売上速報が公表された。それによると、全店の売上は110.4%と順調な伸び率であったが、既存店の売上が101.2%と伸び悩んだ。既存店の売上は22週累計では102.7%、昨年は104.7%の伸びであったので、6月度の既存店は厳しいものがあったといえよう。6月度の売上集計は、先月度が4週間であったため、今月度は5週間の集計である。アメリカでは一般的に、年間を13週づつ4つに分け、四半期決算を行い、その13週を、4週、4週、5週で月別の集計を行うのが通常である。したがって、6月度は、第1四半期の13週に加え、5月度の4週、6月度の5週がたされ、累計では22週累計となる。

  さて、全店110.4%の中身であるが、インターナショナル部門が129.5%と大きく貢献し、ウォールマート全体の数字を押上げたことが大きかった。この部門には、今年から連結決算となった日本の西友に加え、ウォールマート中央アメリカ、南ブラジルが入る。22週累計では126.3%であるので、6月度はさらに数字が伸びた部門であった。

  一方、ウォールマート本体であるスーパーセンターとディスカウントストア合計は106.1%と順調な数字であったといえよう。ただし、22週累計では108.6%であるので、若干ではあるが伸び率が落ちたといえる。これはサムズホールセールクラブも同様な傾向であり、6月度は104.0%であり、22週累計では106.1%であったので、やはり若干伸び率がダウンしたといえよう。

  売上金額全体では331億ドル(約3.7兆円)であり、昨年と比べ30億ドル(3500億円弱)の売上高のアップである。日本の食品スーパーマーケットのトップクラスのイズミ、平和堂、ライフ等の年商に匹敵するプラス分であるので、いかに巨額な数字かがわかる。また、年商に換算すると30兆円を優に越える数字であり、日本の全小売業の中でNo.1のイオンの年商約4兆円の約10倍弱であり、年商でみるとさらに巨額な売上であるかがわかる。また、この3部門の売上構成比であるが、ウォールマート本体のスーパーセンターとディスカウントストアが64.8%であり、圧倒的なウォールマートの主力部門であることがわかる。ついで、22.9%のインターナショナル部門であり、残りがサムズホールセールクラブ部門の12.2%である。インターナショナル部門が構成比でも伸び率でも、ウォールマートへの貢献度が増しているのがわかる。

  既存店については、全体では101.2%であり、昨年同時期が104.7%、22週累計が102.7%であるので、6月度はやはり、既存店は厳しい月であったといえる。ウォールマートの主力部門、スーパーセンターとディスカウントストアは101.1%、サムズホールセールクラブは101.3%とほぼどちらの部門も伸び率は低く、全体同様、前年同期比、22週累計ともに低い伸び率であった。

  これらの数字を支えた6月度のウォールマートの新店であるが、やはり、圧倒的にスーパーセンターの新規出店が多く、18店舗をオープンしている。スーパーセンター以外はディスカウントストア1店舗、サムズホールセールクラブ1店舗であるので、いかに、スーパーセンターがウォールマートの主力業態であるかがわかる。また、このうち、数店舗はディスカウントストアからの業態転換であり、スーパーセンターは新店のオープンだけでなく、ディスカウントストアからの業態転換もあり、店舗数が加速して増えているといえる。

  このように、6月度のウォールマートは全体としては、積極的なスーパーセンターの新規出店に加え、インターナショナル部門が牽引し、依然として高い成長性を維持しているが、既存店がここへきて厳しい状況であることが気がかりである。次月度以降の既存店の動向が今後とも高い成長性を維持できるかいなかの鍵となろう。

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July 09, 2006

食品スーパーマーケット、先週の株価(20060707)!

  先週の株価は日経平均がわずかに下がり、13.79円(-0.09%)安の15307円でひけ、株式市場全体としてはやや下げ気味であったといえよう。月曜、火曜は日経平均も上昇したが、水曜からさげはじめ、木曜、金曜と低迷気味の相場であったといえる。このような中で、食品スーパーマーケット全上場企業の株式も低調な相場となった。7/7の株価騰落率で見ると、前日比でみて値を上げた企業、下げた企業がちょうど半々の状況であり、全体の相場状況に近い動きであったといえよう。

  このような中で、食品スーパーマーケット業界で、7/7、No.1の株価上昇率の企業は、東急ストアであった。前日比43円(5.13%)高の880円であった。この数日間、東急ストアの株価は上昇気味で動いており、特に、この日発表された第1四半期決算の内容が増収増益となり、買いが入ったものと思う。東急は今期、札幌東急を子会社化しており、その好影響が決算に大きく反映されたため、今回、特に好決算となった。この日の5.13%の株価上昇率は小売業全体でも2位の上げ率であった。

  食品スーパーマーケット業界、No.2は九九プラスであった。5000円(2.94%)の175000円であった。九九プラスはここ最近株価を下げていたが、7/7は反発し、やや株価をあげた。No.3はマルエツであり、11円(2.22%)高の506円であった。マルエツもここのところ少し下げ気味の株価であり、500円前後でもみあっている状況である。No.3はバローであり、40円(1.82%)高の2235円であった。バローはこの先週はほぼ上昇気味で推移しており、5/25につけた年初来最高値の2795円以来、下げ気味であった株価が、また上昇に転じはじめたような動きである。No.4はジョイスであり、9円(1.78%)高の514円であった。ジョイスの株価は6月中旬以降、500円前後でもみ合っており、大きな変化とはいえない。No.5は原信ナルスホールディングスであり、20円(1.47%)高の1374円であった。原信ナルスホールディングスもこの1週間1350円前後でもみあっており、今後の動向は読みにくい状況といえる。以上が、食品スーパーマーケット業界のベスト5である。

   ベスト5以外では、No.6が平和堂であり、25円(1.23%)高の2055円であった。No.7がヨークベニマルであり40円(1.20%)高の3370円であった。ヨークベニマルは7月に入り、株価が徐々に上昇しており、6月の前半から後半にかけては3200円前後であった株価が、この1週間で3400円まで近づいており、今後の動きが気になるところだ。No.8はOLYMPICであり、9円(0.96%)、938円であった。No.9はライフコーポレーションであり、15円(0.90%)高の1670円であった。そして、No.10がマルキョウの5円(0.58%)高の855円であった。No.11がイズミヤであり、5円(0.55%)高の907円であった。以上が、食品スーパーマーケット業界ベスト11であり、以下は0.5%以下の株価上昇率であり、大きな株価の変動はなかった。

  逆に、7/7、株価を下げた食品スーパーマーケットであるが、下げ率No.1はアオキスーパーであり、-29円(-2.57%)安の1099円であった。ただ、アオキスーパーは週足、月足でみると2003年以降、ほぼ3年間株価は上昇しつづけており、長期トレンドでみる限り、安定した株価であるといえる。下げ率No.2は大黒天物産であり、-65円(-2.19%)安の2900円であった。ついで、No.3がオオクワの-29円(-1.81%)安の1566円であった。ただ、オオクワは7月以降、株価は上昇気味で動いており、この日も1600円近くまで一度は上昇しており、いわゆる利食い的な動きといえよう。No.4はアークランドサカモトであり、-28円(-1.57%)安の1755円であった。そして、No.5が天満屋ストアであり、-16円(-1.48%)安の1059円であった。

  このように、先週の食品スーパーマーケットの株価は、No.1の東急ストアを除けば上位3%、下位3%以内に全上場食品スーパーマーケット約50社が入っており、あまり、大きな株価変動ではなかったといえる。ここへ来て、2月決算企業が第1四半期決算を公表しはじめ、今月下旬からは、3月決算企業が第1四半期決算を公表する。今月、来月の株価は決算内容が、今回の東急ストアのように株価に影響を与えるものといえ、株価が大きく動く企業が出てくるものと思う。その意味で、今後公表される食品スーパーマーケット業界の第1四半期決算の結果には注目である。
 
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July 08, 2006

食品スーパーマーケット業界の長短借入金の実態!

  上場食品スーパーマーケット約50社の長期、短期の借入金の実態を直近の決算数字でみてみると、短期借入金合計が5098億円、長期借入金合計が5172億円の合計1兆271億円の借入金総額であった。一方、売上合計は6兆6640億円であるので、売上対比の借り入れ比率は15.5%である。食品スーパーマーケットを経営する上においては、この数字からみると、約15%が売上に対しての借入れ金額の目安とみてよさそうである。なお、ここでの数字はすべて単体での決算数字を用いている。

  実際、この上場食品スーパーマーケット約50社の売上と借入れ金額の総合計の相関図をつくってみると、y=3/20xの直線上の近辺に全店がプロットされ、売上の大小にかかわらず、食品スーパーマーケットは約15%の借入れ比率であることがわかる。ただ、売上が小さいほど借入れ比率が15%以下の企業が多く、売上が大きいほど借入れ比率が15%以上の企業が多いという傾向はあるようだ。特に年商1000億円以下の企業は借入れ比率が少なく、3000億円以上の企業は借入れ比率が高いという傾向がある。

  さて、このような中で、無借金経営の企業が2社ある。その2社とは、ヨークベニマルとマックスバリュ東海である。ヨークベニマルは売上が2974億円であり、8店舗の新店を出店しているが、すべて自己資金での出店であり、借入れなしでの出店戦略を貫いている。また、マックスバリュー東海の売上は910億円であるが、7店舗の新規出店をやはり借入れなしで出店している。食品スーパーマーケットの上場企業の中ではこの2社が積極的な出店戦略をとっているにもかかわらず、借入金なしという超健全経営である。特にヨークベニマルは年商約3000億円という売上規模にもかかわらず、無借金経営である。

  次に、売上対比の借入れ金額が5%以下の食品スーパーマーケットをみてみると、アオキスーパーが0.5%、オオゼキが1.0%と借入金がほとんどない経営である。アオキスーパーは売上が742億円であり、長短借入金が3.5億円であり、オオゼキは売上が564億円であり、長短借入金が5.3億円である。両企業とも出店戦略は積極的であり、ほとんど借入れなしで新規出店を展開している。ついで、大黒天物産の2.0%、マックスバリュ西日本の2.3%、マックスバリュ中部の2.3%、ヤマザワの3.6%、マルヤの3.8%、イナゲヤの4.5%と、以上10社が売上対比5%以下の食品スーパーマーケットである。この中でも、マックスバリュ西日本、イナゲヤは年商が1700億円強という大きさであるにもかかわらず、売上対比の借入れ金額の低い企業である。また、大黒天物産はここ数年120%~130%で新規出店戦略をベースに急成長を遂げてきた企業であるが、売上対比の借入れ金額は2.0%と健全な経営である。

  ついで、食品スーパーマーケット上場企業平均の約15%以下の売上対比の借入れ金額の食品スーパーマーケットをみてみると以下の企業である。サンエー(6.0%)、九九プラス(6.3%)、マックスバリュ北海道(6.7%)、マルミヤストア(6.7%)、ヤオコー(6.8%)、原信ナルスホールディングス(7.2%)、マックスバリュ東北(7.3%)、ユーストア(7.5%)、CFSコーポレーション(7.9%)、東武ストア(8.3%)、カスミ(8.8%)、ハローズ(9.8%)、オークワ(10.6%)、ジョイス(10.6%)、ダイイチ(12.7%)、ベルク(12.8%)、ヤマナカ(13.4%)、関西スーパーマーケット(14.1%)、バロー(15.7%)、マルエツ(15.8%)、の20社である。

  このように、食品スーパーマーケット業界の上場約50社の借入れ金額の実態をみてみると30社が売上対比約15%以下の企業であり、5%以下が10社、その中でも無借金経営が2社という実情である。しかも、5%以下の企業には成長性の高い企業が多く、新規出店を借入れ金にたよらずに自己資金で賄っている企業実態がある。

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July 07, 2006

九九プラス、大黒天物産、PLANT、新店開発を抑制!

  食品スーパーマーケット業界でここ数年、新店開発を積極的に進め、昨年対比の売上を120%~130%近い急成長をつづけてきたベスト3の九九プラス、大黒天物産、PLANTがここへ来て、あいついで出店戦略の見直しに入っている。いずれも、既存店の数字が厳しいため、新店開発を抑制し、既存店の活性化に注力しはじめたといえる。食品スーパーマーケットの売上は客数×客単価で決まるが、客数は新店開発が担い、客単価は既存店の活性化が担うというのが一般的である。その意味で、この3社は新店開発による客数アップ戦略が優先されすぎたため、既存店の客単価アップ戦略への対応が充分に出来なかった点が、ここへきて経営戦略の見直しにつながったものといえよう。

  九九プラスがここへきて新店開発が急激に抑制された。5月度の新店は6店舗、6月度の新店は9店舗であり、通常の食品スーパーマーケットでは異常な出店ペースであるが、昨年1年間では263店舗、月間平均約20店舗の出店であったことを考えると急激な出店ペースのダウンである。ちなみに、一昨年は230店舗であるので、月間平均は約20店舗である。この数年、毎月約20店舗の新規出店という急成長をつづけてきたことになるが、このまま10店舗弱の新店ペースがつづくと年間では100店舗強となり、現在、九九プラスは800店舗を越えているので、新店が全店に与える影響度は約10%となり、既存店の数字次第では、これまでの130%~150%近い成長をつづけることが難しい状況といえる。ちなみに、5月度の売上は昨年対比120%、既存店は93.4%となっており、特に、既存店の数字は深刻な状況であり、まったなしで、既存店の活性化が急務な状況といえる。

  大黒天物産もここへきて、新店開発が抑制されはじめた。2006年2月以降、約5ケ月、新店が開発されておらず、ここ数年の動きと比べると大きくペースダウンしているといえよう。2006年5月期は8店舗、2005年5月期は5店舗、2004年5月期は6店舗とこの3年間で19店舗、ほぼ2ケ月に1店舗のペースで新店開発を続け、現在29店舗、約300億円となり、ここ数年、急成長をつづけてきた。売上も2003年5月期は131.7%、2004年5月期は143.9%、2005年5月期は137.5%、そして、今期、2006年5月期は142.2%の予想であり、この数年間、毎年約140%の急成長率であった。ただ気になるのは、ここへきての新店開発のペースダウンであり、実際、この5月度の数字を見ると、昨年対比125.9%、既存店は93.1%であり、新店の全店への寄与が弱くなっているのに加え、既存店の数字がこの月は特に落ち込んでいる。今期はまだはじまったばかりであるが、新店開発のペースが遅くなっていることを考えると、既存店の活性化が急務な状況といえよう。

  PLANTであるが、売上はここ数年、2004年9月期が122.9%、2005年9月期が114.8%、2006年9月期が120.7%と約120%と急成長をつづけてきた。特に、ここ数年はPLNAT-5、PLANT-6という5000坪、6000坪タイプの超大型店を毎年2店舗づつ出店しつづけてきた。今年度はPLANT-5横越店、PLANT-5大玉店を、昨年度はPLANT-6瑞穂店、PLANT-5刈羽店を、そして、一昨年はPLANT-5境港店、PLANT-5見附店であった。このペースで来期以降も新規出店がつづけば、120%の成長を維持できるであろうが、ここへきて、特にPLANTの場合は、10000平米、すなわち、PLANT-4以上がまちづくり3法の規制により出店しにくくなり、新規出店戦略を大きく見直さざるをえなくなった。仮に、PLANT-3以下の出店で補い、成長ペースを維持するのであれば、出店数を増やさざるをえなくなる。直近6月度の数字では売上は126.2%と高成長を維持してはいるが、既存店は94.2%であり、新店の出店ペースがにぶると全体の売上伸び率にも影響が出るものと思われ、既存店の活性化が急務であろう。

  このように、ここ数年食品スーパーマーケット業界を牽引してきた急性長企業である九九プラス、大黒天物産、PLANTがほぼ同じ経営課題に直面しており、新店の開発がこれまでのようなペースでは難しくなり、既存店の活性化が急務な状況となっているといえよう。食品スーパーマーケットは新店開発による客数アップと既存店の活性化による客単価アップのバランスが安定成長のポイントであり、今後、この3社はいかに既存店の客単価アップを改善できるかが、次の成長への課題といえよう。

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July 06, 2006

サミット、年商2000億円突破となる、鳩ヶ谷新店をオープン!

  7/1、サミットが埼玉県鳩ヶ谷市に「サミットストア鳩ヶ谷駅前店」をオープンした。3/25に神奈川県横浜市にオープンしたサミットストア下倉田店以来の新店であり、サミットの会計年度は3月であることから、新年度に入ってはじめての新店である。2006年3月期の売上高は1998億円であることから、今回の新店オープンにより、今期の年商が2000億円を突破することが確実となり、サミットも年商2000億円を越える食品スーパーマーケットとなる。現在、日本で年商2000億円を越える食品スーパーマーケットは約15社であり、6/28に公表された日経MJによれば、全小売業界の中でも売上ランキングで約50位となる。

  今回の鳩ヶ谷駅前店のオープンにより、サミットの全店舗数は81店舗となる。単純に年商で割れば、1店舗当り25億円となり、客単価を食品スーパーマーケット業界の平均の約2000円で割ると、客数は1日当り約3500人となる。今回の鳩ヶ谷駅前店の年商目標は32.9億円であるので、客単価を2000円とすると、客数は1日当り約4500人となり、サミットストアの中でも好立地への出店といえよう。実際、1次商圏の世帯数は約3000世帯、2次商圏で約10000世帯、3次商圏になると20000世帯強という人口密集地であり、さらに鳩ヶ谷駅前という駅前立地でもある。それに加え、コジマ電気が隣接しているなど、実質上NSC(近隣型ショッピングセンター)ともなっており、しかも、半径500m以内に競合店がないという。

  売場面積は約800坪であり、店頭入口から壁面が青果、正面に進み、鮮魚、精肉、反対側が惣菜、デザート、ベイカリーとつづき、鮮魚の前の反対通路には和日配、惣菜の向かえには洋日配を配している。また、内側では、生鮮側に一般食品、冷凍食品、菓子を配し、レジ側には雑貨というオーソドックスなレイアウトである。さらに、レジから見て、右側のゾーンが素材商品主体、左側のゾーンが加工度の高い商品主体となっており、特に加工度の高い、惣菜、洋日配、パン、インストアベイカリー、冷凍食品、菓子等が集中ゾーンニングされている。PI値から見ても、左右、上下、斜めのバランスもよいレイアウトといえよう。

  7/1のオープンニング販促のちらしについては、7/1(土)、7/2(日)で土日訴求、7/3(月)で訴求、7/4(火)で訴求という7/1から7/4までを3つに分けて、ちらしの表面を構成している。裏面はすべて4日間通しである。特に、オープンが土曜日ということもあり、7/1(土)、7/2(日)のちらし商品は、青果では果物がさくらんぼ(佐藤錦200g)が298円、ぶどうのデラウェア(3房)が298円、ブロッコリーが78円、鮮魚ではきはだまぐろ1柵298円、本まぐろ中とろ(100g)780円、お刺身盛合せ5点盛780円、生するめいか98円、精肉では黒毛和牛サーロインステーキ半額、国内産豚ヒレ半額、国内産若鶏モモ(100g)68円と週末強化型の商品を意識的に価格訴求をかけた商品構成となっている。グロサリーに関しても、キッコマンしょうゆ88円、マルコメ料亭の味198円、マキシムコーヒー258円、雪印北海道バター178円、ミツカン納豆金のつぶほね骨元気58円、オウジネピアティッシュ148円と、これは表面で4日間通しのお買い得商品として訴求している。これら強力な販促商品に加え、7/2(日)にはポイント5倍の販促も加わるので、土日にスタートダッシュをかける販促が組まれており、ここで最大商圏からの顧客の来店を促すことを狙っているといえよう。

  このように、サミット81店舗の今期はじめての新規出店である鳩ヶ谷駅前店は、サミット全店の中でも好立地商圏への出店であり、売場面積もワンフロアーで800坪型が確保され、年商目標も30億円を越え、食品スーパーマーケット業界の中でも今後のモデル店舗のひとつとなろう。
 
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July 05, 2006

PI値と客数PI値について

  客単価3D分析と2D分析の決定的な違いは、根本的な判断基準を数量におくか、顧客におくかである。客単価2D分析の場合は客単価=PI値×平均単価で客単価を分析するため、まず、PI値をアップさせることが第一優先となる。PI値とは買上点数÷全体客数であるので、顧客一人当りの買上点数が高いか低いか、すなわち、点数=数量が決め手となる。これに対し、客単価3D分析は、客単価=客数PI値×PPI×平均単価となるため、まずはじめに、客数PI値をアップさせることが第一優先となる。客数PI値とは商品購入客数÷全体客数であり、顧客一人当りの購入客数であるので、顧客一人当りの購入客数が多いか少ないか、すなわち、客数が決め手となる。このように、客単価3D分析は客数概念を基本にした客単価分析手法であるのに対し、客単価2D分析は数量概念を基本にした客単価分析手法であることが決定的な違いである。

  では、この違いが実際のマーチャンダイジングにどのような影響を与えるかを考えてみたい。そのためには、PI値と客数PI値との関係を考えてみるとわかりやすい。PI値は買上点数÷客数であるので、これをさらに分解すると、(商品購入客数÷全体客数)×(買上点数÷商品購入客数)と表すことができる。前者が客数PI値であり、後者がPPIであるので、PI値=客数PI値×PPIとなる。この数式が意味することは、PI値は顧客と数量に分けて考えるべきであり、PI値をあげるためには、顧客を増やすか、数量を増やすかの2つの方法があるということである。逆に考えると、PI値は顧客概念と数量概念が一緒になってしまったトータルな指標であり、顧客概念が未分化なままの指標であるということになる。

  具体的な事例を示すと、客数1000人の店で10個売れた商品のPI値は1%であるが、この商品は、何個売れたかはわかるが、何人の顧客が買ったかはわからないということである。もしかすると、1人の顧客が10個買ったかもしれないし、10人の顧客が1個づつ買ったかもしれないからである。客単価3D分析で表せば、前者は、PI値(1%)=客数PI値(0.1%)×PPI(1000%)となるが、後者はPI値(1%)=客数PI値(1%)×PPI(100%)となり、PI値は同じ1%であるが、その購買動向が180度違う商品であることがわかる。PI値では判断できなかったものが、客数PI値では0.1%と1%と10倍の差が発生し、明らかに後者の方が客数PI値が高く、顧客の支持という点では圧倒的な高い数値であることがわかる。

  このように、客単価3D分析を行うことによって、はじめて顧客の支持率を目の当たりにすることができ、同じPI値の商品の顧客の支持による違いが一目瞭然となる。グラフにするとy=1/xのグラフになり、縦軸を客数PI値、横軸をPPIとすると、PI値は双曲線となる。したがって、PI値をどんなに分析しても、斜めの双曲線が移動するだけの話であり、客数PI値の高いもの、PPIの高いものがPI値からは漏れてしまい、PI値が高いからといって、顧客の支持が高いのかどうかはPI値では判断がつかない。

  これは特に重点商品の選定には決定的な違いが生じ、重点商品をPI値のみで選定した場合には、客数PI値の高い商品、PPIの高い商品が合計で約15~20%近く漏れてしまうということになる。仮にこの商品をPI値で救おうとすると、PI値の低いものから、直観、感覚等で付け加える以外に方法はなく、本当に顧客から支持の高い商品がPI値でだけでは見落としかねない結果となる。

  したがって、客単価3D分析で重点商品を分析する場合は、まず、客数PI値で重点商品を選定し、顧客の支持の高いものは最優先でピックアップし、次に、客数PI値は低いがPI値の高いもの、そして、PPIの高い商品をどこまで加えるかを基本に考えることが、商品を購入している顧客にとっては最良の商品選定となる。このように、客数PI値はPI値を補う、というよりも、むしろメインとして、今後ますます商売にとって大事な指標となろう。

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July 04, 2006

原信ナルスホールディングス、今期、年商1000億円を目標!

  6/30、原信ナルスホールディングスの2006年3月度の事業報告書が公表された。原信、ナルス統合による決算結果は2007年3月度がはじめてとなるため、今回が原信としての最後の決算であり、事業報告となる。それよると、売上は778.0億円(106.8%)、営業利益30.3億円(115.7%、売上対比3.9%)、経常利益28.8億円(106.2%、売上対比3.6%)、当期利益10.9億円(123.5%、売上対比1.4%)と増収増益であった。店舗数は42店舗であるので、単純計算をすると、1店舗当りの売上は18.5億円、平均売場面積は574.7坪、客単価1775円、客数約3000人弱/日となる。食品スーパーマーケットとしては、若干客単価が低めではあるが、その分、客数でカバーしており、ほぼ理想的な営業数値といえよう。既存店の売上も104.9%と好調であり、客単価は横バイであったが、客数が105.0%と伸びたという。

  この数値に、今期はナルス15店舗、約200億円の数字が加算され、さらに、既存店の伸びおよび新店の数字が加わり、2007年3月期は大台の1000億円超を目指すという。いよいよ、食品スーパーマーケットが群雄割拠していた新潟商圏にも頭ひとつ抜けた食品スーパーマーケット企業グループが誕生することになり、今後の新潟商圏は原信ナルスホールディングがリードしてゆくことになろう。

  原信ナルスホールディングスは昨年、原信とナルスが正式に持株会社設立に合意して以来、様々な経営統合の準備をすすめてきたという。まず、昨年10月には統合委員会を発足させ、両社一括仕入れによるコストダウンの実現、両社の物流センターを使った配送の効率化、情報システムの統合などに取り組んできたという。そして、これらの取り組みに一定の目処をつけ、この4/1、正式に持株会社のもとに両社の経営統合がなされ、年商1000億円超を目指す、食品スーパーマーケットグループが誕生した。

  2006年3月期決算数字を見る限り、経営数値は好業績であり、安定した数値であるが、ひとつ気がかりな点は客単価である。この5年間の客単価の推移を見てみると、2002年3月は1990円と約2000円であったが、2003年3月は1927円、2004年3月は1821円、2005年3月は1777円となり、2006年3月は1775円と前年比は横バイであったが、5年前と比べると89.1%と約10%ダウンしたことである。さらに、その原因をPI値と平均単価で見てみると、PI値は2002年3月の1001%から2004年3月の976%と落ちているが、その後、上昇しはじめ、2005年3月994%、そして、2006年3月は1024%と5年前を上回っている。したがって、原因は平均単価であり、2002年3月は198.7円であったが、これが、年々ダウンし、2003年3月194.8円、2004年3月186.6円、2005年3月178.7円、そして2006年3月は173.4円と5年前と比べ87.2%となった。

  この状況はここ数年新潟商圏に価格競争力のあるPLANT、ベイシアがあいつで出店し、それに対抗する形で地元食品スーパーマーケットが価格競争に走り、その影響を大きく受けてのものであるといえよう。粗利率もこの5年間で1ポイント下がっていることからも価格競争がいかに厳しい状況であったかがわかる。それにもかかわらず、PI値はアップし、客数も増やし、売上アップを達成したことは結果的に競争に真っ向から立ち向かい、新潟地震をも乗り越え、顧客の支持を勝ち取ったということであり、間違いなく今期1000億円へ向けての良い結果を残したといえよう。

  今後は、PI値を維持し、平均単価をいかに改善し、客単価を再び2000円台にもってゆけるかが当面の営業課題であろう。ここ数年、生鮮構成比が下がり、逆に一般食品の構成比がアップしていることからも、生鮮、惣菜の強化が平均単価をアップさせ、客単価をひきあげるための、今後の鍵を握っているといえよう。原信ナルスホールディングスのマーチャンダイジングの今後のゆくえに注目である。

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July 03, 2006

西友、仙台で次期マーチャンダイジング戦略の検証実験開始!

  6/28、西友仙台泉店がオープンした。ダイエー撤退後の跡地への出店であり、仙台には西友はすでにザ・モール長町店を核店舗に仙台周辺にザ・ファクトリーSEIYUを20店舗展開しており、仙台商圏のドミナントが一層強化される。特に、仙台泉店は100万都市仙台市の北に立地し、ザ・モール長町店が南に立地するため、南北から、仙台市をはさむ好立地である。店舗は2層だてで、1階が西友の食品、雑貨、2階が西友の衣料品に加え、両階に約30店舗の専門店も入り、スーパーセンター+小SC(ショッピングセンター)という業態といえよう。

  1階の特徴は、食品+住関連売場に集中レジを採用したスーパーセンター形式のレイアウトを採用しているのが特徴である。店頭は壁面に惣菜を配し、向かえは平台展開で青果を配置するという惣菜強化型のレイアウトである。これは、惣菜強化を狙ったことに加え、スーパーセンター形式のレイアウトを採用したため、食品で使える壁面が店頭と正面だけとなり、反対壁面が住関連となり、バックヤードを店頭にもってこざるをえなかったことにもよろう。結果としては、仙台のベットタウンとして、新築住宅が増え、人口増加地区の泉区の商圏にはぴったりの商品強化策となった。正面壁面は水産、畜産、洋デイリーと続き、青果と水産、惣菜が合流する平台と反対通路の壁面には和デイリーが配置され、このゾーンのPI値が最高の数字となる黄金の三角形ができあがった強力な店頭マーチャンダイジングとなった。

  仙台地区はこれを機に、今後、西友にとっては将来を決める検証実験がはじまるという。西友は現在約400店舗を全国に展開しているが、仙台は今回の泉店オープンにより22店舗となり、店舗数では約5%となる重点地区といえる。特に、泉店の直ぐ近くには物流センターもあり、この地区でのモデル事例づくりは、この夏に本格稼動がはじまる三郷物流センターと首都圏の各店舗を結ぶ仕組みづくりの先行事例づくりともなる。いよいよ、西友が動き始めたといえよう。

  6/30の日経MJによれば、仙台泉店と物流センターとの距離は約7kmであり、まず、この2ケ所をリアルタイムで商品の販売情報を共有し、商品在庫の自動補充システムを導入するという。泉店は開業時から自動補充システムをそなえたはじめての店舗であるといい、商品数は約10万SKUであるという。仙台地区ではすでに全国の西友に先駆けて、メーカーとの情報共有が可能なリテールリンク、単品ごとの収益管理ができるスマートシステムを導入しており、泉店のオープンにより、仙台地区に展開している西友全店での物流センターを介してのモデル事例づくりへの環境が整ったといえる。また、ここ数年必ずしもうまくゆかなかったEDLP政策も見直し、週2回のちらし、1~3ケ月という中期間での値下げ政策の採用など、マーチャンダイジングの根幹にかかわる検証も行うという。

  西友の直近の決算である、第1四半期(1月~3月)の決算は既存店が1月は100.7%、2月は102.5%、3月は103.3%と順調に回復しており、利益の方は依然としてマイナスではあるが、マイナス幅が確実に改善されている。また、ここのところを西友は新店の出店よりも既存店の改装に重点を移しているが、改装後の店舗の売上は平均110%であるといい、今期は65店舗の改装を予定しているという。

  ここ数年、西友はEDLPを中核にすえたマーチャンダイジングの実施、スーパーセンターを指向した新店開発、ウォールマートの最新システムの導入など急激にこれまでの仕組みを変えたため、充分な検証結果が得られたとはいいがたかった。しかし、今期からウォールマートの完全子会社となり、経営陣もウォールマートがCEOをはじめ過半数を握ったことにより、思い切った政策が打てるようになった。このような中で、仙台地区で次期西友のマーチャンダイジングの方向を占う検証実験がはじまることは、今後の西友にとっては重要な意味を持つといえよう。仙台での西友の動向に注目である。

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July 02, 2006

食品スーパーマーケット、先週の株価、回復基調で推移!

  先週末、6/30の日経平均株価が約1ケ月ぶりに15500円を回復し、前日比384.03円(2.54%)アップの15505.18円で引けた。ここのところ、日経平均も上昇基調が続いており、6月中旬から下旬にかけてゆるやかに上昇している。これにともない、食品スーパーマーケットの株価も回復基調にあり、6/30は上場約50社の食品スーパーマーケットのうち、前日比で値を下げたのはわずか9社と、ほとんどの企業が株価を上げた。その中でも、特に、好業績の企業の株価があがっており、成長性、収益性の高い食品スーパーマーケットが注目されているといえよう。

  6/30、食品スーパーマーケット上場企業約50社の中で、株価が上昇した企業は、No.1がイズミであり、230円(5.83%)アップの4170円であった。イズミは2006年2月期の決算が増収大幅増益であり、来期も増収増益の予想であり、高収益食品スーパーマーケットである。株価も6/27以降、4日間連続して上昇しており、6/30は売買高も通常の2倍の取引があり、ここ最近株価が堅調である。No.2は大黒天物産であり、120円(4.41%)アップの2840円であった。大黒天物産はここ1週間は約2700円で株価がほとんど動かなかったが、6/30、通常の4~5倍位の買いが入り、いっきに2800円を越えた。大黒天物産の決算はこの5月であり、結果は大幅な増収増益となり、食品スーパーマーケット業界の中でも昨対140%を越える急成長、高収益企業である。No.3はヤオコーであり、105円(4.10%)アップの2665円であった。ヤオコーの株価はこの数週間値動きが激しく、前日の6/29は大きく売られ株価を前日の2725円から2560円まで下げていたが、6/30、株価が急上昇し、2665円まで戻した。ヤオコーの決算も2006年3月期は増収増益であり、来期も増収増益の予想である。このように、ベスト3はいずれも成長性が高く、高収益の企業であり、食品スーパーマーケット業界全体を牽引している企業であり、このような好業績の企業に6/30は買いが特に集中したといえる。

  No.4は、バローであり、70円(3.47%)アップの2085円であった。バローは6/9、年初来最安値の1951円をつけて以来、株価は低迷していたが、6/30は株価が反発し、2085円で引けた。No.5はタイヨーであり、40円(3.23%)アップの1276円であった。タイヨーも株価がここ最近低迷しており、前日の6/29は年初来最安値の1236円まで下げたが、翌日の6/30、1276円と反発した。No.6はヨークベニマルであり、90円(2.83%)アップの3270円であった。ヨークベニマルは6/9、年初来最安値の3060円をつけて以来、株価はゆるやかに上昇しており、6/30、3270円で引けた。No.7はライフコーポレーションであり、46円(2.82%)アップの1675円であった。No.8はマックスバリュ西日本であり、35円(2.26%)アップの1580円であった。ここまでが6/30、2%以上株価があがった企業である。

  これ以外では、No.9が相鉄ローゼン、9円(1.83%)アップの500円、No.10がマックスバリュ東海、30円(1.52%)アップの2000円であり、No.11がポスフール、8円(1.42%)アップの570円、No.12がジョイス、7円(1.37%)アップの515円、No.13が東武ストア、4円(1.36%)アップの296円、No.14がマックスバリュ中部、10円(1.04%)アップの970円、そして、No.15がオークワ、15円(1.03%)アップの1470円であった。以上が6/30、1%以上株価をあげた企業である。

  一方、逆に、6/30、株価を下げた企業は、九九プラスの-7000円(3.76%)ダウンの179000円であった。九九プラスはこの数週間株価が上昇していたが、この数日下がり気味で推移しており、6/30、食品スーパーマーケット業界の上場企業の中ではもっとも下げ率が大きかった。ついで、丸久の-16円(1.39%)ダウンの1129円であった。丸久は5月中旬以降株価はゆるやかに上昇しており、この日も下がったとはいえ、ほぼこの数日1130円前後でもみ合っている状況である。以上が1%以上値を下げた企業であるが、残りの7社は1%以下の値下がり率であった。

  このように、総じて、6/30の食品スーパーマーケット上場企業の株価は堅調であったといえ、全体的に回復基調であるといえよう。特に、ベスト3はいずれも成長性が高く、高収益企業であり、今後の食品スーパーマーケットの株価を牽引してゆくものと思う。来週以降の株価に注目である。

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July 01, 2006

家計調査月報公表、2006年5月度、わずかに昨年を下回る!

  2006年5月度の家計調査月報が公表された。家計調査月報は毎月、月末に前月の集計が公表されるが、それによると、昨年度の5月度と比べ、食品スーパーマーケットで取り扱われる食品合計が99.1%と、わずかに下回った。全体でも97.9%と下回っており、消費の回復は、現時点では横ばいといえよう。家計調査月報では、1世帯あたりの1ケ月間での消費金額の数字を算出しているため、これを食品スーパーマーケットの客単価に近い数字で換算するためには1日当りにする必要がある。実際、5月度の数字を31日で割って見ると、食品合計は1961円とほぼ、食品スーパーマーケットの客単価と同じになる。これにより、家計調査月報も、食品スーパーマーケットの客単価と比較が可能となり、自社の強み、弱みも家計調査月報の数字から判断が可能となる。

  ちなみに、全商品の客単価を算出すると、10015円となり、日本国民が生活する上に必要な全商品の客単価は約10000円といえる。したがって、食品の構成比は約20%となる。食品以外の主な商品・サービスの数字は、外食が約500円、住居関連が約700円、光熱水道が約700円、家具・家事用品が約300円、被服・履物が約500円、保健・医療が約350円、交通・通信が約1500円、教育が約500円、教養娯楽が約1000円、その他2000円となる。この中で、昨年と比べ、もっとも伸びている商品は、教育の108%、教養娯楽の107%であり、逆に下がっている商品は住居関連の86.5%である。

  さて、食品の中で、この5月度、昨年と比べ、特に消費額を伸ばした商品群は残念ながら調理食品、すなわち、惣菜のみであり、しかも、101.8%とわずかな伸びである。金額で268.9円が273.6円と4.7円のアップである。これ以外の商品群はすべて、昨年を下回っており、5月度は厳しい月であったことがわかる。ちなみに、伸びた商品は惣菜材料セットの+3.9円、弁当の+1.2円であり、その他はわずかな伸びであった。商品群では惣菜のみの伸びであるが、個々の商品で1円以上伸びた商品を見てみると、清酒の+1.3円のみであり、やはり5月度はかなり厳しい状況であったことがわかる。

  これに対し、昨年より下がった商品群は惣菜以外すべてであるが、その中でも下げ幅が大きかった商品群は果物の-12.4円、84.3%であった。ついで、-11.5円の野菜・海藻、-11.2円の魚介類、-10.5円の穀類、-10.0円の酒類、-9.6円の飲料、-7.7円の肉類、-4.8円の油脂・調味料、そして、-1.8円の菓子類となる。生鮮はすべてが大幅ダウンであり、特に、青果が厳しい月であったことがわかる。

  では、このような厳しい状況の中で特に下げ幅の大きかった1円以上ダウンした商品を見てみたい。青果の中では、果物が-1.5円のいちご、-1.5円のバナナ、野菜が-1.4円のさやまめである。鮮魚では、-1.4円のたらこ、-1.1円のかにである。精肉では、-4.3円の牛肉、-1.1円の鶏肉である。日配では、-3.8円の牛乳、-3.5円の卵、-1.4円の食パン、-1.1円の納豆、-1.0円のかまぼこである。そして、グロサリーでは、-5.8円の米、-2.7円の果実・野菜ジュース、-2.5円のアイスクリーム・シャーベット、-1.8円のコーヒー、-1.0円の茶飲料、-1.0円の食用油である。また、酒では-4.7円の発泡酒、-2.7円の焼酎、-2.3円のビールである。以上が、食品スーパーマーケットの取扱い商品の中で1円、すなわち、客単価1円以上ダウンした商品であり、5月度は昨年対比で見る限り、厳しい月であったことがわかる。

  このように家計調査月報をみる限りでは、消費が回復しているとはいえず、厳しい状況であることがわかる。食品スーパーマーケットの取扱い商品にあてはめてみても、惣菜以外ほとんどマイナスであり、特に、生鮮3品、青果が厳しい月であったといえる。来月以降、どのように消費が推移するかは予断をゆるさないが、当面、生鮮を中心にひとつひとつの商品をしっかり見直していゆくことが課題といえよう。

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